JP4709327B2 - 抄紙用合成繊維処理剤、抄紙用合成繊維の製造方法、および抄紙不織布の製造方法 - Google Patents

抄紙用合成繊維処理剤、抄紙用合成繊維の製造方法、および抄紙不織布の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、抄紙用合成繊維処理剤、抄紙用合成繊維の製造方法、および抄紙不織布の製造方法に関する。
抄紙用合成繊維としては、従来から、ビニロン、レ−ヨン、天然セルロ−ス、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル系繊維がかなり広く使用されてきた。しかし近年は、要求性能の高度化という点において、独特の柔軟な風合を有し、寸法安定性、耐熱性があり、更にはコストも安い、ポリオレフィン繊維やポリエステル繊維等の疎水性の合成繊維を原料とする抄紙用合成繊維を抄紙して得られる抄紙不織布(単に抄紙ということもある)が脚光を浴びている。
しかし、実用化されている製品は、疎水性の合成繊維自身のもつ優れた性能が十分に生かされていないのが現状である。特に抄紙工程において、市場が要求する疎水性の合成繊維の分散性を向上させ、生産速度の向上をはかり、抑泡性を有し、疎水性の合成繊維の抄紙を与えるための抄紙用合成繊維処理剤は未だに見いだされていないのが現状である。
抄紙用合成繊維処理剤として、例えば、特許文献1では、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体が開示されている。しかし、特許文献1にかかる処理剤では、低シェアの分散性が不良であり、結果的に合成繊維束の分散浴中における均一分散が不十分である。特許文献2では、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及び脂肪酸石鹸からなる混合物が開示されている。しかし、特許文献2にかかる処理剤では、抄紙工程での泡立ちが多く、発生した気泡が繊維に付着することから分散浴中における均一分散が不十分であることが問題である。
特公昭58−208500号公報 特開2004−238764号公報
このように、これらの処理剤では、現在の抄紙用合成繊維に要求される抑泡性、脱泡性、低シェアの分散性は不十分なレベルにあり、高品質の不織布が得られない。従って、抄紙法で製造する不織布において、不織布の高品質化から、抄紙用合成繊維処理剤には全ての要求特性を併せもつ処理剤が望まれている。
本発明の目的は、抄紙不織布に用いられる抄紙用合成繊維に対して、低シェアでの分散性を良好にでき、抄紙工程での気泡の発生を低下させ、優れた繊維の分散性を与えることができる抄紙用合成繊維処理剤、抄紙用合成繊維の製造方法、および抄紙不織布の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意検討した結果、特定の成分を必須成分として含む抄紙用合成繊維処理剤であれば、上記課題を解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、芳香族ジカルボン酸、炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸(誘導体)と、アルキレングリコールと、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体とを重縮合させたポリエステル化合物であるA成分と、脂肪酸とアルカノ−ルアミンとの縮合物であるB成分とを必須成分として含むものである。
前記処理剤の不揮発分に占めるA成分の割合が20〜90重量%で、B成分の割合が5〜50重量%である
前記A成分は、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成誘導体と、下記化学式(1)で表されるアルキレングリコールと、下記化学式(2)で表されるポリアルキレングリコールまたはその誘導体とを重縮合させたポリエステル化合物であることが好ましい。
Figure 0004709327
(但し、式中、Rは炭素数2〜8の脂肪族炭化水素基または炭素数2〜8の脂環族炭化水素基である。)
Figure 0004709327
(但し、式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは20〜200の整数であり、Rは水素原子、脂肪族炭化水素基または芳香族基である。)
前記B成分は、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004709327
(但し、式中、Rは炭素数7〜21の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基である。)
また、本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、炭素数が8〜22の脂肪酸石鹸であるC成分をさらに含むことが好ましい。また、前記処理剤の不揮発分に占めるA成分の割合が20〜90重量%で、B成分の割合が5〜50重量%で、C成分の割合が5〜40重量%であることが好ましい。
また、本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、前記処理剤が水をさらに含む水性液となっており、処理剤全体に占める不揮発分の割合が0.05〜50重量%であることが好ましい。
