JP2010106194A - 低線膨張係数の樹脂組成物 - Google Patents

低線膨張係数の樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、成型品の表面外観を損なわずに機械特性を高めると共に、低線膨張係数の成形品を与えうる樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂95〜40重量%、熱可塑性ポリエステル5〜60重量%および耐衝撃性改良剤0〜40重量%からなる樹脂組成物100重量部に、平均径が2〜50μmのマイカ0.5〜100重量部及びポリエーテル系化合物で処理された膨潤性層状化合物0.1〜50重量部を配合してなる強化樹脂組成物及びその強化樹脂組成物を用いた車両用部材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、強化樹脂組成物及びその強化樹脂組成物を用いた車両用部材に関する。
従来、ポリカーボネート樹脂は、エンジニアリングプラスチックの中でも最高の耐衝撃性を有し、耐熱性も良好な樹脂として知られており、これらの特徴を生かして種々の分野に使用されているが、耐薬品性、成形加工性がよくなく、衝撃強度の厚さ依存性を有するなどの欠点を有している。
一方、熱可塑性ポリエステルは、耐薬品性、成形加工性に優れているが、耐衝撃性、寸法安定性などに劣るなどの欠点を有している。
このようなそれぞれの材料の特徴を生かし、欠点を補完することを目的として種々の樹脂組成物が、たとえば[特許文献1]、[特許文献2]、[特許文献3]、[特許文献5]、[特許文献6]、[特許文献7]などの各公報に開示されている。
しかしながら、これらの樹脂組成物では自動車部品などに要求される耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、耐候性、剛性などを同時に満足させることができない。
特に、自動車外装部品に適用する場合には、上記要求特性を同時に満たすだけでなく、部品間の隙間を小さくするために、低線膨張係数をも有することが要求されるため、改良が強く望まれてきた。
そこで、上記のような多岐にわたる要求特性を同時に満たすものとして、例えば、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル、耐衝撃性改良剤およびマイカを配合してなる樹脂組成物が開発されている(特許文献4)。
特公昭55−9435号公報 特公昭62−34792号公報 特公平5−87540号公報 特許3040142号公報 特公平7−75856号公報 特許3617716号公報 特開2005−023121号公報
しかし、上記樹脂組成物は自動車外装部品に適用できる低い線膨張係数を有するなど要求特性を満足するものの、特に自動車のフェンダー、ドアパネル等には、樹脂組成物に対して、線膨張係数の更なる低減化、かつ、機械特性の向上が望まれる。
よって、本発明の目的は、成型品の表面外観を損なわずに機械特性を高めると共に、低線膨張係数の成形品を与えうる樹脂組成物を提供することにある。
通常、線膨張係数を小さくするためには、無機ガラスなどの無機充填剤を配合することが行われる。ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステルおよび耐衝撃性改良剤を含む樹脂組成物においても、マイカやガラス繊維等無機充填剤の配合により所望通り低線膨張係数を実現できる。しかし、耐衝撃性が低下したり、成形性が悪化したり、成形品外観が悪くなったり、比重が高くなり成形品が重くなる等物性バランスが崩れてしまう。このように、線膨張係数の更なる低減化と物性バランスの維持とを同時に図ることすら困難であるところ、ましてや線膨張係数の更なる低減させるのと同時に機械物性をも向上させることは容易なことではない。
上記事情の下、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂および熱可塑性ポリエステルを含む樹脂組成物にマイカとポリエーテル系化合物で処理された層状化合物とを併用させることによって、所望通りに線膨張係数を低減させ、かつ、衝撃強度を上げることに成功した。さらに、耐衝撃性改良剤を配合した樹脂組成物においても、同様に所望通りに線膨張係数が低減され、かつ、同様に衝撃強度も向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は
ポリカーボネート樹脂95〜40重量%、熱可塑性ポリエステル5〜60重量%および耐衝撃性改良剤0〜40重量%からなる樹脂組成物(以下、「ポリカーボネート樹脂95〜40重量%、熱可塑性ポリエステル5〜60重量%および耐衝撃性改良剤0〜40重量%からなる樹脂組成物」を単に「樹脂組成物」と称することがある。)100重量部に、平均径が2〜50μmのマイカ0.5〜100重量部及びポリエーテル系化合物で処理された膨潤性層状化合物0.1〜50重量部を配合してなる強化樹脂組成物に関する。
上記膨潤性層状化合物は膨潤性層状珪酸塩であることが好ましい。
上記熱可塑性ポリエステルはポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
上記マイカは、シラン系カップリング剤またはチタネート系カップリング剤で表面処理されたものであることが好ましい。
