JP2004218599A - インタンク用フィルター材 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のフィルター材に比し弾力性があって、濾過性能に優れ、かつコストの低減をはかった燃料の濾過性能,耐久性に優れたインタンク用フィルター材を提供する。
【解決手段】スパンボンド法によってポリエステル樹脂を繊維化し、得られる長繊維の繊維層は単一の繊度で構成され、種々の繊度と目付の異なる、複数の繊維層を得て、夫々粗層,中層,密層として積層し、又は更にエステルのメッシュ(網)を粗層側に加えて各層間を超音波融着で一体化してなる燃料の濾過性に優れたインタンク用フィルター材である。
なお、ポリエステル繊維の目付範囲は粗層は30g/m2〜500g/m2、中層は50g/m2〜300g/m2、密層は30g/m2〜100g/m2が好適である。
また、超音波融着で一体化された融着部分の面積が面積比率で10%以下が好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】スパンボンド法によってポリエステル樹脂を繊維化し、得られる長繊維の繊維層は単一の繊度で構成され、種々の繊度と目付の異なる、複数の繊維層を得て、夫々粗層,中層,密層として積層し、又は更にエステルのメッシュ(網)を粗層側に加えて各層間を超音波融着で一体化してなる燃料の濾過性に優れたインタンク用フィルター材である。
なお、ポリエステル繊維の目付範囲は粗層は30g/m2〜500g/m2、中層は50g/m2〜300g/m2、密層は30g/m2〜100g/m2が好適である。
また、超音波融着で一体化された融着部分の面積が面積比率で10%以下が好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料フィルターに関し、特に内燃機関等に設けられた燃料タンクから燃料噴射装置へ供給する過程で濾過材として用いて好適なインタンク用フィルター材に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関等の燃料噴射弁へ燃料を濾過して供給するための燃料フィルターは、燃料に混入した異物を通過させない濾過特性,流量特性,耐久性,耐燃料性,耐薬品性などの様々な特性が要求される。
【0003】
従来、上記燃料フィルターは燃料が燃料タンクから燃料フィルター装置を経て燃料噴射弁に供給される工程において、燃料タンク内と燃料フィルター装置に設けられ、用いられるフィルターには金網,焼結金属,ナイロンネット,不織布等が一般に使用されていた。
【0004】
このうち、燃料タンク内に設置されている燃料フィルターの構造は吸引時に袋状のフィルターの内側同士が密着しないように内面に保持フレームが挿入されていて、これによって内面同士がくっ付くことなく燃料を確実に濾過して吸引できるように考慮されている。この濾過フィルター材は最近ナイロンネット,不織布が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如き従来の濾過フィルター材は比較的にコスト高で、タンク内の燃料を最大限に吸収するため、濾過フィルターの先端は燃料タンクの底面に接触させている。また、袋状の濾材の内側同士が密着したり、折れたりしないことが必要であるため、濾過フィルターの構造を工夫して対応しているのが実状である。
【0006】
本発明は上述の如き実状をふまえ、その改善をはかるべく、特に好適な繊維層構成を見出すことにより、濾過フィルター材が従来のものより弾力性があって、濾過性能に優れ、かつコストの低減を計った燃料の濾過性能,耐久性に優れた濾過フィルター材を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的を達成するため、本発明は比較的安価であるポリエステル樹脂に着目し、スパンボンド法による繊維化を行って、得られる長繊維の繊維層は単一の繊度から構成され、種々の繊度と目付の異なる複数の繊維層を得て、それぞれ粗層,中層,密層として積層し、又は更にエステルメッシュを粗層側に加えて各層間を超音波融着で一体化することにより、燃料の濾過性に優れたインタンク用フィルター材とした。
【0008】
ここで、上記各層におけるポリエステル繊維の繊度の範囲としては、粗層は2デシテックス〜8デシテックス、中層は1デシテックス〜5デシテックス、密層は0.5デシテックス〜3デシテックスが好ましく、また、ポリエステル繊維目付範囲は粗層が30g/m2〜500g/m2、中層は50g/m2〜300g/m2、密層が30g/m2〜100g/m2であることが好ましい。
更に、超音波融着で一体化された融着部分の面積は面積比率で10%以下であることが好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、上記本発明フィルター材について具体的な実施形態を説明する。
即ち、本発明フィルター材は、上述のようにポリエステル樹脂をスパンボンド法により繊維化し、長繊維の繊維層を得ることから始まる。
そしてこの長繊維の繊維層として、夫々、繊度と目付の異なる各構成の繊維層を得て、粗層,中層,密層用とするものである。
【0010】
ここで、粗層用の繊維層の繊度範囲としては2デシテックス〜8デシテックスが好ましく、2デシテックス以下であると粗塵を濾過する役目であるのに、細かい塵を捕集し、その結果、フィルターの濾過寿命を早める。