本発明の抄紙用合成繊維の製造方法は、原料合成繊維に、上記の抄紙用合成繊維処理剤を処理する工程を含むものである。
本発明の抄紙の製造方法は、上記の抄紙用合成繊維処理剤が処理された抄紙用合成繊維を水中に分散させて抄紙する工程を含むものである。
本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、抄紙に用いられる抄紙用合成繊維に対して、低シェアでの分散性を良好にでき、抄紙工程での気泡の発生を低下させ、優れた繊維の分散性を与えることができる。
本発明の抄紙用合成繊維の製造方法は、低シェアでの分散性が良好で、抄紙工程での気泡の発生を低下させ、優れた分散性を有する抄紙用合成繊維を得ることができる。
本発明の抄紙不織布の製造方法は、生産性が高く、また均一で地合いの良好な抄紙不織布を得ることができる。
湿潤時の繊維/繊維間摩擦を測定する方法の概略図。
本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、A成分およびB成分を必須成分として含むものである。以下、本発明の抄紙用合成繊維処理剤を構成する各成分を説明する。
〔A成分〕
A成分は、芳香族ジカルボン酸、炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸(誘導体)と、アルキレングリコールと、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体とを重縮合させたポリエステル化合物である。A成分は、抄紙用合成繊維に対する親和性が強く、湿潤時の繊維/繊維間摩擦が低く、また水に溶かしたときの抑泡性も有しているので、B成分と併用することにより、良好な分散性および抑泡性を付与することができる。
エステル形成性誘導体とは、カルボン酸の誘導体であって、エステル化反応やエステル置換反応等により水酸基含有化合物とカルボン酸エステルを形成できる誘導体である。エステル形成性誘導体の具体例としては、芳香族ジカルボン酸や炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル、酸無水物、アミド等が挙げられる。
ジカルボン酸(誘導体)としては特に限定はないが、たとえば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸等の炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸ジメチル、5−スルホイソフタル酸ジメチル、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等の芳香族ジカルボン酸エステルや炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらのジカルボン酸(誘導体)は、1種または2種以上を併用してもよい。ジカルボン酸(誘導体)のうちでも、芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸やイソフタル酸がさらに好ましく、テレフタル酸およびイソフタル酸の併用が特に好ましい。
アルキレングリコールとしては特に限定はないが、上記化学式(1)で表されるアルキレングリコールが好ましい。化学式(1)において、Rは炭素数2〜8の脂肪族炭化水素基または炭素数2〜8の脂環族炭化水素基である。
アルキレングリコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブチレングルコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのアルキレングリコールは、1種または2種以上を併用してもよい。
アルキレングリコールのなかでも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールが好ましく、エチレングリコールがさらに好ましい。
ポリアルキレングリコールまたはその誘導体としては特に限定はないが、上記化学式(2)で表されるポリアルキレングリコールまたはその誘導体が好ましい。ポリアルキレングリコールまたはその誘導体は、1種から構成されていてもよく、2種以上から構成されていてもよい。ここで、ポリアルキレングリコールの誘導体とは、ポリアルキレングリコール分子の2つの末端水酸基のうち片一方が有機基で封鎖されたものをいう。
化学式(2)において、Rは炭素数2〜4のアルキレン基である。即ち、(OR)部分はオキシアルキレン基であり、炭素数2であればオキシエチレン基、炭素数3であればオキシプロピレン基、炭素数4であればオキシブチレン基である。これらのオキシアルキレン基は、1種または2種以上を併用してもよい。(H(ORO)部分はポリアルキレングリコール部分であるが、2種以上のオキシアルキレンを併用する場合の結合形式は、ランダムであってもブロックであってもよい。また、ポリアルキレングリコール部分は、オキシエチレン基/オキシプロピレン基=100/0〜40/60(モル比)の割合で結合したものが好ましく、オキシエチレン基だけが結合したものがより好ましい。
化学式(2)において、Rは水素原子、脂肪族炭化水素基または芳香族基である。
