JP4710189B2 - 水性修正液 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性修正液に関するものであり、更に詳細には、塗布面の隠蔽性及び修正液その物の耐熱再分散性に優れる修正液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、筆記具の筆跡や、タイプライターの印刷跡、乾式複写機による複写像などを隠蔽修正するものとして修正液が用いられている。
この修正液には、溶剤として有機溶剤を用いている油性修正液と、水を用いている水性修正液とがある。近年、有機溶剤の臭気の問題などから、水性修正液に対する市場の要望が強くなりつつある。
水性修正液は、特に、油性インキの筆跡や、タイプライター等の印刷跡、乾式複写機による複写像などを隠蔽修正するためのものであって、酸化チタン等の隠蔽材と、水と、水溶性有機溶剤と、水溶性のアクリル樹脂(アンモニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩)又はアクリル樹脂エマルションとを含むものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
隠蔽材は、修正液中に微粒子状態に分散されている。そのため、長期間保管しておくと、沈降する傾向がある。特に、酸化チタンは、その比重が高いために経時的に沈降してしまう。そこで、通常は、金属製攪拌体、金属製ボール等を修正液と一緒に容器内に充填し、容器を振って隠蔽材を再分散して使用している。
【0004】
又、経時沈降に対しては、酸化チタンを表面処理したり、高分子凝集剤や無機塩の電解質などを使用してフロキュレーション化を図ったり、粘土鉱物や水溶性の増粘剤などを使用して、弱いゲル化により経時沈降の抑制が試みられている。
【0005】
しかしながら、特に、隠蔽材が酸化チタンの場合、酸化チタンは、比重が大きいため、上記経時沈降を低減させる方法を採用しても、その効果は十分でなく、液の上部に分離液が発生するため液が薄い状態で筆跡を修正されてしまい、なかなか隠蔽されない問題が発生する。
【0006】
又、耐熱再分散性に対しては、熱により修正液のゲル化が進行しハードケーキ化し、撹拌体の動きが悪くなる、即ち、修正液の再分散性が悪くなる傾向にある。即ち、本発明は、隠蔽性に優れ、しかも熱をかけられた状態で、即ち、過酷環境の元で保管されても、液の再分散性に優れ、使用時いつでも、隠蔽性の高い状態で使用できる水性修正液を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化チタンと、アルミノ珪酸塩と、平均粒径が0.2μm以上のアクリル樹脂エマルションと、モルホリンと、ソジウム2−ピリジンチオール−1−オキシドと、水とを少なくとも含み、粘度が100〜180mPa・Sの水性修正液を要旨とするものである。
【0008】
以下、本発明について説明する。
酸化チタンは、隠蔽性を付与するものであり、ルチル型、アナターゼ型などの各種の酸化チタンが使用できる。市販のものとしては、タイト−ンSR−1、同R−650、同R−3L、同R−310、同A−110、同A−150、同R−5N(以上、堺化学工業(株)製)、タイペ−クR−550、同R−580、同R−930、同A−100、同A−220(以上、石原産業(株)製)、クロノスKR−310、同KR−380、同KR−480、同KA−10、同KA−20、同KA−30(以上、チタン工業(株)製)などの未処理酸化チタンや、バイエルR−FD−1、同R−FD−2、同R−FB−1、同R−FB−3、同R−KB−3、同R−CK−20(以上、ドイツ国、バイエル社製)、タイペークR−630、同R−615、同R−830(以上、石原産業(株)製)、タイピュアR−900、同R−901(以上、デュポン・ジャパン・リミテッド社製)などの有機処理した酸化チタンが挙げられる。
これらの酸化チタンは、1種又は2種以上混合して使用することができ、その使用量は水性修正液全量に対して20〜50重量%が好ましい。
【0009】
アルミノ珪酸塩は、隠蔽性を付与するものであるが、むしろ酸化チタンと併用することにより、酸化チタンを単独で使用するより隠蔽性が向上することができる隠蔽性向上のための補助材として使用される。
一般のシリカ粉では、粒子径が小さく、隠蔽性が低く、吸油量が高く、水性修正液として粘度が高くなり、アルミノ珪酸塩ほど効果が現れない。これに対して、アルミノ珪酸塩は、隠蔽性が比較的高く、又、吸油量が比較的小さく、酸化チタンと併用すると隠蔽性が向上する。
アルミノ珪酸塩の具体例として、シペルナート820、同820A(ドイツ国、デグッサ社製)が挙げられる。その使用量は、水性修正液全量に対して1〜10重量%使用でき、好ましくは、5〜8重量%である。
【0010】
