JP4467140B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂、および環状炭化水素基を有するポリエーテル化合物で処理された層状化合物を含有するポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂は耐熱性、耐薬品性、耐候性、機械的特性、電気的特性等に優れる為、射出成形材料、繊維、フィルムとして多くの工業的用途に使用されているが、更に高い機械的特性や耐熱性が求められている。そのような要求に対しては一般的に様々な無機粒子の配合による改良が試みられてきたが、それによって製品の表面外観が損なわれたり、射出成形時に繊維状無機物が配向することによって異方性が生じる問題があった。
【0003】
こうした無機粒子の欠点は、一般に無機粒子の分散不良や分散粒子サイズが大きすぎることに起因するものと考えられており、無機粒子を微分散化する技術が望まれていた。
【0004】
無機粒子の中でも層状化合物、とりわけ層状ケイ酸塩に関しては、層状ケイ酸塩の層を劈開し易くして微分散化し易くする技術として、ポリビニルピロリドン等の高分子化合物(インターカラントポリマー)を層状ケイ酸塩の層間にインターカレートして層間化合物とする技術(特開平9−118518号)が開示されている。しかしながら、上記の発明では、層間化合物は開示されているが、該層間化合物を劈開して熱可塑性ポリエステル樹脂へ微分散化する技術は開示されておらず、熱可塑性ポリエステル樹脂中に層状ケイ酸塩を微分散させる事は困難であった。
【0005】
一方、本研究者らは、熱可塑性ポリエステル樹脂中で層状ケイ酸塩の層を劈開して微分散化するためには、層状ケイ酸塩をポリエーテル化合物で処理して粘土層間化合物にする事が特に有効であることを見出し、熱可塑性ポリエステル樹脂と粘土層間化合物を含有するポリエステル樹脂組成物に関する技術を開示した(特開平10−259016号公報、特開平10−310420号公報)。該技術によって、表面外観の低下や反りを生じることなく弾性率や耐熱性を高めることができた。しかしながら溶融状態での熱安定性は必ずしも充分であるとはいえず、場合によっては溶融状態で滞留すると強度が低下する傾向が見られる等の問題がある為に改善が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的はこのような従来の問題を改善し、低反りでかつ弾性率や耐熱性を高めると共に、溶融状態での熱安定性も向上させて溶融滞留時の強度低下を防ぎ、物性バランスに優れたポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成する為に鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂、および環状炭化水素基を有するポリエーテル化合物で処理された層状化合物を含有するポリエステル樹脂組成物に関する。
【0009】
好ましい実施態様としては、環状炭化水素基が芳香族炭化水素基である事を特徴とする、前記に記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0010】
さらに好ましい実施態様としては、ポリエーテル化合物が、主鎖中に下記一般式(1):
【0011】
【化3】
Figure 0004467140
(式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO2-、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、いずれも水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
で表される単位を有する事を特徴する、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0012】
さらに好ましい実施態様としては、ポリエーテル化合物が下記一般式(2):
【0013】
【化4】
Figure 0004467140
(式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO2-、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、いずれも水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、R9、R10はいずれも炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、R11、R12はいずれも水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。mおよびnはオキシアルキレン単位の繰り返し単位数を示し、2≦m+n≦50である。)
で表されることを特徴する、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0014】
さらに好ましい実施態様としては、ポリエーテル化合物で処理された層状化合物が、水または水を含有する極性溶媒中で層状化合物およびポリエーテル化合物を混合する事によって得られるものである事を特徴とする、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0015】