また、8デシテックス以上では粗塵の濾過の程度に差が見られない。目付範囲としては30g/m2〜500g/m2が好ましい。30g/m2以下では粗塵濾過の効果が乏しくなり、500g/m2以上では粗塵の過剰効果となるので好ましくない。
中層用の繊維層の繊度範囲としては1デシテックス〜5デシテックスが好ましく、1デシテックス以下であると中塵を濾過する役目であるのに、細かい塵を捕集し、その結果、フィルターの濾過寿命を早める。
一方、5デシテックス以上では粗塵の濾過の程度となり、中塵の濾過の役目を果たさない。
目付範囲は50g/m2〜300g/m2が好ましい。50g/m2以下では中塵濾過の効果が乏しく、300g/m2以上では中塵の濾過効果は十分にあるが、初期圧が高くなり好ましくない。
【0011】
更に上記密層用の繊維層の繊度範囲は0.5デシテックス〜3デシテックスが好適であり、0.5デシテックス以下であると微粒子の塵を濾過する役目は十分にあるが、初期圧が高く、その結果、フィルターの濾過寿命を早める。3デシテックス以上では中塵の濾過の程度となり、微粒子の塵を濾過する役目を果たさない。
一方、目付範囲は30g/m2〜100g/m2が好ましく、30g/m2以下では微粒子の塵濾過の効果が乏しい。また、100g/m2以上では微粒子の塵の濾過効果は十分にあるが、初期圧が高くなり好ましくない。
【0012】
なお、燃料タンクに設置されるフィルターの外側(流入側)の不織布を保護するために粗層側にエステルのメッシュ(網)をつけることは不織布の耐久性の面で有効である。
エステルメッシュはエステルのモノフィラメントを用いて網とすることが良好で、通常、30〜50メッシュの網が用いられる。
使用するエステルモノフィラメントとしては、糸径が100μm〜400μmがよく、網の目の大きさは200μmから900μmが好適である。
不織布を保護するためには糸径が100μm以下では網が柔らか過ぎ、400μm以上では網が固すぎて何れの場合も好ましくない。
【0013】
かくして上記の如き密層,中層,粗層,エステルメッシュの各繊維層は次に積層され一体化されるが、一体化には超音波融着が用いられる。
超音波融着は融着面積が単位不織布面積(融着面積比率)に対して10%以下、好ましくは5%以下にすることが効果的である。融着面積比率が10%以上であると燃料中の塵等の濾過効率を低下するので好ましくない。
融着面積比率は不織布の超音波融着された部位の面積を算出し、ランダムに数個選んで平均融着面積を算出する。不織布表面の単位面積当たりの融着個数を数え、融着面積は平均融着面積と融着個数の積で算出する。そして融着面積比率は融着面積を不織布表面の単位面積で除してパーセントで示される。
【0014】
なお、上記密層,中層,粗層,エステルメッシュの繊維層を積層して一体化するに際し、各層間に低融点ポリエステル繊維不織布を使用することが出来るが、この低融点ポリエステル繊維は耐燃料性に弱いので好ましいとは云えない。
また、本発明のインタンク用フィルター材は、素材を同種に統一することにより使用後の分離処理や再生処理の取り扱いが容易であるために環境に優しいものとなる。
【0015】
【実施例】
以下、更に本発明の実施例及び比較例を掲げる。
以下の実施例及び比較例における目付量,厚さ,圧縮弾性率,濾過性能等の評価または測定は、下記の方法に従って行った。
(イ)単位面積当たりの質量(目付量)
JIS L1906の5.2に記載の方法に準拠して求めた。
(ロ)厚さ
JIS L1906の5.1に記載の方法に従って荷重2KPaで測定した。
(ハ)超音波融着の面積比率
不織布の超音波融着された部位をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製)によって25倍に拡大し、超音波融着の1ケのの融着面積(s)を算出する。融着部をランダムに10個選んで平均融着面積(S)を求める。
次に不織布表面の5cm×5cm角の面積に存在する融着個数(n)を数え、下記式に当てはめて超音波融着の面積比率(Ts)(%)とする。
平均融着面積(S)=(Σsi/10)(cm2)
超音波融着の面積比率(Ts)=(S×n)/(5×5)×100(%)
(ニ)圧縮弾性率
圧縮試験はピーコック社製アップライト・ダイヤル・ゲイジを用い、圧縮面積25mmφで試料を圧縮し、初荷重12mg/mm2として荷重200mg/mm2下での変形距離(mm)を求め、その距離を荷重188mg/mm2に除して、更に試料の目付で除して、100倍して得た。単位は100g当たりmg/mm3である。
(ホ)濾過性能評価
テストベンチ(SAEJ1858に準拠)による濾過性能評価を下記条件で実施した。
評価条件
ダスト ISO MEDEIUM TD(5〜80μm)
ダスト投入量 50mg/min
オイル MIL−H5606F
テスト油量 3.0L
テスト流量 3.0L/min
ダストレンジ 5μm,20μm,40μm,60μm,80μm,100μm,
評価
初期圧損は測定初期の圧力(KPa)
濾過効率は60μmまでの捕集量で評価(%)
濾過寿命の評価は9.8KPa到着時間(min)
【0016】
実施例1
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.3デシテックス、目付が50g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が100g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が50g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのエステルの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔4mmでピン列間隔40mmの2インチダイヤ模様で層接着をし、融着面積比率が3.7%の本発明インタンク用フィルター材を得た。