アクリル樹脂エマルションは、定着性や、塗膜の強度を向上するために使用されるが、経時的な沈降層の安定剤としても使用され、その平均粒径は、0.2μm以上のものを用いる。平均粒子径が0.2μm以上のものを使用した場合、水性修正液は、粘度が上がり、流動性もなくなり、ゲル状になるので、酸化チタンの沈降分離を防止できる。
具体例として、JSRアクリルエマルションAE318(平均粒径0.2μm)、同AE343(平均粒径0.2μm)、同AE337(平均粒径0.25μm)(以上、日本合成ゴム(株)製)、ビニゾール1637(平均粒径0.4μm、大同化成工業(株)製)、モビニール700(平均粒径0.3μm、ヘキスト合成(株)製)が挙げられる。
ここで、平均粒径について説明すると、生成されたアクリル樹脂エマルションの粒径は、厳密に見れば、全て単一の粒径からなるのではなく、異なる粒径の混合物である。故に粒径を表示するとき、平均粒径で示される。その求め方は、算術平均粒径測定法、重量平均粒径測定法、平均体積径測定法、モード径測定法、メジアン径測定法などがあるが、本発明では、算術平均粒径測定法を用いた。
その使用量は、水性修正液全量に対して5〜15重量%使用でき、好ましくは7〜10重量%である。
【0011】
モルホリンは、水性修正液の状態の調整剤及び経時安定剤として用いるもので、即ち、ゲルの硬さをソフトにしたり、流動性を持たせたり、経時的に沈降した沈降層の硬さをソフトにしたりする働きをする。
その使用量は、水性修正液全量に対して0.5〜1.5重量%使用でき、好ましくは0.7〜1.0%重量である。
【0012】
ソジウム2−ピリジンチオール−1−オキシドは、水性修正液に添加することで熱安定性が良くなり、即ち、耐熱再分散性を良くする働きがある。
その使用量は、水性修正液全量に対して0.01〜0.8重量%使用でき、好ましくは0.05〜0.5%重量である。
【0013】
尚、上記した成分の他に、従来使用されている各種添加剤を用いることもできる。例えば、紙などの筆記面と色調を合わせる為に着色顔料を併用したり、隠蔽力を向上させるためにシリカ粉、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどの体質顔料を併用しても良い。又、凍結安定性のためグリコール類、グリコールエーテル類、多価アルコール類を併用しても良い。
更に、隠蔽材や顔料の分散安定性のための分散剤や沈降防止剤や、粘度調整のために増粘剤や、塗膜の硬さを調整する為に可塑剤や、塗布性能を良好にならしめる為にフロー向上剤やレベリング剤を適宜添加することもできる。
【0014】
本発明の水性修正液は、上記各成分をダイノーミル、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー等の撹拌分散機を使用して分散混合することによって得られる。
【0015】
本発明の修正液は、その粘度が、100〜180mPa・Sであることが必要である。100mPa・S未満の場合、経時的に顔料が沈降しやすくなり、経時分離が発生しやすくなる。また、180mPa・Sを越える場合は、ハケで塗布した時に、のびが悪くなったり、カスレたり、塗布面のレベリングが悪くなる。又ペン型生インキ構造の容器に充填した時は、液が出にくくなる問題が生じる。
【0016】
【作用】
本発明の水性修正液が、何故、塗布面の隠蔽性に優れ、更には経時的に分離が少なく、再分散性に優れるかは定かではないが、次のように推察される。
隠蔽性については、酸化チタンとアルミノ珪酸塩の組成から生じる粒子及び粒径が酸化チタンの接近効果を抑制し隠蔽性を高くしたためである。なお、接近効果とは酸化チタンの使用量を増やしてゆくと、ある量のところで酸化チタン同士が接近し過ぎて、光の散乱領域が少なくなり、隠蔽性が減少する現象である。
経時分離については、比重の小さいアルミノ珪酸塩が比重の大きい酸化チタン同士の間に入り、酸化チタンの見掛けの比重を小さくしていることと、酸化チタン及びアルミノ珪酸塩が分散された液に平均粒径0.2μm以上のアクリル樹脂エマルションを混和することによって、液の粘度が上がり、流動性もなくなり、ゲル状になり、液全体を固定化し、経時分離を抑えている。
耐熱再分散性については、上記ゲル状のものを、モルホリンが液の吐出を良くしたり、弱い力で崩れるような弱いゲルにし、再分散性を良くしている。そして更にソジウム2−ピリジンチオール−1−オキシドがその弱いゲルの中に入り込み、耐熱性を有する液にしていると考えられる。
【0017】
【実施例】
上記各成分をボールミルにて24時間分散処理して粘度137mPa・Sの水性修正液を得た。
【0018】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度142mPa・Sの水性修正液を得た。
【0019】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度143mPa・Sの水性修正液を得た。
