JP4717253B2 - 多孔質重合体粒子、耐アルカリ性陰イオン交換体、その製造方法、イオンクロマトグラフィー用カラム、及び陰イオン測定方法 - Google Patents
多孔質重合体粒子、耐アルカリ性陰イオン交換体、その製造方法、イオンクロマトグラフィー用カラム、及び陰イオン測定方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質重合体粒子、耐アルカリ性陰イオン交換体、その製造方法、その陰イオン交換体からなるサプレッサー式イオンクロマトグラフィーカラム用充填剤、サプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラム及びそのカラムを用いる陰イオン測定方法に関する。
さらに具体的に言えば、濃度が一定の水酸化物系溶離液を用いるイソクラティック(isocratic)条件で、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等の無機陰イオンを短時間で良好に分離し分析できる多孔質重合体粒子、サプレッサー式イオンクロマト用耐アルカリ性陰イオン交換体、その製造方法、その陰イオン交換体を用いるサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラム、及びそのカラムを用いる陰イオンの測定方法、さらには亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン等のハロゲン酸化物イオンを他の無機陰イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等)と同時に短時間で良好に分離・分析する測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水質の検査ないし分析、食品等の分析において、フッ化物イオン(F-)、塩化物イオン(Cl-)、亜硝酸イオン(NO2 -)、臭化物イオン(Br-)、硝酸イオン(NO3 -)、硫酸イオン(SO4 2-)、リン酸イオン(PO4 3-)の7種類のイオンの分析は重要であり、これらのイオンは「7種標準無機陰イオン」と言われている。近年、この7種標準無機陰イオンを含む無機陰イオンの分析には、イオンクロマトグラフィーが効率的かつ高精度・高感度な手段として利用されている。
【0003】
イオンクロマトグラフィーは、溶離液をイオン交換カラムに送液しながら、イオン種を含む試料を該カラム内に注入し、カラムより保持時間差をもって分離溶出されるイオン(種類、量)を電気伝導度検出器等の高感度検出器により検出するものであり、このイオンクロマトグラフィーにはサプレッサーを使う「サプレッサー法」とサプレッサーを使わない「ノンサプレッサー法」とがある。サプレッサーは、液中の陽イオンを水素イオンに置換する装置であり、図1に示すように、分離カラムと検出器の間に接続して電気伝導度検出器でイオンを検出する際のバックグラウンドを下げ、測定感度を上げる働きを有する。
【0004】
すなわち、「サプレッサー法」では、溶離液として、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混液、ホウ酸バッファー、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等を流し、分離カラムで試料イオンを分離した後、サプレッサーを介して伝導度検出器でイオンを検出する。検出器で測定される電気伝導度は、溶離液自体の電気伝導度をバックグラウンドとし、試料中のイオン種による寄与が重畳した信号として把握されるが、サプレッサーは、溶離液中の塩や塩基をより低い解離度を有する酸等に転換することにより、バックグラウンド電気伝導度を低減し、試料中のイオン種による信号の測定感度を改善する。
サプレッサー法は、ノンサプレッサー法に比較して専用の装置を必要とするが、より高感度が得られるため半導体業界などで用いる純水、薬品などの管理には必要欠くべからざるものとなっている。
【0005】
そしてこれまでサプレッサー法カラムに用いられている主な陰イオン交換体としては、スチレン/ジビニルベンゼン系基材をスルフォン化し陰イオン交換性のラテックスを被覆したペリキュラー型イオン交換体と、ポリビニルアルコール基材に陰イオン交換基を導入した多孔性化学結合型イオン交換体が挙げられる。
【0006】
しかし、ペリキュラー型イオン交換体は、イオンの移動が充填剤表面のみに限られ充填剤の穴の中まで入ることがないため、▲1▼拡散が少ない、▲2▼イオンと基材の干渉がない、などの長所がある一方、構造上から充填剤の利用表面積が限られ、カラム効率に限界があるという欠点を有する。ペリキュラー型イオン交換体においてカラム効率を上げるにはカラム長さを長くするか、充填剤の粒径を小さくする必要がある。しかし、現在でも250mmという長いカラムを用いており、カラム長さをこれ以上長くすることは実用的でない。また、粒径を小さくすることも考えられるが、高速液体クロマトグラフィーで一般的に用いられる5μm程度の粒径でもその構造上の制約から製造が非常に困難である。従って、ペリキュラー型イオン交換体に現状の理論段数:6000段/カラム以上の性能を求めることは容易ではなかった。
【0007】
一方、多孔性化学結合型イオン交換体は、孔の中までイオンが移動してイオン交換するため、充填剤の有効表面積に優れており、スチレン/ジビニルベンゼン系共重合体基剤のペリキュラー型イオン交換体より高性能を達成できる可能性を有する。本発明者らは、先にサプレッサー法による陰イオン分析のアルカリ条件下でも十分な耐アルカリ性を有するポリビニルアルコール基材由来の多孔性化学結合型イオン交換体及びその製造法について提案した(特開2001‐40032号)。この陰イオン交換体を充填したカラムを用いた分析では、高理論段数が得られること、炭酸ディップ(イオンクロマトグラフィーにより陰イオンを分析する際には、試料中に含まれる炭酸ガスも炭酸イオンとして検出されてしまう。ここではその炭酸イオンピークを炭酸ディップと呼ぶことにする。)の出現位置を調節可能なこと等の優れた特性を得られる利点がある。
【0008】
通常イオンクロマトグラフィーによる陰イオン分析においては、7種標準無機陰イオンをできる限り短い分析時間でバランス良く分離させることが理想である。しかし、フッ化物イオンは分離カラム中の陰イオン交換体に保持されにくく、カラムを速やかに通過する。この結果、フッ化物イオンによる信号ピークとウォーターディップ(試料の注入によって溶離液が希釈されることにより生じる負のピーク)の分離が不十分となり定量精度が損なわれ易い。
フッ化物イオンの保持を高めるために溶出力の弱い溶離液を用いることも考えられるが、この場合、2価以上の陰イオン(硫酸イオンとリン酸イオン)の溶出時間が極めて長くなり分析時間の冗長化を招く。特に溶離液がアルカリ性の場合にはこの問題は著しい。このため、フッ化物イオンと2価以上の陰イオンを同時分析するには分析条件に工夫を施すことが必要とされる。
【0009】
そこで、溶離液組成の最適化により上記の問題を回避する方法が検討されている。例えば、ノンサプレッサー法では弱酸性の移動相にホウ酸を添加し、このホウ酸とフッ化物イオンとを選択的に反応させて陰イオン性の化合物を生成し、保持を高める方法が開示されている(特公平7-37972号公報)。またサプレッサー法では炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混液を溶離液に用いた場合、各々の組成比を変えることによりフッ化物イオンの保持を高められることが知られている。さらに、サプレッサー法でホウ酸の塩化合物を溶離液に添加する方法も開示されている(特開2000-180429号公報)。この様に溶離液を複数の成分で構成可能な場合はその組成を変えることにより対応可能である。
