JP4714834B2 - 炭化珪素(SiC)結晶の製造方法およびそれにより得られた炭化珪素(SiC)結晶 - Google Patents
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Description
本発明は、炭化珪素(SiC)結晶の製造方法およびそれにより得られた炭化珪素(SiC)結晶に関する。
炭化珪素(SiC)単結晶は、広いバンドギャップ、高い熱伝導性、高い絶縁電界、大きな飽和電子速度を有している有望な半導体材料である。このような特性をもつことにより、SiC単結晶から製造した半導体デバイスは、高い動作温度で、高速、高出力レベルで動作させることが可能である。このため、SiC単結晶から製造した半導体デバイスは、例えば、車搭載用パワーデバイスやエネルギーデバイスとして有望である。
従来のSiC単結晶の成長方法としては、昇華法、アチソン法、液相成長などが知られている。昇華法は、SiCを原料とし、これを加熱し昇華させて低温部に単結晶を析出させる方法である。アチソン法は、炭素と珪石を高温反応させる方法である。液相成長は、炭素坩堝内で珪素を溶解し、高温で炭素と珪素を反応させ、単結晶を析出させる方法である。しかしながら、従来の成長方法には、下記に示すように、様々な問題がある。まず、昇華法では、得られた単結晶にマイクロパイプ、積層欠陥などが多数存在することが知られている。これは、昇華する際、原料が、Si、SiC2、Si2Cとなって気化するため、これらのガス分圧を化学量論的組成に制御することが困難であり、このため前述の欠陥が形成されると考えられる。また、昇華法およびアチソン法では、高温を必要とする。また、液相成長では、珪素溶液中への炭素の溶解量が小さいため大きな結晶を成長させることが困難である。
近年、前述の従来法の問題を解決するために、液相成長方法において、SiとCと遷移金属とを含む原料を溶融して融液とし、前記融液に種結晶を接触させて、SiC単結晶を製造する方法が報告された(特許文献1、2、3)。この方法では、黒鉛坩堝にSi0.8Ti0.2となる組成の原料を入れ、大気圧のAr雰囲気で前記坩堝を1850℃まで加熱して前記原料を溶解させた後、この融液中に黒鉛が溶解するように1850℃で5時間保持し、その後、6H−SiC種結晶を融液中に浸漬し、0.5℃/分の速度で1650℃まで冷却するという方法である。この方法により、732μm厚みのSiC結晶が形成されたことが報告されている。しかしながら、この方法は、結晶成長に高温を要するという問題がある。すなわち、Siの融点が1414℃、Cの融点が3500℃、Tiの融点が1675℃、SiCの融点が2545℃であり、すくなくとも1700℃以上の高温条件が必要となる。特に、Tiなどの遷移金属を用いた場合、融点が高いため、低温での結晶成長が困難である。そのため、低温で生成される2Hや3Cなどの結晶形を得ることが困難である。また、前述のように、昇華法およびアチソン法においても、高温条件が必要となる。一般的には、高品質で大型のSiC単結晶基板を、低コストで製造するためには、結晶育成温度は、1500℃以下の低温条件である必要がある。
そこで、本発明は、低コストで高品質のバルク状の大きな炭化珪素(SiC)結晶を製造可能な炭化珪素(SiC)結晶の製造方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の炭化珪素(SiC)結晶の製造方法は、アルカリ金属融液中において、炭化リチウムから生成した炭素(C)と、シリコン(Si)とを反応させることにより、炭化珪素(SiC)結晶、特に単結晶を生成若しくは成長させることを特徴とする。
このように、本発明の製造方法では、アルカリ金属融液中において、2リチウムアセチリド(Li2C2)等の炭化リチウムを炭素(C)源とし、これから生成した炭素(C)と、シリコン(Si)とを反応させるため、例えば、700℃以上1414℃以下の温度条件であっても、炭化珪素(SiC)結晶の製造が可能である。このため、本発明の製造方法によれば、低コストで高品質なバルク状の大きな炭化珪素(SiC)結晶の製造が可能となる。
本発明の製造方法において、前記炭化リチウムは、特に制限されず、例えば、Li2C2、LiC16、LiC40、LiC12、LiC24、LiC、LiC6、Li3C8およびLi2CHがあげられ、これらは単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。これらの中で、好ましいのは、2リチウムアセチリド(Li2C2)である。
本発明の製造方法において、前記反応が、加熱雰囲気で行われ、前記加熱温度が700℃以上1414℃以下の範囲であることが好ましい。また、本発明の製造方法において、前記反応を、一定時間一定温度に保持して行うことが好ましい。
本発明の製造方法において、前記反応を、タングステン(W)容器または白金(Pt)容器中で行うことが好ましい。
後述のように、前記炭化リチウムは、別途準備して、前記アルカリ金属融液に溶解させてもよいし、前記アルカリ金属融液としてリチウム融液を用い、前記リチウムと炭素を反応させて前記リチウム融液中で炭化リチウムを生成させてもよい。