脂肪族炭化水素基は直鎖状であっても分岐していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜22(好ましくは1〜12)のアルキル基を挙げることができる。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基、ベヘニル基等を挙げることができる。
一般式(2)のRにおける芳香族基とは、本発明においては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素を含有する有機基を意味し、含有する芳香族炭化水素の数は1つ以上であればよい。Rが芳香族基の場合、一般式(2)において酸素原子と結合するRの部位は、芳香族炭化水素部分であってもよく、そうでなくてもよい。芳香族基としては、たとえば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、スチレン化フェニル基、フェニルエチル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基、ベンジル基、ベンジル化フェニル基、ジベンジル化フェニル基、トリベンジル化フェニル基等を挙げることができる。
一般式(2)のRとしては、アルキル基または芳香族基が好ましい。
化学式(2)において、nは20〜200の整数であり、好ましくは40〜150であり、さらに好ましくは50〜100である。nが20未満であると、親水性が不足し、水に分散させることが困難になり繊維に均一に給油しにくくなることがある、一方、nが200超であると、合成繊維への親和性が弱くなり、湿潤時の繊維/繊維間摩擦が高くなり、良好な分散性を付与できなくなることがある。ここで、ポリアルキレングリコールの誘導体の具体例としては、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル(平均分子量:3000)、ポリエチレングリコール(平均分子量2000)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量:1000)などがあげられる。
A成分である上記ポリエステル化合物を製造する場合のジカルボン酸(誘導体)、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールまたはその誘導体の比率(モル比)について、[ジカルボン酸(誘導体)/アルキレングリコール]の比率(モル比)は20/80〜60/40の範囲内であるのが好ましく、30/70〜50/50がより好ましく、40/60〜50/50がさらに好ましい。ジカルボン酸(誘導体)とアルキレングリコールの比率がこの範囲であることにより、反応が進みやすくまた、反応後の未反応物が少なくなる。
また、[ジカルボン酸(誘導体)/ポリアルキレングリコールまたはその誘導体]の比率(モル比)は100/2〜100/100の範囲内であることが好ましく、100/2〜100/50がより好ましく、100/2〜100/20がさらに好ましい。ジカルボン酸(誘導体)とポリアルキレングリコールまたはその誘導体の比率がこの範囲であることにより、容易に水に分散させることができ取扱性が良好で、合成繊維への親和性が良好で、湿潤時の繊維/繊維間摩擦が低くなり、良好な分散性を付与できる。
ポリエステル化合物を製造する反応は、当該分野において公知の方法および条件を適宜選択して行うことができる。また、反応圧については、常圧で行ってもよく、減圧で行ってもよい。
本発明の抄紙用合成繊維処理剤の不揮発分に占めるA成分の割合は、20〜90重量% であり、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%である。A成分の割合がこの範囲であることにより、湿潤時の繊維/繊維間の摩擦を低くでき、良好な分散性を付与できる。なお、本発明の抄紙用合成繊維処理剤の不揮発分とは、水分などを除くための熱乾燥工程後においても繊維表面に残存する抄紙用合成繊維処理剤中の成分を意味し、一般的には110℃、30分間の熱処理条件において揮発せずに残存した成分を意味する。
〔B成分〕
B成分は、脂肪酸とアルカノールアミンを縮合することによって得られる縮合物である。B成分を構成する脂肪酸は、炭素数8〜22の脂肪酸であり、好ましくは炭素数12〜22の脂肪酸であり、さらに好ましくは炭素数16〜22の脂肪酸である。B成分は、A成分と併用することにより、良好な分散性および抑泡性を付与することができ、特に抄紙工程で良好な抑泡性、消泡性を付与できる。なお、ここで、炭素数8〜22とは、B成分を構成する脂肪酸の炭素数が8〜22であるという意味である。
B成分を構成する脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸およびベヘン酸などがあげられる。これらの脂肪酸のなかでも、B成分を構成する脂肪酸がステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸であると、抑泡性、消泡性と水に対する水溶性のバランスが良いという点で好ましい。B成分を構成する脂肪酸は、1種から構成されていてもよく、2種以上から構成されていてもよい。
