JP4716067B2 - C−反応性蛋白質測定方法及び測定試薬 - Google Patents
C−反応性蛋白質測定方法及び測定試薬 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、C−反応性蛋白質測定用試薬及び測定方法、詳しくは、ホスホリルコリン基とカチオン性基とを有する化合物及びC−反応性蛋白質に対する抗体を含有するC−反応性蛋白質測定用試薬、並びに該試薬を用いてC−反応性蛋白質を測定するC−反応性蛋白質の測定方法や、ホスホリルコリン基を有する界面活性剤、カチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質に対する抗体を含有するC−反応性蛋白質測定用試薬、並びに該試薬を用いてC−反応性蛋白質を測定するC−反応性蛋白質の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
急性相反応物質の一つであるC−反応性蛋白質(C-reactive protein)は、各種の感染症、炎症性疾患及び組織破壊をきたす疾患の診断や経過観察のマーカーとして、臨床検査の分野ではよく測定されている項目の一つとなっている。かかるC−反応性蛋白質の測定法としては、C−反応性蛋白質と特異的に結合する抗体もしくは抗血清を用いて、毛細管法、一次元免疫拡散法、免疫比濁法、ラテックス免疫比濁法等で測定する方法が知られている。これらの測定方法は、抗原であるC−反応性蛋白質と抗体が結合すると大きな凝集体となることを利用して、この凝集を検出することにより行うものである。
【0003】
例えば、ラテックス免疫比濁法では、抗体を担持(感作)させた粒径0.1〜1μm程度のポリスチレンラテックス等の担体を用い、対応する抗原により抗原抗体反応を起こさせると、反応液中の散乱光は増加し、透過光は減少するので、この変化を吸光度あるいは積分球濁度として検出することによりC−反応性蛋白質を測定することができる。しかし、これら抗原抗体反応による凝集を観察する方法においては、プロゾーン現象と呼ばれる問題が生起することも知られている。かかるプロゾーン現象とは、抗原量が抗体量に比して高濃度になるに従い、逆に濁度が減少する現象をいう。この結果、測定すべき試料中に抗原が高濃度に存在するにもかかわらず、抗原が低濃度であるという誤った結果がもたらされることになる。このプロゾーン現象を回避するには、測定すべき試料を希釈するか、あるいは測定に使用する抗体を増加して再度測定を行うこと等が必要であるが、操作が煩雑となる。
【0004】
ホスホリルコリンはカルシウムイオンの存在下にC−反応性蛋白質と特異的に結合し、凝集体を形成することが知られている[J. Immunol., 124, 1396(1980)]。また、C−反応性蛋白質の精製を、p−ニトロフェニルホスホリルコリンセファロース4Bカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより行うことが知られている[検査と技術,24(5), 409(1996)]。そしてまた、C−反応性蛋白質の定量方法として、ホスファチジルコリン、コレステロール、塩化コリン、カルシウム等を含有する試薬を用いる方法(特開昭52−123295号公報)や、ホスホリルコリン基を結合した高分子を含有する試薬を用いる方法、及びホスホリルコリン基を結合した高分子とC−反応性蛋白質に対する特異抗体とを含有する試薬を用いる方法(特開昭62−259063号公報)が知られている。また、積分球濁度により検出を行うラテックス試薬を用いるC−反応性蛋白質の測定方法としては、例えば協和メデックス社のC−反応性蛋白質用ラテックス試薬(エクステルCRP EL−1200用)を用いる方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、プロゾーン現象を回避して高濃度のC−反応性蛋白質を含む検体を希釈せずに測定する方法及びそれに用いる試薬を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、(A)ホスホリルコリン基とカチオン性基とを有する化合物及びC−反応性蛋白質に対する抗体を用いると、あるいは、(B)ホスホリルコリン基を有する界面活性剤、カチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質に対する抗体を用いると、検体中のC−反応性蛋白質を測定しうること、また高濃度のC−反応性蛋白質を含む検体であっても、希釈することなくプロゾーン現象を回避して検体中のC−反応性蛋白質を測定しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、一般式(II)
【化7】
[式(II)中、Y 1 は疎水性基を示す。]で示されるホスホリルコリン基を有する界面活性剤、ホスホリルコリン基を除くカチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質に対する抗体を用いて、C−反応性蛋白質を測定することを特徴とするC−反応性蛋白質の測定方法(請求項1)に関する。
【0008】
また本発明は、式(II)で表される化合物が、リゾホスファチジルコリンカプロイル、リゾホスファチジルコリンミリストイル、リゾホスファチジルコリンパルミトイル、リゾホスファチジルコリンステアロイル、大豆由来リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリンジブチロイル、ホスファチジルコリンジカプロイル、ホスホリルコリンオレイルオキシエチルエステル、スフィンゴシルホスホリルコリンから選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1記載のC−反応性蛋白質の測定方法(請求項2)に関する。
【0009】
また本発明は、カチオン性基を有する界面活性剤が、アンモニウム塩の界面活性剤であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載のC−反応性タンパク質の測定方法(請求項3)や、アンモニウム塩の界面活性剤が、一般式(III)
【化8】
[式(III)中、Y2は疎水性基を示し、R1、R2、R3は同一又は異なってもよく、水素、置換もしくは非置換アルキル、又は置換もしくは非置換アルケニルを示し、X2 -は無機性陰イオン又は有機性陰イオンを示す。]で示される化合物である請求項3記載のC−反応性蛋白質の測定方法(請求項4)や、式(III)で表される化合物が、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドから選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項4記載のC−反応性蛋白質の測定方法(請求項5)や、C−反応性蛋白質に対する抗体が、水不溶性担体に担持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のC−反応性蛋白質の測定方法(請求項6)や、不溶性担体が、ポリスチレン系ラテックスであることを特徴とする請求項6記載のC−反応性蛋白質の測定方法(請求項7)に関する。
【0010】
そしてまた本発明は、一般式(II)
【化9】
[式(II)中、Y 1 は疎水性基を示す。]で示されるホスホリルコリン基を有する界面活性剤、ホスホリルコリン基を除くカチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質に対する抗体を含有することを特徴とするC−反応性蛋白質測定用試薬(請求項8)に関する。
【0011】
