JP4711278B2 - 液注出容器の中栓とキャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱充填容器の中栓とキャップ、とくに容器使用後の廃棄時にキャップとともに中栓を容器口部から抜栓可能とした液注出容器の中栓とキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
容器使用後に、容器口部に嵌着した中栓、またはキャップを抜き取り、分別廃棄することは従来より実施されており、中栓の外筒に拡開防止のための保護リングを嵌着し、容器廃棄時に保護リングを取外し、中栓を容器口部から抜栓すること、その際、保護リング(プロテクターリング3)の内周に、ローレットを刻設し、中栓(キャップ本体1)の外壁から容易に離れないようにすることは、従来より公知(例えば実開平6−76106号公報参照)である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報のものは、ローレットによって嵌着度を強めているが、キャップ本体(1)の外周にはスリットがあるだけで、キャップ本体全周にわたってローレット内周に係合するわけではないから、最初に上蓋(2)を開封するときに、上蓋(2)とともにプロテクターリング(3)を廻動させることもあった。
【0004】
また、上記公報のキャップは、加熱充填時に、温水、常温水を使って徐冷又は急冷した場合に、キャップ内に蒸気、湿った外気、冷却水等が吸引されることを防止する手段を具えていないので、キャップ内に結露が付着するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決することを課題とし、加熱充填にあたって、中栓の打栓を容易にするとともに、蒸気、湿った外気、或いは冷却水等がキャップ内に吸引されることを防ぐこと、およびキャップの開封にあたって、保護リングがキャップとともに廻動して持ち上げられることを阻止するようにした液注出容器の中栓とキャップを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するため、液注出容器の中栓とキャップとして、注出筒と、外筒、内筒および肩壁を具えた嵌着筒部とからなり、容器口部に嵌着される中栓と、中栓に設けた螺着筒に螺合されるキャップ本体と、その下端に連設された保護リングとからなるキャップとを備えた液注出容器であって、保護リングは、キャップ本体の側周壁下端面に設けられた複数の切断可能な連結片によってキャップ本体の側周壁下端に取着され、保護リングの内周面と中栓の外筒外周に、相互に噛み合うよう形成されたローレットが設けられ、保護リングのローレットの上下方向の長さが、中栓外周のローレットより上方に長くなっていることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
加熱充填時にキャップ内に外気の吸引を阻止するため、中栓の肩壁周縁に沿って係合リングを立設し、キャップ本体の側周壁下端に、上記係合リングに嵌合する係合溝を設けたことを特徴とする構成を採用し、また、冷却水の排出をよくするために、それぞれのローレットが山の高さを異にし、通気孔を形成するようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【0008】
使用中のキャップ開閉時に保護リングに触れ、廻動させないようにするため、キャップ本体の側周壁下端に、膨出環を設けたことを特徴とする構成を採用する。
【0009】
打栓を容易にするため、中栓の外筒内周に通気溝を設けたことを特徴とする構成を採用し、また、打栓前のキャップ締着を容易にするため 注出筒の隔壁周縁に、位置決め片を垂設したことを特徴とする構成を採用する。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1において、Aは容器で、ガラスまたは合成樹脂で成形されている。
Bは中栓で、PEその他軟質の合成樹脂で成形されており、Cはキャップで、PPその他硬質の耐熱性合成樹脂で成形されている。
容器Aの口部1外周には、嵌合突条2とネックリング3が設けられている。
【0011】
図2に示すように、中栓Bは、口部1に嵌着する嵌着筒部4と、注出筒5を連接した螺着筒6とを具えており、嵌着筒部4は、外筒7と内筒8と肩壁9とからなっている。
外筒7の下方内周には、容器Aの口部1外周に設けられた嵌合突条2に係合する係合突条10が突設され、その係合突条10には、抜栓を容易にするため複数の切欠部11が設けられており、該切欠部11から上方に延びる浅い通気溝12が刻設されている。
外筒7の外周下方には、全周にわたってローレット13が設けられており、外筒7上端の肩壁9周縁には、内側を傾斜面14とした係合リング15が立設されている。