B成分を構成するアルカノールアミンの具体例としては、モノメタノールアミン、ジメタノールアミン、モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、モノイソプロパノ−ルアミン等が挙げられる。これらのアルカノールアミンのなかでもジエタノ−ルアミンであると、抑泡性、消泡性と水に対する水溶性のバランスが良いという点で好ましい。B成分を構成するアルカノールアミンは、1種から構成されていてもよく、2種以上から構成されていてもよい。
B成分としては、たとえば、上記化学式(3)で示される脂肪酸アミドが挙げられる。式(3)において、Rは炭素数7〜21の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基である。
の炭素数は7〜21であり、11〜21が好ましく、15〜21が特に好ましい。Rの炭素数が7未満であると、抄紙工程で十分な抑泡性、消泡性を示さないことがあり、その場合良好な分散性が得られないことがある。一方、Rの炭素数が21超であると、水に対する水溶性が悪くなり取扱い性が損なわれることがあり、さらにはコストアップになり実用に適さない。Rは直鎖状であっても分岐していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。Rとしては、たとえば、エナンチル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、マルガリル基、プリスタン基、cis−9−ヘプタデセニル基等を挙げることができる。これらのうちでも、Rとしては、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、マルガリル基、プリスタン基が好ましく、マルガリル基が特に好ましい。
のヒドロキシアルキル基は、直鎖状であっても分岐していてもよい。Rのヒドロキシアルキル基の炭素数は、1〜3が好ましく、1〜2がさらに好ましい。Rの炭素数が4超であると縮合反応性が低く、縮合物の回収率が悪くなることがある。
としては、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のヒドロキシアルキル基がさらに好ましい。Rの炭素数が4超であると縮合反応性が低く、縮合物の回収率が悪くなることがある。
上記B成分を製造する場合、脂肪酸及びアルカノールアミンの比率(モル比)は、脂肪酸/アルカノールアミン=3/1〜1/3の範囲内であるのが好ましい。
上記B成分を製造する反応は、当該分野において公知の方法および条件を適宜選択して行うことができる。また、反応圧については、常圧で行ってもよく、減圧で行ってもよい。
本発明の抄紙用合成繊維処理剤の不揮発分に占めるB成分の割合は、5〜50重量%で あり、好ましくは5〜30重量%であり、より好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは5〜15重量%である。B成分の割合がこの範囲であることにより、抄紙工程で十分な抑泡性、消泡性を付与でき、また湿潤時の繊維/繊維間の摩擦を低くでき、そのため良好な分散性を付与できる。
〔C成分〕
本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、上記のA成分およびB成分に加え、さらに炭素数が8〜22の脂肪酸石鹸であるC成分をさらに含むことが好ましい。C成分は、脂肪酸を塩基で中和することによって得られるものである。C成分を含むことにより、抄紙用合成繊維に対して、低シェアでさらに良好な分散性を付与できる。
C成分は、炭素数8〜22の脂肪酸石鹸であり、好ましくは炭素数12〜22の脂肪酸石鹸であり、さらに好ましくは炭素数16〜22の脂肪酸石鹸である。なお、ここで、炭素数とは脂肪酸石鹸を構成する脂肪酸の炭素数を意味する。
C成分を構成する脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸およびベヘン酸などがあげられる。これらの脂肪酸のなかでも、C成分を構成する脂肪酸がステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸であると、分散性と水に対する水溶性のバランスが良いという点で好ましい。C成分を構成する脂肪酸は、これらの脂肪酸のうちの1種から構成されていてもよく、2種以上から構成されていてもよい。C成分としては、たとえば、下記化学式(4)で示される脂肪酸石鹸が挙げられる。
Figure 0004709327
(但し、上記化学式(4)において、Rは炭素数7〜21の脂肪族炭化水素基であり、Mn+は陽イオンであり、nは1以上の整数である。)
上記化学式(4)において、Mn+としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属やカルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属が挙げられる。これらのうちで、好ましくは、アルカリ金属であり、さらに好ましくはナトリウム、カリウムである。
