JP4711647B2 - 電子写真感光体、及びそれを用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、及びそれを用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体および、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置ならびに画像形成装置用のプロセスカートリッジに関するものである。
電子写真方式の画像形成装置は、感光体の表面を所定の電位に帯電し、その帯電電位を露光手段や除電手段によって選択的に除電して静電荷潜像を形成し、この静電荷潜像を現像手段によってトナー像とし、これを転写材に転写することにより可視化する画像形成装置である。
近年、感光体の表面を帯電する手段として接触帯電方式が用いられるようになっている。接触帯電方式とは、ローラー、磁気ブラシ、ファーブラシ等の帯電部材を感光体に直接接触させて帯電を行なう帯電方式である。このような接触帯電方式はコロトロンやスコロトロンに代表されるコロナ帯電方式に比べ低オゾン、低電力という利点を有し注目されている。接触帯電方式における感光体の帯電メカニズムには放電帯電と注入帯電とがあり、どちらが支配的かによって帯電特性が決定される。
「放電帯電」とは、接触帯電部材と感光体との間に形成される微小ギャップで生じる放電現象により感光体が帯電されるメカニズムである。放電帯電では必然的に放電生成物であるオゾンなどが発生するので、画像流れ等の副作用が発生する可能性がある。
一方「注入帯電」とは、接触帯電部材と感光体との接触部から電荷が直接注入されて感光体が帯電されるメカニズムである。このような注入帯電を達成する代表的な構成は、表面層に導電性微粒子を分散させて抵抗値を調整した感光体に対して、帯電部材を接触させて電荷を注入させる構成である(以下、感光体において電荷を注入可能であるように抵抗値が調整された層を『電荷注入層』と表現する)。このような方式は、例えば特許文献1に開示されている。注入帯電は原理的にオゾンを発生させないため感光体へのハザードが少なく、また放電帯電と異なり放電しきい値電圧(帯電部材に電圧を印加した際、感光体に放電を開始する電圧、以下『放電開始電圧』と記す。)が存在しないために省エネルギーの帯電方式として知られている。
接触帯電を行なった際に放電帯電/注入帯電のいずれの帯電メカニズムが支配的であるかは、帯電部材への印加電圧と感光体表面の帯電電位との関係を調べれば分かる。図1には注入帯電と放電帯電の違いを帯電部材への印加電圧と感光体帯電電位の関係から示す。
純粋な放電帯電(図中の破線)では、帯電部材への印加電圧が所定の放電開始電圧(Vth)に達するまでは帯電電位は変化せず、放電開始電圧を超えたのちに帯電電位が変化し始める。このため感光体表面に帯電を行うためには、放電開始電圧(Vth)以上の電圧を帯電部材に印加する必要がある。
一方、純粋な注入帯電(図中の直線)では、帯電部材への印加電圧に比例して感光体の帯電電位が変化する。この際、直線が原点を通過し、放電開始電圧が存在しないことがこの注入帯電の特徴である。このような注入帯電を実現するために、従来の電荷注入層は絶縁性バインダー中に酸化錫や酸化インジウムのような導電性微粒子を分散させて、注入層の抵抗をコントロールしている。
例えば特許文献1には、導電性粒子としてアンチモンまたはインジウム等をドーピングして導電化処理した酸化錫([0024]に記載)、酸化チタン([0027]に記載)が開示されている。また、特許文献2には、「導電性粒子としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウム等の超微粒子を用いることができる。これら金属酸化物は1種類もしくは2種類以上を混合して用いる」ことが記載されている([0043]に記載)。
これ等の感光体表面に存在する導電性微粒子は、帯電部材と接触し、電圧を印加されたとき、帯電部材から感光体への電荷を注入するための微小電極(以下、『注入サイト』と記す。)の役目をすると考えられている。感光体表面を均一に注入帯電するためには、電荷の注入を可能にする注入サイトをできる限り多く形成する必要がある。そのためには、電荷注入層には注入サイトである導電性微粒子を多量に含有させる必要がある。一方、電荷注入層に導電性微粒子を多量に含有させると、微粒子間距離が近接して感光体表面の抵抗が低くなって、感光体表面に形成された潜像電荷が感光体表面方向に漏洩し易くなり、その結果、静電潜像が崩れ易くなる。そのため、トナー画像がボケたり、流れてしまったりするため、シャープな画像が形成されにくくなる欠点を有する。
従って、導電性微粒子は電荷注入層内で、適度な距離を保った状態で存在するように設計する必要がある。これらの制約条件のため、従来の電荷注入層に注入サイトとして導電性粒子を用いた注入帯電用感光体では、均一で、且つ緻密な帯電が困難であり、特に中間調画像を形成すると、緻密さに欠けた、ざらついた画質になってしまう欠点を有している。更に、金属酸化物のような硬い粒子が多く表面に存在すると、クリーニングブレードや、帯電部材などの柔らかい作像部材を傷つけ、それに基づくスジ上の帯電ムラやクリーニング不良を引き起こしてしまう欠点を有している。
特許文献3には、感光層の上にある電荷注入層に光、又は熱によって抵抗値が可逆に変化する導電物質を含有させ、帯電の前又は帯電の後に露光を行い、注入帯電における帯電ムラを解消する手段が開示されており、光、又は熱によって抵抗値が可逆的に変化する導電物質としては、酸化亜鉛やポリビニルカルバゾールが開示されている。しかし、これらの光応答性の導電物質は、紫外光領域に吸収を示す物質であり、帯電効果が少なく、感光体表面に照射する光は400nmよりも短い波長の紫外線を用いる必要がある。一般的な感光体の構成成分(材料)、特に有機材料が主成分のOPC感光体組成分は紫外線で劣化が起こりやすい。このため例えば、材料の劣化(構造変化)により感光体表面の電気的抵抗を低下させて画像ボケを発生したり、分子量の低下等により感光体表面が摩耗し易くなり、感光体の寿命を低下させたりする。又、高エネルギーの紫外線露光によって、メモリー現象が発生し、画像上に残像が発生する欠点を有している。
また、特許文献4には光導電性を有する静電荷潜像担持体の光導電性部分を可視光露光によって低抵抗化し、電圧を印加して感光体に帯電を行う方法が開示されているが、本発明の感光体の構成及び、材料を示唆する記述がない。
特開平6−3921号公報 特開平11−265086号公報 特開平10―31321号公報 特開2001−147576号公報(出願人リコー)
本発明の目的は、従来の帯電方法の上記欠点(放電型帯電方式における酸化性ガスの発生による感光体構成材料の劣化、電荷注入帯電方式における画像ボケなどの異常画像の発生や感光体周りの作像部材の劣化等)を解決することにある。具体的には、帯電時におけるオゾン、窒素酸化物などの発生を押さえることにより異常画像の発生を抑制し、また感光体周りの作像部材の劣化を抑制することで、繰り返し使用を行っても良好な画像を作像することができると共にコンパクトな帯電装置を可能にする電子写真感光体を提供することにある。
本発明の別の目的は、前記感光体を用いた画像形成装置の提供にあり、繰り返し使用においても異常画像の発生しない高耐久性及び高信頼性を有する省エネルギー型の帯電方式並びに画像形成装置を提供すること、装置全体をコンパクトに出来る画像形成装置を提供すること、略単色光による書き込みにおいて発生するモアレ画像を防止できる画像形成装置を提供することにある。更に、感光体表面の光学特性に依存しない書き込み可能な画像形成装置を提供することにある。
更に、前記感光体を用いた取り扱い性が良好でコンパクトな設計が可能であるプロセスカートリッジを提供することをその課題とする。
本発明者らは、従来の欠点を解消する電子写真感光体への帯電方法を鋭意検討した結果、導電性支持体上に少なくとも画像露光に光感度を有する感光層と、少なくとも帯電用露光で電荷発生可能な物質を含有させた層(以下、『光電荷充電層』という)を表面に設けた感光体に、導電性部材を接触させ電圧を印加する事で帯電ができること、更に感光体に帯電用露光と同時又は露光後に電圧を印加することで、感光体表面に電荷が充電され感光体をより高く帯電させる(以下、『光電荷充電』という)ことが可能であることを見いだした。又、この光電荷充電による帯電方式はオゾンやNOxガスの発生が殆どないため、従来の放電型帯電に伴う感光体の劣化が押さえられ、コンパクトで環境汚染の少ない画像形成装置の提供が可能であることを見出した。そして、本発明者らは上記の知見に基づいて本発明を完成したものである。
即ち、本発明の前記課題は、以下の構成を有する本発明の画像形成装置によって解決することができる。
(1)少なくとも、感光体と、該感光体に帯電用の露光を行う手段と、
該帯電用の露光と同時又は露光後に該感光体と接触している導電性電圧印加部材を介して該感光体に負極性電圧を印加して該感光体表面に負極性の帯電を行う電圧印加手段と、
帯電後該感光体の像露光を行って該感光体に静電荷潜像を形成する像露光手段と、
該静電荷潜像をトナーで現像するための現像手段と、
現像された画像を転写体に転写する手段とを有する画像形成装置に於いて、
該感光体が透光性導電性支持体上に少なくとも像露光に対して感度を有する感光層と、少なくとも帯電用露光で電荷を発生する電荷発生物質及び正孔輸送物質を含有する光電荷充電層を有し、且つ該光電荷充電層が感光体の表面にあり、該透光性導電性支持体側から該像露光が行われることを特徴とする画像形成装置。
(2)前記帯電用の露光手段として400nm以上の波長の光源を用いることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
(3)帯電用露光手段に用いられる光を光電荷充電層が80%以上吸収することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
)前記光電荷充電層に用いられる電荷発生物質が有機顔料であり、この有機顔料の最大吸収波長と、感光層に用いられる電荷発生物質が有機顔料であり、この有機顔料の最大吸収波長との差が、±10nmの範囲であることを特徴とする(1)〜()の何れかに記載の画像形成装置。
)前記光電荷充電層に含有される電荷発生物質が有機顔料であり、この有機顔料の最大吸収波長と前記感光層に含有される電荷発生物質が有機顔料であり、この有機顔料の最大吸収波長とが、200nm以上離れていることを特徴とする(1)〜()の何れかに記載の画像形成装置。
)感光体と、帯電用の露光手段、電圧印加手段、現像手段、クリーニング手段、除電手段及び転写手段から選ばれる少なくとも1つとを一体化し、装置本体と着脱自在なプロセスカートリッジを搭載していることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の画像形成装置。
本発明の効果は以下のとおりである。
(1):導電性支持体上に少なくとも像露光に対して感光する感光層と帯電用露光で電荷を発生する電荷発生物質又は電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する光電荷充電層を有し且つ光電荷充電層が感光体の表面にあることにより、感光体に帯電用露光と同時又は露光後に、該感光体と接触している導電性電圧印加部材を介して該感光体に電圧を印加して、光電荷充電層に印加電圧と同極性の電荷を充電し、感光体の劣化要因であるコロナ放電を伴わない帯電を行うことを可能にする感光体を提供する。また透光性支持体を用いているため、光学系を感光体内に収納することで、コンパクトな書き込みが実施できる。