上記耐衝撃性改良剤は、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体またはブタジエン−アクリル酸エステル共重合体のゴム10〜90重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル化合物のうちの少なくとも1種10〜90重量%をグラフト重合させてなるコア/シェル型グラフトポリマー、
ポリオレフィン系重合体、
オレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、ならびに、
熱可塑性ポリエステル系エラストマーよりなる群から選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
また、本発明は、上記強化樹脂組成物を成形してなる車両用部材に関する。
本発明の強化樹脂組成物によれば、成型品の表面外観を損なわずに衝撃強度が高まると共に、低線膨張係数の特性を示す成形品を与えうる。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂とは、フェノール性水酸基を2個有する化合物(以下、2価フェノールという)より誘導されるポリカーボネート樹脂であり、通常2価フェノールとホスゲン、あるいは2価フェノールと炭酸ジエステルとの反応によりえられる樹脂のことである。
前記2価フェノールとしては、とくにビスフェノールAが好適であるが、これに限定されるものではない。
前記ポリカーボネート樹脂の分子量としては、粘度平均分子量で10,000〜60,000範囲のものが好ましい。該分子量が10,000未満では耐衝撃性、耐薬品性などが低下しやすくなり、60,000をこえると成形加工性などが低下しやすくなる。
前記ポリカーボネート樹脂の配合量は本発明に用いる樹脂組成物中40〜95重量%、好ましくは50〜85重量%、さらには60〜80重量%である。該配合量が40重量%未満のばあいには、得られる成形品の耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性などが低下し、一方、95重量%をこえると耐薬品性、成形加工性などが低下し、好ましくない。
本発明に用いる熱可塑性ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とからえられる重合体ないし共重合体であって、通常、交互重縮合体である。
前記熱可塑性ポリエステルの溶液粘度としてはフェノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比)混合溶媒中、25℃で濃度0.5g/dlにおける対数粘度(IV)が0.3〜2.0さらには0.5〜1.5の範囲のものが好ましい。該対数粘度(IV)が0.3未満のばあいには、えられる成形品の耐衝撃性、耐薬品性などが低下し、一方、2.0をこえると成形加工性などが低下する傾向が生じる。
前記熱可塑性ポリエステルの好ましい具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート共重合体、ポリトリメチレンテレフタレート、あるいはポリトリメチレンテレフタレート共重合体があげられるが、これらに限定されるものではない。
前記熱可塑性ポリエステルの配合量は本発明に用いる樹脂組成物中5〜60重量%、好ましくは15〜50重量%、さらには20〜40重量%である。該配合量が5重量%未満では、えられる成形品の耐薬品性、成形加工性などが低下し、一方、60重量%をこえると耐衝撃性、耐熱性などが低下し、好ましくない。
本発明において要すれば使用される耐衝撃性改良剤の好ましい具体例としては、コア/シェル型グラフトポリマー、ポリオレフィン系重合体、オレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、熱可塑性ポリエステル系エラストマーなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記耐衝撃性改良剤の本発明に用いる樹脂組成物中にしめる割合は、耐熱性、剛性、成形性などの点から40重量%以下である。車両用部材の耐衝撃強度と線膨張係数から、好ましくは1〜20重量%である。40重量%を越えると、樹脂組成物の成形性、線膨張係数から好ましくない。
前記コア/シェル型グラフトポリマーとは、ゴム状弾性体にビニル系化合物をグラフト重合させたものである。
前記ゴム状弾性体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好ましく、より好ましくは−40℃以下のものである。
このようなゴム状弾性体の具体例としては、たとえばポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル、ジメチルシロキサン−アクリル酸ブチルゴム、シリコン系/アクリル酸ブチル複合ゴムなどのアクリル系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体などのオレフィン系ゴム、が例示され、ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体の具体的なゴムとしてブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸2エチルヘキシル共重合体が例示出来る。耐衝撃性の面より、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体、が好ましく使用される。