の炭素数は、7〜21であり、好ましくは11〜21、特に好ましくは15〜21である。Rの炭素数が7未満であると、抄紙工程で気泡が発生することから良好な分散性が得られないことがある。一方、Rの炭素数が21超であると、濡れ性および低シェアでの分散性が悪くなることがある。さらには、コストアップになり実用に適さない。また、Rは直鎖状であっても分岐していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。Rとしては、たとえば、エナンチル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、マルガリル基、プリスタン基、cis−9−ヘプタデセニル基等を挙げることができる。これらのうちでも、Rとしては、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、マルガリル基、プリスタン基が好ましく、マルガリル基が特に好ましい。
C成分を含む場合の本発明の抄紙用合成繊維処理剤の不揮発分に占めるC成分の割合は、5〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは5〜15重量%である。C成分の割合がこの範囲にあることにより、抄紙工程で良好な低シェアの分散性を付与できる。
C成分の製造方法については、特に限定はなく、たとえば、炭素数8〜22の脂肪酸を塩基で中和して製造できる。
〔その他の成分〕
本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、前述の成分を分散あるいは乳化した水を含む水性液であることが好ましい。本発明に使用する水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。水を含有する水性液の場合、処理剤全体に占める不揮発分の割合は、0.05〜50重量%が好ましく、0.5〜40重量%がより好ましく、1〜30重量%がさらに好ましい。
本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、前述の成分を分散あるいは乳化した水性液とするため、また付着時の濡れ特性を向上させるため、補助的に添加剤を併用することができる。かかる目的のために用いることのできる添加剤としては、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの共重合物誘導体、ポリオキシエチレン(以下POEと略記する)アルキルエーテル、POEアルキルエステル等の非イオン界面活性剤、アルキルサルフェート(塩)、アルキルスルホネート(塩)、アルキルホスフェート(塩)等のアニオン界面活性剤が挙げられる。これらの添加剤を併用する場合も含め、本発明の処理剤の水性液の作製に際しては適宜に有機溶媒を使用することもできる。また、抄紙用合成繊維処理剤の不揮発分に占めるこれらの添加剤の割合は特に限定はないが、50重量%未満が好ましく、20重量%未満がより好ましく、10重量%未満がさらに好ましい。
また、本発明の抄紙用合成繊維処理剤には、必要に応じて、抗菌剤、酸化防止剤、防腐剤、艶消し剤、顔料、防錆剤、芳香剤等がさらに含まれていてもよい。
本発明の抄紙用合成繊維処理剤の不揮発分濃度が1%に調整された水エマルションは、40℃に加熱した場合に析出物が生じないエマルションであることが好ましい。また、アニオン界面活性剤およびカチオン界面活性剤を同時に含有しないことが好ましい。
〔抄紙用合成繊維処理剤の製造方法〕
本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、A成分およびB成分、場合によってはさらにC成分を混合し、必要に応じてその他成分を混合することによって製造できる。それぞれの成分の混合順序については特に限定はなく、また、これら成分を室温(20〜25℃)で混合してもよく、加温(20℃〜80℃)して混合してもよい。
A成分の形態には水性液、ペースト状、粉体状およびブロック状等があるが、取り扱い性の上からは水性液が好ましい。B成分の形態には水性液、粉体状およびブロック状等があるが、取り扱い性の上からは水性液が好ましい。C成分の形態には水性液、粉体状およびブロック状等があるが、取り扱い性の上からは水性液が好ましい。したがって、本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、A成分を含む水性液およびB成分を含む水性液、場合によってはさらにC成分を含む水性液を混合し、必要に応じてその他成分を混合して製造することが好ましい。
A成分を含む水性液の濃度としては、例えば10〜40重量%であり、B成分を含む水性液の濃度としては、例えば20〜100重量%であり、C成分を含む水性液の濃度としては、例えば20〜50重量%である。
本発明の抄紙用合成繊維処理剤を構成する各成分は、その水性液(少なくとも10重量%以上)が水に室温(20〜25℃)または必要に応じて加温(20℃〜80℃)して溶解・混合し、均一安定なエマルションとなる成分である。従って、抄紙用合成繊維処理剤を合成繊維に付与するような製造現場において、各成分の水性液を室温または加温して溶解・混合し、安定なエマルションである抄紙用合成繊維処理剤を調製することもできる。
本発明の抄紙用合成繊維処理剤を製造するための原料を取扱、保管、運搬等する場合、A成分およびB成分、場合によってはC成分を共存させても、得られる本発明の抄紙用合成繊維処理剤の製品安定性は良好であり問題はない。この場合、これら成分の配合品の高濃度品の水性液としては、具体的には50重量%以下の水性液の調製が可能である。もちろん、A成分、B成分、C成分を混合せずに、別々に分けておいてもよい。
