JP2001323143A - ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物の製造方法

Info

Publication number
JP2001323143A
JP2001323143A JP2000147809A JP2000147809A JP2001323143A JP 2001323143 A JP2001323143 A JP 2001323143A JP 2000147809 A JP2000147809 A JP 2000147809A JP 2000147809 A JP2000147809 A JP 2000147809A JP 2001323143 A JP2001323143 A JP 2001323143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
resin composition
layered compound
compound
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000147809A
Other languages
English (en)
Inventor
Noriyuki Suzuki
紀之 鈴木
Kazuhiro Hara
和宏 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2000147809A priority Critical patent/JP2001323143A/ja
Priority to US10/276,798 priority patent/US7056963B2/en
Priority to PCT/JP2001/004157 priority patent/WO2001088035A1/ja
Priority to CA2409858A priority patent/CA2409858C/en
Priority to DE60114802T priority patent/DE60114802D1/de
Priority to EP01930201A priority patent/EP1283245B1/en
Publication of JP2001323143A publication Critical patent/JP2001323143A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低反りでかつ機械的特性に優れ、溶融状態で
の熱安定性も向上させることにより物性のバランスに優
れるポリエステル樹脂組成物を製造する方法を提供する
こと。 【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂および層状化
合物を含有するポリエステル樹脂組成物を製造する方法
であって、(A)層状化合物とポリエーテル化合物を混
合する工程、(B)(A)工程後に(A)工程で得られ
た混合物と熱可塑性ポリエステル樹脂とを溶融混練する
工程、(C)溶融混練後にポリエステル樹脂を高分子量
化する工程、を有するポリエステル樹脂組成物の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリエス
テル樹脂および層状化合物を含有するポリエステル樹脂
組成物の製造方法および該製造方法によって得られるポ
リエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑
性ポリエステル樹脂は耐熱性、耐薬品性、耐候性、機械
的特性、電気的特性等に優れる為、射出成形材料、繊
維、フィルムとして多くの工業的用途に使用されている
が、更に高い機械的特性や耐熱性が求められている。そ
のような要求に対しては一般的に様々な無機粒子の配合
による改良が試みられてきたが、それによって製品の表
面外観が損なわれたり、射出成形時に繊維状無機物が配
向することによって異方性が生じる問題があった。
【0003】こうした無機粒子の欠点は、一般に無機粒
子の分散不良や分散粒子サイズが大きすぎることに起因
するものと考えられており、無機粒子を微分散化する技
術が望まれていた。本発明者らは、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂中で層状ケイ酸塩の層を劈開して微分散化するた
めには、層状ケイ酸塩をポリエーテル化合物で処理して
粘土層間化合物にする事が特に有効であることを見出
し、熱可塑性ポリエステル樹脂と粘土層間化合物とを溶
融混練する事によりポリエステル樹脂組成物を製造する
技術を開示した(特開平10−259016号公報、特
開平10−310420号公報)。該技術によって、表
面外観の低下や反りを生じることなく弾性率や耐熱性を
高めることができるが、溶融加工時の熱安定性は必ずし
も充分であるとはいえず、機械的特性が低下する場合が
あった。
【0004】また、本発明者らはジオール化合物(特開
平10−306205号公報)やビスヒドロキシアルキ
ルテレフタレート(特開平11−140286号公報)
を利用したポリエステル樹脂組成物の製造方法に関する
発明を開示したが製造時間が長くなる場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はこの様
な従来の問題を改善する事であり、熱安定性を損なうこ
となく、機械的特性、表面外観に優れ、反りが少ないポ
リエステル樹脂組成物を効率的に製造する方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成する為に鋭意検討した結果、本発明を完成するに
至った。
【0007】即ち、本発明の第1は、熱可塑性ポリエス
テル樹脂および層状化合物を含有するポリエステル樹脂
組成物を製造する方法であって、(A)層状化合物とポ
リエーテル化合物を混合する工程、(B)(A)工程後
に(A)工程で得られた混合物と熱可塑性ポリエステル
樹脂とを溶融混練する工程、(C)溶融混練後にポリエ
ステル樹脂を高分子量化する工程、を有するポリエステ
ル樹脂組成物の製造方法に関する。
【0008】好ましい実施態様としては、ポリエーテル
化合物が下記一般式(1):
【0009】
【化2】 (式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO
2-、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または
炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R1、R 2、R3
4、R5、R6、R7、およびR8は、いずれも水素原子、ハ
ロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基、
9、R10は、いずれも炭素数1〜5の2価の炭化水素
基であり、R11、R12はいずれも水素原子、炭素数1〜
20の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一
であっても異なっていても良い。mおよびnはオキシア
ルキレン単位の繰り返し単位数を示し、2≦m+n≦5
0である。)で表されることを特徴する、前記に記載の
ポリエステル樹脂組成物の製造方法に関する。
【0010】更に好ましい実施態様としては、層状化合
物が下記(a)〜(c)のうち少なくとも一の条件を満
たすことを特徴とする、前記いずれかに記載のポリエス
テル樹脂組成物の製造方法に関する。 (a)ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物のうち、
等価面積円直径[D]が3000Å以下である層状化合
物の比率が20%以上であること。 (b)ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の等価面
積円直径[D]の平均値が、5000Å以下であるこ
と。 (c)[N]値が30以上であり、ここで[N]値が、
樹脂組成物の面積100μm2中に存在する、シラン粘
土複合体の単位比率当たりの粒子数であると定義される
こと。
【0011】更に好ましい実施態様としては、層状化合
物が下記(d)、(e)のうち少なくとも一の条件を満
たすことを特徴とする、前記いずれかに記載のポリエス
テル樹脂組成物の製造方法に関する。 (d)ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の平均層
