(実施形態1)
以下、本実施形態のLED照明器具について図1〜図9を参照しながら説明する。
本実施形態のLED照明器具は、シーリングライトであり、天井材のような造営材200に取り付けられる円盤状の器具本体110(図1(a)、図2、図6参照)を備えている。器具本体110は、造営材200側とは反対側の一面(図1(a)の下面)に円形状に開口した凹所111が形成され、さらに凹所111の内底面に、複数個(本実施形態では、8個)の発光装置Aを実装した円板状のプリント配線板からなる回路基板130を収納する収納凹所112が形成されている。
ここにおいて、本実施形態のLED照明器具では、回路基板130を器具本体110に取り付けることにより、各発光装置Aが器具本体110に保持されている。本実施形態では、回路基板130を器具本体110に取り付けるにあたって、シリカやアルミナなどのフィラーからなる充填材を含有し且つ加熱時に低粘度化する樹脂シート(例えば、溶融シリカを高充填したエポキシ樹脂シートのような有機グリーンシート)からなるシート状の接合用部材(図示せず)を回路基板130と器具本体110の収納凹所112の内底面との間に介在させて両者を接合しているが、ねじなどの固定具を用いて回路基板130を器具本体110に取り付けるようにしてもよい。なお、器具本体110は、例えば、Al、Cuなどの熱伝導率の高い金属材料により形成されている。
器具本体110の他面(図1(a)の上面)の中央部には造営材200に形成された円形状の取付孔201に挿入される円柱状の埋込部113が突設されており、器具本体110は、回路基板130への給電用の2本の電線196を収納凹所112内へ導入するための電線挿通孔114が、埋込部113の先端面と収納凹所112の内底面の中央部との間の部位に貫設されている。要するに、器具本体110は、収納凹所112の底部に電線挿通孔114が貫設されている。なお、各電線196における回路基板130に接続される一端側とは反対の他端側には、別置の電源ユニット(図示せず)の出力用の第1のコネクタ(図示せず)に着脱自在に接続される第2のコネクタ197が設けられている。
また、上述の器具本体110には、当該器具本体110を造営材200に取り付けるための複数(本実施形態では、2つ)の取付ねじ118それぞれを上記一面側から挿通する複数(本実施形態では、2つ)のねじ挿通孔115が凹所111の内底面と器具本体110の上記他面との間の部位に貫設されている。したがって、天井材などの造営材200に取付ねじ118を用いて器具本体110を取り付けることができる。
また、本実施形態のLED照明器具は、回路基板130の一表面側(図1(a)の下面側)に配置される透光性カバー140と、器具本体110の上記一面側において収納凹所112の周部および各取付ねじ118を覆う形で器具本体110に取着される枠状の化粧カバー150を備えている。
透光性カバー140(図1(a)、図2、図7参照)は、回路基板130の上記一表面側において回路基板130から離間して配置される前板部140aと、前板部140aの周縁から器具本体110の収納凹所111の内底面側へ連続一体に突出した円環状の側板部140bとを備えている。ここで、器具本体110には、透光性カバー140を固定するための固定ねじ119を挿通する2つのねじ挿通孔117が形成されており、透光性カバー140には、器具本体110の上記他面側から器具本体110のねじ挿通孔117に挿通された固定ねじ119の先端部が螺合するねじ孔140dを有する2つのボス部140cが連続一体に形成されている。なお、回路基板130の周部において各ボス部140cそれぞれに対応する部位には、切欠部が形成されている。
また、化粧カバー150(図1(a)、図2、図8、図9参照)は、弾性を有する合成樹脂(例えば、PBT、ABSなど)を用いて形成されており、器具本体110に形成された複数の係合孔116(図6参照)それぞれに係合する複数の係止突起152が器具本体110との対向面から突設されている。すなわち、化粧カバー150は、各係止突起152それぞれを器具本体110の各係合孔116それぞれに挿入して各係合孔116の周部に係合させることにより器具本体110に取着される。ここにおいて、上述の透光性カバー140は、化粧カバー150の円形状の開口窓151を通して露出するようになっている。したがって、器具本体110を取付ねじ118を用いて造営材200に取り付けた後で、器具本体110に化粧カバー150を取り付ければ、器具本体110の上記一面側から取付ねじ118が見えなくなるので、見栄えを良くすることができる。なお、上述の化粧カバー150は合成樹脂の成形品により構成されているが、化粧カバー150を金属により形成すれば、化粧カバー150が合成樹脂により形成されている場合に比べて、各発光装置Aで発生した熱をより効果的に放熱させることができる。ここで、化粧カバー150を金属により形成する場合には、例えば、板ばねを利用して器具本体110に取り付けるような構造を採用することで器具本体110に対して着脱自在としてもよいし、器具本体110にねじ込んで取り付けるような構造を採用して器具本体110に対して着脱自在としてもよい。
