JP4708766B2 - 耐アルカリ性および表面性が良好な熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

耐アルカリ性および表面性が良好な熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Description

本発明は、平滑性および表面性を要求される製品を成形するために用いられる熱可塑性樹脂組成物と、該樹脂組成物を用いて成形される射出成形品(特に、食器類用品)に関する。
食器類および食器類等の運搬用に使用されるお盆等の食器類用品としては、従来、熱硬化性樹脂を用い、SMC法により成形された食器類用品が使用されているが、環境意識が高まるなか、熱可塑性樹脂を使用した食器類用品への要望が高まっている。
一般に、ポリプロピレン系樹脂を用いた食器類用品は耐熱性に課題があり、ポリカーボネート系樹脂を用いた食器類用品では、ビスフェノールAに代表される環境ホルモンの溶出の課題があった。このようななか、無機充填材にて補強された熱可塑性ポリエステル系樹脂(とりわけ、ポリエチレンテレフタレート)を用いた食器類用品の検討がなされている。
熱可塑性樹脂の剛性および耐熱性を高める目的で、様々な無機充填剤、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカーなどの繊維状無機物、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、カオリンなどの粒子状無機物などの配合が行われている。しかし、ガラス繊維やガラスビーズ等のガラス素材を使用した成形品を焼却する際に焼却炉内にガラスが融着するなど、廃棄処理において課題があった。さらに、繊維状無機物を用いる場合、射出成形時に繊維状無機物配向により異方性が生じるため成形体の反り発生するとともに、多量の繊維状無機物を添加する事による表面外観が損なわれる等の問題がある。また、一般的な粒子状無機物を用いる場合は、異方性による反り発生は低減されるものの所定の剛性を得ようとした場合に、繊維状無機物に比べ多量の添加量を必要とするが、繊維状無機物の添加に比べ、機械的強度や荷重たわみ温度の上昇効果が低く、また比重の増加などの問題がある。このような粒子状無機物の配合における欠点は、分散不良や分散粒子サイズが大きすぎることに起因するものと考えら、粒子状無機物を熱可塑性樹脂中に微分散化する種々の技術か検討されている。
粒子状無機物の中でも、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に微分散化する試みとして、層電荷が0.2から1.0であり底面間隔が初期の5倍以上に拡大された層状無機充填剤と熱可塑性ポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物に関する発明(例えば、特許文献1)、結晶性熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩が分子レベルの結晶核としてアスペクト比20以上で分散された樹脂組成物に関する発明(例えば、特許文献2)、熱可塑性樹脂中に平均層厚が25〜1000Åでアスペクト比が20〜300である層状珪酸塩が分散された樹脂組成物に関する発明(例えば、特許文献3)が開示されている。
しかし、上記技術においても、無機充填剤の配向による反りの改善,剛性化の効率化により無機物の添加量低減が図れるものの、微分散化に関わるコストのため、非経済的であり、使用できる製品が限られるという問題が依然としてあった。
また、熱可塑性ポリエステル系樹脂のうちポリエチレンテレフタレートは、アルカリ性溶液により加水分解が促進されるため、耐アルカリ性の要求の高い場合には使用できない等の問題があった。
特開平7−26123号公報 特開平9−183910号公報 特開平9−124836号公報
本発明の目的は、このような従来の問題を改善し、押出機による造粒過程において、容易に無機物を分散することが出来、さらに効率的に高剛性化、高耐熱化され、表面外観が良好で、かつ、耐アルカリ性を高めた熱可塑性樹脂組成物、およびと該樹脂組成物を用いて成形される食器類用品の射出成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成する為に鋭意検討した結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂、またはポリブチレンテレフタレート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ化した熱可塑性樹脂組成物中に、粒径1μm未満の極微小無機粒子および粒径1〜100μmの比較的大きな無機粒子を混在させることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1は、
無機充填剤を含んでなる熱可塑性樹脂組成物であって、
無機充填剤が粒径1〜100μmのものおよび1μm未満のものから構成され、さらに粒径1μm未満の無機充填剤が下記(a)および(b)のうち少なくとも一つを満たし、かつ下記(c)および(d)のうち少なくとも一つを満たし、
かつ、熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂、またはポリブチレンテレフタレート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイであることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物に関する。
(a)等価面積円直径[D]が300nm以下である無機充填剤の比率が20%以上であること。
(b)等価面積円直径[D]の平均値が、500nm以下であること。
(c)層厚み[T]が200nm以下であること。