【0010】
しかし、サプレッサー法の溶離液として用いられる水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等の水酸化物系溶離液は通常単一成分で使用されるため溶離液による問題は回避できず、このため、このようなアルカリ性溶離液を用いたサプレッサー法でフッ化物イオンの保持向上及び2価以上の陰イオン(特に7種標準無機陰イオンの中ではリン酸イオン)の溶出時間の短縮を両立させるには、測定に特別な手法を用いる必要がある。
従来行われている方法は2通りあり、一つは溶離液に濃度勾配をつけるグラジエント分析法であり、他の一つはカラムに充填するイオン交換体のイオン交換容量を大きく設定し約40mMの高濃度溶離液を使用する方法である。
【0011】
しかし、第一の方法は、濃度勾配を付与するために濃度の異なる少なくとも2種の液を用意し、これを2台のポンプを用いて吸液・混合する装置・操作を必要とし、また、測定毎に溶離液濃度を元に戻すまでの安定化時間が必要となるという欠点がある。また、第二の方法は溶離液濃度が高いため、現在広く使用されている連続再生型のイオン交換膜を用いたサプレッサー装置では電気透析のために高電圧をかける必要があり、サプレッサー寿命を短くしてしまう欠点がある。
【0012】
また、水酸化物系溶離液を使用したサプレッサー法により水道水を分析する際には、上記フッ化物イオンの保持向上とリン酸イオンの溶出時間の短縮を両立させるだけでなく、塩化物イオンと亜硝酸イオンの十分な分離も同時に達成する必要がある。これは水道水分析においては塩化物イオン数十ppm存在下で数ppb程度の亜硝酸イオンの分析を必要とするからである。水酸化物系溶離液で使用されている従来のカラムでは塩化物イオンと亜硝酸イオンの分離は不十分であるか、十分であっても炭酸イオンが間に溶出してしまい、微量亜硝酸イオンの分析を同時に達成することは困難であった。
【0013】
本発明者は、先に、アクリレート及びメタクリレート系重合体にスペーサー分子を介して三級の複素環アミンを導入して得られる陰イオン交換体の製造方法とこれを充填したカラムについて提案した(特開2000-221179号)。しかし、これは酸性の溶離液を使用するノンサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラムとその充填剤を製造する方法であり、アルカリ性の溶離液を使用するサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラムとして陰イオンを測定するものではない。
最近では、高度浄水処理施設の増加に伴い、上水分析において従来から行われていた無機陰イオンに加え、臭素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン等のハロゲン酸化物を分析する必要性が高まっている。
【0014】
これらハロゲン酸化物イオン分析用のサプレッサー法カラムとして既にダイオネクス社(Dionex Corporation)からIonPac AS9−HC、IonPac AS9−SC、IonPac AS12Aが発売されている。しかしこれらのカラム充填剤はスチレン/ジビニルベンゼン系共重合体を基材とするものであり、陰イオン交換基としては第四級アルキルアミンが導入されたものである。
【0015】
一方、ポリビニルアルコール系基材に陰イオン交換基を導入した多孔性化学結合型イオン交換体を充填したサプレッサー法カラムでは、これまでに臭素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオンと、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンの7種類の無機陰イオンとを同時に分離・分析可能なものは知られていなかった。本発明においては、分離の指標として分離度Rを以下の式より求める。これまで特に亜塩素酸イオンと臭素酸イオンの分離度R及び塩素酸イオンと臭化物イオンの分離度Rを同時に1.5以上にすることは困難であった。(一般に、分離度Rは1.5以上であることが望ましいといわれている。)
【0016】
【数1】
ここで、w1とw2は各々のピーク幅を示し、その各々の保持時間はt1とt2とする。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、水酸化物系溶離液を用いたサプレッサー式イオンクロマトグラフィーにおいて、低濃度(例えば、20mM以下)の溶離液を用い、グラジエント分析によることなく(すなわち、濃度一定のイソクラテック条件で)、リン酸イオンの溶出時間を十数分〜数十分程度の短時間に抑え、保持されにくいフッ化物イオンをウォーターディップから十分に分離し、かつ塩化物イオンと亜硝酸イオンを十分に分離できるイオンクロマトグラフィーカラム用の陰イオン交換体、その製造方法、その陰イオン交換体を用いたサプレッサー式イオンクロマトグラフィーカラム用充填剤、イオンクロマトグラフィー用カラム、及びそのカラムを用いた低コストで鋭敏な陰イオン測定方法、さらには、臭素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン等のハロゲン酸化物イオンと、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンの7種標準無機陰イオンとを同時に分離・分析可能な測定方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、第四級アンモニウム構造を含む含窒素複素環基が、スペーサーを介して耐アルカリ性重合体基材に結合した構造を有する多孔質重合体からなる耐アルカリ性陰イオン交換体を充填したカラムを用いることにより、水酸化物系溶離液を用いたサプレッサー式イオンクロマトグラフィーにおいて、グラジエント分析によることなく、7種の標準無機陰イオンを良好に分離できること、及び臭素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオンと、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンの7種類の無機陰イオンとを同時に分離・分析可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は多孔質重合体粒子、耐アルカリ性陰イオン交換体、その製造方法、その陰イオン交換体からなるサプレッサー式イオンクロマトグラフィーカラム用充填剤、サプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラム及びそのカラムを用いる陰イオン測定方法に関する。
【0020】
1.第四級アンモニウム構造を含む含窒素複素環基が、スペーサーを介して耐アルカリ性重合体基材に結合してなることを特徴とする多孔質重合体粒子。
2.第四級アンモニウム構造を含む含窒素複素環が、芳香族または非芳香族含窒素複素環化合物から誘導される上記1に記載の多孔質重合体粒子。
3.含窒素複素環化合物が、式(1)
【化5】
(式中、Rは炭素数1〜5の、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、mは0〜5の整数である。mが2以上の場合、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。)で示されるピリジン化合物、式(2)