厚が500Å以下であること。 (e)ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の最大層
厚が2000Å以下であること。
【0012】更に好ましい実施態様としては、ポリエス
テル樹脂組成物中の層状化合物の平均アスペクト比(層
長さ/層厚の比)が10〜300であることを特徴とす
る、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製
造方法に関する。
【0013】更に好ましい実施態様としては、層状化合
物が層状ケイ酸塩である、前記いずれかに記載のポリエ
ステル樹脂組成物の製造方法に関する。
【0014】本発明の第2は、本発明の第1に記載のポ
リエステル樹脂組成物の製造方法により得られるポリエ
ステル樹脂組成物に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル樹脂組成物
の製造方法の工程(A)として、層状化合物とポリエー
テル化合物を混合する工程を行い得る。
【0016】本発明で用いられる層状化合物とは、ケイ
酸塩、リン酸ジルコニウム等のリン酸塩、チタン酸カリ
ウム等のチタン酸塩、タングステン酸ナトリウム等のタ
ングステン酸塩、ウラン酸ナトリウム等のウラン酸塩、
バナジン酸カリウム等のバナジン酸塩、モリブデン酸マ
グネシウム等のモリブデン酸塩、ニオブ酸カリウム等の
ニオブ酸塩、黒鉛から成る群より選択される1種以上で
ある。入手の容易性、取扱い性等の点から層状ケイ酸塩
が好ましく用いられる。
【0017】上記の層状ケイ酸塩とは、主として酸化ケ
イ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体
シートから形成され、例えば、スメクタイト族粘土およ
び膨潤性雲母などが挙げられる。
【0018】前記のスメクタイト族粘土は下記一般式
(2): X1 0.20.61 231 410(OH)2・nH2O (2) (ただし、X1はK、Na、1/2Ca、及び1/2M
gから成る群より選ばれる1種以上であり、Y1はM
g、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrか
ら成る群より選ばれる1種以上であり、Z1はSi、及
びAlから成る群より選ばれる1種以上である。尚、H
2Oは層間イオンと結合している水分子を表すが、nは
層間イオンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で
表される、天然または合成されたものである。該スメク
タイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナ
イト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄
サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサ
イト及びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導
体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメク
タイト族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約1
0〜17Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の
平均粒径はおおよそ1000Å〜1000000Åであ
る。
【0019】また、前記の膨潤性雲母は下記一般式
(3): X2 0.51.02 23(Z2 410)(F、OH)2 (3) (ただし、X2はLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、
及びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、Y2
はMg、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群
より選ばれる1種以上であり、Z2はSi、Ge、A
l、Fe、及びBから成る群より選ばれる1種以上であ
る。)で表される、天然または合成されたものである。
これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及
び水と該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する
物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウ
ム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナト
リウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導
体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性
雲母の初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10
〜17Åであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は
約1000〜1000000Åである。
【0020】上記の膨潤性雲母の中にはバーミキュライ
ト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバー
ミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュラ
イト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記
一般式(4): (Mg,Fe,Al)23(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O ( 4) (ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカ
リ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=
3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記
バーミキュライト相当品の初期の凝集状態における底面
間隔はおおよそ10〜17Åであり、凝集状態での平均
粒径は約1000〜5000000Åである。
【0021】層状ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に規
則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましいが、
結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合った、い
わゆる混合層鉱物も使用され得る。
【0022】層状ケイ酸塩は単独で用いても良く、2種
以上組み合わせて使用しても良い。これらの内では、モ
ンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび層
間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、入手の容
易さ、得られるポリエステル樹脂組成物中での分散性お
よびポリエステル樹脂組成物の物性改善効果の点から好
ましい。
【0023】本発明で用いられるポリエーテル化合物と
は、主鎖がポリオキシエチレンやポリオキシエチレン−
ポリオキシプロピレン共重合体などのようなポリオキシ
アルキレンである化合物を意図する。
【0024】上記のポリエーテル化合物は側鎖および/
または主鎖中に、熱可塑性ポリエステル樹脂や層状化合
物に悪影響を与えない限りにおいて任意の置換基を有し
ていても良い。該置換基の例としては、炭化水素基、エ
ステル結合で結合している基、エポキシ基、アミノ基、
カルボキシル基、末端にカルボニル基を有する基、アミ
ド基、メルカプト基、スルホニル結合で結合している
基、スルフィニル結合で結合している基、ニトロ基、ニ
トロソ基、ニトリル基、アルコキシシリル基やシラノー
ル基など、Si−O−結合を形成し得る含Si原子官能
基、ハロゲン原子および水酸基などが挙げられる。これ
らの内の1種で置換されていても良く、2種以上で置換
されていても良い。
【0025】上記の炭化水素基とは、直鎖または分岐鎖
(すなわち側鎖を有する)の飽和または不飽和の一価ま