(d)層厚み[T]の平均値が、50nm以下であること。
好ましい実施形態としては、
(1)熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイであって、ポリブチレンテレフタレート系樹脂の混合比率が、重量比として60wt% 以上であることを特徴とする、
(2)熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとのアロイであることを特徴とする、
(3)熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとのアロイであることを特徴とする、
(4)粒径1μm未満の無機充填剤が、スメクタイト族粘土、膨潤性雲母から選ばれる1種類以上の層状珪酸塩である事を特徴とする、
(5)層状珪酸塩が、ポリエーテル処理粘土であることを特徴とする、
上記記載の熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明の第2は、上記記載の熱可塑性樹脂組成物を使用することを特徴とする射出成形品に関する。好ましい実施形態としては、上記記載の熱可塑性樹脂組成物を使用することを特徴とする食器類用品、さらに好ましくは、上記記載の熱可塑性樹脂組成物をしようすることを特徴とする食器類および食器用お盆に関する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一般的な無機充填剤のみの組合せに比べ、効率的に曲げ弾性率および荷重たわみ温度を高めることができる。
それにより、繊維状充填剤を使用せずに、また、従来の無機充填剤よりも少ない量で、高い剛性および耐熱性を得ることができ、かつ、寸法性や反り変形性および表面外観が良好であり、かつ、耐アルカリ溶液性を向上した成形品を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の熱可塑性樹脂とは、ポリブチレンテレフタレート樹脂単体、または、ポリブチレンテレフタレート樹脂に対して他の熱可塑性樹脂をとアロイ化したものである。
本発明において、熱可塑性樹脂として、ポリブチレンテレフタレート樹脂単体を用いることにより、アルカリ溶液性に対する耐久性を向上することができる。または、ポリブチレンテレフタレート樹脂に対して他の熱可塑性樹脂をアロイ化したものを用いることにより、上記アルカリ溶液性に対する耐久性を維持しながら高い表面光沢性を得ることができる。
本発明におけるアロイ化される他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、非結晶性樹脂として、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロポリオレフィン樹脂等が挙げられ、結晶性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテルサスホン樹脂等が挙げられる。中でも、本発明におけるアロイ化される他の熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。
本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート系樹脂は、成形工程における成形流動性および最終製品の諸物性を考慮して選択され、分子量は低すぎても高すぎても好ましくなく、適した分子量を設定する必要がある。すなわち、ポリブチレンテレフタレート樹脂の分子量は、フェノール/テトラクロロエタン(5/5重量比)混合溶媒を用いて、25℃で測定した対数粘度が0.3〜2.0(dl/g)であり、好ましくは0.35〜1.9(dl/g)であり、更に好ましくは0.4〜1.8(dl/g)である。対数粘度が0.3(dl/g)未満である場合、得られる樹脂成形体の強度が低い傾向があり、また、2.0(dl/g)より大きい場合は成形時の流動加工性に問題を生じる場合がある。
本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂は、必要に応じ、ポリブチレンテレフタレートを100重量%とした場合、好ましくは、20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の割合で、他の成分を共重合することができる。共重合の成分としては、公知の酸成分、アルコール成分および/またはフェノール成分、あるいは、エステル形成能を持つこれらの誘導体が使用できる。
共重合可能な酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。共重合可能な酸成分の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4‘−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いられる。これらのなかでも、得られた樹脂の物性、取り扱い性および反応の容易さに優れるという理由から、テレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレンジカルボン酸が好ましい。
共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまたは、フェノール、及びエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。 共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分の具体例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2‘−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール、などの化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルが挙げられる。これらの中でも、得られた樹脂の物性、取り扱い性、反応の容易さに優れるという理由から、エチレングリコールおよびブタンジオールが好ましい。
