JP2004177560A - 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成方法並びにプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送物質とバインダー樹脂から構成される電荷輸送層を、順次積層した電子写真感光体において、該バインダー樹脂は下記式(I)で表される繰り返し構造単位を含有するポリカーボネート共重合体Aと、下記式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂B、もしくは下記式(III)と(IV)で表される構造単位を共重合してなるポリカーボネート共重合体Cを含有し、ポリカーボネート共重合体Aを全バインダー樹脂質量比で50%未満含有させた電子写真感光体。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等に使用される電子写真感光体とそれを用いた電子写真画像形成方法及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真画像形成方法において使用される感光体としては、導電性支持体上にセレンないしセレン合金を主体とする感光層を設けたもの、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機系光導電材料をバインダー中に分散させたもの、ポリ−N−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンあるいはアゾ顔料などの有機光導電材料を用いたもの、及び非晶質シリコン系材料を用いたもの等が一般に知られている。
【0003】
一般に「電子写真画像形成方法」とは、光導電性の感光体をまず暗所で例えばコロナ放電によって一様帯電させ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択的に散逸せしめて静電潜像を得、この潜像部を染料、顔料などの着色剤と高分子物質などの結合剤とから構成される検電微粒子(トナー)で現像し可視化して画像を形成する。
【0004】
このような電子写真画像形成法において感光体に要求される基本的な特性としては
・暗所で適当な電位に帯電できること
・暗所で電荷の散逸が少ないこと
・光照射により速やかに電荷を散逸できること
が挙げられる。
【0005】
近年では、電子写真方式に於いて使用される感光体としては、コストの低さ、感光体設計の自由度の高さ、低公害性等から有機系電子写真感光体が広く利用されるようになってきている。
【0006】
有機系電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体を用いるもの、構成的にはフタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られており、特に全体の構成としては機能分離型の感光体を採用するのが所定の性能を得やすく、広く行われている。
【0007】
この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いることが知られており、上記基本特性を充分に満たすものが得られている。
【0008】
しかし、近年、電子写真画像形成方法(プロセス)の高速化、高耐久化、小型化が進むなか、感光体に対して上記特性以外に長期繰返し使用に際しても高画質を保つことの出来る耐久性が強く要求されるようになっている(例えば、特開2002−182406号公報、特開2002−207302号公報参照)。
【0009】
一般的に電子写真感光体は、繰り返し使用により、電位の変動(帯電電位、露光部電位)等の問題を抱えている。感光体を長期的に使用するために、感光体表面の機械的耐久性向上が必要である。このためには感光体周辺に配置された画像形成プロセス機器側からの摺擦力を受けとめ、その影響を避けるべく低摩耗化が検討されている。このような対策により、感光体表面の低摩耗化により、感光体の寿命は序々に向上し、これまで以上に繰り返し使用時における電位の安定化がなされるようになった。
【0010】
さらに、電子写真感光体は、その生産効率を向上させるために、物理的にも化学的にもより安定した感光層塗布液によって作製されることも望まれている。
【0011】
これらの要望に対し、感光体の表面層ともなる電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂の役割は、非常に重要である。
【0012】
また最近では、環境問題が取り沙汰されている。電荷輸送層の塗工(塗布)溶媒として使用されるモノクロロベンゼンやジクロロエタン、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒は、外部飛散による環境及び人体への影響が危惧されている。このような状況において、感光体を製造する立場から、電荷輸送層塗工の際に用いられるハロゲン系溶媒の撤廃が望まれている。
【0013】
ところで、上記のような有機系電子写真感光体は、一般にシート状、もしくはドラム状の導電性支持体上に感光層を形成して製造されている。この感光層を形成する方法としては浸漬塗工法(塗布法)やスプレーコート、ビードコート法などが知られている。これらのうち比較的装置が簡便であることから一般に浸漬塗工法が採用されている。この塗布法により感光層を形成する過程は、導電性支持体を感光層形成用塗布液に浸漬して塗布膜を形成し乾燥することであるが、この過程において塗布膜中に含まれている溶媒が蒸発する際、塗布膜中にうず対流が発生し、乾燥後の表面に凹凸ができ、表面の平滑性が失われるという現象がある。これを一般に「レチ」と呼んでいる。