たは多価の脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基、
脂環式炭化水素基を意味し、例えば、アルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナフチル基、シ
クロアルキル基等が挙げられる。本明細書において、
「アルキル基」という場合は、特に指示が無い限り「ア
ルキレン基」等の多価の炭化水素基を包含することを意
図する。同様にアルケニル基、アルキニル基、フェニル
基、ナフチル基、及びシクロアルキル基は、それぞれア
ルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基、ナフチ
レン基、及びシクロアルキレン基等を包含する。
【0026】ポリエーテル化合物中の置換基の組成比は
特に制限されるものではないが、ポリエーテル化合物が
水または水を含有する極性溶媒に可溶である事が望まし
い。具体的には、例えば、室温の水100gに対する溶
解度が1g以上であり、好ましくは2g以上であり、よ
りに好ましくは5g以上であり、更に好ましくは10g
以上であり、特に好ましくは20g以上である。
【0027】上記の極性溶媒とは、例えば、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール等のグリコール類、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合
物、その他の溶媒としてピリジン、ジメチルスルホキシ
ドやN−メチルピロリドン等が挙げられる。又、炭酸ジ
メチルや炭酸ジエチルような炭酸ジエステルも使用でき
る。これらの極性溶媒は単独で用いても良く2種類以上
組み合わせて用いても良い。
【0028】本発明で用いられるポリエーテル化合物の
中では、下記一般式(1):
【0029】
【化3】 (式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO
2-、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または
炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R1、R 2、R3
4、R5、R6、R7、およびR8は、いずれも水素原子、ハ
ロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基、
9、R10は、いずれも炭素数1〜5の2価の炭化水素
基であり、R11、R12はいずれも水素原子、炭素数1〜
20の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一
であっても異なっていても良い。mおよびnはオキシア
ルキレン単位の繰り返し単位数を示し、2≦m+n≦5
0である。)で表されるもの、具体的には、γ−(ポリ
オキシエチレン)プロピルトリメトキシシラン、ポリテ
トラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール
が熱安定性、層状化合物の分散性、入手の容易さの点か
ら好ましく用いられ得る。
【0030】ポリエーテル化合物の使用量は、層状化合
物と熱可塑性ポリエステル樹脂との親和性、ポリエステ
ル樹脂組成物中での層状化合物の分散性が十分に高まる
ように調製し得る。必要であるならば、異種の官能基を
有する複数種のポリエーテル化合物を併用し得る。従っ
て、ポリエーテル化合物の使用量は一概に数値で限定さ
れるものではないが、層状化合物100重量部に対する
層状化合物の配合量の下限値は、0.1重量部であり、
好ましくは0.2重量部であり、より好ましくは0.3
重量部であり、更に好ましくは0.4重量部であり、特
に好ましくは0.5重量部である。層状化合物100重
量部に対する層状化合物の配合量の上限値は、200重
量部であり、好ましくは180重量部であり、より好ま
しくは160重量部であり、更に好ましくは140重量
部であり、特に好ましくは120重量部である。ポリエ
ーテル化合物量の下限値が0.1重量部未満であると層
状化合物の微分散化効果が充分で無くなり、結果として
機械的特性、耐熱性、反りへの効果が充分でない傾向が
ある。また、ポリエーテル化合物量の200重量部を越
えると、効果が変わらないので、200重量部より多く
使用する必要はない。
【0031】層状化合物とポリエーテル化合物を混合す
る方法は特に限定されず、層状化合物とポリエーテル化
合物を直接混合する方法や、水あるいは水を含有する極
性溶媒中で層状化合物とポリエーテル化合物を混合する
方法が挙げられる。混合の効率の点から、後者が望まし
い。混合は本発明において、ポリエーテル化合物で層状
化合物を処理する方法は特に限定されず、例えば、以下
に示した方法で行い得る。
【0032】まず、層状化合物と分散媒を撹拌混合す
る。前記分散媒とは水または水を含有する極性溶媒を意
図する。具体的には既に上述しているのでここでは省略
する。
【0033】層状化合物と分散媒との攪拌の方法は特に
限定されず、例えば、従来公知の湿式撹拌機を用いて行
われる。該湿式撹拌機としては、撹拌翼が高速回転して
撹拌する高速撹拌機、高剪断速度がかかっているロータ
ーとステーター間の間隙で試料を湿式粉砕する湿式ミル
類、硬質媒体を利用した機械的湿式粉砕機類、ジェット
ノズルなどで試料を高速度で衝突させる湿式衝突粉砕機
類、超音波を用いる湿式超音波粉砕機などを挙げること
ができる。より効率的に混合したい場合は、撹拌の回転
数を1000rpm以上、好ましくは1500rpm以
上、より好ましくは2000rpm以上にするか、ある
いは500(1/s)以上、好ましくは1000(1/
s)以上、より好ましくは1500(1/s)以上の剪
断速度を加える。回転数の上限値は約25000rpm
であり、剪断速度の上限値は約500000(1/s)
である。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、剪断
を加えてもそれ以上変わらない傾向があるため、上限値
よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。また、混合に
要する時間は1〜10分以上である。次いで、ポリエー
テル化合物を加えてから更に撹拌を続け、十分に混合す
る。その後、必要に応じて粉体化する。
【0034】層状ケイ酸塩とポリエーテル化合物を混合
した後に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法
の工程(B)として、上記の混合物と熱可塑性ポリエス
テル樹脂とを溶融混練する工程を行う。
【0035】本発明で用いられる熱可塑性ポリエステル
樹脂とは、ジカルボン酸化合物および/またはジカルボ
ン酸のエステル形成性誘導体を主成分とする酸成分、及
びジオール化合物および/またはジオール化合物のエス
テル形成性誘導体を主成分とするジオール成分との反応
により得られる従来公知の任意の熱可塑性ポリエステル
樹脂である。
【0036】前記主成分とするとは、酸成分又はジオー
ル成分中に占めるそれぞれの割合が80%以上、さらに
は90%以上であることを意図し、上限は100%であ
る。
【0037】熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサ
メチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4
−ジメチルテレフタレート、ネオペンチルテレフタレー
ト、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレ
ンナフタレートなどが挙げられる。上記の熱可塑性ポリ
エステル樹脂は単独で、または組成あるいは成分の異な
るもの及び/または固有粘度の異なるものを2種以上組
み合わせて使用し得る。
【0038】前記ポリエステル樹脂の中では、機械的特
性、耐熱性、コスト等の点から、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキ
サン−1,4−ジメチルテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレートが好ましい。
【0039】熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量は、フ
ェノール/テトラクロロエタン(5/5重量比)混合溶
媒を用いて、25℃で測定した対数粘度が0.3〜2.
0(dl/g)のものが好ましく、より好ましくは0.
