JP4712203B2 - 腰折れ欠陥のない連続溶融めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続溶融めっき鋼板の製造方法に係り、特に低炭素鋼板(熱延板、冷延板)を母材鋼板とする溶融めっき鋼板の腰折れと称される品質欠陥を抑制防止し得るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
連続溶融めっきライン(図4)において、焼鈍炉(1)から導出された鋼帯Sは、めっき浴(2)に送通されたのち、めっき金属層を凝固するための冷却帯(4)(冷風吹き付け等)を通過する。合金化亜鉛めっき鋼板の製造ラインでは、めっき浴上に配置された合金化処理炉(3)を通った後、冷却帯(4)を通過する。めっき鋼板は、ついでトップロール(5)からデフレクターロール(6)(6)…を介して搬送され、冷却装置(冷却水スプレー等)(7),ドライヤー(8)、スキンパスミル(9)を通り、テンションリール(10)に巻き取られる。スキンパスミル(9)の手前の冷却装置(7)は、めっき鋼板の熱影響でスキンパスミルのロール径が変化するのを防ぐためであり、めっき鋼板は約40-100℃程度に冷却されて調質圧延される。
【0003】
上記溶融めっきラインにおいて、冷却帯(4)を通った後、スキンパスミル(9)に向かうめっき鋼板の搬送工程で問題となるのは、デフレクターロール()()…を通過する際に「腰折れ」と称される品質欠陥(板幅方向に延在するシワ模様として視覚される)が発生し易いことである。「腰折れ」は、中炭素鋼や極低C-Ti添加鋼(所謂IF鋼)を母材鋼板とするものには発生せず、低炭素鋼板(C含有量約0.02〜0.10重量%)を母材鋼板として製造される溶融めっき鋼板に特有の現象である。その発生傾向は母材鋼板が厚板材であるほど、またデフレクターロールが小径であるほど顕著となる。
【0004】
腰折れ現象は、めっき鋼板がデフレクターロールに押し付けられて通過する時の曲げ変形に伴い、母材鋼板の降伏応力(σYP)を越える曲げ応力が作用し降伏伸びが生じることによると考えられている。中炭素鋼を母材鋼板とするめっき鋼板に腰折れを生じないのは、中炭素鋼が高い降伏応力σYPを有するため、鋼板に生じる曲げ応力が降伏応力を越えることがないからであり、IF鋼を母材鋼板とするめっき鋼板に腰折れを生じないのは、この材種は降伏応力は低いものの、降伏伸びを有しないからである。低炭素鋼の場合は、中炭素鋼のような高い降伏強度をもたず、かつIF鋼と異なって比較的高い温度域に亘って降伏伸びが現れるため腰折れを生じ易い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記腰折れ防止対策として、デフレクターロールのロール径を拡大する設備改造によりロール通過時の母材鋼板に生じる歪みを低減する方法、あるいは特開平59-185767号公報に開示されているように複数の小径ロールを組合せてロール径を拡大したのと同様の効果を得ること等が提案されている。しかし、全てのロールを置き代えようとすれば莫大な費用を要し、既設のラインでは改造の実施が制約される場合もある。
本発明は、低炭素鋼板を母材鋼板として製造される溶融めっき鋼板について、設備改造等を要することなく、ライン内におけるめっき鋼板の温度調整により、腰折れ現象を効果的に抑制防止し得る改良された溶融めっき鋼板の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、低炭素鋼からなる母材鋼板を溶融めっき金属浴に導通して鋼板表面にめっき層を形成し、浴上の冷却帯を通過させてめっき層を凝固させた後、デフレクターロールを介してスキンパスミルへ搬送する鋼板搬送工程を有する連続溶融めっき鋼板の製造方法において、第1の製造方法は、めっき鋼板が、デフレクターロール通過時に受ける応力を超える降伏応力として、下記の式[1]に示されるσ YP を保持してデフレクターロールを通過するように、予め求められた母材鋼板の「降伏応力−温度」の関係に基づいて、冷却帯においてめっき鋼板温度を調整することを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の製造方法(請求項2)は、降伏応力が下記の式[1]に示される値(σ YP )に満たずかつ降伏伸びが現れる温度域を除く鋼板温度を維持してデフレクターロールを通過するように、予め求められた母材鋼板の「降伏応力−温度」及び「降伏伸びー温度」の関係に基づいて、冷却帯でめっき鋼板温度を調整することを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、めっき鋼板の板温調整の効果として、第1の方法におけるめっき鋼板は、高い降伏応力を保持した状態でデフレクターロールを通過することにより、腰折れを誘起する降伏伸びを生じず、第2の方法におけるめっき鋼板は、降伏応力が比較的低くかつ降伏伸びが現れる温度域を除いためっき鋼板温度を維持してデフレクターロールを通過することにより、それぞれ腰折れ欠陥を防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の第1の方法(めっき鋼板の降伏応力を高レベルに保持してデフレクターロール通過時の降伏伸びを回避する)について説明する。
デフレクターロール通過時の降伏伸びを回避するということは、具体的には該ロールを通過する際のめっき鋼板に生じる歪み量(ロール周面に沿う曲げ歪みとユニットテンションによる歪み量の和)を弾性域に納めるということであり、これは、母材鋼板の板厚/ロール径の比(t/D)およびユニットテンション(σUT)に応じて、式[1]を満たす降伏応力(σYP)が維持されるように、めっき鋼板の板温を調整することにより達成される。
【0010】
【数1】
σYP>σRS+σUT …[1]
但し、σRS=87.9×10×(t/D)
[式中、
σRS:デフレクターロール通過時の曲げ変形により母材鋼板に生じる応力(MPa)
σUT:ユニットテンション(引張応力)(MPa)
t :母材鋼板の板厚(mm)
D :デフレクターロールのロール径(mm) ]。
【0011】
式[1](σYP>σRS+σUT)の左辺(σYP)は、腰折れを誘起する降伏伸びを生じさせないための母材鋼板が帯有すべき降伏応力の下限値である。式中のσRSは、デフレクターロール通過時の鋼板の曲げ変形により生じる実効曲げ応力(引張応力)であり、その値としてσRS=87.9×10(MPa)×(t/D)を適用することにより、実操業で観察される腰折れ現象の有無とよい対応を得ることができる。
【0012】
図1は、腰折れ防止に必要なめっき母材鋼板の降伏応力(σYP)と、その降伏応力を保持するのに必要な鋼板温度との関係を示している。同図(a)のグラフは、母材板厚/ロール径比(t/D)と必要な降伏応力(σYP)の下限値との関係、同図(b)は、母材鋼板の降伏応力(σYP)と板温(℃)との関係を示している。なお、図1(a)のグラフは、ユニットテンション(σUT)が10.0MPaに設定されている場合のグラフである。この値σUTは、鋼板の板厚、鋼板移送速度等により異なる(一般的に約7〜15MPaの範囲に設定される)ので、図のグラフは、設定されるσUTの値により上下に変位(平行移動)する。
【0013】
いま、めっき鋼板の母材板厚(t)が3.6mm、デフレクターロール径(D)が1600mmである場合を例に挙げて、図1を参照して説明すると、その板厚/ロール径比(t/D)は2.25×10−3(=3.6/1600)であるので、同図(a)から、めっき母材鋼板に必要な降伏応力(σYP)は約210MPa(以上)である。その降伏応力(約210MPa以上)は、同図(b)により、鋼板温度をT℃(以下)とすることにより確保される。すなわち、この例におけるめっき鋼板は、板温をT℃(以下)に調整されることにより、デフレクターロール通過に伴う曲げ変形に拘わらず腰折れを生じることなく搬送することができる。
【0014】
めっき母材鋼板の温度と降伏応力(σYP)との関係は、その化学組成や履歴(熱延鋼板,冷延鋼板の相違)等により異なるが、予め鋼板温度と降伏応力との関係を求めておけば、実操業での板厚/ロール径比(t/D)に対応する鋼板温度の調整を効率よく的確に行なうことができる。
【0015】
図2は、下記の低炭素鋼板A1およびA2について、実測値に基づく降伏応力(σYP)と温度(℃)の関係(同図a:A1冷延板,同図b:A2熱延板)を示している(連続溶融めっきラインの焼鈍炉1、めっき浴2、合金化処理炉3を経由する熱履歴をシミュレートした試験片による)。