【0017】
実施例2
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.3デシテックス、目付が60g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が120g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が60g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのエステルの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔4mmでピン列間隔40mmの2インチダイヤ模様で層接着をし、融着面積比率が3.4%の本発明インタンク用フィルター材を得た。
【0018】
実施例3
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度6.0デシテックス、目付が60g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が120g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が60g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのエステルの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔4mmでピン列間隔40mmの2インチダイヤ模様で層接着をし、融着面積比率が3.6%の本発明インタンク用フィルター材を得た。
【0019】
実施例4
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.3デシテックス、目付が100g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が200g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が100g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのエステルの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔4mmでピン列間隔40mmの2インチダイヤ模様で層接着をし、融着面積比率が3.4%の本発明インタンク用フィルター材を得た。
【0020】
比較例1
メルトブロー法で作られたナイロン長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.0デシテックス、目付が70g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が70g/m2、密層が繊度0.9デシテックス、目付が70g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのナイロンの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔8mmでピン列間隔8mmのドット柄模様で層接着をし、融着面積比率が2.8%の比較インタンク用フィルター材を得た。
【0021】
比較例2
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.3デシテックス、目付が60g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が120g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が60g/m2である各繊維層を得た。粗層,中層,密層の各層間にホットメルト不織布(低融点ポリエステル融点120℃、目付15g/m2)を順に積層し、粗層側に40メッシュのポリエステルの網を重ねて180℃の熱処理機にて30秒間熱処理し、次いで170℃の熱ロールに通して層接着をし、比較インタンク用フィルター材を得た。
【0022】
かくして得た上記実施例1,2,3,4及び比較例1,2の各フィルター材について、夫々、特性評価を行った。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
上記の表より本発明に係る実施例1,2,3,4は共に濾過性能が良く燃料に対する耐久性に優れていることが分かる。
一方、比較例1は素材がナイロンであるために圧縮弾性率がエステルに比較して劣るため、ヘタリ易く、その結果、背圧上昇が早い。
また、比較例2の如く、層間の接着を低融点のポリエステル不織布を使用することは、燃料の耐久性に劣ることを示している。熱融着繊維に低融点のポリエステル不織布を使用することは好ましくないことが分かる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明のインタンク用フィルター材は、スパンボンド法によってポリエステル樹脂を繊維化し、得られる長繊維の繊維層は単一の繊度で構成され、種々の繊度と目付の異なる、複数の繊維層を得て、粗層,中層,密層として積層し、更にエステルメッシュを粗層側に加えて各層間を超音波用溶着で一体化することにより得られたものであり、従来のものに比し弾力性があって、濾過性能に優れ、かつコストの低減を計った燃料の濾過性能,耐久性に優れた濾過フィルター材を得ることが出来る格段の効果を有する。