3〜1.8(dl/g)であり、さらに好ましくは0.3
〜1.5(dl/g)であり、特に好ましくは0.3〜
1.2(dl/g)である。対数粘度が0.3(dl/
g)未満である場合、得られるポリエステル樹脂組成物
の機械的特性が低く、また、2.0(dl/g)より大
きい場合は溶融粘度が高い為に成形流動性が低下する傾
向がある。
【0040】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方
法の工程(B)で、熱可塑性ポリエステル樹脂100重
量部に対するポリエーテル化合物で処理された層状化合
物の配合量の下限値は、代表的には0.1重量部であ
り、好ましくは0.3重量部であり、より好ましくは0.
5重量部であり、さらに好ましくは1.0重量部であ
り、特に好ましくは1.5重量部である。配合量の上限
値は、代表的には150重量部であり、好ましくは10
0重量部であり、より好ましくは70重量部であり、更
に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは30重
量部となるように調製される。層状化合物の配合量の下
限値が0.1重量部未満であると機械的特性、反りの改
善効果が不充分となる場合があり、上限値が150重量
部を超えると成形体の表面外観、加工性などが損なわれ
る場合がある。
【0041】また、層状化合物に由来するポリエステル
樹脂組成物の灰分率の下限値は、代表的には0.1重量
%であり、好ましくは0.3重量%であり、より好まし
くは0.5重量%であり、さらに好ましくは1.0重量%
であり、特に好ましくは1.5重量%と成るように調製
され、灰分率の上限値は、代表的には60重量%であ
り、好ましくは50重量%であり、より好ましくは40
重量%であり、更に好ましくは30重量%であり、特に
好ましくは20重量%と成るように調製される。灰分率
の下限値が0.1重量%未満であると機械的特性、反り
の改善効果が不充分となる場合があり、上限値が60重
量%を超えると成形体の表面外観、加工性などが損なわ
れる場合がある。
【0042】溶融混練は、種々の一般的な混練機を用い
て溶融混練する方法をあげることができる。混練機の例
としては、1軸押出機、2軸押出機、バンバリミキサ
ー、ロール等、系に高い剪断力を与え得る公知の混練機
を意図する。特にニーディングディスク部を有する噛み
合い型2軸押出機が、層状化合物の分散性の点から好ま
しい。
【0043】層状化合物とポリエーテル化合物とを混合
した物と熱可塑性ポリエステル樹脂は、上記の混練機に
一括投入して溶融混練しても良いし、あるいは予め溶融
状態にした熱可塑性ポリエステル樹脂に混合した物を添
加して溶融混練してもよい。
【0044】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方
法の工程(C)として、溶融混練後にポリエステル樹脂
を高分子量化する工程を行う。
【0045】工程(B)の溶融混練で得られるものの中
には主として、熱可塑性ポリエステル樹脂、微分散化し
た層状化合物およびポリエーテル化合物を含む。微分散
化した層状化合物を含むことによって表面外観に悪影響
を及ぼすことなく樹脂の機械的特性や反りを改善させる
ことができる一方、ポリエーテル化合物を含んだままで
あると溶融加工時の熱安定性は必ずしも充分であるとは
いえず、特に溶融状態で滞留した場合には樹脂の低分子
量化によって機械的特性が低下する場合があり好ましく
ない。それを抑制する目的から、工程(C)の高分子量
化をする必要がある。
【0046】高分子量化の方法は特に限定されず、通常
一般に行われる熱可塑性ポリエステル樹脂の重合方法に
よってなし得る。その様な方法としては、例えば、工程
(B)の溶融混練で得られた物を重合反応機内に投入し
た後、溶融状態のまま撹拌しながら系を減圧する事によ
って溶融重縮合反応を行う方法、あるいは、溶融混練し
た物を冷却ペレット化し、予備結晶化および乾燥した
後、150℃〜融点以下に加熱して固相重合する方法等
が挙げられる。樹脂の高分子量化に必要な重合触媒は、
原料である熱可塑性ポリエステル樹脂に既に含有されて
いるが、必要に応じて、金属酸化物、炭酸塩、酢酸塩、
及びアルコラート等の1種または2種以上を新たに添加
して使用することもできる。また、その他の方法として
は、工程(B)で用いられる混練機のスクリュー構成、
シリンダーの長さ、脱気設備などの混練機の構造、およ
び混練温度や滞留時間などの混練条件などが熱可塑性ポ
リエステル樹脂の高分子量化に適したものである場合、
混練機中で工程(C)の高分子量化を行うことができ
る。この方法であれば、ポリエステル樹脂組成物の製造
をより効率的に行うことができるばかりでなく、顔料や
染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、滑剤、可塑剤、難燃剤および帯電防止剤等の各種副
原料を加えることができるので、製造工程の簡略化にも
繋がり好ましい。
【0047】以上、本発明のポリエステル樹脂組成物の
製造方法の工程(A)(B)(C)を行う事によって得
られるポリエステル樹脂組成物が、得られる成型体の表
面外観や反りを損なわずに機械的特性や耐熱性が優れた
ものであるのは、層状化合物が樹脂中に微分散化してい
るためである。微分散化した層状化合物の分散状態およ
び形態は、以下に示すうちの何れかであり得る。ポリエ
ステル樹脂組成物中で分散している層状化合物は、使用
前の層状化合物が有していたような、層が多数積層した
μmサイズの凝集構造とは全く異なる。すなわち、層同
士が劈開し、互いに独立して細分化する。その結果、層
状化合物はポリエステル樹脂組成物中で非常に細かく互
いに独立した薄板状で分散し、その数は、使用前の層状
化合物に比べて著しく増大する。この様な薄板状の層状
化合物の分散状態は以下に述べる等価面積円直径
[D]、アスペクト比(層長さ/層厚の比率)、分散粒
子数、最大層厚及び平均層厚で表現され得る。
【0048】まず、等価面積円直径[D]を、顕微鏡な
どで得られる像内で様々な形状で分散している個々の層
状化合物の該顕微鏡像上での面積と等しい面積を有する
円の直径であると定義する。その場合、ポリエステル樹
脂組成物中に分散した層状化合物のうち、等価面積円直
径[D]が3000Å以下である層状化合物の数の比率
は20%以上であり、好ましくは35%以上であり、さ
らに好ましくは50%以上であり、特に好ましくは65
%以上である。等価面積円直径[D]が3000Å以下
である比率が20%未満であるとポリエステル樹脂組成
物の機械的特性や反りへの効果が充分でなくなる傾向が
ある。また、本発明の製造方法で得られるポリエステル
樹脂組成物中の層状化合物の等価面積円直径[D]の平
均値は5000Å以下であり、好ましくは4500Å以
下であり、さらに好ましくは4000Å以下であり、特
に好ましくは3500Å以下である。等価面積円直径
[D]の平均値が5000Åより大きいとポリエステル
樹脂組成物の機械的特性や反りへの効果が十分でなくな
り、また得られる成型体の表面外観も損なわれる場合が
ある。下限値は特にないが、おおよそ100Å未満では
効果はほとんど変わらなくなるので、100Å未満にす
る必要はない。
【0049】等価面積円直径[D]の測定は、顕微鏡な
どを用いて撮影した像上で、100個以上の層状化合物
の層を含む任意の領域を選択し、画像処理装置などを用
いて画像化して計算機処理することによって定量化でき
る。
【0050】平均アスペクト比を、樹脂中に分散した層
状化合物の層長さ/層厚の比の数平均値であると定義す