本発明の製造方法において、前記アルカリ金属融液が、シリコンを含む混合融液であり、前記炭化リチウムを前記混合融液中に溶解させ、前記炭化リチウムから生成した炭素(C)と前記シリコン(Si)とを反応させることが好ましい。この場合、前記炭化リチウムを、不活性ガス雰囲気中で、加熱条件下、LiとCを反応させることにより生成して準備することが好ましい。前記加熱温度は、600℃以上1000℃以下の範囲であることが好ましい。前記不活性ガス雰囲気は、1atm(0.1MPa)未満であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記アルカリ金属融液が、リチウム(Li)融液であり、前記リチウム融液に炭素を加えて炭化リチウムを生成させ、これから生成した炭素(C)とシリコン(Si)とを反応させるという形態であってもよい。なお、前記リチウム融液は、その他の成分を含んでいてもよく、例えば、Li以外のアルカリ金属との混合融液であってもよい。
本発明の製造方法において、前記アルカリ金属融液が、リチウム(Li)とシリコン(Si)とを含む混合融液であり、前記混合融液において、前記リチウム(Li)と前記シリコン(Si)のモル比率を変化させることにより、成長温度を可変し、成長する炭化珪素(SiC)の同質多形を分離して成長させることが好ましい。本発明の製造方法において、製造の対象となる結晶形は、特に制限されず、例えば、6H−SiC、4H−SiC、2H−SiC、3C−SiC等がある。この中で、好ましいのは、2H−SiCである。
本発明の製造方法において、予め準備した炭化珪素(SiC)結晶を種結晶とし、この種結晶を核として新たな炭化珪素(SiC)結晶を成長させることが好ましい。
つぎに、本発明の製造方法の対象になる炭化珪素(SiC)の結晶は、単結晶であることが好ましい。同様に、本発明の炭化珪素(SiC)結晶は、単結晶であることが好ましい。本発明の炭化珪素(SiC)結晶は、前記本発明の製造方法により得られた炭化珪素(SiC)結晶である。この炭化珪素(SiC)結晶は、従来法により製造されたものより、高品質である。また、本発明の炭化珪素(SiC)結晶において、その結晶形は特に制限されず、例えば、6H−SiC、4H−SiC、2H−SiC、3C−SiC等がある。この中で、好ましいのは、2H−SiCである。本発明の炭化珪素(SiC)結晶は、従来の結晶よりも、大型化が可能であり、バルクサイズの結晶も可能である。
つぎに、本発明の炭化リチウムの製造方法は、前記本発明の炭化ケイ素(SiC)結晶の製造方法に使用する炭化リチウムの製造方法であって、不活性ガス雰囲気中で、加熱条件下、LiとCを反応させる製造方法である。この場合、前記加熱温度が600℃以上1000℃以下の範囲であることが好ましく、前記不活性ガス雰囲気が1atm(0.1MPa)未満であることが好ましい。つぎに、本発明の炭化リチウムは、前記本発明の炭化ケイ素(SiC)結晶の製造方法に使用する炭化リチウムである。
つぎに、本発明の化合物半導体は、炭化珪素(SiC)結晶を含む化合物半導体であって、前記炭化珪素(SiC)結晶が、本発明の炭化珪素(SiC)結晶であることを特徴とする。また、本発明の半導体デバイスは、化合物半導体を含む半導体デバイスであって、前記化合物半導体が、本発明の化合物半導体であることを特徴とする。
以下、本発明について、例を挙げて詳細に説明する。
本発明の製造方法において、前記アルカリ金属フラックスは、リチウム(Li)を含むフラックスであることが好ましく、特に好ましくは、リチウム単体のフラックスである。なお、本発明は、これに制限されず、前記フラックスは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムなどのその他のアルカリ金属を含んでいてもよく、アルカリ土類金属(例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)等のその他の元素を含んでいても良い。
本発明の製造方法において、前記結晶の生成若しくは成長が、加熱雰囲気で行われ、前記加熱温度が1500℃以下であることが好ましい。なお、本発明の製造方法において、加熱雰囲気の具体的条件は、例えば、200℃以上1500℃以下の範囲、好ましくは、400℃以上1500℃以下の範囲、より好ましくは、600℃以上1400℃以下の範囲である。また、後述のように、本発明の製造方法において、前記結晶の生成および成長は、加圧雰囲気で行うことが好ましく、この条件は、例えば、0.1MPa以上100MPa以下の範囲、好ましくは、0.1MPa以上10MPa以下の範囲、より好ましくは、0.1MPa以上1MPa以下の範囲である。また、前記結晶の生成若しくは成長は、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましく、より好ましくは、アルゴン(Ar)ガス雰囲気である。
本発明の製造方法において、フラックス成分であるアルカリ金属、珪素(Si)および炭素(C)の割合は、特に制限されない。例えば、フラックス成分としてリチウム(Li)を単体で使用する場合、Li、SiおよびCの割合(mol比)は、例えば、Li:Si:C=1:0.01〜100:0.01〜100であり、好ましくは、Li:Si:C=1:0.01〜10:0.01〜10であり、より好ましくは、Li:Si:C=1:0.01〜1:0.01〜1である。
本発明の製造方法において、前述のように、予め準備した炭化珪素(SiC)結晶を種結晶とし、この種結晶を核として新たな炭化珪素(SiC)結晶を成長させることが好ましい。前記種結晶は、基板状であることが好ましく、この場合、別の材質の基板の表面に薄膜状に炭化珪素(SiC)結晶が形成されたものであってもよい。
つぎに、本発明の製造方法の一例について説明する。