【0014】
通常、レチ発生を抑制し、感光層表面の平滑性を得るためにレベリング剤としてシリコーンオイルを感光層形成用塗布液に添加することは知られているが(例えば、特開昭55−140849号公報、特開昭57−212453号公報参照)、しかし、この方法では同時に残留電位の上昇を招き、感光体特性を低下させてしまうという問題がある。
【0015】
【特許文献1】
特開2002−182406号公報
【0016】
【特許文献2】
特開2002−207302号公報
【0017】
【特許文献3】
特開昭57−212453号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題を解決するためになされた。
【0019】
即ち、本発明の目的は、実用上充分な帯電特性を備え、環境へ配慮した、長寿命、高信頼性を高いレベルで達成する電子写真感光体及びそれを用いた画像形成方法並びにプロセスカートリッジを提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、本発明の目的は、下記構成のいずれかを採ることにより達成されることが判明した。
【0021】
〔1〕 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送物質とバインダー樹脂から構成される電荷輸送層を、順次積層した構成を有する電子写真感光体において、該バインダー樹脂は前記式(I)で表される繰り返し構造単位を含有するポリカーボネート共重合体Aと、前記式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂B、もしくは前記式(III)と(IV)で表される2つの繰り返し構造単位を共重合してなるポリカーボネート共重合体Cを含有し、ポリカーボネート共重合体Aを全バインダー樹脂量に対して質量比で50%未満含有させたことを特徴とする電子写真感光体。
【0022】
〔2〕 〔1〕記載の電子写真感光体において、前記全バインダー樹脂量に対して質量比で50%未満含有されるポリカーボネート共重合体Aは、前記式(I′)、及び前記式(III)と(IV)の3つの繰り返し構造単位を共重合してなることを特徴とする電子写真感光体。
【0023】
〔3〕 〔2〕記載の電子写真感光体において、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂は前記式(Ia)、(IIIa)及び(IVa)の3つの繰り返し構造単位を共重合してなるポリカーボネート共重合体Aであることを特徴とする電子写真感光体。
【0024】
〔4〕 電荷輸送層用塗工液の溶剤は少なくとも環状エーテル類を含むことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0025】
〔5〕 電荷輸送層用塗工液の溶剤に含まれる環状エーテル類の溶媒aは全塗工液溶媒中の50質量%以上であり、これと混合する溶媒bはハロゲンを含まず、かつ極性パラメーター(ET)がa≧bの関係を満たすことを特徴とする〔4〕記載の電子写真感光体。
【0026】
〔6〕 電荷輸送層用塗工液溶剤に含まれる環状エーテル類の溶媒はテトラヒドロフランであることを特徴とする〔4〕又は〔5〕記載の電子写真感光体。
【0027】
〔7〕 電荷輸送層用塗工液中にはレベリング剤を添加しないことを特徴とする〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0028】
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の電子写真感光体において、電荷発生層中の電荷発生物質がフタロシアニン系化合物であることを特徴とする電子写真感光体。
【0029】
〔9〕 〔1〕〜〔8〕いずれか1項に記載の電子写真感光体において、下引き層(中間層)に金属原子を含むことを特徴とする電子写真感光体。
【0030】
〔10〕 〔1〕〜〔9〕いずれか1項に記載の電子写真感光体を使い、一様帯電、露光、現像、転写・分離及びクリーニング工程を繰り返して画像形成することを特徴とする画像形成方法。
【0031】
〔11〕 電子写真感光体を用いて、帯電・像露光・現像・転写・分離・クリーニングの工程を経る画像形成に使用するプロセスカートリッジにおいて、〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いて、帯電器・像露光器・現像器・転写又は分離器・クリーニング器の少なくとも一つを組み合わせて造られたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0032】
即ち、本発明の如く式(I)で示されるシロキサン構造を有するポリカーボネート共重合体を電荷輸送層中に用いることにより、特にレベリング剤(シリコーンオイル)を添加する必要がなくなり電位安定性が改善される。また、電荷輸送層に用いる溶媒の種類にかかわらず安定した成膜がえられ、レチの心配がなくなり、画像特性等も改善される。
【0033】
しかし、あまりに式(I)で示されるシロキサン構造を有するポリカーボネート共重合体の含有率が高くなると、電位安定性に悪影響を与えるので、全バインダー樹脂量に対して質量比で50%未満含有させる。これにより、離型性及び潤滑性が付与され、トナーフィルミング防止という特性を満たす電子写真感光体とすることができる。
【0034】
