JP4712446B2 - 熱可塑性樹脂発泡体 - Google Patents

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Description

本発明は熱可塑性樹脂発泡体、さらに詳しくは内部に平均気泡径10μm以下の微細な孔を有する熱可塑性樹脂発泡体に関する。本発明により得られる熱可塑性樹脂発泡体は、高い光反射率と形状保持性を有するともに、室温において深絞り成形加工が可能であるため、電飾看板や照明器具、ディスプレイなどのバックライトや照明ボックス用途などの立体形状の反射板として、好適に用いることができる。
従来、電飾看板や照明器具、ディスプレイなどのバックライトに使用される光反射板として、光を反射する合成樹脂製のフィルムまたはシートを立体的な形状に加工した光反射板が提案されている(例えば特許文献1参照)。
光を反射する合成樹脂製のフィルムまたはシートとしては、内部に微細な気泡または気孔を多数有する熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシート(例えば特許文献2参照)が知られている。
微細な気泡または気孔を多数有する熱可塑性樹脂発泡体は、例えば、溶融状態または固体状態の熱可塑性樹脂に、加圧下で不活性ガスを接触させた後、除圧し、常圧下でその樹脂の軟化温度以上に加熱して発泡させることにより得られる。
得られた熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシートは、平均気泡径が50μm以下と微細であるため、高い反射率を有するとともに、厚さが200μm以上とすることが可能であるため、熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシート単独で立体的な形状に加工が可能である。
しかしながら、上記熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシートを立体的な形状に加工した光反射板は、成形時のひずみや成形後の収縮により作製後に変形が引き起こされる。そこで、上記光反射板の変形を防止する手段として、光反射板に穴あるいはスリット切断部を設けるとともに、金属製ケーシングに爪状折り曲げ部を形成し、光反射板の穴やスリット切断部に金属製ケーシングの爪状折り曲げ部を差し込み、さらに爪状折り曲げ部を折り曲げることにより、反射板と金属製ケーシングとを固定する手段が提案されている(例えば特許文献3)。
特開2002−122863号公報 WO97/01117号パンフレット 特開2004−138715号公報
近年、省電力化が求められており、より高い反射率を有する樹脂のフィルムまたはシートが要求されている。また、特に電飾看板やディスプレイの分野では、省スペース化のニーズが高まっており、光を反射する樹脂のフィルムまたはシートの薄型化が要求されている。
熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシートの光反射率は、一般に単位体積あたりの気泡数が多いほど高い値を示す傾向があり、気泡径を小さくすればするほど樹脂の単位体積あたりに多くの気泡を含有させることができるため高い反射率を達成できる。この結果フィルムまたはシートの薄型化も可能となるため、より微細な気泡または気孔を多数有する熱可塑性樹脂発泡体が求められている。
また、上述した光反射板の変形防止手段は、金属製のケーシングが必要であるため光反射板を薄型化することが難しく、また光反射板と金属製ケーシングとを固定するため加工費が高くなるという欠点や製造に時間がかかるという欠点を有していた。そこで、光反射板の変形を良好に防止することができるとともに、光反射板を薄型化することができ、しかも加工費を安くすることができる技術が求められている。
本発明は、高い反射率と高い形状保持性、更に室温において深絞り成形加工性を兼ね備え、自由に様々な立体形状を有する反射板の作製が可能な熱可塑性樹脂発泡体を提供することを目的とする。
本発明者らは前述した課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂に特定のゴムを添加して発泡させることにより、内部に孔径10μm以下の微細な気泡を有し、形状保持性、室温深絞り成形加工性が良好な熱可塑性樹脂発泡体が得られることを見出した。
すなわち本発明は、
(1)結晶性の熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、官能基を有するゴム(B)10.1〜40質量部が添加されてなり、内部に平均気泡径10μm以下の気泡を有し、前記結晶性の熱可塑性樹脂(A)が、ポリエステルであり、前記官能基を有するゴム(B)のモノマー成分が、少なくともオレフィン系もしくはスチレン系であり、前記官能基が、アミノ基、グリシジル基、カルボキシル基(酸無水物、金属塩となっているカルボキシル基も含む)、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、スルホ基、ニトロ基、ハロゲン基、オキサゾリン基、イソシアネート基、チオール基からなる群より選ばれる1種以上の官能基であることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体、
(2)前記ポリエステルが、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート・テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・ナフタレート、ポリブチレンイテレフタレート・ナフタレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂であることを特徴とする(1)記載の熱可塑性樹脂発泡体、