【0016】
[低炭素鋼板A1]
C:0.042%,Si:0.006%,Mn:0.30%,P:0.010%,S:0.012%,Al:0.047%,N:0.006%,残部Fe(重量%)。
[低炭素鋼板A2]
C:0.045%,Si:0.004%,Mn:0.25%,P:0.013%,S:0.005%,Al:0.042%,N:0.005%,残部Fe(重量%)。
【0017】
上記低炭素鋼板A1の冷延板を使用しためっき鋼板の腰折れ防止のために、例えば210MPaの弾性限応力を必要とする場合は、図2(a)から、鋼板温度を約230℃(以下)に調整すればよく、また低炭素鋼板A2の熱延板を使用しためっき鋼板の場合は、同図(b)から約240℃(以下)に調整すればよいことがわかる。
【0018】
本発明の第2の方法は、前述のようにめっき鋼板の搬送温度を、降伏応力が式[1]のσ YP (>σ RS +σ UT )に満たずかつ降伏伸びが現れる温度域を除く温度域に調整するものである。低炭素鋼の降伏応力は温度低下に伴い高くなる一方、降伏伸び(YPEL)は温度上昇に伴って減少し一定温度に到達すると生じなくなる。従って、母材鋼板の低炭素鋼について予め「降伏応力−温度」及び「降伏伸び−温度」の関係を求めておき、上記規定の温度域でデフレクターロールを通過するように、めっき鋼板温度を調整することにより、腰折れを生じることなく搬送することができる。
【0019】
図3は、前記の低炭素鋼板A1およびA2について、実測値に基づく降伏伸び(YPEL)と温度(℃)の関係(同図a:A1冷延板,同図b:A2熱延板)を示している(連続溶融めっきラインの焼鈍炉1、めっき浴2、合金化処理炉3を経由する熱履歴をシミュレートした試験片による)。低炭素鋼板A1の冷延板を使用しためっき鋼板の降伏伸びは、同図(a)から、鋼板温度約260℃(以上)で現れなくなり、また低炭素鋼板A2の熱延板を使用しためっき鋼板では、同図(b)から約280℃(以上)で現れなくなることがわかる。
【0020】
この第2の方法(めっき鋼板の搬送温度を、降伏伸びが比較的低くかつ降伏伸びが現れる温度域を除く温度域に調整)において、めっき鋼板を高温側(降伏伸びYPELが消失する温度域)に維持して通板する場合の腰折れ防止効果は、板厚/ロール径比(t/D)やユニットテンション(σUT)の大きさとは無関係であるので、第1の方法を適用することが困難ないし不可能な搬送条件、特に板厚/ロール径比(t/D)が大きく(約2.8×10-3以上)、降伏伸びの回避に必要な高降伏応力を確保し難い場合に有効である。
【0021】
例えば、母材鋼板の板厚(t)が5.0mm、デフレクターロール径(D)が1600mm(t/D=約3.1×10 -3 である場合において、第1の方法で腰折れを防止しようとすれば、母材鋼板の降伏応力(σYP)は280MPa以上であることを要する。しかし低炭素鋼板にこのような高い降伏強さをもたせることは困難ないし不可能である(前記低炭素鋼板A1およびA2のσYPは約260MPaを越えない)。そこで、第1の方法に代えて第2の方法を適用し、めっき鋼板の搬送温度を所定の温度域(降伏応力が式[1]のσ YP に満たずかつ降伏伸びYPELが現れる温度域を除く温度域)に調整することにより、例えば低炭素鋼板A1では約260℃以上(図3(a))、低炭素鋼板A2では280℃以上( 図3(b))に保持してやれば、降伏伸びを解消し腰折れの発生を回避することが可能となる。
【0022】
なお、第2の方法により調整されるめっき鋼板温度は、式[1]に示されるようにデフレクターロール径(D)、ユニットテンション(σUT )および鋼板の板厚(t)等に依存するほか、母材鋼板の性状(化学組成,熱延/冷延の相違等)により異なるので、具体的な温度域はこれらの諸条件のもとに決定される。降伏伸びが現れない温度域を採択する場合、降伏伸び解消温度(TYPEL=0)はその化学組成,熱延/冷延の相違等により変動するが、約280℃以上の温度域では低炭素鋼の具体的材種の全般に亘って降伏伸びのない状態に維持することができ、従って第2の方法は、母材鋼板の組成や板厚/ロール径比(t/D)の如何に拘わらず適用可能である。