前記ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体のうちでも、アクリル酸ブチル50〜70重量%とブタジエン30〜50重量%との共重合体が耐候性、耐衝撃性から好ましい。
ゴム状弾性体の平均粒子径にもとくに限定はないが、0.05〜2.00μmの範囲のものが好ましく、小粒子ゴムを肥大して0.1〜2μmにして使用しても良い。また、ゲル含有量についてもとくに限定はないが、10〜90重量%、さらには40〜90重量%の範囲のものが好ましく使用される。
前記コア/シェル型グラフトポリマーの製造に使用されるビニル系化合物としては、たとえば芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前記芳香族ビニル化合物の例としてはスチレン、αメチルスチレン、シアン化ビニル化合物の例としてはアクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸エステルの例としてはブチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸エステルの例としてはメチルメタクリレートがとくに好ましいものとしてあげられる。
コア型/シェル型グラフトポリマーを調製する際のゴム状弾性体とビニル系化合物との使用割合はゴム状弾性体10〜90重量%、さらには30〜85重量%に対して、ビニル系化合物90〜10重量%、さらには15〜70重量%が好ましい。ゴム状弾性体の割合が10重量%未満では耐衝撃性が低下しやすくなり、一方、90重量%をこえると耐熱性が低下する傾向が生ずる。
前記ポリオレフィン系重合体の具体例としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンなどがあげられ、好適に使用されうるが、これらに限定されるものではない。該ポリオレフィン系重合体はホモポリマーでも、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチルペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のコポリマーでもよく、また、該ポリオレフィン系重合体の重合度についてもとくに制限はなく、通常メルトインデックスが0.05〜50g/10分の範囲のものであれば任意に選択・使用しうる。特にエチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体が衝撃強度の発現から好ましい。
前記オレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合体におけるオレフィンとして、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。これらのオレフィンは単独であるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。とくに好ましいオレフィンはエチレンである。
前記オレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合体における不飽和カルボン酸エステルとしての具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸グリシジル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらは、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。特に好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メチルアクリレートおよびエチルアクリレート、メタクリル酸グリシジルである。
共重合体中における、上記オレフィン単位と上記不飽和カルボン酸エステル単位との共重合比は、重量比で、好ましくは40/60〜95/5、より好ましくは50/50〜90/10である。共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位の重量比が5未満では、耐薬品性改良効果が不十分である場合が多い。共重合体中の不飽和カルボン酸エステル単位の重量比が60を超えると、溶融時(例えば、成形加工時)の熱安定性が不十分である場合が多い。
前記オレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合体に更に酢酸ビニル、スチレン等を共重合することも出来る。
前記オレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の具体例として、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸プロピル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。特にエチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−アクリル酸メチル共重合体が衝撃強度の発現から好ましい。
