JP2001131396A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

Info

Publication number
JP2001131396A
JP2001131396A JP31832799A JP31832799A JP2001131396A JP 2001131396 A JP2001131396 A JP 2001131396A JP 31832799 A JP31832799 A JP 31832799A JP 31832799 A JP31832799 A JP 31832799A JP 2001131396 A JP2001131396 A JP 2001131396A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polyester resin
silane
resin composition
clay composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31832799A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Hara
和宏 原
Noriyuki Suzuki
紀之 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP31832799A priority Critical patent/JP2001131396A/ja
Publication of JP2001131396A publication Critical patent/JP2001131396A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル樹脂にシラン粘土複合体を微分
散化させた曲げ特性や耐熱性に優れる樹脂組成物に、前
記特性を損なわずに耐衝撃性および引張特性を付与した
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂およびシラン
粘土複合体の配合に、耐衝撃性改良剤として、特に、エ
チレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
を溶融混練することにより、シラン粘土複合体の微分散
性を維持して曲げ特性、耐熱性等を損なわずに、耐衝撃
性および引張特性に優れたポリエステル樹脂組成物を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂
組成物に関し、詳しくは、曲げ特性、耐熱性、寸法安定
性、表面外観性、さらに耐衝撃性および引張特性に優れ
た、熱可塑性ポリエステル樹脂、シラン粘土複合体およ
びエチレン−(メタ)アクリル酸アクリルエステル共重
合体を含有するポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートなどの熱可
塑性ポリエステル樹脂は、機械的特性、耐熱性、耐薬品
性、耐候性、電気的特性などに優れるため、例えば電機
・電子部品、機械部品、OA機器部品等の様々な構造部
品分野で広く利用されている。近年、構造部品の薄肉
化、形状の複雑化等に伴い、曲げ特性、耐熱性、寸法安
定性、表面外観性、さらには、耐衝撃性および引張特性
の高いレベルでのバランス確保が求められている。
【0003】本発明者らは国際公開第97/43343
号パンフレット(1997)において、膨潤性ケイ酸塩
にシラン系化合物が導入されることにより得られるシラ
ン粘土複合体が熱可塑性ポリエステル樹脂中にnmレベ
ルの薄片状で均一微分散されてなるポリエステル樹脂組
成物に関する技術を開示した。該ポリエステル樹脂組成
物は、優れた曲げ特性、耐熱性、寸法安定性および表面
外観性を有することを示した。さらに、本発明者らは、
シラン系化合物の中でも、特にポリオキシアルキレン基
を有するシラン系化合物を用いることによって、特殊な
溶融混練装置を必要としない簡便な方法でシラン粘土複
合体が均一微分散化し、優れた特性を有するポリエステ
ル組成物を製造する技術を見出した。
【0004】しかしながら、上記技術にて得られるポリ
エステル樹脂組成物は、耐衝撃性および引張特性(伸
び)が不足している。
【0005】一方、ポリエステル樹脂組成物の耐衝撃性
や引張特性を改良する技術としては、ポリエステル樹脂
に耐衝撃性改良材を添加する技術が開示されている。耐
衝撃性改良材としては、ブタジエン系弾性共重合体(特
開昭54−57563)、アクリル系弾性共重合体(特
開昭52−48849)、ポリオレフィン系エラストマ
ー(特開平3−269053)、グリシジル基含有オレ
フィン系共重合体(特開昭52−32045)、等が開
示されている。
【0006】ただし、上記技術を適用する場合、すなわ
ち、ポリエステル樹脂とシラン粘土複合体と耐衝撃性改
良材を組み合わせることにより、耐衝撃性および引張特
性の不足を解決しようとした場合、次のような問題が生
じる。
【0007】耐衝撃性改良材によって、該ポリエステ
ル樹脂組成物の曲げ弾性率や耐熱性(荷重たわみ温度)
の低下が引き起こされる。溶融混練の簡便性を考慮し
て、上記3成分を一括にて溶融混練した場合、目視観察
で凝集物が確認される程にシラン粘土複合体の分散性が
悪化するために曲げ弾性率や耐熱性の低下が引き起こさ
れる。シラン粘土複合体の分散性悪化を回避しようと
して、予めシラン粘土複合体とポリエステルとを溶融混
練してシラン粘土複合体が均一分散化されたポリエステ
ル樹脂組成物を得た後、これに前記耐衝撃性改良材を添
加して再度溶融混練を行うと、シラン粘土複合体の分散
性は維持されるものの、樹脂の分子量低下のために強度
が十分に改善されない。
【0008】以上のように、溶融混練法にて耐衝撃性改
良材を添加することにより、シラン粘土複合体が薄片状
に均一分散したポリエステル樹脂組成物の弾性率等を維
持しつつ、強度や耐衝撃性等を高める方法はなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、曲げ
特性、荷重たわみ温度、寸法安定性および成形品の外観
性を損なわずに、耐衝撃性および引張特性にも優れたポ
リエステル樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成する為に鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂に、薄板状に均一分散化されたシラン粘土複合
体、およびエチレンとアルキルエステルの炭素数が1〜
10である(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合
体が含有されることにより、曲げ特性および耐熱性等の
他に耐衝撃性と引張伸びの物性バランスに優れるポリエ
ステル樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完
成させるに至った。
【0011】すなわち、本発明は、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)、シラン粘土複合体(B)、およびエチレ
ンとアルキルエステルの炭素数が1〜10である(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルからなる共重合体
(C)を配合してなる、ポリエステル樹脂組成物であっ
て、シラン粘土複合体(B)が、膨潤性ケイ酸塩(B
1)に一般式(1): YnSiX4-n (1) (但し、式中、nは0〜3の整数であり、Yは置換基を
有してもよい炭素数1〜25の炭化水素基、Xは加水分
解性基および/または水酸基である。nまたは4−nが
2以上の場合、n個のYまたは4−n個のXは、それぞ
れ同種でも異種でもよい。)で表されるシラン系化合物
(B2)が導入されているものであり、かつ、ポリエス
テル樹脂組成物中でシラン粘土複合体(B)が平均層厚
20Å以上かつ500Å以下で分散しているポリエステ
ル樹脂組成物に関する。
【0012】好ましい実施態様としては、熱可塑性ポリ
エステル樹脂100重量部に対して、エチレンとアルキ
ルエステルの炭素数が1〜10である(メタ)アクリル
酸アルキルエステルからなる共重合体(C)が0.1〜
10重量部であることを特徴とする、前記に記載のポリ
エステル樹脂組成物に関する。
【0013】更に好ましい実施態様としては、エチレン
とアルキルエステルの炭素数が1〜10である(メタ)
アクリル酸アルキルエステルからなる共重合体(C)
が、エチレン−エチルアクリレート共重合体であること
を特徴とする、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂
組成物に関する。
【0014】更に好ましい実施態様としては、ポリエス
テル樹脂組成物中のシラン粘土複合体(B)の最大層厚
が100Åより大きくかつ2000Å以下であることを
特徴とする、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組
成物に関する。
【0015】更に好ましい実施態様としては、シラン粘
土複合体(B)に導入されるシラン系化合物(B2)
が、上記一般式(1)のうち、Yの置換基としてポリオ
キシアルキレン基を有するものであることを特徴とす
る、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に関
する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる熱可塑性ポリ
エステル樹脂(A)とは、ジカルボン酸化合物および/
またはジカルボン酸のエステル形成性誘導体を主成分と
する酸成分、及びジオール化合物および/またはジオー
ル化合物のエステル形成性誘導体を主成分とするジオー
ル成分との反応により得られる従来公知の任意の熱可塑
性ポリエステル樹脂である。
【0017】前記主成分とするとは、酸成分又はジオー
ル成分中に占めるそれぞれの割合が80%以上、さらに
は90%以上であることを意図し、上限は100%であ
る。
【0018】上記の芳香族ジカルボン酸としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニ
ルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカル
ボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、
4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸等が挙
げられ、これらの置換体(例えば、メチルイソフタル酸
等のアルキル基置換体など)や誘導体(テレフタル酸ジ
メチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等の
ようなアルキルエステル化合物など)も使用し得る。ま
た、p−オキシ安息香酸及びp−ヒドロキシエトキシ安
息香酸のようなオキシ酸及びこれらのエステル形成性誘
導体も使用し得る。これらのモノマーの内の2種以上を
混合して用いても良い。得られるポリエステル樹脂組成
物の特性を損なわない程度の少量であれば、これらの芳
香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ド
デカン二酸、セバシン酸等のような脂肪族ジカルボン酸
を1種以上混合して使用し得る。
【0019】上記酸成分の中では、得られるポリエステ
ル樹脂の結晶性や強度、弾性率の点から、テレフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフ
ェニルジカルボン酸、およびそれらのエステル形成性誘
導体が好ましい。
【0020】また、上記のジオール化合物としては、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ブチレング
リコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール等のような脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール等のような脂環式グリコール、1,4
−フェニレンジオキシジメタノールのような芳香族ジオ
ールやを使用し得る。また、ε−カプロラクトンのよう
な環状エステルも使用し得る。これらの内の2種以上を
混合して用いても良い。更に、ポリエステル樹脂の弾性
率を著しく低下させない程度の少量であるならば、長鎖
型のジオール化合物(例えば、ポリエチレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール)、及びビスフェノ
ール類のアルキレンオキサイド付加重合体等(例えば、
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加重合体等)
などを組み合わせて使用しても良い。
【0021】前記ジオール成分の中では、取り扱い性お
よび得られるポリエステル樹脂の強度、弾性率等の点か
ら、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,4
−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
【0022】熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサ
メチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4
−ジメチルテレフタレート、ネオペンチルテレフタレー
ト、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレ
ンナフタレートなどが挙げられる。また、これらの樹脂
の製造に使用される酸成分および/またはジオール成分
を2種以上用いて製造した共重合ポリエステルが挙げら
れる。
【0023】上記の熱可塑性ポリエステル樹脂は単独
で、または組成あるいは成分の異なるものおよび/また
は固有粘度の異なるものを2種以上組み合わせて使用し
得る。
【0024】前記ポリエステル樹脂の中では、強度、弾
性率、コスト等の点から、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン
−1,4−ジメチルテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレートが好ましい。
【0025】熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量は、フ
ェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(1/
1、重量比)混合溶媒を用いて、25℃で測定した固有
粘度が0.3〜2.0(dl/g)のものが望ましい。
固有粘度が0.3(dl/g)未満である場合、得られ
るポリエステル樹脂組成物の曲げ特性や耐衝撃性が低
く、また、2.0(dl/g)より大きい場合は溶融粘
度が高い為に成形流動性が低下する傾向がある。
【0026】本発明で用いられるシラン粘土複合体
(B)とは、膨潤性ケイ酸塩(B1)に下記一般式
(1) YnSiX4-n (1) (但し、式中、nは0〜3の整数であり、Yは置換基を
有してもよい炭素数1〜25の炭化水素基、Xは加水分
解性基および/または水酸基である。nまたは4−nが
2以上の場合、n個のYまたは4−n個のXは、それぞ
れ同種でも異種でもよい。)で表されるシラン系化合物
(B2)が導入されているものである。
【0027】上記の膨潤性ケイ酸塩(B1)は、主とし
て酸化ケイ素の四面体シートと、主として金属水酸化物
の八面体シートから成り、その例としては、例えば、ス
メクタイト族粘土および膨潤性雲母などが挙げられる。
膨潤性ケイ酸塩としてスメクタイト族粘土および膨潤性
雲母を使用する場合には、本発明のポリエステル樹脂組
成物中における膨潤性ケイ酸塩の分散性、入手の容易さ
及び樹脂組成物の物性改善の点から好ましい。
【0028】前記のスメクタイト族粘土は下記一般式
(2): X0.20.6Y23Z4O10(OH)2・nH2O (2) (ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mg
から成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、F
e、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る
群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlか
ら成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層間
イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオン
および相対湿度に応じて著しく変動する)で表される、
天然または合成されたものである。該スメクタイト族粘
土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイ
デライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイ
ト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及び
ベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、ある
いはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト族
粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約10〜17
Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒径
はおおよそ1000Å〜1000000Åである。
【0029】また、前記の膨潤性雲母は下記一般式
(3): X0.51.0Y23(Z4O10)(F、OH)2 (3) (ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及
びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはM
g、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より
選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、F
e、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)
で表される、天然または合成されたものである。これら
は、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と
該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であ
り、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テ
ニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム
型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。下記のバーミキュ
ライト類相当品等も使用し得る。前記膨潤性雲母の初期
の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17Åで
あり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約1000
〜1000000Åである。
【0030】前記バーミキュライトには3八面体型と2
八面体型があり、下記一般式(4): (Mg,Fe,Al)23(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O (4) (ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカ
リ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=
3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記
バーミキュライトの初期の凝集状態における底面間隔は
おおよそ10〜17Åであり、凝集状態でのバーミキュ
ライトの平均粒径は約1000〜5000000Åであ
る。
【0031】膨潤性ケイ酸塩は単独で用いても良く、2
種以上組み合わせて使用しても良い。これらの内では、
モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび
層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、本発明
のポリエステル樹脂組成物中での分散性、入手の容易さ
及び樹脂組成物の物性改善効果の点から好ましい。
【0032】膨潤性ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に
規則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましい
が、結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合っ
た、いわゆる混合層鉱物も使用され得る。
【0033】膨潤性ケイ酸塩(B1)に導入されるシラ
ン系化合物(B2)とは、通常一般に用いられる任意の
ものが使用され得、下記一般式(1): YnSiX4-n (1) で表されるものである。一般式(1)中のnは0〜3の
整数であり、Yは、置換基を有していても良い炭素数1
〜25の炭化水素基である。炭素数1〜25の炭化水素
基が置換基を有する場合の置換基の例としては、例えば
エステル結合で結合している基、エーテル結合で結合し
ている基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、末
端にカルボニル基を有する基、アミド基、メルカプト
基、スルホニル結合で結合している基、スルフィニル結
合で結合している基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル
基、ハロゲン原子および水酸基などが挙げられる。これ
らの内の1種で置換されていても良く、2種以上で置換
されていても良い。Xは加水分解性基および(または)
水酸基であり、該加水分解性基の例としては、アルコキ
シ基、アルケニルオキシ基、ケトオキシム基、アシルオ
キシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、ハロゲン
原子よりなる群から選択される1種以上である。一般式
(1)中、nまたは4−nが2以上の場合、n個のYま
たは4−n個のXはそれぞれ同種でも異種でも良い。
【0034】本明細書において炭化水素基とは、直鎖ま
たは分岐鎖(すなわち側鎖を有する)の飽和または不飽
和の一価または多価の脂肪族炭化水素基、および芳香族
炭化水素基、脂環式炭化水素基を意味し、例えば、アル
キル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナ
フチル基、シクロアルキル基等が挙げられる。本明細書
において、「アルキル基」という場合は、特に指示が無
い限り「アルキレン基」等の多価の炭化水素基を包含す
ることを意図する。同様にアルケニル基、アルキニル
基、フェニル基、ナフチル基、及びシクロアルキル基
は、それぞれアルケニレン基、アルキニレン基、フェニ
レン基、ナフチレン基、及びシクロアルキレン基等を包
含する。
【0035】上記一般式(1)において、Yが炭素数1
〜25の炭化水素基である場合の例としては、デシルト
リメトキシシランの様に直鎖長鎖アルキル基を有するも
の、メチルトリメトキシシランの様に低級アルキル基を
有するもの、2−ヘキセニルトリメトキシシランの様に
不飽和炭化水素基を有するもの、2−エチルヘキシルト
リメトキシシランの様に側鎖を有するアルキル基を有す
るもの、フェニルトリエトキシシランの様にフェニル基
を有するもの、3−β−ナフチルプロピルトリメトキシ
シランの様にナフチル基を有するもの、及びp−ビニル
ベンジルトリメトキシシランの様にアラルキル基を有す
るものが挙げられる。Yが炭素数1〜25の炭化水素基
の中でも特にビニル基を有する基である場合の例として
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラ
ン、及びビニルトリアセトキシシランが挙げられる。Y
がエステル基で結合している基で置換されている基を有
する基である場合の例としては、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランが挙げられる。 Yがエポキ
シ基で置換されている基である場合の例としては、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられ
る。Yがアミノ基で置換されている基である場合の例と
しては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、及びγ−アニリノプロピルトリメトキシシランが挙
げられる。Yが末端にカルボニル基を有する基で置換さ
れている基である場合の例としては、γ−ユレイドプロ
ピルトリエトキシシランが挙げられる。Yがメルカプト
基で置換されている基である場合の例としては、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。Y
がハロゲン原子で置換されている基である場合の例とし
ては、γ−クロロプロピルトリエトキシシランが挙げら
れる。Yがスルホニル基で結合している基で置換されて
いる基を有する基である場合の例としては、γ−フェニ
