JP4711471B2 - 結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、同一の原料から結晶マルチトールとそれを含有する含蜜結晶を任意の比率で製造する方法を提供しようとするものである。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチトールはマルトースを接触水素化して得られる糖アルコールであり、甘味質は砂糖に近く、甘味度も砂糖に近く、口内細菌により資化されにくいので虫歯の原因にならず、人の消化酵素では消化されにくく、熱に安定であり、インシュリン分泌を促さないことや各種ミネラルの吸収に好ましい影響を与える等の機能を持っている。
【0005】
特に、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶は、吸湿性が少なく、賦形剤としても優れた効果を発揮することから、食品、医薬品、化粧品の材料として広く利用されている。
【0006】
結晶マルチトールの製造方法としては、例えば▲1▼特開昭57−134498号公報、▲2▼特公平2−11599号公報、▲3▼特開昭61−180795号公報等に記載のものが紹介されている。
【0007】
前記▲1▼は、馬鈴薯澱粉などの地下澱粉を液化、糖化、精製し、マルトースを結晶化することで、固形物中のマルトース含量が93〜100重量%の高純度マルトースを予め調製し、引き続きこれを接触水素化して高純度マルチトールとした後、結晶化することにより結晶マルチトールを製造するという方法である。
【0008】
前記▲2▼は、固形物中のマルトース含量が50〜80重量%のマルトースシロップを接触水素化して相当するマルチトールシロップとした後、クロマト分離により固形物中のマルチトール含量が87重量%以上の画分を得、濃縮、結晶化により結晶マルチトールを製造するという方法である。
【0009】
前記▲3▼には、固形物中のマルトース含量が50重量%以上のマルトースシロップを接触水素化した後、クロマト分離により結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造原料として有用なマルチトールを主体とする画分とマルトトリイトールを主体とする画分を同時に製造する方法が開示されている。
【0010】
また、前記▲1▼には、マルチトールのマスキットからブロック粉砕方法、流動造粒方法、噴霧乾燥方法などの公知の方法を用いて、結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を製造する方法が記載されている。
【0011】
しかし、これら従来の製造方法には多くの問題点があり、工業的に結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を製造する方法として満足の出来るものではなかった。
【0012】
例えば、前記▲1▼の製造方法は、予め高純度のマルトースを調製する為に、澱粉を液化する段階で低DE(デキストロース当量)の液化物を得てから糖化する必要があるが、通常の濃度では液の粘度が極めて高くなるため、低濃度で液化及び糖化をする必要があり濃縮工程で多量の水を蒸発させなければならず、更に、糖化の際に多量の酵素を必要とし、且つ高価なイソアミラーゼを用いる必要がある。
【0013】
また、接触水素化においても、マルチトールの純度を維持する為に穏やかな温度条件で多量の触媒を用いてマルトース又はマルチトールの分解を抑制しながら実施する必要があり、経済的に不利である。
【0014】
更に、前記▲1▼においては、糖化で得られるマルトース純度は通常90〜93%程度が限界であり、従って、これを接触水素化して得られるマルチトールを結晶化して発生する多量の母液はマルチトール含量が低くなり、この母液からは再びマルチトールの結晶またはそれを含有する含蜜結晶を製造することが困難であり、結果として結晶マルチトールより付加価値の低い還元麦芽糖水飴や還元澱粉加水分解物等の液製品としてしか利用することができない母液が多量に生成する。
【0015】
他方、前記▲2▼及び前記▲3▼の製造方法では、通常原料として使用される50〜80重量%程度のマルトースを含有する糖液はグルコースやオリゴ糖を多く含み、接触水素化した後の一段のみのクロマト分離では高純度のマルチトール画分を得ようとすると回収率即ち生産性が悪くなり、逆に生産性を高くすると、分画された液のマルチトール含量が低下し、最終的にマルチトールの結晶化が困難になる。
【0016】
特に、前記▲2▼の方法では、結晶マルチトールの生産性を高める目的で、結晶化で分離される母液はクロマト分離工程に戻されるため、最終的に利用価値の極めて低いDPが3以上のオリゴ糖画分がクロマト分離工程で生成される。
【0017】
また、前記▲2▼の方法では、母液をクロマト分離工程に戻す場合、母液の糖組成が澱粉の糖化結果と結晶マルチトールの結晶化状況に大きく影響を受ける為、クロマト分離工程で一定のマルチトール純度の画分を得るためには、その運転管理方法が複雑にならざるを得ない。
【0018】
更に、前記▲1▼に記載の方法でマルチトールのマスキットからブロック粉砕方法、流動造粒方法、噴霧乾燥方法などの公知の方法を用いて、結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を製造する場合も、前述のように、マルトースを調製する段階で既に経済的に不利であった。
【0019】
従って、本発明の目的は、これらの課題を解決し、付加価値の高い結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を経済的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者等は、前述の課題を解決する為、鋭意検討した結果、比較的安価に入手可能な固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを、下記記載の条件にて接触水素化した後、二段階のクロマト分離工程を経ることで極めて経済的に有利に付加価値の高い結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を製造できる方法を開発することに成功した。
【0022】
本発明の課題を解決する手段は、以下の通りである。
【0023】
第一に、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法において、
1)固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを接触水素化して相当する糖アルコールシロップを得る第一工程、
2)糖アルコールシロップを陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(a)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第二工程、
3)マルチトール含有シロップ画分(a)を陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形分中にマルチトールが97.5重量%以上含まれるマルチトール含有シロップ画分(b)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第三工程、
4)マルチトール含有シロップ画分(b)を濃縮した後、結晶化して、結晶マルチトールと固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液とを得る第四工程、
5)第四工程で得られた母液を種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練することにより結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得る第五工程、
の各工程を逐次経由することを特徴とする製造方法。
【0024】
第二に、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法において、
1)固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを接触水素化して相当する糖アルコールシロップを得る第一工程、
2)糖アルコールシロップを陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(a)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第二工程、
3)マルチトール含有シロップ画分(a)を陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形分中にマルチトールが少なくとも97.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(b)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第三工程、
4)マルチトール含有シロップ画分(b)を濃縮した後、種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練する第四工程、
の各工程を逐次経由することを特徴とする製造方法。
【0025】
第三に、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法において、
1)固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを接触水素化して相当する糖アルコールシロップを得る第一工程、
2)糖アルコールシロップを陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(a)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第二工程、
3)マルチトール含有シロップ画分(a)を陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形分中にマルチトールが97.5重量%以上含まれるマルチトール含有シロップ画分(b)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第三工程、
4)マルチトール含有シロップ画分(b)を濃縮した後、その一部を種結晶の存在下で結晶化して結晶マルチトールと固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液とを得る工程、及び、濃縮したマルチトール含有シロップ画分(b)の残余を種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練することにより結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得る第四工程、
5)第四工程で得られた母液を種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練することにより結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得る第五工程、
の各工程を逐次経由することを特徴とする製造方法。
【0026】
第四に、第一工程において接触水素化が、ニッケルとアルミニウムの溶融物を急冷し、そのまま又は一度破砕した後に分級し活性化されたラネー触媒またはその粉末をペレット状に成形したラネー触媒により連続的になされる上記第一から第三の何れか一つに記載の製造方法。
【0027】
本発明で原料として使用されるマルトースは、固形物中にマルトースが40〜75重量%含まれていればよく、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉等の澱粉の由来は問われないが、安価に入手可能な原料澱粉及び酵素を使用して製造されたオリゴ糖含有量が比較的少ないマルトースが、本発明の各工程の実施を容易とするなどの理由で有利に採用できる。
【0028】
固形物中のマルトース含量が40重量%未満のマルトースは、クロマト分離で得られるマルチトール画分の量が著しく少なくなり、目的とする結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の生産量が低下するので好ましくない。
【0029】
固形物中のマルトース含量が75重量%を越えるマルトースは、その製造に高価な酵素を使用し、且つ希薄な濃度で澱粉を液化・糖化する必要があることや、特に95重量%を越えるマルトースは酵素反応のみでは生産できなく、液化・糖化の後結晶化やクロマト分離等の工程を経なければならない等、このものを安価に製造又は入手するのは困難であり、原料として使用するのは工業的に不利である。