図1に、本発明の製造方法に使用する装置の一例を示す。図示のように、この装置は、ガスタンク11、圧力調節器12、電気炉14および耐熱耐圧容器13、真空ポンプ17から構成されている。前記電気炉14としては、例えば、抵抗加熱ヒータがある。また、前記電気炉14は、断熱材を使用してもよい。前記抵抗加熱ヒータにおいて、1000℃以下で使用する場合は、発熱体としてカンタル線を用いることができるため、装置の構成が簡単になる。また、前記抵抗加熱ヒータにおいて、1500℃まで加熱する場合には、MoSi2などが用いられる。ガスタンク11には、アルゴン(Ar)などの不活性ガスが充填されている。ガスタンク11および真空ポンプ17は、パイプで耐圧耐熱容器13と連結しており、その途中に圧力調節器12が配置されている。圧力調節器12より、ガスタンク11では、例えば、1atm以上100atm以下(約0.1MPa以上10MPa以下)の範囲のガス圧に調整して耐圧耐熱容器13中に供給でき、また真空ポンプ17により減圧することもできる。雰囲気圧力を加圧条件にすることで、フラックス成分であるリチウムの蒸発を抑制することができる。なお、同図において、16はリーク用バルブである。耐圧耐熱容器13は、例えば、ステンレス鋼容器等が使用される。耐熱耐圧容器13は、電気炉14内に配置され、これにより加熱される。耐熱耐圧容器13内には坩堝15が配置され、坩堝材料としてはタングステン(W)や白金(Pt)容器やSUSなどのリチウム金属に耐性のある材料が用いられる。なお、黒鉛坩堝やシリコンカーバイト坩堝等のように、炭素系素材から形成された坩堝を使用してもよい。前記坩堝15中に、原料である2リチウムアセチリド(Li2C2)等の炭化リチウム、金属リチウム(Li)およびシリコン(Si)が配置される。なお、本発明において、その他の成分を配置することもでき、例えば、ドーピング用の不純物を加えてもよい。P型ドーピング材料としてはAlやBがあり、N型ドーピング材料としてはNやPなどがある。
この装置を用いたSiC結晶の製造は、例えば、次のようにして実施することができる。まず、グローブボックスの中で、2リチウムアセチリド(Li2C2)等の炭化リチウムと高純度の金属リチウム(Li)とシリコン(Si)とを秤量して坩堝15内に入れ、この坩堝15を耐圧耐熱容器13内にセットする。シリコンは酸化しやすいので、粉末よりもバルク状のものが望ましい。そして、ガスタンク11から、前記耐熱耐圧容器13内にアルゴンガスを供給する。この際、圧力調節器12により所定の圧力に調節する。そして、電気炉14によって耐熱耐圧容器13内を加熱する。すると、坩堝13内では、リチウムの沸点が1327℃であるため、まずリチウムが溶解してLiとSiの融液が形成される。次に、この融液中に原料である炭化リチウムが溶解し、SiとCが反応して結晶が生成される。融液の温度は、例えば、700℃以上1414℃以下の範囲に保持することができる。また、温度と原料比率を変えることで結晶の多形制御が可能となる。
2リチウムアセチリドを用いた場合のSiC結晶の成長メカニズムは、例えば、つぎのように推察される。すなわち、Li−Si混合融液中において、SiCの溶解度は2リチウムアセチリドの溶解度よりも低いため、2リチウムアセチリドが飽和になるまで液中に溶解しようとする際、液中の炭素濃度はSiCの溶解度に対して過飽和となる。このため、2リチウムアセチリドは連続的に溶解し、SiC結晶へ変換されていくことになる。ただし、このメカニズムは推察であって、本発明をなんら限定ないし制限するものではない。
前記製造例において、雰囲気圧力を増加させることによりさらに融液温度を上げることができ、2リチウムアセチリド(Li2C2)等の炭化リチウムの溶解度を向上させることが可能である。雰囲気圧力は前述のとおりである。雰囲気ガスとしては、Arガス以外に、メタンやプロパンなどの炭化水素ガスなどを用いることもできる。そして、混合融液の温度を一定時間一定に保持することで、SiC結晶を生成若しくは成長させることができる。また、種結晶を使用し、その基板上にエピタキシャル成長させることもできる。
本発明の製造方法において、成長温度をさらに上げることにより、4H−SiCや6H−SiCなどの炭化珪素を従来よりも低温で成長させることができる可能性がある。また、本発明の製造方法において、2H−SiC結晶を選択的に育成するために、例えば、育成温度を制御することが好ましい。2H−SiC結晶を選択的に育成するための育成温度は、例えば、700℃以上1400℃以下の範囲、好ましくは、700℃以上1000℃以下の範囲、より好ましくは、800℃以上1000℃以下の範囲または700℃以上900℃以下の範囲である。なお、2H−SiCは、育成温度に加えまたは育成温度に代えて、その他の条件(例えば、原料組成、フラックス組成、育成時の圧力等)を適宜選択することによっても選択的に育成することが可能である。なお、上記の2H−SiC結晶を選択的に育成するための条件は、例示であり、本発明を限定および制限しない。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記の実施例により限定ないし制限されない。
(実施例1)