ると、本発明の製造方法で得られるポリエステル樹脂組
成物中の層状化合物の平均アスペクト比は10〜300
であり、好ましくは15〜300であり。更に好ましく
は20〜300である。層状化合物の平均アスペクト比
が10未満であると、本発明のポリエステル樹脂組成物
の機械的特性などの改善効果が十分に得られない場合が
ある。また、300より大きくても効果はそれ以上変わ
らないため、平均アスペクト比を300より大きくする
必要はない。
【0051】また、[N]値を、ポリエステル樹脂組成
物の面積100μm2における層状化合物の単位重量比
率当たりの分散粒子数であると定義すると、本発明の製
造方法で得られるポリエステル樹脂組成物における層状
化合物の[N]値は、30以上であり、好ましくは45
以上であり、より好ましくは60以上である。上限値は
特にないが、[N]値が1000程度を越えると、それ
以上効果は変わらなくなるので、1000より大きくす
る必要はない。[N]値が30未満であるとポリエステ
ル樹脂組成物の機械的特性や反りの改良効果が充分でな
くなる場合がある。[N]値は、例えば、次のようにし
て求められ得る。すなわち、ポリエステル樹脂組成物を
約50μm〜100μm厚の超薄切片に切り出し、該切
片をTEM等で撮影した像上で、面積が100μm2
任意の領域に存在する層状化合物の粒子数を、用いた層
状化合物の重量比率で除すことによって求められ得る。
あるいは、TEM像上で、100個以上の粒子が存在す
る任意の領域(面積は測定しておく)を選んで該領域に
存在する粒子数を、用いた層状化合物の重量比率で除
し、面積100μm2に換算した値を[N]値としても
よい。従って、[N]値はポリエステル樹脂組成物のT
EM写真等を用いることにより定量化できる。
【0052】また、平均層厚を、薄板状で分散した層状
化合物の層厚みの数平均値であると定義すると、本発明
の製造方法で得られるポリエステル樹脂組成物中の層状
化合物の平均層厚の上限値は500Å以下であり、好ま
しくは450Å以下であり、より好ましくは400Å以
下である。平均層厚が500Åより大きいと、本発明の
ポリエステル樹脂組成物の機械的特性などの改良効果が
十分に得られない場合がある。平均層厚の下限値は特に
限定されないが、好ましくは50Åより大きく、より好
ましくは60Å以上であり、更に好ましくは70Å以上
である。
【0053】また、最大層厚を、本発明の製造方法で得
られるポリエステル樹脂組成物中に薄板状に分散した層
状化合物の層厚みの最大値であると定義すると、層状化
合物の最大層厚の上限値は、2000Å以下であり、好
ましくは1800Å以下であり、より好ましくは150
0Å以下である。最大層厚が2000Åより大きいと、
ポリエステル樹脂組成物の機械的特性、表面外観のバラ
ンスが損なわれる場合がある。層状化合物の最大層厚の
下限値は特に限定されないが、好ましくは100Åより
大きく、より好ましくは150Å以上であり、更に好ま
しくは200Å以上である。
【0054】層厚および層長さは、ポリエステル樹脂組
成物を加熱溶融した後に、熱プレス成形あるいは延伸成
形して得られるフィルム、および溶融樹脂を射出成形し
て得られる薄肉の成形品等を、顕微鏡等を用いて撮影さ
れる像から求めることができる。
【0055】すなわち、いま仮に、X−Y面上に上記の
方法で調製したフィルムの、あるいは肉厚が約0.5〜
2mm程度の薄い平板状の射出成形した試験片を置いた
と仮定する。上記のフィルムあるいは試験片をX−Z面
あるいはY−Z面と平行な面で約50μm〜100μm
厚の超薄切片を切り出し、該切片を透過型電子顕微鏡な
どを用い、約4〜10万倍以上の高倍率で観察して求め
られ得る。測定は、上記の方法で得られた透過型電子顕
微鏡の象上に置いて、100個以上の層状化合物を含む
任意の領域を選択し、画像処理装置などで画像化し、計
算機処理する事等により定量化できる。あるいは、定規
などを用いて計測しても求めることもできる。
【0056】本発明の製造方法で得られるポリエステル
樹脂組成物には、必要に応じて、ポリブタジエン、ブタ
ジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、アイオノマ
ー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、
α−オレフィンの単独重合体、2種以上のα−オレフィ
ンの共重合体(ランダム、ブロック、グラフトなど、い
ずれの共重合体も含み、これらの混合物であっても良
い)、またはオレフィン系エラストマーなどの耐衝撃性
改良剤を添加することができる。これらは無水マレイン
酸等の酸化合物、またはグリシジルメタクリレート等の
エポキシ化合物で変性されていても良い。
【0057】また、機械的特性、成形性などの特性を損
なわない範囲で、他の任意の熱可塑性樹脂あるいは熱硬
化性樹脂、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエス
テルカーボネート樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリオ
レフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム質重合体強化スチ
レン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルフ
ォン樹脂、及びポリアリレート樹脂等を単独または2種
以上組み合わせて使用し得る。
【0058】更に、目的に応じて、顔料や染料、熱安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑
剤、難燃剤、及び帯電防止剤等の添加剤を添加すること
ができる。本発明で得られるポリエステル樹脂組成物
は、射出成形や熱プレス成形で成形しても良く、ブロー
成形にも使用できる。得られる成形品は外観に優れ、機
械的特性や耐熱変形性等に優れる為、例えば、自動車部
品、家庭用電気製品部品、家庭日用品、包装資材、その
他一般工業用資材に好適に用いられる。
【0059】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。
【0060】実施例、及び比較例で使用する主要原料を
以下にまとめて示す。尚、特に断らない場合は、原料の
精製は行っていない。 (原料) ・熱可塑性ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂(鐘紡(株)のベルペットEFG85A、対数
粘度(ηinh)=0.85(dl/g)、以降PETと称
す)を用いた。 ・層状化合物:モンモリロナイト(クニミネ工業(株)
のクニピアF、以降クニピアFと称す)および膨潤性雲
母(コープケミカル(株)のソマシフME100、以降
ME100と称す)を用いた。 ・ポリエーテル化合物:主鎖にビスフェノールA単位を
含有するポリエチレングリコール(東邦化学(株)のビ
スオール18EN)、ポリエチレングリコール(三洋化
成(株)のPEG1000)を用いた。 ・ガラス繊維:日本電気硝子(株)のT−195H(以
降GFと称す)を用いた。 (分散状態の測定)厚み50〜100μmの超薄切片を
用いた。透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1200
EX)を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜100万
倍で層状化合物の分散状態を観察撮影した。TEM写真