【化6】
(式中、Rは炭素数1〜5の、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表わし、R1は水酸基、または炭素数1〜5の、水酸基で置換されていてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基を表し、nは0〜2の整数である。)で示される1−アルキルピロリジン化合物、式(3)
【化7】
(式中、Rは炭素数1〜5の、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表わし、R1は水酸基、または炭素数1〜5の、水酸基で置換されていてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基を表し、nは0〜2の整数である。)で示される1−アルキルピペリジン、および式(4)
【化8】
(式中、R2およびR3は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜5の、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基である。但し、R2およびR3は同時に水素原子を表さない。)で示される1,4−ジアルキルピペラジン化合物からなる群より選択される化合物である上記2に記載の多孔質重合体粒子。
4.含窒素複素環化合物が、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、1−メチルピロリジン、1−エチルピロリジン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−(ヒドロキシメチル)ピペリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルピロリジン、3−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、4−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、4−クロロ−1−メチルピペリジン、1−(2−クロロエチル)ピペリジン、1−(2−クロロエチル)ピロリジン、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、または1,4−ジメチルピペラジンである上記3に記載の多孔質重合体粒子。
5.前記多孔質重合体粒子の基材がポリビニルアルコール系共重合体及びスチレン/ジビニルベンゼン系共重合体から選択され、基材とイオン交換基とを繋ぐスペーサー分子がグリシジル基を含有する化合物であり、前記重合体は、アルカリ条件下で開裂しない結合を介してスペーサー分子と結合している上記1ないし4のいずれかに記載の多孔質重合体粒子。
6.平均粒径が1〜30μmである上記1ないし5のいずれかに記載の多孔質重合粒子。
7.平均孔径が50〜300Åである上記1ないし6のいずれかに記載の多孔質重合粒子。
8.上記1ないし7のいずれかに記載の多孔質重合粒子からなる耐アルカリ性陰イオン交換体。
9.ポリビニルアルコール系共重合体及びスチレン/ジビニルベンゼン系共重合体から選択される耐アルカリ性重合体多孔質粒子に、グリシジル基を含有するスペーサー分子をアルカリ条件下で開裂しない結合を介して結合させ、上記グリシジル基と含窒素複素環化合物の含窒素複素環基を反応させて陰イオン交換基を導入することを特徴とする耐アルカリ性陰イオン交換体の製造方法。
10.含窒素複素環化合物が、上記2または3に記載の含窒素複素環基から選択される上記9に記載の耐アルカリ性陰イオン交換体の製造方法。
11.カルボン酸ビニルエステルとイソシアヌレート系架橋性単量体との共重合体の一部をケン化して水酸基としたポリビニルアルコール系共重合体に、分子内に2個以上のグリシジル基を含有する化合物を反応させて前記ポリビニルアルコール系共重合体の質量を100とした時に反応後の質量が103〜140となるようにグリシジル基含有基を導入し、これに含窒素複素環基を反応させることを特徴とする上記10に記載の耐アルカリ性陰イオン交換体の製造方法。
12.ポリビニルアルコール系重合体のケン化を該重合体に0.5〜5meq/gの水酸基を生じさせるまで行なう上記11に記載の耐アルカリ性陰イオン交換体の製造方法。
13.上記8に記載の陰イオン交換体からなるサプレッサー式イオンクロマトグラフィーカラム用充填剤。
14.上記8に記載の陰イオン交換体を充填したサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラム。
15.上記14に記載のカラムをアルカリ性溶離液と組み合わせて用いるサプレッサー式イオンクロマトグラフィーによる陰イオン測定方法。
16.アルカリ性溶離液が水酸化物溶離液である上記15に記載の陰イオン測定方法。
17.アルカリ性溶離液として20mM以下のイソクラティック条件で水酸化物系溶離液を用いる上記16に記載の陰イオン測定方法。
18.ハロゲン酸化物イオンの測定に用いることを特徴とする上記15ないし17のいずれかに記載の陰イオン測定方法。
19.上記8に記載の陰イオン交換体を充填したカラムをハロゲン酸化物イオンの測定に用いることを特徴とするノンサプレッサー式イオンクロマトグラフィーによる陰イオン測定方法。
20.ハロゲン酸化物イオンが亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、および/または臭素酸イオンである上記18または19に記載の陰イオン測定方法。
21.ハロゲン酸化物イオンを、ふっ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、りん酸イオンおよび硫酸イオンからなる群から選ばれる陰イオンと同時に測定することを特徴とする上記16ないし20のいずれかに記載の陰イオン測定方法。
22.亜塩素酸イオンと臭素酸イオンの分離度及び塩素酸イオンと臭化物イオンの分離度が1.5以上である上記18ないし21のいずれかに記載の陰イオン測定方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)含窒素複素環基を含む化合物
第四級アンモニウム構造を含む含窒素複素環基の原料として、芳香族または非芳香族含窒素複素環化合物を使用する。これらの化合物は陰イオン交換体として機能し得る限り、環構成炭素上にさらに置換基を有していてもよい。
芳香族含窒素複素環化合物としては下記(1)で示される(置換)ピリジン化合物が挙げられる。
【0022】
【化9】
式(1)中、Rは炭素数1〜5の、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、mは0〜5の整数である。mが2以上の場合、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。
また、非芳香族含窒素複素環化合物としては、下記式(2)で示される1−(置換)アルキルピロリジン化合物、式(3)で示される1−(置換)アルキルピペリジン、および式(4)で示される1,4−ジ(置換)アルキルピペラジン化合物が挙げられる。
【0023】
【化10】
【0024】
式(2)中、Rは炭素数1〜5の、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表わし、R1は水酸基、または炭素数1〜5の、水酸基で置換されていてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基を表し、nは0〜2の整数である。
