JP4428039B2 - 溶融めっき金属帯の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融めっき金属帯の製造方法に関する。
鋼帯などの金属帯を連続してめっきする方法として、金属帯を亜鉛、アルミニウムなどの溶融金属中に浸漬してめっきを施す溶融めっき法が知られている。
図4に、従来の連続溶融めっき金属帯製造装置を示す。
冷間圧延後の鋼帯などの金属帯1は、無酸化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉2で焼鈍されるとともに、その表面の清浄化や酸化膜除去が行われた後、スナウト3を経て溶融金属浴槽4内の溶融金属浴5に連続的に引き込まれてめっきされ、シンクロール6により方向転換され、サポートロール7を経て溶融金属浴5から引き上げられた後、溶融金属浴5上に設置されたガスワイピングノズル(ワイパ)8から吹き出す高圧ガスにより金属帯1表面に余剰に付着した溶融金属が払拭されて所定のめっき付着量に調整される。
続くプロセスでは、用途に応じて、例えば(1)合金化炉14を使用して金属帯1を再加熱し均質な合金層を作り出す合金化処理、(2)調質圧延機16による調質圧延及び/又はレベラー17による形状矯正、(3)化成処理設備18で表面処理等の1以上の処理が施され、コイルに巻き取られる。このようにして溶融めっき金属帯が製造される。
この溶融めっき法は、他のめっき方法である電気めっき方法と比較した場合、安価にめっき金属帯を製造することができ、容易に厚めっきの金属帯を製造することができる等の多くの特長を有している。しかしながら一方では、溶融めっき法では溶融金属浴5中でドロスと呼ばれる不純物が発生し、それが金属帯1やシンクロール6、サポートロール7などの浴中機器に付着することで金属帯1に欠陥を発生させ、この結果、最悪の場合には著しい歩留まり低下につながることもある。
また、溶融金属浴5中に設置されるシンクロール6、サポートロール7などの浴中ロールは、常時高温の過酷な環境にさらされるため回転不良などのトラブルを生じ易く、このトラブルが原因となって金属帯1に欠陥などの品質不良を発生させることもある。このため、従来の溶融めっき金属帯の製造においては、定期的にラインを停止して前記浴中ロールの手入れや交換を行わなければならず操業効率を大きく低下させている。
サポートロール7に起因する問題やドロス欠陥の問題を解決するため、本出願人は、溶融金属浴5中のサポートロール7を取り外し、ワイパ8の直前または直後で金属帯1の幅方向の反りを磁力により非接触で矯正する方法や溶融金属浴5内に金属帯1を囲むように囲み部材を設けてドロス欠陥の発生を防止する方法を提案した(特許文献1参照)。
しかしながら、サポートロールを取り外したために、焼付硬化性を付与した降伏点伸びを有する金属帯では、腰折れと呼ばれる表面欠陥が発生し易くなるという問題が新たに発生した。
この腰折れは、サポートロールを用いた従来の操業でも、操業条件や鋼種によっては発生する場合がある。それゆえ、歩留まりを向上させ、安定操業を実現するためには、サポートロール有無や金属帯の材料特性にかかわらず、腰折れ発生のしにくい溶融めっき金属帯の製造技術が要望されている。
以下に、先行技術文献情報について記載する。なお、特許文献2〜4及び非特許文献1については、説明の都合上、[発明を実施するための最良の形態]の項において説明する。
特開2002-339051号公報(第1-3頁、図1、図10) 特公平7-94704号公報(第1-3頁、第1図) 特開平10-130801号公報(第1-4頁、図1) 特開2000-204460号公報(第2頁、図1) 西村一実、他3名、"溶融亜鉛めっき反応に及ぼす熱延鋼板の表面状体の影響"、鉄と鋼、日本鉄鋼協会、1993年、79巻、第2号、p.187-193
本発明は、溶融金属浴中のサポートロールの有無にかかわらず、腰折れの発生しにくい溶融めっき金属帯の製造方法を提供することを目的としている。
この目的は、以下の手段によって達成される
1発明は、金属帯を焼鈍する焼鈍工程と、