ルスルホニルプロピルトリメトキシシランが挙げられ
る。Yがスルフィニル基で結合している基で置換されて
いる基を有する基である場合の例としては、γ−フェニ
ルスルフィニルプロピルトリメトキシシランが挙げられ
る。Yがニトロ基で置換されている基である場合の例と
しては、γ−ニトロプロピルトリエトキシシランが挙げ
られる。Yがニトロソ基で置換されている基である場合
の例としては、γ−ニトロソプロピルトリエトキシシラ
ンが挙げられる。Yがニトリル基で置換されている基で
ある場合の例としては、γ−シアノエチルトリエトキシ
シランおよびγ−シアノプロピルトリエトキシシランが
挙げられる。Yがカルボキシル基で置換されている基で
ある場合の例としては、γ−(4−カルボキシフェニ
ル)プロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0036】Yがポリオキシアルキレン基を有する炭化
水素基である場合の例としては、γ−ポリオキシエチレ
ンプロピルトリメトキシシラン、及び2−エトキシエチ
ルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、ポリオキ
シアルキレン基の例としては、例えば、ポリオキシエチ
レン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレ
ン、ポリ(エチレンオキシド・プロピレンオキシド)、
ポリ(エチレンオキシド・テトラヒドロフラン)、ポリ
(エチレンオキシド・プロピレンオキシド・テトラヒド
ロフラン)等が挙げられ、好ましくはポリオキシエチレ
ン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン
であり、特に好ましくはポリオキシエチレンである。層
状ケイ酸塩に導入されるポリオキシアルキレン基の存在
により、粘土複合体のポリエステル樹脂との親和性が向
上し、微分散化が容易となる。前記以外に、Yが水酸基
を有する基であるシラン系化合物もまた使用し得る。そ
の様な例としては、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチ
ル)アミノ−3−プロピルトリエトキシシランが挙げら
れる。水酸基はまたシラノール基(SiOH)の形であ
り得る。
【0037】上記のシラン系化合物の置換体、または誘
導体もまた使用し得る。これらのシラン系化合物は、単
独、又は2種以上組み合わせて使用され得る。
【0038】シラン粘土複合体(B)は、例えば、膨潤
性ケイ酸塩を分散媒中で底面間隔を拡大させた後にシラ
ン系化合物を添加する事により得られる。
【0039】上記の分散媒とは、水、水と任意の割合で
相溶する極性溶媒、及び水と該極性溶媒の混合溶媒を意
図する。該極性溶媒としては、例えば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド
化合物、その他の溶媒であるジメチルスルホキシドや2
−ピロリドン等が挙げられる。これらの極性溶媒は単独
で用いても良く2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0040】膨潤性ケイ酸塩を分散媒中で底面間隔を拡
大させることは、該膨潤性ケイ酸塩を該分散媒中で充分
に撹拌して分散させる事によりなし得る。拡大後の底面
間隔は初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔に比べて、好ま
しくは3倍以上であり、より好ましくは4倍以上であ
り、特に好ましくは5倍以上である。上限値は特にな
い。ただし、底面間隔が約10倍以上に拡大すると、底
面間隔の測定が困難になるが、この場合、膨潤性ケイ酸
塩は実質的に単位層で存在する。
【0041】ここで、本明細書において、膨潤性ケイ酸
塩の初期の底面間隔とは、分散媒に添加する前の、単位
層が互いに積層し凝集状態である粒子状の膨潤性ケイ酸
塩の底面間隔である事を意図する。
【0042】底面間隔は小角X線回折法(SAXS)な
どで求めることが出来る。すなわち、分散媒と膨潤性ケ
イ酸塩を含む分散体におけるX線回折ピーク角値をSA
XSで測定し、該ピーク角値をBraggの式に当ては
めて算出することにより底面間隔を求め得る。
【0043】膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を効率的に拡大
させるためには、数千rpm以上で撹拌するか、以下に
示す物理的な外力を加える方法が挙げられる。物理的な
外力は、一般に行われるフィラーの湿式微粉砕方法を用
いることによって加えられ得る。一般的なフィラーの湿
式微粉砕方法としては、例えば、硬質粒子を利用する方
法が挙げられる。この方法では、硬質粒子と膨潤性ケイ
酸塩と任意の溶媒とを混合して撹拌し、硬質粒子と膨潤
性ケイ酸塩との物理的な衝突によって、膨潤性ケイ酸塩
を分離させる。通常用いられる硬質粒子はフィラー粉砕
用ビーズであり、例えば、ガラスビーズまたはジルコニ
アビーズ等が挙げられる。これら粉砕用ビーズは、膨潤
性ケイ酸塩の硬度、または撹拌機の材質を考慮して選択
され、上述したガラスまたはジルコニアに限定されな
い。その粒径もまた、膨潤性ケイ酸塩のサイズなどを考
慮して決定されるために一概に数値で限定されるもので
はないが、直径0.1〜6.0mmの範囲にあるものが
好ましい。ここで用いる溶媒は特に限定されないが、例
えば、上記の分散媒が好ましい。
【0044】上記のように、膨潤性ケイ酸塩の底面間隔
を拡大して、凝集状態であった層を劈開してばらばらに
し、個々独立に存在させた後にシラン系化合物を添加し
て撹拌する。この様に、劈開された膨潤性ケイ酸塩の層
の表面に該シラン系化合物を導入する事によってシラン
粘土複合体が得られる。
【0045】シラン系化合物の導入は、分散媒を用いる
方法の場合は、底面間隔が拡大された膨潤性ケイ酸塩と
分散媒を含む分散体中にシラン系化合物を添加して撹拌
することにより行われ得る。シラン系化合物をより効率
的に導入したい場合は、撹拌の回転数を1000rpm
以上、好ましくは1500rpm以上、より好ましくは
2000rpm以上にするか、あるいは湿式ミルなどを
用いて500(1/s)以上、好ましくは1000(1
/s)以上、より好ましくは1500(1/s)以上の
剪断速度を加える。回転数の上限値は約25000rp
mであり、剪断速度の上限値は約500000(1/
s)である。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、
剪断を加えても効果はそれ以上変わらない傾向があるた
め、上限値よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。
【0046】物理的外力を用いる方法の場合、膨潤性ケ
イ酸塩に物理的外力を加えながら(例えば、湿式粉砕し
ながら)そこにシラン系化合物を加えることによって、
シラン系化合物を導入し得る。
【0047】あるいは、物理的外力によって底面間隔が
拡大された膨潤性ケイ酸塩を分散媒中に加え、上記の分
散媒を用いる方法の場合と同様に、そこにシラン系化合
物を添加することによって、シラン系化合物を膨潤性ケ
イ酸塩に導入することもできる。
【0048】膨潤性ケイ酸へのシラン系化合物の導入
は、底面間隔が拡大した膨潤性ケイ酸塩の表面に存在す
る水酸基と、シラン系化合物の加水分解性基および(ま
たは)水酸基とが反応する事によって、膨潤性ケイ酸塩
のにシラン系化合物が導入され得る。
【0049】膨潤性ケイ酸塩中に導入されたシラン系化
合物がさらに水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポ
キシ基、あるいはビニル基などの様な反応活性な官能基
を有している場合、この様な反応活性基と反応できる化
合物を更に添加して、この化合物をこの反応活性基と反
応させることも可能である。この様にして膨潤性ケイ酸
塩に導入されたシラン系化合物の官能基鎖の鎖長を長く
したり、極性を変えることができる。この場合、添加さ
れる化合物としては上記のシラン系化合物自体も用いら
れ得るが、それらに限定されることなく、目的に応じて
任意の化合物が用いられ得、例えば、エポキシ基含有化
合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合
物、酸無水物基含有化合物、及び水酸基含有化合物等が
挙げられる。
【0050】反応は室温で充分に進行するが、必要に応
じて加温しても良い。加温時の最高温度は用いるシラン
系化合物の分解温度未満であり、かつ分散媒の沸点未満
で有れば任意に設定されうる。
【0051】シラン系化合物(B2)の使用量は、粘土
分散体におけるシラン粘土複合体の分散性、シラン粘土