更に環境に優しい帯電方法、画像形成装置を提供する。
(2):光電荷充電層に含有される電荷発生物質が有機顔料であることで、帯電用の露光光源として、可視光を使用することが出来るため、紫外光による感光体の劣化が防止でき、長寿命な感光体の提供が可能になる。また、無機顔料と比較して吸収スペクトルのバラエティーに富み、感光体の設計が容易になる。
(3):光電荷充電層に含有される有機顔料がアゾ顔料であることで光電荷充電の効率の高い感光体が提供可能となる。
(4):特に(I)式で表されるアゾ顔料は電荷発生能力が高く、繰り返し使用における光疲労にも強く、光電荷充電効率が高い感光体が提供可能になる。
(5):(I)式の中でも、2つのカップラー成分の異なる非対称顔料は、極めて高い光キャリア発生能力を有し、光電荷充電効率が高い感光体が提供可能になる。
(6):光電荷充電層に含有される有機顔料がチタニルフタロシアニンであることで光電荷充電効率が高い感光体が提供可能となる。
(7):特定結晶のチタニルフタロシアニン(最大回折ピークを27.2度に有する)であることで、より光電荷充電効率が高い感光体が提供可能になる。
(8):特に特定結晶の特定結晶のチタニルフタロシアニンであることで、より光電荷充電効率が高い感光体が提供可能になる。
(9):光電荷充電層に電荷輸送物質を含有することで、より光電荷充電効率が高い感光体が提供可能になる。
(10):光電荷充電層に含有される電荷輸送物質が正孔輸送物質であることで負極性電荷の光電荷充電効率が高い感光体が提供可能となる。
(11):光電荷充電層に含有される正孔輸送物質が少なくともトリアリールアミン構造を有する化合物の1種以上であることで、高速な帯電が可能になる。
(12):光電荷充電層に電荷輸送物質として高分子電荷輸送性物質を用いることで、感光体表面の摩耗やキズが少なくなり、均一な光電荷充電が安定して得られる耐久性の高い感光体が提供可能となる。
(13):光電荷充電層に含有される高分子電荷輸送性物質が正孔輸送物質であることで負極性電荷の光電荷充電効率が高く、且つ、感光体表面の摩耗やキズが少なくなり、均一な光電荷充電が安定して得られる耐久性の高い感光体が提供可能となる。
(14):光電荷充電層に架橋構造を有する高分子電荷輸送性物質が含有されることで、光電荷充電層の硬度が高くなり、感光体表面の摩耗やキズがより少なく、均一な光電荷充電が安定して得られる耐久性の高い感光体が提供可能となる。
(15):光電荷充電層と感光層に含まれる電荷発生物質の吸収スペクトルがほぼ一致することで、帯電用露光を感光層にほとんど吸収させないことが可能になり、効率の良い帯電が可能になる。これは、画像用の書き込みを感光体内側から実施することによりなし得るものである。
(16):(15)と同様の効果であるが、両者の電荷発生物質が同一であることにより、その効果を確実なものにする。また、電荷注入性をスムースにする。更には、コストメリットが生じる。
(17):光電荷充電層と感光層(電荷発生層)に含有される電荷発生物質の最大吸収ピークが200nm以上はなれることで、互いの吸収領域が重ならず、効率の良い光電荷充電が可能になる。
(18):光電荷充電層中にフィラーが含有されることで感光体表面の摩耗が少なくなり、長寿命な感光体の提供が可能となる。
(19): 感光層が少なくとも電荷発生層と電荷輸送層からなることで高感度な光電荷充電用の感光体が提供可能となる。
(20):感光体がフレキシブルなエンドレスベルト形状であることで、電圧印加手段と感光体間の幅広い接触を可能にし、均一で、安定な光電荷充電による帯電が可能となり、感光体表面と現像部材間の現像ニップ、感光体と転写部材間の転写ニップ等を安定確保して、画像流れ、画像ボケ、ざらつき、スジ状地汚れなどの異常画像の発生しない信頼性の高い画像形成装置を設計できる感光体の提供を可能にする。
(21):画像流れ、画像ボケ、ざらつき、スジ状地汚れなどの異常画像の発生しない、信頼性の高い画像が形成でき、且つ放電生成物の発生が無く、省エネルギーな画像形成装置が提供できる。
(22):帯電用の露光手段として紫外線を用いずに、400nm以長の光源を用いることで感光体の劣化が少なく、信頼性の高い画像形成装置の提供が可能となる。
(23):帯電用露光を電荷発生層に吸収させないことで、効率の良い光電荷充電が可能な装置が提供できる。
24):感光体の光電荷充電層が正極性電荷の輸送機能を有し、電圧印加手段に負極性電圧が印加されることによって、光電荷充電効率が高く、信頼性の高い高速な画像形成装置の提供ができる。
25):画像流れ、画像ボケ、ざらつき、スジ状地汚れなどの異常画像の発生しない、信頼性の高いプロセスカートリッジが提供出来る。
本発明の感光体の基本的な構成は図2に示すごとく、導電性支持体11上に少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層12とその上に積層された少なくとも電荷発生物質を含有する光電荷充電層13とからなる。
本発明の光電荷充電層を設けた感光体への帯電機構の詳細メカニズムは現時点では明確になっていないが、本発明者らは帯電と潜像形成のメカニズムは下記に示されるようなものであると考えられ、これを図3に基づいて説明する。
(1)感光体表面に少なくとも露光で電荷を発生する電荷発生物質を含有する光電荷充電層を設けた感光体に、光電荷充電層が吸収する光を照射すると感光層表面には正負両極性の電荷が発生する(図3(a))。
(2)この電荷が再結合して消失する前に感光体表面に接触した電圧印加部材(以下、「帯電部材」と表記することがある)に電圧を印加すると、印加電圧と逆極性の電荷が電圧印加部材に移動し、光電荷充電層には電圧印加部材と同極性の電荷が充電される(図3(b))。
(3)感光体の導電性支持体側には印加電圧と逆極性の電荷が誘起され、感光層には電圧が均一にかかる(図3(c))。
(4)以上のように、本発明における帯電は、光電荷充電層に形成された内部電荷のみによって形成されるものであり、そのためには光電荷充電層に光を吸収して電荷を発生する電荷発生物質が含有されている必要がある。
(5)また、光電荷充電層に電荷発生物質と同時に電荷輸送物質を含有させることで、光電荷充電層中における正負電荷対の分離効率、電荷の移動速度が高められ、しかも光電荷充電層と電圧印加部材との間の電荷授受がスムースになり、電荷充電効率を高くする(結果として、高い感光体表面電位を得る)ことが可能となる。
(6)その後、原稿(入力信号)に従った静電潜像形成のための画像露光(以下、単に画像露光と表記する場合がある)を行うと、感光層の露光部は画像光の照射により発生した光電荷によって光電荷充電層内の電荷が中和され、感光体には静電潜像が形成される(図3(d))。
次に本発明に用いられる感光体の層構成について述べる。
<光電荷充電層>
本発明の光電荷充電層13に用いられる電荷発生物質としては、従来、電子写真用の電荷発生物質として公知の材料を用いることができる。中でも、有機材料は有効に使用できる。これは、有機材料は化学構造によりその吸収波長を任意にコントロールすることが可能で、後述のように帯電用露光と画像形成用露光をいずれも感光体表面側から行う場合、光電荷充電層に用いられる電荷発生物質と、光電荷充電層の下層である感光層(電荷発生層)の電荷発生物質の吸収波長領域を異ならせることで、効率良く光キャリア発生を行わせることができるなどの利点を生み出すことができる。このため、無機材料に比較して有機材料は本発明に有効に使用できるものである。
このような有機材料の例としては、各種金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料などが挙げられる。
これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。特に、前記(I)式で表わされるアゾ顔料や特定の結晶型を有する(CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する)チタニルフタロシアニンは高感度で耐久性が高く、特に光疲労に強いため、本発明の電荷発生物質として有効に用いることができる。中でも、前記(I)式において、CpとCpが異なるものは前記(I)式で表される材料の中でも特に高感度を示し、本発明の感光体の電荷発生物質として非常に良好に使用される。また、27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンの中でも、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、特に高感度を示し、また感光体繰り返し使用における帯電性の低下も小さく、本発明の感光体の電荷発生物質として非常に良好に使用できる。
光電荷充電層に用いられる電荷発生物質は、後述する感光層(電荷発生層)で使用されるものと同一か、吸収スペクトルのプロフィールが限りなく同一であるもの(両者の最大吸収波長の差が±10nm以内であるもの)は良好に用いることが出来る。これは、光電荷充電における露光が、感光層に吸収されてしまうと先の図3(c)の状態において、感光層にも光キャリア生成が起こり、電界に沿って感光層から光電荷充電層に電荷が移動し、光電荷充電層に蓄えられた電荷を一部キャンセルしてしまうからである。
これを避ける方法としては、大きくは以下に記載する2つの方法がある。
1つは、光電荷充電層に使用される電荷発生物質と、感光層に使用される電荷発生物質とに同一(もしくは吸収スペクトルプロフィールが略同一)のものを用い、光電荷充電層の吸収量を大きくすることである。これにより感光層に帯電用露光の光が到達することを避けるものである。この場合、帯電用露光の光を光電荷充電層が80%以上吸収することが望ましく、光電荷充電層の電荷発生物質濃度を十分に高くするか、膜厚を大きくする必要がある。
もうひとつの方法は、光電荷充電層に用いる電荷発生物質と後述する感光層(電荷発生層)に用いる電荷発生物質とが異なるものであり、その吸収波長領域が異なるようにする(両者の最大吸収波長の差が200nm以上離れているようにする)ことが好ましい。感光体の電荷発生物質として好適に使用される有機顔料は、一般的に高度な分子会合体であることが多い。従って、一般的にはその吸収スペクトルはブロードである。従って、上述のように光電荷充電層に用いる電荷発生物質と後述する感光層(電荷発生層)に用いる電荷発生物質の吸収波長領域を異ならせるようにするためには、その吸収ピーク位置を大きくずらす必要がある。具体的に述べれば、400nm〜1200nmの範囲において、最大吸収ピーク波長が200nm以上離れていれば、両者の吸収領域が重なることは少なく、重なってもその波長領域はわずかである。
このような電荷発生物質(有機顔料)の吸収波長領域の評価方法は下記のようにして行うことができる。感光体に用いる光電荷充電層用の塗工液と感光層(電荷発生層)用の塗工液をそれぞれ、光学的に透明な支持体上に塗布・乾燥したサンプルを作製する。次いで、市販の分光光度計により各々の吸収スペクトルを測定することにより、電荷発生物質の吸収プロフィール及び最大吸収波長が求まる。このような測定結果の一例を図10に示す。
電荷発生物質(図中では、CGM A,B,Cと記載)の吸収スペクトルをそれぞれ示すが、例えば電荷発生物質Cを感光層の電荷発生物質に用いたとする。ここで、電荷発生物質Aを光電荷充電層に用いる場合には、両者の吸収スペクトルの重なりが小さく、概ね700nm以上の画像露光を行えば、光電荷充電層に吸収されることはほとんどない。一方、電荷発生物質Bを光電荷充電層に用いた場合には、両者の吸収スペクトルの重なりが非常に大きく、画像露光波長が非常に限定されるばかりでなく、光電荷充電層での吸収が大きくなり、感光体の光感度が低下してしまう場合がある。このように、光電荷充電層と感光層に用いられる電荷発生物質の吸収スペクトルの分布は重要であり、図10に示すように両者の最大吸収ピーク波長が200nm以上離れている場合に良好な組み合わせとなる。