本発明の効果は、上記式(I)のポリカーボネート共重合体Aがシロキサン構造を有するためである。このポリカーボネート共重合体Aはレベリング剤としての効果も発揮する。しかし、電気的特性の面では、例えば表面層にレチ防止のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを添加すると、電気特性の低下を招くことが知られているように、上記式(I)のシロキサン構造を有するポリカーボネート共重合体Aも全バインダー樹脂中の大半を占めると、繰り返し時の表面電位低下や残留電位上昇に大きな影響を及ぼすと考えられる。故に上記式(I)のポリカーボネート共重合体Aを全バインダー樹脂中に補助的に存在させることで電気特性を損なわず、膜物性をも満足する感光体が作製できると考えられる。
【0035】
また、請求項2記載の発明のように、請求項1記載の発明におけるシロキサン構造を有する繰り返し構造単位を含むポリカーボネート共重合体Aは、式(I)、(III)及び(IV)で表される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート共重合体を含有することもできる。但し、式(III)と(IV)は同一構造になることはない。
【0036】
特に、請求項3記載のような式(Ia)、(IIIa)及び(IVa)で表される3つの繰り返し構造単位を共重合させてなるポリカーボネート共重合体とすることによって、耐トナーフィルミング性が向上し、また電荷輸送層用塗工液の保存性も満足する。
【0037】
この様な場合においても、式(I)、(Ia)の繰り返し単位は、バインダー樹脂に対して質量比で0.5質量%以上含有させるのが望ましい。また、本発明によれば、長期的に機内電位変動が少なく、且つ良好な画像形成を行う感光体を得ることができる。これらにつき以下に詳細に説明する。
【0038】
脱ハロゲン電荷輸送層塗工溶媒に必要不可欠な条件として、結着樹脂であるポリカーボネート樹脂を溶解しなければならない。この点を考慮すると、テトラヒドロフラン、トルエン、ジオキサン、キシレン、シクロヘキサン、ジオキソラン、アニソール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0039】
一方、感光体は、長期的繰り返し使用における耐摩耗性の向上のため、これまで以上に電位変動の少ないものが望まれる。このことから、脱ハロゲン電荷輸送層塗工溶媒は、生産上の問題であるブラッシング、膜厚むら(タレ)、液の保存性などの要件に加え、画像形成に長期使用した場合、機内電位変動(特に露光部電位変動)等の副作用をないものが必要となる。
【0040】
このような点を全て考慮した上で、比較的良好である脱ハロゲン電荷輸送層塗工溶媒種は、環状エーテル類であった。
【0041】
その中でも特にブラッシングやタレに対しては、環状エーテル類の溶媒が全塗工液溶媒中の50質量%以上であり、これと混合する溶媒は、極性パラメーター(ET)がこの環状エーテル溶媒より小さい場合に効果があった。なお、ここに言う溶媒極性パラメーター(ET)は、化学便覧 基礎編1 4.5溶媒の性質
602〜609頁の記載に基づいて容易に選択することができる。
【0042】
この溶媒極性パラメーター(ET)は、K.Dimarth,C.Reichardt,etal.,Liebig Ann.,661,I(1963);ibid.,669,95(1963);Z.Anal.Chem.,215,344(1966)の文献に記載の方法により容易に計算することができる。
【0043】
また、塗工液溶媒中の環状エーテル類の溶媒がテトラヒドロフランであった時が、最も電位変動が少なく効果が顕著であった。
【0044】
又、本発明に、従えば電荷輸送層塗工液中にシリコーンオイルといったレベリング剤の添加の必要がなく、良好な表面層が得られるため、感光体の残留電位上昇の懸念がなく、長期的繰り返し使用における電位変動を最小限に抑えることができる。
【0045】
さらに、本発明は、電荷発生層中の電荷発生物質がフタロシアニン系化合物を含有する電子写真感光体とすることにより、良好な感度特性、帯電特性及び繰り返し特性を有する。
【0046】
さらに又、本発明は、下引き層(中間層)に金属原子を含む電子写真感光体とすることにより、耐モアレ、残留電位の低減に効果を有する。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の態様をさらに説明する。
【0048】
図1(1)、(2)は本発明の電子写真用感光体の模式断面図であり、図1(1)は、導電性支持体(基体)1上に下引き層(UCL)2、電荷発生層(CGL)3、電荷輸送層(CTL)4を設けた構成のものである。図1(2)は(1)の構成層中、下引き層のない電子写真用感光体構成例を示すものである。なお、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を少なくとも有していれば、その他の層等は任意に組み合わされていてもよい。
【0049】
本発明において電子写真用感光体に使用される導電性支持体としては、導電体あるいは導電処理をした絶縁体、例えばAl、Fe、Cu、Auなどの金属あるいはそれらの合金の他、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属あるいはIn2O3、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したもの、導電処理をした紙等が使用できる。導電性支持体の形状は特に制約はなく板状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用できる。
【0050】
導電性支持体と感光層との間に設けられる下引き層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を、溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
【0051】