また本発明は、式(II)で表される化合物が、リゾホスファチジルコリンカプロイル、リゾホスファチジルコリンミリストイル、リゾホスファチジルコリンパルミトイル、リゾホスファチジルコリンステアロイル、大豆由来リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリンジブチロイル、ホスファチジルコリンジカプロイル、ホスホリルコリンオレイルオキシエチルエステル、スフィンゴシルホスホリルコリンから選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項8記載のC−反応性蛋白質測定用試薬(請求項9)や、カチオン性基を有する界面活性剤がアンモニウム塩の界面活性剤であることを特徴とする請求項8及び9のいずれか1項に記載のC−反応性蛋白質測定用試薬(請求項10)アンモニウム塩の界面活性剤が、一般式(III)
【化10】
[式(III)中、Y2は疎水性基を示し、R1、R2、R3は同一又は異なってもよく、水素、置換もしくは非置換アルキル、又は置換もしくは非置換アルケニルを示し、X2 -は無機性陰イオン又は有機性陰イオンを示す。]で示される化合物であることを特徴とする請求項10記載のC−反応性蛋白質測定用試薬(請求項11)や、式(III)で表される化合物が、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドから選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項11記載のC−反応性蛋白質測定用試薬(請求項12)や、C−反応性蛋白質に対する抗体が、水不溶性担体に担持されていることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のC−反応性蛋白質測定用試薬(請求項13)や、不溶性担体が、ポリスチレン系ラテックスであることを特徴とする請求項13に記載のC−反応性蛋白質測定用試薬(請求項14)に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のC−反応性蛋白質の測定方法は、ホスホリルコリン基とホスホリルコリン基を除くカチオン性基とを有する化合物及びC−反応性蛋白質に対する抗体を用いて、C−反応性蛋白質を測定することを特徴とする測定方法(以下、「本発明のC−反応性蛋白質の測定方法(A)」という)と、ホスホリルコリン基を有する界面活性剤、カチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質に対する抗体を用いて、C−反応性蛋白質を測定することを特徴とする測定方法(以下、「本発明のC−反応性蛋白質の測定方法(B)」という)から構成され、また、本発明のC−反応性蛋白質測定用試薬は、ホスホリルコリン基とホスホリルコリン基を除くカチオン性基とを有する化合物及びC−反応性蛋白質に対する抗体を含有することを特徴とする試薬(以下、「本発明のC−反応性蛋白質測定用試薬(A)」という)と、ホスホリルコリン基を有する界面活性剤、カチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質に対する抗体を含有することを特徴とする試薬(以下、「本発明のC−反応性蛋白質測定用試薬(B)」という)から構成される。
【0013】
本発明のC−反応性蛋白質の測定方法(A)やC−反応性蛋白質測定用試薬(A)におけるホスホリルコリン基とホスホリルコリン基を除くカチオン性基とを有する化合物としては、少なくとも一対のホスホリルコリン基とホスホリルコリン基を除くカチオン性基とを同一分子内に有する化合物であれば、いかなる化合物でも用いることができるが、ホスホリルコリン基とホスホリルコリン基を除くカチオン性基とを同一分子中に複数有する化合物がプロゾーン現象を充分に回避しうる点からして好ましく、例えば油脂、炭水化物、蛋白質、多糖類、核酸といった天然化合物にこれら二つの基を導入して製造した合成化合物や、合成化合物にこれら二つの基を導入して製造した合成化合物や、これらの基を別々に含有する化合物を合成により結合させて製造した合成化合物等を挙げることができる。また、本発明におけるホスホリルコリン基とホスホリルコリン基を除くカチオン性基とを有する化合物の分子量としては、特に制限されないが、プロゾーン現象を充分に回避しうる点からして500〜5,000,000が好ましく、1,000〜1,000,000がより好ましく、5,000〜100,000が特に好ましい。
【0014】
上記ホスホリルコリン基とホスホリルコリン基を除くカチオン性基とを有する化合物におけるカチオン性基としては、ホスホリルコリン基を除く正の電荷をもつ基であれば特に制限されるものではないが、一般式(I)[式(I)中、R1、R2及びR3は、同一又は異なってもよく、水素、置換もしくは非置換アルキル、又は置換もしくは非置換アルケニルを示し、X1 -は無機性陰イオン又は有機性陰イオンを示す。]で表されるカチオン性基がプロゾーン現象を充分に回避しうる点からして好ましい。
【0015】
【化11】
【0016】
一般式(I)におけるアルキルとしては、直鎖又は分岐状の、好ましくは炭素数1〜24のアルキル、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル、特に好ましくは炭素数1〜6のアルキルを挙げることができ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等を具体的に例示することができ、また、アルケニルとしては、直鎖又は分岐状の、好ましくは炭素数2〜24のアルケニル、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル、特に好ましくは炭素数2〜6のアルケニルを挙げることができ、ビニル、アリル、2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル等を具体的に例示することができる。また、置換アルキル及び置換アルケニルの置換基としては、例えばアルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アルケニルオキシ、アルケノイル、アルケノイルオキシ、アロイル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換のナフチル等を例示することができ、アルコキシ、アルカノイル及びアルカノイルオキシのアルキル部分はそれぞれ前記のアルキルと同意義である。また、アルケニルオキシ、アルケノイル及びアルケノイルオキシのアルケニル部分はそれぞれ前記のアルケニルと同意義である。アロイルとしては、ベンゾイル、ナフトイル等を挙げることができる。そして、置換フェニル、置換ナフチルの置換基としては、アルキル、アルケニル等を挙げることができ、アルキル、アルケニルはそれぞれ前記アルキル、アルケニルと同意義である。
無機性陰イオンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、硝酸等無機酸の陰イオンなどを挙げることができる。有機性陰イオンとしては、ギ酸、酢酸等の有機カルボン酸イオン等を挙げることができる。
【0017】
天然化合物や合成化合物にホスホリルコリン基及びカチオン性基を導入する方法としては、従来公知の方法、例えば天然化合物や合成化合物の水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基と、ホスホリルコリン基及びカチオン性基を有する化合物に公知の方法により導入した官能基とを反応させる方法を挙げることができ、かかるホスホリルコリン基及びカチオン性基に導入する官能基としては、例えば天然化合物及び合成化合物のもつ上記の官能基と結合するものであればよく、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基等を例示することができる。
【0018】