感光層上に光電荷充電層を設けるには、上述した電荷発生物質を必要ならばバインダ−樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン、メチルエチルケトン等の有機溶媒を用いてボ−ルミル、アトライタ−、サンドミル等により微粒子に分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレ−コ−ト、ビ−ドコ−ト法などを用いて行なうことができる。
光電荷充電層に必要に応じて用いられるバインダ−樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカ−ボネ−ト、シリコ−ン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラ−ル、ポリビニルホルマ−ル、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ポリアクリルアミド、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合樹脂などが用いられる。これらのバインダ−樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
また、本発明者らは、光電荷充電層に上記電荷発生物質と共に電荷輸送物質を添加することで、光電荷充電の効率が高くなり、より高い帯電電位の発現が可能となる事を見出した。これは、電荷発生物質と同時に電荷輸送物質を含有させることで、電荷発生物質と電荷輸送物質の接触界面近傍で電界によって比較的容易に分離される正負両極性の電荷対が新たに生成し、印加電圧と逆極性の電荷が電荷輸送物質、又は電荷発生物質を経由して帯電部材まで輸送され、帯電部材に充電されて、印加電圧と同極性の帯電が起こるためと考えられる。
光電荷充電層13に添加することのできる電荷輸送物質としては正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。先に示したように、本発明の光電荷充電層は帯電用露光により生じた電荷を感光体表面まで到達させる必要があるが(図3)、この際、帯電部材に印加された逆極性の電荷を運ぶ必要がある。このため、帯電部材に負極性を印加する場合には正孔輸送物質、正極性を印加する場合には電子輸送物質が有効に用いられる。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾ−ル誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。中でも、トリアリールアミン構造を分子中に有する化合物は、電荷輸送能が高く、高速のプロセスにも対応することが可能で、本発明において極めて有効に用いることができる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
なお、これらの電子輸送物質と正孔輸送物質は同時に含有してもよい。光電荷充電層上(感光体表面)に帯電されるべき極性は、使用する画像形成装置のシステム設計思想により、負極性か正極性かが決定されるべきものである。しかしながら、ここまでの画像形成装置のほとんどが有機系感光体を用いており、そのほとんどが負帯電型の感光体を採用している。また、昨今の画像形成装置ではデジタル方式の書き込み・現像が主流であり、使用する現像方式もこれに併せたものが用いられている。更に、感光体に用いられる電荷輸送物質のうち電荷の高速移動を可能にできる材料としては、正孔輸送物質がその大半を占める。このような状況から、本発明においても、光電荷充電層の下層である感光層は公知の技術を最大限に生かすべきであり、また画像形成装置にも応用展開すべきである。従って、本発明における電子写真感光体も負帯電型が極めて有利であり、このことから光電荷充電層には正孔輸送物質が有効に使用されるものである。
また、光電荷充電層13には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。
これら高分子電荷輸送物質から構成される光電荷充電層13は、耐キズ性、耐摩耗性に優れたものである。
高分子電荷輸送物質としては、基本的には正孔輸送性、電子輸送性いずれの高分子電荷輸送物質も使用可能であるが、前述の理由から、光電荷充電層には正孔輸送性の高分子電荷輸送物質がより有効に使用されるものである。
正孔輸送性の高分子電荷輸送物質としては公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、式(III)〜(XII)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
(III)式
Figure 0004711647
式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表す。尚、(III)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004711647
101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、
Figure 0004711647
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
(IV)式
Figure 0004711647
式中、R, Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar, Ar, Arは同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(III)式の場合と同じである。尚、(IV)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
(V)式
Figure 0004711647
式中、R, R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(III)式の場合と同じである。尚、(V)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
(VI)式
Figure 0004711647
式中、R11, R12 は置換もしくは無置換のアリール基、Ar, Ar8, Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。 X,k,jおよびnは、(III)式の場合と同じである。尚、(VI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
(VII)式
Figure 0004711647
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、 X,Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(III)式の場合と同じである。尚、(VII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
(VIII)式
Figure 0004711647
式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y,Y,Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。 X,k,jおよびnは、(III)式の場合と同じである。尚、(VIII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
(IX)式
Figure 0004711647
式中、R19,R20 は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19 は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(III)式の場合と同じである。尚、(IX)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
(X)式
Figure 0004711647
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23 は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(III)式の場合と同じである。尚、(X)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
(XI)式
Figure 0004711647
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(III)式の場合と同じである。尚、(XI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
(XII)式
Figure 0004711647
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(X)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
また、光電荷充電層に用いられる他の正孔輸送性の高分子電荷輸送物質としては、公知単量体の共重合物や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーも使用可能である。更に、例えば、特開平3−109406号公報、特開平5−216249号公報、特開2000−206723号公報、特開2001−34001号公報などに開示されているような、製膜時に電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、製膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元、あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も使用可能である。
一般に、電子写真感光体は画像形成工程において、現像剤、転写紙、クリーニング部材等と擦れあい、感光体表面にある光電荷充電層13が摩耗する。 又、画像形成装置への装着時、画像形成装置からの取り外し時などに種々の部材と接触することによって、感光体表面にある光電荷充電層13には局部的に傷がつく。 光電荷充電層13の局所的傷部や摩耗部は電荷発生物質が少なくなるか、傷や摩耗がひどい場合は電荷発生材料がなくなり、本発明の特徴である光電荷充電機能が低下してしまう。 そのため、光電荷充電層の傷部や摩耗部は傷や摩耗のない部分より帯電電位が低くなり、帯電の均一性が損なわれ、画像形成を行った場合、キズ状、摩耗形状の異常画像が発生し易くなる。
一般に有機光導電性膜の機械強度はバインダー樹脂によって補強することが可能であるが、絶縁性の高分子樹脂を多くすると電荷輸送性が低下し、光キャリアーの発生効率が低下する。. 本発の如く電荷輸送機能とバインダー樹脂機能を合わせ持った高分子電荷輸送物質を用いることで、光充電効率を低下させることなく、耐キズ性、耐摩耗性のより高い光電荷充電層の形成を可能にする。更に架橋型の高分子電荷輸送物質を用いることで、光電荷充電層の膜硬度がより高くなり、感光体の耐キズ性、耐摩耗性を更に高めることができる。このように、光電荷充電層に高分子電荷輸送物質を用いることは、より高耐久な光充電帯電用感光体を提供するに非常に有効である。