本実施例では、図1に示す装置を用い、Ar雰囲気内で2リチウムアセチリド(Li2C2)を合成した。すなわち、まず、イットリア(Y2O3)坩堝15内に、Li:C=5:4(モル比)となるように金属リチウム(Li)0.85g(=0.122mol)と炭素(C)1.20g(=0.100mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器(ステンレス鋼容器、以下同じ)13内に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。次に、電気炉14内の温度を600℃まで加熱し、24時間保持した。その後、室温まで自然冷却させて、目的とする2リチウムアセチリドを得た。この2リチウムアセチリドを図2の写真に示す。この2リチウムアセチリドについてX線回折(XRD)により評価した。図3は、前記X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図3のように、この評価により、2リチウムアセチリド(Li2C2)のピークデ−タと一致する回折ピークが得られた。なお、前記X線源は、特に制限されないが、例えば、CuKα線等が使用できる(以下同じ)。また、前記X線回析に使用する前記第1結晶も特に制限されず、例えば、InP結晶やGe結晶等が使用できる(以下同じ)。
本実施例では、図1に示す装置を用い、Ar雰囲気内で2リチウムアセチリド(Li2C2)を合成した。すなわち、まず、イットリア(Y2O3)坩堝15内に、Li:C=5:4(モル比)となるように金属リチウム(Li)0.85g(=0.122mol)と炭素(C)1.20g(=0.100mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器(ステンレス鋼容器、以下同じ)13内に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。次に、電気炉14内の温度を600℃まで加熱し、24時間保持した。その後、室温まで自然冷却させて、目的とする2リチウムアセチリドを得た。この2リチウムアセチリドを図2の写真に示す。この2リチウムアセチリドについてX線回折(XRD)により評価した。図3は、前記X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図3のように、この評価により、2リチウムアセチリド(Li2C2)のピークデ−タと一致する回折ピークが得られた。なお、前記X線源は、特に制限されないが、例えば、CuKα線等が使用できる(以下同じ)。また、前記X線回析に使用する前記第1結晶も特に制限されず、例えば、InP結晶やGe結晶等が使用できる(以下同じ)。
(実施例2)
本実施例では、図1に示した装置を用い、2リチウムアセチリド(Li2C2)を減圧条件下で製造した。すなわち、まず、イットリア(Y2O3)坩堝15内に、Li:C =6:4(モル比)となるように金属リチウム(Li)0.65g(=0.0929mol)と炭素(C)0.75g(=0.0625mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13内に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換したのち、リーク用バルブ16からロータリーポンプを用い101Paオーダーまで減圧した。次に、電気炉14内の温度を600℃まで加熱し、24時間保持した。その後、室温まで自然冷却させて目的とする2リチウムアセチリドを得た。この2リチウムアセチリドの写真を図4に示す。この2リチウムアセチリドについてX線回折により評価した。図5は、前記X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図5に示すように、この評価により、2リチウムアセチリド(Li2C2)のピークデ−タと一致する回折ピークが得られた。
本実施例では、図1に示した装置を用い、2リチウムアセチリド(Li2C2)を減圧条件下で製造した。すなわち、まず、イットリア(Y2O3)坩堝15内に、Li:C =6:4(モル比)となるように金属リチウム(Li)0.65g(=0.0929mol)と炭素(C)0.75g(=0.0625mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13内に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換したのち、リーク用バルブ16からロータリーポンプを用い101Paオーダーまで減圧した。次に、電気炉14内の温度を600℃まで加熱し、24時間保持した。その後、室温まで自然冷却させて目的とする2リチウムアセチリドを得た。この2リチウムアセチリドの写真を図4に示す。この2リチウムアセチリドについてX線回折により評価した。図5は、前記X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図5に示すように、この評価により、2リチウムアセチリド(Li2C2)のピークデ−タと一致する回折ピークが得られた。
また、Li:C=5:5(モル比)となるように金属リチウム(Li)1.10g(=0.16mol)と炭素(C)1.90g(=0.16mol)をイットリア坩堝内に配置し、上記と同様にして2リチウムアセチリドを製造した。得られた2リチウムアセチリドの写真を図6に示す。この2リチウムアセチリドをX線回折により評価した。図7は、ω/2θスキャンの結果を示すチャートである。図7に示すように、2リチウムアセチリド(Li2C2)のピークと、水酸化リチウムの微弱信号が得られた。また、図6の写真に示すように、この2リチウムアセチリドには一部、黒色粉末が見られた。この粉末のX線回折の結果を図8に示す。図8のようにこの黒色粉末は主に炭素(C)であることが分かった。また、2リチウムアセチリド(Li2C2)の第1ピークである29.5°のピークも検出されたため、2リチウムアセチリドも含まれていることが分かった。炭素が未反応のまま残った原因としては育成中に金属リチウム(Li)が蒸発したためであると推察される。ただし、この推察は、本発明をなんら限定ないし制限しない。なお、本実施例では、600℃で合成を行ったが、さらに高温にすることで反応性が高まり、短時間での合成が可能となる。