前記熱可塑性ポリエステル系エラストマーとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体および数平均分子量700〜3000のポリエーテルとからなる共重合体であり、ポリエーテルに由来する成分の割合が5〜80重量%、さらには10〜70重量%の範囲のものが好ましい。ポリエーテルに由来する成分の割合が5重量%未満では耐衝撃性が低下する傾向が生じ、80重量%をこえると耐熱性が低下しやすくなる。
前記熱可塑性ポリエステル系エラストマーの溶液粘度はフェノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比)混合溶媒中、25℃で濃度0.5g/dlにおける対数粘度(IV)が0.3〜2.0、さらには0.4〜1.5の範囲のものが好ましい。該対数粘度が0.3未満では耐衝撃性、耐薬品性などが低下しやすくなり、一方、2.0をこえると成形加工性などが低下する傾向が生ずる。
前記熱可塑性ポリエステル系エラストマーの製造に使用される芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体の具体例としては、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、それらのエステル形成性誘導体などが例示される。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。一方、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体の具体例としては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、それらのエステル形成性誘導体などが例示される。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。さらに、前記ポリエーテルの具体例としては、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)にエチレンオキサイドを付加させたビスフェノールA変性ポリエチレングリコールなどが例示される。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前記ポリエーテルの数平均分子量としては、前述のごとく700〜3000の範囲が好ましい。該分子量が700未満では耐熱性が低下し、一方、3000をこえると熱安定性が低下する傾向が生じる。
本発明において、使用されるマイカの平均径としては2〜50μm、好ましくは5〜40μmのものである。平均径が2μm未満では線膨張係数、剛性の改善効果が少なく、50μmをこえるとえられる成形品の表面の光沢が低下したり、不均一になったり、耐衝撃性の低下が大きくなったりしやすくなる。
前記マイカの例としては、たとえばマスコバイト、フロゴパイト、バイオタイトなどの種類のものが使用されうる。
また、前記マイカをシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤などのカップリング剤で表面処理したものであってもよい。
前記シラン系カップリング剤としては、たとえばエポキシシラン、アミノシラン、ビニルシランなどがあげられる。また、チタネート系カップリング剤としては、たとえばモノアルコキシタイプ、キレートタイプ、コーディネートタイプなどのものがあげられる。
前記マイカをカップリング剤で表面処理する方法にはとくに限定はなく、通常の方法で実施しうる。たとえば前記マイカに対してカップリング剤を0.1〜10重量%添加し、加熱しながら高速で混合することにより行ないうる。
前記マイカの配合量は本発明に用いる樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜100重量部の範囲であり、好ましくは2〜40重量部であり、より好ましくは5〜30重量部である。前記マイカの配合量が0.5重量部未満になると剛性、線膨張係数に対する効果が充分でなく、100重量部をこえると成形品の光沢が低下したり、表面が不均一になったり、耐衝撃強度が低下して好ましくない。
本発明で用いられる膨潤性層状化合物として、ケイ酸塩、黒鉛等が挙げられるが、入手の容易性、取扱い性等の点から、膨潤性層状ケイ酸塩が好ましく用いられる。
上記の膨潤性層状ケイ酸塩とは、主として酸化ケイ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体シートから形成され、例えば、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母などが挙げられる。
前記のスメクタイト族粘土は下記一般式(1)
1 0.20.61 231 410(OH)2・nH2O (1)
(ただし、X1はK、Na、1/2Ca、及び1/2Mgから成る群より選ばれる1種以上であり、Y1はMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る群より選ばれる1種以上であり、Z1はSi、及びAlから成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオンおよび相対湿度に応じて変動する)で表される、天然または合成されたものである。該スメクタイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約10〜17Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒径はおおよそ1000Å〜1000000Åである。