ホスホリルコリン基を有する化合物とカチオン性基を有する化合物とを合成により結合させて製造する方法としては特に制限がなく、ホスホリルコリン基を有する化合物及びカチオン性基を有する化合物を単量体として、付加重合等により高分子化させて製造することができる。かかる単量体としては、ホスホリルコリン基とビニル基とを有する化合物及びカチオン性基とビニル基とを有する化合物や、ホスホリルコリン基もしくはカチオン性基を有するジオール化合物及びカチオン性基もしくはホスホリルコリン基を有するジカルボン酸化合物や、ホスホリルコリン基もしくはカチオン性基を有するジアミン化合物及びカチオン性基もしくはホスホリルコリン基を有するジカルボン酸化合物等を例示することができるが、特に、ホスホリルコリン基とビニル基とを有する化合物及びカチオン性基とビニル基とを有する化合物を高分子化させて製造する方法が分子量又は組成比を制御しやすい点で好ましい。
【0019】
上記ホスホリルコリン基とビニル基とを有する単量体としては、共重合が可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、MPCと略す)、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−(メタ)アクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン、アリルホスホリルコリン、ブテニルホスホリルコリン、ヘキセニルホスホリルコリン、オクテニルホスホリルコリン、デセニルホスホリルコリン等を具体的に挙げることができる。また、これら単量体は、例えば、特開昭54−6325号公報、特開昭58−154591号公報に示された公知の方法等によって製造することができる。
【0020】
上記カチオン性基とビニル基とを有する単量体としては、ラジカル重合が可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、[3−(メタクリロイルオキシアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド、[3−(アクリロイルオキシアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(以下、QAと略す)、2−ヒドロキシ−3−アリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を具体的に挙げることができる。また、これら単量体は、一般試薬として入手することが可能である。
【0021】
ホスホリルコリン基とビニル基とを有する単量体と、カチオン性基とビニル基とを有する単量体の組合せは特に限定されるものではないが、前述のMPCとQAとの組合せがプロゾーン現象を充分に回避しうる点からして好ましい。また、ホスホリルコリン基とビニル基とを有する単量体と、カチオン性基とビニル基とを有する単量体を高分子化させるときには、他のラジカル重合可能なビニル基を有する単量体を混合して用いることもできる。かかる他のラジカル重合可能なビニル基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸トリデシル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、メチル核置換スチレン、クロロ置換スチレン等のスチレン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、イソブチレン等の置換もしくは非置換の炭化水素系単量体;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体等を挙げることができる。
【0022】
本発明に用いられるホスホリルコリン基とビニル基とを有する単量体、カチオン性基とビニル基とを有する単量体、及び必要に応じて用いられる他のラジカル重合可能なビニル基を有する単量体を含む組成物を重合させる方法としては、例えば、特開平9−3132号公報、特開平8−333421号公報、特開平11−35605号公報等に記載された公知の重合方法等を挙げることができる。具体的には、重合温度30〜150℃、重合時間2〜72時間の条件でラジカル重合させる方法等により重合することができる。また、ラジカル重合反応における開始剤としては、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオノアミヂン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2′−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、又はこれら混合物等を挙げることができる。また、重合溶媒としては、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム及びこれらの混合物等を例示することができる。
【0023】
前記MPCとQAとを重合させる際には、重合性などの点から、重合開始剤として2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオノアミヂン)二塩酸塩を用いることが好ましく、その使用量としては、単量体成分100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。また、MPCとQAの重合溶媒としては、溶解性や重合性などの点から、水、エタノールが特に好ましい。また、重合体の精製は、再沈殿法、透析法、限外濾過法など一般的な精製方法により行うことができる。
【0024】
本発明で用いられる重合体の分子量は特に限定されないが、好ましくは500〜5,000,000、より好ましくは1,000〜1,000,000、特に好ましくは5,000〜100,000である。この分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて分析し、ポリエチレングリコール換算した値として示されている。また、ホスホリルコリン基を有する単量体及びカチオン性基を有する単量体を構成単位として含む共重合体中におけるカチオン性基のモル含量率は、ホスホリルコリン基に対し1〜95%が好ましく、5〜90%がより好ましく、10〜30%が特に好ましい。
【0025】
本発明のC−反応性蛋白質の測定方法(A)やC−反応性蛋白質測定用試薬(A)を用いたC−反応性蛋白質の測定は、ホスホリルコリン基とカチオン性基とを有する化合物及びC−反応性蛋白質に対する抗体を、反応液中でC−反応性蛋白質を含む被測定検体と接触させることにより行われる。かかる反応液としては、水性媒体であれば特に制限がないが、緩衝液が好ましい。緩衝液としては、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液等を例示することができる。また、反応液には、塩化カルシウム等のカルシウムイオンを加えるとプロゾーン回避効果が高まり測定範囲が拡大するので好ましい。カルシウムイオン濃度としては、例えば1〜20mmol/Lが好ましく、2〜10mmol/Lがより好ましい。C−反応性蛋白質測定の反応液中のホスホリルコリン基及びカチオン性基を有する化合物濃度は特に限定されないが、0.0001〜1重量%が好ましく、0.005〜0.5重量%がより好ましく、0.01〜0.1重量%が特に好ましい。ホスホリルコリン基及びカチオン性基を有する重合体は、上記の様に比較的僅かな添加量でもプロゾーン回避及び測定範囲の拡大に効果を発揮する。
【0026】
本発明のC−反応性蛋白質の測定方法(B)やC−反応性蛋白質測定用試薬(B)におけるホスホリルコリン基を有する界面活性剤としては、ホスホリルコリン基を有し、かつ界面活性を示す物質であればどのような物質をも用いることができるが、一般式(II)[式(II)中、Y1は疎水性基を示す。]で表される界面活性剤がプロゾーン現象を充分に回避しうる点からして好ましい。
【0027】
【化12】
【0028】