(実施例3)
本実施例では、図1で示した装置を用いて、前記実施例1および2で合成した2リチウムアセチリド(Li2C2)を原料にして、つぎのようにして炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si=7:3(モル比)となるように、金属リチウム(Li)0.43g(=0.062mol)、シリコン(Si)0.74g(=0.026mol)、2リチウムアセチリド(Li2C2)0.83g(=0.022mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13内に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。次に、電気炉14内の温度を850℃まで加熱し、育成温度850℃で48時間保持した。その後、室温まで自然冷却した。タングステン(W)坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留リチウム(Li)と2リチウムアセチリド(Li2C2)を除去した。得られたSiC単結晶を、図9(A)および図9(B)の写真に示す。また、得られたSiC単結晶のX線回折評価を行った。図10は、前記X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図示のように3C−SiCの強いピークが得られた。また、微弱ではあるが六方晶の2H−SiCのピークデータと一致する回折ピークが見られた。
本実施例では、図1で示した装置を用いて、前記実施例1および2で合成した2リチウムアセチリド(Li2C2)を原料にして、つぎのようにして炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si=7:3(モル比)となるように、金属リチウム(Li)0.43g(=0.062mol)、シリコン(Si)0.74g(=0.026mol)、2リチウムアセチリド(Li2C2)0.83g(=0.022mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13内に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。次に、電気炉14内の温度を850℃まで加熱し、育成温度850℃で48時間保持した。その後、室温まで自然冷却した。タングステン(W)坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留リチウム(Li)と2リチウムアセチリド(Li2C2)を除去した。得られたSiC単結晶を、図9(A)および図9(B)の写真に示す。また、得られたSiC単結晶のX線回折評価を行った。図10は、前記X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図示のように3C−SiCの強いピークが得られた。また、微弱ではあるが六方晶の2H−SiCのピークデータと一致する回折ピークが見られた。
(実施例4)
本実施例では、図1で示した装置を用いて、前記実施例1および2で合成した2リチウムアセチリド(Li2C2)を原料にして、つぎのようにして炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si=5:5(モル比)となるように、金属リチウム(Li)0.43g(=0.062mol)、シリコン(Si)1.74g(=0.062mol)、2リチウムアセチリド(Li2C2)1.17g(=0.031mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13内に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。次に、電気炉14内の温度を800℃まで加熱し、育成温度800℃で48時間保持した。その後、室温まで自然冷却した。タングステン(W)坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留リチウム(Li)と2リチウムアセチリド(Li2C2)を除去した。得られたSiC単結晶を、図11(A)および図11(B)の写真に示す。また、得られたSiC単結晶のX線回折評価を行った。図12は、前記X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図示のように2H−SiCの強いピークが得られた。
