JP2001323144A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JP2001323144A
JP2001323144A JP2000147810A JP2000147810A JP2001323144A JP 2001323144 A JP2001323144 A JP 2001323144A JP 2000147810 A JP2000147810 A JP 2000147810A JP 2000147810 A JP2000147810 A JP 2000147810A JP 2001323144 A JP2001323144 A JP 2001323144A
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JP
Japan
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polyester resin
resin composition
compound
layered
layered compound
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JP2000147810A
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English (en)
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Noriyuki Suzuki
紀之 鈴木
Kazuhiro Hara
和宏 原
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低反りでかつ機械的特性に優れ、溶融状態で
の熱安定性も向上させる事により物性のバランスに優れ
るポリエステル樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂および水酸基
価が30mgKOH/g以下であるポリエーテル化合物
で処理された層状化合物を含有するポリエステル樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリエス
テル樹脂、および水酸基価が特定値以下のポリエーテル
化合物で処理された層状化合物を含有するポリエステル
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑
性ポリエステル樹脂は耐熱性、耐薬品性、耐候性、機械
物性、電気的特性等に優れる為、射出成形材料、繊維、
フィルムとして多くの工業的用途に使用されているが、
更に高い機械的特性や耐熱性が求められている。そのよ
うな要求に対しては一般的に様々な無機粒子の配合によ
る改良が試みられてきたが、それによって製品の表面外
観が損なわれたり、射出成形時に繊維状無機物が配向す
ることによって異方性が生じる問題があった。
【0003】こうした無機粒子の欠点は、一般に無機粒
子の分散不良や分散粒子サイズが大きすぎることに起因
するものと考えられており、無機粒子を微分散化する技
術が望まれていた。
【0004】無機粒子の中でも層状化合物、とりわけ層
状ケイ酸塩に関しては、層状ケイ酸塩の層を劈開し易く
して微分散化し易くする技術として、ポリビニルピロリ
ドン等の高分子化合物(インターカラントポリマー)を
層状ケイ酸塩の層間にインターカレートして層間化合物
とする技術(特開平9−118518号)が開示されて
いる。しかしながら、上記の発明では、層間化合物は開
示されているが、該層間化合物を劈開して熱可塑性ポリ
エステル樹脂へ微分散化する技術は開示されておらず、
熱可塑性ポリエステル樹脂中に層状ケイ酸塩を微分散さ
せる事は困難であった。
【0005】一方、本研究者らは、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂中で層状ケイ酸塩の層を劈開して微分散化するた
めには、層状ケイ酸塩をポリエーテル化合物で処理して
粘土層間化合物にする事が特に有効であることを見出
し、熱可塑性ポリエステル樹脂と粘土層間化合物を含有
するポリエステル樹脂組成物に関する技術を開示した
(特開平10−259016号公報、特開平10−31
0420号公報)。該技術によって、表面外観の低下や
反りを生じることなく弾性率や耐熱性を高めることがで
きる。しかしながら溶融状態での熱安定性は必ずしも充
分であるとはいえず、場合によっては溶融状態で滞留す
ると機械物性が低下する傾向が見られる等の問題がある
為に改善が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はこのよ
うな従来の問題を改善し、低反りでかつ弾性率や耐熱性
を高めると共に、溶融状態での熱安定性も向上させ、物
性のバランスに優れるポリエステル樹脂組成物を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成する為に鋭意検討した結果、本発明を完成させる
に至った。
【0008】即ち、本発明は、熱可塑性ポリエステル樹
脂、および水酸基価が30mgKOH/g以下であるポ
リエーテル化合物で処理された層状化合物を含有するポ
リエステル樹脂組成物に関する。
【0009】好ましい実施態様としては、ポリエーテル
化合物で処理された層状化合物が、水または水を含有す
る極性溶媒中で層状化合物およびポリエーテル化合物を
混合する事によって得られるものである事を特徴とす
る、前記に記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0010】さらに好ましい実施態様としては、ポリエ
ーテル化合物が水または水を含有する極性溶媒に可溶で
ある事を特徴とする、前記いずれかに記載のポリエステ
ル樹脂組成物に関する。
【0011】さらに好ましい実施態様としては、ポリエ
ステル樹脂組成物中の層状化合物の等価面積円直径
[D]が3000Å以下である層状化合物の比率が20