一般式(II)で表される界面活性剤における疎水性基としては、ホスホリルコリン基の親水性に対し、疎水性を示す基であれば特に制限されるものではないが、炭化水素を基本とする基を挙げることができ、置換もしくは非置換のアルキル、又は置換もしくは非置換のアルケニルを具体的に例示することができる。式(II)におけるアルキルとしては、直鎖又は分岐状の、好ましくは炭素数1〜30のアルキル、より好ましくは炭素数2〜24のアルキル、特に好ましくは炭素数3〜20のアルキルを挙げることができ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ペンタデシル、エイコシル等を具体的に例示することができ、また、アルケニルとしては、直鎖又は分岐状の、好ましくは炭素数2〜24のアルケニル、より好ましくは炭素数3〜12のアルケニル、特に好ましくは炭素数3〜6のアルケニルを挙げることができ、ビニル、アリル、2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル等を具体的に例示することができる。また、置換アルキル及び置換アルケニルの置換基としては、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アルケニルオキシ、アルケノイル、アルケノイルオキシ、アロイル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換のナフチル等を例示することができ、アルコキシ、アルカノイル及びアルカノイルオキシのアルキル部分はそれぞれ前記のアルキルと同意義であり、また、アルケニルオキシ、アルケノイル及びアルケノイルオキシのアルケニル部分はそれぞれ前記のアルケニルと同異義である。アロイルとしては、ベンゾイル、ナフトイル等を挙げることができる。そして、置換アミノの置換基としては、アルキル、アルケニル等があげられ、置換フェニルおよび置換ナフチルの置換基としては、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル等を挙げることができ、ここで、アルキル、アルケニルはそれぞれ前記アルキル、アルケニルと同意義である。
【0029】
上記本発明における式(II)で表される界面活性剤としては、疎水性基として、炭素数2〜24のアルキルもしくはアルケニル(ホスホリルコリン基と該アルキルもしくはアルケニルの間に、オキシメチレニル、オキシエチレニル、オキシプロピレニルを有する場合も含む)、アシル鎖の炭素数が4〜24の1位もしくは2位のモノグリセリド、同一又は異なっていてもよいアシル鎖の炭素数が4〜24のジグリセリド、又はスフィンゴシン構造を有する界面活性剤が好ましく、リゾホスファチジルコリンカプロイル、リゾホスファチジルコリンミリストイル、リゾホスファチジルコリンパルミトイル、リゾホスファチジルコリンステアロイル、大豆由来リゾホスファチジルコリンなどのリゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)や、ホスファチジルコリンジブチロイル、ホスファチジルコリンジカプロイル等のアシル鎖長の短いホスファチジルコリン、ホスホリルコリンオレイルオキシエチルエステル、スフィンゴシルホスホリルコリン等を具体的に例示することができる。
【0030】
本発明のC−反応性蛋白質の測定方法(B)やC−反応性蛋白質測定用試薬(B)におけるカチオン性基を有する界面活性剤としては、ホスホリルコリン基を除くカチオン性基を有し、かつ界面活性を示す物質であればどのような物質をも用いることができるが、アンモニウム塩の界面活性剤が好ましく、一般式(III)[式(III)中、Y2は疎水性基を示し、R1、R2、R3は同一又は異なってもよく、水素、置換もしくは非置換アルキル、又は置換もしくは非置換アルケニルを示し、X2 -は無機性陰イオン又は有機性陰イオンを示す。]で表される界面活性剤がプロゾーン現象を充分に回避しうる点からして特に好ましい。
【0031】
【化13】
【0032】
一般式(III)における疎水性基Y2としては、カチオン性基の親水性に対し、疎水性を示す基であれば特に制限されるものではないが、炭化水素を基本とする基を挙げることができ、置換もしくは非置換のアルキル、又は置換もしくは非置換のアルケニルを具体的に例示することができ、上記アルキルとしては、直鎖又は分岐状の、好ましくは炭素数1〜30のアルキル、より好ましくは炭素数2〜24のアルキル、特に好ましくは炭素数3〜20のアルキルを挙げることができ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ペンタデシル、エイコシル等を具体的に例示することができ、また、アルケニルとしては、直鎖又は分岐状の、好ましくは炭素数2〜24のアルケニル、より好ましくは炭素数3〜12のアルケニル、特に好ましくは炭素数3〜6のアルケニルを挙げることができ、ビニル、アリル、2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル等を具体的に例示することができる。また、置換アルキル及び置換アルケニルの置換基としては、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アルケニルオキシ、アルケノイル、アルケノイルオキシ、アロイル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換のナフチル等を例示することができ、アルコキシ、アルカノイル及びアルカノイルオキシのアルキル部分はそれぞれ前記のアルキルと同意義であり、また、アルケニルオキシ、アルケノイル及びアルケノイルオキシのアルケニル部分はそれぞれ前記のアルケニルと同異義である。アロイルとしては、ベンゾイル、ナフトイル等を挙げることができる。そして、置換アミノの置換基としては、アルキル、アルケニル等があげられ、置換フェニルおよび置換ナフチルの置換基としては、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル等を挙げることができ、ここで、アルキル、アルケニルはそれぞれ前記アルキル、アルケニルと同意義である。
【0033】
R1、R2及びR3におけるアルキルとしては、直鎖又は分岐状の、好ましくは炭素数1〜12のアルキル、より好ましくは炭素数1〜6のアルキルを挙げることができ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等を具体的に例示することができ、また、R1、R2及びR3におけるアルケニルとしては、直鎖または分岐状の、好ましくは炭素数2〜12のアルケニル、より好ましくは炭素数3〜6のアルケニルを挙げることができ、ビニル、アリル、2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル等を具体的に例示することができる。また、R1、R2及びR3における置換アルキル及び置換アルケニルの置換基としては、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アルケニルオキシ、アルケノイル、アルケノイルオキシ、アロイル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換のナフチル等を例示することができ、アルコキシ、アルカノイル及びアルカノイルオキシのアルキル部分はそれぞれ前記のR1、R2及びR3のアルキルと同意義であり、また、アルケニルオキシ、アルケノイル及びアルケノイルオキシのアルケニル部分はそれぞれ前記のR1、R2及びR3のアルケニルと同意義である。アロイルとしては、ベンゾイル、ナフトイル等を挙げることができる。そして、置換アミノの置換基としては、アルキル、アルケニル等を挙げることができ、置換フェニルおよび置換ナフチルの置換基としては、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル等を挙げることができる。ここで、アルキル、アルケニルはそれぞれ前記アルキル、アルケニルと同意義である。
無機性陰イオンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、硝酸等無機酸の陰イオン等を挙げることができる。有機性陰イオンとしては、ギ酸、酢酸等の有機カルボン酸イオン等を挙げることができる。
【0034】