【0012】
内筒8は、口部1の内周に一定の締め代をもって嵌合されるよう拡径されている。
【0013】
螺着筒6は、前記内筒8を上方に延ばすよう肩壁9の内周縁に沿って立設されており、螺着筒6の外周には、ねじ16が螺設され、上端には、内方に延びる注出筒5の支持壁17が連設されている。
注出筒5の上端縁には、外方に拡径され湾曲する注出口唇部18が形成され、下端には、隔壁19が連設されている。
【0014】
隔壁19の周縁には、注出筒5下端に沿って等間隔をおいてくさび状の位置決め片20が垂設されており、隔壁19の裏面には、所定の形状に沿って薄肉を残してV字形の切断溝21が設けられ、その内側の隔壁19は除去部22となっている。
除去部22の上面には、連結片を介して指掛けリング23が設けられている。
【0015】
図3に示すように、キャップCは、キャップ本体30とキャップ本体30の下端に連設された保護リング31とからなっている。
キャップ本体30は、頂壁32と側周壁33とを具えており、頂壁32の下面には、閉蓋時に注出口唇部18を密封する密封リング34が垂設されている。
側周壁33の内周には、ねじ35が螺設されており、外周には、ローレット36が刻設されている。
側周壁33下端面には、傾斜面37を有する係合溝38が刻設され、下端外周には、下方から延び外周から広がる膨出環39が形成されている。
【0016】
保護リング31は、等間隔に配置された容易に切断可能な複数の連結片40を介してキャップ本体30と連結されており、保護リング31の内周には、全周にわたってローレット41が刻設されている。
ローレット41の山数は、中栓Bの外筒7外周のローレット13の山数と同一であるが、山の高さは、ローレット41の方が高くなっている。
打栓にあたって、外筒7外周が拡げられることによって、各ローレット41,13が強固に噛み合い、保護リング31を外筒7に嵌着させるとともに、両者の間を通気性をなくさないようにしている。
【0017】
次に、本発明の液注出容器の構成に基づく作用効果について説明する。
まず、内容液の熱充填について説明すると、本容器には、加熱殺菌した内容液が充填される。
加熱充填にあたって、中栓BにキャップCが被嵌されるが、その際、中栓Bは、図4に示すような治具Dに取着され、中栓Bのくさび状の位置決め片20が治具Dの位置決めストッパーD1に係止されることによって廻動が阻止され、キャッピングが簡単に能率よく行われる。
キャップCが締着されたときには、側周壁33の下端の傾斜面37が、中栓Bの傾斜面14に係合するようにキャップCの係合溝38と中栓Bの係合リング15が嵌合され、キャップC内の密封性が維持される。
【0018】
加熱充填にあたって、図5に示すように、内容液の充填後にキャップCを被嵌した中栓Bが、打栓により容器Aの口部1に嵌着され、その後に比較的高温の加熱水が注がれ、順次低温の加熱水、常温の冷却水が注がれ、内容液が冷却される。
そのため、蒸気が立ちこめる状況の中で冷却が行われることになり、冷却につれてキャップC内が減圧される。
また、殺菌温度が低い場合には、当初から冷却水が注がれ冷却される。
【0019】
冷却にあたって、キャップC内は、中栓Bの係合リング15とキャップ側周壁33下端の係合溝38により密封されているので、キャップC内に蒸気、或いは冷却水が吸引されることが阻止される。
【0020】
また、打栓時には、内筒8の外周が一定の締め代をとって口部1内周に嵌合され、外筒7の係合突条10が嵌合突条2の下側に係合して、中栓Bが口部1に嵌着される。
その際、嵌合筒部4内の空気は、通気溝12、切欠部11を通じて排出されるので、打栓は容易に行われる。
そして、内筒8、外筒7とともに肩壁9が口部1上端面に密着することによって容器A内部が密封される。
したがって、冷却にあたって中栓Bと容器Aとの間からは、蒸気或いは湿った外気、冷却水等は吸引されない。
【0021】
冷却とともに、蒸気、湿った外気等は、口部1の嵌合突条2下面と中栓Bの外筒7の係合突条10との間の周辺部分a、或いは中栓外筒7とキャップCの側周壁33下端との間の周辺部分bに引き寄せられ結露し、また、冷却水も引き寄せられるが、周辺部分aの水分は、容器口部1外周面を伝わって落下し、周辺部分bの水分は、外筒7外周と保護リング31との間を伝わって落下する。
その際、水分は、外筒7外周と保護リング31内周との間で、ローレット41、13の間の隙間から毛管作用によって下方に誘導される。
したがって、キャップC付近の水分は早急に落下するので、容器Aの乾燥は効率よく行われる。
【0022】
次に、容器使用中の作用効果、および使用後の廃棄について説明する。