%以上である、前記いずれかに記載のポリエステル樹脂
組成物に関する。
【0012】さらに好ましい実施態様としては、ポリエ
ステル樹脂組成物中の層状化合物の等価面積円直径
[D]の平均値が5000Å以下である、前記いずれか
に記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0013】さらに好ましい実施態様としては、ポリエ
ステル樹脂組成物中の層状化合物の平均層厚が500Å
以下である事を特徴とする、前記いずれかに記載のポリ
エステル樹脂組成物に関する。
【0014】さらに好ましい実施態様としては、ポリエ
ステル樹脂組成物中の層状化合物の最大層厚が2000
Å以下である事を特徴とする、前記いずれかに記載のポ
リエステル樹脂組成物に関する。
【0015】さらに好ましい実施態様としては、ポリエ
ステル樹脂組成物中の層状化合物の[N]値が30以上
であり、ここで[N]値が、樹脂組成物の面積100μ
2中に存在する、層状化合物の単位比率当たりの粒子
数であると定義される事を特徴とする、前記いずれかに
記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0016】さらに好ましい実施態様としては、ポリエ
ステル樹脂組成物中の層状化合物の平均アスペクト比
(層長さ/層厚の比)が10〜300である、前記いず
れかに記載のポリエステル樹脂組成物に関する。
【0017】さらに好ましい実施態様としては、層状化
合物が層状ケイ酸塩である、前記いずれかに記載のポリ
エステル樹脂組成物に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる熱可塑性ポリ
エステル樹脂とは、ジカルボン酸化合物および/または
ジカルボン酸のエステル形成性誘導体を主成分とする酸
成分、及びジオール化合物および/またはジオール化合
物のエステル形成性誘導体を主成分とするジオール成分
との反応により得られる従来公知の任意の熱可塑性ポリ
エステル樹脂である。
【0019】前記主成分とするとは、酸成分又はジオー
ル成分中に占めるそれぞれの割合が80%以上、さらに
は90%以上であることを意図し、上限は100%であ
る。
【0020】熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサ
メチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4
−ジメチルテレフタレート、ネオペンチルテレフタレー
ト、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレ
ンナフタレートなどが挙げられる。また、これらの樹脂
の製造に使用される酸成分および/またはジオール成分
を2種以上用いて製造した共重合ポリエステルが挙げら
れる。
【0021】上記の熱可塑性ポリエステル樹脂は単独
で、または組成あるいは成分の異なるもの及び/または
固有粘度の異なるものを2種以上組み合わせて使用し得
る。
【0022】前記ポリエステル樹脂の中では、強度、弾
性率、コスト等の点から、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン
−1,4−ジメチルテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレートが好ましい。
【0023】熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量は、フ
ェノール/テトラクロロエタン(5/5重量比)混合溶
媒を用いて、25℃で測定した対数粘度が0.3〜2.
0(dl/g)のものが好ましく、より好ましくは0.
3〜1.8(dl/g)であり、さらに好ましくは0.3
〜1.5(dl/g)であり、特に好ましくは0.3〜
1.2(dl/g)である。対数粘度が0.3(dl/
g)未満である場合、得られるポリエステル樹脂組成物
の機械的特性や耐衝撃性が低く、また、2.0(dl/
g)より大きい場合は溶融粘度が高い為に成形流動性が
低下する傾向がある。
【0024】本発明で用いられる層状化合物とは、ケイ
酸塩、リン酸ジルコニウム等のリン酸塩、チタン酸カリ
ウム等のチタン酸塩、タングステン酸ナトリウム等のタ
ングステン酸塩、ウラン酸ナトリウム等のウラン酸塩、
バナジン酸カリウム等のバナジン酸塩、モリブデン酸マ
グネシウム等のモリブデン酸塩、ニオブ酸カリウム等の
ニオブ酸塩、黒鉛から成る群より選択される1種以上で
ある。入手の容易性、取扱い性等の点から層状ケイ酸塩
が好ましく用いられる。
【0025】上記の層状ケイ酸塩とは、主として酸化ケ
イ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体
シートから形成され、例えば、スメクタイト族粘土およ
び膨潤性雲母などが挙げられる。
【0026】前記のスメクタイト族粘土は下記一般式
(1) X1 0.20.61 231 410(OH)2・nH2O (1) (ただし、X1はK、Na、1/2Ca、及び1/2M
gから成る群より選ばれる1種以上であり、Y1はM
g、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrか
ら成る群より選ばれる1種以上であり、Z1はSi、及
びAlから成る群より選ばれる1種以上である。尚、H
2Oは層間イオンと結合している水分子を表すが、nは
層間イオンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で
表される、天然または合成されたものである。該スメク
タイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナ
イト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄
サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサ
イト及びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導
体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメク
タイト族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約1
0〜17Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の
平均粒径はおおよそ1000Å〜1000000Åであ
る。
【0027】また、前記の膨潤性雲母は下記一般式
(2) X2 0.51.02 23(Z2 410)(F、OH)2 (2) (ただし、X2はLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、
及びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、Y2
はMg、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群
より選ばれる1種以上であり、Z2はSi、Ge、A
l、Fe、及びBから成る群より選ばれる1種以上であ
る。)で表される、天然または合成されたものである。
これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及
び水と該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する
物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウ
ム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナト
リウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導
体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性
雲母の初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10
〜17Åであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は
約1000〜1000000Åである。
【0028】上記の膨潤性雲母の中にはバーミキュライ
ト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバー
ミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュラ
イト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記
一般式(3) (Mg,Fe,Al)23(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O ( 3) (ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカ
リ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=
3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記
バーミキュライト相当品の初期の凝集状態における底面
間隔はおおよそ10〜17Åであり、凝集状態での平均
粒径は約1000〜5000000Åである。
【0029】層状ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に規
則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましいが、
結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合った、い
わゆる混合層鉱物も使用され得る。
【0030】層状ケイ酸塩は単独で用いても良く、2種
以上組み合わせて使用しても良い。これらの内では、モ
ンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび層
間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、入手の容
易さ、得られるポリエステル樹脂組成物中での分散性お
よびポリエステル樹脂組成物の物性改善効果の点から好
ましい。
【0031】本発明で用いられるポリエーテル化合物と
は、主鎖がポリオキシエチレンやポリオキシエチレン−
ポリオキシプロピレン共重合体などのようなポリオキシ
アルキレンである化合物を意図する。
【0032】上記のポリエーテル化合物は側鎖および/
または主鎖中に、アルコキシシリル基やシラノール基な
ど、Si−O−Si結合を形成し得るケイ素を含有する
官能基以外の官能基を有していても良く、熱可塑性ポリ
エステル樹脂や層状化合物に悪影響を与えない限りにお
いて任意の官能基であり得る。該官能基の例としては、
炭化水素基、エステル結合で結合している基、エポキシ
基、アミノ基、カルボキシル基、末端にカルボニル基を
有する基、アミド基、メルカプト基、スルホニル結合で
結合している基、スルフィニル結合で結合している基、
ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、ハロゲン原子およ
び水酸基などが挙げられる。これらの内の1種で置換さ
れていても良く、2種以上で置換されていても良い。
【0033】上記の炭化水素基とは、直鎖または分岐鎖
(すなわち側鎖を有する)の飽和または不飽和の一価ま
たは多価の脂肪族炭化水素基を意味し、例えば、アルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。本
明細書において、「アルキル基」という場合は、特に指