また、各発光装置Aは、後述のように発光色の異なる複数種のLEDチップ1がパッケージBに収納されるとともにパッケージBに各発光色のLEDチップ1から放射された光を各別に検出するフォトダイオードよりなる光検出素子4が設けられており、上述の回路基板130には、各発光装置Aの他に、各発光装置Aの各LEDチップ1それぞれを駆動する駆動回路部(図示せず)と、光検出素子4の出力に基づいて当該光検出素子4が設けられているパッケージB内のLEDチップ1の光出力を制御するマイクロコンピュータなどからなる制御部160とが実装されている。ここにおいて、制御部160は、各光検出素子4の出力が所望の混色光に応じて予め設定された目標値となるように駆動回路部を介して各発光装置Aの各LEDチップ1それぞれへの順方向電流の通電量をフィードバック制御する。
以下、上述の発光装置Aについて図1〜図5に基づいて説明する。
発光装置Aは、互いに発光色の異なる複数(本実施形態では、4つ)のLEDチップ1と、各LEDチップ1を収納する収納凹所2aが一表面に形成され収納凹所2aの内底面に各LEDチップ1が実装された実装基板2と、実装基板2の上記一表面側において収納凹所2aを閉塞する形で実装基板2に固着された透光性部材3と、実装基板2に設けられ各発光色のLEDチップ1から放射された光を各別に検出する複数(本実施形態では、4つ)の光検出素子4と、実装基板2の収納凹所2aに充填された透光性の封止樹脂(例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂など)からなり各LEDチップ1および各LEDチップ1それぞれに接続されたボンディングワイヤ14を封止した封止部5と備えている。また、実装基板2は、上記一表面側において収納凹所2aの周部から内方へ突出した庇状の張出部2cを有しており、当該張出部2cに各光検出素子4が設けられている。なお、本実施形態では、実装基板2と透光性部材3とでパッケージBを構成しているが、透光性部材3は、必ずしも設けなくてもよく、必要に応じて適宜設ければよい。
本実施形態における発光装置Aでは、4つのLEDチップ1として、発光色が赤色のLEDチップ1aと、発光色が緑色のLEDチップ1bと、発光色が青色のLEDチップ1cと、発光色が黄色のLEDチップ1dとを採用しており、赤色光と緑色光と青色光と黄色光の混色光として白色光を得ることができる。ただし、各LEDチップ1の発光色は特に限定するものではなく、所望の混色光に応じて適宜選択すればよい。
実装基板2は、各LEDチップ1a〜1dが一表面側に搭載される矩形板状のLED搭載用基板20と、LED搭載用基板20の上記一表面側に対向配置され円形状の光取出窓41が形成されるとともに各光検出素子4が形成された光検出素子形成基板40と、LED搭載用基板20と光検出素子形成基板40との間に介在し光取出窓41に連通する矩形状の開口窓31が形成された中間層基板30とで構成されており、LED搭載用基板20と中間層基板30と光検出素子形成基板40とで囲まれた空間が上記収納凹所2aを構成している。ここにおいて、LED搭載用基板20および中間層基板30および光検出素子形成基板40の外周形状は矩形状であり、中間層基板30および光検出素子形成基板40はLED搭載用基板20と同じ外形寸法に形成されている。また、光検出素子形成基板40の厚み寸法はLED搭載用基板20および中間層基板30の厚み寸法に比べて小さく設定されている。なお、本実施形態では、LED実装用基板20が、各LEDチップ1a〜1dが搭載されるベース基板部を構成し、中間層基板30と光検出素子形成基板40とで、各LEDチップ1a〜1dを囲む形でベース基板部から突設された壁部2bを構成し、光検出素子形成基板40において中間層基板30の開口窓31上に張り出した部位が、上述の張出部2cを構成している。要するに、張出部2cは、壁部2bの先端部から内方へ突出している。