さらに好ましい実施態様としては、ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の等価面積円直径[D]が3000Å以下である層状化合物の比率が20%以上である、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0016】
さらに好ましい実施態様としては、ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の等価面積円直径[D]の平均値が5000Å以下である、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0017】
さらに好ましい実施態様としては、ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の平均層厚が500Å以下である事を特徴とする、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0018】
さらに好ましい実施態様としては、ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の最大層厚が2000Å以下である事を特徴とする、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0019】
さらに好ましい実施態様としては、ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の[N]値が30以上であり、ここで[N]値が、樹脂組成物の面積100μm2中に存在する、層状化合物の単位比率当たりの粒子数であると定義される事を特徴とする、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0020】
さらに好ましい実施態様としては、ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の平均アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜300である、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0021】
さらに好ましい実施態様としては、層状化合物が層状ケイ酸塩である、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸化合物および/またはジカルボン酸のエステル形成性誘導体を主成分とする酸成分、及びジオール化合物および/またはジオール化合物のエステル形成性誘導体を主成分とするジオール成分との反応により得られる従来公知の任意の熱可塑性ポリエステル樹脂である。
【0023】
前記主成分とするとは、酸成分又はジオール成分中に占めるそれぞれの割合が80%以上、さらには90%以上であることを意図し、上限は100%である。
【0024】
熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチルテレフタレート、ネオペンチルテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンナフタレートなどが挙げられる。また、これらの樹脂の製造に使用される酸成分および/またはジオール成分を2種以上用いて製造した共重合ポリエステルが挙げられる。
【0025】
上記の熱可塑性ポリエステル樹脂は単独で、または組成あるいは成分の異なるもの及び/または固有粘度の異なるものを2種以上組み合わせて使用し得る。
【0026】
前記ポリエステル樹脂の中では、強度、弾性率、コスト等の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチルテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0027】
熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量は、フェノール/テトラクロロエタン(5/5重量比)混合溶媒を用いて、25℃で測定した対数粘度が0.3〜2.0(dl/g)のものが好ましく、より好ましくは0.3〜1.8(dl/g)であり、さらに好ましくは0.3〜1.5(dl/g)であり、特に好ましくは0.3〜1.2(dl/g)である。対数粘度が0.3(dl/g)未満である場合、得られるポリエステル樹脂組成物の機械的特性や耐衝撃性が低く、また、2.0(dl/g)より大きい場合は溶融粘度が高い為に成形流動性が低下する傾向がある。
【0028】
本発明で用いられる層状化合物とは、ケイ酸塩、リン酸ジルコニウム等のリン酸塩、チタン酸カリウム等のチタン酸塩、タングステン酸ナトリウム等のタングステン酸塩、ウラン酸ナトリウム等のウラン酸塩、バナジン酸カリウム等のバナジン酸塩、モリブデン酸マグネシウム等のモリブデン酸塩、ニオブ酸カリウム等のニオブ酸塩、黒鉛から成る群より選択される1種以上である。入手の容易性、取扱い性等の点から層状ケイ酸塩が好ましく用いられる。
【0029】
上記の層状ケイ酸塩とは、主として酸化ケイ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体シートから形成され、例えば、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母などが挙げられる。
【0030】
前記のスメクタイト族粘土は下記一般式(3):
1 0.20.61 231 410(OH)2・nH2O (3)
(式中、X1はK、Na、1/2Ca、及び1/2Mgから成る群より選ばれる1種以上であり、Y1はMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る群より選ばれる1種以上であり、Z1はSi、及びAlから成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表される、天然または合成されたものである。該スメクタイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約10〜17Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒径はおおよそ1000Å〜1000000Åである。
【0031】
また、前記の膨潤性雲母は下記一般式(4):
2 0.51.02 23(Z2 410)(F、OH)2 (4)
(式中、X2はLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、Y2はMg、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より選ばれる1種以上であり、Z2はSi、Ge、Al、Fe、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)で表される、天然または合成されたものである。これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性雲母の初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17Åであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約1000〜1000000Åである。
【0032】
上記の膨潤性雲母の中にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記一般式(5):
(Mg,Fe,Al)23(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O (5)
(式中、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記バーミキュライト相当品の初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17Åであり、凝集状態での平均粒径は約1000〜5000000Åである。
【0033】
層状ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に規則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましいが、結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合った、いわゆる混合層鉱物も使用され得る。
【0034】
層状ケイ酸塩は単独で用いても良く、2種以上組み合わせて使用しても良い。これらの内では、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、得られるポリエステル樹脂組成物中での分散性およびポリエステル樹脂組成物の物性改善効果の点から好ましい。
【0035】
本発明で用いられる環状炭化水素基を有するポリエーテル化合物とは、ポリオキシエチレンやポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体などのようなポリオキシアルキレン化合物の側鎖および/または主鎖中に環状炭化水素基を有する物を意図する。環状炭化水素基とは、芳香族炭化水素基および/または脂環式炭化水素基を意味し、例えば、フェニル基、ナフチル基、シクロアルキル基等が挙げられる。本明細書において、「フェニル基」という場合は、特に指示が無い限り「フェニレン基」等の多価の環状炭化水素基を包含することを意図する。同様にナフチル基およびシクロアルキル基は、それぞれナフチレン基およびシクロアルキレン基等を包含する。
【0036】
上記のポリエーテル化合物には、アルコキシシリル基やシラノール基など、Si−O−Si結合を形成し得るケイ素を含有する官能基以外の官能基を有していても良く、熱可塑性ポリエステル樹脂や層状化合物に悪影響を与えない限りにおいて任意の官能基であり得る。該置換基の例としては、飽和または不飽和の一価または多価の脂肪族炭化水素基、エステル結合で結合している基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、末端にカルボニル基を有する基、アミド基、メルカプト基、スルホニル結合で結合している基、スルフィニル結合で結合している基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、ハロゲン原子および水酸基などが挙げられる。これらの内の1種で置換されていても良く、2種以上で置換されていても良い。
【0037】
ポリエーテル化合物中の置換基の組成比は特に制限されるものではないが、ポリエーテル化合物が水または水を含有する極性溶媒に可溶である事が望ましい。具体的には、例えば、室温の水100gに対する溶解度が1g以上であり、好ましくは2g以上であり、よりに好ましくは5g以上であり、更に好ましくは10g以上であり、特に好ましくは20g以上である。
【0038】