さらに、ポリアルキレングリコール単位を一部共重合させてもよい。ポリオキシアルキレングリコールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、および、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中では、共重合時の熱安定性が良好で、かつ、本発明の樹脂組成物から得られる成形品の耐熱性があまり低下しにくい等の理由から、分子量500〜2000のビスフェノールAのポリエチレングリコール付加物が好ましい。
本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸化合物および/またはジカルボン酸のエステル形成性誘導体を主成分とする酸成分、及びジオール化合物および/またはジオール化合物のエステル形成性誘導体を主成分とするジオール成分との反応により得られる従来公知の任意の熱可塑性ポリエステル樹脂である。
前記主成分とするとは、酸成分又はジオール成分中に占めるそれぞれの割合が80%以上、さらには90%以上であることを意図し、上限は100%である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチルテレフタレート、ネオペンチルテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、これらの樹脂の製造に使用される酸成分および/またはジオール成分を2種以上用いて製造した共重合ポリエステルが挙げられる。
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂の中では、強度、弾性率、コスト、表面性等の点から、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートが好ましい。さらには、表面光沢の向上の点からはポリトリメチレンテレフタレートが好ましい。
また、本発明においては、バージン樹脂材の他に、成形・使用後のリサイクル樹脂組成材を用いることができる。すなわち、例えば、ポリエチレンテレフタレートのバージン樹脂材の他に、回収された使用済みペットボトルを粉砕したものを単独あるいは併用して用いることができる。
本発明において、熱可塑性樹脂がポリブチレンテレフタレートと他の熱可塑性樹脂とをアロイ化されたものである場合、他の熱可塑性樹脂の混合量の下限値は、ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、好ましくは10重量部であり、さらに好ましくは20重量部であり、特に好ましくは25重量部である。配合量の上限値は、代表的には50重量部であり、好ましくは40重量部であり、より好ましくは35重量%であり、更に好ましくは33重量%である。他の熱可塑性樹脂の配合量が20重量部未満では耐アルカリ溶液性は良好であるものの、表面光沢が若干不足する場合がある。一方、他の熱可塑性樹脂の混合量が50重量部を越えると、耐アルカリ溶液性が低下する傾向がある。
ポリブチレンテレフタレートと他の熱可塑性樹脂をアロイ化された樹脂を得る方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、種々の一般的な混錬機を用いて溶融混錬する方法が挙げられる混錬機の例としては、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどが挙げられ、特にせん断効率の高い混錬機が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、無機充填剤を含んでなる。
本発明における無機充填剤とは、粒径が100μm以下であれば特に限定はなく、具体的には、スメクタイト族粘土、膨潤性雲母等の層状珪酸塩、ガラスビーズ、ガラスフレーク、タルク,マイカ,カオリン、クレー、ワラストナイト、モンモリナイト、ベントナイト、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、シリカバルン、珪藻土、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、マグネシア、炭素繊維、セリサイト、各種金属箔、黒鉛、シリカ、石英などが挙げられ、天然であっても合成されたものであってもよい。なかでも、スメクタイト族粘土、膨潤性雲母等の層状珪酸塩、タルク、マイカが好ましい。
本発明で使用する無機充填剤の粒径は、100μm以下であり、好ましくは、50μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。無機充填剤の粒径が100μmを越えると、靭性が低下する傾向がある。なお、本発明において、粒径とは、レーザー回析法により求められる粒径である。
本発明の無機充填剤は、粒径が100μm以下を充足するが、更に、粒径1〜100μmのもの、および、粒径1μm未満のものから構成される。
本発明において、無機充填剤として、粒径1〜100μmのもの、および、粒径1μm未満のものから構成されるものとすることにより、少ない無機充填剤添加量により、高い耐熱性(荷重たわみ温度)、剛性および良好な表面性と、アルカリ溶液性に対する加水分解の抑制とを両立することができる。
粒径1μm未満の無機充填剤(以下、「極微小無機充填剤」と称す場合がある。)としては、上記無機充填剤のうち、凝集粒子の劈開性の点から、層状珪酸塩が好ましい。