【0030】
第一工程の接触水素化におけるマルトースシロップ濃度は、30〜75重量%が好ましい。
【0031】
30重量%未満の場合は、取扱数量が大きくなり生産性が悪いばかりでなく、引き続く工程での濃縮費用が高くなる。
【0032】
75重量%を越えた場合には、接触水素化の際に未反応物が生成することが多く、また、シロップの粘度が高くなる為にシロップと水素化触媒の分離が困難になるので好ましくない。
【0033】
第一工程の接触水素化で用いる触媒としては、糖類の接触水素化に用いられる通常の触媒は殆ど使用可能であるが、中でも市販のラネーニッケル触媒や貴金属触媒が使用でき、更に好ましくは、ニッケルとアルミニウムの溶融物を急冷した後活性化した塊状ラネー触媒は活性が高く長時間の使用に耐えられるので有利に採用できる。
【0034】
また、接触水素化は粉末状触媒を使用して回分式で実施することもできるが、粉末をペレット状に成形した触媒または金属溶融物を急冷して得た塊状触媒を充填した固定床により連続的に実施するのが工業的に有利である。
【0035】
本発明の水素化条件は、マルトース及びマルチトールが顕著に分解しない条件であればどのような条件でも採用できるが、通常は10kg/cm2 以上、更に好ましくは50〜200kg/cm2 の水素圧下で、90〜150℃で反応するのが好ましい。
【0036】
第一工程で得られた糖アルコールシロップは、必要に応じて触媒を除去した後、必要により活性炭やイオン交換樹脂で脱色、脱イオンし、濃縮により濃度を調整した後第二工程に供される。
【0037】
本発明の第二工程で用いる陽イオン交換樹脂は、市販の殆どの樹脂が採用可能だが、中でもスチレン−ジビニルベンゼンの架橋重合体にスルホン酸基が結合した強酸性陽イオン交換樹脂にナトリウムイオン又はカルシウムイオンをチャージしたものを使用するのが好ましい。
【0038】
第二工程のクロマト分離は、回分式、又は擬似移動床式、単塔式、多塔式の何れも採用可能であり、それ自体は公知の方式を採用できるが、クロマト分離に供する糖アルコールシロップ中のソルビトールが少ない場合には多塔式で、且つ擬似移動床式の方法が好ましく、ソルビトール画分が多い場合には回分式が好ましい。
【0039】
第二工程で得られるマルチトール含有シロップ画分(a)は、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%になるようにクロマト分離条件が選定されるが、マルチトールが80.5重量%未満の場合には第三工程においてマルチトール含有シロップ(b)の生産性が低くなる。
【0040】
また、マルチトール含有シロップ画分(a)の固形物中のマルチトールが86.5重量%を越える場合には、マルチトール含有シロップ画分(a)の生産性が低くなり、その結果、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の生産性も低くなる。
【0041】
本発明の第三工程には、第二工程で得られたマルチトール含有シロップ(a)が、そのまま、または、必要により濃縮した状態で供される。
【0042】
第三工程のクロマト分離では、第二工程と同様の陽イオン交換樹脂及びクロマト分離方式が採用できるが、既にマルチトール含有シロップ(a)中に含まれるソルビトールが少ない為、多塔式且つ擬似移動床式が好ましい。
【0043】
第三工程で得られるマルチトール含有シロップ画分(b)は、固形物中にマルチトールが97.5重量%以上になるようにクロマト分離条件が選定される。
【0044】
固形物中のマルチトールが97.5重量%未満の場合には第四工程の結晶化において固形物中のマルチトールが90重量%以上の母液を得るために結晶マルチトールの生産量を少なくしなければならなくなること、反対に結晶マルチトールの生産量を増やした場合には母液中のマルチトールが90重量%未満となり種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練してもマルチトールの結晶化が非常に遅いかまたは進まずマルチトールを含有する含蜜結晶を有利に得ることができない。
【0045】
第二工程及び第三工程で得られるソルビトールを多く含む画分及びDPが3以上のポリオール画分は、そのまま、または、各画分を混合するか任意の組成の糖アルコールと混合することで、既に市販されている還元澱粉糖化物等として様々な食品、医薬品及び化粧品に採用できる。
【0046】
本発明の第四工程では、マルチトール含有シロップ(b)を濃縮した後、結晶化・分蜜し、結晶マルチトールと固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液を得るが、その結晶化の濃度は60〜90重量%、温度は10〜60℃の範囲でするのが好ましいが、得られる母液の固形物中のマルチトールが90重量%以上と成るように選定される。
【0047】
また、この時の結晶化は最終的に得られる母液の固形物中のマルチトールが90重量%以上となればよく、従って、結晶マルチトールを多く製造したい場合には結晶化を複数回行うことでその製造量を増やすことができる。
【0048】
結晶化濃度が90重量%を越えるかまたは温度が10℃未満の条件では、結晶スラリーの粘度が高くなり析出した結晶の分離が困難となるばかりか、固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液を得ることができない。
【0049】
一方、結晶化濃度が60重量%未満かまたは温度が60℃を越える場合は、マルチトールの結晶が析出しないか、または析出しても回収率が悪く好ましくない。
【0050】
第四工程で析出した結晶マルチトールは、遠心分離器、フィルタープレス等で母液と分離される。
【0051】
分離された母液は固形物中にマルチトールを90重量%以上含み、濃度80〜99重量%まで濃縮した後、種結晶の存在下で噴霧乾燥又はニーダーやエクストルーダーで冷却・混練・固化・乾燥・粉砕することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得ることができる。
【0052】
冷却混練による結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の更に具体的な実施方法としては、例えば特公平7−14953号公報に記載の方法等が採用できる。
【0053】
更に、本発明の第三工程により得られるマルチトール含有シロップ画分(b)は、結晶化・分蜜工程を経ることなく濃度80〜99重量%まで濃縮した後、種結晶の存在下で噴霧乾燥又はニーダーやエクストルーダーで冷却・混練・固化・乾燥・粉砕することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶とすることができる。
【0054】
また、本発明の第三工程により得られるマルチトール含有シロップ画分(b)はその全量を結晶化工程に供してもよいが、その一部又は全量を種結晶の存在下で噴霧乾燥又はニーダーやエクストルーダーで冷却・混練・固化・乾燥・粉砕することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶とすることができる。
【0055】
以上説明した様に、本願発明を実施することにより、比較的安価に入手できる原料から付加価値の高い結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を高収率で製造することができる。
【0056】
クロマト分離を二段階に実施することは、接触水素化して得られた糖アルコールシロップ中のマルチトールをソルビトール及びDPが3以上のオリゴ糖から十分に分離することが可能となり、続く第四工程で結晶マルチトールを得たときの母液を更に噴霧乾燥又は冷却混練することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得ることを初めて可能とした。
【0057】
更に、クロマト分離を二段階に実施することは、第四工程において、母液中に結晶マルチトール含蜜結晶を得るに十分なマルチトール純度を維持しつつ、結晶マルチトールを得るための結晶化を二段階に実施することをも可能とし、これによって多量の結晶マルチトールを得ることができた。
【0058】
第三工程で得られるマルチトール含有シロップ画分の一部又は全量を濃縮後、種結晶の存在下で噴霧乾燥又はニーダーやエクストルーダーで冷却・混練・固化・乾燥・粉砕することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶とすることができる為、結晶マルチトールとそれを含有する含蜜結晶の製品のバランスをその時の市場のニーズにあわせて自由に選択することができる。
【0059】
また、本願発明を実施した場合、クロマト分離工程で副成するソルビトール画分及びDPが3以上のオリゴ糖画分はそのまま、または、両画分を混合するか任意の組成の糖アルコールと混合することで、既に市販されている還元澱粉糖化物等として様々な食品、医薬品及び化粧品に採用することができる。
【0060】
【実施例】
【0061】
以下に実施例をあげて更に具体的に本発明の方法を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の例に制限されるものではない。
【0062】
また、以下の例において、%は特に断らない限り重量%を表すものとする。
【0063】
【実施例1】
【0064】
[接触水素化装置]
【0065】
本実施例では、図1に示すように、図中、塔A、B、C、Dで示される5リットルのジャケット付きステンレス製耐圧容器(内径6.6cm、高さ160cm)を4本直列に接続し、塔Aの下部に原料仕込みポンプEを予熱器Fを介して接続し、塔Dの上部に冷却器Hを介してサンプルポットIを接続すると共に、液貯めポットJを接続した接触水素化装置を使用した。
【0066】
水素ガスは塔A下部より入り、塔D上部より出、液貯めポットJで液部と分離され、流量計Kと調節弁Lを通って大気に放出される。
【0067】
また、予熱器F及び塔A、B、C及びDのジャケットには加熱したオイルを流して一定の温度に保持した。
【0068】
通常はバルブMを開放し、バルブN、O及びPは閉鎖され、塔Dより出た反応液がポットJに貯まり、時々バルブPより抜かれた。
【0069】
サンプリング時にはバルブMを閉鎖し、バルブNを開放してポットIよりバルブOを通してサンプルが抜かれた。
【0070】
[接触水素化用触媒の調製]
【0071】
ニッケル金属60kgとアルミニウム金属60kgを加熱溶融し、ノズルを通して20cm下の冷却水面に滴下し急冷した。
【0072】
得られたランプ状の合金の粒径は1〜15mmの混合物であった。
【0073】
これを破砕機にて破砕し、篩にかけて粒径が2〜4mmの急冷ランプ合金49.8kgを得た。
【0074】
500リットルの加熱ジャケット付きステンレス容器に10%NaOH水溶液340kgを入れ、50℃に加熱し、ステンレス製籠に入れた前記急冷ランプ合金46kgをその中に入れた。
【0075】
温度を60℃で60分間保持した後、籠を引き上げ水洗した。
【0076】
このとき得られた触媒の展開率を下記の式に従って求めたところ、20.3%であった。
【0077】
展開率(%)=(アルミニウム溶出量/合金中のアルミニウム量)X100
【0078】
[接触水素化反応]
【0079】
前記接触水素化装置の各塔に展開した触媒を充填した。
【0080】
次に、各塔を140℃に加熱し、グルコース1.6%、マルトース67.3%、マルトトリオース13.2%、DPが4以上のポリオール17.9%の糖組成の糖液を濃度50%に調整し、ポンプEより毎時10リットルの速さで流した。
【0081】
又、水素圧を150kg/cm2 に保持し、水素流量を毎時85リットルに調整した。
【0082】
これを3日間連続運転した。
【0083】
流出した液720リットルの純度を液体クロマトグラフィーにより測定したところ、水素化液の組成は、ソルビトール1.8%、マルチトール67.2%、マルトトリイトール13.2%、DPが4以上の糖アルコール17.8%、未還元物0.03%であった。
【0084】
[第一段分画装置]
【0085】
本実施例で使用した第一段分画装置は、図2に示すように、50リットルのジャケット付きステンレス製の塔(内径21cm、長さ150cm)2A〜2Cを直列に連結し、塔2Aの上部に、予熱器2H及び開閉バルブ2Eを通して水素化液仕込みポンプ2Dを接続すると共に、予熱器2H及び開閉バルブ2Gを介して仕込みポンプ2Fを接続し、他方、塔2Cの下部に、切り替えバルブ2M、2N、2O及び2Pを介して、流出液タンク2I、2J、2K及び2Lを接続したものである。流出液は、塔2Cの下部より切り替えバルブ2M、2N、2Oまたは2Pを通って流出液タンク2I、2J、2Kまたは2Lに送られる。尚、各塔2A〜2Cには、強酸性イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、スルフォン酸型CG6010)のカルシウム型を150リットル充填した。