特に、上記本発明フィルター材は素材が同種に統一されることにより、使用後の分離処理や再生処理の取り扱いが容易である利点がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料フィルターに関し、特に内燃機関等に設けられた燃料タンクから燃料噴射装置へ供給する過程で濾過材として用いて好適なインタンク用フィルター材に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関等の燃料噴射弁へ燃料を濾過して供給するための燃料フィルターは、燃料に混入した異物を通過させない濾過特性,流量特性,耐久性,耐燃料性,耐薬品性などの様々な特性が要求される。
【0003】
従来、上記燃料フィルターは燃料が燃料タンクから燃料フィルター装置を経て燃料噴射弁に供給される工程において、燃料タンク内と燃料フィルター装置に設けられ、用いられるフィルターには金網,焼結金属,ナイロンネット,不織布等が一般に使用されていた。
【0004】
このうち、燃料タンク内に設置されている燃料フィルターの構造は吸引時に袋状のフィルターの内側同士が密着しないように内面に保持フレームが挿入されていて、これによって内面同士がくっ付くことなく燃料を確実に濾過して吸引できるように考慮されている。この濾過フィルター材は最近ナイロンネット,不織布が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如き従来の濾過フィルター材は比較的にコスト高で、タンク内の燃料を最大限に吸収するため、濾過フィルターの先端は燃料タンクの底面に接触させている。また、袋状の濾材の内側同士が密着したり、折れたりしないことが必要であるため、濾過フィルターの構造を工夫して対応しているのが実状である。
【0006】
本発明は上述の如き実状をふまえ、その改善をはかるべく、特に好適な繊維層構成を見出すことにより、濾過フィルター材が従来のものより弾力性があって、濾過性能に優れ、かつコストの低減を計った燃料の濾過性能,耐久性に優れた濾過フィルター材を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的を達成するため、本発明は比較的安価であるポリエステル樹脂に着目し、スパンボンド法による繊維化を行って、得られる長繊維の繊維層は単一の繊度から構成され、種々の繊度と目付の異なる複数の繊維層を得て、それぞれ粗層,中層,密層として積層し、又は更にエステルメッシュを粗層側に加えて各層間を超音波融着で一体化することにより、燃料の濾過性に優れたインタンク用フィルター材とした。
【0008】
ここで、上記各層におけるポリエステル繊維の繊度の範囲としては、粗層は2デシテックス〜8デシテックス、中層は1デシテックス〜5デシテックス、密層は0.5デシテックス〜3デシテックスが好ましく、また、ポリエステル繊維目付範囲は粗層が30g/m2〜500g/m2、中層は50g/m2〜300g/m2、密層が30g/m2〜100g/m2であることが好ましい。
更に、超音波融着で一体化された融着部分の面積は面積比率で10%以下であることが好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、上記本発明フィルター材について具体的な実施形態を説明する。
即ち、本発明フィルター材は、上述のようにポリエステル樹脂をスパンボンド法により繊維化し、長繊維の繊維層を得ることから始まる。
そしてこの長繊維の繊維層として、夫々、繊度と目付の異なる各構成の繊維層を得て、粗層,中層,密層用とするものである。
【0010】
ここで、粗層用の繊維層の繊度範囲としては2デシテックス〜8デシテックスが好ましく、2デシテックス以下であると粗塵を濾過する役目であるのに、細かい塵を捕集し、その結果、フィルターの濾過寿命を早める。
また、8デシテックス以上では粗塵の濾過の程度に差が見られない。目付範囲としては30g/m2〜500g/m2が好ましい。30g/m2以下では粗塵濾過の効果が乏しくなり、500g/m2以上では粗塵の過剰効果となるので好ましくない。
中層用の繊維層の繊度範囲としては1デシテックス〜5デシテックスが好ましく、1デシテックス以下であると中塵を濾過する役目であるのに、細かい塵を捕集し、その結果、フィルターの濾過寿命を早める。
一方、5デシテックス以上では粗塵の濾過の程度となり、中塵の濾過の役目を果たさない。
目付範囲は50g/m2〜300g/m2が好ましい。50g/m2以下では中塵濾過の効果が乏しく、300g/m2以上では中塵の濾過効果は十分にあるが、初期圧が高くなり好ましくない。
【0011】
更に上記密層用の繊維層の繊度範囲は0.5デシテックス〜3デシテックスが好適であり、0.5デシテックス以下であると微粒子の塵を濾過する役目は十分にあるが、初期圧が高く、その結果、フィルターの濾過寿命を早める。3デシテックス以上では中塵の濾過の程度となり、微粒子の塵を濾過する役目を果たさない。
一方、目付範囲は30g/m2〜100g/m2が好ましく、30g/m2以下では微粒子の塵濾過の効果が乏しい。また、100g/m2以上では微粒子の塵の濾過効果は十分にあるが、初期圧が高くなり好ましくない。
【0012】
なお、燃料タンクに設置されるフィルターの外側(流入側)の不織布を保護するために粗層側にエステルのメッシュ(網)をつけることは不織布の耐久性の面で有効である。