また、上記カチオン性基を有する界面活性剤としては、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドなどの長鎖アルキルアンモニウム塩や、ヘキサデシルアミン酢酸塩、オクタデシルアミン塩酸塩などの長鎖アルキルアミン塩や、アルキルピリジニウム塩等を具体的に例示することができる。
【0035】
ホスホリルコリン基を有する界面活性剤とカチオン性基を有する界面活性剤の組合せは任意であるが、ホスホリルコリン基を有する界面活性剤の疎水性基とカチオン性基を有する界面活性剤の疎水性基の鎖長が同程度のものを用いることがプロゾーン現象を充分に回避しうる点からして好ましい。例えば、前者におけるアシル鎖の炭素数が16のリゾホスファチジルコリンパルミトイルと、後者におけるアルキル鎖の炭素数が16のヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、あるいは前者におけるアシル鎖の炭素数が18のリゾホスファチジルコリンステアロイルと、後者におけるアルキル鎖の炭素数が18のオクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の組合せが好ましい。
【0036】
ホスホリルコリン基を有する界面活性剤及びカチオン性基を有する界面活性剤は、C−反応性蛋白質測定反応液中の濃度が、それぞれ0.0001〜5重量%、好ましくは0.001〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%になる量を用いることが望ましい。また、ホスホリルコリン基を有する界面活性剤とカチオン性基を有する界面活性剤のモル比率は任意であるが、1:10〜5:10程度が好ましい。
【0037】
本発明におけるC−反応性蛋白質に対する抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれでもよく、これら抗体としては、市販品又は公知の方法により調製した抗体を用いることができる。また、C−反応性蛋白質に対する抗体は水不溶性担体に担持(感作)されているものを使用するのが好ましい。水不溶性担体としてはラテックス特にポリスチレン系ラテックスが、抗体を担持させることが容易なことから好ましい。かかる水不溶性担体の粒径としては、0.1〜1μmのものが好ましい。抗体の水不溶性担体への担持は、公知の感作方法により行うことができる。使用する抗体の濃度については特に制限がないが、単独でC−反応性蛋白質を測定できる濃度が好ましい。
【0038】
本発明のC−反応性蛋白質の測定方法(A)は、ホスホリルコリン基とカチオン性基とを有する化合物及びC−反応性蛋白質に対する抗体を用いて、C−反応性蛋白質を測定することを特徴とする抗原抗体反応を利用する測定方法であり、また、本発明のC−反応性蛋白質の測定方法(B)は、ホスホリルコリン基を有する界面活性剤、カチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質に対する抗体を用いて、C−反応性蛋白質を測定することを特徴とする抗原抗体反応を利用する測定方法である。これらの抗原抗体反応を利用する測定方法としては、公知の免疫比濁法、ラテックス免疫比濁法、ゼラチン凝集反応、リポソーム免疫測定法、蛍光免疫測定法、酵素免疫測定法等いかなる測定方法も使用できるが、プロゾーン現象を充分に回避しうる点からしてラテックス免疫比濁法が好ましい。ラテックスとしては、ポリスチレン系が好ましく、また該ラテックスの粒径としては、0.1〜1μmのものが好ましい。これらの方法は、所定量の抗体感作ラテックス懸濁液と所定量の緩衝液及び濃度が既知である標準液又は被測定検体の一定量を加えて充分に攪拌した後、積分球式濁度計を用いて所定時間間隔における濁度変化による積分球式濁度変化量(ΔIST値)や、吸光度測定計を用いて所定時間間隔における吸光度変化量(ΔmAbs.値)を測定することにより行うことができる。
【0039】
本発明のC−反応性蛋白質測定用試薬(A)は、ホスホリルコリン基とカチオン性基を有する化合物及びC−反応性蛋白質に対する抗体を含有することを特徴とし、また、本発明のC−反応性蛋白質測定用試薬(B)は、ホスホリルコリン基を有する界面活性剤、カチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質に対する抗体を含有することを特徴とするが、これら化合物及び抗体のほか、各種界面活性剤、無機塩類、緩衝液等を含有していてもよい。界面活性剤としては、例えばトリトンX−100、ツイーン20等を、無機塩としては例えば塩化カルシウムなどのカルシウム塩等を、緩衝液としてはグリシン緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液等を、それぞれ例示することができる。C−反応性蛋白質測定用試薬中の界面活性剤、無機塩類及び緩衝液の含量は、反応液中の濃度がそれぞれ0.001〜0.1重量%、特に1〜7mmol/L、0.1〜10mmol/L及び10〜200mmol/Lになる量が好ましい。
【0040】
以上のように、本発明のC−反応性蛋白質の測定方法やC−反応性蛋白質測定用試薬を用いるC−反応性蛋白質の測定は、C−反応性蛋白質に対する抗体を用いて、C−反応性蛋白質を測定するものであるが、これらC−反応性蛋白質の測定方法やC−反応性蛋白質測定用試薬における抗体を抗原に置換、すなわちC−反応性蛋白質に対する抗体を、C−反応性蛋白質抗原に置換することにより、C−反応性蛋白質に対する抗体の測定方法やC−反応性蛋白質に対する抗体測定用試薬を提供することができる。上記C−反応性蛋白質抗原としては、C−反応性蛋白質自体又はC−反応性蛋白質のホスホリルコリン結合領域と抗C−反応性蛋白質のエピトープ部分とを含むペプチドを例示することができる。また、かかるC−反応性蛋白質抗原は、C−反応性蛋白質に対する抗体の場合と同様に、粒径0.1〜1μm程度のポリスチレンラテックス等の担体に担持させて用いることが好ましい。
【0041】
そして、(a)ホスホリルコリン基とカチオン性基とを有する化合物及びC−反応性蛋白質抗原を用いるC−反応性蛋白質に対する抗体の測定方法や、ホスホリルコリン基とカチオン性基とを有する化合物及びC−反応性蛋白質抗原を含有するC−反応性蛋白質に対する抗体測定用試薬、あるいは、(b)ホスホリルコリン基を有する界面活性剤、カチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質抗原を用いるC−反応性蛋白質に対する抗体の測定方法や、ホスホリルコリン基を有する界面活性剤、カチオン性基を有する界面活性剤及びC−反応性蛋白質抗原を含有するC−反応性蛋白質に対する抗体測定用試薬においても、本発明のC−反応性蛋白質の測定方法やC−反応性蛋白質測定用試薬における場合と同様に、C−反応性蛋白質に対する抗体測定におけるプロゾーン現象の回避と、測定レンジの拡大ができ、検体中に高濃度のC−反応性蛋白質に対する抗体が含まれる場合であっても、検体を希釈することなく原液のまま定量することが可能となる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例及び参考例により、更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、かかる実施例等により何ら制限を受けるものではない。
実施例A−1
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0043】
比較例A−1
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0044】
比較例A−2
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0045】
比較例A−3
【0046】
比較例A−4
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0047】