【0025】
【化11】
【0026】
式(3)中、Rは炭素数1〜5の、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表わし、R1は水酸基、または炭素数1〜5の、水酸基で置換されていてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基を表し、pは0〜2の整数である。
【化12】
【0027】
式(4)中、R2およびR3は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜5の、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基である。但し、R2およびR3は同時に水素原子を表さない。
【0028】
芳香族含窒素複素環化合物の具体例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン等が挙げられる。
また、これらの非芳香族含窒素複素環化合物の含窒素複素環には有機化学的に許容できる酸素またはイオウを炭素の代わりに含むことができる。例えば、式(5)、
【化13】
式(6)、
【化14】
式(7)、
【化15】
式(8)
【化16】
で表される化合物が挙げられる。(これらの式中、R、R1、n、pは前記の通り。)
【0029】
非芳香族含窒素複素環化合物の具体例としては、1−メチルピロリジン、1−エチルピロリジン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−(ヒドロキシメチル)ピペリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルピロリジン、3−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、4−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、4−クロロ−1−メチルピペリジン、1−(2−クロロエチル)ピペリジン、1−(2−クロロエチル)ピロリジン、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−メチル−2−(ヒドロキシエチル)モルホリンまたは1,4−ジメチルピペラジン等が挙げられる。
【0030】
(B)陰イオン交換体及びその製造方法
上記イオン交換基の導入量は4〜200μeq/gが好ましく、より好ましくは8〜50μeq/gである。
上記イオン交換基を導入して作製する充填剤の形態として、耐アルカリ性の多孔性化学結合型イオン交換体及びペリキュラー型イオン交換体等が挙げられる。
【0031】
(1)多孔性化学結合型イオン交換体
本発明で好適に用いられる多孔性化学結合型イオン交換体は、耐アルカリ性重合体にスペーサーを介して上記含窒素複素環化合物を結合させてイオン交換基としたものである。
【0032】
多孔性化学結合型イオン交換体の基材として用いる多孔質重合体は耐アルカリ性であれば特に限定されない。このような重合体の例としては、ポリビニルアルコール系共重合体及びスチレン/ジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。
これらの耐アルカリ性多孔質重合体に第三級複素環アミン化合物と結合可能な基を有するスペーサ分子を結合し、これにさらに第三級複素環アミン化合物を反応させて陰イオン交換基とする。
【0033】
スペーサー分子は、基材表面とイオン交換基との間に複数の原子、通常は3原子以上20以下の原子を介在させるものであり、一方で耐アルカリ性多孔質重合体と他方でイオン交換基と結合する。この結果、両者間の距離を長くするスペーサーとして働き、イオンと基材の干渉を抑えピークの拡散を抑制する機能を有する。
スペーサー分子としては、第三級複素環アミン化合物と結合するグリシジル基を含有する化合物が好ましい。具体例として、エピクロルヒドリン、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0034】
(2)多孔性化学結合型イオン交換体の製造方法
スペーサー分子と耐アルカリ性多孔質重合体との結合は陰イオン分析に用いるpH条件で開裂しないものであればよい。
製造方法は特に限定されないが、例えば耐アルカリ性多孔質重合体中にエステル結合を含有させ、これをケン化して水酸基とし、スペーサー分子として同一分子内にグリシジル基を2個以上含有するジグリシジル化合物を反応させる方法により製造することができる。一例として、基材の水酸基に1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルをスペーサーとして介し1−メチルピペリジンを導入した模式図を下記に示す。
【0035】
【化17】
【0036】
より具体的に耐アルカリ性ポリビニルアルコール系共重合体を例として説明すると、カルボン酸ビニルエステルとイソシアヌレート環を有する架橋性単量体との共重合体をケン化して共重合体のエステル基の一部を水酸基に変換する。これにより、基体の親水性が高まりイオンとの干渉が抑制され、かつ水酸基はスペーサー分子との反応に必要な活性点となる。これに、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル等、同一分子内にグリシジル基を2つ以上含有する化合物を反応させる。
【0037】
三級の複素環アミンと反応させるグリシジル基含有基を十分に導入するためには、水酸基が少なくとも0.5meq/g以上、5meq/g以下、好ましくは1.0〜3meq/g存在するようにケン化するのがよい。水酸基が0.5meq/g未満の場合は必要なグリシジル基含有基の導入が困難になり、5meq/gを超えると基材の強度が低下し基材の粒径を小さくしてカラムの性能を向上させることが困難になるため好ましくない。
【0038】
水酸基の量は、水酸基を無水酢酸と反応させて消費した無水水酸基の量または反応後の重量変化を測定することにより求められる。この時、基材の官能基も反応する場合は、該官能基を保護した後、前記の方法により求められる。乾燥した基材1gが1mmolの無水酢酸と反応した時の水酸基の量を1mmol/gとする。
【0039】
なお、この方法で好適に用いられるカルボン酸ビニルエステルは、重合可能なカルボン酸ビニルエステル基を一つ以上有する化合物であり、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、及びピバリン酸ビニル等が挙げられる。これらは単独または二種以上組み合わせて用いられる。これらの中でも、親水性があり重合及びケン化の容易な、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルが好ましく用いられる。
【0040】
イソシアヌレート系架橋単量体の好適な例としては、下記一般式
【化18】
【0041】
(式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、−CH2CH=CH2、−CH2−C≡CHまたは−CH2−C(CH3)=CH2を表わす)で示されるイソシアヌレート環を有する架橋性単量体が挙げられる。中でもR4、R5及びR6がすべて−CH2CH=CH2であるトリアリルシアヌレートが、酢酸ビニルとの共重合性がよくかつケン化に対しても安定性が高く架橋剤として好ましい。