【0020】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度140mPa・Sの水性修正液を得た。
【0021】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度139mPa・Sの水性修正液を得た。
【0022】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度141mPa・Sの水性修正液を得た。
【0023】
比較例1
実施例1において、モルホリン0.7重量部の代わりに水を用い、ソジウム2−ピリジンチオール−1−オキシド0.2重量部の代わりに水を用いた他は、実施例1と同様になして粘度197mPa・Sの水性修正液を得た。
【0024】
比較例2
実施例1において、ソジウム−ピリジンチオール−1−オキシド0.2重量部の代わりに水を用いた他は、実施例1と同様になして粘度136mPa・Sの水性修正液を得た。
【0025】
比較例3
実施例1においてモルホリン0.7重量部の代わりに水を用いた他は実施例1と同様になして粘度197mPa・Sの水性修正液を得た。
【0026】
比較例4
実施例1において、ビニゾール1637の代わりに、アクリル樹脂エマルションAE322(日本合成ゴム(株)製、平均粒径0.16μm)を用いた他は実施例1と同様になして137mPa・Sの水性修正液を得た。
【0027】
比較例5
実施例1において、ビニゾール1637の代わりに、アクリル樹脂のアンモニウム塩(25重量%水溶液)を用いた他は実施例1と同様になして粘度139mPa・Sの水性修正液を得た。
【0028】
比較例6
実施例2において、シペルナート820A(アルミノ珪酸塩、ドイツ国、デグッサ社製)代わりにトクシールU(無定形シリカ、徳山曹達(株)製)を用いた他は、実施例2と同様になして粘度158mPa・Sの水性修正液を得た。
【0029】
以上、実施例1〜6、比較例1〜6で得られた水性修正液について、隠蔽性、耐熱再分散性について試験を行なった。結果を表1に示す。
【0030】
・隠蔽性試験:隠蔽率試験用紙に上記水性修正液を50ミクロンのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、カラーコンピューターでY値を測定し、数1の数式に基づいて隠蔽率を求める。
【0031】
【数1】
【0032】
・耐熱再分散性試験:
▲1▼振り回数;スクリューバイアル瓶に修正液を10mlとステンレスボール入れ、50℃で2ヶ月放置後、キャップを下にして、軽く振り、ボールが動いた時の振った回数を数える。
振り回数が少ない方が再分散性が良好である。
▲2▼隠蔽率 ;更に軽く10回振り、上記隠蔽性試験で隠蔽率を測定する。
【0033】
・粘度測定方法:B型粘度計(東京計器製造所製)で測定。液の温度は、25℃。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の水性修正液は、塗布面の隠蔽性に優れ、更に耐熱再分散性に優れる水性修正液である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性修正液に関するものであり、更に詳細には、塗布面の隠蔽性及び修正液その物の耐熱再分散性に優れる修正液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、筆記具の筆跡や、タイプライターの印刷跡、乾式複写機による複写像などを隠蔽修正するものとして修正液が用いられている。
この修正液には、溶剤として有機溶剤を用いている油性修正液と、水を用いている水性修正液とがある。近年、有機溶剤の臭気の問題などから、水性修正液に対する市場の要望が強くなりつつある。
水性修正液は、特に、油性インキの筆跡や、タイプライター等の印刷跡、乾式複写機による複写像などを隠蔽修正するためのものであって、酸化チタン等の隠蔽材と、水と、水溶性有機溶剤と、水溶性のアクリル樹脂(アンモニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩)又はアクリル樹脂エマルションとを含むものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
隠蔽材は、修正液中に微粒子状態に分散されている。そのため、長期間保管しておくと、沈降する傾向がある。特に、酸化チタンは、その比重が高いために経時的に沈降してしまう。そこで、通常は、金属製攪拌体、金属製ボール等を修正液と一緒に容器内に充填し、容器を振って隠蔽材を再分散して使用している。
【0004】
又、経時沈降に対しては、酸化チタンを表面処理したり、高分子凝集剤や無機塩の電解質などを使用してフロキュレーション化を図ったり、粘土鉱物や水溶性の増粘剤などを使用して、弱いゲル化により経時沈降の抑制が試みられている。
【0005】