実施例A−2
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0048】
比較例A−5
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0049】
実施例A−3
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0050】
実施例A−4
実施例A−1と比較例A−1〜A−3で調製したC−反応性蛋白質測定用ラテックス試薬を用いて各濃度のC−反応性蛋白質を含む標準血清(0〜100mg/dL)を、積分球濁度方式の専用機EL−1060(協和メデックス社製)で測定を行った。37℃にて、それぞれ実施例A−1と比較例A−1〜A−3の第1試薬148μL、第2試薬150μL、及びC−反応性蛋白質標準血清2μLを混合後、72秒と612秒の間(23〜53ポイント)の積分球濁度変化量を測定した。結果を図1に示す。なお図1中、横軸のCRPはC−反応性蛋白質の濃度を示し、縦軸のΔISTは積分球式濁度の変化量を示す。
【0051】
図1からもわかるように、比較例A−1の試薬を用いて測定した場合(−◆−プロット)、比較例A−2の試薬を用いて測定した場合(−■−プロット)、及び比較例A−3の試薬を用いて測定した場合(−▲−)は、C−反応性蛋白質が10mg/dL以上の濃度ではプロゾーンとなり、プロゾーン回避の効果は得られなかった。これに対して、実施例A−1の試薬を用いて測定した場合(−●−)、少なくとも100mg/dLまでプロゾーンを回避することができた。なお、比較例A−2の第1試薬中のポリマーを10mg/L〜1g/Lの特定の濃度にした試薬、及び比較例A−3の第1試薬中のポリマーを10mg/L〜1g/Lの特定の濃度にした試薬を使用した場合でも、プロゾーンを回避することはできなかった。また、実施例A−1の第1試薬中のポリマーを5mg/Lの濃度にした試薬も、プロゾーンが回避できることを確認した。
【0052】
実施例A−5
実施例A−1、比較例A−1及び比較例A−4で調製したC−反応性蛋白質測定用ラテックス試薬を用い各濃度のC−反応性蛋白質を含む標準血清(0〜100mg/dL)を、積分球濁度方式の専用機EL−1060で測定を行った。37℃にて、それぞれ実施例A−1、比較例A−1及び比較例A−4の第1試薬148μL、第2試薬150μL、及びC−反応性蛋白質標準血清2μLを混合後、72秒と216秒の間(23〜31ポイント)の積分球濁度変化量を測定した。結果を図2に示す。なお図2中、横軸のCRPはC−反応性蛋白質の濃度を示し、縦軸のΔISTは積分球式濁度の変化量を示す。
【0053】
図2からもわかるように、比較例A−1の試薬で測定した場合(−●−プロット)、C−反応性蛋白質濃度10mg/dL以上ではプロゾーンとなりΔIST値は減少した。また、抗体を感作させていないラテックスのみを使用する比較例A−4の試薬で測定した場合(−■−プロット)、ΔIST値の増加は認められなかった。一方、実施例A−1の試薬で測定した場合(−▲−プロット)、少なくともC−反応性蛋白質濃度100mg/dLまでプロゾーン現象が見られずにΔIST値は濃度依存的に増加し、測定レンジが拡大した。これらの結果から、本発明の測定方法においては、ホスホリルコリン基とカチオン性基とを有する化合物とC−反応性蛋白質との反応による濁度上昇及びC−反応性蛋白質抗体とC−反応性蛋白質との反応による濁度上昇の相加効果によりプロゾーン現象が回避されたものではなく、C−反応性蛋白質との反応における、ホスホリルコリン基とカチオン性基とを有する化合物及びC−反応性蛋白質抗体の相乗効果によりプロゾーン現象が回避されるものと考えられる。
【0054】
実施例A−6
実施例A−2及び比較例A−5で調製したC−反応性蛋白質測定用ラテックス試薬を用い各濃度のC−反応性蛋白質を含む標準血清(0〜100mg/dL)を、積分球濁度方式の専用機EL−1200(協和メデックス社製)で測定を行った。37℃にて、それぞれ実施例2及び比較例5の第1試薬248μL、第2試薬250μL、及びC−反応性蛋白質標準血清2μLを混合後、108秒と270秒の間(6〜15ポイント)の積分球濁度変化量を測定した。結果を図3に示す。なお図3中、横軸のCRPはC−反応性蛋白質の濃度を示し、縦軸のΔISTは積分球式濁度の変化量を示す。
【0055】
図3からもわかるように、比較例A−5の試薬で測定した場合(−▲−)、C−反応性蛋白質が20mg/dL以上の濃度ではプロゾーン現象によりΔIST値は減少した。これに対して、実施例A−2の試薬で測定した場合(−●−)、プロゾーンが100mg/dLまで回避され、定量性も大幅に向上した。なお、実施例A−2の第1試薬のポリマー濃度を10mg/Lの濃度とした試薬を用いて同様な効果が認められた。
【0056】
実施例A−7
実施例A−3及び比較例5で調製したC−反応性蛋白質測定用ラテックス試薬を用い各濃度のC−反応性蛋白質を含む標準血清(0〜100mg/dL)を、吸光度測定方式の自動分析装置7070(日立製作所製)で測定を行った。
37℃にて、それぞれ実施例A−3及び比較例A−5の第1試薬225μL、第2試薬75μL、及びC−反応性蛋白質標準血清3μLを混合後19ポイントと27ポイントの間の吸光度変化量(波長570nm)を測定した。結果を図4に示す。なお図4中、横軸のCRPはC−反応性蛋白質の濃度を示し、縦軸のΔmAbs.は吸光度の変化量を示す。図4からもわかるように、比較例A−5の試薬で測定した場合(−▲−)、C−反応性蛋白質が10mg/dL以上の濃度ではプロゾーンとなり測定値は減少した。これに対して、実施例A−3の試薬で測定した場合(−●−)、プロゾーンが少なくとも100mg/dLまで回避され、定量性も大幅に向上した。
【0057】
実施例A−8
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0058】
実施例A−9
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0059】
実施例A−10
実施例A−9及び比較例A−1で調製したC−反応性蛋白質測定用ラテックス試薬を用い各濃度のC−反応性蛋白質を含む標準血清(0〜100mg/dL)を吸光度測定方式の自動分析装置7070(日立製作所製)で測定を行った。37℃にて、それぞれ実施例A−9及び比較例A−1の第1試薬225μL、第2試薬75μL、及びC−反応性蛋白質標準血清3μLを混合後19ポイントと27ポイントの間の吸光度変化量(波長570nm)を測定した。結果を図5に示す。なお図5中、横軸のCRPはC−反応性蛋白質の濃度を示し、縦軸のΔmAbs.は吸光度変化量を示す。図5からもわかるように、比較例A−1の試薬で測定した場合(−▲−)、C−反応性蛋白質が10mg/dL以上の濃度ではプロゾーンとなり測定値は減少した。これに対して、実施例A−9の試薬で測定した場合(−●−)、プロゾーンは少なくとも100mg/dLまで回避され、定量性も大幅に向上した。
【0060】
実施例B−1
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0061】
実施例B−2
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0062】
比較例B−1
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0063】
比較例B−2
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0064】
比較例B−3
【0065】
比較例B−4
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0066】
実施例B−3
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0067】
比較例B−5