また、前記の膨潤性雲母は下記一般式(2)
2 0.51.02 23(Z2 410)(F、OH)2 (2)
(ただし、X2はLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、Y2はMg、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より選ばれる1種以上であり、Z2はSi、Ge、Al、Fe、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)で表される、天然または合成されたものである。これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性雲母の初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17Åであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約1000〜1000000Åである。
上記の膨潤性雲母の中にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記一般式(3)
(Mg,Fe,Al)23(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2x・nH2O (3)
(ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記バーミキュライト相当品の初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17Åであり、凝集状態での平均粒径は約1000〜5000000Åである。
膨潤性層状ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に規則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましいが、結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合った、いわゆる混合層鉱物も使用され得る。
膨潤性層状ケイ酸塩は単独で用いても良く、2種以上組み合わせて使用しても良い。これらの内では、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、強化樹脂組成物中での分散性および強化樹脂組成物の物性改善効果の点から好ましい。
上記のポリエーテル系化合物とは、主鎖がポリオキシエチレンやポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体などのようなポリオキシアルキレンである化合物を意図し、繰り返し単位数が2から100程度のものを意図する。上記のポリエーテル系化合物は側鎖および/または主鎖中に、樹脂組成物や膨潤性層状化合物に悪影響を与えない限りにおいて任意の置換基を有していても良い。該置換基の例としては、炭化水素基、エステル結合で結合している基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、末端にカルボニル基を有する基、アミド基、メルカプト基、スルホニル結合で結合している基、スルフィニル結合で結合している基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、アルコキシシリル基やシラノール基など、Si−O−結合を形成し得る含Si原子官能基、ハロゲン原子および水酸基などが挙げられる。これらの内の1種で置換されていても良く、2種以上で置換されていても良い。
上記の炭化水素基とは、直鎖または分岐鎖(すなわち側鎖を有する)の飽和または不飽和の一価または多価の脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基を意味し、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナフチル基、シクロアルキル基等が挙げられる。本明細書において、「アルキル基」という場合は、特に指示が無い限り「アルキレン基」等の多価の炭化水素基を包含することを意図する。同様にアルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナフチル基、及びシクロアルキル基は、それぞれアルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基、ナフチレン基、及びシクロアルキレン基等を包含する。