(3)前記ゴム(B)が、エチレン/プロピレン/ジエンのランダム共重合体、エチレン/ジエン/エチレンのブロック共重合体、プロピレン/ジエン/プロピレンのブロック共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸メチル3元共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/酢酸ビニル3元共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸メチル/酢酸ビニル4元共重合体、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン共重合体)、SEP(スチレン−エチレン/プロピレン共重合体)、SEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレン共重合体)、HSBR(水添スチレン/ブタジエン共重合体)からなる群より選ばれる1種以上の共重合体であることを特徴とする(1)または(2)記載の熱可塑性樹脂発泡体。
(4)結晶性の熱可塑性樹脂(A)と、官能基を有するゴム(B)を含有する樹脂組成物のシートを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して不活性ガスを含有させる工程と、不活性ガスを含有させた樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程からなる製造方法により製造された(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡体、
を提供するものである。
本発明により得られる熱可塑性樹脂発泡体は平均気泡径が10μm以下と微細であるため、光の反射率が高く、シートの薄型化も可能である。また、室温において深絞り成形加工が可能であるため、自由に立体的な形状へ2次加工が簡単にできる。更に加工後は、良好に形状を保持することが可能である。
本発明において用いられる結晶性の熱可塑性樹脂(A)は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリアミド、白発色のリニア型ポリフェニレンサルファイド、シンディオタクチックポリスチレン、ポリエーテルケトン等適宜選択できるが、中でも、ポリエステルが好ましい。なお、本発明において結晶性の熱可塑性樹脂(A)は一種で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
上記、ポリエステルの代表的な例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のほか、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート・テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・ナフタレート、ポリブチレンイテレフタレート・ナフタレート等のような共重合ポリエステルなどが挙げられるが、特にポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
上記官能基を有するゴム(B)としては、側鎖に官能基を有するものであれば特に限定されず、例えば、モノマー成分が、オレフィン系、スチレン系、エステル系、塩化ビニル系である共重合体等を適宜選択でき、側鎖に官能基を有するモノマー成分を共重合したものでも、グラフトして官能基を設けたものでもよい。
中でもモノマー成分としては少なくともオレフィン系もしくはスチレン系である共重合体がより好ましい。なお、本発明においてゴム(B)は一種で用いても、二種以上を用いても良い。
前記のオレフィン系共重合体を構成するオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、イソブチレン、ヘキセン−1、デセン−1、オクテン−1、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられ、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン−1が用いられる。またこれらの成分は単独あるいは2種以上を使用してもよい。
上記のオレフィン系共重合体の代表的な例としては、エチレン/プロピレン/ジエンのランダム共重合体、エチレン/ジエン/エチレンのブロック共重合体、プロピレン/ジエン/プロピレンのブロック共重合体、エチレン/プロピレン共重合体などが挙げられるが、中でもエチレン/プロピレン共重合体が好ましい。
本発明において用いられる官能基を有するゴム(B)として、オレフィン成分とアクリル成分もしくはビニル成分からなる共重合体を使用することができる。
上記のオレフィン成分とアクリル成分、又はビニル成分からなる共重合体の代表的な例としては、エチレン/グリシジルメタアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸メチル3元共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/酢酸ビニル3元共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸メチル/酢酸ビニル4元共重合体などが挙げられるが、中でもエチレン/グリシジルメタアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸メチル3元共重合体が好ましい。