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0068】
実施例B−4
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0069】
実施例B−5
下記のC−反応性蛋白質測定試薬を調製した。
【0070】
実施例B−6
実施例B−1〜B−2及び比較例B−1〜B−4で調製したC−反応性蛋白質測定用試薬を使用して各濃度のC−反応性蛋白質を含む血清溶液(C−反応性蛋白質濃度:0〜100mg/dL)中のC−反応性蛋白質濃度を測定した。37℃にて、第1試薬147μL、第2試薬150μL、及びC−反応性蛋白質標準血清3μLを混合後、積分球濁度測定器EL−1060(協和メデックス社製)にて72秒と216秒の間(23〜31ポイント)の積分球濁度変化量を測定した。
【0071】
結果を図6に示す。なお、図6中、横軸のCRPはC−反応性蛋白質の濃度を示し、縦軸のΔISTは積分球式濁度の変化量を示す。比較例B−1の試薬を用いて測定した場合(−×−)、C−反応性蛋白質が10mg/dL以上の濃度ではプロゾーンとなった。また、比較例B−2の試薬を用いて測定した場合(−■−)、プロゾーンが回避される傾向が見られたが測定レンジの改善は認められなかった。比較例B−3の試薬を用いて測定した場合(−▲−)、プロゾーン回避の効果は得られなかった。比較例B−4の試薬を用いて測定した場合(−○−)、全く検出がでなかった。これに対して、実施例B−1の試薬を用いた場合(−◆−)、測定レンジが大幅に改善された。実施例B−2の試薬を用いて測定した場合(−●−)、少なくともプロゾーンが100mg/dLまで回避されかつ、定量性が大幅に向上した。
【0072】
実施例B−7
実施例B−3及び比較例B−5で作製したC−反応性蛋白質測定用試薬を使用して各濃度のC−反応性蛋白質を含む血清溶液(C−反応性蛋白質濃度:0〜100mg/dL)中のC−反応性蛋白質濃度を測定した。37℃にて、第1試薬225μL、第2試薬75μL、及びC−反応性蛋白質標準血清3μLを混合後、吸光度測定方式の自動分析装置7070(日立社製)にて19ポイントと27ポイントの間の吸光度変化量(波長570nm)を測定した。
【0073】
結果を図7に示す。なお図7中、横軸のCRPはC−反応性蛋白質の濃度を示し、縦軸のΔmAbs.(570nm)は570nmの吸光度の変化量を示す。比較例B−5の試薬を用いて測定した場合(−▲−)、C−反応性蛋白質が5mg/dL以上の濃度ではプロゾーンとなり吸光度変化量は低下した。これに対して、実施例B−3の試薬を用いて測定した場合(−●−)、少なくとも100mg/dLまで吸光度変化量が低下せず、プロゾーンが回避され、定量性も大幅に向上した。
【0074】
実施例B−8
実施例B−2、実施例B−4、実施例B−5及び比較例B−1で調製したC−反応性蛋白質測定用試薬を使用して各濃度のC−反応性蛋白質を含む血清溶液(C−反応性蛋白質濃度:0〜100mg/dL)中のC−反応性蛋白質濃度を測定した。37℃にて、第1試薬225μL、第2試薬75μL、及びC−反応性蛋白質標準血清3μLを混合後、吸光度測定方式の自動分析装置7070(日立社製)にて19ポイントと27ポイントの間の吸光度変化量(波長570nm)を測定した。
【0075】
結果を図8に示す。なお図8中、横軸のCRPはC−反応性蛋白質の濃度を示し、縦軸のΔmAbs.は吸光度変化量を示す。比較例B−1の試薬を用いて測定した場合(−◆−)、C−反応性蛋白質が10mg/dL以上の濃度ではプロゾーンとなり吸光度変化量は低下した。これに対して、実施例B−2の試薬を用いて測定した場合(−■−)、実施例B−4の試薬を用いて測定した場合(−▲−)、及び実施例B−5の試薬を用いて測定した場合(−×−)では、少なくとも100mg/dLまで吸光度変化量が低下せず、プロゾーンが回避され、定量性も大幅に向上した。
【0076】
参考例1 (CRP測定用ラテックス試薬の調製)
平均粒径130nmのポリスチレンラテックス溶液(協和メデックス社製、100mg/mL)0.8mLとヤギ抗C−反応性蛋白質ポリクローナル抗体溶液(オリエンタル酵母社製、10mg/mL、50mMリン酸−NaCl 150mM pH7.2)1mLとを混合し、37℃にて30分間攪拌した。次に、牛血清アルブミン(BSA、シグマ社製)溶液1mL(20mg/mL、50mMリン酸−NaCl 150mM pH7.2)を添加して37℃にて2時間攪拌を行いブロッキング処理を実施した。その後、遠心分離(50,000回転、30分間)によりラテックスをペレット状に沈降させて上清を廃棄した後、3mg/mLのBSAを含む50mMイミダゾール−塩酸溶液(pH7.8)10mLを添加し、よく攪拌した後、超音波破砕機により分散処理を行った。上記の操作を3回繰り返して行うことにより過剰に存在する抗体溶液の除去を行った。最終的にはラテックス濃度を1mg/mLに調整し、C−反応性蛋白質測定用ラテックス試薬とした。この試薬は4℃で保存した。
【0077】
参考例2
ヤギ抗C−反応性蛋白質ポリクローナル抗体を使用することなく、その他は参考例1と同様の方法により、抗C−反応性蛋白質抗体を含まない対照試薬を調製した。
【0078】
参考例3
平均粒径220nmのポリスチレンラテックス溶液(協和メデックス社製、100mg/mL)0.8mLを用いる以外は、参考例1と同様の方法により、C−反応性蛋白質測定用ラテックス試薬を調製した。最終濃度も参考例1と同様に1mg/mLに調整し、4℃で保存した。
【0079】
参考例4
37.2gの2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(日本油脂社製)、12.8gの2−ヒドロキシ3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(日本油脂社製)、0.3gの重合開始剤2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオノアミヂン)二塩酸塩(和光純薬工業社製「V−50」)、重合媒としての水150gを用い、4時間、70℃に加温することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応液をアセトン1.5Lにゆっくり滴下して、重合物を沈殿させた。沈殿物を濾別、乾燥後、5.0重量%となるよう蒸留水に溶解させた。分子量は、重合体のリン酸緩衝溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用いて分析した結果、ポリエチレングリコール換算で重量平均分子量37,000であった。本化合物は、ホスホリルコリン基とカチオン基を7:3のモル比で含有する。
【0080】
参考例5
45.9gの2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(日本油脂社製)、4.1gの2−ヒドロキシ3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(日本油脂社製)、0.3gの重合開始剤2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオノアミヂン)二塩酸塩(和光純薬工業社製「V−50」)、重合媒としての水150gを用い、4時間、70℃に加温することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応液をアセトン1.5Lにゆっくり滴下して、重合物を沈殿させた。沈殿物を濾別、乾燥後、5.0重量%となるよう蒸留水に溶解させた。分子量は、重合体のリン酸緩衝溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用いて分析した結果、ポリエチレングリコール換算で重量平均分子量33,000であった。本化合物は、ホスホリルコリン基とカチオン基を9:1のモル比で含有する。
【0081】
参考例6