エステルメッシュはエステルのモノフィラメントを用いて網とすることが良好で、通常、30〜50メッシュの網が用いられる。
使用するエステルモノフィラメントとしては、糸径が100μm〜400μmがよく、網の目の大きさは200μmから900μmが好適である。
不織布を保護するためには糸径が100μm以下では網が柔らか過ぎ、400μm以上では網が固すぎて何れの場合も好ましくない。
【0013】
かくして上記の如き密層,中層,粗層,エステルメッシュの各繊維層は次に積層され一体化されるが、一体化には超音波融着が用いられる。
超音波融着は融着面積が単位不織布面積(融着面積比率)に対して10%以下、好ましくは5%以下にすることが効果的である。融着面積比率が10%以上であると燃料中の塵等の濾過効率を低下するので好ましくない。
融着面積比率は不織布の超音波融着された部位の面積を算出し、ランダムに数個選んで平均融着面積を算出する。不織布表面の単位面積当たりの融着個数を数え、融着面積は平均融着面積と融着個数の積で算出する。そして融着面積比率は融着面積を不織布表面の単位面積で除してパーセントで示される。
【0014】
なお、上記密層,中層,粗層,エステルメッシュの繊維層を積層して一体化するに際し、各層間に低融点ポリエステル繊維不織布を使用することが出来るが、この低融点ポリエステル繊維は耐燃料性に弱いので好ましいとは云えない。
また、本発明のインタンク用フィルター材は、素材を同種に統一することにより使用後の分離処理や再生処理の取り扱いが容易であるために環境に優しいものとなる。
【0015】
【実施例】
以下、更に本発明の実施例及び比較例を掲げる。
以下の実施例及び比較例における目付量,厚さ,圧縮弾性率,濾過性能等の評価または測定は、下記の方法に従って行った。
(イ)単位面積当たりの質量(目付量)
JIS L1906の5.2に記載の方法に準拠して求めた。
(ロ)厚さ
JIS L1906の5.1に記載の方法に従って荷重2KPaで測定した。
(ハ)超音波融着の面積比率
不織布の超音波融着された部位をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製)によって25倍に拡大し、超音波融着の1ケのの融着面積(s)を算出する。融着部をランダムに10個選んで平均融着面積(S)を求める。
次に不織布表面の5cm×5cm角の面積に存在する融着個数(n)を数え、下記式に当てはめて超音波融着の面積比率(Ts)(%)とする。
平均融着面積(S)=(Σsi/10)(cm2)
超音波融着の面積比率(Ts)=(S×n)/(5×5)×100(%)
(ニ)圧縮弾性率
圧縮試験はピーコック社製アップライト・ダイヤル・ゲイジを用い、圧縮面積25mmφで試料を圧縮し、初荷重12mg/mm2として荷重200mg/mm2下での変形距離(mm)を求め、その距離を荷重188mg/mm2に除して、更に試料の目付で除して、100倍して得た。単位は100g当たりmg/mm3である。
(ホ)濾過性能評価
テストベンチ(SAEJ1858に準拠)による濾過性能評価を下記条件で実施した。
評価条件
ダスト ISO MEDEIUM TD(5〜80μm)
ダスト投入量 50mg/min
オイル MIL−H5606F
テスト油量 3.0L
テスト流量 3.0L/min
ダストレンジ 5μm,20μm,40μm,60μm,80μm,100μm,
評価
初期圧損は測定初期の圧力(KPa)
濾過効率は60μmまでの捕集量で評価(%)
濾過寿命の評価は9.8KPa到着時間(min)
【0016】
実施例1
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.3デシテックス、目付が50g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が100g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が50g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのエステルの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔4mmでピン列間隔40mmの2インチダイヤ模様で層接着をし、融着面積比率が3.7%の本発明インタンク用フィルター材を得た。
【0017】
実施例2
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.3デシテックス、目付が60g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が120g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が60g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのエステルの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔4mmでピン列間隔40mmの2インチダイヤ模様で層接着をし、融着面積比率が3.4%の本発明インタンク用フィルター材を得た。
【0018】
実施例3