上述のLED搭載用基板20、中間層基板30、光検出素子形成基板40は、それぞれ、導電形がn形で主表面が(100)面のシリコン基板20a,30a,40aを用いて形成してあり、中間層基板30の内側面が、アルカリ系溶液(例えば、TMAH溶液、KOH溶液など)を用いた異方性エッチングにより形成された(111)面により構成されており(つまり、中間層基板30は、開口窓31の開口面積がLED搭載用基板20から離れるにつれて徐々に大きくなっており)、LEDチップ1a〜1dから側方(壁部2b側)へ放射された光を前方(張出部2c側)へ反射するミラー2dを構成している。要するに、本実施形態では、中間層基板30が各LEDチップ1a〜1dから側方へ放射された光を前方へ反射させる枠状のリフレクタを兼ねている。
LED搭載用基板20は、シリコン基板20aの一表面側(図1(b)における下面側)に、LEDチップ1a〜1dの両電極それぞれと電気的に接続される2つ1組の導体パターン25a,25aが4組形成されるとともに、中間層基板30に形成された2つの貫通孔配線34,34を介して光検出素子4と電気的に接続される2つ1組の導体パターン25b,25bが4組形成されており、各導体パターン25a,25a,25b,25bとシリコン基板20aの他表面側(図1(b)における上面側)に形成された各外部接続用電極27a,27a,27b,27bとがそれぞれ貫通孔配線24を介して電気的に接続されている。また、LED搭載用基板20は、シリコン基板20aの上記一表面側に、中間層基板30と接合するための接合用金属層29も形成されている。
本実施形態におけるLEDチップ1a〜1dは、結晶成長用基板として導電性基板を用い厚み方向の両面に電極(図示せず)が形成された可視光LEDチップであり、LED搭載用基板20は、各LEDチップ1a〜1dが電気的に接続される2つの導体パターン25a,25aのうちの一方の導体パターン25aを、LEDチップ1a〜1dがダイボンディングされる矩形状のダイパッド部25aaと、ダイパッド部25aaに連続一体に形成され貫通孔配線24との接続部位となる引き出し配線部25abとで構成してある。要するに、LEDチップ1a〜1dは、上記一方の導体パターン25aのダイパッド部25aaにダイボンディングされており、ダイパッド部25aa側の電極がダイパッド部25aaに接合されて電気的に接続され、光取り出し面側の電極がボンディングワイヤ14を介して他方の導体パターン25aと電気的に接続されている。ここで、本実施形態では、LEDチップ1a〜1dおよびダイパッド部25aaの平面視における外周形状を矩形状(図示例では、正方形状)としてあり、ダイパッド部25aaの平面サイズをLEDチップ1a〜1dの平面サイズよりもやや大きく設定してある。
また、LED搭載用基板20は、シリコン基板20aの上記他表面側における各ダイパッド部25aaそれぞれの投影領域に、シリコン基板20aよりも熱伝導率の高い金属材料からなる矩形状の放熱用パッド部28が形成されており、シリコン基板20aの厚み方向において重なるダイパッド部25aaと放熱用パッド部28とがシリコン基板20aよりも熱伝導率の高い金属材料(例えば、Cuなど)からなる複数(本実施形態では、9つ)の円柱状のサーマルビア26を介して熱的に結合されており、LEDチップ1で発生した熱が各サーマルビア26および放熱用パッド部28を介して放熱されるようになっている。
ところで、LED搭載用基板20は、シリコン基板20aに、上述の各貫通孔配線24それぞれが内側に形成される複数の貫通孔22aと、上述の各サーマルビア26それぞれが内側に形成される複数の貫通孔22bとが厚み方向に貫設され、シリコン基板20aの上記一表面および上記他表面と各貫通孔22a,22bの内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成されており、各導体パターン25a,25a,25b,25b、接合用金属層29、各外部接続用電極27a,27a,27b,27b、各放熱用パッド部28、各貫通孔配線24および各サーマルビア26がシリコン基板20aと電気的に絶縁されている。なお、本実施形態では、各サーマルビア26用の貫通孔22bの開口形状および各貫通孔配線24用の貫通孔22aの開口形状を円形状としてあるが、サーマルビア26用の貫通孔22bの内径寸法を貫通孔配線24用の貫通孔22aの内径よりも大きく設定してあり、シリコン基板20aの厚み方向に直交する断面におけるサーマルビア26の断面積が貫通孔配線24の断面積よりも大きくなっている。