上記の極性溶媒とは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物、その他の溶媒としてピリジン、ジメチルスルホキシドやN−メチルピロリドン等が挙げられる。又、炭酸ジメチルや炭酸ジエチルような炭酸ジエステルも使用できる。これらの極性溶媒は単独で用いても良く2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0039】
上記の環状炭化水素基の中では芳香族炭化水素基が、熱安定性、層状化合物の分散性の点から好ましい。
【0040】
本発明で用いられるポリエーテル化合物の中で、主鎖中に下記一般式(1):
【0041】
【化5】
Figure 0004467140
式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO2-、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、いずれも水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
で表される単位を有するものが熱安定性、層状化合物の分散性の点から好ましく用いられ得る。
【0042】
上記ポリエーテル化合物の中では、下記一般式(2):
【0043】
【化6】
Figure 0004467140
(式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO2-、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、いずれも水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、R9、R10はいずれも炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、R11、R12はいずれも水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。mおよびnはオキシアルキレン単位の繰り返し単位数を示し、2≦m+n≦50である。)
で表されるものが熱安定性、層状化合物の分散性、入手の容易さの点から特に好ましく用いられ得る。
【0044】
ポリエーテル化合物の使用量は、層状化合物と熱可塑性ポリエステル樹脂との親和性、ポリエステル樹脂組成物中での層状化合物の分散性が十分に高まるように調製し得る。必要であるならば、異種の官能基を有する複数種のポリエーテル化合物を併用し得る。従って、ポリエーテル化合物の使用量は一概に数値で限定されるものではないが、層状化合物100重量部に対するポリエーテル化合物の配合量の下限値は、0.1重量部であり、好ましくは0.2重量部であり、より好ましくは0.3重量部であり、更に好ましくは0.4重量部であり、特に好ましくは0.5重量部である。層状化合物100重量部に対するポリエーテル化合物の配合量の上限値は、200重量部であり、好ましくは180重量部であり、より好ましくは160重量部であり、更に好ましくは140重量部であり、特に好ましくは120重量部である。ポリエーテル化合物量の下限値が0.1重量部未満であると層状化合物の微分散化効果が充分で無くなる傾向がある。また、ポリエーテル化合物量の200重量部を越えると効果が変わらないので、200重量部より多く使用する必要はない。
【0045】
本発明において、ポリエーテル化合物で層状化合物を処理する方法は特に限定されず、例えば、以下に示した方法で行い得る。
【0046】
まず、層状化合物と分散媒を撹拌混合する。前記分散媒とは水または水を含有する極性溶媒を意図する。具体的には既に上述しているのでここでは省略する。
【0047】
層状化合物と分散媒との攪拌の方法は特に限定されず、例えば、従来公知の湿式撹拌機を用いて行われる。該湿式撹拌機としては、撹拌翼が高速回転して撹拌する高速撹拌機、高剪断速度がかかっているローターとステーター間の間隙で試料を湿式粉砕する湿式ミル類、硬質媒体を利用した機械的湿式粉砕機類、ジェットノズルなどで試料を高速度で衝突させる湿式衝突粉砕機類、超音波を用いる湿式超音波粉砕機などを挙げることができる。より効率的に混合したい場合は、撹拌の回転数を1000rpm以上、好ましくは1500rpm以上、より好ましくは2000rpm以上にするか、あるいは500(1/s)以上、好ましくは1000(1/s)以上、より好ましくは1500(1/s)以上の剪断速度を加える。回転数の上限値は約25000rpmであり、剪断速度の上限値は約500000(1/s)である。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、剪断を加えてもそれ以上変わらない傾向があるため、上限値よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。また、混合に要する時間は1〜10分以上である。次いで、ポリエーテル化合物を加えてから更に撹拌を続け、十分に混合する。その後、乾燥して必要に応じて粉体化する。
【0048】
本発明のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対する環状炭化水素基を有するポリエーテル化合物で処理された層状化合物の配合量の下限値は、代表的には0.1重量部であり、好ましくは0.3重量部であり、より好ましくは0.5重量部であり、さらに好ましくは1.0重量部であり、特に好ましくは1.5重量部である。配合量の上限値は、代表的には150重量部であり、好ましくは100重量部であり、より好ましくは70重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは30重量部となるように調製される。層状化合物の配合量の下限値が0.1重量部未満であると機械的特性、反りの改善効果が不充分となる場合があり、上限値が150重量部を超えると成形体の表面外観などが損なわれる場合がある。