【0042】
グリシジル化合物反応後の質量増はポリビニルアルコール系共重合体の質量を100とした時に103〜140とする。質量増が103未満であると耐アルカリ性が不十分となるため好ましくなく、また140を超えると、粒子が軟らかくなったり、粒子同士の会合が起きたりするため好ましくない。104〜135が好ましく、105〜125がより好ましい。
【0043】
上記方法により得られる陰イオン交換体は多孔質粒子である。多孔質粒子の孔径は50〜300Åであり、好ましくは50〜150Å、より好ましくは50〜100Åである。孔径が50Å未満だと、細孔内部へのグリシジル基含有基の導入が難しくなるため好ましくない。300Åを超えると粒子の強度が低下するため好ましくない。孔径の制御は高速液体クロマトグラフィーの充填剤について一般に行なわれている方法を用いる。
【0044】
孔径はJ.Chromedogr.,387(1987)65に記載されている逆サイズ排除クロマトグラフィーの手法またはBET(Brunauer−Emmett−Teller)法などにより求めることができるが、本発明においては特に支障がない限り、Angw.Chem.Int.Ed.Engl.,17.901〜908(1978)に記載の方法に準じて平均孔径が測定される。
【0045】
測定に際してはまず、被測定粒子をカラムに充填してHPLC装置につなぎ、THFを溶離液として、広範囲の分子量にわたる複数の標準ポリスチレンおよびベンゼンの保持容量を各々測定する。その結果を、Y軸に分子量M(対数目盛にすると見やすい)、X軸に保持容量(mL)を目盛ったグラフにプロットする。こうして得られた各点をなめらかに結んだ曲線を較正曲線と呼ぶ。較正曲線から常法により排除限界点(V1,M1)を求め、これとベンゼンの測定点(V2,78)を用いて、直線 X=(V1+V2)/2 をグラフに記入する。この直線と較正曲線との交点(平均細孔点と呼ぶことにする)のY座標Mmを読みとり、この値を上記引用文献p.905の経験式(11)と同等の次式(X)に代入することにより、平均細孔径φm[Å]を算出する。
【数2】
【0046】
なお「平均細孔点」は、発明者らが定義したものである。全細孔容積を100%としたとき、最小容積(ベンゼンがちょうどはまる大きさとする)からの積算容積が50%になる点を意味する。この点の標準ポリスチレン相当分子量を、それがちょうどはまる細孔の直径に換算するために、上式を用いるのである。
【0047】
(3)ペリキュラー型イオン交換体
ペリキュラー型イオン交換体は、イオン交換基を導入したラテックスによりコア粒子表面を被覆してなる粒子である。コア粒子としては、スルフォン化ポリスチレンが挙げられる。
【0048】
本発明の陰イオン交換体の粒径は、1〜30μmがよく、好ましくは2〜20μm、より好ましくは多孔質化学結合型では2〜10μmである。ペリキュラー型では樹脂の粒径は通常、5〜15μm程度である。陰イオン交換体の粒径が30μmを超える場合は、カラムの理論段数が低くなるため好ましくなく、粒径が1μm未満の場合はカラム圧の上昇が大きく、充填が極めて困難となる。
本発明での粒径はコールターカウンター(Coulter Counter)で測定される。
【0049】
(C)イオンクロマトグラフィー用カラム
本発明の陰イオン交換体の、イオンクロマトグラフィー用カラムへの充填はスラリー法などの公知の充填方法に準じて行われる。本発明に係るカラムは耐アルカリ性を有し高感度のサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラムとして用いられる。
【0050】
本発明による陰イオン交換体を用いたカラムは、サプレッサー式イオンクロマトグラフィーで用いられる溶離液(炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混液、ホウ酸バッファー、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等)に対して安定である。特にpH9以上の、より好ましくはpH9〜13のアルカリ性溶離液と組み合わせて用いるのに有用であり、さらに、陰イオンとして水酸化物イオンを含む水酸化物系溶離液と組み合わせて用いる場合に有用である。
【0051】
(D)陰イオン測定方法
本発明の陰イオン測定方法は、従来のサプレッサー式のイオンクロマトグラフィーに準じて行うことができる。
従来はグラジエント法または高濃度溶液を用いた方法に頼らざるを得なかった水酸化物系溶離液を用いた場合でも、濃度一定のイソクラティック条件で、かつ、20mM以下の低濃度溶離液が使用可能であるため、特別な測定装置や濃度調整が不要で、かつ、サプレッサーに高電圧を印加する必要がないためトータルな測定コストを低減することが可能となる。
【0052】
このように、本発明の陰イオン交換体を用いたサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラムを使用することにより、炭酸系の溶離液やホウ酸系の溶離液のみならず水酸化物系の溶離液を用いても、溶離液濃度を適当に選択することにより、主要な陰イオン(リン酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等)を良好に分離することができる。
【0053】
また、本発明の陰イオン測定方法は、主要な陰イオン(リン酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等)と同時にハロゲン酸化物イオン(臭素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン等)も良好に分離することができる。更に詳細に説明すると、上記イオンを同時に分析した場合でも亜塩素酸イオンと臭素酸イオンの分離度及び塩素酸イオンと臭化物イオンの分離度を1.5以上で測定することができる。ハロゲン酸化物イオンを同時分析する際には、サプレッサーを使用してもよいが、特に使用しなくても構わない。
【0054】
本発明の陰イオン測定方法においてハロゲン酸化物イオンの分析に使用可能な溶離液としては特に限定は無く、炭酸バッファーはもちろん、サプレッサー法においては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化物系溶離液も使用でき、ノンサプレッサー法においてはp−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸等の有機酸を弱酸性から中性付近のpHに調整した溶離液を使用することができる。
【0055】
従って、例えば、大気、水質(河川水、水道水、温泉水、湖沼、排水等)、土壌抽出液中の陰イオン等の環境中の微量成分分析;食品、肥料等の分析;化粧品原料等の陰イオン分析;塗料原料、塗料、表面処理液の陰イオン分析;半導体分野での超純水、混酸、エアー、リードフレーム、ウエハーの分析;製薬分野での品質管理;発電プラントの循環水、冷却水等の分析等において有用である。また高度浄水処理され、その副生成物としてのハロゲン酸化物イオンを含有する水質の分析においても有用である。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。なお、これらは単なる例示であって、本発明はこれらにより何ら制限されるものでない。
【0057】
実施例1:
イオン交換基を導入する基材樹脂として以下の方法で製造したポリビニルアルコール系重合体を用いた。酢酸ビニル100g、トリアリルイソシアヌレート180g、酢酸ブチル150g及び2,2−アゾビスイソブチロニトリル10gよりなる均一混合液と、少量のポリビニルアルコール及びリン酸ナトリウムを溶解した水1400mLと還流冷却器を備えた5Lの三口フラスコに入れ10分撹拌した。次いで、窒素気流下で撹拌しつつ、60℃で16時間重合を行い粒状重合体を得た。該重合体をろ過、洗浄し、アセトン抽出した後乾燥した。
【0058】
得られた重合体を1N水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液3Lとともに還流冷却器、窒素導入管及び撹拌器を備えた5Lの三口フラスコに入れ、窒素気流下で15℃,20時間撹拌して該重合体のケン化を行った後、ろ過、水洗、更に乾燥した。ケン化によって得られたポリビニルアルコール重合体の水酸基の密度は2.1meq/gであった。これを基材として下記の手順で陰イオン交換体とした。
【0059】
上記乾燥重合体100g、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(以下、「1,4−BGE」と略記する。)300g、ジメチルスルホキシド300mL、30重量%水酸化ナトリウム水溶液65mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口フラスコに入れ窒素気流下35℃で12時間撹拌して重合体基材にグリシジル基含有基を導入した。導入後の重合体をジメチルスルホキシド、水で洗浄後、真空乾燥機で乾燥した。乾燥後の重合体の重量は110gであり元の基材より10%増大した。
【0060】
グリシジル基含有基導入重合体100g、1−メチルピペリジン4g、水500mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口メスフラスコに入れ、40℃1時間撹拌して三級の複素環アミンを導入し陰イオン交換体を作製した。これに水洗浄を挟みながら、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後1Nの水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、60℃で5時間処理した後、水洗、乾燥した。このようにして得られた陰イオン交換体は平均粒径5μm、イオン交換容量約20μeq/gであった。
【0061】
この陰イオン交換体を内径4.0mm、長さ250mmのポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)製のカラムに充填し、陰イオン交換カラムを調製した。イオンクロマトグラフとしてサプレッサーを備えたDX−320〔ダイオネクス社(Dionex Corporation)製〕を用い、カラム温度35℃、溶離液として15mM水酸化ナトリウム水溶液を1.0mL/minで流し、標準液として、F-2mg/L、Cl-3mg/L、NO2 -5mg/L、Br-10mg/L、NO3 -10mg/L、SO4 2-15mg/L、PO4 3-15mg/Lを含む水溶液を25μLイオンクロマトグラフに注入した。得られたクロマトグラムを図2に示す。
【0062】
実施例2:
基材として実施例1で調製したポリビニルアルコール系基材樹脂に実施例1と同じ処方により、1,4−BGEを導入した。
グリシジル基含有基導入重合体100g、1−メチルピロリジン1g、水500mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口メスフラスコに入れ、40℃1時間撹拌して三級の複素環アミンを導入し陰イオン交換体を作製した。これに水洗浄を挟みながら、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後1Nの水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、60℃で5時間処理した後、水洗、乾燥した。このようにして得られた陰イオン交換体は平均粒径5μm、イオン交換容量約20μeq/gであった。
上記で得られた陰イオン交換体を実施例1と同じカラムに充填し、実施例1と同様の方法で測定した。
【0063】
実施例3:
基材として実施例1で調製したポリビニルアルコール系基材樹脂に実施例1と同じ処方により、1,4−BGEを導入した。
グリシジル基含有基導入重合体100g、ピリジン10g、水500mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口メスフラスコに入れ、40℃1時間撹拌して三級の複素環アミンを導入し陰イオン交換体を作製した。これに水洗浄を挟みながら、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後1Nの水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、60℃で5時間処理した後、水洗、乾燥した。このようにして得られた陰イオン交換体は平均粒径5μm、イオン交換容量約20μeq/gであった。
上記で得られた陰イオン交換体を実施例1と同じカラムに充填し、実施例1と同様の方法で測定した。
【0064】
比較例1:
基材として実施例1で調製したポリビニルアルコール系基材樹脂に実施例1と同じ処方により、1,4−BGEを導入した。
グリシジル基含有基導入重合体100g、トリメチルアミン1%水溶液75mL、水500mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口メスフラスコに入れ、40℃1時間撹拌して脂肪族三級アミンを導入し陰イオン交換体を作製した。これに水洗浄を挟みながら、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後1Nの水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、60℃で5時間処理した後、水洗、乾燥した。このようにして得られた陰イオン交換体は平均粒径5μm、イオン交換容量約20μeq/gであった。
上記で得られた陰イオン交換体を実施例1と同じカラムに充填し、実施例1と同様の方法で測定した。
【0065】
比較例2:
基材として実施例1で調製したポリビニルアルコール系基材樹脂に実施例1と同じ処方により、1,4−BGEを導入した。
グリシジル基含有基導入重合体100g、トリエチルアミン1%水溶液150mL、水500mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口メスフラスコに入れ、40℃1時間撹拌して脂肪族三級アミンを導入し陰イオン交換体を作製した。これに水洗浄を挟みながら、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後1Nの水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、60℃で5時間処理した後、水洗、乾燥した。このようにして得られた陰イオン交換体は平均粒径5μm、イオン交換容量約20μeq/gであった。
上記で得られた陰イオン交換体を実施例1と同じカラムに充填し、実施例1と同様の方法で測定した。
【0066】
実施例4:
イオン交換基を導入する基材樹脂として以下の方法で製造したスチレン/ジビニルベンゼン系のものを用いた。4−アセトキシスチレン105g、m−ジビニルベンゼン70g、トルエン75g、2,2−アゾビスイソブチロニトリル3.5gよりなる均一混合液を、10%のポリビニルアルコールを溶解した水1250mLに懸濁させ、ホモジナイズした。次いで、2Lセパラブルフラスコに移し、70℃で6時間重合を行い粒状重合体を得た。該重合体をろ過、水及びアセトンで洗浄し、風乾後、風力分級により分級し3〜6μmの粒子を得た。
