JP4711566B2 - ばね製造機の線材折曲装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はばね製造機の線材折曲装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の線材折曲装置として以下の如きものは知られている。
ファイナル線材ガイドから線材加工空間に線材を送り出し、その線材加工空間に送り出された又は送り出されている線材に、線材加工空間に突出する又は突出した状態のツールによって所定の加工を施してばねを製造するばね製造機の線材折曲装置であって、線材加工空間の外側方に位置するようにしてばね製造機の機枠に線材加工空間に対して進退自在に設けられたスライドと、このスライドに軸心がファイナル線材ガイドの線材通路の中心線と直交するようにして固定された固定スピンドルと、この固定スピンドルに回転自在となされた回転スリーブとを有し、前記固定スピンドルの、線材加工空間側の端部に、ファイナル線材ガイドの線材通路の中心線と平行な線材嵌合溝が形成され、前記回転スリーブの、線材加工空間側の端部は線材嵌合溝に嵌まる線材と衝突・干渉しないようになされると共に回転スリーブの、線材加工空間側の端部に線材係合突起が固定スピンドルとの間に線材が嵌まる間隙をあけるようにして設けられているものは知られている。
【0003】
【従来技術の作用】
以下に、従来技術の作用を説明する。
ファイナル線材ガイドから線材加工空間に送り出された線材を線材嵌合溝に嵌めるようにスライドが線材加工空間に向かって突出する。なお、その状態で、線材の先端部は線材嵌合溝の、ファイナル線材ガイドと逆側の端から突出した状態となるようになされ、また、線材係合突起は線材と衝突・干渉しない位置にある。その後、回転スリーブを回転させて、線材嵌合溝より突出した線材を線材係合突起により固定スピンドルに近付けるように折曲する。その後、僅かに回転スリーブを逆転させた後、線材が線材嵌合溝から外れるようにスライドを線材加工空間から退避させる。その後、回転スリーブを元の位置に戻す。
【0004】
【従来技術の欠点】
前記従来の線材折曲装置には以下の如き欠点があった。
線材嵌合溝より突出した線材を、線材係合突起と線材嵌合溝の端縁(線材を折曲する際の受けとなる、線材嵌合溝の縁部)とにより折曲するのであるが、回転スリーブを1つの回転方向にのみ回転させる場合について云えば、線材の折曲に使用出来る、線材嵌合溝の縁部は1つしかなく、そのため、線材に2つ以上の折曲部を形成する際、それら折曲部の湾曲形状(折曲部の曲率半径)が相違するとすれば、折曲部の湾曲形状に対応した数の線材折曲装置をばね製造機に設置しなければならないという欠点があった。
【0005】
【前記欠点を解消するための手段】
本発明は前記欠点を解消するために以下の如き手段を採用した。
▲1▼請求項1の発明は、ファイナル線材ガイドから線材加工空間に線材を送り出し、その線材加工空間に送り出された又は送り出されている線材に、線材加工空間に突出する又は突出した状態のツールによって所定の加工を施してばねを製造するばね製造機の線材折曲装置であって、線材加工空間の外側方に位置するようにしてばね製造機の機枠に線材加工空間に対して進退自在に設けられたスライドと、このスライドに軸心がファイナル線材ガイドの線材通路の中心線と直交するようにして設けられたスピンドルと、このスピンドルに回転自在に嵌められた回転スリーブとを有し、前記スピンドル又は回転スリーブの少なくとも一方が他方に対して軸心方向に移動自在となされ、前記回転スリーブの、線材加工空間側の端部に線材係合突起がスピンドルとの間に線材が嵌まる間隙をあけるようにして設けられ、前記スピンドルの、線材加工空間側の端部に、軸心方向にずれるようにして線材係合突起との協働により線材を折曲する、少なくとも2つの線材受け部材が設けられているものである。
▲2▼請求項2の発明は、前記スピンドルが回転自在となされている請求項1記載のものである。
【0006】
【発明の効果】
本発明は前記した如き構成によって以下の如き効果を奏する。
請求項1の発明によれば、スピンドルと回転スリーブとの軸心方向の相対位置を変更することにより、線材係合突起との協働により線材の折曲を行なう線材受け部材を変更することが出来るので、回転スリーブを1つの回転方向に回転させるだけの場合であっても、1つの線材折曲装置により少なくとも2種類の湾曲形状を得ることが出来る。