また、LED搭載用基板20において、各導体パターン25a,25a,25b,25b、接合用金属層29、各外部接続用電極27a,27a,27b,27b、各放熱用パッド部28は、絶縁膜23上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されており、各導体パターン25a,25a,25b,25bと接合用金属層29とが同時に形成され、各外部接続用電極27a,27a,27b,27bと各放熱用パッド部28とが同時に形成されている。なお、本実施形態では、絶縁膜23上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。また、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と絶縁膜23との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。また、貫通孔配線24およびサーマルビア26の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
中間層基板30は、シリコン基板30aの一表面側(図1(b)における上面側)に、LED搭載用基板20の各組の導体パターン27b,27bと接合されて電気的に接続される2つ1組の導体パターン(図示せず)が4組形成されるとともに、LED搭載用基板20の接合用金属層29と接合される接合用金属層36が形成されている。また、中間層基板30は、シリコン基板30aの他表面側(図1(b)における下面側)に、貫通孔配線34,34を介して上記一表面側の2つ1組の導体パターンと電気的に接続される2つ1組の導体パターン37,37が4組形成されるとともに、光検出素子形成基板40と接合するための接合用金属層38が形成されている。
また、中間層基板30は、シリコン基板30aの厚み方向に貫通する複数の貫通孔32が貫設され、シリコン基板30aの上記一表面および上記他表面と各貫通孔32の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜33が形成されており、上記一表面側の各導体パターンおよび上記他表面側の各導体パターン37,37および各接合用金属層36,38がシリコン基板30aと電気的に絶縁されている。ここにおいて、上記一表面側の各導体パターンおよび上記他表面側の各導体パターン37,37および各接合用金属層36,38は、絶縁膜33上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されており、上記一表面側の各導体パターンと接合用金属層36とが同時に形成され、上記表面側の各導体パターン37,37と接合用金属層38とが同時に形成されている。なお、本実施形態では、絶縁膜33上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と絶縁膜33との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。また、貫通孔配線34の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
光検出素子形成基板40は、シリコン基板40aの一表面側(図1(b)における上面側)に、中間層基板30の各組の導体パターン37,37と接合されて電気的に接続される2つ1組の導体パターン47a,47b(図5参照)が4組形成されるとともに、中間層基板30の接合用金属層38と接合される接合用金属層48が形成されている。ここにおいて、各光検出素子4は、フォトダイオードにより構成されており、光検出素子形成基板40に形成された2つ1組の導体パターン47a,47bの一方の導体パターン47aは、光検出素子4を構成するフォトダイオードのp形領域4aに電気的に接続され、他方の導体パターン47bは、上記フォトダイオードのn形領域4bを構成するシリコン基板40aに電気的に接続されている。
また、光検出素子形成基板40は、シリコン基板40aの上記一表面側にシリコン酸化膜からなる絶縁膜43が形成されており、当該絶縁膜43がフォトダイオードの反射防止膜を兼ねている。また、光検出素子形成基板40は、上記一方の導体パターン47aが、絶縁膜43に形成した第1のコンタクトホール(図示せず)を通してp形領域43aと電気的に接続され、上記他方の導体パターン47bが絶縁膜43に形成した第2のコンタクトホール(図示せず)を通してn形領域4bと電気的に接続されている。ここにおいて、各導体パターン47a,47bおよび接合用金属層48は、絶縁膜43上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されており、同時に形成してある。なお、本実施形態では、絶縁膜43上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と絶縁膜43との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。