〔抄紙用合成繊維の製造方法〕
本発明の抄紙用合成繊維の製造方法は、原料合成繊維に、本発明の抄紙用合成繊維処理剤を処理する工程を含むものである。ここで、原料合成繊維とは、抄紙用合成繊維処理剤が処理されていない合成繊維をいう。抄紙用合成繊維とは、抄紙工程で使用できるよう所定の長さに切断された短繊維をいう。本発明の抄紙用合成繊維の製造方法によって得られる抄紙用合成繊維は、本発明の抄紙用合成繊維処理剤が処理された短繊維であるので、抄紙を製造する際の抄紙する工程で、水に低シェアで分散され、気泡が抑制される。
(原料)合成繊維については、特に限定はなく、たとえば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、これらの2種以上のポリマーを用いた複合合成繊維等を挙げることができる。なかでも、合成繊維がポリエステル繊維であると、本発明の抄紙用合成繊維処理剤と繊維との親和性が高い点で好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維であるとさらに好ましい。繊維の単糸繊度は0.01〜2dtexが好ましく、繊維長は0.5〜25mmが好ましい。とりわけ裁断された繊維長が5mm以上で繊度が1.0デニール以下の抄紙用ポリエステル系繊維に適用する場合に特に有効である。なお、ポリエステル繊維とはポリエチレンテレフタレート繊維のほかに、ポリ乳酸(PLA)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリアリレート繊維等エステル結合を形成する反応によって縮合させた高分子からなる繊維を意味する。
原料合成繊維に抄紙用合成繊維処理剤を処理する工程としては、抄紙用合成繊維を用いて抄紙する工程に入る前までに処理されていれば特に限定はない。一般に、抄紙用合成繊維(短繊維)は、紡糸工程、延伸工程、仕上工程、巻縮工程、切断工程を経て製造されるが、原料合成繊維に対して、抄紙用合成繊維処理剤を紡糸工程、延伸工程および仕上工程から選ばれる少なくとも1つの工程で処理してもよく、巻縮工程及びその前後、切断工程及びその前後等で処理してもよい。処理方法(給油方法)としては、特に限定は無く、公知の方法を採用できる。例えば、紡糸工程、延伸工程、仕上工程で処理する場合は、ローラータッチ法、スプレー法、浸漬法等の通常の処理方法(給油方法)で行うことができる。
抄紙用合成繊維処理剤の不揮発分の付着量は、抄紙用合成繊維に対して、0.05〜2重量%が好ましく、0.1〜1重量%がさらに好ましい。付着量が0.05重量%未満では分散性が不十分となることがあり、2重量%を超えると抄紙工程で分散槽の泡立ちが増加することがある。
〔抄紙不織布の製造方法〕
本発明の抄紙不織布の製造方法は、本発明の抄紙用合成繊維処理剤が処理された抄紙用合成繊維を水中に分散させて抄紙する工程(抄紙工程ということもある)を含むものである。該抄紙用合成繊維は、抄紙工程において、攪拌・分散時、繊維同士が絡みにくく、速やかに単繊維に分散し、安定分散性も良好である。
抄紙工程としては、常法の湿式抄紙工程を採用できる。湿式抄紙工程としては、上記工程で抄紙用合成繊維処理剤が処理された抄紙用合成繊維(短繊維)をパルパーに投入して水中で攪拌・分散し、懸濁させる。この時、水に低シェアで分散され、気泡が抑制されるので、繊維が均一に分散することで、地合いの良好な抄紙を得ることができる。次に、抄き網に供給し、湿紙とする。そして、湿紙を乾燥させる乾燥工程を経て、ロール状に巻取り、湿式抄紙不織布を得る。抄き網は円網、短網が一般的であるが、長網、ロトフォーマー、ハイドロフォーマー、パーチフォーマーなどでも構わない。乾燥工程は複数の回転加熱ローラー式(多筒式)あるいはヤンキードラム式のいずれでも構わない。
また、本発明の抄紙不織布の製造方法は、抄紙工程で、原料合成繊維または抄紙用合成繊維を上記の抄紙用合成繊維処理剤を含む水中に分散させて抄紙してもよい。
本発明の抄紙不織布の製造方法によれば、抄紙用合成繊維に対して、低シェアでの分散性を良好にでき、抄紙工程での気泡の発生を低下させ、優れた繊維の分散性を与えることができることから、製造速度が速くなりコスト削減につながるだけでなく、均一で地合いの良好な抄紙不織布が得られる。
本発明の製造方法で得られる抄紙不織布は、周知の様々な分野に利用される。特にワイパー、エアーフィルター、液体フィルター、電池セパレーター、人工皮革用基布、紙おむつ、ティーバッグ、包装材料として最適である。
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における評価項目と評価方法は以下の通りである。以下では、「%」はいずれも「重量%」を表す。
表1中の数値はいずれも抄紙用合成繊維処理剤に含まれる不揮発分の割合(成分A1、成分A2および成分A3では、下記に示すようにそれぞれの水分散液として得られているが、水を除いたそれぞれの不揮発分の割合を表1では示している)を示している。
表1に記載した各成分は下記の通りである。