複合体と樹脂との親和性、ポリエステル樹脂組成物中で
のシラン粘土複合体の分散性が十分に高まるように調製
し得る。必要であるならば、異種の官能基を有する複数
種のシラン系化合物を併用し得る。シラン系化合物の添
加量は一概に数値で限定されるものではないが、膨潤性
ケイ酸塩100重量部に対して、その下限値は、0.1
重量部以上であり、好ましくは0.2重量部以上であ
り、より好ましくは0.3重量部以上、さらに好ましく
は0.4重量部以上、特に好ましくは0.5重量部以上
である。シラン系化合物の添加量の上限値は、200重
量部以下、好ましくは180重量部以下、より好ましく
は160重量部以下、更に好ましくは140重量部以
下、特に好ましくは120重量部以下である。シラン系
化合物の量が0.1重量部未満であると得られるシラン
粘土複合体の微分散化効果が充分で無くなる傾向があ
る。また、200重量部以上では効果が変わらないの
で、200重量部より多く添加する必要はない。
【0052】上記のようにして得られるシラン粘土複合
体(B)の底面間隔は、導入されたシラン系化合物(B
2)の存在により、膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔に
比べて拡大し得る。例えば、分散媒中に分散されて底面
間隔が拡大された膨潤性ケイ酸塩は、シラン系化合物を
導入しない場合、分散媒を除去すると再び層同士が凝集
した状態に戻るが、本発明によれば、底面間隔を拡大し
た後にシラン系化合物を導入することによって、分散媒
を除去した後も、得られるシラン粘土複合体は層同士が
凝集することなく底面間隔が拡大された状態で存在し得
る。シラン粘土複合体の底面間隔は膨潤性ケイ酸塩の初
期の底面間隔に比べて、1.3倍以上、好ましくは1.5
倍以上、更に好ましくは1.7倍以上、特に好ましくは
2倍以上拡大している。また、特に、ポリオキシアルキ
レン基を有するシラン系化合物を導入させることによ
り、シラン粘土複合体の底面間隔は2.5倍以上拡大し
ている。上記のようにして得られるシラン粘土複合体の
底面間隔は、導入されたシラン系化合物の存在により、
分散媒を除去した後も層同士の凝集が抑制され、膨潤性
ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて大きくなり、シラン
粘土複合体の劈開性を高めることができる。および底面
間隔が拡大されることにより、シラン粘土複合体と樹脂
との親和性を高めることができる。
【0053】ここで、シラン系化合物が膨潤性ケイ酸塩
に導入された事は種々の方法で確認し得る。確認の方法
としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0054】まず、テトラヒドロフランやクロロホルム
などの有機溶剤を用いてシラン粘土複合体を洗浄する事
によって、単に吸着しているシラン系化合物を洗浄し除
去する。洗浄後のシラン粘土複合体を乳鉢などで粉体状
にしたのち充分に乾燥する。
【0055】次いで、シラン粘土複合体を粉末状の臭化
カリウム(KBr)等のような窓材質と所定の比率で充
分に混合して加圧錠剤化し、フーリエ変換(FT)−I
Rを用い、透過法等により、シラン系化合物に由来する
吸収帯を測定する。より正確に測定することが所望され
る場合、あるいは導入されたシラン系化合物量が少ない
場合には、充分に乾燥した粉末状のシラン粘土複合体を
そのまま拡散反射法(DRIFT)で測定することが望
ましい。
【0056】また、シラン粘土複合体の底面間隔が膨潤
性ケイ酸塩よりも拡大している事は、種々の方法で確認
し得る。確認の方法としては、例えば、以下の方法が挙
げられる。
【0057】すなわち、上記と同様にして、吸着してい
るシラン系化合物を有機溶媒で洗浄してシラン粘土複合
体から除去し、乾燥した後に、小角X線回折法(SAX
S)などで確認し得る。この方法では、粉末状のシラン
粘土複合体の(001)面に由来するX線回折ピーク角
値をSAXSで測定し、Braggの式に当てはめて算
出することにより底面間隔を求め得る。同様に初期の膨
潤性ケイ酸塩の底面間隔を測定し、この両者を比較する
ことにより底面間隔の拡大を確認し得る。
【0058】前記のように、有機溶剤で洗浄した後に、
添加したシラン系化合物に由来する吸収帯がFT−IR
等で観測され、かつ底面間隔が原料の膨潤性ケイ酸塩よ
りも拡大していることをSAXS等で測定することによ
り、シラン粘土複合体が生成していることが判る。
【0059】本発明のポリエステル樹脂組成物におい
て、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対するシ
ラン粘土複合体の配合量の下限値は、0.1重量部以上
であり、好ましくは0.2重量部以上であり、より好ま
しくは0.3重量部以上、さらに好ましくは0.4重量
部以上、特に好ましくは0.5重量部以上である。シラ
ン粘土複合体の配合量の上限値は、50重量部以下、好
ましくは45重量部以下、より好ましくは40重量部以
下、更に好ましくは35重量部以下、特に好ましくは3
0重量部以下である。シラン粘土複合体の配合量が0.
1重量部未満であると曲げ特性、荷重たわみ温度、寸法
安定性の改善効果が不充分となる場合があり、50重量
部を超えると成形体の外観等が損なわれる傾向がある。
【0060】また、シラン粘土複合体に由来するポリエ
ステル樹脂組成物の灰分率の下限値は、0.1重量%以
上であり、好ましくは0.2重量%以上であり、より好
ましくは0.3重量%以上、さらに好ましくは0.4重
量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上である。ポ
リエステル樹脂組成物の灰分率の上限値は、30重量%
以下、好ましくは28重量%以下、より好ましくは25
重量%以下、更に好ましくは23重量%以下、特に好ま
しくは20重量%以下である。灰分率が0.1重量%未
満であると曲げ特性、荷重たわみ温度、寸法安定性の改
善効果が不充分となる場合があり、30重量%を超える
と成形体の外観等が損なわれる傾向がある。
【0061】本発明のポリエステル樹脂組成物中で分散
しているシラン粘土複合体の構造は、配合前の膨潤性ケ
イ酸塩が有していたような、層が多数積層したμmサイ
ズの凝集構造とは全く異なる。すなわち、マトリックス
樹脂と親和性を有するシラン系化合物が導入され、かつ
初期の膨潤性ケイ酸塩に比べて底面間隔が拡大されたシ
ラン粘土複合体を用いることによって、層同士が劈開
し、互いに独立して細分化する。その結果、シラン粘土
複合体はポリエステル樹脂組成物中で非常に細かく互い
に独立した薄板状で分散し、その数は、原料である膨潤
性ケイ酸塩に比べて著しく増大する。この様な薄板状の
シラン粘土複合体の分散状態は以下に述べるアスペクト
比(層長さ/層厚の比率)、分散粒子数、最大層厚およ
び平均層厚で表現され得る。
【0062】まず、[N]値を、ポリエステル樹脂組成
物の面積100μm2における、膨潤性ケイ酸塩の単位
重量比率当たりの分散粒子数であると定義すると、本発
明のポリエステル樹脂組成物におけるシラン粘土複合体
の[N]値は、30以上であり、好ましくは45以上で
あり、より好ましくは60以上である。上限値は特にな
いが、[N]値が1000程度を越えると、それ以上効
果は変わらなくなるので、1000より大きくする必要
はない。[N]値は、例えば、次のようにして求められ
得る。すなわち、ポリエステル樹脂組成物を約50μm
〜100μm厚の超薄切片に切り出し、該切片をTEM
等で撮影した像上で、面積が100μm 2の任意の領域
に存在するシラン粘土複合体の粒子数を、用いた膨潤性
ケイ酸塩の重量比率で除すことによって求められ得る。
あるいは、TEM像上で、100個以上の粒子が存在す
る任意の領域(面積は測定しておく)を選んで該領域に
存在する粒子数を、用いた膨潤性ケイ酸塩の重量比率で
除し、面積100μm2に換算した値を[N]値として
もよい。従って、[N]値はポリエステル樹脂組成物の
TEM写真等を用いることにより定量化できる。また、
平均層厚を、薄板状で分散したシラン粘土複合体の層厚
みの数平均値であると定義すると、本発明のポリエステ
ル樹脂組成物中のシラン粘土複合体の平均層厚の下限値
は、20Å以上であり、好ましくは30Å以上であり、
より好ましくは50Å以上である。シラン粘土複合体の
平均層厚の上限値は500Å以下であり、好ましくは4
50Å以下であり、より好ましくは400Å以下であ
る。平均層厚が上記の範囲にあると、本発明のポリエス
テル樹脂組成物から得られる成形品の外観を損なうこと
なく、曲げ特性、耐熱性、寸法安定性への改良効果がさ
らに改良される。
【0063】また、最大層厚を、本発明のポリエステル
樹脂組成物中に薄板状に分散したシラン粘土複合体の層