層状珪酸塩とは、主として酸化珪素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体シートから形成され、例えば、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母などが挙げられる。
前記スメクタイト族粘土は、下記一般式(1):
0.20.623410(OH)2・nH2O (1)
(ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mgから成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlから成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)
で表される、天然または合成されたものである。
該スメクタイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約1〜1.7nmであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒径はおおよそ100〜100000nmである。
また、前記の膨潤性雲母は下記一般式(2):
0.51.023(Z410)(F、OH)2 (2)
(ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、Fe、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)
で表される、天然または合成されたものである。
これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性雲母の初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ1〜1.7nmであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約100〜100000nmである。
上記の膨潤性雲母の中には、バーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記一般式(3):
(Mg,Fe,Al)23(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O (3)
(ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である)
で表されるものが挙げられる。前記バーミキュライト相当品の初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ1〜1.7nmであり、凝集状態での平均粒径は約100〜500000nmである。
層状珪酸塩の結晶構造は、c軸方向に規則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましいが、結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合った、いわゆる混合層鉱物も使用され得る。層状珪酸塩としては、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、入手の容易さ、得られる熱可塑性樹脂組成物中での分散性および熱可塑性樹脂組成物の物性改善効果の点から好ましい。層状珪酸塩は単独で用いても良く、2種以上組み合わせて使用しても良い。
本発明においては、熱可塑性樹脂中での分散性を高めるために、層状珪酸塩に前処理をしてから使用することが好ましい。
前処理の方法としては、特開平7−26123号公報記載の層電荷0.2〜1.0である層状無機充填剤をグリコール類で膨潤処理した後、該層状無機充填剤の層間でポリエステル樹脂を重合する方法や特開平7−268188号公報記載のタルクとケイフッ化アルカリとの特定比率の混合物を加熱処理してえられた無機化合物を分散させる方法が挙げられ、分散性を向上させることが出来る方法であれば、特に限定はない。
ただし、前記層状珪酸塩をポリエーテル化合物で処理したポリエーテル処理層状珪酸塩を使用することが、分散性への効果の点から好ましい。ポリエーテル処理層状珪酸塩としては、層状珪酸塩をポリエーテル化合物により処理することにより生成される、珪酸塩の単層構造体または層剥離体が挙げられる。
上記ポリエーテル化合物とは、主鎖がポリオキシエチレンやポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体などのようなポリオキシアルキレンである化合物を意図し、繰り返し単位数が2〜100程度のものを意図する。
上記ポリエーテル化合物は側鎖および/または主鎖中に、熱可塑性ポリエステル樹脂や層状化合物に悪影響を与えない限りにおいて任意の置換基を有していても良い。該置換基の例としては、炭化水素基、エステル結合で結合している基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、末端にカルボニル基を有する基、アミド基、メルカプト基、スルホニル結合で結合している基、スルフィニル結合で結合している基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、アルコキシシリル基やシラノール基など、Si−O−結合を形成し得る含Si原子官能基、ハロゲン原子および水酸基などが挙げられる。これらの内の1種で置換されていても良く、2種以上で置換されていても良い。