示が無い限り「アルキレン基」等の多価の炭化水素基を
包含することを意図する。同様にアルケニル基、アルキ
ニル基は、それぞれアルケニレン基、アルキニレン基等
を包含する。
【0034】ポリエーテル化合物中の官能基の組成比は
特に制限されるものではないが、ポリエーテル化合物が
水または水を含有する極性溶媒に可溶である事が望まし
い。具体的には、例えば、室温の水100gに対する溶
解度が1g以上であり、好ましくは2g以上であり、よ
りに好ましくは5g以上であり、更に好ましくは10g
以上であり、特に好ましくは20g以上である。
【0035】上記の極性溶媒とは、例えば、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール等のグリコール類、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合
物、その他の溶媒としてピリジン、ジメチルスルホキシ
ドやN−メチルピロリドン等が挙げられる。又、炭酸ジ
メチルや炭酸ジエチルような炭酸ジエステルも使用でき
る。これらの極性溶媒は単独で用いても良く2種類以上
組み合わせて用いても良い。
【0036】ポリエーテル化合物の具体例としては、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール
−ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール
−ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメ
チルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエー
テル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリ
エチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレン
グリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコール
モノフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジフェ
ニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニ
ルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエチルエー
テル、ポリエチレングリコールメチルアリルエーテル、
ポリエチレングリコールグリセリルエーテル、ポリエチ
レングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリ
コールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアク
リレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレング
リコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール
−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエ
チレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノ
メタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラ
メチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエ
チレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエ
チレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエ
チレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタ
クリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリ
プロピレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポ
リエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシ
ポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキ
シポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステア
ロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリ
ロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ア
リロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノ
ニルフェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレ
ート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノア
クリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチ
レングリコール−ポリテトラメチレングリコールジメタ
クリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチ
レングリコールジアクリレート、ビス(ポリエチレング
リコール)ブチルアミン、ビス(ポリエチレングリコー
ル)オクチルアミン、ポリエチレングリコールビスフェ
ノールAエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロ
ピレングリコールビスフェノールAエーテル、エチレン
オキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エ
チレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレー
ト、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビ
スフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールユ
レイドプロピルエーテル、ポリエチレングリコールメル
カプトプロピルエーテル、ポリエチレングリコールフェ
ニルスルホニルプロピルエーテル、ポリエチレングリコ
ールフェニルスルフィニルプロピルエーテル、ポリエチ
レングリコールニトロプロピルエーテル、ポリエチレン
グリコールニトロソプロピルエーテル、ポリエチレング
リコールシアノエチルエーテル、ポリエチレングリコー
ルシアノエチルエーテルなどが挙げられる。これらのポ
リエーテル化合物は、単独、又は2種以上組み合わせて
使用され得る。
【0037】本発明で用いられるポリエーテル化合物
は、水酸基価が30mgKOH/g以下であり、好まし
くは28mgKOH/g以下であり、より好ましくは2
5mgKOH/g以下であり、更に好ましくは23mg
KOH/g以下であり、特に好ましくは20mgKOH
/g以下である。水酸基価が30mgKOH/gより大
きいと熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量が低下する傾
向があり、結果としてポリエステル樹脂組成物の強度や
靭性が低下する。
【0038】上記の水酸基価の測定方法は特に限定され
ず任意の方法を行い得る。そのような例として、例え
ば、本発明で用いられるポリエーテル化合物1gを、塩
化アセチル、無水酢酸、氷酢酸などでアセチル化する。
次いで、水酸化ナトリウム等のアルカリ化合物で加水分
解、すなわちケン化し、それによって生じる酢酸を中和
するのに要する水酸化カリウムのmg数を水酸基価とい
う。
【0039】ポリエーテル化合物の使用量は、層状化合
物と熱可塑性ポリエステル樹脂との親和性、ポリエステ
ル樹脂組成物中での層状化合物の分散性が十分に高まる
ように調製し得る。必要であるならば、異種の官能基を
有する複数種のポリエーテル化合物を併用し得る。従っ
て、ポリエーテル化合物の使用量は一概に数値で限定さ
れるものではないが、層状化合物100重量部に対する
層状化合物の配合量の下限値は、0.1重量部であり、
好ましくは0.2重量部であり、より好ましくは0.3
重量部であり、更に好ましくは0.4重量部であり、特
に好ましくは0.5重量部である。層状化合物100重
量部に対する層状化合物の配合量の上限値は、200重
量部であり、好ましくは180重量部であり、より好ま
しくは160重量部であり、更に好ましくは140重量
部であり、特に好ましくは120重量部である。ポリエ
ーテル化合物量の下限値が0.1重量部未満であると層
状化合物の微分散化効果が充分で無くなる傾向がある。
また、ポリエーテル化合物量の200重量部以上では効
果が変わらないので、200重量部より多く使用する必
要はない。
【0040】本発明において、ポリエーテル化合物で層
状化合物を処理する方法は特に限定されず例えば、以下
に示した方法で行い得る。
【0041】まず、層状化合物と分散媒を撹拌混合す
る。前記分散媒とは水または水を含有する極性溶媒を意
図する。具体的には既に上述しているのでここでは省略
する。
【0042】層状化合物と分散媒との攪拌の方法は特に
限定されず、例えば、従来公知の湿式撹拌機を用いて行
われる。該湿式撹拌機としては、撹拌翼が高速回転して
撹拌する高速撹拌機、高剪断速度がかかっているロータ
ーとステーター間の間隙で試料を湿式粉砕する湿式ミル
類、硬質媒体を利用した機械的湿式粉砕機類、ジェット
ノズルなどで試料を高速度で衝突させる湿式衝突粉砕機
類、超音波を用いる湿式超音波粉砕機などを挙げること
ができる。より効率的に混合したい場合は、撹拌の回転
数を1000rpm以上、好ましくは1500rpm以
上、より好ましくは2000rpm以上にするか、ある
いは500(1/s)以上、好ましくは1000(1/
s)以上、より好ましくは1500(1/s)以上の剪
断速度を加える。回転数の上限値は約25000rpm
であり、剪断速度の上限値は約500000(1/s)
である。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、剪断
を加えてもそれ以上変わらない傾向があるため、上限値
よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。また、混合に
要する時間は1〜10分以上である。次いで、ポリエー
テル化合物を加えてから更に撹拌を続け、十分に混合す
る。その後、乾燥して必要に応じて粉体化する。
【0043】本発明のポリエステル樹脂組成物におい
て、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対する層
状化合物の配合量の下限値は、代表的には0.1重量部
であり、好ましくは0.3重量部であり、より好ましく
は0.5重量部であり、さらに好ましくは1.0重量部
であり、特に好ましくは1.5重量部である。配合量の
上限値は、代表的には150重量部であり、好ましくは
100重量部であり、より好ましくは70重量部であ
り、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは
30重量部となるように調製される。層状化合物の配合
量の下限値が0.1重量部未満であると機械的特性、反
りの改善効果が不充分となる場合があり、上限値が15
0重量部を超えると成形体の表面外観などが損なわれる
場合がある。
【0044】また、層状化合物に由来するポリエステル
樹脂組成物の灰分率の下限値は、代表的には0.1重量