において、100個以上の分散粒子が存在する任意の領
域を選択し、層厚、層長、粒子数([N]値)、等価面
積円直径[D]を、目盛り付きの定規を用いた手計測ま
たはインタークエスト社の画像解析装置PIASIIIを
用いて処理する事により測定した。
【0061】等価面積円直径[D]はインタークエスト
社の画像解析装置PIASIIIを用いて処理する事によ
り測定した。[N]値の測定は以下のようにして行っ
た。まず、TEM像上で、選択した領域に存在する層状
化合物の粒子数を求める。これとは別に、層状化合物に
由来する樹脂組成物の灰分率を測定する。上記粒子数を
灰分率で除し、面積100μm2に換算した値を[N]
値とした。平均層厚は個々の層状化合物の層厚の数平均
値、最大層厚は個々の層状化合物の層厚の中で最大の値
とした。分散粒子が大きく、TEMでの観察が不適当で
ある場合は、光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製の光
学顕微鏡BH−2)を用いて上記と同様の方法で[N]
値を求めた。ただし、必要に応じて、サンプルはLIN
KAM製のホットステージTHM600を用いて250
〜270℃で溶融させ、溶融状態のままで分散粒子の状
態を測定した。板状に分散しない分散粒子のアスペクト
比は、長径/短径の値とした。ここで、長径とは、顕微
鏡像等において、対象となる粒子の外接する長方形のう
ち面積が最小となる長方形を仮定すれば、その長方形の
長辺を意図する。また、短径とは、上記最小となる長方
形の短辺を意図する。平均アスペクト比は個々の層状化
合物の層長と層厚の比の数平均値とした。 (曲げ特性)ポリエステル樹脂組成物を乾燥(140
℃、5時間)した。型締圧80tの射出成形機を用い、
樹脂温度250〜270℃で、寸法約10×100×6
mmの試験片を射出成形した。ASTM D−790に
従い、得られた試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測
定した。 (溶融熱安定性)射出成形機のシリンダー内で250〜
270℃で15分間滞留した後に、上記と同条件で試験
片を得、曲げ強度を測定した。 (反り)ポリエステル樹脂組成物を乾燥(140℃、5
時間)した後、金型温度120℃、樹脂温度250〜2
80℃の条件で、寸法約120×120×1mmの平板
状試験片を射出成形した。平面上に上記の平板状試験片
を置き、試験片の4隅の内の1カ所を押さえ、残り3隅
の内、平面からの距離が最も大きい値を隙間ゲージある
いはノギス等を用いて測定した。4隅それぞれを押さ
え、得られた反り値の平均値を求めた。 (表面光沢)反りと同条件で成形した平板状試験片の表
面光沢を測定した。ERICHSEN社のミニグロスマ
スターを用い、反射角60°で測定した。標準板50%
に対する相対値とした。 (灰分率)JIS K 7052に準じ、層状化合物に由
来するポリエステル樹脂組成物の灰分率を測定した。 (製造例)反応機にジメチルフタレート(DMT)10
0重量部に対し、76重量部のプロピレングリコール、
0.003重量部のヒンダードフェノール系安定剤(旭
電化(株)アデカスタブAO60、以降AO60と称
す)および0.00025重量部のTi(OBu)4
投入し、反応温度約150〜200℃で撹拌してDMT
とプロピレングリコールをエステル交換させた。その
後、0.00025重量部のSb23を添加し、反応温
度270〜280℃、減圧下(0.8〜5.0torr
(0.107〜0.665MPa))で溶融重縮合を行
い、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)樹脂を得
た。 (実施例1〜7) 工程(A) 表1に示す重量比でイオン交換水、層状化合物およびポ
リエーテル化合物を約15〜30分間混合した。その
後、粉体化した(粘土A−1〜A−7)。
【0062】
【表1】 工程(B) 表2に示す重量比のPET、工程(A)で得た層状化合
物(粘土A−1〜A−7)およびAO60を二軸押出機
(日本製鋼(株)製、TEX44)を用いて、設定温度
240℃〜270℃で溶融混練した。
【0063】
【表2】 工程(C) 混練したものを溶融状態で逐次的に連続重合機に移送し
て連続重合を行う事によりポリエステル樹脂組成物を製
造し、評価した。結果を表2に示す。
【0064】重合温度は280℃、重合機内の減圧度は
0.5〜5.0torr(0.067〜0.665MP
a)、重合機モーターの撹拌は30rpm、重合時間は
50〜70分で実施した。 (比較例1〜3)表3に示す重量比のPET、ME10
0、クニピアFおよびAO60を実施例1と同様に溶融
混練した。混練後に高分子量化は実施しなかった。評価
結果を表3に示す。
【0065】
【表3】 表3より工程(A)を有しない層状化合物では曲げ特性
は改善されずまた良好な平板状試験片は得られなかっ
た。 (比較例4〜6)工程(C)を有しない以外は実施例
2、5、6と同じ方法で得たものを評価した。結果を表
3に示す。
【0066】表3より工程(C)を有しないと、溶融滞
留すると成形ができないほどに粘度が低下するかまたは
曲げ強度が大きく低下し、熱安定性が著しく低かった。 (比較例7)表3に示す重量比のPET、GFおよびA
O60を実施例1と同様に溶融混練した。混練後に高分
子量化は実施しなかった。評価結果を表3に示す。
【0067】表3よりGFでは熱安定性は損なわれなか
ったが、反りや光沢度が損なわれた。以上、比較例7で
はバランスに優れるものは得られなかった。 (実施例8) 工程(A) 実施例2と同様に行った。 工程(B) 表4に示す重量比のPBT樹脂、工程(A)で得た層状
化合物(粘土A−2)およびAO60を二軸押出機(日
本製鋼(株)製、TEX44)を用いて、設定温度24
0℃〜250℃で溶融混練した。 工程(C) 混練したものを溶融状態で逐次的に連続重合機に移送し
て連続重合を行う事によりポリエステル樹脂組成物を製
造し、評価した。結果を表4に示す。
【0068】重合温度は270℃、重合機内の減圧度は
0.5〜5.0torr(0.067〜0.665MP
a)、重合機モーターの撹拌は30rpm、重合時間は
約70分で実施した。
【0069】
【表4】 (比較例8)表4に示す重量比のPBT、ME100お
よびAO60を実施例8と同様に溶融混練した。混練後
に高分子量化は実施しなかった。評価結果を表4に示
す。
【0070】表4より工程(A)を有しない層状化合物
では曲げ特性は改善されずまた良好な平板状試験片は得
られなかった。 (比較例9)工程(C)を有しない以外は実施例8と同
じ方法で得たものを評価した。結果を表4に示す。工程
(A)を有するが、工程(C)を有しない系では、溶融
滞留すると成形ができないほどに粘度が低下し、熱安定
性が著しく低かった。比較例8、9ではバランスに優れ
るものは得られなかった。 (実施例9) 工程(A) 実施例2と同様に行った。 工程(B) 表5に示す重量比の製造例で得たPPT樹脂、工程
(A)で得た層状化合物(粘土A−2)およびAO60
を二軸押出機(日本製鋼(株)製、TEX44)を用い
て、設定温度250℃〜260℃で溶融混練した。 工程(C) 混練したものを溶融状態で逐次的に連続重合機に移送し
て連続重合を行う事によりポリエステル樹脂組成物を製
造し、評価した。結果を表5に示す。
【0071】重合温度は280℃、重合機内の減圧度は
0.5〜5.0torr(0.067〜0.665MP
a)、重合機モーターの撹拌は30rpm、重合時間は
約70分で実施した。
【0072】