更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
【0052】
この他に、本発明の下引き層にはAl2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO,SnO2,TiO2,ITO,CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0053】
この導電性支持体に下引き層を介して設けられる感光層の種類は前述したSe系等の無機感光体でもよいが、好ましくは有機感光体(OPC)系に適用できる。以下、主にOPC系について簡単に説明する。
【0054】
本発明における感光層は、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を積層した構成を有する。下引き層については前述の通りなので、電荷発生層について説明する。電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
【0055】
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0056】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0057】
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、シリコーン変性ブチラール樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0058】
また、上述のバインダー樹脂の他に、必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。
【0059】
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電重合法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
【0060】
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
【0061】
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜3μm程度が適当である。
【0062】
次に、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は帯電電荷を保持させ、かつ露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的達成のために電気抵抗が高いことが要求され、また保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さくかつ電荷移動性が良いことが要求される。
【0063】
これらの要件を満足させるための電荷輸送層は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂より構成される。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂を少なくとも環状エーテル類を含む溶媒等に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。本塗工液溶媒は、溶媒中に、環状エーテル類が含有されているのが好ましく、これ以外の脱ハロゲン化溶媒と混合されていてもかまわない。好ましくは、溶媒中の環状エーテル類の溶媒がテトラヒドロフランであり、全塗工液溶媒中に50質量%以上、より好ましくは70質量%以上を占め、これと混合する溶媒は、トルエン、ジオキサン、キシレン、シクロヘキサン、ジオキソラン、アニソール等のテトラヒドロフランよりも溶媒極性パラメーター(ET)の小さい溶媒が良好である。また、必要により電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤等を適量添加することもできる。
【0064】
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0065】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、ヒドラゾン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ピレンーホルムアルデヒド縮重合体、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、インデン誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、ブタジエン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0066】
また、電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、上記式(I)で表されるシロキサン構造を有する繰り返し単位を含むポリカーボネート共重合体Aと、前記式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂Bもしくは前記式(III)と(IV)で表される2つの繰り返し構造単位を共重合させてなるポリカーボネート共重合体Cをバインダー樹脂として含有する電荷輸送層において、ポリカーボネート共重合体Aが全バインダー樹脂質量比で50%未満含有する。バインダー樹脂としてはBやC以外の樹脂として、ポリスチレン、ポリアミド、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等を混合してもよい。