【0023】
本発明におけるめっき鋼板の板温調整は冷却帯(4)において行なわれる。冷却帯(4)でめっき鋼板を強制冷却している本来の目的は、鋼板表面のめっき金属層を凝固させロール表面に付着するのを防止することにあり、例えば亜鉛めっき鋼板の場合は約380℃(以下)に、アルミニウムめっき鋼板では約480℃(以下)に冷却される。従って、この温度条件を満たしつつ、腰折れ防止(降伏伸びの回避)を目的とする本発明の板温調整は制約を受けることなく実施でき、またその温度調整の実施はめっき品質に悪影響を及ぼすこともない。
【0024】
本発明が適用される溶融めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板等の各種めっき鋼板を包含するものであり、低炭素鋼(母材鋼板)は、下記の化学組成を有する鋼板を包含している(成分含有量は重量%)。
C:0.020-0.10%,Si:0.4%以下,Mn:0.05-0.60%,P:0.040%以下,S:0.030%以下,Al:0.005-0.10%,N:0.020%以下,残部Fe。
【0025】
【実施例】
連続溶融めっきライン(図4)において低炭素鋼板A1及びA2を母材鋼板とし合金化溶融亜鉛めっき鋼板(合金化処理温度:約450-550℃)を製造する。
【0026】
(1)母材鋼板
低炭素鋼板A1(冷延板)
▲1▼組成(wt%):C0.042%,Si0.006%,Mn0.30%,P0.010%,S0.012%,Al0.047%,N0.006%,残部Fe。
▲2▼降伏応力-温度の関係:図2(a)参照。
▲3▼降伏伸び-温度の関係:図3(a)参照。
【0027】
低炭素鋼板A2(熱延板)
▲1▼組成(wt%):C0.045%,Si0.004%,Mn0.25%,P0.013%,S0.005%,Al0.042%,N0.005%,残部Fe。
▲2▼降伏応力-温度の関係:図2(b)参照。
▲3▼降伏伸び-温度の関係:図3(b)参照。
【0028】
[実施例1](第1の方法)
母材鋼板がデフレクターロール通過の際に腰折れを生じない高い降伏強さを保持して搬送されるように、冷却帯(4)における風量制御によるめっき鋼板の温度調整を実施。ユニットテンション(σUT)は10MPaに調整。
表1に、搬送条件および製品めっき鋼板品質を示す。「腰折れ欠陥」欄の〇印は腰折れ発生なし、×は腰折れ発生を意味している。なお、「板温」欄はデフレロール入側(図4,P1位置)における鋼板温度の測定値(接触温度計による)を示し、「めっき品質」欄の〇印は、めっき品質(合金化度等)に異常のないことを表している。
【0029】
【表1】
Figure 0004712203
【0030】
表1に示したように、発明例(No.11-14)は、比較例(No.101,102)と異なって腰折れのない健全性を有している。めっき品質,機械性質等も確保されている。発明例における腰折れ防止は、板温調整(低温化)の効果として、デフレクターロール通過時の応力を超える高い降伏強さを保持した状態で鋼板の搬送が行なわれたからであり、比較例の腰折れの発生は、板温調整が十分でなく、デフレクターロール通過時の降伏強さが不足(降伏伸び発生)していることによる。
【0031】
[実施例2](第2の方法)
降伏応力(σ YP )が比較的低くかつ降伏伸び(YPEL)が現れる温度域を除く温度域として、降伏伸びのない温度域に保持されてデフレクターロールを通過するように、冷却帯(4)における風量制御によるめっき鋼板の温度調整を実施。ユニットテンション(σUT)は10MPaである。表2に、搬送条件および製品めっき鋼板品質を示す。表中、「板温」欄は、デフレクターロール出側(図4,P2位置)における測定値(接触温度計による)を示している。「腰折れ欠陥」および「めっき品質」欄の記号は前記表1のそれと同じである。
【0032】
【表2】
Figure 0004712203
【0033】