前記金属帯に塑性歪を付与する予歪付与工程と、
前記金属帯をめっき金属である溶融金属浴内に浸漬させて溶融金属を付着させる付着工程と、
前記金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭、付着量を調整する調整工程と、
この順に有する溶融めっき金属帯の製造方法において、
前記予歪付与工程で付与する表面塑性歪量(A0)と、腰折れ発生箇所で残留する表面塑性歪量(A)との関係を求め、予歪付与工程は、前記関係を用いて腰折れ発生箇所で残留させる表面塑性歪量(A)が0.1%以上となる表面塑性歪量(A0)を付与することを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法である。
2発明は、第1発明において、前記予歪付与工程は、腰折れ発生箇所で残留させる表面塑性歪量(A)が0.1%以上1.5%以下となる表面塑性歪量(A0)を付与することを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法である。
3発明は、第1又は第2発明において、前記予歪付与工程で付与する表面塑性歪量(A0)は、下記(1)式を用いて、腰折れ発生箇所で残留させる表面塑性歪量(A)が第1又は第2発明範囲を満足するように決定することを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法。
A0=A/[exp(-t*b*exp(a*T))]…(1)
但し、
A0;予歪付与工程で付与する表面塑性歪量
A;腰折れ発生箇所で残留させる表面塑性歪量
t;予歪付与工程から腰折れ発生箇所までの金属帯通板所要時間、
T;予歪付与工程−腰折れ発生箇所間の平均金属帯温度
a、b;鋼種により決定される係数金属帯を焼鈍する焼鈍工程と、
4発明は、第1〜第3発明において、前記腰折れ発生箇所はシンクロールであることを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法である。
本発明によれば、溶融金属浴中のサポートロールの有無にかかわらず、腰折れの発生しにくい溶融めっき金属帯を製造できる。
焼付硬化性を付与した溶融亜鉛めっき鋼帯のような、常温で降伏点伸びを有する溶融亜鉛めっき鋼帯を製造しようとすると、主として溶融亜鉛浴槽内またはその下流側にある設備を通過する際に、「腰折れ」と呼ばれる歪模様がその表面に発生する場合があった。この欠陥は調質圧延により目立たなくすることが可能であるが、鋼帯を最終製品へプレス加工する時などに再び顕在化することがあるため、用途によっては製品の歩留りを大きく低下させることが判明した。この腰折れは、サポートロールを取り外した場合に特に顕著であるが、鋼種や、鋼帯サイズ等の条件によっては、サポートロールがある場合にも発生することがわかった。
本発明者は、こうした腰折れの原因およびその防止策について検討した結果、以下の知見を得た。
1)鋼帯は、連続溶融めっき鋼帯製造装置内を通過するとき、種々の温度域でロールにより曲げ応力を受けるが、降伏点伸びがある鋼帯の場合、その応力が鋼帯の降伏応力を超えると、鋼帯の曲げ部分が局所的に降伏し、腰折れとなる。
2)腰折れは、ある温度T1(しきい温度T1と呼ぶ)より低い温度域で発生し、このしきい温度T1以上では発生しない。しきい温度T1は、温度を変えて引張試験を行ったときに降伏点伸びのなくなる温度に一致するので、しきい温度T1以上では局所的な歪集中が回避されて、腰折れの発生が抑制されると考えられる。通常の鋼帯では、しきい温度T1は、高々500℃程度である。
3)一般に、室温では、鋼帯に予め歪を加えておけば、その後加工を受けても腰折れが発生し難くなることが知られているが、鋼帯に上述したしきい温度T1以上で予め歪を付与しても、同様な効果が得られる。すなわち、その後しきい温度T1より低い温度で鋼帯を加工しても腰折れが発生しない。しかし、例えば650℃を超える高温で歪を付与すると腰折れ発生を抑制する効果は減少するが、シンクロール直前で歪を付与した場合、腰折れ発生を抑制する効果の減少量は小さい。これは高温では歪が回復してしまうが、歪付与後の高温温度域が短時間ならその回復量は相対的に小さいことに起因しているものと考えられ、歪の回復は拡散と相似の現象であると思われる。