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度6.0デシテックス、目付が60g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が120g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が60g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのエステルの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔4mmでピン列間隔40mmの2インチダイヤ模様で層接着をし、融着面積比率が3.6%の本発明インタンク用フィルター材を得た。
【0019】
実施例4
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.3デシテックス、目付が100g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が200g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が100g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのエステルの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔4mmでピン列間隔40mmの2インチダイヤ模様で層接着をし、融着面積比率が3.4%の本発明インタンク用フィルター材を得た。
【0020】
比較例1
メルトブロー法で作られたナイロン長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.0デシテックス、目付が70g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が70g/m2、密層が繊度0.9デシテックス、目付が70g/m2である各繊維層を粗層,中層,密層と積層し、粗層側に40メッシュのナイロンの網を重ねて密層側から超音波融着をピン間隔8mmでピン列間隔8mmのドット柄模様で層接着をし、融着面積比率が2.8%の比較インタンク用フィルター材を得た。
【0021】
比較例2
スパンボンド法で作られたポリエステル長繊維の繊維層からなる粗層が繊度3.3デシテックス、目付が60g/m2、中層が繊度2.2デシテックス、目付が120g/m2、密層が繊度1.0デシテックス、目付が60g/m2である各繊維層を得た。粗層,中層,密層の各層間にホットメルト不織布(低融点ポリエステル融点120℃、目付15g/m2)を順に積層し、粗層側に40メッシュのポリエステルの網を重ねて180℃の熱処理機にて30秒間熱処理し、次いで170℃の熱ロールに通して層接着をし、比較インタンク用フィルター材を得た。
【0022】
かくして得た上記実施例1,2,3,4及び比較例1,2の各フィルター材について、夫々、特性評価を行った。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
上記の表より本発明に係る実施例1,2,3,4は共に濾過性能が良く燃料に対する耐久性に優れていることが分かる。
一方、比較例1は素材がナイロンであるために圧縮弾性率がエステルに比較して劣るため、ヘタリ易く、その結果、背圧上昇が早い。
また、比較例2の如く、層間の接着を低融点のポリエステル不織布を使用することは、燃料の耐久性に劣ることを示している。熱融着繊維に低融点のポリエステル不織布を使用することは好ましくないことが分かる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明のインタンク用フィルター材は、スパンボンド法によってポリエステル樹脂を繊維化し、得られる長繊維の繊維層は単一の繊度で構成され、種々の繊度と目付の異なる、複数の繊維層を得て、粗層,中層,密層として積層し、更にエステルメッシュを粗層側に加えて各層間を超音波用溶着で一体化することにより得られたものであり、従来のものに比し弾力性があって、濾過性能に優れ、かつコストの低減を計った燃料の濾過性能,耐久性に優れた濾過フィルター材を得ることが出来る格段の効果を有する。
特に、上記本発明フィルター材は素材が同種に統一されることにより、使用後の分離処理や再生処理の取り扱いが容易である利点がある。
Claims (5)
- スパンボンド法によってポリエステル樹脂を繊維化し、得られる長繊維の繊維層は単一の繊度で構成され、種々の繊度と目付の異なる、複数の繊維層を得て、それぞれ粗層,中層,密層として積層し、各層間を超音波融着で一体化してなることを特徴とする燃料の濾過性に優れたインタンク用フィルター材。
- 粗層,中層,密層として積層し、更にエステルのメッシュ(網)を粗層側に加えて各層間を超音波融着で一体化する請求項1記載の燃料の濾過性に優れたインタンク用フィルター材。
- ポリエステル繊維の繊度の範囲が粗層は2デシテックス〜8デシテックス、中層は1デシテックス〜5デシテックス、密層は0.5デシテックス〜3デシテックスである請求項1または2記載の燃料の濾過性に優れたインタンク用フィルター材。
- ポリエステル繊維の目付範囲が粗層は30g/m2〜500g/m2、中層は50g/m2〜300g/m2、密層は30g/m2〜100g/m2である請求項1,2または3記載の燃料の濾過性に優れたインタンク用フィルター材。
- 超音波融着で一体化された融着部分の面積が面積比率で10%以下である請求項1,2,3または4記載の燃料の濾過性に優れたインタンク用フィルター材。
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