ポリエーテル系化合物中の置換基の組成比は特に制限されるものではないが、ポリエーテル系化合物が水または水を含有する極性溶媒に可溶である事が望ましい。具体的には、例えば、室温の水100gに対する溶解度が1g以上であり、好ましくは2g以上であり、よりに好ましくは5g以上であり、更に好ましくは10g以上であり、特に好ましくは20g以上である。上記の極性溶媒とは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物、その他の溶媒としてピリジン、ジメチルスルホキシドやN−メチルピロリドン等が挙げられる。又、炭酸ジメチルや炭酸ジエチルのような炭酸ジエステルも使用できる。これらの極性溶媒は単独で用いても良く2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明で用いられるポリエーテル系化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルアリルエーテル、ポリエチレングリコールグリセリルエーテル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ビス(ポリエチレングリコール)ブチルアミン、ビス(ポリエチレングリコール)オクチルアミン、ポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールウレイドプロピルエーテル、ポリエチレングリコールメルカプトプロピルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルスルホニルプロピルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルスルフィニルプロピルエーテル、ポリエチレングリコールニトロプロピルエーテル、ポリエチレングリコールニトロソプロピルエーテル、ポリエチレングリコールシアノエチルエーテル、ポリエチレングリコールシアノエチルエーテル、γ−(ポリオキシエチレン)プロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのポリエーテル系化合物は、単独、又は2種以上組み合わせて使用され得る。本発明のポリエーテル系化合物の中では、芳香族炭化水素基や脂環式炭化水素基などの環状炭化水素基を有するものが好ましく、中でも下記一般式(4)
Figure 2010106194
(式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、いずれも水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、R9、R10はいずれも炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、R11、R12はいずれも水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。mおよびnはオキシアルキレン単位の繰り返し単位数を示し、2≦m+n≦50である。)で表されるものが層状化合物の分散性および熱安定性の点から好ましい。
ポリエーテル系化合物の使用量は、膨潤性層状化合物と、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂とを含む樹脂組成物との親和性、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂とを含む樹脂組成物中での膨潤性層状化合物の分散性が十分に高まるように調製し得る。必要であるならば、異種の官能基を有する複数種のポリエーテル系化合物を併用し得る。従って、ポリエーテル系化合物の使用量は一概に数値で限定されるものではないが、膨潤性層状化合物100重量部に対するポリエーテル系化合物の配合量は、0.1〜200重量部であり、好ましくは10〜150重量部であり、より好ましくは50〜100重量部である。ポリエーテル系化合物量が0.1重量部未満であると層状化合物の微分散化効果が充分で無くなる傾向があり、また、ポリエーテル系化合物量が200重量部越えても効果が変わらないので、200重量部より多く使用する必要はない。
膨潤性層状化合物とポリエーテル系化合物を混合する方法は特に限定されず、膨潤性層状化合物とポリエーテル系化合物を直接混合する方法や、水あるいは水を含有する極性溶媒中で膨潤性層状化合物とポリエーテル系化合物を混合する方法が挙げられる。混合の効率の点から、後者が望ましい。本発明において、ポリエーテル系化合物で膨潤性層状化合物を処理する方法は特に限定されず例えば、以下に示した方法で行い得る。
まず、膨潤性層状化合物と分散媒を撹拌混合する。前記分散媒とは水または水を含有する極性溶媒を意図する。具体的には既に上述しているのでここでは省略する。
膨潤性層状化合物と分散媒との攪拌の方法は特に限定されず、例えば、従来公知の湿式撹拌機を用いて行われる。該湿式撹拌機としては、撹拌翼が高速回転して撹拌する高速撹拌機、高剪断速度がかかっているローターとステーター間の間隙で試料を湿式粉砕する湿式ミル類、硬質媒体を利用した機械的湿式粉砕機類、ジェットノズルなどで試料を高速度で衝突させる湿式衝突粉砕機類、超音波を用いる湿式超音波粉砕機などを挙げることができる。より効率的に混合したい場合は、撹拌の回転数を1000rpm以上、好ましくは1500rpm以上、より好ましくは2000rpm以上にするか、あるいは500(1/s)以上、好ましくは1000(1/s)以上、より好ましくは1500(1/s)以上の剪断速度を加える。回転数の上限値は約25000rpmであり、剪断速度の上限値は約500000(1/s)である。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、剪断を加えてもそれ以上変わらない傾向があるため、上限値よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。また、混合に要する時間は1〜10分以上である。次いで、ポリエーテル系化合物を加えてから同様の条件で更に撹拌を続け、十分に混合する。混合時の温度は室温で充分だが、必要に応じて加温しても良い。加温時の最高温度は用いるポリエーテル系化合物の分解温度未満であり、かつ分散媒の沸点未満で有れば任意に設定されうる。その後、乾燥して必要に応じて粉体化する。