又、光電荷充電層13には、層の膜強度を強化するために、フィラーを含有しても良い。使用できるフィラーには、有機フィラーと無機フィラーがある。
有機フィラ−材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコ−ン樹脂粉末、a−カ−ボン粉末等が挙げられ、無機フィラ−材料としては、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをド−プした酸化錫、錫をド−プした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラーの硬度の点から無機フィラーを用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。更に高画質化に有効なフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーが好ましく、シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が特に有効に使用できる。これら電気絶縁性が高いフィラーは、電気絶縁性が高いフィラー同士あるいは他のフィラーとを2種類以上を混合することも可能である。
本発明の電子写真感光体においては、帯電に引き続き画像露光が行われるが、画像露光は感光体の内側から照射されるものである。このため、後述の導電性支持体の光透過性は重要な項目になるが、逆に感光体表面層の光学特性はそれに関与しない。従って、感光体表面を構成する材料を自由に用いることが出来る。極端な例としては、帯電用の露光のみ光電荷充電層が吸収できればいいのであって、感光体表面を構成する層が黒色のような光をまったく遮断する層であっても構わない。
<導電性支持体>
導電性支持体11としては、体積抵抗1010 Ω・cm以下の導電性を示すものであり、画像光に対して透明であれば特に制限はないが、例えば、ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス等)、石英、サファイア等の透明な無機材料やフッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン、エポキシ等の透明な樹脂で形成される。また、特開2000−29234号公報、特開2000−39732号公報、特開2000−75532号公報等に記載された支持体を用いることもできる。
このような支持体においては導電性が必須であるから、支持体そのものが絶縁体の場合は、支持体表面に導電層を設けたり、導電処理を行う必要がある。導電層としてはITO(インジウム・スズ酸化物)、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅などの透明導電材料を直接もしくは樹脂等に分散し表面に形成したり、あるいはアルミニウム、ニッケル、金、ハステロイなどの金属を半透明になる程度薄く形成しても良い。導電層を設ける場合には、スパッタリングや湿式法などの方法により設けることが出来、金属を表面に設ける場合には、蒸着法やスパッタリングが用いられる。
透光性支持体の形状としては特に制限はなく、円筒状のものやフィルム上のものが用いられる。但し、内面側から画像書き込みを行うため、支持体の内側は平滑性があることが好ましい。
<感光層>
本発明における感光層12は、単層型でも積層型でもよいが、ここでは説明の都合上、まず積層型について述べる。図4に積層型感光層を用いた本発明の感光体の一例を示す。この場合、感光体構成は導電性支持体11上に感光層として電荷発生層12aと電荷輸送層12b, が設けられ、表面に光電荷充電層13が積層されている。更に導電性支持体と感光層との間に下引き層14が設けられている。
初めに、電荷発生層12aについて説明する。電荷発生層は画像露光を吸収して正負両極性の光電荷を生成する機能を有する。そのため電荷発生層は電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダ−樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でタ−ミネ−トしたものや、ホウ素原子、リン原子等をド−プしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダ−樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダ−樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。更に、必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。例えば、オキサゾ−ル誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層を形成する方法は、大きく分けて真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とがある。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダ−樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
次に、電荷輸送層12bについて説明する。
電荷輸送層は、電荷発生層で生成した電荷を受け取り、その電荷を光電荷充電層との界面(ひいては感光体表面)まで輸送し、表面の帯電電荷と中和して、画像露光に対応した静電荷潜像を形成する機能を有する。そのために電荷輸送層は電荷輸送物質を主成分とした層であり、必要に応じて電荷輸送物質をバインダ−樹脂とともに溶解、塗工して形成される。必要に応じて使用できるバインダー樹脂としてはフィルム性の良いポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ、ビスフェノールCタイプ等、あるいはこれら共重合体)、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステル、メタクリル樹脂、ポリスチレン、酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層に使用される電荷輸送物質は、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065号公報、52−139066号公報に記載)イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭58−190953号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955号公報、55−156954号公報、55−52063号公報、56−81850号公報などの公報に記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245号公報、58−198043号公報に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体などを使用することができる。
次に感光層が単層構成の場合について述べる。上述した電荷発生物質をバインダー樹脂中に分散した感光体が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。さらに、この感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしても良く、良好に使用できる。また、必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層12bの項で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層12aの項で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましい。電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜50μm程度が適当である。より好ましくは10〜25μmである。
<下引き層>
次に下引き層14について説明する。
本発明の電子写真感光体には、必要に応じて導電性支持体と感光層との間に(感光層が積層タイプの場合は、導電性支持体と電荷発生層との間に)下引き層を設けることができる。下引き層は、接着性を向上する、電荷ブロッキング、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸等の水溶性樹脂、共重合性ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂など挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。
更に、本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。この他に、本発明の下引き層には酸化アルミを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。
これら下引き層は、画像形成のための書き込み光を十分に透過する必要がある。下引き層が画像形成用露光を吸収してしまうと、それだけ感光層(電荷発生層)に到達する光量が低下する。これにより感光体の光感度が低下することになり、明部電位と暗部電位の電位差が小さくなり、画像のコントラストが取れにくくなってしまう。このため、下引き層に用いられる材料、構成は画像形成用露光の波長領域に吸収を有さないものが好ましい。
また、本発明の感光体においては、環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質を含む層に添加すると良好な結果が得られる。
本発明に用いることができる酸化防止剤としては下記のものが挙げられる。
(モノフェノ−ル系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど。
(ビスフェノ−ル系化合物)
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
(高分子フェノ−ル系化合物)
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネ−トなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。本発明における酸化防止剤の添加量は、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは2〜30重量部である。
次に図面に基づいて本発明の電子写真画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
図5は、本発明の実施例で画像形成に用いたもので、電子写真装置を説明するための概略図である。図5において、感光体1は、透光性の導電性支持体上に、少なくとも画像形成のための像露光に光感度を有する感光層と、少なくとも帯電用露光で電荷を発生する電荷発生物質を含有する光電荷充電層を有する感光体である。