厚みの最大値であると定義すると、シラン粘土複合体の
最大層厚の下限値は100Åより大きくであり、好まし
くは200Å以上であり、より好ましくは300Å以上
である。ポリエステル樹脂組成物中に分散しているシラ
ン複合体の最大層厚が100Å以下であると、本発明の
ポリエステル樹脂組成物から得られる成形品の曲げ特
性、耐熱性、および寸法安定性への改良効果が十分に得
られない傾向がある。また、シラン粘土複合体の最大層
厚の上限値は、2000Å以下であり、好ましくは18
00Å以下であり、より好ましくは1500Å以下であ
る。最大層厚が2000Åより大きいと、本発明のポリ
エステル樹脂組成物の表面性が損なわれる場合がある。
【0064】層厚および層長さは、本発明のポリエステ
ル樹脂組成物を加熱溶融した後に、熱プレス成形あるい
は延伸成形して得られるフィルム、および溶融樹脂を射
出成形して得られる薄肉の成形品等を、顕微鏡等を用い
て撮影される像から求めることができる。
【0065】すなわち、いま仮に、上記の方法で調製し
たフィルムの、あるいは肉厚が約0.5〜2mm程度の
薄い平板状の射出成形した試験片を置いたと仮定する。
上記のフィルムあるいは試験片の面方向に垂直な方向で
約50μm〜100μm厚の超薄切片を切り出し、該切
片を透過型電子顕微鏡などを用い、約4〜10万倍以上
の高倍率で観察して求められ得る。測定は、上記の方法
で得られた透過型電子顕微鏡の象上に置いて、100個
以上のシラン粘土複合体を含む任意の領域を選択し、画
像処理装置などで画像化し、計算機処理する事等により
定量化できる。あるいは、定規などを用いて計測しても
求めることもできる。
【0066】本発明で使用するエチレンとアルキルエス
テルの炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキル
エステルからなる共重合体(以下、単に共重合体と記
す)(C)は、樹脂の耐衝撃性および引張特性を改善す
る目的で用いられる。
【0067】共重合体(C)は、一般的にはエチレンと
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを、ラジカル開
始剤の存在下にて高温、高圧で重合して得られるが、重
合方法はこれに限られるものではなく、一般に知られて
いる公知の種々の重合方法を用いて重合することができ
る。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合
体、グラフト共重合体等の任意の共重合形態をとっても
よい。
【0068】共重合体(C)中の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル中のアルキルエステルには、炭素数1〜
10のものが用いられる。炭素数11以上のものを用い
ると、ポリエステルとの相溶性が低下し、得られた組成
物の曲げ特性が低下する。好ましくは炭素数が8以下、
さらに好ましくは炭素数6以下である。(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルの具体例としては、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレー
ト、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、t−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プ
ロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、
n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート
等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせ
て用いられる。
【0069】共重合体(C)の具体例としては、エチレ
ン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−n−ブチ
ルアクリレート共重合体、エチレン−エチルメタクリレ
ート共重合体、エチレン−n−ブチルメタクリレート共
重合体等があげられるが、エチレン−エチルアクリレー
ト共重合体が入手のしやすさの点から好ましい。これら
は単独または2種以上組み合わせて用いられる。
【0070】共重合体(C)のメルトインデックス(M
I)値は、190℃,2kg荷重条件(JIS K67
30に準拠)において、300g/10分以下が好まし
く、さらには、100g/10分以下がより好ましい。
MIが300g/10分を越えると曲げ特性および引張
強度が低下する。
【0071】共重合体(C)中の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル単位の比率は、モノマー単位で5〜50
wt%が好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル比率が5%未満では引張特性が不足する場合があり、
50wt%を越えると曲げ特性および耐熱性が低下する
傾向にある。
【0072】前記のごとき、共重合体(C)の添加量の
下限値は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対
して、0.1重量部以上であり、好ましくは0.5重量
部以上であり、より好ましくは1.0重量部以上であ
る。共重合体(C)の添加量の上限値は、10重量部以
下、好ましくは8重量部以下であり、より好ましくは6
重量部以下である。0.1重量部未満では、耐衝撃性お
よび引張伸びの改良効果が得られず、10重量部を越え
ると曲げ特性や耐熱性の低下に加え、成形品表面がムラ
状になり外観不良となる。
【0073】本発明のポリエステル樹脂組成物には、曲
げ特性、成形性、耐衝撃性、引張特性等の特性を損なわ
ない範囲で、他の任意の樹脂、例えば、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、液晶ポリエス
テル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム
質重合体強化スチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール
樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリイミド、ポリエーテル
イミド樹脂、及びポリアリレート樹脂等の熱可塑性樹脂
や、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びフェ
ノールノボラック樹脂等の熱硬化性樹脂の単独または2
種以上を組み合わせて使用し得る。
【0074】更に、本発明のポリエステル樹脂組成物に
は、目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、
及び帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
【0075】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方
法には特に限定されるものではない。例えば、上記に挙
げられた成分を予め均一に混合した後、単軸あるいは多
軸の押出機に供給し、240〜270℃程度の温度で溶
融混練され、続いて冷却してペレットとして製造され
る。
【0076】本発明のポリエステル樹脂組成物の成形加
工法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂に
ついて一般に用いられる成形法、すなわち、射出成形、
ブロー成形、押出成形、シート成形、ロール成形、プレ
ス成形、積層成形、溶融キャスト法によるフィルム成
形、紡糸等の各種成形方法が適用できる。
【0077】本発明のポリエステル樹脂組成物中ではシ
ラン粘土複合体が非常に細かく、かつ薄い板状で均一分
散していることから、表面平滑性を損なうことなく、曲
げ特性や耐熱性および寸法安定性を改善することがで
き、かつ、エチレンとアルキルエステルの炭素数が1〜
10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体
が存在することより、耐衝撃性および引張特性を改善す
ることができる。
【0078】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
【0079】実施例、及び比較例で使用する主要原料を
以下にまとめて示す。なお、特に断らない場合は、原料
の精製は行っていない。 (ポリエステル樹脂)ポリエチレンテレフタレート:
対数粘度(ηinh;フェノール/1,1,2,2−テトラ