上記炭化水素基とは、直鎖または分岐鎖(すなわち側鎖を有する)の飽和または不飽和の一価または多価の脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基を意味し、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナフチル基、シクロアルキル基等が挙げられる。本明細書において、「アルキル基」という場合は、特に指示がない限り「アルキレン基」等の多価の炭化水素基を包含することを意図する。同様に、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナフチル基、及びシクロアルキル基は、それぞれ、アルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基、ナフチレン基、及びシクロアルキレン基等を包含する。
ポリエーテル化合物中の置換基の組成比は特に制限されるものではないが、ポリエーテル化合物が水または水を含有する極性溶媒に可溶であることが望ましい。具体的には、例えば、室温の水100gに対する溶解度が1g以上であり、好ましくは2g以上であり、よりに好ましくは5g以上であり、更に好ましくは10g以上であり、特に好ましくは20g以上である。上記の極性溶媒とは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物、その他の溶媒としてピリジン、ジメチルスルホキシドやN−メチルピロリドン等が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチルような炭酸ジエステルも使用できる。これらの極性溶媒は単独で用いても良く、2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明で用いられるポリエーテル化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルアリルエーテル、ポリエチレングリコールグリセリルエーテル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ビス(ポリエチレングリコール)ブチルアミン、ビス(ポリエチレングリコール)オクチルアミン、ポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールユレイドプロピルエーテル、ポリエチレングリコールメルカプトプロピルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルスルホニルプロピルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルスルフィニルプロピルエーテル、ポリエチレングリコールニトロプロピルエーテル、ポリエチレングリコールニトロソプロピルエーテル、ポリエチレングリコールシアノエチルエーテル、ポリエチレングリコールシアノエチルエーテルなどが挙げられる。これらのポリエーテル化合物は、単独、又は2種以上組み合わせて使用され得る。本発明のポリエーテル化合物の中では、芳香族炭化水素基や脂環式炭化水素基などの環状炭化水素基を有するものが好ましく、中でも下記一般式(4)
Figure 0004708766
(式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO2-、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、いずれも水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、R9、R10はいずれも炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、R11、R12はいずれも水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。mおよびnはオキシアルキレン単位の繰り返し単位数を示し、2≦m+n≦50である。)
で表されるものが、層状珪酸塩の分散性および熱安定性の点から好ましい。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物中での無機充填剤の配合量の下限値は、代表的には1重量%であり、好ましくは3重量%であり、より好ましくは5重量%であり、さらに好ましくは10重量%であり、特に好ましくは15重量%である。無機充填剤の配合量の上限値は、代表的には60重量%であり、好ましくは50重量%であり、より好ましくは40重量%であり、更に好ましくは35重量%となるように調製される。無機充填剤の配合量の下限値が1重量%未満であると、機械的特性、荷重たわみ温度、寸法安定性、離型性の改善効果が不充分となる場合があり、上限値が60重量%を超えると、成形体の外観や成形時の流動性などが損なわれる傾向がある。
本発明においては、粒径1μm未満の無機充填剤(極微小無機充填剤)の配合量は、熱可塑性樹脂組成物中、1〜40重量%であり、好ましくは、3〜35重量%であり、更に好ましくは、3〜15重量%であることが好ましい。極微小無機充填剤の配合量が1重量%未満であると、機械的特性および荷重たわみ温度の改善効果が不十分となる傾向があり、40重量%を超えると、成形時の流動加工性が損なわれる傾向がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中で分散している極微小無機充填剤は、そのほとんどは層が劈開して互いに独立して細分化されている。極微小無機充填剤の分散状態は、以下に述べる等価面積円直径[D]または膜厚み[T]にて表現され得る。
本発明における極微小無機充填剤は、(a)等価面積円直径[D]が300nm以下である無機充填剤の比率が20%以上であること、(b)等価面積円直径[D]の平均値が500nm以下であること、の何れか1つ以上を満たす。