上述の実装基板2の形成にあたっては、各光検出素子4、絶縁膜43、各導体パターン47a,47b、および接合用金属層48が形成されたシリコン基板40aと中間層基板30とを低温での直接接合が可能な常温接合法などにより接合する第1の接合工程を行った後、シリコン基板40aを所望の厚みまで研磨する研磨工程を行い、その後、誘導結合プラズマ(ICP)型のドライエッチング装置などを用いてシリコン基板40aに光取出窓41を形成する光取出窓形成工程を行うことで光検出素子形成基板40を完成させてから、各LEDチップ1a〜1dが実装され各ボンディングワイヤ14の結線が行われたLED搭載用基板20と中間層基板30とを常温接合法などにより接合する第2の接合工程を行うようにすればよい。なお、常温接合法では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温下で直接接合する。
上述の第1の接合工程では、シリコン基板40aの接合用金属層48と中間層基板30の接合用金属層38とが接合されるとともに、シリコン基板40aの導体パターン47a,47bと中間層基板30の導体パターン37,37とが接合され電気的に接続される。ここで、導体パターン47a,47bと導体パターン37,37との接合部位は、貫通孔配線34に重なる領域からずらしてあるので、導体パターン47a,47bと導体パターン37,37との互いの接合面の平坦度を高めることができ、接合歩留まりを高めることができるとともに接合信頼性を高めることができる。また、第2の接合工程では、LED搭載用基板20の接合用金属層29と中間層基板30の接合用金属層36とが接合されるとともに、LED搭載用基板20の導体パターン25b,25bと中間層基板30の導体パターン35,35とが接合され電気的に接続される。ここで、導体パターン25b,25bと導体パターン35,35との接合部位は、貫通孔配線24に重なる領域および貫通孔配線34に重なる領域からずらしてあるので、導体パターン25b,25bと導体パターン35,35との互いの接合面の平坦度を高めることができ、接合歩留まりを高めることができるとともに接合信頼性を高めることができる。
また、上述の透光性部材3は、透光性材料(例えば、シリコーン、アクリル樹脂、ガラスなど)からなる透光性基板を用いて形成してある。ここで、透光性部材3は、実装基板2と同じ外周形状の矩形板状に形成されており、実装基板2側とは反対の光取り出し面に、LEDチップ1a〜1dから放射された光の全反射を抑制する微細凹凸構造が形成されている。ここにおいて、透光性部材3の光取り出し面に形成する微細凹凸構造は、多数の微細な凹部が2次元周期構造を有するように形成されている。なお、上述の微細凹凸構造は、例えば、レーザ加工技術やエッチング技術やインプリントリソグラフィ技術などを利用して形成すればよい。
上述の発光装置Aの製造にあたっては、上述の各シリコン基板20a,30a,40aとして、それぞれLED搭載用基板20、中間層基板30、光検出素子形成基板40を多数形成可能なシリコンウェハを用いるとともに、上述の透光性基板として透光性部材3を多数形成可能なウェハ状のもの(透光性ウェハ)を用い、上述の第1の接合工程、研磨工程、第2の接合工程、光取出窓形成工程、第2の接合工程、実装基板2の収納凹所2aに封止樹脂を充填して封止部5を形成する封止部形成工程、封止部形成工程の後で実装基板2と透光性部材3とを接合する第3の接合工程などの各工程をウェハレベルで行うことでウェハレベルパッケージ構造体を形成してから、ダイシング工程により実装基板2のサイズに分割されている。したがって、LED搭載用基板20と中間層基板30と光検出素子形成基板40と透光性部材3とが同じ外形サイズとなり、小型のパッケージBを実現できるとともに、製造が容易になる。また、中間層基板30におけるミラー2dと光検出素子形成基板40における光検出素子4との相対的な位置精度を高めることができ、LEDチップ1a〜1dから側方へ放射された光がミラー2dにより反射されて各LEDチップ1a〜1dに対応する光検出素子4へ導かれる。
ところで、発光装置Aは、上述のように、光検出素子形成基板40に各発光色のLEDチップ1a〜1dから放射された光を各別に検出する4つの光検出素子4が設けられており、4つの光検出素子4と互いに発光色の異なる4つのLEDチップ1a〜1dとを1対1で対応させるために、ベース基板部であるLED搭載用基板20と壁部2bとで囲まれた内部空間(つまり、実装基板2における収納凹所2aの内部空間)を各発光色のLEDチップ1a〜1dそれぞれの収納空間に区画し各LEDチップ1a〜1dそれぞれから放射された光が2つ以上の光検出素子4の受光面へ入射するのを阻止する十字状の遮光部39が、中間層基板30に連続一体に形成されている。