【0049】
また、層状化合物に由来するポリエステル樹脂組成物の灰分率の下限値は、代表的には0.1重量%であり、好ましくは0.3重量%であり、より好ましくは0.5重量%であり、さらに好ましくは1.0重量%であり、特に好ましくは1.5重量%と成るように調製され、灰分率の上限値は、代表的には60重量%であり、好ましくは50重量%であり、より好ましくは40重量%であり、更に好ましくは30重量%であり、特に好ましくは20重量%と成るように調製される。灰分率の下限値が0.1重量%未満であると機械的特性、反りの改善効果が不充分となる場合があり、上限値が60重量%を超えると成形体の表面外観などが損なわれる場合がある。
【0050】
本発明のポリエステル樹脂組成物中で分散している層状化合物の構造は、使用前の層状化合物が有していたような、層が多数積層したμmサイズの凝集構造とは全く異なる。すなわち、ポリエーテル化合物で処理される事によって、層同士が劈開し、互いに独立して細分化する。その結果、層状化合物はポリエステル樹脂組成物中で非常に細かく互いに独立した薄板状で分散し、その数は、使用前の層状化合物に比べて著しく増大する。この様な薄板状の層状化合物の分散状態は以下に述べる等価面積円直径[D]、アスペクト比(層長さ/層厚の比率)、分散粒子数、最大層厚及び平均層厚で表現され得る。
【0051】
まず、等価面積円直径[D]を、顕微鏡などで得られる像内で様々な形状で分散している個々の層状化合物の該顕微鏡像上での面積と等しい面積を有する円の直径であると定義する。その場合、ポリエステル樹脂組成物中に分散した層状化合物のうち、等価面積円直径[D]が3000Å以下である層状化合物の数の比率は20%以上であり、好ましくは35%以上であり、さらに好ましくは50%以上であり、特に好ましくは65%以上である。等価面積円直径[D]が3000Å以下である比率が20%未満であるとポリエステル樹脂組成物の機械的特性や反りの改良効果が充分でなくなる傾向がある。また、本発明のポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の等価面積円直径[D]の平均値は5000Å以下であり、好ましくは4500Å以下であり、さらに好ましくは4000Å以下であり、特に好ましくは3500Å以下である。等価面積円直径[D]の平均値が5000Åより大きいとポリエステル樹脂組成物の機械的特性や反りの改良効果が十分でなくなり、また成形品の表面外観も損なわれる場合がある。下限値は特にないが、おおよそ100Å未満では効果はほとんど変わらなくなるので、100Å未満にする必要はない。
【0052】
等価面積円直径[D]の測定は、顕微鏡などを用いて撮影した像上で、100個以上の層状化合物の層を含む任意の領域を選択し、画像処理装置などを用いて画像化して計算機処理することによって定量化できる。
【0053】
平均アスペクト比を、樹脂中に分散した層状化合物の層長さ/層厚の比の数平均値であると定義すると、本発明のポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の平均アスペクト比は10〜300であり、好ましくは15〜300であり。更に好ましくは20〜300である。層状化合物の平均アスペクト比が10未満であると、本発明のポリエステル樹脂組成物の機械的特性などの改善効果が十分に得られない場合がある。また、300より大きくても効果はそれ以上変わらないため、平均アスペクト比を300より大きくする必要はない。
【0054】
また、[N]値を、ポリエステル樹脂組成物の面積100μm2における、層状化合物の単位重量比率当たりの分散粒子数であると定義すると、本発明のポリエステル樹脂組成物における層状化合物の[N]値は、30以上であり、好ましくは45以上であり、より好ましくは60以上である。上限値は特にないが、[N]値が1000程度を越えると、それ以上効果は変わらなくなるので、1000より大きくする必要はない。[N]値が30未満であるとポリエステル樹脂組成物の機械的特性や反りの改良効果が充分でなくなる場合がある。[N]値は、例えば、次のようにして求められ得る。すなわち、ポリエステル樹脂組成物を約50μm〜100μm厚の超薄切片に切り出し、該切片をTEM等で撮影した像上で、面積が100μm2の任意の領域に存在する層状化合物の粒子数を、用いた層状化合物の重量比率で除すことによって求められ得る。あるいは、TEM像上で、100個以上の粒子が存在する任意の領域(面積は測定しておく)を選んで該領域に存在する粒子数を、用いた層状化合物の重量比率で除し、面積100μm2に換算した値を[N]値としてもよい。従って、[N]値はポリエステル樹脂組成物のTEM写真等を用いることにより定量化できる。
【0055】
また、平均層厚を、薄板状で分散した層状化合物の層厚みの数平均値であると定義すると、本発明のポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の平均層厚の上限値は500Å以下であり、好ましくは450Å以下であり、より好ましくは400Å以下である。平均層厚が500Åより大きいと、本発明のポリエステル樹脂組成物の機械的特性などの改良効果が十分に得られない場合がある。平均層厚の下限値は特に限定されないが、好ましくは50Åより大きく、より好ましくは60Å以上であり、更に好ましくは70Å以上である。