又、単軸ロータ式混練機、2軸ロータ式混練機、単軸スクリュー混練機、2軸スクリュー混練機、多軸スクリュー混練機など連続式混練機を使用して、膨潤性層状化合物と溶媒を投入口に加え、途中からポリエーテル系化合物を加えて、処理を行い、その後、乾燥して必要に応じて粉体化することも出来る。
本発明の強化樹脂組成物において、樹脂組成物100重量部に対するポリエーテル系化合物で処理された膨潤性層状化合物の配合量は、0.1〜50重量部であり、好ましくは1〜30重量部であり、より好ましくは5〜15重量部である。膨潤性層状化合物の配合量が0.1重量部未満であると機械的特性の向上、反りの低減などの改善効果が不充分となる場合があり、50重量部を超えると成形体の表面外観が損なわれる傾向がある。
また、樹脂組成物100重量部に対しての灰分率の値は、好ましくは0.05〜30重量%であり、より好ましくは0.5〜20重量%であり、さらに好ましくは1〜15重量%である。灰分率の値が0.05重量%未満であると機械的特性の向上、反りの低減などの改善効果が不充分となる場合があり、灰分率の値が30重量%を超えると成形体の表面外観が損なわれる傾向がある。
本発明の強化樹脂組成物中で分散している膨潤性層状化合物の構造は、使用前の層状化合物が有していたような、層が多数積層したμmサイズの凝集構造とは全く異なる。すなわち、ポリエーテル系化合物で処理される事によって、層同士が劈開し、互いに独立して細分化する。その結果、膨潤性層状化合物は強化樹脂組成物中で非常に細かく互いに独立した薄板状で分散し、その数は、使用前の層状化合物に比べて著しく増大する。この様な薄板状の膨潤性層状化合物の分散状態は電子顕微鏡で確認出来る。
本発明の強化樹脂組成物には、ホスファイト系、フェノール系などの安定剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料・染料などを配合しうる。また、必要によっては前記マイカ以外の強化剤を少量使用することも可能である。
本発明の強化樹脂組成物の製造は任意の方法で行なうことができる。たとえば、ブレンダー、スーパーミキサーなどを用いての混合、単軸または多軸のスクリュー押出機などでの混練により製造される。混合・混練はポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル、平均粒径が2〜50μmのマイカ、ポリエーテル系化合物で処理された膨潤性層状化合物および要すれば使用される耐衝撃性改良剤などを一括混合して行なってもよく、成分の一部を先に混合、混練したのち、それを残部と混合、混練してもよい。
このようにしてえられた強化樹脂組成物は、既知の種々の方法、たとえば射出成形法、押出し成形法などにより、自動車部品、電気・電子部品、雑貨などに成形され、成形品は、耐熱性、耐衝撃性、剛性、寸法安定性、耐薬品性、成形加工性、耐候性ならびに熱安定性に優れ、かつ、低い線膨張係数を有し、成形品の表面光沢、外観に優れたものとなる。
以下、本発明の強化樹脂組成物を実施例に基づき具体的に説明する。
下記測定条件や実施例などにおける「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
[使用材料および測定条件]
(ポリカーボネート樹脂)
帝人化成(株)製のパンライトL−1250(粘度平均分子量25,000)(A−1)
(熱可塑性ポリエステル)
(株)クラレ製のEFG−85A(ポリエチレンテレフタレート樹脂、対数粘度(IV)0.85)(B−1)
(耐衝撃性改良剤)
C−1:乳化重合法により、ブチルアクリレート67%およびブタジエン33%からなる平均粒子径0.15μmのゴム状弾性体60部に、アクリロニトリル20%、メチルメタクリレート30%およびスチレン50%からなる混合物40部をグラフト共重合させたコア/シェル型グラフトポリマー
C−2:乳化重合法により、ブタジエン98%及ジビニルスチレン2%からなる平均粒子径0.2μmのゴム状弾性体70部に、アクリロニトリル15%、メチルメタクリレート35%およびスチレン50%からなる混合物30部をグラフト共重合させたコア/シェル型グラフトポリマー
C−3:特開平2−92953号公報に記載されている方法で製造した、ジメチルテレフタレートおよびエチレングリコール由来の成分の割合が50%、数平均分子量1000のビスフェノールA変性ポリエチレングリコール由来の成分の割合が50%であり、対数粘度(IV)が0.70の熱可塑性ポリエステル系エラストマー
C−4:線状低密度ポリエチレン(三菱化成(株)製のFW−20G)
C−5:エチレン−エチルアクリレート共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EVAFLEX−EEA A709:エチルアクリレート含有量=35重量%)
C−6:エチレン−メタクリル酸グリシジル−アクリル酸メチル共重合体(住友化学株式会社製、ボンドファースト 7M:メタクリル酸グリシジル含有量=6重量%、アクリル酸メチル含有量=27重量%)
(強化剤)
D−1:平均径 6μmのマスコバイト型のマイカ
D−2:平均径22μmのマスコバイト型のマイカ