【0086】
[第一段分画]
【0087】
2A、2B及び2Cの各塔を60℃に保ちつつ、バルブ2E及び2Pを開き、2G、2M、2N及び2Oを閉じた。
【0088】
前記水素化液を常法に従ってイオン交換樹脂により精製した後、濃縮して濃度60%に調整、その45kgをポンプ2Dを通して毎分2.6リットルの速さで送った。
【0089】
次に、バルブ2Eを閉じ、バルブ2Gを開き、仕込みポンプ2Fで毎分2.6リットルの速さで水を40分間送った。この操作を繰り返した。
【0090】
一方、バルブ2P側の流出液糖濃度が0.2%になったら、バルブ2Pを閉じ、バルブ2Oを開いた。18分後バルブ2Oを閉じ2Nを開いた。更に、30分後バルブ2Nを閉じ2Mを開いた。次いで24分後バルブ2Mを閉じ2Pを開いた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0091】
タンク2K、2J及び2Iに得られた流出液の重量、濃度及び糖組成は表1の通りであった。
【0092】
【表1】
【0093】
[第二段分画装置]
【0094】
本実施例で使用した第二段分画装置は、図3に示すように、10リットルのジャケット付きステンレス製の塔(内径9.6cm、長さ150cm)10本、3A〜3Jを直列に連結し、塔3Aの上部に、予熱器3O及び開閉バルブ3Lを介して水素化液仕込みポンプ3Kを接続すると共に、予熱器3O及び開閉バルブ3Nを介して仕込みポンプ3Mを接続し、他方、塔3Jの下部に、切り替えバルブ3Pを介して、流出液タンク3Q及び3Rを接続したものである。流出液は、塔3Jの下部より切り替えバルブ3Pを通って流出液タンク3Qまたは3Rに送られる。
【0095】
尚、塔3A〜3Jの各塔には、強酸性イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、スルフォン酸型CG6010)のカルシウム型を100リットル充填したものを使用した。
【0096】
[第二段分画]
【0097】
3A〜3Jの各塔を60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0098】
第一段分画タンク2Jの流出液を濃度60%に調整したマルチトール含有液12kgをポンプ3Kを通して毎時50リットルの速さで送った。
【0099】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時50リットルの速さで160分間送った。この操作を繰り返した。
【0100】
タンク3R側の流出液のマルチトール純度が97.5%になった時点で、切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。次いで、マルチトール純度が97.5%以下になったら切り替えバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0101】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は表2の通りであった。
【0102】
【表2】
【0103】
[結晶マルチトールの製造]
【0104】
第二段分画3Qの流出液をイオン交換樹脂を用いて常法により精製した後、濃度を78%まで濃縮したマルチトール液205kgを撹拌機とジャケットのついた容量200リットルの結晶缶に入れ、55℃にてシードとして結晶マルチトール粉末をマルチトール液中の固形分に対して0.1%添加し、ゆっくりと撹拌しながら24時間かけて20℃までゆっくりと冷却した。
【0105】
得られたスラリーを遠心分離器で分蜜して結晶を少量の水で洗浄し、結晶マルチトール及び母液を得た。この時の結果は表3の通りであった。
【0106】
【表3】
【0107】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造]
【0108】
結晶マルチトール製造時に得られた上記母液を濃度95%まで濃縮した後、温度約100℃に調整した食品用二軸スクリュー式エクストルーダー((株)日本製鋼所製、TEX38FSS-20AW-V)に毎時22kgで導入し、シードとして結晶マルチトールを含有する含蜜結晶粉末(マルチトール純度95.3%品)を母液中の固形分に対して約30%添加し、毎分60回転で混練しながら2分後にエクストルーダーから排出される迄に40℃に冷却し、直径4mmの孔が12ヶ所開いた押し出し口からマルチトールマグマを得た。この時の運転時間は2.5時間であった。
【0109】
このマルチトールマグマを冷却、乾燥、粉砕することで、結晶マルチトールを含有する含蜜結晶66.2kgを得た。このもののマルチトール純度は96.0%であった。
【0110】
【実施例2】
【0111】
[接触水素化反応]
【0112】
原料としてグルコース1.1%、マルトース49.1%、マルトトリオース11.6%、DPが4以上のポリオール38.2%の糖組成の糖液を濃度50%に調整し、実施例1の接触水素化装置を使用して、ポンプEより毎時8リットルの速さで流した。水素圧を150kg/cm2 に保持し、水素流量を毎時85リットルに調整した。
【0113】
これを6日間連続運転した。
【0114】
流出液の組成は、ソルビトール1.3%、マルチトール49.0%、マルトトリイトール11.5%、DP4以上の糖アルコールが38.2%であった。
【0115】
[第一段分画]
【0116】
図2の分画装置を使用して、バルブ2Oの開放時間が24分、バルブ2Nの開放時間が24分である以外は実施例1と同じ条件で第一段分画を行った。
【0117】
タンク2K、2J及び2Iに得られた流出液の重量、濃度及び糖組成は表4の通りであった。
【0118】
【表4】
【0119】
[第二段分画]
【0120】
次にタンク2Jの流出液を原料として、図3の分画装置を使用し、タンク3Q側の流出糖液のタンク切り替え時のマルチトール純度が96.0%である以外は、実施例1と同じ条件で第二段分画をした。
【0121】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は表5の通りであった。
【0122】
【表5】
【0123】
[結晶マルチトールの製造]
【0124】
前記タンク3Qの流出液をイオン交換樹脂により精製した後、濃度を78%まで濃縮したマルチトール液150kgを撹拌機とジャケットの付いた容量120リットルの結晶缶に入れ温度55℃でシードとして結晶マルチトール粉末をマルチトール液の固形分に対して0.1%添加し、ゆっくりと撹拌しながら24時間かけて20℃まで徐々に冷却した。
【0125】
得られたスラリーを遠心分離器で分蜜して結晶を少量の水で洗浄し、結晶マルチトール(A)及び母液(A)を得た。
【0126】
更にこの母液(A)を濃度78%迄濃縮し60リットルの結晶缶に入れ、55℃でシードとして結晶マルチトール粉末を母液(A)中の固形分に対して0.1%添加し、24時間かけて20℃まで徐々に冷却した。得られたスラリーを遠心分離器で分蜜して結晶を少量の水で洗浄して結晶マルチトール(B)と母液(B)を得た。
【0127】
得られた結晶マルチトール(A)、母液(A)、結晶マルチトール(B)及び母液(B)の重量、糖組成は表6の通りであった。
【0128】
【表6】
【0129】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造]
【0130】
母液(B)を原料とし、シードとして使用した結晶マルチトールを含有する含蜜結晶粉末の純度が95.3%、運転時間が1.5時間である以外は、実施例1と同様の条件で結晶マルチトール含蜜結晶を製造した。
【0131】
得られた結晶マルチトール含蜜結晶は26.5kgで、この時のマルチトール純度は93.5%であった。
【0132】
【実施例3】
【0133】
[接触水素化反応]
【0134】
電磁撹拌付きステンレス製50リットルのオートクレーブにグルコース1.0%、マルトース57.7%、マルトトリオース12.7%、DPが4以上のポリオール28.6%の糖組成の50%糖液40kgと市販の粉末ラネーニッケル触媒(日興リカ(株)製、R−239)2kgを入れ、水素圧150kg/cm2 、温度130℃で120分間反応させた。
【0135】
反応終了後、水素化液から触媒をろ過により分離し、常法に従いイオン交換樹脂で精製した。
【0136】
この水素化反応を20バッチ行い、濃度60%で650kgの水素化液を得た。
【0137】
この水素化液の組成は、ソルビトール1.2%、マルチトール57.6%、マルトトリイトール12.6%、及びDPが4以上の糖アルコールが28.6%であった。
【0138】
[第一段分画]
【0139】
各塔2A〜2Cを60℃に保ちつつ、バルブ2E、2Pを開き、2G、2M、2N及び2Oを閉じた。
【0140】
次に、前記濃度60%の水素化液45kgをポンプ2Dを通して毎分2.6リットルの速さで送った。
【0141】
引き続き、バルブ2Eを閉じ、バルブ2Gを開き、仕込みポンプ2Fで水を毎分2.6リットルの速さで40分間送った。この仕込み操作を繰り返した。
【0142】
一方、バルブ2P側の流出液の糖濃度が0.2%になってから7分後にバルブ2Pを閉じ、バルブ2Oを開いた。15分後にバルブ2Oを閉じ2Nを開いた。20分後バルブ2Nを閉じ2Mを開いた。更に7分後にバルブ2Mを閉じて2Pを開いた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0143】
上記操作により60%の水素添加液325kgを処理した時、タンク2L、2K、2J及び2Iに得られた流出液の重量、濃度及び糖組成は表7の通りであった。
【0144】
【表7】
【0145】
[第二段分画]
【0146】
各塔3A〜3Jを60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0147】
第一段分画タンク2Jの流出液を濃度60%に調整したマルチトール含有液8kgをポンプ3Kを通して毎時30リットルの速さで送った。
【0148】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時30リットルの速さで260分間送った。この操作を繰り返した。
【0149】
一方、タンク3R側の流出液のマルチトール純度が98.8%以上になった時点で、切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。次いで、マルチトール純度が98.8%以下になったら切り替えバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0150】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は表8の通りであった。
【0151】
【表8】
【0152】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造]
【0153】
タンク3Qの流出液を常法によりイオン交換樹脂精製した後、濃度95%まで濃縮し、温度約100℃に調整した食品用二軸スクリュー式エクストルーダー((株)日本製鋼所製、TEX38FSS-20AW)に毎時22kgで導入し、シードとして結晶マルチトール粉末(マルチトール含量99.0%品)を固形分に対して約30%添加し、毎分60回転で混練しながら2分後にエクストルーダーから排出される迄に40℃に冷却し、直径4mmの孔が12ヶ所開いた押し出し口からマルチトールマグマを得た。このときの運転時間は1.5時間であった。
【0154】
このマルチトールマグマを冷却、乾燥、粉砕することで、結晶マルチトールを含有する含蜜結晶26.5kgを得た。このもののマルチトール純度は99.1%であった。
【0155】
[オリゴ糖アルコールの製造]
【0156】
タンク2Lの流出液及びタンク3Rの流出液をそれぞれ常法に従ってイオン交換樹脂で精製後、濃度を70%まで濃縮し、タンク2L流出濃縮液及びタンク3R流出濃縮液とした。
【0157】
タンク2L流出濃縮液30kgとタンク3R流出濃縮液4kg及び市販の70%D−ソルビトール水溶液(東和化成工業(株)製、純度99.3%)1kgを混合した。この混合オリゴ糖アルコールの糖組成は、ソルビトール3.1%、マルチトール11.5%、マルトトリイトール11.5%、DP4以上の糖アルコールが73.8%であった。
【0158】
また、その甘味度は砂糖の15%、粘度は3650cp(25℃)であった。
【0159】