【0067】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、全バインダー樹脂100質量部に対し10〜150質量部が好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、5〜50μmが適当である。より好ましくは10〜30μmが良好である。
【0068】
本発明における電荷輸送層中に、ゴム、プラスチック、油脂類などに用いられる他の酸化防止剤や可塑剤を添加していてもかまわない。
【0069】
通常、表面電荷輸送層用塗工液はレベリング剤を添加しないと表面に凹凸ができ、表面の平滑性が失われるという現象があり、これを一般に「レチ」と呼んでいる。しかし一方でレベリング剤を添加すると機内電位変動が大きくなってしまうという問題がある。本発明では、ポリカーボネート共重合体Aが全バインダー樹脂質量比で50%未満含有させることによって、いかなる結着樹脂・溶剤でもレベリング剤なしでレチを防止し、機内電位変動も最小限に抑える技術を提供する。なお、ここに言うレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、パーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーである。
【0070】
次に、本発明の画像形成方法に用いれる画像形成装置について説明する。
図2は本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【0071】
図中、5は像形成体である感光体であり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に感光体層である有機光導電体を形成してなるもので矢印方向に所定の速度で回転する。
【0072】
図2において、図示しない原稿読み取り装置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザー光源21から露光光が発せられる。これをポリゴンミラー22により、図2の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補正するfθレンズ13を介して、感光体面上に照射され静電潜像を作る。像形成体である感光体ドラム3は、あらかじめ帯電器15により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
【0073】
感光体面上の静電潜像は、現像器16により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた転写紙18に転写器17の作用により転写される。さらに感光体5と転写紙18は分離器(分離極)9により分離されるが、トナー像は転写紙18に転写担持されて、定着器10へと導かれ定着される。
【0074】
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニング器11のクリーニングブレード7にて清掃され、帯電前露光(PCL)12にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器15により、一様帯電される。
【0075】
図3はトナーリサイクル装置をも備えたプロセスカートリッジの一例を示す部材斜視構成図である。
【0076】
この方式は現像器へリサイクルトナーを直接戻す方式である。クリーニングブレード7で回収された未転写トナーは、クリーニング器11内の搬送スクリュウによってトナーリサイクルパイプ24に集められ、更にこのリサイクルパイプの受け口25から現像器16に戻され、再び現像剤として使用される構成をとっているが、本発明に係わる画像形成装置において、このような機構を備えても良い。
【0077】
図3は、画像形成装置に着脱自在のプロセスカートリッジの斜視図であるが、斜視構造を判りやすくするため感光体ユニットと現像剤ユニットを分離した図面になっている。これを全部一体化したユニットとして着脱自在に画像形成装置に搭載出来る。この場合、感光体、現像器、クリーニング器及びリサイクル部材が一体となりプロセスカートリッジを構成している。
【0078】
又、上記画像形成装置は、感光体ドラムと、帯電器、現像器、クリーニング器或いはリサイクル部材等の少なくとも一つを含むプロセスカートリッジを搭載する形態にすることも出来る。
【0079】
次に、転写材(転写紙)は代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に限定されず、OHP用のPETベース等も無論含まれる。
【0080】
又、前記したとおりクリーニングブレード7は、厚さ1〜30mm程度のゴム状弾性体を用い、材質としてはウレタンゴムが最も良く用いられる。これは感光体に圧接して用いられるため熱を伝え易く、本発明においては解除機構を設け、画像形成動作を行っていない時には感光体から離しておくのが望ましい。
【0081】
本発明は、電子写真法による画像形成装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に使用することも出来る。
【0082】
近年、感光体ドラム上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
【0083】
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータ又は複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0084】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向或いは副走査方向の一方或いは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状或いは楕円状である。