本発明において、等価面積円直径[D]は、電子顕微鏡などで得られる像内で様々な形状で分散している個々の無機充填剤の該像上での面積と等しい面積を有する円の直径であると定義される。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物中に分散した極微小無機充填剤のうち、等価面積円直径[D]が300nm以下である無機充填剤の数の比率は20%以上であり、好ましくは35%以上であり、さらに好ましくは50%以上であり、特に好ましくは65%以上である。等価面積円直径[D]が300nm以下である比率が20%未満であると熱可塑性樹脂組成物の機械的特性や荷重たわみ温度、寸法安定性または成形性の改良効果が充分でなくなる傾向がある。
本発明における熱可塑性樹脂組成物中での極微小無機充填剤の等価面積円直径[D]の平均値は500nm以下であり、好ましくは450nm以下であり、さらに好ましくは400nm以下であり、特に好ましくは350nm以下である。等価面積円直径[D]の平均値が500nmより大きいと熱可塑性樹脂組成物の機械的特性や荷重たわみ温度の改良効果が十分でなくなり、表面性も損なわれる傾向がある。等価面積円直径[D]の平均値の下限値は特にないが、おおよそ10nm未満では効果はほとんど変わらなくなる。
等価面積円直径[D]の測定は、顕微鏡などを用いて撮影した像上で、100個以上の極微小無機充填剤の層を含む任意の領域を選択し、画像処理装置などを用いて画像化して計算機処理することによって定量化できる。
本発明において、極微小無機充填剤は、等価面積円直径[D]の規定に加えて、(c)層厚み[T]が200nm以下であること、(d)層厚み[T]の平均値が、50nm以下であること、の何れか1つ以上を満たす。
本発明において、極微小無機充填剤の層厚み[T]とは、ミミズ上に観察される形状において、その長手方向に直行するように位置する幅のことを言う。本発明において、平均層厚を、薄板状で分散した極微小無機充填剤の層厚み[T]の数平均値であると定義される。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物中での極微小無機充填剤の平均層厚の上限値は、50nm以下であり、好ましくは45nm以下であり、より好ましくは40nm以下である。平均層厚が50nmより大きいと、得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的特性、荷重たわみ温度、寸法安定性への改良効果が十分に得られない場合がある。平均層厚の下限値は特に限定されないが、1nmより大きいことが好ましい。
本発明において、最大層厚を、熱可塑性樹脂組成物中に分散した極微小無機充填剤の層厚み[T]の最大値であると定義すると、極微小無機充填剤の最大層厚の上限値は、200nm以下であり、好ましくは180nm以下であり、より好ましくは150nm以下である。最大層厚が200nmより大きいと、得られる熱可塑性樹脂組成物の表面性が損なわれる場合がある。極微小無機充填剤の最大層厚の下限値は特に限定されないが、1nmより大きいことが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中での極微小無機充填剤層厚みは、熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融した後に、熱プレス成形あるいは延伸成形して得られるフィルム、および溶融樹脂を射出成形して得られる薄肉の成形品等を、電子顕微鏡等を用いて撮影される像から求めることができる。
すなわち、いま仮に、X−Y面上に上記の方法で調製したフィルムの、あるいは肉厚が約0.5〜2mm程度の薄い平板状の射出成形した試験片を置いたと仮定する。上記のフィルムあるいは試験片をX−Z面あるいはY−Z面と平行な面で約50μm〜100μm厚の超薄切片を切り出し、該切片を透過型電子顕微鏡などを用い、約1万〜100万倍以上の高倍率で観察して求められ得る。測定は、上記の方法で得られた透過型電子顕微鏡の像上において、100個以上の極微小無機充填剤を含む任意の領域を選択し、画像処理装置などで画像化し、計算機処理すること等により定量化できる。あるいは、定規などを用いて計測しても求めることもできる。
本発明においては、さらに、目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、及び帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。本発明で得られる熱可塑性樹脂組成物は、射出成形や熱プレス成形で成形しても良く、ブロー成形にも使用できる。中でも、複雑な形状及び高表面性の要求に対する対応性、及び生産性が良い観点から、特に射出成形に好適である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、以下のようにして製造することができる。例えば、熱可塑性樹脂、粒径1μ未満の無機充填剤(極微小無機充填剤)および粒径1〜100μmの無機充填剤とを、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練する方法をあげることができる。混練機の例としては、一軸混練機、二軸混練機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどが挙げられ、特に剪断効率の高い混練機が好ましい。熱可塑性樹脂、粒径1μ未満の無機充填剤(極微小無機充填剤)および粒径1〜100μmの無機充填剤の添加順序としては、例えば、(i)上記混練機に一括投入して溶融混練しても良いし、(ii)熱可塑性樹脂と粒径1μ未満の無機充填剤あるいは粒径1〜100μmの無機充填剤を一括投入して、溶融混練した後、粒径1〜100μmの無機充填剤あるいは粒径1μ未満の無機充填剤を分割投入して、溶融混練しても良いし、あるいは(iii)予め溶融状態とした熱可塑性樹脂に、粒径1μ未満の無機充填剤および粒径1〜100μmの無機充填剤を添加して溶融混練しても良い。