一方、市販の澱粉糖化液M−20(日本食品加工(株)社製)を50%水溶液1.4kg、粉末ラネーニッケル触媒R−239(日興リカ(株)社製)10g存在下、2.4リットルのオートクレーブ中で130℃、水素圧150kg/cm2 で120分反応後、触媒をろ過してイオン交換樹脂で精製後濃縮することにより、還元澱粉糖化物ピーオー20(東和化成工業(株)商品名)相当品を得た。
【0160】
このものの糖組成は、ソルビトール2.6%、マルチト−ル10.0%、マルトトリイトール10.8%、DPが4以上の糖アルコールが76.6%であり、先に得た混合オリゴ糖アルコールとほぼ同じであって、その粘度及び甘味度も同等であった。
【0161】
【実施例4】
【0162】
[接触水素化]
【0163】
原料としてグルコース1.2%、マルトース74.2%、マルトトリオース13.7%、DPが4以上のポリオール10.9%の糖組成の糖液を濃度50%に調整し、実施例1に記載の接触水素化装置を用いて、ポンプEより毎時10リットルの速さで流した。水素圧を150kg/cm2 に保持し、水素流量を毎時85リットルに調整した。これを2日間連続運転し、流出液480リットルを得た。
【0164】
この流出液の糖組成は、ソルビトール1.4%、マルチトール74.1%、マルトトリイトール13.6%、DPが4以上の糖アルコールが10.9%であった。
【0165】
[第一段分画]
【0166】
実施例1のバルブ2Oの開放時間が13分、バルブ2Nの開放時間が39分、バルブ2Mの開放時間が20分である以外は実施例1と同じ方法で第一段分画を行った。
【0167】
得られたタンク2K、2J及び2Iの流出液の重量、濃度及び糖組成は表9の通りであった。
【0168】
【表1】
【0169】
[第二段分画]
【0170】
3A〜3Jの各塔を60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0171】
前記タンク2Jの流出液を濃度60%に調整し、その8kgをポンプ3Lを通して毎時30リットルの速さで送った。
【0172】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時30リットル速さで260分間送った。この操作を繰り返した。
【0173】
一方、タンク3R側の流出液のマルチトール純度が96.7%以上になったら、切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。流出液のマルチトール純度が96.7%以下になったらバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0174】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は、表10の通りであった。
【0175】
【表10】
【0176】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造]
【0177】
タンク3Qの流出液を常法によりイオン交換樹脂精製した後、シードとしてマルチトール純度が97.5%の結晶マルチトールを含有する含蜜結晶粉末を使用した以外は実施例1の[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造方法]と同様の方法で2時間運転し、マルチトール純度97.7%の結晶マルチトールを含有する含蜜結晶52.6kgを得た。
【0178】
[オリゴ糖アルコールの製造]
【0179】
タンク2Kの流出液及びタンク3Rの流出液をそれぞれ常法によりイオン交換樹脂で精製後、濃度を70%まで濃縮し、タンク2K流出濃縮液及びタンク3R流出濃縮液とした。
【0180】
タンク2K流出濃縮液22kgとタンク3R流出濃縮液10kgと70%D−ソルビトール水溶液(純度99.3%)0.43kgを混合した。
【0181】
この混合オリゴ糖アルコールの糖組成は、ソルビトール2.1%、マルチトール50.5%、マルトトリイトール23.9%、DPが4以上の糖アルコール23.5%であった。
【0182】
また、その甘味度は砂糖の35%、粘度は320cp(25℃)であった。
【0183】
一方、市販の澱粉糖化液M−40(日本食品加工(株)社製)の50%水溶液1.4kgを、粉末ラネーニッケル触媒R−239(日興リカ(株)社製)10g存在下、2.4リットルのオートクレーブ中で130℃、水素圧150kg/cm2 で120分反応後、触媒をろ過してイオン交換樹脂精製後、濃度を70%に濃縮することにより、還元澱粉糖化物ピーオー40(東和化成工業(株)商品名)相当品を得た。
【0184】
このものの糖組成は、ソルビトール2.3%、マルチトール50.9%、マルトトリイトール23.4%、DPが4以上の糖アルコールが23.4%であり、先に得た前記混合オリゴ糖アルコールとほぼ同じであって、その粘度及び甘味度も同等であった。
【0185】
【実施例5】
【0186】
[接触水素化]
【0187】
電磁撹拌付きステンレス製50リットルのオートクレーブにグルコース0.9%、マルトース62.4%、マルトトリオース12.3%、DPが4以上のポリオール24.4%の糖組成の50%糖液40kgと粉末ラネーニッケル触媒(日興リカ(株)製、R−239)2kgを入れ、水素圧150kg/cm2 、温度130℃で120分間反応させた。
【0188】
反応終了後、水素化液から触媒をろ過により分離し、常法に従いイオン交換樹脂で精製した。
【0189】
この水素化反応を34バッチ行い、濃度60%で1100kgの水素化液を得た。
【0190】
この水素化液の組成は、ソルビトール1.1%、マルチトール62.3%、マルトトリイトール12.2%、及びDPが4以上の糖アルコールが24.4%であった。
【0191】
[第一段分画]
【0192】
実施例1のバルブ2Oの開放時間が18分、バルブ2Nの開放時間が34分、バルブ2Mの開放時間が20分である以外は実施例1と同じ方法で第一段分画を行った。
【0193】
得られたタンク2K、2J及び2Iの重量、濃度及び糖組成は表11の通りであった。
【0194】
【表11】
【0195】
[第二段分画]
【0196】
各塔3A〜3Jを60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0197】
第一段分画タンク2Jの流出液を濃度60%に調整したマルチトール含有液12kgをポンプ3Kを通して毎時50リットルの速さで送った。
【0198】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時30リットルの速さで160分間送った。この操作を繰り返した。
【0199】
一方、タンク3R側の流出液のマルチトール純度が97.5%以上になった時点で、切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。次いで、マルチトール純度が97.5%以下になったら切り替えバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0200】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は表12の通りであった。
【0201】
【表12】
【0202】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造1]
【0203】
前記タンク3Qの流出液の一部を常法によりイオン交換樹脂で精製し、濃度を95%に濃縮した。シードとして結晶マルチトール粉末(マルチトール含量99.0%)を使用した以外は実施例1の[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造方法]と同じ方法で結晶マルチトールを含有する含蜜結晶40kgを得た。このもののマルチトール純度は98.4%であった。
【0204】
[結晶マルチトールの製造]
【0205】
前記タンク3Qの流出液の残余を精製し、濃度を75%に濃縮した糖液134kgを撹拌機とジャケットの付いた120リットルの結晶缶に入れ温度53℃でシードとして結晶マルチトール粉末を糖液中の固形分に対して0.1%添加し、ゆっくりと撹拌しながら24時間かけて20℃まで冷却した。
【0206】
得られたスラリーを遠心分離器で分蜜して結晶を少量の水で洗浄することで表13に記載の結晶マルチトール及び母液を得た。
【0207】
【表13】
【0208】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造2]
【0209】
前記母液を濃度95%に濃縮した。シードとして結晶マルチトール粉末(マルチトール純度99.0%)を使用した以外は実施例1の[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造方法]と同じ方法で結晶マルチトールを含有する含蜜結晶67kgを得た。このもののマルチトール純度は97.4%であった。
【0210】
【参考例】
【0211】
[分画]
【0212】
実施例3の接触水素化で得た濃度60%の水素化液の残余を図3のクロマト分画装置により分画した。
【0213】
3A〜3Jの各塔を60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0214】
水素化液8kgをポンプ3Kを通して毎時30リットルの速さで送った。
【0215】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時30リットルの速さで260分間送った。この操作を繰り返した。
【0216】
一方、タンク3R側の流出糖液のマルチトール純度が98.8%以上になったら切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。流出液のマルチトール純度が98.8%以下になったらバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0217】
仕込み側、流出側共にこの操作を11回繰り返し、水素化液88kg(固形物52.8kg)を処理した。
【0218】
タンク3Qとタンク3Rに得られた流出液の重量、濃度及び糖組成は表14に示す通り、マルチトールを多く含む流出液の収量は極めて少なく固形物換算で4.2%であった。
【0219】
【表14】
【0220】
【発明の効果】
【0221】
本発明を実施することにより、安価に入手できる固形物中にマルトースを40〜75重量%含むマルトースシロップを原料として、高収率で付加価値の高い結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を所望のバランスで製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する際に使用する接触水素化装置の概略図。
【図2】本発明を実施する工程中、第一段の分画を行う際に使用するクロマト分画装置の概略図。
【図3】本発明を実施する工程中、第二段の分画を行う際に使用するクロマト分画装置の概略図。
【符号の説明】
A 塔
E ポンプ
F 予熱器
I サンプルポット
J 液貯めポット
K 流量計
L 調節弁
M バルブ
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、同一の原料から結晶マルチトールとそれを含有する含蜜結晶を任意の比率で製造する方法を提供しようとするものである。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチトールはマルトースを接触水素化して得られる糖アルコールであり、甘味質は砂糖に近く、甘味度も砂糖に近く、口内細菌により資化されにくいので虫歯の原因にならず、人の消化酵素では消化されにくく、熱に安定であり、インシュリン分泌を促さないことや各種ミネラルの吸収に好ましい影響を与える等の機能を持っている。
【0005】
特に、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶は、吸湿性が少なく、賦形剤としても優れた効果を発揮することから、食品、医薬品、化粧品の材料として広く利用されている。
【0006】
結晶マルチトールの製造方法としては、例えば▲1▼特開昭57−134498号公報、▲2▼特公平2−11599号公報、▲3▼特開昭61−180795号公報等に記載のものが紹介されている。
【0007】
前記▲1▼は、馬鈴薯澱粉などの地下澱粉を液化、糖化、精製し、マルトースを結晶化することで、固形物中のマルトース含量が93〜100重量%の高純度マルトースを予め調製し、引き続きこれを接触水素化して高純度マルチトールとした後、結晶化することにより結晶マルチトールを製造するという方法である。
【0008】