【0056】
また、最大層厚を、本発明のポリエステル樹脂組成物中に薄板状に分散した層状化合物の層厚みの最大値であると定義すると、層状化合物の最大層厚の上限値は、2000Å以下であり、好ましくは1800Å以下であり、より好ましくは1500Å以下である。最大層厚が2000Åより大きいと、本発明のポリエステル樹脂組成物の機械的特性、表面外観のバランスが損なわれる場合がある。層状化合物の最大層厚の下限値は特に限定されないが、好ましくは100Åより大きく、より好ましくは150Å以上であり、更に好ましくは200Å以上である。
【0057】
層厚および層長さは、本発明のポリエステル樹脂組成物を加熱溶融した後に、熱プレス成形あるいは延伸成形して得られるフィルム、および溶融樹脂を射出成形して得られる薄肉の成形品等を、顕微鏡等を用いて撮影される像から求めることができる。すなわち、いま仮に、X−Y面上に上記の方法で調製したフィルムの、あるいは肉厚が約0.5〜2mm程度の薄い平板状の射出成形した試験片を置いたと仮定する。上記のフィルムあるいは試験片をX−Z面あるいはY−Z面と平行な面で約50μm〜100μm厚の超薄切片を切り出し、該切片を透過型電子顕微鏡などを用い、約4〜10万倍以上の高倍率で観察して求められ得る。測定は、上記の方法で得られた透過型電子顕微鏡の象上に置いて、100個以上の層状化合物を含む任意の領域を選択し、画像処理装置などで画像化し、計算機処理する事等により定量化できる。あるいは、定規などを用いて計測しても求めることもできる。
【0058】
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂とポリエーテル化合物で処理した層状化合物とを、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練する方法をあげることができる。混練機の例としては、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどが挙げられ、特に、剪断効率の高い混練機が好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂とポリエーテル化合物で処理した層状化合物とは、上記の混練機に一括投入して溶融混練しても良いし、あるいは予め溶融状態にした熱可塑性ポリエステル樹脂に層状化合物を添加して溶融混練しても良い。
【0059】
本発明のポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、α−オレフィンの単独重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合体(ランダム、ブロック、グラフトなど、いずれの共重合体も含み、これらの混合物であっても良い)、またはオレフィン系エラストマーなどの耐衝撃性改良剤を添加することができる。これらは無水マレイン酸等の酸化合物、またはグリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物で変性されていても良い。また、機械的特性などの特性を損なわない範囲で、他の任意の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム質重合体強化スチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、及びポリアリレート樹脂等を単独または2種以上組み合わせて使用し得る。
【0060】
更に、目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、及び帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
【0061】
本発明で得られるポリエステル樹脂組成物は、射出成形や熱プレス成形で成形しても良く、ブロー成形にも使用できる。得られる成形品は外観に優れ、機械的特性や耐熱変形性等に優れる為、例えば、自動車部品、家庭用電気製品部品、家庭日用品、包装資材、その他一般工業用資材に好適に用いられる。
【0062】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0063】
実施例、及び比較例で使用する主要原料を以下にまとめて示す。尚、特に断らない場合は、原料の精製は行っていない。
(原料)
・熱可塑性ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレート樹脂(鐘紡(株)のベルペットEFG85A、対数粘度(ηinh)=0.85(dl/g)、以降PETと称す)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(KOLON社製のKP210、以降PBTと称す)を用いた。
・層状化合物:モンモリロナイト(クニミネ工業(株)のクニピアF、以降クニピアFと称す)および膨潤性雲母(コープケミカル(株)のソマシフME100、以降ME100と称す)を用いた。
・ポリエーテル化合物:主鎖にビスフェノールA単位を含有するポリエチレングリコール(東邦化学(株)のビスオール18ENおよびビスオール10EN)、ポリエチレングリコール(三洋化成(株)のPEG400およびPEG1000)を用いた。
(分散状態の測定)