50.0gの2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(日本油脂社製)、0.24gの重合開始剤アゾビスイソブチルニトリル(和光純薬工業社製「AIBN」)、重合媒としてのエタノール100gを用い、4時間、70℃に加温することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応液をアセトン1.5Lにゆっくり滴下して、重合物を沈殿させた。沈殿物を濾別、乾燥後、5.0重量%となるよう蒸留水に溶解させた。分子量は、重合体のリン酸緩衝溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用いて分析した結果、ポリエチレングリコール換算で重量平均分子量108,000であった。
【0082】
参考例7
35.7gの2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(日本油脂社製)、4.3gのブチルメタクリレート(和光純薬工業社製)、0.82gの重合開始剤アゾビスイソブチルニトリル(和光純薬工業社製「AIBN」)、重合媒としてのエタノール160gを用い、4時間、70℃に加温することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応液をアセトン1.5Lにゆっくり滴下して、重合物を沈殿させた。沈殿物を濾別、乾燥後、5.0重量%となるよう蒸留水に溶解させた。分子量は、重合体のリン酸緩衝溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用いて分析した結果、ポリエチレングリコール換算で重量平均分子量87,000であった。本化合物は、ホスホリルコリン基とブチル基を8:2のモル比で含有する。
【0083】
参考例8
74.3gの2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(日本油脂社製)、25.7gの2−ヒドロキシ3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(日本油脂社製)、0.45gの重合開始剤2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオノアミヂン)二塩酸塩(和光純薬工業社製「V−50」)、重合媒として水900gを用い、4時間、60℃に加温することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応液をアセトン1.5Lにゆっくり滴下して、重合物を沈殿させた。沈殿物を濾別、乾燥後、5.0重量%となるよう蒸留水に溶解させた。分子量は、重合体のリン酸緩衝溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用いて分析した結果、ポリエチレングリコール換算で重量平均分子量13,000であった。本化合物は、ホスホリルコリン基とカチオン基を7:3のモル比で含有する。次に、遠心濾過チューブ(限外分子量10,000、ミリポア社製)を用いた遠心分離(3,000×g、30分)を行い、濾液として得られた分子量10,000以下の成分を回収した。
【0084】
【発明の効果】
本発明のC−反応性蛋白質用試薬を用いると、C−反応性蛋白質測定におけるプロゾーン現象の回避と、測定レンジの拡大ができる。これにより、検体中に高濃度のC−反応性蛋白質が含まれる場合であっても、検体を希釈することなく原液のまま定量することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例A−1及び比較例A−1〜A−3の試薬を用い、0〜100mg/dLのC−反応性蛋白質を測定した結果を示す図である。
【図2】実施例A−1、比較例A−1及び比較例A−4の試薬を用い、0〜100mg/dLのC−反応性蛋白質を測定した結果を示す図である。
【図3】実施例A−2及び比較例A−5の試薬を用い、0〜100mg/dLのC−反応性蛋白質を測定した結果を示す図である。
【図4】実施例A−3及び比較例A−5の試薬を用い、0〜100mg/dLのC−反応性蛋白質を測定した結果を示す図である。
【図5】実施例A−9及び比較例A−1の試薬を用い、0〜100mg/dLのC−反応性蛋白質を測定した結果を示す図である。
【図6】実施例B−1及びB−2並びに比較例B−1〜B−4の試薬を用い、0〜100mg/dLのC−反応性蛋白質を測定した結果を示す図である。
【図7】実施例B−3及び比較例B−5の試薬を用い、0〜100mg/dLのC−反応性蛋白質を測定した結果を示す図である。
【図8】実施例B−2、実施例B−4、実施例B−5及び比較例B−1の試薬を用い、0〜100mg/dLのC−反応性蛋白質を測定した結果を示す図である。
Claims (14)
- 式(II)で表される化合物が、リゾホスファチジルコリンカプロイル、リゾホスファチジルコリンミリストイル、リゾホスファチジルコリンパルミトイル、リゾホスファチジルコリンステアロイル、大豆由来リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリンジブチロイル、ホスファチジルコリンジカプロイル、ホスホリルコリンオレイルオキシエチルエステル、スフィンゴシルホスホリルコリンから選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1記載のC−反応性蛋白質の測定方法。
- カチオン性基を有する界面活性剤が、アンモニウム塩の界面活性剤であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載のC−反応性タンパク質の測定方法。
- 式(III)で表される化合物が、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドから選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項4記載のC−反応性蛋白質の測定方法。
- C−反応性蛋白質に対する抗体が、水不溶性担体に担持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のC−反応性蛋白質の測定方法。
- 不溶性担体が、ポリスチレン系ラテックスであることを特徴とする請求項6記載のC−反応性蛋白質の測定方法。
- 式(II)で表される化合物が、リゾホスファチジルコリンカプロイル、リゾホスファチジルコリンミリストイル、リゾホスファチジルコリンパルミトイル、リゾホスファチジルコリンステアロイル、大豆由来リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリンジブチロイル、ホスファチジルコリンジカプロイル、ホスホリルコリンオレイルオキシエチルエステル、スフィンゴシルホスホリルコリンから選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項8記載のC−反応性蛋白質測定用試薬。
- カチオン性基を有する界面活性剤がアンモニウム塩の界面活性剤であることを特徴とする請求項8及び9のいずれか1項に記載のC−反応性蛋白質測定用試薬。
- 式(III)で表される化合物が、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドから選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項11記載のC−反応性蛋白質測定用試薬。
- C−反応性蛋白質に対する抗体が、水不溶性担体に担持されていることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のC−反応性蛋白質測定用試薬。
- 不溶性担体が、ポリスチレン系ラテックスであることを特徴とする請求項13に記載のC−反応性蛋白質測定用試薬。
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