前記▲2▼は、固形物中のマルトース含量が50〜80重量%のマルトースシロップを接触水素化して相当するマルチトールシロップとした後、クロマト分離により固形物中のマルチトール含量が87重量%以上の画分を得、濃縮、結晶化により結晶マルチトールを製造するという方法である。
【0009】
前記▲3▼には、固形物中のマルトース含量が50重量%以上のマルトースシロップを接触水素化した後、クロマト分離により結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造原料として有用なマルチトールを主体とする画分とマルトトリイトールを主体とする画分を同時に製造する方法が開示されている。
【0010】
また、前記▲1▼には、マルチトールのマスキットからブロック粉砕方法、流動造粒方法、噴霧乾燥方法などの公知の方法を用いて、結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を製造する方法が記載されている。
【0011】
しかし、これら従来の製造方法には多くの問題点があり、工業的に結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を製造する方法として満足の出来るものではなかった。
【0012】
例えば、前記▲1▼の製造方法は、予め高純度のマルトースを調製する為に、澱粉を液化する段階で低DE(デキストロース当量)の液化物を得てから糖化する必要があるが、通常の濃度では液の粘度が極めて高くなるため、低濃度で液化及び糖化をする必要があり濃縮工程で多量の水を蒸発させなければならず、更に、糖化の際に多量の酵素を必要とし、且つ高価なイソアミラーゼを用いる必要がある。
【0013】
また、接触水素化においても、マルチトールの純度を維持する為に穏やかな温度条件で多量の触媒を用いてマルトース又はマルチトールの分解を抑制しながら実施する必要があり、経済的に不利である。
【0014】
更に、前記▲1▼においては、糖化で得られるマルトース純度は通常90〜93%程度が限界であり、従って、これを接触水素化して得られるマルチトールを結晶化して発生する多量の母液はマルチトール含量が低くなり、この母液からは再びマルチトールの結晶またはそれを含有する含蜜結晶を製造することが困難であり、結果として結晶マルチトールより付加価値の低い還元麦芽糖水飴や還元澱粉加水分解物等の液製品としてしか利用することができない母液が多量に生成する。
【0015】
他方、前記▲2▼及び前記▲3▼の製造方法では、通常原料として使用される50〜80重量%程度のマルトースを含有する糖液はグルコースやオリゴ糖を多く含み、接触水素化した後の一段のみのクロマト分離では高純度のマルチトール画分を得ようとすると回収率即ち生産性が悪くなり、逆に生産性を高くすると、分画された液のマルチトール含量が低下し、最終的にマルチトールの結晶化が困難になる。
【0016】
特に、前記▲2▼の方法では、結晶マルチトールの生産性を高める目的で、結晶化で分離される母液はクロマト分離工程に戻されるため、最終的に利用価値の極めて低いDPが3以上のオリゴ糖画分がクロマト分離工程で生成される。
【0017】
また、前記▲2▼の方法では、母液をクロマト分離工程に戻す場合、母液の糖組成が澱粉の糖化結果と結晶マルチトールの結晶化状況に大きく影響を受ける為、クロマト分離工程で一定のマルチトール純度の画分を得るためには、その運転管理方法が複雑にならざるを得ない。
【0018】
更に、前記▲1▼に記載の方法でマルチトールのマスキットからブロック粉砕方法、流動造粒方法、噴霧乾燥方法などの公知の方法を用いて、結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を製造する場合も、前述のように、マルトースを調製する段階で既に経済的に不利であった。
【0019】
従って、本発明の目的は、これらの課題を解決し、付加価値の高い結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を経済的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者等は、前述の課題を解決する為、鋭意検討した結果、比較的安価に入手可能な固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを、下記記載の条件にて接触水素化した後、二段階のクロマト分離工程を経ることで極めて経済的に有利に付加価値の高い結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を製造できる方法を開発することに成功した。
【0022】
本発明の課題を解決する手段は、以下の通りである。
【0023】
第一に、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法において、
1)固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを接触水素化して相当する糖アルコールシロップを得る第一工程、
2)糖アルコールシロップを陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(a)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第二工程、
3)マルチトール含有シロップ画分(a)を陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形分中にマルチトールが97.5重量%以上含まれるマルチトール含有シロップ画分(b)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第三工程、
4)マルチトール含有シロップ画分(b)を濃縮した後、結晶化して、結晶マルチトールと固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液とを得る第四工程、
5)第四工程で得られた母液を種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練することにより結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得る第五工程、
の各工程を逐次経由することを特徴とする製造方法。
【0024】
第二に、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法において、
1)固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを接触水素化して相当する糖アルコールシロップを得る第一工程、
2)糖アルコールシロップを陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(a)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第二工程、
3)マルチトール含有シロップ画分(a)を陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形分中にマルチトールが少なくとも97.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(b)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第三工程、
4)マルチトール含有シロップ画分(b)を濃縮した後、種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練する第四工程、
の各工程を逐次経由することを特徴とする製造方法。
【0025】
第三に、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法において、
1)固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを接触水素化して相当する糖アルコールシロップを得る第一工程、
2)糖アルコールシロップを陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(a)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第二工程、
3)マルチトール含有シロップ画分(a)を陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形分中にマルチトールが97.5重量%以上含まれるマルチトール含有シロップ画分(b)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第三工程、
4)マルチトール含有シロップ画分(b)を濃縮した後、その一部を種結晶の存在下で結晶化して結晶マルチトールと固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液とを得る工程、及び、濃縮したマルチトール含有シロップ画分(b)の残余を種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練することにより結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得る第四工程、
5)第四工程で得られた母液を種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練することにより結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得る第五工程、
の各工程を逐次経由することを特徴とする製造方法。
【0026】
第四に、第一工程において接触水素化が、ニッケルとアルミニウムの溶融物を急冷し、そのまま又は一度破砕した後に分級し活性化されたラネー触媒またはその粉末をペレット状に成形したラネー触媒により連続的になされる上記第一から第三の何れか一つに記載の製造方法。
【0027】
本発明で原料として使用されるマルトースは、固形物中にマルトースが40〜75重量%含まれていればよく、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉等の澱粉の由来は問われないが、安価に入手可能な原料澱粉及び酵素を使用して製造されたオリゴ糖含有量が比較的少ないマルトースが、本発明の各工程の実施を容易とするなどの理由で有利に採用できる。
【0028】
固形物中のマルトース含量が40重量%未満のマルトースは、クロマト分離で得られるマルチトール画分の量が著しく少なくなり、目的とする結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の生産量が低下するので好ましくない。
【0029】
固形物中のマルトース含量が75重量%を越えるマルトースは、その製造に高価な酵素を使用し、且つ希薄な濃度で澱粉を液化・糖化する必要があることや、特に95重量%を越えるマルトースは酵素反応のみでは生産できなく、液化・糖化の後結晶化やクロマト分離等の工程を経なければならない等、このものを安価に製造又は入手するのは困難であり、原料として使用するのは工業的に不利である。
【0030】
第一工程の接触水素化におけるマルトースシロップ濃度は、30〜75重量%が好ましい。
【0031】
30重量%未満の場合は、取扱数量が大きくなり生産性が悪いばかりでなく、引き続く工程での濃縮費用が高くなる。
【0032】
75重量%を越えた場合には、接触水素化の際に未反応物が生成することが多く、また、シロップの粘度が高くなる為にシロップと水素化触媒の分離が困難になるので好ましくない。
【0033】
第一工程の接触水素化で用いる触媒としては、糖類の接触水素化に用いられる通常の触媒は殆ど使用可能であるが、中でも市販のラネーニッケル触媒や貴金属触媒が使用でき、更に好ましくは、ニッケルとアルミニウムの溶融物を急冷した後活性化した塊状ラネー触媒は活性が高く長時間の使用に耐えられるので有利に採用できる。
【0034】
また、接触水素化は粉末状触媒を使用して回分式で実施することもできるが、粉末をペレット状に成形した触媒または金属溶融物を急冷して得た塊状触媒を充填した固定床により連続的に実施するのが工業的に有利である。
【0035】
本発明の水素化条件は、マルトース及びマルチトールが顕著に分解しない条件であればどのような条件でも採用できるが、通常は10kg/cm2 以上、更に好ましくは50〜200kg/cm2 の水素圧下で、90〜150℃で反応するのが好ましい。
【0036】
第一工程で得られた糖アルコールシロップは、必要に応じて触媒を除去した後、必要により活性炭やイオン交換樹脂で脱色、脱イオンし、濃縮により濃度を調整した後第二工程に供される。
【0037】