以上の知見から、発明者は、腰折れ発生箇所がシンクロールである場合、シンクロール通過時に塑性歪を残留させるように、焼鈍後溶融金属浴の上流で、歪を与えれば、腰折れを防止できるとの考えに至った。ここで、シンクロール部での残留歪を考慮するのは、シンクロール以前は、金属帯温度はしきい温度T1以上であり、腰折れは発生する可能性がなく、またシンクロール以後では基本的に金属帯温度はしきい温度T1以下である(合金化でT1以上となる場合もあるが、時間は2〜3秒程度で短時間である)ため、歪の回復量は無視できるためである。
歪の回復量について、曲げ試験機を使用して、高温の鋼帯に対して所定の鋼帯温度で所定量の歪を付与し、所定の時間放置して室温まで冷却し、残留歪量を求めることで表1の結果を得た。ここで、付与した歪量(初期歪量)、及び残留歪量は次のようにして求めた。
(i)初期歪量(予歪量)
曲げ試験機を用いて、押し込み治具で材料の両支点の中間を荷重Pで押し込む3点曲げ試験(図5参照)を行い、そのときの材料の曲率ρを測定する。このとき、h:材料厚さ、R:材料の曲率半径、ρ:材料の曲率、ε0:表面歪量とすると、表面歪ε0は、ε0=h/2R=ρh/2で表される。曲率ρを測定すれば、表面歪量ε0が得られる。曲率ρは曲げ試験時の材料の画像をデジタル処理することで求める。
また、εoe:表面弾性歪量とすると、表面塑性歪量εopは、εop=ε0-εoeから求められる。εoe=σ/E(但し、σ:降伏応力、E:ヤンク゛率)の関係があるので、表面弾性歪量εoeを別途引張試験等で求めておく。前記で求めた表面歪量ε0及び表面弾性歪量εoeから表面塑性歪量εop(初期歪量)を求める。
(ii)残留歪量
歪回復量は残留応力の変化率を求めることで算出する。
残留応力は次の方法で求める。平行ビーム法によるX線回折装置で、Crターゲットを用い、半価幅中点法によりFeの(211)面のX線ピーク位置のズレを検出し、残留応力を求める。具体的には、種々のφ(試料面法線と結晶面法線とのなす角度)角度の回折角θの変化を測定し、応力に換算すれば回折角θと応力σの関係は下式で表される(非特許文献1参照)。
そこで、高温の鋼帯に付与した初期歪に対応する残留応力(σ0)、室温に冷却後の鋼帯の残留応力(σR)を測定し、残留応力の変化率(σR/σ0)を求める。残留表面塑性歪量εRは、εR=ε0×(σR/σ0)から求める。
このラボ試験の結果、および拡散現象と相似が成り立つこと、歪導入(予歪付与)後の時間が0秒、∞秒のときの残留歪量の境界条件より、歪の回復量の式は、下記(1′)式で表されることが分かった。
A=A0*exp(-t*b*exp(a*T))…(1′)
但し、
A0;予歪付与工程で付与する表面塑性歪量(%)
A;予歪付与後の経過時間t(秒)において残留する表面塑性歪量(%)
t;予歪付与後の経過時間(秒)
T;予歪付与時〜経過時間t間の平均金属帯温度(℃)
ここで、a、bは鋼種により決定される係数であり、表1の場合、a=0.032/℃、b=1×10-10/秒である。aは歪が移動/拡散するための活性化エネルギーに関係する定数、bはその拡散係数に関係する量である。
予歪付与時−経過時間t間の平均金属帯温度Tは、予歪付与温度をTa、経過時間tの金属帯温度をTbとした場合、予歪付与時−経過時間t間の平均金属帯温度Tは、近似的に(Ta+Tb)/2から求めることができる。従って、予め鋼種毎に、前記の関係式を求めておくことで、予歪付与工程で付与した表面塑性歪量A0と、所定時間経過後に残留する表面塑性歪量Aの対応関係を知ることができる。
腰折れ防止が表面塑性歪量で規定できるのは、以下のように推定している。すなわち、
(i)自由に動ける転位(可動転位)は、トータルの転位量(固着転位を含めた転位量)に比例して増加する。
(ii)可動転位が、連続的な塑性変形に寄与(すなわち腰折れが発生しにくくなる)、固着転位は、降伏点伸びをおこすため、腰折れを誘発する。