本発明に用いられるスチレン系共重合体としては、スチレン/ジエン/エチレンのブロック共重合体、スチレン/ジエン/プロピレンのブロック共重合体、スチレン/ジエン/スチレンのブロック共重合体であることが好ましく、更に熱安定性を上げるため、水素添加されたものがより好ましい。
本発明に用いられるスチレン系共重合体は、例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン共重合体)、SEP(スチレン−エチレン/プロピレン共重合体)、SEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレン共重合体)、HSBR(水添スチレン/ブタジエン共重合体)などが挙げられ、中でもSEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体)、SEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレン共重合体)がより好ましい。
これらのスチレン系共重合体に官能基が適宜設けられることにより、官能基を有するゴム(B)とされ、例えばジエン成分を一部エポキシ化したもの又はグリシジルメタクリル酸のようなエポキシ含有化合物をグラフト変性したものであってもよい。
本発明において用いられるゴム(B)が有する官能基としては、アミノ基、グリシジル基、カルボキシル基(酸無水物、金属塩となっているカルボキシル基も含む)、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、スルホ基、ニトロ基、ハロゲン基、オキサゾリン基、イソシアネート基、チオール基が挙げられ、結晶性の熱可塑性樹脂(A)との反応性に応じて適宜選択される。
なお、本発明においてゴム(B)は、二種以上を用いても良く、例えば、官能基を有するエチレン/プロピレン共重合体と官能基を有するSEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレン共重合体)、官能基を有するエチレン/プロピレン共重合体と官能基を有するSEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体)、エチレン/グリシジルメタアクリレート共重合体と官能基を有するSEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレン共重合体)、エチレン/グリシジルメタアクリレート共重合体と官能基を有するSEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体)、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸メチル3元共重合体と官能基を有するSEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレン共重合体)、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸メチル3元共重合体と官能基を有するSEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体)の組み合わせが好ましく、特に官能基を有するエチレン/プロピレン共重合体と官能基を有するSEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレン共重合体)、官能基を有するエチレン/プロピレン共重合体と官能基を有するSEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体)の組み合わせがより好ましい。
本発明において、比重が大きくなる、つまり発泡倍率が小さくなると、結果として気泡率の低下による反射率の低下や成形性の低下、軽量化効果の減少につながるのである。結晶性の熱可塑性樹脂(A)としてポリエステルを用いた場合は、熱可塑性樹脂発泡体の比重は0.7以下であることが好ましい。より好ましくは、0.65以下、更に好ましくは0.5以下である。
本発明において、結晶性の熱可塑性樹脂(A)100質量部に対する、官能基を有するゴム(B)の添加量は10.1〜40質量部である。より好ましくは11〜35質量部である。官能基を有するゴム(B)の添加量が10.1〜40質量部であれば、得られる発泡体の気泡径が10μm以下と微細であり、かつ、室温において優れた深絞り成形加工性を有する。添加量、10.1質量部未満では、十分な深絞り成形加工性が期待できず、添加量、40質量部を超えた場合は、耐熱性の低下があり、好ましくない。
本発明において、特性に影響を及ぼさない範囲で、発泡前の熱可塑性に、結晶化核剤、結晶化促進剤、気泡化核剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、相溶化剤、滑剤、強化剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、増粘剤、減粘剤などの各種添加剤を配合しても良い。また、得られた熱可塑性樹脂発泡体に上記添加剤を含有する樹脂を積層しても良いし、上記添加剤を含有する塗料をコーティングしても良い。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体を製造する方法は特に限定されないが、量産性を考慮すると、例えば以下のような方法を用いることが好ましい。