しかしながら、特に、隠蔽材が酸化チタンの場合、酸化チタンは、比重が大きいため、上記経時沈降を低減させる方法を採用しても、その効果は十分でなく、液の上部に分離液が発生するため液が薄い状態で筆跡を修正されてしまい、なかなか隠蔽されない問題が発生する。
【0006】
又、耐熱再分散性に対しては、熱により修正液のゲル化が進行しハードケーキ化し、撹拌体の動きが悪くなる、即ち、修正液の再分散性が悪くなる傾向にある。即ち、本発明は、隠蔽性に優れ、しかも熱をかけられた状態で、即ち、過酷環境の元で保管されても、液の再分散性に優れ、使用時いつでも、隠蔽性の高い状態で使用できる水性修正液を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化チタンと、アルミノ珪酸塩と、平均粒径が0.2μm以上のアクリル樹脂エマルションと、モルホリンと、ソジウム2−ピリジンチオール−1−オキシドと、水とを少なくとも含み、粘度が100〜180mPa・Sの水性修正液を要旨とするものである。
【0008】
以下、本発明について説明する。
酸化チタンは、隠蔽性を付与するものであり、ルチル型、アナターゼ型などの各種の酸化チタンが使用できる。市販のものとしては、タイト−ンSR−1、同R−650、同R−3L、同R−310、同A−110、同A−150、同R−5N(以上、堺化学工業(株)製)、タイペ−クR−550、同R−580、同R−930、同A−100、同A−220(以上、石原産業(株)製)、クロノスKR−310、同KR−380、同KR−480、同KA−10、同KA−20、同KA−30(以上、チタン工業(株)製)などの未処理酸化チタンや、バイエルR−FD−1、同R−FD−2、同R−FB−1、同R−FB−3、同R−KB−3、同R−CK−20(以上、ドイツ国、バイエル社製)、タイペークR−630、同R−615、同R−830(以上、石原産業(株)製)、タイピュアR−900、同R−901(以上、デュポン・ジャパン・リミテッド社製)などの有機処理した酸化チタンが挙げられる。
これらの酸化チタンは、1種又は2種以上混合して使用することができ、その使用量は水性修正液全量に対して20〜50重量%が好ましい。
【0009】
アルミノ珪酸塩は、隠蔽性を付与するものであるが、むしろ酸化チタンと併用することにより、酸化チタンを単独で使用するより隠蔽性が向上することができる隠蔽性向上のための補助材として使用される。
一般のシリカ粉では、粒子径が小さく、隠蔽性が低く、吸油量が高く、水性修正液として粘度が高くなり、アルミノ珪酸塩ほど効果が現れない。これに対して、アルミノ珪酸塩は、隠蔽性が比較的高く、又、吸油量が比較的小さく、酸化チタンと併用すると隠蔽性が向上する。
アルミノ珪酸塩の具体例として、シペルナート820、同820A(ドイツ国、デグッサ社製)が挙げられる。その使用量は、水性修正液全量に対して1〜10重量%使用でき、好ましくは、5〜8重量%である。
【0010】
アクリル樹脂エマルションは、定着性や、塗膜の強度を向上するために使用されるが、経時的な沈降層の安定剤としても使用され、その平均粒径は、0.2μm以上のものを用いる。平均粒子径が0.2μm以上のものを使用した場合、水性修正液は、粘度が上がり、流動性もなくなり、ゲル状になるので、酸化チタンの沈降分離を防止できる。
具体例として、JSRアクリルエマルションAE318(平均粒径0.2μm)、同AE343(平均粒径0.2μm)、同AE337(平均粒径0.25μm)(以上、日本合成ゴム(株)製)、ビニゾール1637(平均粒径0.4μm、大同化成工業(株)製)、モビニール700(平均粒径0.3μm、ヘキスト合成(株)製)が挙げられる。
ここで、平均粒径について説明すると、生成されたアクリル樹脂エマルションの粒径は、厳密に見れば、全て単一の粒径からなるのではなく、異なる粒径の混合物である。故に粒径を表示するとき、平均粒径で示される。その求め方は、算術平均粒径測定法、重量平均粒径測定法、平均体積径測定法、モード径測定法、メジアン径測定法などがあるが、本発明では、算術平均粒径測定法を用いた。
その使用量は、水性修正液全量に対して5〜15重量%使用でき、好ましくは7〜10重量%である。
【0011】
モルホリンは、水性修正液の状態の調整剤及び経時安定剤として用いるもので、即ち、ゲルの硬さをソフトにしたり、流動性を持たせたり、経時的に沈降した沈降層の硬さをソフトにしたりする働きをする。
その使用量は、水性修正液全量に対して0.5〜1.5重量%使用でき、好ましくは0.7〜1.0%重量である。
【0012】
ソジウム2−ピリジンチオール−1−オキシドは、水性修正液に添加することで熱安定性が良くなり、即ち、耐熱再分散性を良くする働きがある。
その使用量は、水性修正液全量に対して0.01〜0.8重量%使用でき、好ましくは0.05〜0.5%重量である。
【0013】