(iii)表面塑性歪量はトータル転位量に比例する。
以上、(i)〜(iii)より、表面塑性歪量が腰折れ抑制のポイントとなることがわかる。
腰折れ発生箇所がシンクロールである場合、予歪付与工程で付与する表面塑性歪量をA0、シンクロール部で腰折れ防止のために残留させるべき表面歪量をA、予歪付与工程からシンクロール部までの金属帯通板所要時間をt、予歪付与工程とシンクロール部間の平均金属帯温度をTとすると、上記(1′)式に基き、予歪付与工程で付与する表面塑性歪量A0は、下記(1)式から求めることができる。
A0=A/[exp(-t*b*exp(a*T))]…(1)
そこで発明者はシンクロール部で残留している歪量を種々変えて、腰折れ程度を調査した結果、後記実施例で記載の表3の結果を得た。腰折れ程度は、自動車ドアパネルのプレスを模したプレス試験を行った後目視観察し、腰折れの程度に応じて0-5の6段階で評価されている。ここで、腰折れ程度は0(発生なし)が最良で、数字が大きいほどその程度が悪くなる。自動車外板などの用途では腰折れ程度は1以下、自動車内板などの用途では2以下が望ましい。
この結果から、シンクロール部で腰折れ防止に必要な表面塑性歪量は0.1%以上であることがわかる。0.1%以上が必要なのは、これ以下では、十分に可動転位が増えないことから、連続降伏にならないために、腰折れを抑制できないのではないかと推定している。
前記(1)式を用いることで、シンクロール部で残留する表面塑性歪量Aを0.1%以上にするのに必要な予歪付与工程で付与する表面塑性歪量A0を求めることができる。
すなわち、予歪付与工程で付与する表面塑性歪量A0は、下記(2)式を満足するように決定すればよい。
0.1≦A0*[exp(-t*b*exp(a*T))]…(2)
また、本発明では、腰折れ発生箇所で残留すべき表面塑性歪量を1.5%以下に限定した。これは、1.5%以上の表面塑性歪を付与すると材質が変化する場合がある、設備的に過大になる、抑制効果は1.5%以下でも十分であるためである。
この場合、予歪付与工程で付与する表面塑性歪量A0は、下記(3)式を満足するように決定される。
0.1≦A0*[exp(-t*b*exp(a*T))]≦1.5…(3)
なお、係数a、bは鋼種毎に予め求めておく。予歪付与工程における金属帯温度Taとシンクロール部における金属帯温度Tbに基き、予歪付与部とシンクロール部間の平均金属帯温度Tは(Ta+Tb)/2から容易に求まる。ここで、予歪付与工程における金属帯温度Taは当該位置における金属帯温度の設定値、またはそれに代えて当該位置における金属帯温度の測定値を用い、シンクロール部における金属帯温度は、めっき浴温の設定値またはそれに代えてめっき浴温の測定値を用いればよい。また、予歪付与部からシンクロール部までの金属帯通板所要時間tは、金属帯通板速度に基き容易に求まる。
実操業においては、加熱冷却条件の変動、ライン速度の若干の変動があり、また同一鋼種であっても鋼成分組成はある範囲内で変動するので、これらの変動があっても前記(2)式又は(3)式を満足するように予歪付与工程で表面塑性歪を付与すればよい。
以上、腰折れ発生箇所がシンクロールの場合を説明したが、シンクロール以外のロールで腰折れが発生する場合、当該ロール部において残留する表面塑性歪量(A)を0.1%以上、又はさらにその上限を1.5%以下とすることで当該ロールによる腰折れの発生を防止できる。また、そのために予歪付与工程で付与すべき予歪量(A0)は、前記(1)式において、腰折れ発生箇所で腰折れ防止のために残留させるべき表面歪量をA、予歪付与工程から腰折れ発生箇所までの金属帯通板所要時間をt、予歪付与工程と腰折れ発生箇所間の平均金属帯温度をTとすることで、前記(2)式又は(3)式を用い、前記と同様に決定される。