クロロエタンが重量比で1/1である混合溶媒中にて2
5℃で測定)=0.85(dl/g)、鐘紡(株)製、
商品名ベルペットEFG−85A(以降、PETと称
す) (膨潤性ケイ酸塩)モンモリロナイト:クニミネ工業
(株)製、商品名クニピアF(底面間隔=13Å)(以
降、クニピアFと称す) (シラン系化合物)γ−(ポリオキシエチレン)プロピ
ルトリメトキシシラン:日本ユニカー(株)製、商品名
A−1230(以降、POEシランA1230と称す) (耐衝撃性改良材)エチレン−(メタ)アクリル酸アル
キルエステル共重合体:エチレン−エチルアクリレート
共重合体(エチルアクリレート比率35重量%、MI=
25g/10分)、三井デュポンケミカル(株)製、商
品名EVAFLEX−EEA A709(以降、EEA
と称す) ブタジエン系弾性共重合体:ブタジエン−スチレン−メ
タクリル酸メチル共重合体、鐘淵化学工業(株)製商品
名B−564(以下、B564と称す) アクリル系弾性共重合体:クラレ(株)製、商品名パラ
フェイスME−120(以下、パラフェイスと称す) グリシジル基含有オレフィン系共重合体:エチレン−メ
タクリル酸グリシジル−酢酸ビニル共重合体(メタクリ
ル酸グリシジル比率12重量%、酢酸ビニル比率5重量
%、 MI=7g/10分)、住友化学工業(株)、商
品名BONDFAST 7B(以降、ボンドファースト
と称す) (抗酸化安定剤) テトラエステル型ヒンダードフェノール:旭電化(株)
製、商品名アデカスタブAO−60(以降、AO−60
と称す) また、実施例および比較例における評価方法を以下にま
とめて示す。 <灰分率>シラン粘土複合体に由来する、ポリエステル
樹脂組成物の灰分率は、JISK 7052に準じて測
定した。 <分散状態の測定>シラン粘土複合体に関しては、TE
Mを用いて以下のように行った。
【0080】厚み50〜100μmの超薄切片を用い
た。透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1200E
X)を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜100万倍
でシラン粘土複合体の分散状態を観察撮影した。TEM
写真において、100個以上の分散粒子が存在する領域
を選択し、粒子数([N]値)、層厚および層長を、目
盛り付きの定規を用いた手計測または、必要に応じてイ
ンタークエスト社の画像解析装置PIAS−IIIを用い
て処理する事により測定した。
【0081】[N]値の測定は以下のようにして行っ
た。まず、TEM像上で、選択した領域に存在するシラ
ン粘土複合体の粒子数を求める。これとは別に、シラン
粘土複合体に由来する樹脂組成物の灰分率を測定する。
上記粒子数を灰分率で除し、面積100μm2に換算し
た値を[N]値とした。
【0082】平均層厚は個々のシラン粘土複合体の層厚
の数平均値、最大層厚は個々のシラン粘土複合体の層厚
の中で最大の値とした。
【0083】分散粒子が大きく、TEMでの観察が不適
当である場合は、光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製
の光学顕微鏡BH−2)を用いて上記と同様の方法で
[N]値を求めた。ただし、必要に応じて、サンプルは
LINKAM製のホットステージTHM600を用いて
250〜270℃で溶融させ、溶融状態のままで分散粒
子の状態を測定した。 <対数粘度>得られたポリエステル樹脂組成物を乾燥
(140℃、4時間)した後、約100mgを精秤し
て、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン
(1/1、重量比)混合溶媒20mlを加えて120℃
で溶解した。測定温度25℃にて、ウベローデ型粘度計
および自動粘度測定装置(ラウダ社製、ビスコタイマ
ー)を用いて溶液粘度の測定を行い、下記式から対数粘
度(ηinh)を求めた。 ηinh={ln(t/t0)}/C (ただし、式中、tは溶液の値、t0は混合溶媒のみの
値、Cは濃度(g/dl)) <物性評価>ポリエステル樹脂組成物を140℃×5時
間の条件にて乾燥した。型締圧75tの射出成形機(東
芝機械(株)製、IS−75E)を用い、シリンダー温
度250〜270℃、金型温度120℃にて射出成形を
行い、厚み1/4インチ×幅12mm×長さ127mm
のバー状試験片、厚み3.2mmのASTM1号ダンベ
ル状試験片、および厚み1mm×幅120mm×長さ1
20mmの平板状試験片を得て、以下の評価を行った。 <曲げ特性>上記のバー状試験片を用い、曲げ強度およ
び曲げ弾性率を、ASTM D−790に従って測定し
た。 <荷重たわみ温度>上記のバー状試験片を用い、荷重た
わみ温度を、ASTM D−648に従って、印加荷重
0.45MPaにて測定した。 <加熱収縮率>上記の平板状試験片を、150℃×3時
間アニール処理した。アニール後の試験片のMD方向と
TD方向の寸法を測定し、以下の式から加熱収縮率を算
出した。
【0084】加熱収縮率[%]={(金型実寸法)−
(アニール後試験片の寸法)}×100/(金型実寸
法) <中心線粗さ>上記のダンベル状試験片を用い、東京精
密(株)製の表面粗さ計surfcom1500Aを用
いて、中心線粗さを測定した。 <耐衝撃性>上記のバー状試験片を用い、23℃におけ
るノッチ無あるいはノッチ有でのアイゾッド衝撃強度
を、ASTM D−256に従って測定した。 <引張特性>上記のダンベル状試験片を用い、ASTM
D−638に従って引っ張り試験を行い、最大伸びお
よび最大強度を測定した。 (実施例1)4000gのイオン交換水に120gのク
ニピアFを加え、日本精機(株)製の湿式ミルを用いて
5000rpm、5分間撹拌して混合した。その後、3
0gのA1230を簡易ピペットを用いて滴下添加し
て、更に、5000rpm、90分間撹拌することによ
ってシラン粘土複合体を調製した。シラン粘土複合体
は、加熱乾燥後、粉砕して、粉体として得た。
【0085】PET100重量部に対して、シラン粘土
複合体16重量部(灰分率換算で約10重量%となる
量)、抗酸化安定剤AO−60を0.2重量部、および
耐衝撃改良材としてEEA3重量部をヘンシェルミキサ
ーでドライブレンドした。該ドライブレンド物を、スク
リュー径が44ミリでそのスクリュー長さ(L)とスク
リュー径(D)の比L/D=42で2カ所のニーディン
グディスクゾーンを有する2軸同方向押出機(シリンダ
ー設定温度:230〜270℃)に供給して、溶融混練
を行い、樹脂組成物を得た。
【0086】得られた樹脂組成物に対して射出成形を行
って試験片を作製して、曲げ弾性率、曲げ強度、荷重た
わみ温度、加熱収縮率、中心線粗さ、アイゾッド耐衝撃
強度および引張伸びを評価した。結果を表1に示す。
【0087】
【表1】 (実施例2、3)EEA配合量を1重量部、8重量部と
した以外は、実施例1と同様の溶融混練条件にて樹脂組
成物を得た。結果を表1に示す。 (比較例1)EEAを配合しなかった以外は、実施例1
と同様の溶融混練条件にて樹脂組成物を得た。結果を表
1に示す。」 (比較例2、3)EEA配合量を15重量部とした以外
は、実施例1と同様の溶融混練条件にて樹脂組成物を得
た。また、EEAの代わりにカネエースB−564を1
5重量部配合した以外は、実施例1と同様の溶融混練条
件にて樹脂組成物を得た。結果を表1に示す。 (比較例4〜6)EEAの代わりに、それぞれ、カネエ
ースB−564、パラフェイスME−120、ボンドフ
ァースト7Bを3重量部配合した以外は、実施例1と同
様の溶融混練条件にて樹脂組成物を得た。結果を表1に
示す。 (比較例7、8)比較例4および6の配合において、予
めPETおよびシラン粘土複合体を溶融混練して樹脂組
成物を得た後、さらに耐衝撃性改良材を添加・ドライブ
レンドした後、再度溶融混練して樹脂組成物を得た。結
果を表1に示す。 (参考例)PET(EFG−85A)の射出成形を行っ
て試験片を作製して、曲げ弾性率、曲げ強度、低荷重た
わみ温度、加熱収縮率、中心線粗さ、アイゾッド耐衝撃
強度および引張伸びを評価した。結果を表1に示す。
【0088】表1から明らかであるように、本発明の樹
脂組成物はいずれも、曲げ特性、耐熱性、寸法安定性、
成形品の表面外観に優れ、かつ、耐衝撃性および引張特
性が改善されている。
【0089】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、熱可塑
性ポリエステル樹脂と膨潤性ケイ酸塩にシラン系化合物
を導入したシラン粘土複合体およびエチレンとアルキル
エステルの炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アル
キルエステルを溶融混練することにより、曲げ特性、耐