本発明における熱可塑性樹脂組成物から成形体を得る製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、一般的に使用される射出成形、更には一般的な射出成形に特殊な機能を付加した射出圧縮、ガスアシスト射出成形のような射出成形法、押出成形、ブロー成形などの熱溶融成形法があるが、中でも射出成形法が好ましい。
このようにして得られる本発明の成形品は外観に優れ、機械的特性や耐熱変形性等に優れ、耐アルカリ水溶液性が良好である為、例えば、食器、コースター、食器用お盆品といった食器類用品に好適に用いることが出来、食器類用品の中でも、とりわけ、食器用お盆品に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート単体、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを混合したもの、または、ポリブチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートを混合したものを使用した。
ポリブチレンテレフタレートは、KOLON社製ポリブチレンテレフタレートKP210(以下、PBTと称す)を使用した。ポリエチレンテレフタレートは、鐘紡(株)製ポリエチレンテレフタレートEFG70(以下、PETと称す)を使用した。ポリトリメチレンテレフタレートは、シェルケミカルズジャパン(株)製ポリトリメチレンテレフタレート・コルテラCP509201(以下、PTTと称す)を使用した。
1μm未満の無機充填剤としては、膨潤性雲母(コープケミカル(株)製、商品名:ソマシフME100)に対し、ポリエーテル処理を行った後、粉体化したもの(以下、「ポリエーテル処理層状珪酸塩」と称すことがある)を使用した。まず、膨潤性雲母とイオン交換水を混合した。次いで、処理剤として、ポリエチレングリコール(東邦化学(株)製、商品名:ビスオール18EN)を添加して15〜60分間混合続けることにより処理した。次いで、粉体化を行ったものを使用した。
1〜100μm無機充填剤としては、マイカ(山口雲母製、A−21S;レーザー回析法による粒径19〜21μm)、タルク(日本タルク製、MS−T;レーザー回析法による粒径20μm)を用いた。
評価に際しては、以下のとおりである。
(機械的物性および加重たわみ温度)
表1に示した配合組成により得られたペレットを140℃にて4時間乾燥した後、75トン成形機を用い、ノズル先端温度280℃、金型温度90℃にて成形し、ASTM D−638に準じたダンベル・バー試験片を成形し、機械的物性及び荷重たわみ温度の評価を実施した。
機械的物性に関しては、曲げ弾性率はASTM D−638に準じ、引張強度はASTM D−790に準じ、荷重たわみ温度は、ASTM D−648に準じて実施した。
(1μm未満の無機充填剤での等価面積円直径[D]および層厚み[T])
1μm未満の無機充填剤の等価面積円直径[D]は、射出成形により成形した120mm×120mm×3mm厚みの平板成形品から採取した厚み50〜100μmの超薄切片を用いた。透過型電子顕微鏡を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜100万倍で分散状態を観察撮影した。TEM写真において、100個以上の分散粒子が存在する任意の領域を選択し、画像解析装置を用いて処理することにより測定した。層厚み[T]は、個々の層厚の数平均値として測定した。
(表面外観)
表面外観については、金型温度90℃にて、120mm角の厚み2mmの鏡面平板形状成形品を成形し、その成形品を目視で観察評価を行った。
○:光沢あり(映る蛍光灯の外形が見分けられる)
△:光沢なし(映る蛍光灯の外形がぼやける)
×:光沢なし(映る蛍光灯の外径が把握できない)
また、表面光沢度は、色差計(日本電色工業製、VGS−300A)を用いて、入射角60度および反射角60度におけるグロス値を測定した。
(耐アルカリ溶液性)
耐アルカリ溶液性については、射出成形により製作したダンベル試験片を80℃に保温した0.2重量%水酸化ナトリウム水溶液に120時間浸漬後、表面の状態を目視観察にて評価を行った。
○:形状を保持し、ほとんど表面の平滑性を保つ。
△:形状を保持するものの、表面に細孔の発生が見られる。
×:形状が保持されず、肉細りが見られる。
(実施例1)
熱可塑性樹脂として、PBT単体を使用した。表1に示す熱可塑性樹脂組成物総重量に対して、ポリエーテル処理層状珪酸塩10重量、マイカ7重量およびタルク3重量を添加し、二軸押出機(日本製鋼製、TEX44)により溶融混練(樹脂温度260℃)して、ペレットを製造した。
得られたペレットを用い、上記記載の方法により、ダンベル・バー試験片の成形を行った。上記評価を実施した結果を、表1に示す。
(実施例2)
熱可塑性樹脂として、PBTとPTTを75:25の割合(重量比)にて混合した。表1に示す熱可塑性樹脂組成物総重量に対して、ポリエーテル処理層状珪酸塩10重量、マイカ7重量およびタルク3重量添加し、二軸押出機により溶融混練して、ペレットを製造した。
得られたペレットを用い、上記記載の方法により、ダンベル・バー試験片の成形を行った。上記評価を実施した結果を、表1に示す。
(実施例3)
熱可塑性樹脂として、PBTとPTTを70:30の割合(重量比)にて混合した。表1に示す熱可塑性樹脂組成物総重量に対して、ポリエーテル処理層状珪酸塩10重量、マイカ7重量およびタルク3重量添加し、二軸押出機により溶融混練して、ペレットを製造した。
得られたペレットを用い、上記記載の方法により、ダンベル・バー試験片の成形を行った。上記評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例4)