尚、上記した成分の他に、従来使用されている各種添加剤を用いることもできる。例えば、紙などの筆記面と色調を合わせる為に着色顔料を併用したり、隠蔽力を向上させるためにシリカ粉、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどの体質顔料を併用しても良い。又、凍結安定性のためグリコール類、グリコールエーテル類、多価アルコール類を併用しても良い。
更に、隠蔽材や顔料の分散安定性のための分散剤や沈降防止剤や、粘度調整のために増粘剤や、塗膜の硬さを調整する為に可塑剤や、塗布性能を良好にならしめる為にフロー向上剤やレベリング剤を適宜添加することもできる。
【0014】
本発明の水性修正液は、上記各成分をダイノーミル、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー等の撹拌分散機を使用して分散混合することによって得られる。
【0015】
本発明の修正液は、その粘度が、100〜180mPa・Sであることが必要である。100mPa・S未満の場合、経時的に顔料が沈降しやすくなり、経時分離が発生しやすくなる。また、180mPa・Sを越える場合は、ハケで塗布した時に、のびが悪くなったり、カスレたり、塗布面のレベリングが悪くなる。又ペン型生インキ構造の容器に充填した時は、液が出にくくなる問題が生じる。
【0016】
【作用】
本発明の水性修正液が、何故、塗布面の隠蔽性に優れ、更には経時的に分離が少なく、再分散性に優れるかは定かではないが、次のように推察される。
隠蔽性については、酸化チタンとアルミノ珪酸塩の組成から生じる粒子及び粒径が酸化チタンの接近効果を抑制し隠蔽性を高くしたためである。なお、接近効果とは酸化チタンの使用量を増やしてゆくと、ある量のところで酸化チタン同士が接近し過ぎて、光の散乱領域が少なくなり、隠蔽性が減少する現象である。
経時分離については、比重の小さいアルミノ珪酸塩が比重の大きい酸化チタン同士の間に入り、酸化チタンの見掛けの比重を小さくしていることと、酸化チタン及びアルミノ珪酸塩が分散された液に平均粒径0.2μm以上のアクリル樹脂エマルションを混和することによって、液の粘度が上がり、流動性もなくなり、ゲル状になり、液全体を固定化し、経時分離を抑えている。
耐熱再分散性については、上記ゲル状のものを、モルホリンが液の吐出を良くしたり、弱い力で崩れるような弱いゲルにし、再分散性を良くしている。そして更にソジウム2−ピリジンチオール−1−オキシドがその弱いゲルの中に入り込み、耐熱性を有する液にしていると考えられる。
【0017】
【実施例】
上記各成分をボールミルにて24時間分散処理して粘度137mPa・Sの水性修正液を得た。
【0018】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度142mPa・Sの水性修正液を得た。
【0019】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度143mPa・Sの水性修正液を得た。
【0020】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度140mPa・Sの水性修正液を得た。
【0021】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度139mPa・Sの水性修正液を得た。
【0022】
上記各成分を実施例1と同様になして粘度141mPa・Sの水性修正液を得た。
【0023】
比較例1
実施例1において、モルホリン0.7重量部の代わりに水を用い、ソジウム2−ピリジンチオール−1−オキシド0.2重量部の代わりに水を用いた他は、実施例1と同様になして粘度197mPa・Sの水性修正液を得た。
【0024】
比較例2
実施例1において、ソジウム−ピリジンチオール−1−オキシド0.2重量部の代わりに水を用いた他は、実施例1と同様になして粘度136mPa・Sの水性修正液を得た。
【0025】
比較例3
実施例1においてモルホリン0.7重量部の代わりに水を用いた他は実施例1と同様になして粘度197mPa・Sの水性修正液を得た。
【0026】
比較例4
実施例1において、ビニゾール1637の代わりに、アクリル樹脂エマルションAE322(日本合成ゴム(株)製、平均粒径0.16μm)を用いた他は実施例1と同様になして137mPa・Sの水性修正液を得た。
【0027】
比較例5
実施例1において、ビニゾール1637の代わりに、アクリル樹脂のアンモニウム塩(25重量%水溶液)を用いた他は実施例1と同様になして粘度139mPa・Sの水性修正液を得た。
【0028】
比較例6
実施例2において、シペルナート820A(アルミノ珪酸塩、ドイツ国、デグッサ社製)代わりにトクシールU(無定形シリカ、徳山曹達(株)製)を用いた他は、実施例2と同様になして粘度158mPa・Sの水性修正液を得た。
【0029】
以上、実施例1〜6、比較例1〜6で得られた水性修正液について、隠蔽性、耐熱再分散性について試験を行なった。結果を表1に示す。