本実施例では、図1で示した装置を用いて、前記実施例1および2で合成した2リチウムアセチリド(Li2C2)を原料にして、つぎのようにして炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si=5:5(モル比)となるように、金属リチウム(Li)0.43g(=0.062mol)、シリコン(Si)1.74g(=0.062mol)、2リチウムアセチリド(Li2C2)1.17g(=0.031mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13内に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。次に、電気炉14内の温度を800℃まで加熱し、育成温度800℃で48時間保持した。その後、室温まで自然冷却した。タングステン(W)坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留リチウム(Li)と2リチウムアセチリド(Li2C2)を除去した。得られたSiC単結晶を、図11(A)および図11(B)の写真に示す。また、得られたSiC単結晶のX線回折評価を行った。図12は、前記X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図示のように2H−SiCの強いピークが得られた。
以上の実施例1から4より、2リチウムアセチリド(Li2C2)がリチウム(Li)とシリコン(Si)の溶液に溶解して炭素(C)を供給し、この炭素(C)と溶液中のシリコン(Si)が反応することで炭化珪素(SiC)が合成されるといえる。なお、一定温度の領域で反応させる場合、成長温度および原料の組成比を変化させることで、炭化珪素のポリタイプを選択的に育成することが可能である。
(実施例5)
本実施例では、図1で示した装置を用い、炭素原(C)としてグラファイトを用い、液相エピタキシャル(LPE)成長により、炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si:C=6.5:3:5(モル比)となるように、金属リチウム(Li)1.14g(=0.163mol)、シリコン(Si)2.10g(=0.075mol)、グラファイト(C)1.49g(=0.124mol)を配置した。また、種結晶として6H−SiC基板を用い、前記基板を前記坩堝15内に配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13中に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。そして、図13のチャート図に示すように、室温(R.T.)から900℃まで加熱し、900℃で2時間保持した後、20時間かけて700℃まで一定速度で温度を下げ、さらに、24時間かけて一定速度で室温まで温度を下げた。坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留物を除去した。得られたSiC単結晶を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像を図14(A)および図14(B)に示す。図14(A)および図14(B)共に、倍率は750倍である。図14(A)に示すように、6H−SiC基板の上に、厚み約30μmのSiCのLPE成長膜が確認できた。なお、同図において、前記基板上の左側が、LPE成長膜(SiC単結晶)であり、右側は雑晶の積層部である。また、図14(B)に示すように、SiC単結晶において120度の角を持つステップが観察された。これらのことから、前記基板上に形成されたSiC単結晶は、六方晶系であるといえる。また、このSiC単結晶について、X線回析を行った。この結果を、図15のチャートに示す。このチャートは、X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。同図において、実線は、得られたSiC単結晶のチャートを示し、点線は6H−SiC基板のチャートを示す。図示のように、得られたSiC単結晶のピーク(矢印A)は、6H−SiC基板のピーク(矢印B)とは異なり、2H−SiC(002)の理論値と略同じピークであった。
本実施例では、図1で示した装置を用い、炭素原(C)としてグラファイトを用い、液相エピタキシャル(LPE)成長により、炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si:C=6.5:3:5(モル比)となるように、金属リチウム(Li)1.14g(=0.163mol)、シリコン(Si)2.10g(=0.075mol)、グラファイト(C)1.49g(=0.124mol)を配置した。また、種結晶として6H−SiC基板を用い、前記基板を前記坩堝15内に配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13中に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。そして、図13のチャート図に示すように、室温(R.T.)から900℃まで加熱し、900℃で2時間保持した後、20時間かけて700℃まで一定速度で温度を下げ、さらに、24時間かけて一定速度で室温まで温度を下げた。坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留物を除去した。得られたSiC単結晶を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像を図14(A)および図14(B)に示す。図14(A)および図14(B)共に、倍率は750倍である。図14(A)に示すように、6H−SiC基板の上に、厚み約30μmのSiCのLPE成長膜が確認できた。なお、同図において、前記基板上の左側が、LPE成長膜(SiC単結晶)であり、右側は雑晶の積層部である。また、図14(B)に示すように、SiC単結晶において120度の角を持つステップが観察された。これらのことから、前記基板上に形成されたSiC単結晶は、六方晶系であるといえる。また、このSiC単結晶について、X線回析を行った。この結果を、図15のチャートに示す。このチャートは、X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。同図において、実線は、得られたSiC単結晶のチャートを示し、点線は6H−SiC基板のチャートを示す。図示のように、得られたSiC単結晶のピーク(矢印A)は、6H−SiC基板のピーク(矢印B)とは異なり、2H−SiC(002)の理論値と略同じピークであった。