▲2▼請求項2の発明によれば、スピンドルを回転させてその向きを変更することにより線材受け部材の向きを変更して、線材係合突起との協働により線材の折曲を行なう、線材受け部材の部位を変更することが出来るので、回転スリーブを1つの回転方向に回転させるだけの場合であっても、1つの線材折曲装置により、線材の折曲を行なう、線材受け部材の部位の数の湾曲形状を得ることが出来る。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
なお、この説明において、前とは図1紙面表側を、後とは同裏側をいい、左とは図1左側を、右とは同図右側をいう。
【0008】
ばね製造機1は、垂直な前壁3を有する機枠2と、この機枠2の前壁3の前方に形成された線材加工空間5と、この線材加工空間5に向かって送り出される線材が通過する、中心線10を左右方向に向けた線材通路を有すると共に前壁3に突設された取付台7に着脱自在に設けられたファイナル線材ガイド8と、このファイナル線材ガイド8の、線材加工空間5と逆側において前壁3に回転自在に設けられた、線材を挟圧しつつ送り出す少なくとも一対の線材送りローラー9と、前記線材加工空間5を挾んでファイナル線材ガイド6に対向すると共に前壁3に線材加工空間5に向かって進退自在に設けられた曲げダイス用スライド(図示略)と、前記前壁3に線材加工空間5に向かって進退自在に設けられた所要本のツール取付スライド(図示略)と、前記前壁3に線材加工空間5の下方に位置するようにして設けられた以下に詳述する線材折曲装置11とを有している。
【0009】
以下に、前記線材折曲装置11について説明する。
前壁3の前面の、ファイナル線材ガイド8及び線材加工空間5の下方の部分に、長手方向を上下方向に向けた左右一対のガイドレール12が設けられ、これらガイドレール12に沿ってスライド13が上下動に設けられている。前記スライド13は、公知の作動装置(図示略)により上下動させられるようになされている。
【0010】
前記スライド13に軸心を上下方向に向けるようにして回転スピンドル15(特許請求の範囲で云うスピンドル)が回転自在に設けられている。この回転スピンドル15の軸心は、ファイナル線材ガイド8の線材通路の中心線10と直交し、且つ、中心線10を含む仮想垂直面内に位置するようになされている。前記回転スピンドル15に回転スリーブ16が回転自在に嵌められている。
【0011】
前記回転スピンドル15は、スライド13に搭載された正逆回転自在なモーター19及び原動歯車20、従動歯車21を含む作動装置22によって正逆に回転させられるようになされている。また、回転スリーブ16は、正逆回転自在なモーター24及び原動歯車25、従動歯車26を含む作動装置27によって正逆に回転させられるようになされている。
【0012】
前記回転スリーブ16の、線材加工空間5側の端部に線材係合突起29が回転スピンドル15との間に線材が嵌まる間隙をあけるようにして設けられている。
【0013】
前記回転スピンドル15は、作動装置31により回転スリーブ16に対して軸心方向に移動するようになされている(上下動するようになされている)。
前記作動装置31は、ブラケット32を介してスライド13に固定された、回転軸の軸心を前後方向に向けたモーター33と、このモーター33によって上下に揺動させられる揺動アーム34と、この揺動アーム34の自由端に設けられた軸心を前後方向に向けたローラー35と、このローラー35が嵌まる環状溝37を有すると共に回転スピンドル15に嵌め止められたフランジ付き環状体36とより構成されている。
【0014】
前記のごとき構成により、揺動アーム34の揺動により回転スピンドル15は上下動する。なお、回転スピンドル15の回転に伴って環状体36が回転すると、ローラー35は環状溝37内を相対移動することになるので、回転スピンドル15の回転はローラー35によって阻止されない。また、回転スピンドル15が上下動しても、原動歯車20と従動歯車21とは噛み合い状態を保持するようになされている。
【0015】
前記回転スピンドル15の、線材加工空間5側の端部に、軸心方向にずれるようにして(上下方向にずれるようにして)、線材係合突起29との協働により線材を折曲する、少なくとも2つの、本実施の形態では3つの線材受け部材39A、39B、39Cが設けられている。なお、線材受け部材39Cは線材嵌合溝41を有している。この線材嵌合溝41の中心線は、線材嵌合溝41が長手方向を左右方向に向けた状態において中心線10を含む仮想垂直面内に位置するようになされている。