すなわち、本実施形態における発光装置Aでは、中間層基板30の開口窓31が遮光部39によって4つの小空間31aに区画されており、各LEDチップ1a〜1dそれぞれから放射される光の放射範囲が遮光部39により制限される。ここにおいて、本実施形態では、中間層基板30における遮光部39がアルカリ系溶液を用いた異方性エッチングにより開口窓31と同時に形成されており、遮光部39の各側面が開口窓31の内側面と同様に(111)面となっているので、遮光部39の各側面がLEDチップ1a〜1dから放射された光を前方へ反射するミラーとして機能する。なお、本実施形態の発光装置Aでは、LED搭載用基板20からの遮光部39の突出高さが壁部2bの突出高さよりも低くなっており、遮光部39の先端面と透光性部材3とが離間しているので、遮光部39に起因して暗部が生じるのを防止することができる。
以上説明した本実施形態のLED照明器具では、LEDチップ1を収納したパッケージBに当該パッケージB内のLEDチップ1から放射される光を検出する光検出素子4が設けられ器具本体110に保持された複数の発光装置Aと、光検出素子4の出力に基づいて当該光検出素子4が設けられているパッケージB内のLEDチップ1の光出力を制御する制御部160とを備えているので、発光装置Aとは別途に光ファイバのような導光部材を器具本体110内に設ける必要がなく、発光装置Aの配置設計によらずLEDチップ1から放射される光を当該LEDチップ1が収納されたパッケージBに設けられた光検出素子4により安定して精度良く検出することができ、器具全体として得られる混色光の光色や色温度の精度を向上することができる。
ここにおいて、本実施形態のLED照明器具では発光装置Aごとに、発光色の異なる複数種のLEDチップ1a〜1dが1つのパッケージB内に収納されるとともに、各発光色のLEDチップ1a〜1dから放射される光を各別に検出する複数の光検出素子4がパッケージBに設けられているので、各発光装置Aそれぞれにおいて発光色の異なる複数種のLEDチップ1a〜1dから放射される光を各別に検出でき、各発光装置Aごとに混色光の光色および色温度を制御することができるから、発光装置Aの配置設計の自由度が高くなる。
(実施形態2)
本実施形態のLED照明器具の基本構成は実施形態1と同じであり、実施形態1では発光装置Aが発光色の異なる複数種のLEDチップ1a〜1dを備えていたのに対して、図10に示すように、発光装置Aが1つのLEDチップ1のみを備えており、LEDチップ1として赤色LEDチップを採用した発光装置A(Aa)と、LEDチップ1として緑色LEDチップを採用した発光装置A(Ab)と、LEDチップ1として青色LEDチップを採用した発光装置A(Ac)との組が回路基板130上に所定数だけ実装されるとともに、当該回路基板130に各発光装置AのLEDチップ1を駆動する駆動回路部(図示せず)と、各光検出素子4の出力に基づいて駆動回路部から各発光色のLEDチップ1に流れる電流をフィードバック制御する制御部160とが設けられている点などが相違する。なお、本実施形態のLED照明器具では、回路基板130における各発光装置Aが実装されている一表面側に、発光装置Aa,Ab,Acの組ごとに発光装置Aa,Ab,Acを覆う透光性材料(例えば、シリコーン、アクリル樹脂など)からなるレンズ部(図示せず)を設けるとともに、当該レンズ部に、上記透光性材料とは屈折率の異なる材料(例えば、ガラスなど)からなる多数の小球状の光拡散材を添加しておくことにより、器具本体110の薄型化を図りながらも所望の混色光が得られるようにしてあるが、レンズ部に光各散材を添加しなくてもレンズ部の形状を適宜設計することで所望の混色光が得られるようにしてもよい。なお、その他の構成は実施形態1と同じなので図示および説明を省略する。また、組をなす複数の発光装置Aa,Ab,Acそれぞれの発光色の組み合わせは、所望の混色光に応じて適宜選択すればよく、組をなす発光装置Aの数も3つに限定するものではなく、複数であればよい。
以下、本実施形態における発光装置Aについて図10〜図18に基づいて説明するが、実施形態1における発光装置Aと同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
本実施形態における発光装置Aの基本構成は実施形態1と略同じであって、可視光(例えば、赤色光、緑色光、青色光など)を放射するLEDチップ1と、LEDチップ1を収納する収納凹所2aが一表面に形成され収納凹所2aの内底面にLEDチップ1が実装された実装基板2と、実装基板2の上記一表面側において収納凹所2aを閉塞する形で実装基板2に固着された透光性部材3と、実装基板2に設けられLEDチップ1から放射された光を検出する光検出素子4と、実装基板2の収納凹所2aに充填された透光性の封止樹脂からなりLEDチップ1および当該LEDチップ1に接続されたボンディングワイヤ14(図11参照)を封止した封止部5と備えている。