(実施例6)
本実施例では、図1で示した装置を用い、炭素原(C)としてグラファイトを用い、つぎのようにして炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si:C=7:3:2.5(モル比)となるように、金属リチウム(Li)1.38g(=0.197mol)、シリコン(Si)2.40g(=0.0857mol)、グラファイト(C)0.855g(=0.0713mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13中に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。そして、室温(R.T.)から800℃まで加熱し、育成温度800℃で48時間保持した後、室温まで冷却した。坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留物を除去した。得られたSiC単結晶を、図16の光学顕微鏡写真に示す。図に示すように、最大径1mmの六方晶のSiC単結晶が得られた。このSiC単結晶について、高分解能(Hi−Resolution)透過型電子顕微鏡(HR−TEM)で観察すると共に、制限視野電子線回析を行った。HR−TEMには、株式会社日立製作所製の電界放射形透過電子顕微鏡(HF−TEM)HF−2100型を用い、倍率150000倍で観察した。また制限視野電子回析は、加速電圧を200kVとし、回析対象面は、結晶表面が(11−20)面である。
本実施例では、図1で示した装置を用い、炭素原(C)としてグラファイトを用い、つぎのようにして炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si:C=7:3:2.5(モル比)となるように、金属リチウム(Li)1.38g(=0.197mol)、シリコン(Si)2.40g(=0.0857mol)、グラファイト(C)0.855g(=0.0713mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13中に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。そして、室温(R.T.)から800℃まで加熱し、育成温度800℃で48時間保持した後、室温まで冷却した。坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留物を除去した。得られたSiC単結晶を、図16の光学顕微鏡写真に示す。図に示すように、最大径1mmの六方晶のSiC単結晶が得られた。このSiC単結晶について、高分解能(Hi−Resolution)透過型電子顕微鏡(HR−TEM)で観察すると共に、制限視野電子線回析を行った。HR−TEMには、株式会社日立製作所製の電界放射形透過電子顕微鏡(HF−TEM)HF−2100型を用い、倍率150000倍で観察した。また制限視野電子回析は、加速電圧を200kVとし、回析対象面は、結晶表面が(11−20)面である。
本実施例のSiC単結晶の高分解能TEM(HR−TEM)の写真を図17に示す。図示のように、HR−TEMでの観察の結果、SiC分子が2層ごとに同様の積層パターンをとる2H構造が確認された。また、本実施例のSiC単結晶の制限視野電子回析パターンの結果を、図18の写真に示す。図示のように、前記制限視野電子線回折パターンも、理論的に予想される2H−SiCの回折パターンと一致した。これらの結果から、本実施例で得られたSiC単結晶は、2H−SiCであるといえる。
(実施例7)
本実施例では、図1で示した装置を用い、炭素原(C)としてグラファイトを用い、つぎのようにして炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si:C=7:3:5(モル比)となるように、金属リチウム(Li)0.717g(=0.102mol)、シリコン(Si)1.23g(=0.0439mol)、グラファイト(C)0.878g(=0.0732mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13中に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。そして、室温(R.T.)から800℃まで加熱し、育成温度800℃で、一定時間保持した後、室温まで冷却した。坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留物を除去した。前記の加熱して一定時間保持した時間(育成時間)は、2時間、12時間、48時間および120時間の4種類である。そして、得られたSiC単結晶の収率(%)を算出した。SiC単結晶の収率(%)は、下記式に示すように、得られたSiC単結晶のモル数(nSiC)を、原料として用いたSiのモル数(nSi)で割ることにより算出した。算出した各育成時間におけるSiC単結晶の収率(%)を、下記の表1に示す。