【0085】
クリーニングは、弾性ゴムブレードを部材として用いたブレードクリーニング方式が好ましい。弾性ゴムとしては、ウレタンゴム、シリコーンゴム等を用いることが出来るが、ウレタンゴムが特に好ましい。
【0086】
像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
【0087】
尚、ファクシミリのプリンターとして使用する場合には、像露光器13は受信データをプリントするための露光を行うことになる。
【0088】
本発明の画像形成装置は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0089】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0090】
ただし、本発明の態様は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、文中の「部」はすべて質量部を表す。
【0091】
〔実施例(その1)〕
実施例1
下記のようにして感光体1を作製した。
【0092】
直径80mmの円筒形アルミニウム製導電性基体(支持体)上に、下記の下引き層塗布液を浸漬塗布して、乾燥膜厚1.0μmの下引層を形成した。
【0093】
〈下引層塗布液〉
ポリアミド樹脂(X4685:ダイセル・デグサ社製) 20部
酸化チタン(SMT500SAS:テイカ社製) 70部
エタノール 180部
n−プロパノール 45部
上記を混合しガラスビーズを用いたサンドミルにて分散し、下引き層塗布液を作製した。
【0094】
次に下記の電荷発生層塗布液を、浸漬塗布して乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0095】
〈電荷発生層塗布液〉
電荷発生物質(X線回折のブラック角2θが27.2度に顕著なピークを有す
るY型チタニルフタロシアニン顔料) 12部
ポリビニルブチラール樹脂:エスレックBL−1(積水化学社製) 12部
酢酸t−ブチル 200部
上記を混合しサンドミルにて分散し、電荷発生層塗布液を作製した。
【0096】
前記電荷発生層の上に下記の電荷輸送層塗布液を、円形スライドホッパーにて塗布して後、110℃にて70分加熱硬化し、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、感光体1を作製した。
【0097】
〈電荷輸送層塗布液〉
電荷輸送物質(化合物A) 70部
ポリカーボネート(G400:出光興産社製) 40部
ポリカーボネート(Z300:三菱瓦斯化学社製) 60部
2,6−ジ−t−ブチル−4−フェニルフェノール 2部
テトラヒドロフラン(THF) 700部
実施例2〜8
電荷輸送層塗布液に表1に示す種類及び構成比のバインダー樹脂・溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜8の感光体を作製した。
【0098】
【表1】
【0099】
化合物A:下記構造
化合物B:下記構造
G400:式(Ia)、(IIIa)、(IVa)の共重合体、分子量40,000
B500:式(IIIa)、(IVa)の共重合体、分子量50,000
Z300:下記構造の重合体(式(II)の規定内)、分子量30,000
TS2050:下記構造の重合体(式(II)の規定内)、分子量50,000
THF:テトラヒドロフラン
【0100】
【化7】
【0101】
実施例9〜11
実施例1の電荷発生層塗布液の電荷発生物質をX線回折のブラック角2θが7.5℃、28.6度に顕著なピークを有するB型チタニルフタロシアニン顔料にし、表2に示す電荷輸送層塗布液中の種類及び構成比のバインダー樹脂・溶媒とした以外は実施例1と同様にして、実施例9〜11の感光体を作製した。
【0102】
下記、表2中にこれらの構成を示す。表示法は表1と同様である。
【0103】
【表2】
【0104】
実施例12
直径80mmの円筒形アルミニウム製導電性基体上に、下記の下引き層塗布液を浸漬塗布して120℃で30分の熱処理を行い、膜厚1.0μmの下引層を形成した。
【0105】
〈下引層塗布液〉
チタンキレート化合物TC−750(松本製薬社製) 20部
シランカップリング剤KBM−503(信越化学社製) 13部
トルエン 100質量部
以下、上層については実施例2同様にして感光体を作製した。
【0106】
実施例13
実施例12の下引き層とした以外は実施例3同様にして感光体を作製した。
【0107】
実施例14
実施例12の下引き層とした以外は実施例4同様にして感光体を作製した。
【0108】
実施例15
実施例12の下引き層とした以外は実施例6同様にして感光体を作製した。
【0109】
実施例16
実施例12の下引き層とした以外は実施例8同様にして感光体を作製した。
【0110】
実施例17
実施例12の下引き層とした以外は実施例9同様にして感光体を作製した。
【0111】
実施例18
実施例12の下引き層とした以外は実施例11同様にして感光体を作製した。
【0112】
比較例1〜6
表3に示す電荷輸送層塗布液中の種類及び構成比のバインダー樹脂・溶媒・レベリング剤を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1〜6の感光体を作製した。
【0113】
下記、表3中にこれらの構成を示す。表示法は表1と同様である。
【0114】
【表3】
【0115】
KF54:シリコーンレベリング剤(信越化学社製)