成分A1:ジメチルテレフタレートとジメチルイソフタレートとをモル比80:20で合計25重量部、エチレングリコール20重量部およびポリエチレングリコールモノフェニルエーテル(平均分子量:3000)55重量部とを混合し、触媒として少量の酢酸亜鉛とチタンテトラブトキシドを加えて、常圧下175〜200℃で180分間反応させて、ほぼ理論量のメタノールを留去し、エステル交換反応を完了させた。次いで、230℃に昇温して1時間ほど反応させた後、0.5mmHgに減圧して230〜260℃において20分間、続いて0.1〜0.5mmHgで275℃において40分間反応させ、得られた重合体(平均分子量7000)を直ちに温水に撹絆しながら投入して成分A1の水分散液を得た。得られた水分散液中の成分A1の濃度は20重量%であった。
成分A2:ジメチルテレフタレートとジメチルイソフタレートと5−スルホイソフタル酸ジメチルをモル比75:20:5で合計25重量部、エチレングリコール10重量部、ジエチレングリコール20重量部およびポリエチレングリコール(平均分子量2000)55重量部とを混合し、触媒として少量の酢酸亜鉛とチタンテトラブトキシドを加えて、常圧下175〜200℃において180分間反応させて、ほぼ理論量のメタノールを留去し、エステル交換反応を完了させた。次いで、230℃に昇温して1時間ほど反応させた後、0.5mmHgに減圧して230〜260℃において20分間、続いて0.1〜0.5mmHgで275℃において40分間反応させ、得られた重合体(平均分子量5000)を直ちに温水に撹絆しながら投入して成分A2の水分散液を得た。得られた水分散液中の成分A2の濃度は20重量%であった。
成分A3:ジメチルテレフタレートとジメチルイソフタレートとをモル比80:20で合計28重量部、エチレングリコール7重量部およびポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量:1000)65重量部とを混合し、触媒として少量の酢酸亜鉛とチタンテトラブトキシドを加えて、常圧下175〜200℃で180分間反応させて、ほぼ理論量のメタノールを留去し、エステル交換反応を完了させた。次いで、230℃に昇温して1時間ほど反応させた後、0.5mmHgに減圧して230〜260℃において20分間、続いて0.1〜0.5mmHgで275℃において40分間反応させ、得られた重合体(平均分子量7000)を直ちに温水に撹絆しながら投入して成分A3の水分散液を得た。得られた水分散液中の成分A3の濃度は20重量%であった。
成分B1:ラウリン酸とジエタノールアミンとの縮合物
成分B2:ステアリン酸とジエタノールアミンとの縮合物
成分B3:ミリスチン酸とジエタノールアミンとの縮合物
成分C1:ラウリン酸カリウム
成分C2:ステアリン酸ナトリウム
成分C3:オレイン酸カリウム
成分C4:ベヘン酸ナトリウム
成分D1:POEパルミチン酸モノエステル MW:2500
Figure 0004709327
(実施例1〜16および比較例1〜7)
(1)エマルションの調製
表1に示す各成分および水を混合して、抄紙用合成繊維処理剤全体に占める不揮発分の重量割合が20重量%の実施例1〜16、比較例1〜7の抄紙用合成繊維処理剤をそれぞれ調製した。得られた抄紙用合成繊維処理剤をそれぞれ25〜60℃の温水で不揮発分の重量割合が0.4重量%の濃度になるよう水で希釈してエマルションを調製した。得られたエマルションを用いて、下記評価方法の(2)に従って評価した。その結果を表2に示す。
(2)湿潤時の繊維/繊維間摩擦(F/F摩擦)試験
図1のように、カット直前のトウを脱脂したポリエステルフィラメント(150d/48f)(1)をプーリー(2〜6)に通して図1に示すようにセットした。Uゲージ(7)に結びつけたフィラメントの一端を3cm/min.の速度で引っ張ることによって、上記(1)で作製したエマルションでフィラメントを浸し加撚部分の繊維間の最大摩擦力(g)を測定した。測定の雰囲気は全て20℃×65%RHとした。
(3)抄紙性評価用ポリエチレンテレフタレート短繊維
給油綿の作製においては、原料繊維(繊度1.3dtex、長さ5mmのポリエチレンテレフタレート短繊維)10gに対して、評価対象の抄紙用合成繊維処理剤の不揮発分が付着処理後の繊維の0.2重量%になるように、上記(1)で調製したエマルション5gをスプレーで付着させ、80℃の温風乾燥機の中で1時間乾燥した。乾燥後に得られたポリエチレンテレフタレート短繊維(抄紙用合成繊維)を、それぞれ、評価環境条件下で温湿度調節させた後、下記評価方法の(4)〜(7)に従って評価した。その結果を表2に示す。
(4)低シェア分散性試験
500mlビーカーにイオン交換水500gを採取し、その中に試験用繊維1.00gを入れ、プロペラ撹拌機(回転数100rpm)で1分間攪拌する。攪拌停止後、1分後の繊維の分散状態を次の判定基準で目視判定し、繊維の低シェア分散性の指標とした。
<判定基準>
◎:低シェア分散性が非常に良好で、繊維が均一に分散している。
○:低シェア分散性が良好であるが、繊維束が一部に認められる。
△:低シェア分散性がやや良好で、繊維束が多く認められる。
×:低シェア分散性が不良で、繊維束が著しく多く認められる。
(5)抑泡性試験
500mlビーカーにイオン交換水500gを採取し、その中に試験用繊維1.00gを入れ、プロペラ撹拌機(回転数1000rpm)で10分間攪拌する。攪拌停止後の泡立ち状態を次の判定基準で目視判定し、抑泡性の指標とした。
<判定基準>
◎:全く泡が立っていない状況で非常に良好である。
○:泡立ちの程度が微量でほとんど泡が立っていない状況で良好である。
△:泡立ちが発生している状況でやや良好である。