【表5】 (比較例10)表5に示す重量比の製造例で得たPPT
樹脂、ME100およびAO60を実施例9と同様に溶
融混練した。混練後に高分子量化は実施しなかった。評
価結果を表5に示す。工程(A)を有しない層状化合物
では曲げ特性は改善されずまた良好な平板状試験片は得
られなかった。 (比較例11)工程(A)と工程(C)を有しない(表
5を確認してください。)以外は実施例9と同じ方法で
得たものを評価した。結果を表5に示す。
【0073】表5により工程(A)と工程(C)を有し
ない系では、溶融滞留すると成形ができないほどに粘度
が低下し、熱安定性が著しく低かった。比較例10、1
1ではバランスに優れるものは得られなかった。
【0074】
【発明の効果】本発明の製造方法により、低反りでかつ
機械的特性が高まり、溶融状態での熱安定性がよく、物
性のバランスに優れるポリエステル樹脂組成物が提供で
きる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂および層状化
    合物を含有するポリエステル樹脂組成物を製造する方法
    であって、(A)層状化合物とポリエーテル化合物を混
    合する工程、(B)(A)工程後に(A)工程で得られ
    た混合物と熱可塑性ポリエステル樹脂とを溶融混練する
    工程、(C)溶融混練後にポリエステル樹脂を高分子量
    化する工程、を有するポリエステル樹脂組成物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 ポリエーテル化合物が下記一般式
    (1): 【化1】 (式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO
    2-、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または
    炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R1、R 2、R3
    4、R5、R6、R7、およびR8は、いずれも水素原子、ハ
    ロゲン原子、または炭素数1〜5の1価の炭化水素基、
    9、R10は、いずれも炭素数1〜5の2価の炭化水素
    基であり、R11、R12はいずれも水素原子、炭素数1〜
    20の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一
    であっても異なっていても良い。mおよびnはオキシア
    ルキレン単位の繰り返し単位数を示し、2≦m+n≦5
    0である。)で表されることを特徴する、請求項1に記
    載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 層状化合物が下記(a)〜(c)のうち
    少なくとも一の条件を満たすことを特徴とする、請求項
    1または2に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方
    法。 (a)ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物のうち、
    等価面積円直径[D]が3000Å以下である層状化合
    物の比率が20%以上であること。 (b)ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の等価面
    積円直径[D]の平均値が、5000Å以下であるこ
    と。 (c)[N]値が30以上であり、ここで[N]値が、
    樹脂組成物の面積100μm2中に存在する、シラン粘
    土複合体の単位比率当たりの粒子数であると定義される
    こと。
  4. 【請求項4】 層状化合物が下記(d)、(e)のうち
    少なくとも一の条件を満たすことを特徴とする、請求項
    3に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。 (d)ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の平均層
    厚が500Å以下であること。 (e)ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の最大層
    厚が2000Å以下であること。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物
    の平均アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜30
    0であることを特徴とする、請求項3または4に記載の
    ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 層状化合物が層状ケイ酸塩である、請求
    項1、2、3、4または5に記載のポリエステル樹脂組
    成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6に記
    載のポリエステル樹脂組成物の製造方法により得られる
    ポリエステル樹脂組成物。
JP2000147809A 2000-05-19 2000-05-19 ポリエステル樹脂組成物の製造方法 Pending JP2001323143A (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000147809A JP2001323143A (ja) 2000-05-19 2000-05-19 ポリエステル樹脂組成物の製造方法
US10/276,798 US7056963B2 (en) 2000-05-19 2001-05-18 Polyester resin composition and process for the preparation thereof
PCT/JP2001/004157 WO2001088035A1 (fr) 2000-05-19 2001-05-18 Composition de resine polyester et processus de preparation de cette composition
CA2409858A CA2409858C (en) 2000-05-19 2001-05-18 Polyester resin composition and process for the preparation thereof
DE60114802T DE60114802D1 (de) 2000-05-19 2001-05-18 Polyesterharzzusammensetzung sowie verfahren zu deren herstellung
EP01930201A EP1283245B1 (en) 2000-05-19 2001-05-18 Polyester resin composition and process for the preparation thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000147809A JP2001323143A (ja) 2000-05-19 2000-05-19 ポリエステル樹脂組成物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001323143A true JP2001323143A (ja) 2001-11-20

Family