熱可塑性樹脂として、PBTとPETを75:25の割合(重量比)にて混合した。表1に示す熱可塑性樹脂組成物総重量に対して、処理済み層状珪酸塩10重量、マイカ7重量、およびタルク3重量添加し、二軸押出機により溶融混練して、ペレットを製造した。
得られたペレットを用い、上記記載の方法により、ダンベル・バー試験片の成形を行った。上記評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例5)
熱可塑性樹脂として、PBTとPETを70:30の割合(重量比)にて混合した。表1に示す熱可塑性樹脂組成物総重量に対して、処理済み層状珪酸塩10重量、マイカ7重量、タルク3重量添加し、二軸押出機により溶融混練して、ペレットを製造した。
得られたペレットを用い、上記記載の方法により、ダンベル・バー試験片の成形を行った。上記評価を実施した結果を、表1に示す。
(比較例1)
熱可塑性樹脂として、PBTとPETを25:75の割合(重量比)にて混合した。表1に示す熱可塑性樹脂組成物総重量に対して、マイカ20重量添加し、二軸押出機により溶融混練して、ペレットを製造した。このペレットを用い上記記載の方法により、ダンベル・バー試験片の成形を行った。上記評価を実施した結果を表1に示す。
(比較例2)
熱可塑性樹脂として、PBTとPETを25:75の割合(重量比)にて混合した。表1に示す熱可塑性樹脂組成物総重量に対して、マイカ25重量およびタルク5重量添加し、二軸押出機により溶融混練して、ペレットを製造した。このペレットを用い上記記載の方法により、ダンベル・バー試験片の成形を行った。上記評価を実施した結果を表1に示す。
Figure 0004708766
上記結果に見られるように、樹脂組成物総樹脂量に対し、PET樹脂の含有量が50部以上と多数を占めた熱可塑性樹脂(比較例1と比較例2)に比べ、樹脂組成物総樹脂量に対し、PBT樹脂の含有量が50部以上と多数を占める熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜実施例5)の方が耐アルカリ溶液性に優れることが確認された。さらには、PBT樹脂単独(実施例1)に対し、PBT樹脂を含む総樹脂量に対し、50重量部以下のPTTもしくはPETを混合してなる熱可塑性樹脂(実施例2〜実施例5)は耐アルカリ溶液性の低下が少なく、高い表面光沢が得ることができ、さらにはPETをブレンド(実施例4と実施例5)するのに対し、PTTをブレンド(実施例2と実施例3)することにより耐アルカリ溶液性の低下を少なく、高い表面光沢を得ることができる。
上記のように、本発明では、剛性と荷重たわみ温度が高く、耐アルカリ溶液性に優れ、更には表面光沢の高い熱可塑性樹脂を得ることができる。

Claims (7)

  1. 無機充填剤を〜60重量%含んでなる熱可塑性樹脂組成物であって、
    無機充填剤が、スメクタイト族粘土、膨潤性雲母の層状珪酸塩、ガラスビーズ、ガラスフレーク、タルク、マイカ、カオリン、クレー、ワラストナイト、モンモリナイト、ベントナイト、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、シリカバルン、珪藻土、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、マグネシア、炭素繊維、セリサイト、黒鉛、シリカおよび石英からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    無機充填剤が粒径1〜100μmのものおよび粒径1μm未満のものから構成され、
    さらに、粒径1μm未満の無機充填剤が、下記(a)(b)、(c)および(d)を満たし、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母から選ばれる1種類以上の層状珪酸塩であり、該層状珪酸塩が、ポリエーテル処理粘土であり、
    熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂単体、または、ポリブチレンテレフタレート系樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイであり、
    粒径1μm未満の無機充填剤の配合量が、熱可塑性樹脂組成物中1〜40重量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
    (a)等価面積円直径[D]が300nm以下である無機充填剤の比率が20%以上であること。
    (b)等価面積円直径[D]の平均値が、500nm以下であること。
    (c)層厚み[T]が200nm以下であること。
    (d)層厚み[T]の平均値が、50nm以下であること。
  2. 粒径1〜100μmの無機充填剤が、タルクおよびマイカである、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイであって、他の熱可塑性樹脂の混合量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し50重量部以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとのアロイであることを特徴とする、請求項1,2または3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとのアロイであることを特徴とする請求項1,2または3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を使用することを特徴とする、射出成形品。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を使用することを特徴とする、食器類用品。
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