すなわち、結晶性の熱可塑性樹脂(A)と、官能基を有するゴム(B)からなる樹脂シートを作製し、該樹脂シートとセパレータとを重ねて巻くことによりロール形成し、このロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して該樹脂シートに不活性ガスを含有させ、さらに不活性ガスを含有させた該樹脂シートを常圧下で、結晶性の熱可塑性樹脂(A)の軟化温度以上に加熱して発泡させる、という方法が用いられる。
不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどが挙げられる。樹脂シートが飽和状態になるまでの不活性ガス浸透時間および不活性ガス浸透量は、発泡させる樹脂の種類、不活性ガスの種類、浸透圧力およびシートの厚さによって異なる。樹脂へのガス浸透性(速度、溶解度)を考慮すると、二酸化炭素がより好ましい。
なお、この方法では、樹脂シートとセパレータとからなるロールを、加圧不活性ガス雰囲気中に保持して該樹脂シートに不活性ガスを含有させる前に、有機溶剤に含有させてもよい。
有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、アセトン、酢酸、ジオキサン、m−クレゾール、アニリン、アクリロニトリル、フタル酸ジメチル、ニトロエタン、ニトロメタン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。これらのうち、取り扱い性および経済性の観点からアセトンがより好ましい。
本発明においては、ゴム(B)が結晶性の熱可塑性樹脂(A)と化学反応、又は何らかの相互作用を持つ官能基を有していることにより、熱可塑性樹脂(B)がポリエステル(A)中に均一に微分散する。ポリエステル樹脂はガス浸透過程で不活性ガスに誘起されて結晶化するが、微分散したゴム(B)が結晶核生成の起点となり微結晶が生成される、もしくは発泡過程で気泡核生成の起点となる、またはゴム(B)が微細発泡化するなど、いずれかの効果を有しているため、この樹脂シートを発泡させると、内部に平均気泡径10μm以下の微細な孔が均一に存在し、高い反射率を有する発泡体が得られる。
また、結晶性の熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、官能基を有するゴム(B)を10.1〜40質量部添加することにより、気泡の周りに存在するゴム(B)成分によって、発泡体の靭性、又は伸び特性の改善が得られ、室温においての深絞り成形加工が可能な発泡体が得られる。
以下に本発明を実施例によって説明する。なお、得られた熱可塑性樹脂発泡体の各種特性の測定及び評価は以下の通りとした。
(発泡倍率)
水中置換法により測定された発泡体シートの比重(ρf)と発泡前の樹脂の比重(ρs)との比ρs/ρfとして算出した。
(平均気泡径)
ASTM D3576−77に準じて求めた。すなわち、シートの断面のSEM写真を撮影し、SEM写真上に水平方向と垂直方向に直線を引き、直線が横切る気泡の弦の長さtを平均した。写真の倍率をMとして、下記式に代入して平均気泡径dを求めた。
d=t/(0.616×M)
(反射率)
分光光度計(UV−3101PC:島津製作所製)を用いて、550nmの波長における反射率を測定した。なお、表1において、硫酸バリウムの微粉末を固めた白板の拡散反射率を100%として、各々のポリエステル系樹脂発泡体の拡散反射率を相対値で示して
いる。
(室温深絞り加工性)
室温深絞り成形加工性は、50mm×50mm×0.7mmの発泡体シートを油圧式疲労試験機((株)島津製作所製、サーボパルサーEHF−EB5−10L)を用いて、直径20mm、先端半径10mmの先端が丸い棒状のプランジャー(突っ込み棒)によるシート成形品の常温押込み試験を行った。試験条件は温度23℃にて、押込み速度0.1m/分、押込みストローク20mm、試料固定支持台のウィンドウ径30mm(シートを支持台の上に載せ、ウィンドウの周囲を把持板で支持台に固定。よって試料の変形できる領域はこのウィンドウ内の範囲に限られる。)で行った。試験後のサンプルの状態から、下記判断基準にて評価を行った。
○:シートは破損することなく、プランジャーで押し込まれた部分だけがホール状に延伸され、プランジャーの先端形状を型取った薄肉の縁付き帽子状の形態に変形、セットされた。縁部を基点として押し込まれた突起先端部までの高さは約20mm。
×:プランジャーがシートを突き抜けたり、シートに亀裂や破れなどの損傷が生じた。
(形状保持性)
上記の室温深絞り加工評価から得られた立体形状の発泡体成形品を手で持って力を加えて変形の有無を観察し、形状保持性を評価した。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(商品名:SA−1206、ユニチカ社製)に、官能基を有するSEBS(商品名:ダイナロン8630P、JSR社製)を10.1質量部添加して混練した後、0.5mm厚×300mm幅×60m長さのシートに成形した。この樹脂シートと、160μm厚さ×290mm幅×60m長さ、目付量55g/m2のオレフィン系不織布のセパレータ(商品名:FT300、日本バイリーン社製)を重ねて、樹脂シートの表面どうしが接触する部分がないように巻いてロール状にした。
その後、このロールを圧力容器に入れ、炭酸ガスで6MPaに加圧し、樹脂シートに炭酸ガスを浸透させた。樹脂シートへの炭酸ガスの浸透時間は72時間とした。
次に、圧力容器からロールを取り出し、セパレータを取り除きながら樹脂シートだけを160℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分となるように連続的に供給して発泡した。
得られた発泡体の厚さは0.7mmで、全体が均一に発泡しており、平均気泡径が3.0μmと非常に微細であった。発泡体シートの反射率は98.4%と高い値を示した。深絞り成形加工性と形状保持性は良好であった。