実装基板2は、図10〜図12に示すように、LEDチップ1が一表面側に搭載される矩形板状のLED搭載用基板20と、LED搭載用基板20の上記一表面側に対向配置され円形状の光取出窓41が形成されるとともに光検出素子4が形成された光検出素子形成基板40と、LED搭載用基板20と光検出素子形成基板40との間に介在し光取出窓41に連通する矩形状の開口窓31が形成された中間層基板30とで構成されており、LED搭載用基板20と中間層基板30と光検出素子形成基板40とで囲まれた空間が上記収納凹所2aを構成している。
LED搭載用基板20は、図13および図14に示すように、シリコン基板20aの一表面側(図13(c)における左面側)に、LEDチップ1の両電極それぞれと電気的に接続される2つの導体パターン25a,25aが形成されるとともに、中間層基板30に形成された2つの貫通孔配線34,34を介して光検出素子4と電気的に接続される2つの導体パターン25b,25bが形成されており、各導体パターン25a,25a,25b,25bとシリコン基板20aの他表面側(図13(c)における右面側)に形成された4つの外部接続用電極27a,27a,27b,27bとがそれぞれ貫通孔配線24を介して電気的に接続されている。また、LED搭載用基板20は、シリコン基板20aの上記一表面側に、中間層基板30と接合するための接合用金属層29も形成されている。
中間層基板30は、図15および図16に示すように、シリコン基板30aの一表面側(図15(c)における右面側)に、LED搭載用基板20の2つの導体パターン27b,27bと接合されて電気的に接続される2つの導体パターン35,35が形成されるとともに、LED搭載用基板20の接合用金属層29と接合される接合用金属層36が形成されている。また、中間層基板30は、シリコン基板30aの他表面側(図15(c)における左面側)に、貫通孔配線34,34を介して導体パターン35,35と電気的に接続される導体パターン37,37が形成されるとともに、光検出素子形成基板40と接合するための接合用金属層38が形成されている。
光検出素子形成基板40は、図17および図18に示すように、シリコン基板40aの一表面側(図17(c)における右面側)に、中間層基板30の2つの導体パターン37,37と接合されて電気的に接続される2つの導体パターン47a,47bが形成されるとともに、中間層基板30の接合用金属層38と接合される接合用金属層48が形成されている。なお、光検出素子形成基板40は、上記一方の導体パターン47aが、絶縁膜43に形成したコンタクトホール43aを通して光検出素子4を構成するフォトダイオードのp形領域43aと電気的に接続され、上記他方の導体パターン47bが絶縁膜43に形成したコンタクトホール43bを通して上記フォトダイオードのn形領域4bと電気的に接続されている。
以上説明した本実施形態のLED照明器具は、実施形態1と同様、LEDチップ1を収納したパッケージBに当該パッケージB内のLEDチップ1から放射される光を検出する光検出素子4が設けられ器具本体110に保持された複数の発光装置Aと、光検出素子4の出力に基づいて当該光検出素子4が設けられているパッケージB内のLEDチップ1の光出力を制御する制御部160とを備えているので、発光装置Aとは別途に光ファイバのような導光部材を器具本体110内に設ける必要がなく、発光装置Aの配置設計によらずLEDチップ1から放射される光を当該LEDチップ1が収納されたパッケージBに設けられた光検出素子4により安定して精度良く検出することができ、器具全体として得られる混色光の光色や色温度の精度を向上することができる。
なお、本実施形態では、実装基板2の収納凹所2aの内底面に1つのLEDチップ1を実装してあるが、LEDチップ1の数は特に限定するものではなく、発光色が同じ複数のLEDチップ1を収納凹所2aの内底面に実装するようにしてもよい。また、本実施形態では、回路基板130の上記一表面側に上記レンズ部を設けてあるが、上記レンズ部は回路基板130ではなく透光性カバー140に一体に設けてもよいし、組をなす複数の発光装置Aをより近接して配置することで上記レンズ部をなくしてもよいし、発光装置Aの透光性部材30をレンズ状の形状とすることで上記レンズ部をなくしてもよい。
ところで、上記各実施形態では、制御部160を発光装置Aとは別に設けてあるが、制御部160を各発光装置AそれぞれのパッケージBに集積化して設けるようにすれば、各発光装置Aとは別に制御部160を設ける必要がないので、回路基板130などへの各発光装置Aの配置設計が容易になる。