歪を付与する方法であるが、塑性歪は1回で付与する必要はなく、複数回に分けて付与しても良い。複数回に分けて歪を付与する場合は、塑性歪量は各回に付与した塑性歪量(表面塑性歪量)の和となる。また、付与する歪は圧縮歪でも引張歪でもよく、両者が混在する場合の塑性歪量はその総和となる。これは、前述した通り、腰折れ発生防止メカニズムが圧縮、引張には無関係の転移に起因しているためと推察される。歪を付与する方法は、2本以上のロールを用いて、ロールをパスライン直角方向へ押込み、曲げ加工するのが好適である。ロールで曲げ加工する場合、少なくとも1本のロールで付与される金属帯の曲率半径が400mm以下となるようにロール径を選定し、該ロールの押し込み量を調整して金属帯を曲げ加工することが好ましい。
付与される表面塑性歪量は、金属板の曲げ曲率で決定され、曲げ曲率は、隣り合うロール同士の金属帯通板方向間隔、ロール径とその押込み量(パスラインを超える押し込み量)を制御することで制御できる。なお、鋼種等の金属帯材質、板厚、温度等の操業変数、隣り合うロール同士の金属帯通板方向間隔、ロール径、ロールの押し込み量等と、付与される表面塑性歪量の関係を予め求めて、対応表を作成しておき、この対応表に基き、操業変数値に応じて、ロールの押し込み量を設定する。
また、縦型焼鈍炉ではハースロールが存在するが、その外径は通常800mm以上であり、表面塑性歪量は0.05%を上回らない。したがって、一般的な焼鈍炉におけるハースロールでは実質的に腰折れを抑制するに十分な塑性歪を付与することはできず、本発明の予歪付与工程とはいえない。
特許文献2、特許文献3、特許文献4などには、溶融めっき鋼帯製造装置内でロールにより鋼帯を曲げ加工することが記載されているが、いずれも溶融亜鉛浴中にはサポートロールが存在することが前提になっており、サポートロールの使用が必須でない本発明とは課題や構成要件が異なる。
すなわち、特許文献2の方法は、外径50〜500mmのロールで曲げ加工してから鋼帯を焼鈍し結晶粒径を整え、溶融亜鉛浴中の固液反応およびそれに続くFe-Zn合金化反応を均一に進ませ、合金化処理で発生する表面凹凸欠陥を防止する方法であり、焼鈍前に曲げ加工を付与している。
特許文献3の方法は、曲げ半径300mm以下で曲げ・曲げ戻し加工を施し、鋼帯表面に残留歪を付与することで鋼帯とめっき界面における拡散反応を均一化し、Si、P、Mnなどの添加元素の不均一分布に起因する合金化むらや光沢むらを防止する方法であり、腰折れについては言及されていない。また、上記した表面塑性歪が、腰折れ発生防止に関連することも言及されていない。
また、特許文献3で鋼帯に付与する伸び率は、腰折れが発生する位置での歪量ではないので、歪付与位置から腰折れ発生箇所までの経過時間や鋼帯温度によっては腰折れが発生する時点で全く歪が残留せず、腰折れの発生を防止できない場合がある。また、伸び率は厚み方向の平均的な歪量を表しており、腰折れ発生の防止に効果的な鋼帯の表面塑性歪ではないので、伸び率により腰折れを確実に防止することはできない。
特許文献4に記載の方法は、非酸化雰囲気の搬送室内で鋼帯をパスライン上の2点を支点としてロールで押し込み、鋼帯の反りを矯正する方法であり、腰折れを防止することは考慮されていない。特許文献4に記載の方法は、シンクロールがないため鋼帯に安定して十分な張力を付与することが困難であり、鋼帯表面に塑性歪を安定して付与することができない。さらに、パスラインが安定しないため、付着量制御等、操業が困難であるという問題点もある。
次に、金属帯を鋼帯、溶融金属を亜鉛としたときの実施の形態について詳述する。
図1に、本発明の実施に使用する溶融めっき鋼帯製造装置の一例を示す。図1の装置では、図4に示す従来の製造装置の溶融亜鉛浴中のサポートロール7が取り外され、焼鈍炉2の調整冷却炉2dに歪付与装置21とワイパ8の直後に電磁石を用いた非接触で鋼帯の形状を矯正する形状矯正手段9が設置されている。なお、図1の装置では、図4の装置に示されている急冷帯15より下流の設備は図示されていない。
歪付与装置21を用いて、腰折れ発生箇所で残留させる表面塑性歪が本発明で規定する範囲になる表面塑性歪を付与する。金属帯表面に塑性歪を効率よく付与する観点からはロールで曲げ加工するのが有利である。