×:泡立ちが激しく発生している状況で著しく不良である。
(6)脱泡性試験
500mlビーカーにイオン交換水500gを採取し、その中に試験用繊維1.00gを入れ、プロペラ撹拌機(回転数1000rpm)で10分間攪拌する。攪拌停止後、再びプロペラ撹拌機(回転数100rpm)で1分間攪拌する。攪拌停止後、繊維に付着した気泡の状況を次の判定基準で目視判定し、脱泡性の指標とした。
<判定基準>
◎:繊維に付着した気泡が全く認められない状況で非常に良好である。
○:繊維に付着した気泡がほとんど認められない状況で良好である。
△:繊維に付着した気泡が一部に認められやや良好である。
×:繊維に付着した気泡が明らかに認められ著しく不良である。
(7)分散性試験
500mlビーカーにイオン交換水500gを採取し、その中に試験用繊維1.00gを入れ、プロペラ撹拌機(回転数1000rpm)で10分間攪拌する。攪拌停止後の繊維の分散状況を次の判定基準で目視判定し、分散性の指標とした。
<判定基準>
◎:分散性が非常に良好で、繊維が均一に分散している。
○:分散性が良好であるが、繊維束が一部に認められる。
△:分散性がやや良好で、繊維束が多く認められる。
×:分散性が不良で、繊維束が著しく多く認められる。
Figure 0004709327
表2から明らかなように、比較例1〜7の従来の抄紙用合成繊維処理剤を用いた抄紙用合成繊維に比べ、実施例1〜16の本発明の抄紙用合成繊維処理剤を給油した抄紙用合成繊維束は、合成繊維束から抄紙を製造する際の抄紙工程において、湿潤時の繊維/繊維間の摩擦が低いことから、繊維同士が絡みにくい。また、低シェアでの分散性が良好なことから、速やかに単繊維に分散する。さらに、抑泡性、脱泡性が良好であることから、繊維に起泡性が少なく、繊維に付着する気泡がないので、安定分散性も良好である。この抄紙用合成繊維処理剤を付与すれば、抄紙不織布の高品質化及び高速化が求められている抄紙工程に好適な抄紙用合成繊維を得ることができる。また、抄紙用合成繊維を用いることにより、均一で地合いの良好な抄紙不織布を得ることができる。
本発明の抄紙用合成繊維処理剤は、優れた分散性を有する抄紙用合成繊維を得るときに好適に用いられる。本発明の抄紙用合成繊維の製造方法は、優れた分散性を有する抄紙用合成繊維を得るときに好適である。本発明の抄紙不織布の製造方法は、均一で地合の良好な抄紙不織布を得るときに好適である。
1:ポリエステルフィラメント
2〜6:プーリー
7:Uゲージ
8:記録計
9:荷重(20g)

Claims (8)

  1. 芳香族ジカルボン酸、炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸(誘導体)と、アルキレングリコールと、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体とを重縮合させたポリエステル化合物であるA成分と、脂肪酸とアルカノ−ルアミンとの縮合物であるB成分とを必須成分として含み、
    処理剤の不揮発分に占める前記A成分の割合が20〜90重量%で、前記B成分の割合が5〜50重量%である、抄紙用合成繊維処理剤。
  2. 前記A成分が、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成誘導体と、下記化学式(1)で表されるアルキレングリコールと、下記化学式(2)で表されるポリアルキレングリコールまたはその誘導体とを重縮合させたポリエステル化合物である、請求項1記載の抄紙用合成繊維処理剤。
    Figure 0004709327
    (但し、式中、Rは炭素数2〜8の脂肪族炭化水素基または炭素数2〜8の脂環族炭化水素基である。)
    Figure 0004709327
    (但し、式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは20〜200の整数であり、Rは水素原子、脂肪族炭化水素基または芳香族基である。)
  3. 前記B成分が、下記一般式(3)で表される化合物である、請求項1または2に記載の抄紙用合成繊維処理剤。
    Figure 0004709327
    (但し、式中、Rは炭素数7〜21の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基である。)
  4. 炭素数が8〜22の脂肪酸石鹸であるC成分をさらに含む、請求項1〜のいずれかに記載の抄紙用合成繊維処理剤。
  5. 前記処理剤の不揮発分に占めるA成分の割合が20〜90重量%で、B成分の割合が5〜50重量%で、C成分の割合が5〜40重量%である、請求項に記載の抄紙用合成繊維処理剤。
  6. 前記処理剤が水をさらに含む水性液となっており、処理剤全体に占める不揮発分の割合が0.05〜50重量%である、請求項1〜のいずれかに記載の抄紙用合成繊維処理剤。
  7. 原料合成繊維に、請求項1〜のいずれかに記載の抄紙用合成繊維処理剤を処理する工程を含む、抄紙用合成繊維の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の抄紙用合成繊維処理剤が処理された抄紙用合成繊維を水中に分散させて抄紙する工程を含む、抄紙不織布の製造方法。
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