帯電用露光手段2は感光体の光電荷充電層が吸収する波長の光が含まれる光源であれば、使用可能である。例えば、ハロゲンランプ、蛍光灯、水銀灯、キセノンランプ,レーザー光源、LEDが使用可能である。又感光体は一般に紫外線によって光劣化し易く、そのため帯電用の光としては400nm以上の光を使うのが好ましい。そのために、帯電用露光手段としてはフィルターや光回折格子や装置などの紫外光をカットする手段を組み込んだものを用いる事ができる。又、帯電用露光手段は電圧印加部材や感光体など、他の部材と一体化する事も可能である。例えば、電圧印加手段としてガラスやプラスチック製の円筒状中空体の表面が透光性で且つ導電性に加工された透明電圧印加部材の内側に帯電用の露光手段を組み入れる事も可能である。帯電用露光手段をこのように設置する事で、画像形成装置をコンパクトに設計する事が可能となるのみならず、帯電用露光と電圧印加を同時に行うことができるため、光充電効果を高める事ができる。
帯電露光に際しては、光電荷充電層に十分光を吸収させることは重要であるが、感光層(電荷発生層)に光を到達させないことも重要なことである。図3(c)の状態において、感光層(電荷発生層)に帯電用露光が十分に到達してしまうと、感光体の画像光書き込み時と同様に光キャリアが発生してしまう。このため、光電荷充電層内に蓄えられた正負電荷の片方(どちらかは帯電極性によって決定される)をキャンセルしてしまい、感光体の帯電が不十分になってしまう場合がある。
このため、本発明の画像形成装置においては、帯電露光に用いられる光を光電荷充電層が80%以上吸収することが重要であり、好ましくは100%吸収することが望ましい。また帯電用露光として、感光層(電荷発生層)の吸収の無い波長領域の光を用いることは、本発明において有効に利用される。即ち、上述のように光電荷充電層において帯電用露光を十分に吸収できればよいが、そうでない場合でも感光層(電荷発生層)に用いられる電荷発生物質が帯電用露光を吸収しなければ、光キャリアが発生しないものであって、上述のような不具合を生じないものである。
このような一例を図面を用いて説明する。図10に示す電荷発生物質(CGM A)を感光層の電荷発生物質、電荷発生物質(CGM C)を光電荷充電層の電荷発生物質として用いるとする。この際、帯電用露光波長を800nm近傍の光とすることで、CGM Cの吸収は非常に大きく(吸収効率が高く)、光電荷充電層中の電荷発生物質濃度を高めにするか、光電荷充電層の膜厚を厚めにすることで、帯電用露光を80%以上(好ましくは100%)吸収させることができる。感光体のその他の特性への影響等を考慮して、電荷発生物質濃度や膜厚を上記の水準にできない場合でも、感光層(電荷発生層)に用いられる電荷発生物質(CGM A)には800nm近傍に吸収がなく、仮に帯電用露光が光電荷充電層を一部通過したとしても、感光層(電荷発生層)で光キャリア発生が起きず、感光体へは十分な帯電が行われるものである。
電圧印加手段3は、感光体1と接触し、図示しない電源によって感光体1に電圧を印加して光電荷充電層に電荷を充電し、感光体1を所望の電位にまで帯電させる手段である。そのため、感光体表面と接触する電圧印加部材は十分な導電性を有している必要がある。導電性は電圧印加部材の抵抗値で記述することができ、1011Ω・cm以下、好ましくは10Ω・cm以下、更には10Ω・cm以下がより好ましい。
電圧印加部材としては、金属や導電性ゴム、導電性プラスチック等の導電性材料をローラー状、板状、ブラシ状に加工したものが使用可能である。金属等の導電性芯ロール上にシリコーンゴムやウレタンゴム中にカーボン等の導電性微粒子を分散させた導電性ゴムをコートした弾性のある導電性ローラーが使用可能である。この導電性ローラ−の抵抗は1010Ω・cm以下が好ましい。本発明の実施例では直径8mmのステンレス製軸上に体積抵抗率約10Ω・cmの導電性ウレタン弾性層を設けた導電性ローラーを用いた。
また、固定支持されたマグネットロールと、このマグネットロール外側に回転自在に設けられた非磁性スリーブと、マグネットロールの磁力によって非磁性スリーブ上に吸着させられた磁性粒子とを有し、マグネットロールの磁力により穂立ちさせられて磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシと感光体とが接触するように設計された所謂磁気ブラシ電圧印加部材を用いる事も可能である。
更には、導電性のプラスチックを加工した導電性繊維を使用する事もできる。更に、それらを導電性の金属ロールや板状の支持体に緻密に植毛した所謂導電性ブラシを使用することも可能である。又、導電性炭素繊維布をロールや板状の支持体に張り付けた導電性織布を用いる事も可能である。これらの電圧印加部材には、所望の極性の直流電圧が印加されるが、帯電の均一性を向上させるために、直流電圧に交流電圧を重畳させてもよい。
画像露光手段4は、電子写真で一般に用いられる像露光手段であり、使用する感光体の内側に配置可能なものであれば、すべて使用可能である。例えば、デジタル用の光源としてはLD、LED、蛍光体ドットアレイ等が用いられる。
このように画像露光手段を感光体の内側に配置することは次のような効果を生み出すものである。
1つは、装置がコンパクトになることである。これは、感光体表面側から画像露光を行う場合、光学系の配置によって装置が大きくなってしまう。本発明の場合には、帯電用の露光手段が必要であり、このことは装置を必要以上に大きくしない効果を十分に持つものである。
2つめは、書き込み光の露光に対して感光体表面層の光学特性に依存しないことである。一般に感光体表面を構成する材料は画像露光に対して透明である必要があり、これが感光体設計の自由度を小さくしている。例えば、機械的耐久性を向上させるために表面層にフィラーなどを添加するような場合、その分散性、添加量、屈折率などが非常に制限され、設計を困難にしている。また、表面の摩擦係数を小さくするため滑剤やワックス類などを添加する試みがなされるが、感光体表面が白濁するような場合は使用に制限がかかってしまう。更には、感光体の繰り返し使用により感光体表面に傷等が発生した場合にも、書き込み光が散乱したりして画像品質を低下させる。このような点に対して、画像光を感光体内側から照射することでこのような問題は全て解決される。
3つめは、モアレの発生が無いことである。昨今の精密書き込みのため、レーザー等のコヒーレントな光の使用が増えているが、感光体構成中に反射面があると、書き込み光と反射光とが干渉して、所謂モアレが発生する。しかしながら透光性支持体を使用し、感光体内側から書き込みを行う場合には反射面が存在せず、モアレの発生が無い。
感光体表面に静電荷潜像を形成した後、現像手段5で、トナー像を形成する。感光体表面に形成されたトナー像は、転写紙9などの転写体へ転写手段6によって転写される。転写体へのトナー像の転写は図5に示すような転写体への直接転写以外に、中間転写体へ転写した後、最終的転写体へ転写する、所謂中間転写方式を用いてもよい。その後、転写紙は図示されない定着手段によってトナー像が定着される。感光体1上の残留トナーはクリーニングファーブラシやクリーニングブレードなどのクリーニング手段7により除去され、次の電子写真サイクルに移る。又必要によっては、除電ランプなどの除電手段8を用いて、帯電前に感光体表面の電荷を除電してもよい。
図6には、本発明による電子写真プロセス、装置の別の例を示す。感光体1は導電性支持体上に少なくとも、感光層と電荷発生物質を含有した光電荷充電層を有するエンドレスベルト状感光体である。このエンドレスベルト状感光体は駆動ローラ−9a、9bにより駆動、支持され、矢印方向に移動する。感光体1は電圧印加手段3によって充電帯電され、画像露光手段4による像露光によって静電荷潜像を形成する。
この静電荷潜像は現像手段5でトナー現像され、転写手段6によって紙等の転写体上に転写される。転写体は図示していない定着手段によって画像が定着される。
感光体1上の残留トナーはクリーニングファーブラシやクリーニングブレードなどのクリーニング手段7により除去され、次の電子写真サイクルに移る。又必要によっては、除電ランプなどの除電手段8を用いて、帯電前に感光体表面の電荷を除電してもよい。
感光体1の支持体が光透過性であるので、画像露光手段や除電光源などをベルトの内側に設置して、支持体側より光照射が行なうことができ、装置がコンパクトになる利点がある。
尚、ベルト状感光体と駆動、支持ローラ−とが一体で、装置への脱着が自在にできるようにユニット化することも可能である。
本発明の画像形成方法及び画像形成装置は、上記例に限定されるものではなく、少なくとも、電荷発生物質を含有した光電荷充電層を有する感光体に充電帯電を行い、露光により、静電潜像を形成する工程を含む画像形成装置であれば、どのようなものであってもかまわない。
以上に示すような画像形成方法、装置は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、露光手段を内側に設置された感光体を内蔵し、他に帯電用の露光手段、電圧印加手段、現像手段、クリーニング手段、除電手段、転写手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
図7には本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。感光体1の周辺には帯電部材である電圧印加ローラ2、感光体1表面に現像剤を適量供給する現像手段5、画像転写後に感光体表面をクリーニングするブレードを備えたたクリーニング手段7が一体に組み込まれている。このカートリッジは画像露光手段、転写手段、除電手段、定着手段、記録紙の搬送手段などの画像形成に必要な手段を具備した画像形成装置に着脱自在に取り扱い可能なように形成されている。
尚、該カートリッジに搭載される感光体1は、透光性導電性支持体上に少なくとも、感光層と電荷発生物質を含有した光電荷充電層を有する感光体である。
<円筒状支持体の作製>
透光性支持体として、特開平11−288115号公報の実施例1に記載の方法に準じて、外径100mmの円筒状支持体を下記のようにして作製した。
メタクリル酸ベンジル(BzMA)モノマ−とメタクリル酸メチル(MMA)モノマ−の配合比を20/80とした混合物に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加し、50℃・3hr加熱して予備重合を行い、粘度約100cpのシロップ状重合性液状材料を得た。この重合性液状材料を内径100mm、長さ600mmの円筒状の型に注入し、型を回転させて遠心力により型の内壁に沿って密着させながら型全体を60℃・9hrの加熱処理を行い重合させた。得られた基体を0.2℃/分の速度で室温までアニーリング処理を行った後、型から取り出した。得られた基体に端部切断加工を行い、外径100mm、長さ360mmの円筒状支持体を得た。
<導電層の塗工>
上記のようにして得た円筒状支持体上に、下記導電層塗布液組成物を乾燥膜厚0.5μmになるよう塗布し、80℃・30分の熱処理を行い、導電層を形成し、電子写真感光体用の透明支持体とした。
(導電層塗布液組成物)
住友金属鉱山社製の導電性塗料X−101H 1000g
トルエン 1000g
<下引き層の形成>
外径100mmの円筒支持体上に、下記組成の下引き層塗工液を乾燥後の膜厚が0.2μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
(下引き層用塗工液)
ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(ZC150:松本交商製) 3部
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503 信越化学工業製) 5部
イソプロピルアルコール 400部
<電荷発生層の形成>
上記の下引き層上に下記電荷発生層用塗工液を浸漬塗工して、加熱乾燥させ、電荷発生層を形成した。
(電荷発生層用塗工液)
下記構造式(1)のビスアゾ顔料 5重量部
ブチラール樹脂(エスレックBMS:積水化学) 2重量部
シクロヘキサノン 60重量部