容器Aの使用開始にあたってのキャップの開封時には、キャップCを廻動すると、保護リング31は、その内周のローレット41が中栓Bのローレット13に噛合しているので、キャップCとともに廻動することなく、連結片40は容易に切断される。
その後に、必要に応じて保護リング31を下方に押し下げると、中栓B外周の下端が打栓時に拡開されているので、ローレット41,13同士の噛合がさらに強くなり、強固な嵌着が得られる。
【0023】
容器使用時に、キャップCの開閉にあたっては、側周壁33下端に膨出環39が形成されているので、指先が保護リング31に接するのが阻止され、キャップC外周のローレット36部分を握って廻動させるので、キャップCの開閉が容易である。
【0024】
中栓外筒7は、係合突条10が容器口部1の嵌合突条2に係合しているので、中栓Bは容易に抜き取られないが、キャップCを被嵌してひねっても、保護リング31が外筒7の下方部を包囲しているので、外筒7の拡開が阻止され、中栓Bが抜けることはない。
【0025】
容器使用後の廃棄にあたっては、まず、キャップCを取り外し、保護リング31を上方に引っ張り上げると、ローレット13,41の嵌着度が弱くなるので、保護リング31を簡単に取り外すことができる。
【0026】
次いで、再び中栓BにキャップCを被嵌し、図6に示すように、キャップCを矢印の方向にひねると、キャップCと中栓Bが一体となって、中栓Bを容器Aの口部1から取り外すことができる。
その際、側周壁33下端部に膨出環39が形成されているので、指先が引っかかり、滑らないので、キャップCにかかるモーメントを強くすることができ、抜栓を容易にしている。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成されているから、次の効果を奏する。
キャップの下端に中栓肩壁外周に設けた係合リングに係合する係合溝を設けているから、加熱充填後の冷却にあたって、冷却水や周辺の湿った外気を吸引することを防止することができた。
【0028】
保護リングの内周面と中栓の外周面にローレットを設け係合させるようにしたから、キャップ開封時に、キャップと保護リングとの切断が確実に行われ、使用中に保護リングが中栓から外れることがなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液注出容器の一部断面正面図である。
【図2】中栓の説明図で、(a)は正面図、(b)断面図、(c)は底面図である。
【図3】キャップの一部断面正面図である。
【図4】キャッピング時の説明図である。
【図5】冷却時の説明図である。
【図6】中栓の開栓時の説明図である。
【符号の説明】
A 容器
B 中栓
C キャップ
1 口部
5 注出筒
6 螺着筒
7 外筒
8 内筒
9 肩壁
12 通気溝
13 ローレット
14 傾斜面
15 係合リング
19 隔壁
20 位置決め片
30 キャップ本体
31 保護リング
32 頂壁
33 側周壁
37 傾斜面
38 係合溝
40 連結片
41 ローレット

Claims (6)

  1. 注出筒と、外筒、内筒および肩壁を具えた嵌着筒部とからなり、容器口部に嵌着される中栓と、中栓に設けた螺着筒に螺合されるキャップ本体と、その下端に連設された保護リングとからなるキャップとを備えた液注出容器であって、
    保護リングは、キャップ本体の側周壁下端面に設けられた複数の切断可能な連結片によってキャップ本体の側周壁下端に取着され、
    保護リングの内周面と中栓の外筒外周に、相互に噛み合うよう形成されたローレットが設けられ、保護リングのローレットの上下方向の長さが、中栓外周のローレットより上方に長くなっていることを特徴とする液注出容器の中栓とキャップ。
  2. 中栓の肩壁周縁に沿って係合リングを立設し、
    キャップ本体の側周壁下端に、上記係合リングに嵌合する係合溝を設けたことを特徴とする請求項1記載の液注出容器の中栓とキャップ。
  3. それぞれのローレットが山の高さを異にし、通気孔を形成するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の液注出容器の中栓とキャップ。
  4. キャップ本体の側周壁下端に、膨出環を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液注出容器の中栓とキャップ。
  5. 中栓の外筒内周に通気溝を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液注出容器の中栓とキャップ。
  6. 注出筒の隔壁周縁に、位置決め片を垂設したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液注出容器の中栓とキャップ。
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