SiC単結晶の収率(%)=nSiC/nSi×100
本実施例では、図1で示した装置を用い、炭素原(C)としてグラファイトを用い、つぎのようにして炭化珪素(SiC)単結晶を合成した。坩堝材料としては、Liに対して耐性をもつタングステン(W)を用いた。坩堝15内にLi:Si:C=7:3:5(モル比)となるように、金属リチウム(Li)0.717g(=0.102mol)、シリコン(Si)1.23g(=0.0439mol)、グラファイト(C)0.878g(=0.0732mol)を配置した。この坩堝15を耐圧耐熱容器13中に配置した。耐圧耐熱容器13内はAr雰囲気に置換した。そして、室温(R.T.)から800℃まで加熱し、育成温度800℃で、一定時間保持した後、室温まで冷却した。坩堝15内の生成物をエタノールと水で処理し、残留物を除去した。前記の加熱して一定時間保持した時間(育成時間)は、2時間、12時間、48時間および120時間の4種類である。そして、得られたSiC単結晶の収率(%)を算出した。SiC単結晶の収率(%)は、下記式に示すように、得られたSiC単結晶のモル数(nSiC)を、原料として用いたSiのモル数(nSi)で割ることにより算出した。算出した各育成時間におけるSiC単結晶の収率(%)を、下記の表1に示す。
SiC単結晶の収率(%)=nSiC/nSi×100
(表1)
育成時間 2時間 12時間 48時間 120時間
収率(%) 37.1 49.2 52.0 46.2
育成時間 2時間 12時間 48時間 120時間
収率(%) 37.1 49.2 52.0 46.2
前記表1の結果から、本実施例では、育成時間2時間で、略育成が完了しているといえる。
(実施例8)
育成温度を900℃にした以外は、実施例6と同様にしてSiC単結晶を製造した。得られたSiC単結晶について、X線回析を行った。この結果を、図19のチャートに示す。このチャートは、X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図示のように、得られたSiC単結晶のピークは、2H−SiCの理論値と略同じピークであった。
育成温度を900℃にした以外は、実施例6と同様にしてSiC単結晶を製造した。得られたSiC単結晶について、X線回析を行った。この結果を、図19のチャートに示す。このチャートは、X線回析のω/2θスキャン(結晶と検出器を回転)の結果を示すチャートである。図示のように、得られたSiC単結晶のピークは、2H−SiCの理論値と略同じピークであった。
以上のように、本発明の製造方法によれば、低コストでバルク状の大きな高品質の炭化珪素(SiC)結晶を製造可能である。本発明の製造方法により得られた炭化珪素(SiC)結晶は、例えば、車搭載用パワーデバイスやエネルギーデバイス用の半導体デバイスとして好ましく使用でき、その用途は制限されず、広範囲である。
Claims (14)
- 炭化珪素(SiC)結晶の製造方法であって、アルカリ金属融液中において、炭化リチウムから生成した炭素(C)とシリコン(Si)とを反応させることにより、炭化珪素(SiC)結晶を生成若しくは成長させることを特徴とする製造方法。
- 前記炭化リチウムが、Li2C2、LiC16、LiC40、LiC12、LiC24、LiC、LiC6、Li3C8およびLi2CHからなる群から選択される少なくとも一つの化合物である請求の範囲1記載の製造方法。
- 前記炭化リチウムが、2リチウムアセチリド(Li2C2)である請求の範囲1記載の製造方法。
- 前記反応が、加熱雰囲気で行われ、前記加熱温度が、700℃以上1414℃以下の範囲である請求の範囲1記載の製造方法。
- 前記反応を、一定時間一定温度に保持して行う請求の範囲1記載の製造方法。
- 前記反応を、タングステン(W)容器または白金(Pt)容器中で行う請求の範囲1記載の製造方法。
- 前記炭化リチウムを準備し、前記アルカリ金属融液が、シリコンを含む混合融液であり、前記炭化リチウムを前記混合融液中に溶解させ、前記炭化リチウムから生成した炭素(C)と前記シリコン(Si)とを反応させる請求の範囲1記載の製造方法。
- 前記炭化リチウムを、不活性ガス雰囲気中で、加熱条件下、LiとCを反応させることにより生成させて準備する請求の範囲7記載の製造方法。
- 前記加熱温度が、600℃以上1000℃以下の範囲である請求の範囲8記載の製造方法。
- 前記不活性ガス雰囲気が、1atm(0.1MPa)未満である請求の範囲8記載の製造方法。
- 前記アルカリ金属融液が、リチウム(Li)融液であり、前記リチウム融液に炭素を加えて前記炭化リチウムを生成させ、前記炭化リチウムから生成する炭素(C)と、前記シリコン(Si)とを反応させる請求の範囲1記載の製造方法。
- 前記アルカリ金属融液が、リチウム(Li)とシリコン(Si)とを含む混合融液であり、前記混合融液において、前記リチウム(Li)と前記シリコン(Si)のモル比率を変化させることにより、成長温度を可変し、成長する炭化珪素(SiC)の同質多形を分離して成長させる請求の範囲1記載の製造方法。
- 予め準備した炭化珪素(SiC)結晶を種結晶とし、この種結晶を核として新たな炭化珪素(SiC)結晶を成長させる請求の範囲1記載の製造方法。
- 前記炭化珪素(SiC)結晶が、2H−SiCである請求の範囲1記載の製造方法。
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