歪付与装置21は450-650℃のスナウト部3にも設けることができるが、焼鈍炉2の調整冷却炉2dに設けた方が鋼帯1の温度を450-650℃に調整し易く、亜鉛のヒュームの影響も受けにくいため好適である。歪を付与する鋼帯1の温度は500-550℃がより好ましい。これは、鋼帯1の温度が550℃を超えると付与した塑性歪が消失し歪付与効果が小さくなる場合があり、また500℃より低いと溶融亜鉛浴5に浸漬される鋼帯1の温度が低くなって熱的に不利になるためである。また、実際に腰折れの発生が問題になる降伏点伸びを有する鋼帯1では、上記のしきい温度T1は450℃程度であるため、操業条件の変動を考慮して500℃以上で歪を付与することが好ましい。
腰折れを防止するためだけならば、溶融亜鉛浴5内であるいは溶融亜鉛浴5内から引き上げられた後に歪を付与してもよいが、歪付与ロールによってチャタマーク状の溶融亜鉛の付着量のむら、押し疵、めっき剥離などの問題が生じるので、歪付与は溶融亜鉛浴5より上流側で行う方が好適である。
歪付与装置21は、鋼帯1の最高温度到達地点より下流側に設ける。通常、鋼帯1は、焼鈍炉2の均熱炉2bで最高温度650-900℃程度に加熱されるので、歪付与装置21を鋼帯1の最高温度到達地点より上流側に設けると、歪付与効果が消失し、腰折れの発生を防止できなくなるためである。
同じ表面塑性歪量を付与するのであれば、ロールの数は1本の方が、歪付与効果が高い。ロールの数を複数にして分割して歪を付与することもできるが、6本以上にしても効果は飽和し、設備費、設備保守などの点で不利になるので、ロールの数は5本程度までが好ましい。また、ロールの数が1本の場合は付与できる表面塑性歪量をあまり大きくできないので、実際にはロールの数を2-3本にすることがより好ましい。なお、2本以上のロールを使用する場合、各々のロールの外径が異なってもよい。
溶融亜鉛浴中にサポートロールを設置しない場合、シンクロールの外径を、サポートロールを設置した場合よりも大きくすることができる。このようにすれば、シンクロールで導入される表面塑性歪量が小さくなり、当該箇所での腰折れ発生が抑制されるため、好適である。
溶融亜鉛めっき鋼帯の素材としては、熱間圧延後脱スケール処理された熱延鋼帯およびこの熱延鋼帯を冷間圧延した冷延鋼帯を用いることができる。冷延鋼帯を素材とする溶融亜鉛めっき鋼帯は、自動車外板など良好な表面外観が要求される用途に適用される場合が多いが、本発明の方法で製造された溶融亜鉛めっき鋼帯はこうした用途に好適である。
表2に示す化学成分を有する鋼a-eを用いて製造された厚さ0.75mm、幅1200mmの冷間圧延鋼帯を、図1に示す溶融亜鉛めっき鋼帯製造装置により、ライン速度120mpm、張力2kg/mm2、温度850℃で焼鈍した後、歪付与装置21により表3に示す条件で歪を付与し、次いで460℃の溶融亜鉛浴5に浸漬させた後、溶融亜鉛浴5から引き上げ、形状矯正手段9により非接触で鋼帯1の形状を矯正しながらワイパ8のガス圧力を調整して鋼帯1の片面当りの付着量を45g/m2になるようにした後、圧延率1.2%の調質圧延を行って溶融亜鉛めっき鋼帯を製造した。ここで、溶融亜鉛めっき鋼帯1は、歪付与装置21により歪が付与されておらず、その調質圧延前の引張特性は、上降伏点25kg/mm2、下降伏点22kg/mm2、降伏点伸び4.3%であり、降伏点伸びのなくなる温度(しきい温度T1)は440℃であった。
歪付与装置21として、図2に示すようにロールの数が6本(ロール22a-22f)の装置を使用し、適宜、使用するロールのパスライン直角方向の押込量、使用する本数を変更することで付与する歪量を変化させた。なお、ロール22a-22fのロール径(外径)は何れも250mm、隣り合うロール同士のパスラインに沿った間隔(軸心距離)はいずれも300mm、ロール22fとハースロール23の間隔(軸心距離)は1000mmである。また、ハースロールの外径は1000mmであり、シンクロールの直径は950mmである。
余剰の亜鉛を払拭するために設けたワイパ8の上方には図3に示す形状矯正手段9がパスラインから20mm離れた位置に設けられている。形状矯正手段9では、ワイパ8部での鋼帯1の反りが無くなるようにレーザ変位計(図示なし)で計測した鋼帯1の変形量に応じて電磁石13の電流が制御される。