上記乾燥重合体150gをメタノール1500mLに懸濁し、50%メタノール溶液1500mLにKOH150gを溶かした液を加え、50℃で6時間撹拌し、ケン化した。これを水及びアセトンで洗浄し、乾燥後、135gの重合体を回収した。
【0067】
上記乾燥重合体100g、1,4−BGE400g、ジメチルスルホキシド300mL、水65mLを窒素導入管、撹拌器を備えた2Lの三口フラスコに入れ窒素気流下35℃で16時間撹拌して重合体基材にグリシジル基含有基を導入した。導入後の重合体をジメチルスルホキシド、水で洗浄後、真空乾燥機で乾燥した。乾燥後の重合体の重量は105gであり元の基材より5%増大した。
【0068】
グリシジル基含有基導入重合体100g、1−メチルピペリジン8g、水500mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口メスフラスコに入れ、40℃4時間撹拌して三級の複素環アミンを導入し陰イオン交換体を作製した。以下実施例1と同じ処方により洗浄し、陰イオン交換体を得た。
また上記で得られた陰イオン交換体を実施例1と同じカラムに充填し、実施例1と同様の方法で測定した。
【0069】
比較例3:
水酸化物系溶離液用として現在市販されているカラム(三級のアルカノールアミンを導入したペリキュラー型イオン交換体)を用いて、実施例1と同様の方法で測定した。
【0070】
評価:
実施例1〜4及び比較例1〜3について導入した三級アミンの種類、フッ化物イオンとウォーターディップの保持時間の差、塩化物イオンと亜硝酸イオンの分離度、リン酸イオンの保持時間を表1に示す。フッ化物イオンとウォーターディップの保持時間差は、各ピーク頂点を保持時間として差を求めた。また塩化物イオンと亜硝酸イオンの分離度Rは、以下の式より求めた。
【0071】
【数3】
ここで、t1とt2は各々の保持時間を示し、w1とw2は各々のピーク幅を示す。
【0072】
【表1】
【0073】
比較例1に示した現在市販されているカラムでは、リン酸イオン保持時間が30分以上と極端に冗長であるにもかかわらずフッ化物イオンはウォーターディップに一部重なってしまい、塩化物イオンと亜硝酸イオンの分離も十分ではない。これに対し実施例1、2、3に示した本発明の三級の複素環アミンを導入して作製した陰イオン交換体を用いたサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラムは、溶出しにくいリン酸イオンの保持時間を14〜16分に設定した場合でも、フッ化物イオンをウォーターディップから十分に分離でき、かつ塩化物イオンと亜硝酸イオンも十分に分離可能であることがわかる。これは比較例2、3に示した非環状の三級アミンを導入したものに比べても有意に改善されていると言える。また実施例4から基材樹脂がポリビニルアルコール系に限定されずに、他の樹脂でも複素環アミンの導入が有効であると言える。
【0074】
実施例5:
イオン交換基を導入する基材樹脂として以下の方法で製造したポリビニルアルコール系重合体を用いた。酢酸ビニル100g、トリアリルイソシアヌレート180g、酢酸ブチル150g及び2,2−アゾビスイソブチロニトリル10gよりなる均一混合液と、少量のポリビニルアルコール及びリン酸ナトリウムを溶解した水1400mLと還流冷却器を備えた5Lの三口フラスコに入れ10分撹拌した。次いで、窒素気流下で撹拌しつつ、60℃で16時間重合を行い粒状重合体を得た。該重合体をろ過、洗浄し、アセトン抽出した後乾燥した。
【0075】
得られた重合体を1N水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液3Lとともに還流冷却器、窒素導入管及び撹拌器を備えた5Lの三口フラスコに入れ、窒素気流下で15℃,20時間撹拌して該重合体のケン化を行った後、ろ過、水洗、更に乾燥した。ケン化によって得られたポリビニルアルコール重合体の水酸基の密度は2.1meq/gであった。これを基材として下記の手順で陰イオン交換体とした。
【0076】
上記乾燥重合体100g、1,4−BGE300g、ジメチルスルホキシド300mL、30重量%水酸化ナトリウム水溶液65mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口フラスコに入れ窒素気流下35℃で12時間撹拌して重合体基材にグリシジル基含有基を導入した。導入後の重合体をジメチルスルホキシド、水で洗浄後、真空乾燥機で乾燥した。乾燥後の重合体の重量は110gであり元の基材より10%増大した。
【0077】
グリシジル基含有基導入重合体100g、1−メチルピペリジン5g、水500mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口メスフラスコに入れ、40℃で2時間撹拌して三級の複素環アミンを導入し陰イオン交換体を作製した。これに水洗浄を挟みながら、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後1Nの水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、100℃で20時間処理した後、水洗、乾燥した。このようにして得られた陰イオン交換体は平均粒径5μm、イオン交換容量約30μeq/gであった。
【0078】
この陰イオン交換体を内径4.0mm、長さ250mmのポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)製のカラムに充填し、陰イオン交換カラムを調製した。イオンクロマトグラフとしてサプレッサーを備えた761 Compact IC〔メトローム社(Metrohm Ltd.)製〕を用い、カラム温度25℃、溶離液として3mM炭酸ナトリウム水溶液を0.7mL/minで流し、標準液として、F-2mg/L、ClO2 -10mg/L、BrO3 -10mg/L、Cl-3mg/L、NO2 -5mg/L、ClO3 -10mg/L、Br-10mg/L、NO3 -10mg/L、SO4 2-15mg/L、PO4 3-15mg/Lを含む水溶液を20μLイオンクロマトグラフに注入した。得られたクロマトグラムを図3に示す。
【0079】
実施例6:
基材として実施例1で調製したポリビニルアルコール系基材樹脂に実施例1と同じ処方により、1,4−BGEを導入した。
グリシジル基含有基導入重合体100g、1−メチルピロリジン1.5g、水500mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口メスフラスコに入れ、40℃2時間撹拌して三級の複素環アミンを導入し陰イオン交換体を作製した。これに水洗浄を挟みながら、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後1Nの水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、100℃で20時間処理した後、水洗、乾燥した。このようにして得られた陰イオン交換体は平均粒径5μm、イオン交換容量約30μeq/gであった。
上記で得られた陰イオン交換体を実施例5と同じカラムに充填し、実施例1と同様の方法で測定した。
【0080】
比較例4:
基材として実施例1で調製したポリビニルアルコール系基材樹脂に実施例1と同じ処方により、1,4−BGEを導入した。
グリシジル基含有基導入重合体100g、トリメチルアミン1%水溶液100mL、水500mLを窒素導入管、撹拌器を備えた1Lの三口メスフラスコに入れ、40℃2時間撹拌して脂肪族三級アミンを導入し陰イオン交換体を作製した。これに水洗浄を挟みながら、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後1Nの水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、100℃で20時間処理した後、水洗、乾燥した。このようにして得られた陰イオン交換体は平均粒径5μm、イオン交換容量約30μeq/gであった。
上記で得られた陰イオン交換体を実施例5と同じカラムに充填し、実施例1と同様の方法で測定した。
【0081】
評価:
実施例5、6及び比較例4について導入した三級アミンの種類、亜塩素酸イオンと臭素酸イオンの分離度、塩素酸イオンと臭化物イオンの分離度、硫酸イオンの保持時間を表2に示す。硫酸イオンの保持時間を示したのは、保持時間が最も遅い硫酸イオンの溶出位置を合わせることで3種カラムを適正に評価できていることを示すためである。また分離度Rは、以下の式より求めた。
【0082】
【数4】
ここで、w1とw2は各々のピーク幅を示し、その各々の保持時間はt1とt2とする。
分離度Rは1.5以上であることが望ましい。
【0083】
【表2】
【0084】
比較例4に示した従来の第三級アルキルアミンを導入して作製した陰イオン交換体を用いたサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラムでは、塩素酸イオンと臭化物イオンの分離度が1.5以下で不十分であるのに対し、実施例5、6に示した本発明の第三級の複素環アミンを導入して作製した陰イオン交換体を用いたサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラムは、亜塩素酸イオンと臭素酸イオンの分離度及び塩素酸イオンと臭化物イオンの分離度が共に1.5以上であり十分に分離できたことがわかる。これは比較例4に示した非環状の三級アルキルアミンを導入したものに比べて有意に改善されていると言える。
【0085】
また実施例5で製造したカラムを用いた分析のクロマトグラムを図3に示した。フッ化物イオンとウォーターディップ(試料中の水由来で最初に出現する負のピーク)を十分に分離できており、炭酸ディップも他のイオンピークと分離できており、ポリビニルアルコール系基材由来の多孔性化学結合型陰イオン交換体の優れた特性が反映されていることがわかる。
本実施例では溶離液として炭酸バッファーを用いたが、ハロゲン酸化物イオンの分析に使用可能な溶離液はこれに限定されない。
【0086】
【発明の効果】
本発明の陰イオン交換体を充填したサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラムは、20mM以下の低濃度水酸化物系溶離液を用いたイソクラテック条件でリン酸イオンの溶出時間を20分以内に抑え、保持されにくいフッ化物イオンをウォーターディップから十分に分離し、塩化物イオンと亜硝酸イオンを十分に分離できるため、上記溶離液を用いた分析において測定時間の短縮と連続再生型のイオン交換膜サプレッサーの寿命を長くさせることができる。
【0087】
また本発明の陰イオン交換体を充填したイオンクロマトグラフィー用カラムは、臭素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン等のハロゲン酸化物イオンを7種無機標準陰イオンと同時分析することもできる。
そのため、本発明は、環境、食品、農学、化粧品、塗料、半導体、製薬、電力等の幅広い分野に有用であり、水道水のように塩化物イオン数十ppm存在下での数ppb亜硝酸イオンの分析や、高度浄水処理水のように副生成物として生じたハロゲン酸化物イオンを含有する水の分析等に特に有用である。
【0088】
【図面の簡単な説明】
【図1】 イオンクロマトグラフィーの基本構成を示す模式図。
【図2】 実施例1で得られた本発明のイオン交換体を充填して得られた分離カラムに7種標準イオンを含む試験水溶液を注入して採取したクロマトグラム。
【図3】 実施例5で得られた本発明の測定方法によりハロゲン酸化物イオンと7種標準無機陰イオンとを同時分析したクロマトグラム。
【0089】
【符号の説明】
1 フッ化物イオンのピーク
2 亜塩素酸イオンのピーク
3 臭素酸イオンのピーク
4 塩化物イオンのピーク
5 亜硝酸イオンのピーク
6 塩素酸イオンのピーク
7 臭化物イオンのピーク
8 硝酸イオンのピーク
9 リン酸イオンのピーク
10 硫酸イオンのピーク
Claims (11)
- 1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジンおよびピリジンから選ばれる含窒素複素環化合物から誘導される第四級アンモニウム構造を含む含窒素複素環基が、グリシジル基を含有する化合物を介して、ポリビニルアルコール系共重合体及びスチレン/ジビニルベンゼン系共重合体から選択される重合体基材に結合してなることを特徴とする多孔質重合体粒子。
- 平均粒径が1〜30μmである請求項1に記載の多孔質重合体粒子。
- 平均孔径が50〜300Åである請求項1または2に記載の多孔質重合体粒子。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の多孔質重合体粒子からなる陰イオン交換体。
- ポリビニルアルコール系共重合体及びスチレン/ジビニルベンゼン系共重合体から選択される多孔質重合体に、グリシジル基を含有する化合物を結合させ、前記グリシジル基と1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジンおよびピリジンから選ばれる含窒素複素環化合物の含窒素複素環基を反応させて陰イオン交換基を導入することを特徴とする陰イオン交換体の製造方法。
- カルボン酸ビニルエステルとイソシアヌレート系架橋性単量体との共重合体の一部をケン化して水酸基としたポリビニルアルコール系共重合体に、分子内に2個以上のグリシジル基を含有する化合物を反応させて前記ポリビニルアルコール系共重合体の質量を100とした時に反応後の質量が103〜140となるようにグリシジル基含有基を導入し、前記グリシジル基と1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジンおよびピリジンから選ばれる含窒素複素環化合物の含窒素複素環基を反応させることを特徴とする請求項5に記載の陰イオン交換体の製造方法。
- ポリビニルアルコール系重合体のケン化を該重合体に0.5〜5meq/gの水酸基を生じさせるまで行なう請求項6に記載の陰イオン交換体の製造方法。
- 請求項4に記載の陰イオン交換体からなるサプレッサー式イオンクロマトグラフィーカラム用充填剤。
- 請求項4に記載の陰イオン交換体を充填したサプレッサー式イオンクロマトグラフィー用カラム。
- 請求項9に記載のカラムをアルカリ性溶離液と組み合わせて用いるサプレッサー式イオンクロマトグラフィーによる陰イオン測定方法。
- 請求項4に記載の陰イオン交換体を充填したカラムをハロゲン酸化物イオンの測定に用いることを特徴とするノンサプレッサー式イオンクロマトグラフィーによる陰イオン測定方法。
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