(実施例2)
官能基を有するSEBS(商品名:ダイナロン8630P、JSR社製)の添加量を20質量部とした以外は実施例1と同じとした。得られた発泡体の厚さは 0.7mmで、全体が均一に発泡しており、平均気泡径が3.4μmと非常に微細であった。発泡体シートの反射率は 98.3%と高い値を示した。深絞り成形加工性と形状保持性は良好であった。
(実施例3)
官能基を有するSEBS(商品名:ダイナロン8630P、JSR社製)の添加量を30質量部とした以外は実施例1と同じとした。得られた発泡体の厚さは 0.7mmで、全体が均一に発泡しており、平均気泡径が4.0μmと非常に微細であった。発泡体シートの反射率は98.0%と高い値を示した。深絞り成形加工性と形状保持性は良好であった。
(実施例4)
ポリエチレンテレフタレート(商品名:SA−1206、ユニチカ社製)に、官能基を有するEPR(商品名:アドマーSE−800、三井化学社製)を25質量部、官能基を有するSEBC(商品名:Dynaron4630R、JSR社製)を10質量部添加した以外は実施例1と同じとした。得られた発泡体の厚さは0.7mmで、全体が均一に発泡しており、平均気泡径が3.9μmと非常に微細であった。発泡体シートの反射率は98.1%と高い値を示した。深絞り成形加工性と形状保持性は良好であった。
(比較例1)
官能基を有するSEBS(商品名:ダイナロン8630P、JSR社製)の添加量を3質量部とした以外は実施例1と同じとした。得られた発泡体は全体が均一に発泡しており、気泡径が1.8μmと微細で反射率は、98.9%で高いものの深絞り成形加工性は劣っていた。
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレート(商品名:SA−1206、ユニチカ社製)とポリカーボネート(商品名:パンライトK−1300Y、帝人化成社製)との(65/35)混合品にSEBS(商品名:タフテックH1031、旭化成社製)を10質量部、更にイソシアネート化合物(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業社製)を1質量部添加した以外は実施例1と同じとした。得られた発泡体は、均一に発泡しておらず、表面上に巨大気泡が数多く形成され、反射率の測定は困難であった。また、深絞り成形加工性は劣っていた。
Figure 0004712446

Claims (4)

  1. 結晶性の熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、官能基を有するゴム(B)10.1〜40質量部が添加されてなり、内部に平均気泡径10μm以下の気泡を有し、
    前記結晶性の熱可塑性樹脂(A)が、ポリエステルであり、
    前記官能基を有するゴム(B)のモノマー成分が、少なくともオレフィン系もしくはスチレン系であり、
    前記官能基が、アミノ基、グリシジル基、カルボキシル基(酸無水物、金属塩となっているカルボキシル基も含む)、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、スルホ基、ニトロ基、ハロゲン基、オキサゾリン基、イソシアネート基、チオール基からなる群より選ばれる1種以上の官能基である
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体。
  2. 前記ポリエステルが、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート・テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・ナフタレート、ポリブチレンイテレフタレート・ナフタレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  3. 前記ゴム(B)が、エチレン/プロピレン/ジエンのランダム共重合体、エチレン/ジエン/エチレンのブロック共重合体、プロピレン/ジエン/プロピレンのブロック共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸メチル3元共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/酢酸ビニル3元共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸メチル/酢酸ビニル4元共重合体、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン共重合体)、SEP(スチレン−エチレン/プロピレン共重合体)、SEBC(スチレン−エチレン/ブチレン−エチレン共重合体)、HSBR(水添スチレン/ブタジエン共重合体)からなる群より選ばれる1種以上の共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  4. 結晶性の熱可塑性樹脂(A)と、官能基を有するゴム(B)を含有する樹脂組成物のシートを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して不活性ガスを含有させる工程と、不活性ガスを含有させた樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程からなる製造方法により製造された請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体。
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