表2に示したように、発明例(No.21-24)のめっき鋼板は、降伏伸びのない温度域に保持されて搬送されていることにより、腰折れ欠陥のない健全性を有している。めっき品質及び機械的性質も十分である。他方、比較例(No.201-204)のめっき鋼板の搬送温度は、降伏伸びを有する温度域であり、しかもその板温における降伏強さはデフレクターロール通過時に加わる応力より低く、結果として降伏伸びによる腰折れ発生をきたしている。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、低炭素鋼を母材鋼板とする溶融めっき鋼板(亜鉛めっき鋼板,合金化亜鉛めっき鋼板,アルミニウムめっき鋼板等)の腰折れ欠陥を、めっき鋼板の板温調整という、既設ライン設備でも実施容易な措置により防止し、めっき品質、製造歩留りを高めることができ、ラインの設備改造(莫大な費用を要する)を必要とせず、従って自動車,各種産業機械,建材,家具等の各種分野で広く使用されている溶融めっき鋼板の品質向上、製造コストの低減に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の方法における、板厚/ロール径比(t/D)と鋼板温度の関係を示す説明図である。
【図2】めっき母材鋼板の降伏応力(σYP)と板温との関係の一例を示すグラフである(同図(a):低炭素鋼A1冷延板、同図(b):低炭素鋼A2熱延板)。
【図3】めっき母材鋼板の降伏伸び(YPEL)と板温との関係の一例を示すグラフである(同図(a):低炭素鋼A1冷延板、同図(b):低炭素鋼A2熱延板)。
【図4】連続溶融めっきラインを模式的に示す図である。
【符号の説明】
1:焼鈍炉
2:溶融めっき金属浴
3:合金化処理炉
4:冷却帯
5:トップロール
6:デフレクターロール
7:冷却装置
8:ドライヤー
9:スキンパスミル
10:テンションリール

Claims (4)

  1. 低炭素鋼の母材鋼板を溶融めっき金属浴に導通して鋼板表面にめっき層を形成し、浴上の冷却帯を通過させてめっき層を凝固させた後、デフレクターロールを介してスキンパスミルへ搬送する連続溶融めっき鋼板の製造方法において、
    デフレクターロールを通過するめっき鋼板の板温が、下式を満たす降伏応力(σ YP )に対応する温度域に維持されるように、予め求められた母材鋼板の「降伏応力−温度」の関係に基づいて、冷却帯においてめっき鋼板温度を調整することを特徴とする連続溶融めっき鋼板の製造方法。
    【数1】
    σYP>σRS+σUT
    但し、σRS=87.9×10×(t/D)
    [式中、
    σRS:デフレクターロール通過時の曲げ変形により母材鋼板表面に生じる応力(MPa)
    σUT:ユニットテンション(MPa)
    t :母材鋼板の板厚(mm)
    D :デフレクターロールのロール径(mm) ]。
  2. 低炭素鋼の母材鋼板を溶融めっき金属浴に導通して鋼板表面にめっき層を形成し、浴上の冷却帯を通過させてめっき層を凝固させた後、デフレクターロールを介してスキンパスミルへ搬送する連続溶融めっき鋼板の製造方法において、
    降伏応力が下式の値(σ YP )に満たずかつ降伏伸びが現れる温度域を除くめっき鋼板温度を維持してデフレクターロールを通過するように、予め求められた母材鋼板の「降伏応力−温度」及び「降伏伸び−温度」の関係に基づいて、冷却帯においてめっき鋼板温度を調整することを特徴とする連続溶融めっき鋼板の製造方法。
    【数1】
    σYP>σRS+σUT
    但し、σRS=87.9×10×(t/D)
    [式中、
    σRS:デフレクターロール通過時の曲げ変形により母材鋼板表面に生じる応力(MPa)
    σUT:ユニットテンション(MPa)
    t :母材鋼板の板厚(mm)
    D :デフレクターロールのロール径(mm) ]。
  3. 板厚/ロール径比(t/D)が2.8×10−3以下である請求項1又は2に記載の連続溶融めっき鋼板の製造方法。
  4. 母材鋼板が、重量%で、C:0.02〜0.10%,Si:0.4%以下,Mn:0.05〜0.60%,P:0.04%以下,S:0.03%以下,N:0.020%以下,Al:0.005〜0.10%,残部Feからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続溶融めっき鋼板の製造方法。
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