【0030】
・隠蔽性試験:隠蔽率試験用紙に上記水性修正液を50ミクロンのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、カラーコンピューターでY値を測定し、数1の数式に基づいて隠蔽率を求める。
【0031】
【数1】
【0032】
・耐熱再分散性試験:
▲1▼振り回数;スクリューバイアル瓶に修正液を10mlとステンレスボール入れ、50℃で2ヶ月放置後、キャップを下にして、軽く振り、ボールが動いた時の振った回数を数える。
振り回数が少ない方が再分散性が良好である。
▲2▼隠蔽率 ;更に軽く10回振り、上記隠蔽性試験で隠蔽率を測定する。
【0033】
・粘度測定方法:B型粘度計(東京計器製造所製)で測定。液の温度は、25℃。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の水性修正液は、塗布面の隠蔽性に優れ、更に耐熱再分散性に優れる水性修正液である。
Claims (1)
- 酸化チタンと、アルミノ珪酸塩と、平均粒径が0.2μm以上のアクリル樹脂エマルションと、モルホリンと、ソジウム2−ピリジンチオール−1−オキシドと、水とを少なくとも含み、粘度が100〜180mPa・Sである水性修正液。
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JP2001232902A JP4710189B2 (ja) | 2001-07-31 | 2001-07-31 | 水性修正液 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001232902A JP4710189B2 (ja) | 2001-07-31 | 2001-07-31 | 水性修正液 |
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ID=19064748
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2001232902A Expired - Lifetime JP4710189B2 (ja) | 2001-07-31 | 2001-07-31 | 水性修正液 |
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH05171078A (ja) * | 1991-12-20 | 1993-07-09 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 修正被覆剤組成物 |
JPH08143807A (ja) * | 1994-11-17 | 1996-06-04 | Pentel Kk | 水性インキ組成物 |
WO1998050473A1 (fr) * | 1997-05-07 | 1998-11-12 | Mitsubishi Pencil Kabushiki Kaisha | Encre pour stylo a bille a base d'un pigment aqueux de couleur blanche |
JP2000327960A (ja) * | 1999-05-21 | 2000-11-28 | Marujiyuu Kasei Kk | 水性修正液 |
JP2000345090A (ja) * | 1998-06-30 | 2000-12-12 | Pentel Corp | 水性顔料インキ |
-
2001
- 2001-07-31 JP JP2001232902A patent/JP4710189B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH05171078A (ja) * | 1991-12-20 | 1993-07-09 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 修正被覆剤組成物 |
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JP2000327960A (ja) * | 1999-05-21 | 2000-11-28 | Marujiyuu Kasei Kk | 水性修正液 |
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Publication number | Publication date |
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JP2003041156A (ja) | 2003-02-13 |
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