D−3:平均径30μmのマスコバイト型のマイカをγ−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシランで表面処理したもの
D−4:平均径70μmのマスコバイト型のマイカ
D−5:平均径 4μmの炭酸カルシウム
ここでのマイカの平均径は、マイカ100個の粒径の平均値である。なお、マイカの粒径は、マイカの電子顕微鏡写真を撮り、マイカ単体の短径および長径を測定し、当該短径および長径の平均値を指す。
(膨潤性層状化合物)
E−1:膨潤性雲母(コープケミカル(株)製のソマシフME100)
E−2:モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF)
(ポリエーテル系化合物)
F−1:変成ポリエーテル化合物(東邦化学(株)製のビスオール18EN)
F−2:ポリエチレングリコール(三洋化成(株)製のEG−1000)
(酸化防止剤)
アデカ・アーガス化学(株)製のPEP−36(ホスファイト系安定剤)
チバ・ジャパン(株)製のイルガノックス1010(ヒンダードフェノール)
(アイゾット衝撃値)
ASTM D−256、1/4インチ、ノッチ付、23℃で測定した。
(耐熱性)
ASTM D−648、1.82MPa荷重で測定した。
(線膨張係数)
ASTM D−696で測定した。
(成形品外観)
5オンス射出成形機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度70℃で成形した重量約100gの箱型の成形品の外観を肉眼で観察して、つぎの基準にしたがって評価した。
○:表面の不均一性、凹凸がほとんど認められないもの
△:表面の不均一性、凹凸が認められるもの
×:表面の不均一性、凹凸が著しいもの
(ポリエーテル系化合物で処理された膨潤性層状化合物の作製)
混練機としてクリモト鉄工(株)製KRCニーダを用いた。100部の膨潤性層状化合物およびイオン交換水100部を同時にKRCニーダに添加し、回転数200rpmで混練した。次いで、途中の添加口から表1に示すポリエーテル系化合物を添加し、そのまま混練を続けた。膨潤性層状化合物がKRCニーダ内に滞留していた時間、すなわち混練処理時間は約90秒であった。次いでオーブンでの乾燥およびハンマーミルによる粉砕を行い、粉末状のポリエーテル系化合物で処理された膨潤性層状化合物を得た。
Figure 2010106194
実施例1〜15および比較例1〜5、上記の乾燥したポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、耐衝撃性改良剤、強化剤、ポリエーテル系化合物で処理された膨潤性層状化合物およびホスファイト系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤を、表2に示す割合で予備混合し、それぞれ270℃で2軸押出機を用いて溶融混練し、ペレットを製造した。えられたペレットを用いて80トンの射出成形機を用い270℃にて、試験片を作製し、上記方法により評価した。結果を表2に示す。
Figure 2010106194
表2に示されるとおり、本発明の強化樹脂組成物によれば、成形品の表面外観を損なうことなく線膨張係数が更に低減されるとともに、耐衝撃性が高められる。さらに、成形品の耐熱性についても改善効果が見られる。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂95〜40重量%、熱可塑性ポリエステル5〜60重量%および耐衝撃性改良剤0〜40重量%からなる樹脂組成物100重量部に、平均径が2〜50μmのマイカ0.5〜100重量部及びポリエーテル系化合物で処理された膨潤性層状化合物0.1〜50重量部を配合してなる強化樹脂組成物。
  2. 前記膨潤性層状化合物が膨潤性層状珪酸塩である、請求項1記載の強化樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである、請求項1又は請求項2記載の強化樹脂組成物。
  4. 前記マイカがシラン系カップリング剤またはチタネート系カップリング剤で表面処理されたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の強化樹脂組成物。
  5. 前記耐衝撃性改良剤が、
    ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体またはブタジエン−アクリル酸エステル共重合体のゴム10〜90重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル化合物のうちの少なくとも1種10〜90重量%をグラフト重合させてなるコア/シェル型グラフトポリマー、
    ポリオレフィン系重合体、
    オレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、ならびに、
    熱可塑性ポリエステル系エラストマーよりなる群から選ばれた1種または2種以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の強化樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の強化樹脂組成物を成形してなる車両用部材。
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