厚み50〜100μmの超薄切片を用いた。透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1200EX)を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜100万倍で層状化合物の分散状態を観察撮影した。TEM写真において、100個以上の分散粒子が存在する任意の領域を選択し、層厚、層長、粒子数([N]値)、等価面積円直径[D]を、目盛り付きの定規を用いた手計測またはインタークエスト社の画像解析装置PIASIIIを用いて処理する事により測定した。
【0064】
等価面積円直径[D]はインタークエスト社の画像解析装置PIASIIIを用いて処理する事により測定した。[N]値の測定は以下のようにして行った。まず、TEM像上で、選択した領域に存在する層状化合物の粒子数を求める。これとは別に、層状化合物に由来する樹脂組成物の灰分率を測定する。上記粒子数を灰分率で除し、面積100μm2に換算した値を[N]値とした。平均層厚は個々の層状化合物の層厚の数平均値、最大層厚は個々の層状化合物の層厚の中で最大の値とした。分散粒子が大きく、TEMでの観察が不適当である場合は、光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製の光学顕微鏡BH−2)を用いて上記と同様の方法で[N]値を求めた。ただし、必要に応じて、サンプルはLINKAM製のホットステージTHM600を用いて250〜270℃で溶融させ、溶融状態のままで分散粒子の状態を測定した。平均アスペクト比は個々の層状化合物の層長と層厚の比の数平均値とした。板状に分散しない分散粒子のアスペクト比は、長径/短径の値とした。ここで、長径とは、顕微鏡像等において、対象となる粒子の外接する長方形のうち面積が最小となる長方形を仮定すれば、その長方形の長辺を意図する。また、短径とは、上記最小となる長方形の短辺を意図する。
(曲げ特性)
本発明のポリエステル樹脂組成物を乾燥(140℃、5時間)した。型締圧75tの射出成形機を用い、樹脂温度250〜270℃で、寸法約10×100×6mmの試験片を射出成形した。ASTM D−790に従い、得られた試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
(溶融熱安定性)
射出成形機のシリンダー内で250〜270℃で5分間滞留した後に、上記曲げ特性と同条件で試験片を得、曲げ特性を評価した。
(反り)
本発明のポリエステル樹脂組成物を乾燥(140℃、5時間)した後、金型温度120℃、樹脂温度250〜280℃の条件で、寸法約120×120×1mmの平板状試験片を射出成形した。平面上に上記の平板状試験片を置き、試験片の4隅の内の1カ所を押さえ、残り3隅の内、平面からの距離が最も大きい値をノギス等を用いて測定した。4隅それぞれを押さえ、得られた反り値の平均値を求めた。
(表面光沢)
反りと同条件で成形した平板状試験片の表面光沢を測定した。ERICHSEN社のミニグロスマスターを用い、反射角60°で測定した。標準板50%に対する相対値とした。
(灰分率)
JIS K 7052に準じ、層状化合物に由来するポリエステル樹脂組成物の灰分率を測定した。
製造例1
イオン交換水と層状化合物を混合した。ついでポリエーテル化合物を添加して15〜30分間混合を続ける事によって処理した。その後、粉体化してポリエーテル化合物で処理した層状化合物(粘土A−1〜A−8および粘土B−1〜B−3)を得た。製造例で用いた原料の重量比を表1に示す。
【0065】
【表1】
Figure 0004467140
製造例2
反応機にジメチルテレフタレート(DMT)100重量部に対し、76重量部のプロピレングリコール、0.003重量部のヒンダードフェノール系安定剤(旭電化(株)アデカスタブAO60、以降AO60と称す)および0.00025重量部のTi(OBu)4を投入し、反応温度約150〜200℃で撹拌してDMTとプロピレングリコールをエステル交換させた。その後、0.00025重量部のSb23を添加し、反応温度270〜280℃、減圧下(0.8〜5.0torr(0.107〜0.665MPa))で溶融重縮合を行い、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)樹脂を得た。
実施例1〜9
表2に示す重量比のPETおよび製造例1で得た層状化合物(A−1〜A−8)と樹脂100重量部に対して0.2重量部のAO60を二軸押出機(日本製鋼(株)製、TEX44)を用いて溶融混練することによりポリエステル樹脂組成物を得、評価した。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
Figure 0004467140
比較例1〜6
表3に示す重量比のPET、製造例1で得た層状化合物(B−1〜B−3)、ME100、クニピアF、ガラス繊維(日本電気硝子(株)のT−195H)およびAO60を実施例1と同様に溶融混練し、評価した。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
Figure 0004467140
表3より、ME100やクニピアFはポリエーテル化合物で処理しない場合、曲げ特性は改善されずまた良好な平板状試験片は得られなかった。環状炭化水素基を有しないポリエーテル化合物(PEG400、PEG1000)で処理した場合、成形後の曲げ特性は改善されるものの溶融滞留すると著しく低下し、熱安定性が低かった。ガラス繊維では反りや光沢度が損なわれた。従って、比較例1〜6はバランスに優れるものは得られなかった。
実施例10、11