熱性、寸法安定性、成形品の表面外観に優れ、かつ、耐
衝撃性および引張特性が改善されたポリエステル樹脂を
提供できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、シラ
    ン粘土複合体(B)、およびエチレンとアルキルエステ
    ルの炭素数が1〜10である(メタ)アクリル酸アルキ
    ルエステルからなる共重合体(C)を配合してなる、ポ
    リエステル樹脂組成物であって、シラン粘土複合体
    (B)が、膨潤性ケイ酸塩(B1)に一般式(1): YnSiX4-n (1) (但し、式中、nは0〜3の整数であり、Yは置換基を
    有してもよい炭素数1〜25の炭化水素基、Xは加水分
    解性基および/または水酸基である。nまたは4−nが
    2以上の場合、n個のYまたは4−n個のXは、それぞ
    れ同種でも異種でもよい。)で表されるシラン系化合物
    (B2)が導入されているものであり、かつ、ポリエス
    テル樹脂組成物中でシラン粘土複合体(B)が平均層厚
    20Å以上かつ500Å以下で分散しているポリエステ
    ル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部
    に対して、エチレンとアルキルエステルの炭素数が1〜
    10である(メタ)アクリル酸アルキルエステルからな
    る共重合体(C)が0.1〜10重量部であることを特
    徴とする、請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 エチレンとアルキルエステルの炭素数が
    1〜10である(メタ)アクリル酸アルキルエステルか
    らなる共重合体(C)が、エチレン−エチルアクリレー
    ト共重合体であることを特徴とする、請求項1または2
    に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリエステル樹脂組成物中のシラン粘土
    複合体(B)の最大層厚が100Åより大きくかつ20
    00Å以下であることを特徴とする、請求項1〜3のい
    ずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 シラン粘土複合体(B)に導入されるシ
    ラン系化合物(B2)が、上記一般式(1)のうち、Y
    の置換基としてポリオキシアルキレン基を有するもので
    あることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載
    のポリエステル樹脂組成物。
JP31832799A 1999-11-09 1999-11-09 ポリエステル樹脂組成物 Pending JP2001131396A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31832799A JP2001131396A (ja) 1999-11-09 1999-11-09 ポリエステル樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31832799A JP2001131396A (ja) 1999-11-09 1999-11-09 ポリエステル樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001131396A true JP2001131396A (ja) 2001-05-15

Family

ID=18097946

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31832799A Pending JP2001131396A (ja) 1999-11-09 1999-11-09 ポリエステル樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001131396A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006089700A (ja) * 2004-09-27 2006-04-06 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物
JP2007059236A (ja) * 2005-08-25 2007-03-08 Shin Etsu Chem Co Ltd 非水電解液並びにこれを用いた二次電池及びキャパシタ

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006089700A (ja) * 2004-09-27 2006-04-06 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物
JP4701662B2 (ja) * 2004-09-27 2011-06-15 東レ株式会社 ポリエステル樹脂組成物
JP2007059236A (ja) * 2005-08-25 2007-03-08 Shin Etsu Chem Co Ltd 非水電解液並びにこれを用いた二次電池及びキャパシタ
JP4716009B2 (ja) * 2005-08-25 2011-07-06 信越化学工業株式会社 非水電解液並びにこれを用いた二次電池及びキャパシタ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4177554B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法
US7605206B2 (en) Method of compatibilizing non polymer solid fillers in polymeric materials and compositions therefrom
JP4786830B2 (ja) 強化ポリエステル樹脂組成物
JP3686260B2 (ja) 層状無機物含有樹脂フィルム
KR100622710B1 (ko) 내열성 및 표면평활성이 우수한 폴리에스테르 수지 조성물
JP2001131396A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2010106194A (ja) 低線膨張係数の樹脂組成物
JP2007217643A (ja) 単相分散型無機微粒子複合体を含む樹脂組成物およびその製造方法
JP4768442B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物および成形体
EP1553141A1 (en) Polyamide resin composition and process for producing the same
JP4668394B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP4467140B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
KR100582338B1 (ko) 내열성 및 표면평활성이 우수한 폴리에스테르 수지 조성물
JP2001329150A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JPH11323102A (ja) 強化ポリエステル樹脂組成物
JP2000290505A (ja) ポリサルホン樹脂組成物および製造方法
JP4708766B2 (ja) 耐アルカリ性および表面性が良好な熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP2002060599A (ja) 照明部品用ポリエステル樹脂成形体
JP2000309688A (ja) ポリエステル樹脂組成物および製造方法
JP2001323144A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2000309687A (ja) ポリエステル樹脂組成物および製造方法
JP2000212421A (ja) 強化ポリエステル樹脂組成物およびその成形品
JP2001323143A (ja) ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP2002322351A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2006117736A (ja) ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られる成形体