メチルエチルケトン 20重量部
Figure 0004711647
<電荷輸送層の形成>
次に、この電荷発生層上に下記構造式(2)電荷輸送物質を含む電荷輸送層用塗工液を用いて浸積塗工し、130℃、20分加熱乾燥させ、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
(電荷輸送層用塗工液)
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(粘度平均分子量5万) 1重量部
下記構造式(2)の電荷輸送物質 1重量部
テトラヒドロフラン 10重量部
Figure 0004711647
<光電荷充電層の形成>
このように作製した電荷輸送層の上に、下記光電荷充電層塗工液をスプレー塗工法で塗布、室温乾燥後、160℃、20分加熱乾燥して、膜厚1μmの光電荷充電層を形成し、電荷充電帯電用の感光体を作製した。
(光電荷充電層塗工液)
前記構造式(1)のビスアゾ顔料 3重量部
下記構造式(3)の電荷輸送物質 3重量部
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(粘度平均分子量5万) 1重量部
THF 100重量部
シクロヘキサノン 40重量部
Figure 0004711647
<評価>
上述のようにして作製した電荷発生層用塗工液と光電荷充電層用塗工液をそれぞれ、石英ガラス基板上に感光体と同じ条件で塗布・乾燥して、各々の吸収スペクトルを市販の分光光度計(日立:UV−3100)にて吸収スペクトルを測定した。その結果、電荷発生層および光電荷充電層の吸収スペクトルは、図11に示すCGM Aの吸収スペクトルにほぼ一致し、最大吸収ピーク波長は583nmであった。また、光電荷充電層の645nmの透過率は10%であった。
このように作製した感光体の光電荷充電特性を図8に示す帯電特性測定装置を用いて、下記のごとく測定を行った。
200mm/sの速度で回転する感光体に、φ16mm、電気抵抗10Ω・cmのシリコンゴムローラを接触させ、連れ周り状態で−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。帯電用露光光として645nmの波長領域のLEDを用いた。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−150V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−270Vであった。
LEDを点灯して帯電させた感光体に655±10nmの光を感光体内側にセットされた光学系を用いて、0.5μJ/cm2露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−20Vとなった。
印加電圧を−400Vから+400V変化させた時のLED露光時と未露光時の帯電特性を図9に示す。LEDを露光しない場合に比べて、LED露光によって感光体の帯電が高くなっている。又、帯電電位は印加電圧に比例して増加しており、放電帯電特有の放電開始電圧Vthが観測されず、本発明の感光体は光電荷充電によって帯電していることを示唆している。
次にこの感光体を用いて、図5に示す画像形成装置で画像形成を行った。以下に画像形成方法を説明する。
感光体1に、帯電用露光手段2によって645nmの波長領域のLED光(1μJ/cm2)を照射した直後に、電圧印加手段3の電圧印加部材として、直径8mmのステンレス製軸上に体積抵抗率約10Ω・cmの導電性ウレタン弾性層を設けた導電性ローラーを用い、これを感光体表面に接触し、−500Vの電圧を印加した。感光体1の初期帯電電位は−320Vであった。画像露光手段4は、画像情報に従って帯電後の感光体1に潜像を書き込むための装置であり、発振波長655nmのレーザー光とポリゴンミラーミラーを用いた光走査装置で、600dpiのドット画像を露光した。感光体への全面露光時の露光部の電位は−20Vであった。現像手段としては負極性に帯電したトナーと磁性キャリアーからなる2成分現像剤を用いて反転現像を行った。転写は、導電性の帯電ローラーに正極性の電圧を印加し、紙上に転写した。クリーニングは、ファーブラシクリーニングを用いた。上記条件で画像を形成したところ、画像ボケがなく、中間調部も均一でざらつき感のない鮮明な画像が得られた。
次に本発明の帯電方法を繰り返した場合の感光体の劣化を調べるために下記の強制疲労テストを行った。
感光体に645nmのLED光照射と−500Vの電圧印加および655nmのレーザーの全面露光の10000回繰り返しテストを行った後、25℃、50%RH、と30℃、85%RHの温湿度環境下で、初期の画像形成と同様の方法で画像を作成したところ、いずれも画像ボケ、画像流れのない初期と同様の鮮明なドット画像が得られた。
実施例1における光電荷充電層の膜厚を変更し、645nmにおける透過率を20%になるように変更した以外は実施例1と同様に感光体を作製し、同様な評価を行った。
実施例1の場合と同様に、−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−150V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−240Vであった。更にLEDを点灯して帯電させた感光体に655±10nmの光を0.5μJ/cm露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−20Vとなった。
更に、図5に示す画像形成装置で画像形成を行ったところ、−500Vの印加電圧で感光体の初期帯電電位は−300Vであった。実施例1と同様に画像形成を行ったところ、画像ボケがなく、中間調部も均一でざらつき感のない鮮明な画像が得られた。
実施例1における光電荷充電層の膜厚を変更し、645nmにおける透過率を30%になるように変更した以外は実施例1と同様に感光体を作製し、同様な評価を行った。
実施例1の場合と同様に、−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−150V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−170Vであった。更にLEDを点灯して帯電させた感光体に780±10nmの光を0.5μJ/cm露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−30Vとなった。
更に、図5に示す画像形成装置で画像形成を行ったところ、−500Vの印加電圧で感光体の初期帯電電位は−210Vであった。実施例1と同様に画像形成を行ったところ、画像ボケは発生しなかったが、実施例1と比較してやや画像濃度の低い画像が得られた。
実施例1における光電荷充電層を下記組成の光電荷充電層塗工液に変更し、感光体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
(光電荷充電層塗工液)
下記構造式(4)のビスアゾ顔料 3重量部
前記構造式(3)の電荷輸送物質 3重量部
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(粘度平均分子量5万) 1重量部
THF 100重量部
シクロヘキサノン 40重量部
Figure 0004711647
実施例1と同様の方法で、光電荷充電層の吸収スペクトルを測定した。その結果、光電荷充電層の吸収スペクトルは、図11に示すCGM Aの吸収スペクトルにほぼ一致し、最大吸収ピーク波長は583nmであった。
実施例1の場合と同様に、−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−140V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−320Vであった。更にLEDを点灯して帯電させた感光体に655±10nmの光を0.5μJ/cm露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−20Vとなった。
更に、図5に示す画像形成装置で画像形成を行ったところ、−500Vの印加電圧で感光体の初期帯電電位は−360Vであった。実施例1と同様に画像形成を行ったところ、画像ボケがなく、中間調部も均一でざらつき感のない鮮明な画像が得られた。この画像のコントラストは、実施例1の画像よりも高いものであった。
実施例1の光電荷充電層の電荷発生物質を下記構造のビスアゾ顔料を用いた以外は実施例1と同様に感光体を作製した。
この感光体を用いて、実施例1と同様に帯電特性測定装置用いてを測定したところ、帯電電位は印加電圧に比例して増加する電荷充電帯電特性を示し、−400Vの印加電圧でVOFF=−140V、VON=−190V、及びVL=−10Vであった。
Figure 0004711647
この感光体を用いて、実施例1と同様の画像形成装置を用いて同じ条件で画像を形成したところ、画像ボケがなく、実施例1と比較してやや濃度の低い画像が得られた。
実施例1における光電荷充電層を下記組成の光電荷充電層塗工液に変更し、感光体を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
(光電荷充電層塗工液)
チタニルフタロシアニン顔料 3重量部
(図12にXDスペクトルを示す)
前記構造式(3)の電荷輸送物質 3重量部
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(粘度平均分子量5万) 1重量部
THF 100重量部
シクロヘキサノン 40重量部
上記塗工液で用いたチタニルフタロシアン顔料は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ前記7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニンである。
なお、上記チタニルフタロシアン顔料は、特開2001−19871号公報の段落番号[0140]に記載の合成例1に準じて合成した。
実施例1と同様の方法で、光電荷充電層の吸収スペクトルを測定した。その結果、光電荷充電層の吸収スペクトルは、図11に示すCGM Cの吸収スペクトルにほぼ一致し、最大吸収ピーク波長は800nmであった。
実施例1の場合と同様に、−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。但し、帯電用露光部材を740nmのLEDに変更した。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−150V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−310Vであった。更にLEDを点灯して帯電させた感光体に655±10nmの光を0.5μJ/cm露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−20Vとなった。
更に、図5に示す画像形成装置で画像形成を行ったところ、−500Vの印加電圧で感光体の初期帯電電位は−350Vであった。実施例1と同様に画像形成を行ったところ、画像ボケがなく、中間調部も均一でざらつき感のない鮮明な画像が得られた。この画像のコントラストは、実施例1の画像よりも高いものであった。
実施例1の光電荷充電層の電荷輸送物質の構造式(3)の化合物に代えて下記構造式(6)の化合物を含有させた以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
Figure 0004711647