%であり、好ましくは0.3重量%であり、より好まし
くは0.5重量%であり、さらに好ましくは1.0重量
%であり、特に好ましくは1.5重量%と成るように調
製され、灰分率の上限値は、代表的には60重量%であ
り、好ましくは50重量%であり、より好ましくは40
重量%であり、更に好ましくは30重量%と成るように
調製される。灰分率の下限値が0.1重量%未満である
と機械的特性、反りの改善効果が不充分となる場合があ
り、上限値が60重量%を超えると成形体の表面外観な
どが損なわれる場合がある。
【0045】本発明のポリエステル樹脂組成物中で分散
している層状化合物の構造は、使用前の層状化合物が有
していたような、層が多数積層したμmサイズの凝集構
造とは全く異なる。すなわち、ポリエーテル化合物で処
理される事によって、層同士が劈開し、互いに独立して
細分化する。その結果、層状化合物はポリエステル樹脂
組成物中で非常に細かく互いに独立した薄板状で分散
し、その数は、使用前の層状化合物に比べて著しく増大
する。この様な薄板状の層状化合物の分散状態は以下に
述べる等価面積円直径[D]、アスペクト比(層長さ/
層厚の比率)、分散粒子数、最大層厚及び平均層厚で表
現され得る。
【0046】まず、等価面積円直径[D]を、顕微鏡な
どで得られる像内で様々な形状で分散している個々の層
状化合物の該顕微鏡像上での面積と等しい面積を有する
円の直径であると定義する。その場合、ポリエステル樹
脂組成物中に分散した層状化合物のうち、等価面積円直
径[D]が3000Å以下である層状化合物の数の比率
は20%以上であり、好ましくは35%以上であり、さ
らに好ましくは50%以上であり、特に好ましくは65
%以上である。等価面積円直径[D]が3000Å以下
である比率が20%未満であるとポリエステル樹脂組成
物の機械的特性や反りの改良効果が充分でなくなる場合
がある。また、本発明のポリエステル樹脂組成物中の層
状化合物の等価面積円直径[D]の平均値は5000Å
以下であり、好ましくは4500Å以下であり、さらに
好ましくは4000Å以下であり、特に好ましくは35
00Å以下である。等価面積円直径[D]の平均値が5
000Åより大きいとポリエステル樹脂組成物の機械的
特性や反りの改良効果が十分でなくなり、また表面外観
も損なわれる場合がある。下限値は特にないが、おおよ
そ100Å未満では効果はほとんど変わらなくなるの
で、100Å未満にする必要はない。
【0047】等価面積円直径[D]の測定は、顕微鏡な
どを用いて撮影した像上で、100個以上の層状化合物
の層を含む任意の領域を選択し、画像処理装置などを用
いて画像化して計算機処理することによって定量化でき
る。
【0048】平均アスペクト比を、樹脂中に分散した層
状化合物の層長さ/層厚の比の数平均値であると定義す
ると、本発明のポリエステル樹脂組成物中の層状化合物
の平均アスペクト比は10〜300であり、好ましくは
15〜300であり。更に好ましくは20〜300であ
る。層状化合物の平均アスペクト比が10未満である
と、本発明のポリエステル樹脂組成物の機械的特性など
の改善効果が十分に得られない場合がある。また、30
0より大きくても効果はそれ以上変わらないため、平均
アスペクト比を300より大きくする必要はない。
【0049】また、[N]値を、ポリエステル樹脂組成
物の面積100μm2における、層状化合物の単位重量
比率当たりの分散粒子数であると定義すると、本発明の
ポリエステル樹脂組成物における層状化合物の[N]値
は、30以上であり、好ましくは45以上であり、より
好ましくは60以上である。上限値は特にないが、
[N]値が1000程度を越えると、それ以上効果は変
わらなくなるので、1000より大きくする必要はな
い。[N]値が30未満であるとポリエステル樹脂組成
物の機械的特性や反りの改良効果が充分でなくなる場合
がある。[N]値は、例えば、次のようにして求められ
得る。すなわち、ポリエステル樹脂組成物を約50μm
〜100μm厚の超薄切片に切り出し、該切片をTEM
等で撮影した像上で、面積が100μm2の任意の領域
に存在する層状化合物の粒子数を、用いた層状化合物の
重量比率で除すことによって求められ得る。あるいは、
TEM像上で、100個以上の粒子が存在する任意の領
域(面積は測定しておく)を選んで該領域に存在する粒
子数を、用いた層状化合物の重量比率で除し、面積10
0μm2に換算した値を[N]値としてもよい。従っ
て、[N]値はポリエステル樹脂組成物のTEM写真等
を用いることにより定量化できる。
【0050】また、平均層厚を、薄板状で分散した層状
化合物の層厚みの数平均値であると定義すると、本発明
のポリエステル樹脂組成物中の層状化合物の平均層厚の
上限値は500Å以下であり、好ましくは450Å以下
であり、より好ましくは400Å以下である。平均層厚
が500Åより大きいと、本発明のポリエステル樹脂組
成物の機械的特性などの改良効果が十分に得られない場
合がある。平均層厚の下限値は特に限定されないが、好
ましくは50Åより大きく、より好ましくは60Å以上
であり、更に好ましくは70Å以上である。
【0051】また、最大層厚を、本発明のポリエステル
樹脂組成物中に薄板状に分散した層状化合物の層厚みの
最大値であると定義すると、層状化合物の最大層厚の上
限値は、2000Å以下であり、好ましくは1800Å
以下であり、より好ましくは1500Å以下である。最
大層厚が2000Åより大きいと、本発明のポリエステ
ル樹脂組成物の機械的特性、表面外観のバランスが損な
われる場合がある。層状化合物の最大層厚の下限値は特
に限定されないが、好ましくは100Åより大きく、よ
り好ましくは150Å以上であり、更に好ましくは20
0Å以上である。
【0052】層厚および層長さは、本発明のポリエステ
ル樹脂組成物を加熱溶融した後に、熱プレス成形あるい
は延伸成形して得られるフィルム、および溶融樹脂を射
出成形して得られる薄肉の成形品等を、顕微鏡等を用い
て撮影される像から求めることができる。
【0053】すなわち、いま仮に、X−Y面上に上記の