本発明の第二工程で用いる陽イオン交換樹脂は、市販の殆どの樹脂が採用可能だが、中でもスチレン−ジビニルベンゼンの架橋重合体にスルホン酸基が結合した強酸性陽イオン交換樹脂にナトリウムイオン又はカルシウムイオンをチャージしたものを使用するのが好ましい。
【0038】
第二工程のクロマト分離は、回分式、又は擬似移動床式、単塔式、多塔式の何れも採用可能であり、それ自体は公知の方式を採用できるが、クロマト分離に供する糖アルコールシロップ中のソルビトールが少ない場合には多塔式で、且つ擬似移動床式の方法が好ましく、ソルビトール画分が多い場合には回分式が好ましい。
【0039】
第二工程で得られるマルチトール含有シロップ画分(a)は、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%になるようにクロマト分離条件が選定されるが、マルチトールが80.5重量%未満の場合には第三工程においてマルチトール含有シロップ(b)の生産性が低くなる。
【0040】
また、マルチトール含有シロップ画分(a)の固形物中のマルチトールが86.5重量%を越える場合には、マルチトール含有シロップ画分(a)の生産性が低くなり、その結果、結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の生産性も低くなる。
【0041】
本発明の第三工程には、第二工程で得られたマルチトール含有シロップ(a)が、そのまま、または、必要により濃縮した状態で供される。
【0042】
第三工程のクロマト分離では、第二工程と同様の陽イオン交換樹脂及びクロマト分離方式が採用できるが、既にマルチトール含有シロップ(a)中に含まれるソルビトールが少ない為、多塔式且つ擬似移動床式が好ましい。
【0043】
第三工程で得られるマルチトール含有シロップ画分(b)は、固形物中にマルチトールが97.5重量%以上になるようにクロマト分離条件が選定される。
【0044】
固形物中のマルチトールが97.5重量%未満の場合には第四工程の結晶化において固形物中のマルチトールが90重量%以上の母液を得るために結晶マルチトールの生産量を少なくしなければならなくなること、反対に結晶マルチトールの生産量を増やした場合には母液中のマルチトールが90重量%未満となり種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練してもマルチトールの結晶化が非常に遅いかまたは進まずマルチトールを含有する含蜜結晶を有利に得ることができない。
【0045】
第二工程及び第三工程で得られるソルビトールを多く含む画分及びDPが3以上のポリオール画分は、そのまま、または、各画分を混合するか任意の組成の糖アルコールと混合することで、既に市販されている還元澱粉糖化物等として様々な食品、医薬品及び化粧品に採用できる。
【0046】
本発明の第四工程では、マルチトール含有シロップ(b)を濃縮した後、結晶化・分蜜し、結晶マルチトールと固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液を得るが、その結晶化の濃度は60〜90重量%、温度は10〜60℃の範囲でするのが好ましいが、得られる母液の固形物中のマルチトールが90重量%以上と成るように選定される。
【0047】
また、この時の結晶化は最終的に得られる母液の固形物中のマルチトールが90重量%以上となればよく、従って、結晶マルチトールを多く製造したい場合には結晶化を複数回行うことでその製造量を増やすことができる。
【0048】
結晶化濃度が90重量%を越えるかまたは温度が10℃未満の条件では、結晶スラリーの粘度が高くなり析出した結晶の分離が困難となるばかりか、固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液を得ることができない。
【0049】
一方、結晶化濃度が60重量%未満かまたは温度が60℃を越える場合は、マルチトールの結晶が析出しないか、または析出しても回収率が悪く好ましくない。
【0050】
第四工程で析出した結晶マルチトールは、遠心分離器、フィルタープレス等で母液と分離される。
【0051】
分離された母液は固形物中にマルチトールを90重量%以上含み、濃度80〜99重量%まで濃縮した後、種結晶の存在下で噴霧乾燥又はニーダーやエクストルーダーで冷却・混練・固化・乾燥・粉砕することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得ることができる。
【0052】
冷却混練による結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の更に具体的な実施方法としては、例えば特公平7−14953号公報に記載の方法等が採用できる。
【0053】
更に、本発明の第三工程により得られるマルチトール含有シロップ画分(b)は、結晶化・分蜜工程を経ることなく濃度80〜99重量%まで濃縮した後、種結晶の存在下で噴霧乾燥又はニーダーやエクストルーダーで冷却・混練・固化・乾燥・粉砕することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶とすることができる。
【0054】
また、本発明の第三工程により得られるマルチトール含有シロップ画分(b)はその全量を結晶化工程に供してもよいが、その一部又は全量を種結晶の存在下で噴霧乾燥又はニーダーやエクストルーダーで冷却・混練・固化・乾燥・粉砕することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶とすることができる。
【0055】
以上説明した様に、本願発明を実施することにより、比較的安価に入手できる原料から付加価値の高い結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を高収率で製造することができる。
【0056】
クロマト分離を二段階に実施することは、接触水素化して得られた糖アルコールシロップ中のマルチトールをソルビトール及びDPが3以上のオリゴ糖から十分に分離することが可能となり、続く第四工程で結晶マルチトールを得たときの母液を更に噴霧乾燥又は冷却混練することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得ることを初めて可能とした。
【0057】
更に、クロマト分離を二段階に実施することは、第四工程において、母液中に結晶マルチトール含蜜結晶を得るに十分なマルチトール純度を維持しつつ、結晶マルチトールを得るための結晶化を二段階に実施することをも可能とし、これによって多量の結晶マルチトールを得ることができた。
【0058】
第三工程で得られるマルチトール含有シロップ画分の一部又は全量を濃縮後、種結晶の存在下で噴霧乾燥又はニーダーやエクストルーダーで冷却・混練・固化・乾燥・粉砕することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶とすることができる為、結晶マルチトールとそれを含有する含蜜結晶の製品のバランスをその時の市場のニーズにあわせて自由に選択することができる。
【0059】
また、本願発明を実施した場合、クロマト分離工程で副成するソルビトール画分及びDPが3以上のオリゴ糖画分はそのまま、または、両画分を混合するか任意の組成の糖アルコールと混合することで、既に市販されている還元澱粉糖化物等として様々な食品、医薬品及び化粧品に採用することができる。
【0060】
【実施例】
【0061】
以下に実施例をあげて更に具体的に本発明の方法を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の例に制限されるものではない。
【0062】
また、以下の例において、%は特に断らない限り重量%を表すものとする。
【0063】
【実施例1】
【0064】
[接触水素化装置]
【0065】
本実施例では、図1に示すように、図中、塔A、B、C、Dで示される5リットルのジャケット付きステンレス製耐圧容器(内径6.6cm、高さ160cm)を4本直列に接続し、塔Aの下部に原料仕込みポンプEを予熱器Fを介して接続し、塔Dの上部に冷却器Hを介してサンプルポットIを接続すると共に、液貯めポットJを接続した接触水素化装置を使用した。
【0066】
水素ガスは塔A下部より入り、塔D上部より出、液貯めポットJで液部と分離され、流量計Kと調節弁Lを通って大気に放出される。
【0067】
また、予熱器F及び塔A、B、C及びDのジャケットには加熱したオイルを流して一定の温度に保持した。
【0068】
通常はバルブMを開放し、バルブN、O及びPは閉鎖され、塔Dより出た反応液がポットJに貯まり、時々バルブPより抜かれた。
【0069】
サンプリング時にはバルブMを閉鎖し、バルブNを開放してポットIよりバルブOを通してサンプルが抜かれた。
【0070】
[接触水素化用触媒の調製]
【0071】
ニッケル金属60kgとアルミニウム金属60kgを加熱溶融し、ノズルを通して20cm下の冷却水面に滴下し急冷した。
【0072】
得られたランプ状の合金の粒径は1〜15mmの混合物であった。
【0073】
これを破砕機にて破砕し、篩にかけて粒径が2〜4mmの急冷ランプ合金49.8kgを得た。
【0074】
500リットルの加熱ジャケット付きステンレス容器に10%NaOH水溶液340kgを入れ、50℃に加熱し、ステンレス製籠に入れた前記急冷ランプ合金46kgをその中に入れた。
【0075】
温度を60℃で60分間保持した後、籠を引き上げ水洗した。
【0076】
このとき得られた触媒の展開率を下記の式に従って求めたところ、20.3%であった。
【0077】
展開率(%)=(アルミニウム溶出量/合金中のアルミニウム量)X100
【0078】
[接触水素化反応]
【0079】
前記接触水素化装置の各塔に展開した触媒を充填した。
【0080】
次に、各塔を140℃に加熱し、グルコース1.6%、マルトース67.3%、マルトトリオース13.2%、DPが4以上のポリオール17.9%の糖組成の糖液を濃度50%に調整し、ポンプEより毎時10リットルの速さで流した。
【0081】
又、水素圧を150kg/cm2 に保持し、水素流量を毎時85リットルに調整した。
【0082】
これを3日間連続運転した。
【0083】
流出した液720リットルの純度を液体クロマトグラフィーにより測定したところ、水素化液の組成は、ソルビトール1.8%、マルチトール67.2%、マルトトリイトール13.2%、DPが4以上の糖アルコール17.8%、未還元物0.03%であった。
【0084】
[第一段分画装置]
【0085】
本実施例で使用した第一段分画装置は、図2に示すように、50リットルのジャケット付きステンレス製の塔(内径21cm、長さ150cm)2A〜2Cを直列に連結し、塔2Aの上部に、予熱器2H及び開閉バルブ2Eを通して水素化液仕込みポンプ2Dを接続すると共に、予熱器2H及び開閉バルブ2Gを介して仕込みポンプ2Fを接続し、他方、塔2Cの下部に、切り替えバルブ2M、2N、2O及び2Pを介して、流出液タンク2I、2J、2K及び2Lを接続したものである。流出液は、塔2Cの下部より切り替えバルブ2M、2N、2Oまたは2Pを通って流出液タンク2I、2J、2Kまたは2Lに送られる。尚、各塔2A〜2Cには、強酸性イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、スルフォン酸型CG6010)のカルシウム型を150リットル充填した。
【0086】
[第一段分画]
【0087】
2A、2B及び2Cの各塔を60℃に保ちつつ、バルブ2E及び2Pを開き、2G、2M、2N及び2Oを閉じた。
【0088】
前記水素化液を常法に従ってイオン交換樹脂により精製した後、濃縮して濃度60%に調整、その45kgをポンプ2Dを通して毎分2.6リットルの速さで送った。
【0089】
次に、バルブ2Eを閉じ、バルブ2Gを開き、仕込みポンプ2Fで毎分2.6リットルの速さで水を40分間送った。この操作を繰り返した。
【0090】
一方、バルブ2P側の流出液糖濃度が0.2%になったら、バルブ2Pを閉じ、バルブ2Oを開いた。18分後バルブ2Oを閉じ2Nを開いた。更に、30分後バルブ2Nを閉じ2Mを開いた。次いで24分後バルブ2Mを閉じ2Pを開いた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0091】
タンク2K、2J及び2Iに得られた流出液の重量、濃度及び糖組成は表1の通りであった。
【0092】
【表1】
【0093】
[第二段分画装置]
【0094】
本実施例で使用した第二段分画装置は、図3に示すように、10リットルのジャケット付きステンレス製の塔(内径9.6cm、長さ150cm)10本、3A〜3Jを直列に連結し、塔3Aの上部に、予熱器3O及び開閉バルブ3Lを介して水素化液仕込みポンプ3Kを接続すると共に、予熱器3O及び開閉バルブ3Nを介して仕込みポンプ3Mを接続し、他方、塔3Jの下部に、切り替えバルブ3Pを介して、流出液タンク3Q及び3Rを接続したものである。流出液は、塔3Jの下部より切り替えバルブ3Pを通って流出液タンク3Qまたは3Rに送られる。