実施例1と同様に帯電特性、光減衰特性を測定した結果、帯電電位は印加電圧に比例した電荷充電帯電特性を示し、−400Vの電圧印加でVOFF=−100V、VON=−290Vの帯電電位を示し、VL=−10Vであった。
この感光体を用いて、実施例1と同様の画像形成装置を用いて同じ条件で画像を形成したところ、画像ボケがなく、中間調部も均一でざらつき感のない鮮明な画像が得られた。更に実施例1と同様に、感光体に740nmのLED光照射と−500Vの電圧印加および655nmのレーザーの全面露光のみを10000回繰り返して、強制疲労テストを行った後、25℃、50%RH、と30℃、85%RHの温湿度環境下で、初期の画像形成と同様の方法で画像を形成したところ、いずれも画像ボケ、画像流れのない初期と同様の鮮明なドット画像が得られた。
実施例1における光電荷充電層の電荷輸送物質を下記構造式(7)の電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。
Figure 0004711647
実施例1と同様に帯電特性、光減衰特性を測定した結果、帯電電位は印加電圧に比例した電荷充電帯電特性を示し、−400Vの電圧印加でVOFF=−100V、VON=−190Vの帯電電位を示し、VL=−10Vであった。この感光体を用いて、実施例1と同様の画像形成装置を用いて同じ条件で画像を形成したところ、画像ボケがなく、実施例1の画像と比較すると画像濃度がやや低めの画像が得られた。
[比較例1]
実施例1で光電荷充電層を設けなかった以外は実施例1と同様に感光体を作製した。
実施例1と同様に−400Vの電圧印加で帯電特性を測定したが、VOFF=0V、VON=+5Vであった。
次に実施例1で用いた画像形成装置の電圧印加ローラ−の代わりに、放電帯電用の非接触帯電ローラーを搭載し、放電により感光体表面に−350Vの帯電を行った以外は実施例1と同様に画像形成をしたところ、実施例1と同様に鮮明な初期画像が得られた。
その後、コロナ放電による−340Vの帯電と露光のみを10000回繰り返した後、25℃、50%RHと30℃、85%RHの環境下で画像を形成したところ、25℃、50%RH環境下で画像が太くぼけていた。又30℃、85%RH環境下では、画像流れが発生した。
以上のように、本発明の導電性支持体上に少なくとも感光層と光電荷充電層で構成される感光体を用いて、光電荷充電による帯電を行えば、従来の放電帯電を用いた場合より、感光体の劣化が無く、画像ボケや画像流れが発生しにくい画像形成装置が提供出来る
表面にハステロイ導電層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ30μm、周長180mm、ベルト幅340mm)からなるエンドレスベルト形状の透光性支持体を用いて、その上に実施例1と同じ組成、膜厚の電荷発生層、電荷輸送層、光電荷充電層を設けてエンドレスベルト状感光体を作製した(下引き層は形成しない)。
この感光体を図6記載の画像形成装置で画像形成を行った。その際、エンドレスベルト感光体は直径25mmの2本のローラーで、支持駆動され100mm/sの速度で回転させた。
帯電用露光光源は645nmのLED光(1μJ/cm2)、電圧印加部材としてφ16mm、電気抵抗10Ω・cmのシリコンゴムローラを接触させ、連れ周り状態で−500Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定したところ、−400V帯電した。
画像露光手段4は、発振波長655nmのレーザー光とポリゴンミラーミラーを用いた光走査装置で、600dpiのドット画像を露光した。現像は、負帯電トナーとキャリアーからなる2成分現像剤を用いて反転現像を行った。転写手段は、導電性ローラーに正極性の電圧を印加し、トナー画像を紙に転写した。クリーニング手段は感光体表面の摩耗を少なくするために、ファーブラシを用いた。又、感光体と2本の駆動ローラーと電圧印加ローラーは一体化し、電子写真装置から着脱できるようユニット化された。
このような装置を用いて画像を形成したところ、画像ボケのない、中間調画像部に於いてもざらつき感の無い均一で鮮明な画像が得られた。
下記光電荷充電層塗工液を用いて乾燥膜厚1μmの光電荷充電層を感光層の表面に設けた以外は、実施例1と同様に充電帯電用の感光体を作製した。
(光電荷充電層塗工液)
前記構造式(1)のビスアゾ顔料 3重量部
前記構造式(3)の電荷輸送物質 3重量部
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(粘度平均分子量5万) 1重量部
アルミナ 2重量部
(平均一次粒径:0.3μm、「AA03」住友化学工業製)
テトラヒドロフラン 100重量部
シクロヘキサノン 40重量部
この感光体を実施例1と同様に帯電特性、感光特性を測定ところ−400Vの印加電圧でVOFF=−150V、VON=−250v帯電した。
この感光体を用いて実施例1と同様に画像形成を行ったところ、鮮明な画像が得られた。 又この感光体に実施例1と同様に帯電と露光のみの繰り返し強制疲労テストを行った後に25℃、50%RHと30℃、85%RHの温湿度環境下で初期の画像形成と同様の方法で画像を形成したところ、いずれの環境下においても、画像ボケ、画像流れのない初期と同様の鮮明なドット画像が得られた。
更に、実施例1の感光体と実施例10の感光体を図5に示す画像形成装置にて、1万枚の連続画像形成を行った。実施例1の感光体は、1万枚の画像形成後に感光体表面にわずかにスジ状の傷が発生し、出力画像にはわずかなスジ状の画像欠陥が発生した。一方、実施例10の感光体においては、感光体表面に傷等が認められず、1万枚後の画像にも欠陥は認められなかった。
<下引き層の形成>
実施例1と同じ透光性円筒型支持体上に、下記組成の下引き層塗工液を乾燥後の膜厚が0.3μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
(下引き層用塗工液)
アルコール可溶性ナイロン 3部
メタノール 70部
ブタノール 30部
<電荷発生層の形成>
この下引き層上に下記電荷発生層塗工液を浸漬塗工し、110℃、20分、加熱乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生層用塗工液)
チタニルフタロシアニン顔料 5重量部
(XDスペクトルを図12に示す)
ブチラール樹脂(エスレックBX−1:積水化学) 2重量部
メチルエチルケトン 80重量部
<電荷輸送層の形成>
次に、この電荷発生層上に下記組成のの電荷輸送層用塗工液を用いて浸積塗工し、130℃、20分加熱乾燥させ、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
(電荷輸送層用塗工液)
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(粘度平均分子量5万) 1重量部
前記構造式(2)の電荷輸送物質 1重量部
テトラヒドロフラン 10重量部
<光電荷充電層の形成>
このように作製した電荷輸送層の上に、下記組成の光電荷充電層塗工液をスプレー塗工法で塗布、室温乾燥後、160℃、20分加熱乾燥して、膜厚1μmの光電荷充電層を形成し、電荷充電帯電用の感光体を作製した。
(光電荷充電層塗工液)
チタニルフタロシアニン顔料 3重量部
(XDスペクトルを図12に示す)
前記構造式(3)の電荷輸送物質 3重量部
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート 1重量部
THF 100重量部
シクロヘキサノン 40重量部
<評価>
上述のように作製した電荷発生層用途工液、光電荷充電層用塗工液を、それぞれ石英ガラス基板上に感光体と同じ条件で塗布・乾燥して、各々の吸収スペクトルを市販の分光光度計(日立:UV−3100)にて吸収スペクトルを測定した。その結果、電荷発生層、光電荷充電層の吸収スペクトルは、図11に示すCGM Cの吸収スペクトルにほぼ一致し、最大吸収ピーク波長は800nmであった。また、光電荷充電層の780nmの透過率は10%であった。
このように作製した感光体の光充電帯電特性を図8に示す帯電特性測定装置を用いて、下記のごとく測定を行った。
200mm/sの速度で回転する感光体に、740nmの波長領域のLED光(1μJ/ cm)を照射した直後に、φ16mm、電気抵抗10Ω・cmのシリコンゴムローラを接触させ、連れ周り状態で−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−150V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−280Vであった。LDを点灯して帯電させた感光体に780±10nmのLED光を0.5μJ/cm露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−20Vとなった。
次にこの感光体を用いて、図7に示すプロセスカートリッジを用いた画像形成装置で画像形成を行った。以下に画像形成方法を説明する。
帯電部材として、直径8mmのステンレス製軸上に体積抵抗率約10Ω・cmの導電性ウレタン弾性層を設けた導電性の電圧印加ローラー3を用い、感光体表面に接触し、−500Vの電圧を印加した。感光体の初期帯電電位は−380Vであった。帯電用露光光として740nmの波長領域のLEDを用いた。露光装置(図示せず)は、画像情報に従って帯電後の感光体に潜像を書き込むための装置であり、発振波長780nmのレーザー光とポリゴンミラーミラーを用いた光走査装置で、600dpiのドット画像を露光した。感光体への全面露光時の露光部の電位は−30Vであった。現像手段としては負極性に帯電したトナーと磁性キャリアーからなる2成分現像剤を用いて反転現像を行った。転写は、導電性の帯電ローラーに正極性の電圧を印加し、紙上に転写した。クリーニングは、ファーブラシクリーニングを用いた。上記条件で画像を形成したところ、画像ボケがなく、中間調部も均一でざらつき感のない鮮明な画像が得られた。
次に本発明の帯電方法を繰り返した場合の感光体の劣化を調べるために下記の強制疲労テストを行った。感光体に740nmのLED光照射と−500Vの電圧印加および780nmのレーザーの全面露光の10000回繰り返しテストを行った後、25℃、50%RH、と30℃、85%RHの温湿度環境下で初期の画像形成と同様の方法で画像を作成したところ、いずれも画像ボケ、画像流れのない初期と同様の鮮明なドット画像が得られた。
実施例11の光電荷充電層に使用したチタニルフタロシアニンを図13にXDスペクトルを示すチタニルフタロシアニン(最低角が7.5度にピークを有し、最大ピークが27.2度に有するチタニルフタロシアニン)に変更した以外は、実施例11と同様に感光体を作製し、評価を行った。
上述のように作製した光電荷充電層用塗工液を、石英ガラス基板上に感光体と同じ条件で塗布・乾燥して、吸収スペクトルを市販の分光光度計(日立:UV−3100)にて吸収スペクトルを測定した。その結果、光電荷充電層の吸収スペクトルは、図11に示すCGM Cの吸収スペクトルにほぼ一致し、最大吸収ピーク波長は793nmであった。また、光電荷充電層の780nmの透過率は10%であった。
実施例11の場合と同様に、−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−160V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−240Vであった。更にLEDを点灯して帯電させた感光体に780±10nmの光を0.5μJ/cm露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−10Vとなった。