表4に示す重量比のPBT、製造例1で得た層状化合物(A−2およびA−4)およびAO60を実施例1と同様に溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物を得、評価した。結果を表4に示す。
比較例7,8
表4に示す重量比のPBT、製造例1で得た層状化合物(B−1)、ME100およびAO60を実施例1と同様に溶融混練し、評価した。結果を表4に示す。
【0068】
【表4】
Figure 0004467140
表4より、ME100はポリエーテル化合物で処理しない場合、曲げ特性は改善されずまた良好な平板状試験片は得られなかった。環状炭化水素基を有しないポリエーテル化合物(PEG1000)で処理した場合、成形後の曲げ特性は改善されるものの溶融滞留すると著しく低下し、熱安定性が低かった。従って、比較例7、8はバランスに優れるものは得られなかった。
実施例12、13
表5に示す重量比の製造例2で得たPPT、製造例1で得た層状化合物(A−2およびA−4)およびAO60を実施例1と同様に溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物を得、評価した。結果を表5に示す。
比較例9,10
表5に示す重量比の製造例2で得たPPT、製造例1で得た層状化合物(B−1)、ME100およびAO60を実施例1と同様に溶融混練し、評価した。結果を表5に示す。
【0069】
【表5】
Figure 0004467140
表5より、ME100はポリエーテル化合物で処理しない場合、曲げ特性は改善されず、また良好な平板状試験片は得られなかった。環状炭化水素基を有しないポリエーテル化合物(PEG1000)で処理した場合、成形後の曲げ特性は改善されるものの溶融滞留すると著しく低下し、熱安定性が低かった。従って、比較例9,10ではバランスに優れるものは得られなかった。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したように、熱可塑性ポリエステル樹脂中で、環状炭化水素基を有するポリエーテル化合物で処理された層状化合物を均一微分散することによって、低反り、表面外観良好でかつ機械的特性を高めると共に、溶融状態での熱安定性がよく、溶融滞留後の強度も保持され、物性のバランスに優れるポリエステル樹脂組成物が提供される。

Claims (8)

  1. 熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部、および環状炭化水素基を有するポリエーテル化合物で処理された層状化合物0.1重量部以上、150重量部以下を含有する、ポリエステル樹脂組成物であって、
    該ポリエーテル化合物で処理された層状化合物が、水または水を含有する極性溶媒中で層状化合物100重量部に対してポリエーテル化合物0.1重量部以上、200重量部以下を混合する事によって得られるものであり、
    かつ
    該ポリエーテル化合物が、下記一般式(2):
    Figure 0004467140
    (式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 、およびR 8 は、いずれも水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、R 9 、R 10 はいずれも炭素数2〜5の2価の炭化水素基であり、R 11 、R 12 はいずれも水素原子、または炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。mはOR 9 単位の、nはOR 10 単位の繰り返し単位数を示し、2≦m+n≦50である。)で表されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物
  2. ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の等価面積円直径[D]が3000Å以下である層状化合物の比率が20%以上である、請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の等価面積円直径[D]の平均値が5000Å以下である、請求項1、又はのいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の平均層厚が500Å以下である事を特徴とする、請求項1のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の最大層厚が2000Å以下である事を特徴とする、請求項1のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の[N]値が30以上であり、ここで[N]値が、樹脂組成物の面積100μm2中に存在する、層状化合物の単位重量比率当たりの粒子数であると定義される事を特徴とする、請求項1のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の平均アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜300である、請求項1のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  8. 層状化合物が層状ケイ酸塩であることを特徴とする、請求項1のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
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