【0095】
尚、塔3A〜3Jの各塔には、強酸性イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、スルフォン酸型CG6010)のカルシウム型を100リットル充填したものを使用した。
【0096】
[第二段分画]
【0097】
3A〜3Jの各塔を60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0098】
第一段分画タンク2Jの流出液を濃度60%に調整したマルチトール含有液12kgをポンプ3Kを通して毎時50リットルの速さで送った。
【0099】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時50リットルの速さで160分間送った。この操作を繰り返した。
【0100】
タンク3R側の流出液のマルチトール純度が97.5%になった時点で、切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。次いで、マルチトール純度が97.5%以下になったら切り替えバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0101】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は表2の通りであった。
【0102】
【表2】
【0103】
[結晶マルチトールの製造]
【0104】
第二段分画3Qの流出液をイオン交換樹脂を用いて常法により精製した後、濃度を78%まで濃縮したマルチトール液205kgを撹拌機とジャケットのついた容量200リットルの結晶缶に入れ、55℃にてシードとして結晶マルチトール粉末をマルチトール液中の固形分に対して0.1%添加し、ゆっくりと撹拌しながら24時間かけて20℃までゆっくりと冷却した。
【0105】
得られたスラリーを遠心分離器で分蜜して結晶を少量の水で洗浄し、結晶マルチトール及び母液を得た。この時の結果は表3の通りであった。
【0106】
【表3】
【0107】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造]
【0108】
結晶マルチトール製造時に得られた上記母液を濃度95%まで濃縮した後、温度約100℃に調整した食品用二軸スクリュー式エクストルーダー((株)日本製鋼所製、TEX38FSS-20AW-V)に毎時22kgで導入し、シードとして結晶マルチトールを含有する含蜜結晶粉末(マルチトール純度95.3%品)を母液中の固形分に対して約30%添加し、毎分60回転で混練しながら2分後にエクストルーダーから排出される迄に40℃に冷却し、直径4mmの孔が12ヶ所開いた押し出し口からマルチトールマグマを得た。この時の運転時間は2.5時間であった。
【0109】
このマルチトールマグマを冷却、乾燥、粉砕することで、結晶マルチトールを含有する含蜜結晶66.2kgを得た。このもののマルチトール純度は96.0%であった。
【0110】
【実施例2】
【0111】
[接触水素化反応]
【0112】
原料としてグルコース1.1%、マルトース49.1%、マルトトリオース11.6%、DPが4以上のポリオール38.2%の糖組成の糖液を濃度50%に調整し、実施例1の接触水素化装置を使用して、ポンプEより毎時8リットルの速さで流した。水素圧を150kg/cm2 に保持し、水素流量を毎時85リットルに調整した。
【0113】
これを6日間連続運転した。
【0114】
流出液の組成は、ソルビトール1.3%、マルチトール49.0%、マルトトリイトール11.5%、DP4以上の糖アルコールが38.2%であった。
【0115】
[第一段分画]
【0116】
図2の分画装置を使用して、バルブ2Oの開放時間が24分、バルブ2Nの開放時間が24分である以外は実施例1と同じ条件で第一段分画を行った。
【0117】
タンク2K、2J及び2Iに得られた流出液の重量、濃度及び糖組成は表4の通りであった。
【0118】
【表4】
【0119】
[第二段分画]
【0120】
次にタンク2Jの流出液を原料として、図3の分画装置を使用し、タンク3Q側の流出糖液のタンク切り替え時のマルチトール純度が96.0%である以外は、実施例1と同じ条件で第二段分画をした。
【0121】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は表5の通りであった。
【0122】
【表5】
【0123】
[結晶マルチトールの製造]
【0124】
前記タンク3Qの流出液をイオン交換樹脂により精製した後、濃度を78%まで濃縮したマルチトール液150kgを撹拌機とジャケットの付いた容量120リットルの結晶缶に入れ温度55℃でシードとして結晶マルチトール粉末をマルチトール液の固形分に対して0.1%添加し、ゆっくりと撹拌しながら24時間かけて20℃まで徐々に冷却した。
【0125】
得られたスラリーを遠心分離器で分蜜して結晶を少量の水で洗浄し、結晶マルチトール(A)及び母液(A)を得た。
【0126】
更にこの母液(A)を濃度78%迄濃縮し60リットルの結晶缶に入れ、55℃でシードとして結晶マルチトール粉末を母液(A)中の固形分に対して0.1%添加し、24時間かけて20℃まで徐々に冷却した。得られたスラリーを遠心分離器で分蜜して結晶を少量の水で洗浄して結晶マルチトール(B)と母液(B)を得た。
【0127】
得られた結晶マルチトール(A)、母液(A)、結晶マルチトール(B)及び母液(B)の重量、糖組成は表6の通りであった。
【0128】
【表6】
【0129】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造]
【0130】
母液(B)を原料とし、シードとして使用した結晶マルチトールを含有する含蜜結晶粉末の純度が95.3%、運転時間が1.5時間である以外は、実施例1と同様の条件で結晶マルチトール含蜜結晶を製造した。
【0131】
得られた結晶マルチトール含蜜結晶は26.5kgで、この時のマルチトール純度は93.5%であった。
【0132】
【実施例3】
【0133】
[接触水素化反応]
【0134】
電磁撹拌付きステンレス製50リットルのオートクレーブにグルコース1.0%、マルトース57.7%、マルトトリオース12.7%、DPが4以上のポリオール28.6%の糖組成の50%糖液40kgと市販の粉末ラネーニッケル触媒(日興リカ(株)製、R−239)2kgを入れ、水素圧150kg/cm2 、温度130℃で120分間反応させた。
【0135】
反応終了後、水素化液から触媒をろ過により分離し、常法に従いイオン交換樹脂で精製した。
【0136】
この水素化反応を20バッチ行い、濃度60%で650kgの水素化液を得た。
【0137】
この水素化液の組成は、ソルビトール1.2%、マルチトール57.6%、マルトトリイトール12.6%、及びDPが4以上の糖アルコールが28.6%であった。
【0138】
[第一段分画]
【0139】
各塔2A〜2Cを60℃に保ちつつ、バルブ2E、2Pを開き、2G、2M、2N及び2Oを閉じた。
【0140】
次に、前記濃度60%の水素化液45kgをポンプ2Dを通して毎分2.6リットルの速さで送った。
【0141】
引き続き、バルブ2Eを閉じ、バルブ2Gを開き、仕込みポンプ2Fで水を毎分2.6リットルの速さで40分間送った。この仕込み操作を繰り返した。
【0142】
一方、バルブ2P側の流出液の糖濃度が0.2%になってから7分後にバルブ2Pを閉じ、バルブ2Oを開いた。15分後にバルブ2Oを閉じ2Nを開いた。20分後バルブ2Nを閉じ2Mを開いた。更に7分後にバルブ2Mを閉じて2Pを開いた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0143】
上記操作により60%の水素添加液325kgを処理した時、タンク2L、2K、2J及び2Iに得られた流出液の重量、濃度及び糖組成は表7の通りであった。
【0144】
【表7】
【0145】
[第二段分画]
【0146】
各塔3A〜3Jを60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0147】
第一段分画タンク2Jの流出液を濃度60%に調整したマルチトール含有液8kgをポンプ3Kを通して毎時30リットルの速さで送った。
【0148】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時30リットルの速さで260分間送った。この操作を繰り返した。
【0149】
一方、タンク3R側の流出液のマルチトール純度が98.8%以上になった時点で、切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。次いで、マルチトール純度が98.8%以下になったら切り替えバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0150】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は表8の通りであった。
【0151】
【表8】
【0152】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造]
【0153】
タンク3Qの流出液を常法によりイオン交換樹脂精製した後、濃度95%まで濃縮し、温度約100℃に調整した食品用二軸スクリュー式エクストルーダー((株)日本製鋼所製、TEX38FSS-20AW)に毎時22kgで導入し、シードとして結晶マルチトール粉末(マルチトール含量99.0%品)を固形分に対して約30%添加し、毎分60回転で混練しながら2分後にエクストルーダーから排出される迄に40℃に冷却し、直径4mmの孔が12ヶ所開いた押し出し口からマルチトールマグマを得た。このときの運転時間は1.5時間であった。
【0154】
このマルチトールマグマを冷却、乾燥、粉砕することで、結晶マルチトールを含有する含蜜結晶26.5kgを得た。このもののマルチトール純度は99.1%であった。
【0155】
[オリゴ糖アルコールの製造]
【0156】
タンク2Lの流出液及びタンク3Rの流出液をそれぞれ常法に従ってイオン交換樹脂で精製後、濃度を70%まで濃縮し、タンク2L流出濃縮液及びタンク3R流出濃縮液とした。
【0157】
タンク2L流出濃縮液30kgとタンク3R流出濃縮液4kg及び市販の70%D−ソルビトール水溶液(東和化成工業(株)製、純度99.3%)1kgを混合した。この混合オリゴ糖アルコールの糖組成は、ソルビトール3.1%、マルチトール11.5%、マルトトリイトール11.5%、DP4以上の糖アルコールが73.8%であった。
【0158】
また、その甘味度は砂糖の15%、粘度は3650cp(25℃)であった。
【0159】
一方、市販の澱粉糖化液M−20(日本食品加工(株)社製)を50%水溶液1.4kg、粉末ラネーニッケル触媒R−239(日興リカ(株)社製)10g存在下、2.4リットルのオートクレーブ中で130℃、水素圧150kg/cm2 で120分反応後、触媒をろ過してイオン交換樹脂で精製後濃縮することにより、還元澱粉糖化物ピーオー20(東和化成工業(株)商品名)相当品を得た。
【0160】
このものの糖組成は、ソルビトール2.6%、マルチト−ル10.0%、マルトトリイトール10.8%、DPが4以上の糖アルコールが76.6%であり、先に得た混合オリゴ糖アルコールとほぼ同じであって、その粘度及び甘味度も同等であった。
【0161】
【実施例4】
【0162】
[接触水素化]
【0163】
原料としてグルコース1.2%、マルトース74.2%、マルトトリオース13.7%、DPが4以上のポリオール10.9%の糖組成の糖液を濃度50%に調整し、実施例1に記載の接触水素化装置を用いて、ポンプEより毎時10リットルの速さで流した。水素圧を150kg/cm2 に保持し、水素流量を毎時85リットルに調整した。これを2日間連続運転し、流出液480リットルを得た。
【0164】
この流出液の糖組成は、ソルビトール1.4%、マルチトール74.1%、マルトトリイトール13.6%、DPが4以上の糖アルコールが10.9%であった。
【0165】
[第一段分画]
【0166】
実施例1のバルブ2Oの開放時間が13分、バルブ2Nの開放時間が39分、バルブ2Mの開放時間が20分である以外は実施例1と同じ方法で第一段分画を行った。
【0167】
得られたタンク2K、2J及び2Iの流出液の重量、濃度及び糖組成は表9の通りであった。
【0168】
【表1】
【0169】
[第二段分画]
【0170】