これらの鋼帯について、腰折れ程度を評価した。腰折れ程度は、自動車ドアパネルのプレスを模したプレス試験を行った後目視観察し、腰折れの程度に応じて0-5の6段階で評価した。ここで、腰折れ程度は0(発生なし)が最良で、数字が大きいほどその程度が悪くなる。自動車外板などの用途では腰折れ程度は1以下、自動車内板などの用途では2以下が望ましい。腰折れ程度の評価結果を表3に示す。
腰折れ程度は、本発明で規定する歪付与をおこなっていない比較例の鋼帯1が評価5で悪いが、歪付与条件が本発明範囲内にある鋼帯では評価2以下であり、腰折れ欠陥が実用上問題とならない程度に軽微である。実際、自動車ドアのプレス試験を実施したところ、腰折れ程度の評価0および1については、腰折れに起因する欠陥は全く認められず、腰折れ程度の評価2のものも非常に軽微な欠陥であった。
従来例である鋼帯では、腰折れ程度の評価5の腰折れ欠陥が鋼帯全面に認められ、プレス試験後にはさらに悪化した腰折れ欠陥が確認された。
本発明は、溶融金属浴中のサポートロールの有無にかかわらず、腰折れの発生を防止できる溶融めっき金属帯の製造方法として利用できる。
本発明の溶融めっき金属帯製造装置の一例を示す図である。 本発明で使用した歪付与装置の一例を示す図である。 本発明の実施例で使用した形状矯正手段を示す図である。 従来の連続溶融めっき金属帯製造装置を示す図である。 3点曲げ試験を説明する図である。
符号の説明
1 金属帯(鋼帯)
2 焼鈍炉
2a 予熱炉
2b 均熱炉
2c ジェット冷却炉
2d 調整冷却炉
3 スナウト
4 溶融金属浴槽
5 溶融金属浴
6 方向転換ロール(シンクロール)
7 サポートロール
8 ワイパ(ガスワイピングノズル)
9 形状矯正手段
13 電磁石
14 合金化炉
15 急冷帯
16 調質圧延機
17 レベラー
18 化成処理設備
21 歪付与装置
22a-22f ロール(曲げロール)
23 ハースロール

Claims (4)

  1. 金属帯を焼鈍する焼鈍工程と、
    前記金属帯に塑性歪を付与する予歪付与工程と、
    前記金属帯をめっき金属である溶融金属浴内に浸漬させて溶融金属を付着させる付着工程と、
    前記金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭、付着量を調整する調整工程と、
    この順に有する溶融めっき金属帯の製造方法において、
    前記予歪付与工程で付与する表面塑性歪量(A0)と、腰折れ発生箇所で残留する表面塑性歪量(A)との関係を求め、予歪付与工程は、前記関係を用いて腰折れ発生箇所で残留させる表面塑性歪量(A)が0.1%以上となる表面塑性歪量(A0)を付与することを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法。
  2. 前記予歪付与工程は、腰折れ発生箇所で残留させる表面塑性歪量(A)が0.1%以上1.5%以下となる表面塑性歪量(A0)を付与することを特徴とする請求項1記載の溶融めっき金属帯の製造方法。
  3. 前記予歪付与工程で付与する表面塑性歪量(A0)は、下記(1)式を用いて、腰折れ発生箇所で残留させる表面塑性歪量(A)が請求項1又は2記載の範囲を満足するように決定することを特徴とする請求項1又は2記載の溶融めっき金属帯の製造方法。
    A0=A/[exp(-t*b*exp(a*T))]…(1)
    但し、
    A0;予歪付与工程で付与する表面塑性歪量
    A;腰折れ発生箇所で残留させる表面塑性歪量
    t;予歪付与工程から腰折れ発生箇所までの金属帯通板所要時間、
    T;予歪付与工程−腰折れ発生箇所間の平均金属帯温度
    a、b;鋼種により決定される係数
  4. 前記腰折れ発生箇所はシンクロールであることを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか1項記載の溶融めっき金属帯の製造方法。
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