図2に示すごとく、図1の状態で線材受け部材39A、39Bの後面及び線材受け部材39Cの線材嵌合溝41の前側の側面とは面一の垂直面となされている。
【0016】
図6に、ファイナル線材ガイド8から線材加工空間5に送り出され、線材受け部材39Aより右側に突出した線材Wを、回転スリーブ16を回転させて、線材受け部材39Aと線材係合突起29との協働により、線材受け部材39Aに近付けるように折曲した状態が示されている。
【0017】
回転スピンドル15を上昇させれば、線材受け部材39Bと線材係合突起29との協働により線材Wを折曲したり、線材受け部材39Cと線材係合突起29との協働により線材Wを折曲したりすることが出来る。
【0018】
回転スピンドル15を図5において180度回転させて位置変更すれば、線材受け部材39A、39B、39Cの向きが180度変わり、変わった縁部(右側を向いた縁部)を利用して線材係合突起29により線材Wの折曲を行なうことが出来ることが理解出来るであろう。なお、その際、線材係合突起29の位置を、線材係合突起29と線材受け部材39A、39B、39Cとで線材Wを挟む状態となるような位置に調節すると共に、回転スリーブ16を前記と逆の方向に回転させることになる。
【0019】
線材折曲装置11で線材Wの折曲を行なう方法自体は従来と同様であるので、説明は省略する。
【0020】
【変形例等】
以下に変形例等について説明を加える。
(1)ツールとは、曲げダイス、成形ツール、切断ツール、切断受けツール等、ばね製造機に取り付けられる線材加工ツール全てを含むものである。
(2)回転スピンドル15の作動装置及び回転スリーブ16の作動装置は、スライド13に搭載する必要はない。その場合、スライド13の動きを拘束しないように、回転スピンドル15や回転スリーブ16と機枠2に設けられた作動装置とを伸縮自在な動力伝達機構により動力接続すればよい。
(3)線材折曲装置11は、公知のあらゆるばね製造機に設置出来るものである。
(4)スライド13を、左右・前後・上下に移動自在としてもよい。
(5)回転スピンドル15を固定スピンドルに代える場合もある。
(6)回転スリーブ16を回転スピンドル15に対して軸心方向に移動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部正面図ある。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う回転スリーブを省略した拡大端面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う回転スリーブを省略した端面図である。
【図5】図1のV−V線に沿う回転スリーブを省略した端面図である。
【図6】線材の折曲状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ばね製造機
2 機枠
3 前壁
5 線材加工空間
7 取付台
8 ファイナル線材ガイド
9 線材送りローラー
10 中心線
11 線材折曲装置
12 ガイドレール
13 スライド
15 回転スピンドル
16 回転スリーブ
22 作動装置
27 作動装置
29 線材係合突起
31 作動装置
39A 線材受け部材
39B 線材受け部材
39C 線材受け部材
Claims (2)
- ファイナル線材ガイドから線材加工空間に線材を送り出し、その線材加工空間に送り出された又は送り出されている線材に、線材加工空間に突出する又は突出した状態のツールによって所定の加工を施してばねを製造するばね製造機の線材折曲装置であって、線材加工空間の外側方に位置するようにしてばね製造機の機枠に線材加工空間に対して進退自在に設けられたスライドと、このスライドに軸心がファイナル線材ガイドの線材通路の中心線と直交するようにして設けられたスピンドルと、このスピンドルに回転自在に嵌められた回転スリーブとを有し、前記スピンドル又は回転スリーブの少なくとも一方が他方に対して軸心方向に移動自在となされ、前記回転スリーブの、線材加工空間側の端部に線材係合突起がスピンドルとの間に線材が嵌まる間隙をあけるようにして設けられ、前記スピンドルの、線材加工空間側の端部に、軸心方向にずれるようにして線材係合突起との協働により線材を折曲する、少なくとも2つの線材受け部材が設けられているばね製造機の線材折曲装置。
- 前記スピンドルが回転自在となされている請求項1記載のばね製造機の線材折曲装置。
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