3A〜3Jの各塔を60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0171】
前記タンク2Jの流出液を濃度60%に調整し、その8kgをポンプ3Lを通して毎時30リットルの速さで送った。
【0172】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時30リットル速さで260分間送った。この操作を繰り返した。
【0173】
一方、タンク3R側の流出液のマルチトール純度が96.7%以上になったら、切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。流出液のマルチトール純度が96.7%以下になったらバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0174】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は、表10の通りであった。
【0175】
【表10】
【0176】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造]
【0177】
タンク3Qの流出液を常法によりイオン交換樹脂精製した後、シードとしてマルチトール純度が97.5%の結晶マルチトールを含有する含蜜結晶粉末を使用した以外は実施例1の[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造方法]と同様の方法で2時間運転し、マルチトール純度97.7%の結晶マルチトールを含有する含蜜結晶52.6kgを得た。
【0178】
[オリゴ糖アルコールの製造]
【0179】
タンク2Kの流出液及びタンク3Rの流出液をそれぞれ常法によりイオン交換樹脂で精製後、濃度を70%まで濃縮し、タンク2K流出濃縮液及びタンク3R流出濃縮液とした。
【0180】
タンク2K流出濃縮液22kgとタンク3R流出濃縮液10kgと70%D−ソルビトール水溶液(純度99.3%)0.43kgを混合した。
【0181】
この混合オリゴ糖アルコールの糖組成は、ソルビトール2.1%、マルチトール50.5%、マルトトリイトール23.9%、DPが4以上の糖アルコール23.5%であった。
【0182】
また、その甘味度は砂糖の35%、粘度は320cp(25℃)であった。
【0183】
一方、市販の澱粉糖化液M−40(日本食品加工(株)社製)の50%水溶液1.4kgを、粉末ラネーニッケル触媒R−239(日興リカ(株)社製)10g存在下、2.4リットルのオートクレーブ中で130℃、水素圧150kg/cm2 で120分反応後、触媒をろ過してイオン交換樹脂精製後、濃度を70%に濃縮することにより、還元澱粉糖化物ピーオー40(東和化成工業(株)商品名)相当品を得た。
【0184】
このものの糖組成は、ソルビトール2.3%、マルチトール50.9%、マルトトリイトール23.4%、DPが4以上の糖アルコールが23.4%であり、先に得た前記混合オリゴ糖アルコールとほぼ同じであって、その粘度及び甘味度も同等であった。
【0185】
【実施例5】
【0186】
[接触水素化]
【0187】
電磁撹拌付きステンレス製50リットルのオートクレーブにグルコース0.9%、マルトース62.4%、マルトトリオース12.3%、DPが4以上のポリオール24.4%の糖組成の50%糖液40kgと粉末ラネーニッケル触媒(日興リカ(株)製、R−239)2kgを入れ、水素圧150kg/cm2 、温度130℃で120分間反応させた。
【0188】
反応終了後、水素化液から触媒をろ過により分離し、常法に従いイオン交換樹脂で精製した。
【0189】
この水素化反応を34バッチ行い、濃度60%で1100kgの水素化液を得た。
【0190】
この水素化液の組成は、ソルビトール1.1%、マルチトール62.3%、マルトトリイトール12.2%、及びDPが4以上の糖アルコールが24.4%であった。
【0191】
[第一段分画]
【0192】
実施例1のバルブ2Oの開放時間が18分、バルブ2Nの開放時間が34分、バルブ2Mの開放時間が20分である以外は実施例1と同じ方法で第一段分画を行った。
【0193】
得られたタンク2K、2J及び2Iの重量、濃度及び糖組成は表11の通りであった。
【0194】
【表11】
【0195】
[第二段分画]
【0196】
各塔3A〜3Jを60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0197】
第一段分画タンク2Jの流出液を濃度60%に調整したマルチトール含有液12kgをポンプ3Kを通して毎時50リットルの速さで送った。
【0198】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時30リットルの速さで160分間送った。この操作を繰り返した。
【0199】
一方、タンク3R側の流出液のマルチトール純度が97.5%以上になった時点で、切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。次いで、マルチトール純度が97.5%以下になったら切り替えバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0200】
得られたタンク3Qの流出液とタンク3Rの流出液の重量、濃度及び糖組成は表12の通りであった。
【0201】
【表12】
【0202】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造1]
【0203】
前記タンク3Qの流出液の一部を常法によりイオン交換樹脂で精製し、濃度を95%に濃縮した。シードとして結晶マルチトール粉末(マルチトール含量99.0%)を使用した以外は実施例1の[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造方法]と同じ方法で結晶マルチトールを含有する含蜜結晶40kgを得た。このもののマルチトール純度は98.4%であった。
【0204】
[結晶マルチトールの製造]
【0205】
前記タンク3Qの流出液の残余を精製し、濃度を75%に濃縮した糖液134kgを撹拌機とジャケットの付いた120リットルの結晶缶に入れ温度53℃でシードとして結晶マルチトール粉末を糖液中の固形分に対して0.1%添加し、ゆっくりと撹拌しながら24時間かけて20℃まで冷却した。
【0206】
得られたスラリーを遠心分離器で分蜜して結晶を少量の水で洗浄することで表13に記載の結晶マルチトール及び母液を得た。
【0207】
【表13】
【0208】
[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造2]
【0209】
前記母液を濃度95%に濃縮した。シードとして結晶マルチトール粉末(マルチトール純度99.0%)を使用した以外は実施例1の[結晶マルチトールを含有する含蜜結晶の製造方法]と同じ方法で結晶マルチトールを含有する含蜜結晶67kgを得た。このもののマルチトール純度は97.4%であった。
【0210】
【参考例】
【0211】
[分画]
【0212】
実施例3の接触水素化で得た濃度60%の水素化液の残余を図3のクロマト分画装置により分画した。
【0213】
3A〜3Jの各塔を60℃に保ちつつ、バルブ3Lを開き、バルブ3Nを閉じ、切り替えバルブ3Pを流出液タンク3R側に開いた。
【0214】
水素化液8kgをポンプ3Kを通して毎時30リットルの速さで送った。
【0215】
次にバルブ3Lを閉じ、バルブ3Nを開き、仕込みポンプ3Mで水を毎時30リットルの速さで260分間送った。この操作を繰り返した。
【0216】
一方、タンク3R側の流出糖液のマルチトール純度が98.8%以上になったら切り替えバルブ3Pをタンク3Q側に切り替えた。流出液のマルチトール純度が98.8%以下になったらバルブ3Pをタンク3R側に切り替えた。流出側ではこの操作を繰り返した。
【0217】
仕込み側、流出側共にこの操作を11回繰り返し、水素化液88kg(固形物52.8kg)を処理した。
【0218】
タンク3Qとタンク3Rに得られた流出液の重量、濃度及び糖組成は表14に示す通り、マルチトールを多く含む流出液の収量は極めて少なく固形物換算で4.2%であった。
【0219】
【表14】
【0220】
【発明の効果】
【0221】
本発明を実施することにより、安価に入手できる固形物中にマルトースを40〜75重量%含むマルトースシロップを原料として、高収率で付加価値の高い結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶を所望のバランスで製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する際に使用する接触水素化装置の概略図。
【図2】本発明を実施する工程中、第一段の分画を行う際に使用するクロマト分画装置の概略図。
【図3】本発明を実施する工程中、第二段の分画を行う際に使用するクロマト分画装置の概略図。
【符号の説明】
A 塔
E ポンプ
F 予熱器
I サンプルポット
J 液貯めポット
K 流量計
L 調節弁
M バルブ
Claims (3)
- 結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法において、
1)固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを接触水素化して相当する糖アルコールシロップを得る第一工程、
2)糖アルコールシロップを陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(a)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第二工程、
3)マルチトール含有シロップ画分(a)を陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形分中にマルチトールが97.5重量%以上含まれるマルチトール含有シロップ画分(b)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第三工程、
4)マルチトール含有シロップ画分(b)を濃縮した後、結晶化して、結晶マルチトールと固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液とを得る第四工程、
5)第四工程で得られた母液を種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練することにより結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得る第五工程、
の各工程を逐次経由することを特徴とする製造方法。 - 結晶マルチトール及びそれを含有する含蜜結晶の製造方法において、
1)固形物中に40〜75重量%のマルトースを含むシロップを接触水素化して相当する糖アルコールシロップを得る第一工程、
2)糖アルコールシロップを陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形物中にマルチトールが80.5〜86.5重量%含まれるマルチトール含有シロップ画分(a)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第二工程、
3)マルチトール含有シロップ画分(a)を陽イオン交換樹脂を充填した塔に供給してクロマト分離し、ソルビトールを多く含む画分と、固形分中にマルチトールが97.5重量%以上含まれるマルチトール含有シロップ画分(b)及び重合度(DP)が3以上のポリオール画分を得る第三工程、
4)マルチトール含有シロップ画分(b)を濃縮した後、その一部を種結晶の存在下で結晶化して結晶マルチトールと固形物中に90重量%以上のマルチトールを含む母液とを得る工程、及び、濃縮したマルチトール含有シロップ画分(b)の残余を種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練することにより結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得る第四工程、
5)第四工程で得られた母液を種結晶の存在下で噴霧乾燥又は冷却混練することにより結晶マルチトールを含有する含蜜結晶を得る第五工程、
の各工程を逐次経由することを特徴とする製造方法。 - 第一工程において接触水素化が、ニッケルとアルミニウムの溶融物を急冷し、そのまま又は一度破砕した後に分級し活性化されたラネー触媒またはその粉末をペレット状に成形したラネー触媒により連続的になされる請求項1又は2に記載の製造方法。
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