ID=18653947

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000147809A Pending JP2001323143A (ja) 2000-05-19 2000-05-19 ポリエステル樹脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001323143A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6861468B2 (en) 2002-09-27 2005-03-01 Fuji Photo Film Co., Ltd. Polyester resin composition

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10259016A (ja) * 1997-03-18 1998-09-29 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 粘土層間化合物、粘土層間化合物と熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物、およびそれらの製法
JPH10310420A (ja) * 1997-05-01 1998-11-24 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 膨潤性雲母層間化合物およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物
WO1999023162A1 (fr) * 1997-10-30 1999-05-14 Kaneka Corporation Compositions de resines de polyester et leur procede de preparation
JP2000026655A (ja) * 1998-04-22 2000-01-25 Rheox Inc 微小複合体を製造するための添加剤として有益な、重合体、プラスチック、および樹脂母材添加用粘土/有機化学品組成物、並びに該組成物を含有する微小複合体

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10259016A (ja) * 1997-03-18 1998-09-29 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 粘土層間化合物、粘土層間化合物と熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物、およびそれらの製法
JPH10310420A (ja) * 1997-05-01 1998-11-24 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 膨潤性雲母層間化合物およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物
WO1999023162A1 (fr) * 1997-10-30 1999-05-14 Kaneka Corporation Compositions de resines de polyester et leur procede de preparation
JP2000026655A (ja) * 1998-04-22 2000-01-25 Rheox Inc 微小複合体を製造するための添加剤として有益な、重合体、プラスチック、および樹脂母材添加用粘土/有機化学品組成物、並びに該組成物を含有する微小複合体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6861468B2 (en) 2002-09-27 2005-03-01 Fuji Photo Film Co., Ltd. Polyester resin composition

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4177554B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法
JP4708572B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法
EP1283245B1 (en) Polyester resin composition and process for the preparation thereof
JP4786830B2 (ja) 強化ポリエステル樹脂組成物
JP4768442B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物および成形体
JP2010106194A (ja) 低線膨張係数の樹脂組成物
JP2001323143A (ja) ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP4467140B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP4668394B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP5085819B2 (ja) 表面処理層状化合物
JP2001329150A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2001323144A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2002322351A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JPH11323102A (ja) 強化ポリエステル樹脂組成物
JP2001131396A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP4467142B2 (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP2001261947A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2002060599A (ja) 照明部品用ポリエステル樹脂成形体
JP2000290505A (ja) ポリサルホン樹脂組成物および製造方法
JPH11323106A (ja) ポリエステル樹脂組成物および製造方法
JP2000290492A (ja) ポリフェニレンエーテル樹脂組成物および製造方法
KR20230049783A (ko) 열가소성 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이로부터 제조된 성형품
JP2000309630A (ja) ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法
JPH115886A (ja) 機械的物性が改良されたポリオキシメチレン樹脂組成物
JP2000309687A (ja) ポリエステル樹脂組成物および製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091208

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100406