更に、図7に示すプロセスカートリッジを用いた画像形成装置で画像形成を行ったところ、−500Vの印加電圧で感光体の初期帯電電位は−340Vであった。実施例11と同様に画像形成を行ったところ、画像ボケがなく、中間調部も均一でざらつき感のない鮮明な画像が得られた。画像コントラストは、実施例11の画像にやや劣る。
実施例11に使用したチタニルフタロシアニンを図14にXDスペクトルを示すチタニルフタロシアニン(26.3度に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン)に変更した以外は、実施例11と同様に感光体を作製し、評価を行った。
上述のように作製した光電荷充電層用塗工液を、石英ガラス基板上に感光体と同じ条件で塗布・乾燥して、吸収スペクトルを市販の分光光度計(日立:UV−3100)にて吸収スペクトルを測定した。その結果、光電荷充電層の吸収スペクトルは、図11に示すCGM Cの吸収スペクトルにほぼ一致し、最大吸収ピーク波長は785nmであった。また、光電荷充電層の780nmの透過率は10%であった。
実施例11の場合と同様に、−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−150V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−180Vであった。更にLEDを点灯して帯電させた感光体に780±10nmの光を0.5μJ/cm露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−10Vとなった。
更に、図7に示すプロセスカートリッジを用いた画像形成装置で画像形成を行ったところ、−500Vの印加電圧で感光体の初期帯電電位は−230Vであった。実施例1と同様に画像形成を行ったところ、画像ボケがなく、実施例11の画像と比較してやや画像濃度の低い画像が得られた。
実施例11において、光電荷充電層塗工液を以下のものに変更して感光体を作製し、同様に評価を行った。
(光電荷充電層塗工液)
下記構造式(8)のトリスアゾ顔料 3重量部
前記構造式(3)の電荷輸送物質 3重量部
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(粘度平均分子量5万) 1重量部
THF 100重量部
シクロヘキサノン 40重量部
Figure 0004711647
上述のように作製した光電荷充電層用塗工液を、石英ガラス基板上に感光体と同じ条件で塗布・乾燥して、吸収スペクトルを市販の分光光度計(日立:UV−3100)にて吸収スペクトルを測定した。その結果、光電荷充電層の吸収スペクトルは、図11に示すCGM Bの吸収スペクトルにほぼ一致し、最大吸収ピーク波長は780nmであった。また、光電荷充電層の780nmの透過率は10%であった。
実施例11の場合と同様に、−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−120V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−140Vであった。更にLEDを点灯して帯電させた感光体に780±10nmの光を0.5μJ/cm露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−10Vとなった。
更に、図7に示すプロセスカートリッジを用いた画像形成装置で画像形成を行ったところ、−500Vの印加電圧で感光体の初期帯電電位は−200Vであった。実施例1と同様に画像形成を行ったところ、画像ボケがなく、実施例11の画像と比較してやや画像濃度の低い画像が得られた。
実施例11において、帯電用露光をキセノンランプに変更し、350nm短波長カットフィルターと400nm長波長カットフィルターを用いて、370±15nmの露光光源を用いた。
実施例11の場合と同様に、−400Vの電圧を印加した時の帯電電位を測定した。露光しない場合の帯電電位(VOFF)は−140V、LEDを点灯した場合の帯電電位(VON)は−270Vであった。更にLEDを点灯して帯電させた感光体に780±10nmの光を0.5μJ/cm露光したところ、帯電電位は光減衰し、露光部の電位(VL)は−10Vとなった。
実施例11の場合と同様に強制疲労試験を実施したところ、感光体表面の色がわずかに変色し、表面が劣化している様子が観察された。またこれに伴い、強制劣化試験後は、わずかに画像ボケが観察された。
外径100mmΦのアルミ製円筒管上に、実施例1と同じ下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を作製した。 次に電荷輸送層上に下記組成液を用いた以外は実施例1と同様に、乾燥膜厚1μmの光電荷充電層を形成し、感光体を作製した。
(光電荷充電層塗工液)
構造式(2)のビスアゾ顔料 3重量部
下記構造式(9)の高分子電荷輸送物質 3重量部
(GPCによる測定の結果、nはおよそ240と求められた。)
THF 100重量部
シクロヘキサノン 40重量部
Figure 0004711647
この感光体を用いて、実施例1と同様の画像形成装置を用いて同じ条件で画像を形成したところ、画像ボケがなく鮮明な画像画得られた。
更に、実施例10と同様の方法で、1万枚の連続画像形成を行ったところ感光体表面に傷等が認められず、1万枚後の画像にも欠陥は認められなかった。
実施例16の高分子電荷輸送物質の代わりに下記構造式(10)の高分子電荷輸送物質(GPCによる測定の結果、nはおよそ230と求められた。)を使用した以外は実施例18と同様に感光体を作製した。
この感光体を用いて、実施例1と同様の画像形成装置を用いて同じ条件で画像を形成したところ、画像ボケがなく鮮明な画像画得られた。
更に、実施例10と同様の方法で、1万枚の連続画像形成を行ったところ感光体表面に傷等が認められず、1万枚後の画像にも欠陥は認められなかった。
Figure 0004711647
実施例17の光電荷充電層を下記の如く形成した以外は実施例19と同様に感光体を作製、評価した。
光電荷充電層は下記組成の光電荷充電層塗工液を電荷輸送層表面にスプレーで塗工し、150℃で30分加熱乾燥を行って、乾燥膜厚が約1μmの硬化膜として形成した。
(光電荷充電層塗工液)
構造式(2)のビスアゾ顔料 1.5重量部
メチルメタアクリレート-スチレン−n-ブチルメタアクリレート共重合樹脂
(平均分子量:15000,組成比:20/30/30(重量比 )) 0.06重量部
1,4−ブタンジオールジメタクリレート 0.5重量部
下記構造式(11)の電荷輸送性化合物 1重量部
ベンゾイルパーオキサイド 0.01重量部
THF 50重量部
シクロヘキサノン 15重量部
Figure 0004711647
この感光体を用いて、実施例1と同様の画像形成装置を用いて同じ条件で画像を形成したところ、画像ボケがなく鮮明な画像画得られた。
更に、実施例10と同様の方法で、1万枚の連続画像形成を行ったところ感光体表面に傷等が認められず、1万枚後の画像にも欠陥は認められなかった。
本発明の電子写真感光体は、繰り返し使用においても異常画像が発生せず、高耐久性及び高信頼性を有するので、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置としての利用性が高い。
注入帯電と放電帯電との違いを帯電部材への印加電圧と感光体帯電電位との関係から示した図である。 本発明の電子写真感光体の基本構造を示す図である。 本発明の電子写真感光体における帯電及び潜像形成の原理を示す図である。 積層型感光層を用いた本発明の電子写真感光体の例である。 本発明の画像形成装置の構成の例を示す図である。 エンドレスベルト状感光体を用いた場合の本発明の画像形成装置の例を示す図である。 本発明のプロセスカートリッジの例を示す図である。 感光体の帯電特性を測定するための測定装置を示す図である。 実施例1の感光体の帯電特性を示す図である。 三種類の電化発生物質の吸収スペクトルを対比した図である。 画像露光用の光源波長と電荷発生物質の吸収スペクトルとの関係を示した図である。 実施例6で用いたチタニルフタロシアンのXDスペクトルを示した図である。 実施例12で用いたチタニルフタロシアンのXDスペクトルを示した図である。 実施例13で用いたチタニルフタロシアンのXDスペクトルを示した図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電用露光手段
3 電圧印加手段、電圧印加ローラ
4 画像露光手段
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 除電手段、除電ローラ
9 転写紙
11 導電性支持体
12 感光層
12a 電荷発生層
12b 電荷輸送層
13 光電荷充電層
14 クリーニングブレード
15 トナー搬送コイル
16 現像剤セットケース
17 ドクターブレード
18 搬送スクリュー
19 現像スリーブ
20 LED光源
21 除電ローラ
22 表面電位計
23 画像露光用光源

Claims (6)

  1. 少なくとも、感光体と、該感光体に帯電用の露光を行う手段と、
    該帯電用の露光と同時又は露光後に該感光体と接触している導電性電圧印加部材を介して該感光体に負極性電圧を印加して該感光体表面に負極性の帯電を行う電圧印加手段と、
    帯電後該感光体の像露光を行って該感光体に静電荷潜像を形成する像露光手段と、
    該静電荷潜像をトナーで現像するための現像手段と、
    現像された画像を転写体に転写する手段とを有する画像形成装置に於いて、
    該感光体が透光性導電性支持体上に少なくとも像露光に対して感度を有する感光層と、少なくとも帯電用露光で電荷を発生する電荷発生物質及び正孔輸送物質を含有する光電荷充電層を有し、且つ該光電荷充電層が感光体の表面にあり、該透光性導電性支持体側から該像露光が行われることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記帯電用の露光手段として400nm以上の波長の光源を用いることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 帯電用露光手段に用いられる光を光電荷充電層が80%以上吸収することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記光電荷充電層に用いられる電荷発生物質が有機顔料であり、この有機顔料の最大吸収波長と感光層に用いられる電荷発生物質が有機顔料であり、この有機顔料の最大吸収波長との差が、±10nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の画像形成装置。
  5. 前記光電荷充電層に含有される電荷発生物質が有機顔料であり、この有機顔料の最大吸収波長と前記感光層に含有される電荷発生物質が有機顔料であり、この有機顔料の最大吸収波長とが、200nm以上離れていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の画像形成装置。
  6. 感光体と、帯電用の露光手段、電圧印加手段、現像手段、クリーニング手段、除電手段及び転写手段から選ばれる少なくとも1つとを一体化し、装置本体と着脱自在なプロセスカートリッジを搭載していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の画像形成装置。
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