KF96:シリコーンレベリング剤(信越化学社製)
〈評価〉
各感光体を30℃、80%RH環境下にてコニカ社製複写機「Konica7050」(コロナ帯電方式、半導体レーザー使用)、平均粒径6.5μm重合トナーを用いた改造機に搭載し、5万枚(A4)の通紙試験を行った。そして初期の帯電電位(VH)及び露光部電位(VL)と、通紙前後の帯電電位変化(ΔVH)及び露光部電位変化(ΔVL)について測定した。
【0116】
また、これら各感光体の5万枚通紙後における膜厚減少量についても測定した。画像特性は5万枚通紙試験直後にオリジナルチャートの複写画像における画像欠陥の発生状況を調べることにより評価した。
【0117】
評価は
◎:画像欠陥が全くないもの
○:若干の画像欠陥があるものの実用域レベルであるもの
×:画像欠陥があるもの
として示した。
【0118】
なお評価に際しては、実施例7〜9に限りレーザーパワーを通常の2.5倍のユニットに換え評価した。
【0119】
【表4】
【0120】
*:電荷輸送層塗布時に激しいレチ発生のため評価せず
本発明内の実施例1〜18は、いずれの特性も優れているが、本発明外の比較例1〜6は少なくともいずれかの特性に問題があることがわかる。
【0121】
〔実施例(その2)〕
実施例(その1)においては、電荷輸送層用の溶媒をして非ハロゲン系のテトラヒドロフランを用いた、これをハロゲン系溶媒であるメチレンジクロライド(MDC)に変更した場合の特性を示す。
【0122】
電荷輸送層塗布液に下記に示す種類及び構成比のバインダー樹脂・溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして感光体19を作製した。
【0123】
感光体19を実施例(その1)と同様な方法で評価し、下記にその結果を示す。
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
ハロゲン系溶媒を用いた感光体は環境問題等で問題が出る可能性があるが、本発明に適用しても、その他の特性においては特に問題はなく、優れた性能を有していることがわかる。
【0127】
【発明の効果】
本発明により、実用上充分な帯電特性を備え、環境へ配慮した、長寿命、高信頼性を高いレベルで達成する電子写真感光体及びそれを用いた画像形成方法並びにプロセスカートリッジを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真用感光体の模式断面図。
【図2】画像形成装置の一例を示す断面構成図。
【図3】トナーリサイクル装置の一例を示す部材斜視構成図。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 中間層(UCL)
3 電荷発生層(CGL)
4 電荷輸送層(CTL)
5 感光体
11 クリーニング器
16 現像器
18 転写材(転写紙)
Claims (11)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送物質とバインダー樹脂から構成される電荷輸送層を、順次積層した構成を有する電子写真感光体において、該バインダー樹脂は下記式(I)で表される繰り返し構造単位を含有するポリカーボネート共重合体Aと、下記式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂B、もしくは下記式(III)と(IV)で表される2つの繰り返し構造単位を共重合してなるポリカーボネート共重合体Cを含有し、ポリカーボネート共重合体Aを全バインダー樹脂量に対して質量比で50%未満含有させたことを特徴とする電子写真感光体。
- 電荷輸送層用塗工液の溶剤は少なくとも環状エーテル類を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 電荷輸送層用塗工液の溶剤に含まれる環状エーテル類の溶媒aは全塗工液溶媒中の50質量%以上であり、これと混合する溶媒bはハロゲンを含まず、かつ極性パラメーター(ET)がa≧bの関係を満たすことを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
- 電荷輸送層用塗工液溶剤に含まれる環状エーテル類の溶媒はテトラヒドロフランであることを特徴とする請求項4又は5記載の電子写真感光体。
- 電荷輸送層用塗工液中にはレベリング剤を添加しないことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体において、電荷発生層中の電荷発生物質がフタロシアニン系化合物であることを特徴とする電子写真感光体。
- 請求項1〜8いずれか1項に記載の電子写真感光体において、下引き層(中間層)に金属原子を含むことを特徴とする電子写真感光体。
- 請求項1〜9いずれか1項に記載の電子写真感光体を使い、一様帯電、露光、現像、転写・分離及びクリーニング工程を繰り返して画像形成することを特徴とする画像形成方法。
- 電子写真感光体を用いて、帯電・像露光・現像・転写・分離・クリーニングの工程を経る画像形成に使用するプロセスカートリッジにおいて、前記請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いて、帯電器・像露光器・現像器・転写又は分離器・クリーニング器の少なくとも一つを組み合わせて造られたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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2002
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