方法で調製したフィルムの、あるいは肉厚が約0.5〜
2mm程度の薄い平板状の射出成形した試験片を置いた
と仮定する。上記のフィルムあるいは試験片をX−Z面
あるいはY−Z面と平行な面で約50μm〜100μm
厚の超薄切片を切り出し、該切片を透過型電子顕微鏡な
どを用い、約4〜10万倍以上の高倍率で観察して求め
られ得る。測定は、上記の方法で得られた透過型電子顕
微鏡の象上に置いて、100個以上の層状化合物を含む
任意の領域を選択し、画像処理装置などで画像化し、計
算機処理する事等により定量化できる。あるいは、定規
などを用いて計測しても求めることもできる。
【0054】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方
法は特に制限されるものではなく、例えば、熱可塑性ポ
リエステル樹脂とポリエーテル化合物で処理した層状化
合物とを、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練する
方法をあげることができる。混練機の例としては、一軸
押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニ
ーダーなどが挙げられ、特に、剪断効率の高い混練機が
好ましい。
【0055】熱可塑性ポリエステル樹脂とポリエーテル
化合物で処理した層状化合物とは、上記の混練機に一括
投入して溶融混練しても良いし、あるいは予め溶融状態
にした熱可塑性ポリエステル樹脂に層状化合物を添加し
て溶融混練しても良い。
【0056】本発明のポリエステル樹脂組成物には、必
要に応じて、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共
重合体、アクリルゴム、アイオノマー、エチレン−プロ
ピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合
体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、α−オレフィンの単
独重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合体(ラン
ダム、ブロック、グラフトなど、いずれの共重合体も含
み、これらの混合物であっても良い)、またはオレフィ
ン系エラストマーなどの耐衝撃性改良剤を添加すること
ができる。これらは無水マレイン酸等の酸化合物、また
はグリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物で変性
されていても良い。
【0057】また、機械的特性、成形性などの特性を損
なわない範囲で、他の任意の熱可塑性樹脂あるいは熱硬
化性樹脂、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエス
テルカーボネート樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリオ
レフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム質重合体強化スチ
レン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルフ
ォン樹脂、及びポリアリレート樹脂等を単独または2種
以上組み合わせて使用し得る。
【0058】更に、目的に応じて、顔料や染料、熱安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑
剤、難燃剤、及び帯電防止剤等の添加剤を添加すること
ができる。本発明で得られるポリエステル樹脂組成物
は、射出成形や熱プレス成形で成形しても良く、ブロー
成形にも使用できる。得られる成形品は外観に優れ、機
械的特性や耐熱変形性等に優れる為、例えば、自動車部
品、家庭用電気製品部品、家庭日用品、包装資材、その
他一般工業用資材に好適に用いられる。
【0059】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。
【0060】実施例、及び比較例で使用する主要原料を
以下にまとめて示す。尚、特に断らない場合は、原料の
精製は行っていない。 (原料) ・熱可塑性ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂(鐘紡(株)のベルペットEFG85A、対数
粘度(ηinh)=0.85(dl/g)、以降PETと称
す)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(KOLON社
製のKP210、以降PBTと称す)を用いた。 ・層状化合物:モンモリロナイト(クニミネ工業(株)
のクニピアF、以降クニピアFと称す)および膨潤性雲
母(コープケミカル(株)のソマシフME100、以降
ME100と称す)を用いた。 ・ポリエーテル化合物:ブレンマーADE400、ブレ
ンマーPDT800、ユニオックスMM500(以上、
日本油脂(株))、PEG400、PEG4000S、
NC−3(以上、三洋化成(株))を用いた。本発明で
用いたポリエーテル化合物の構造、水酸基価および水に
対する溶解度を表1に示す。
【0061】
【表1】 ・ガラス繊維:日本電気硝子(株)のT−195H(以
降GFと称す)を用いた。 (水酸基価)表1に記載の量のポリエーテル化合物を精
秤し、無水酢酸/ピリジン(1/4wt)溶液で溶解す
る。溶解後、約98℃×約1時間加熱する。ついで少量
の水を加えて更に10分間加熱することによって過剰の
無水酢酸を分解させる。冷却した後、フェノールフタレ
イン指示薬を加え、N/2水酸化カリウム標準溶液で滴
定する。微紅色が30秒間持続する点を終点とした。
【0062】なお、表1中の水酸基価で「〜0」は0に
近いことを示す。 (水に対する溶解度)イオン交換水100gを撹拌しな
がらポリエーテル化合物を徐々に添加した。目視で観察
し、ポリエーテル化合物が相分離する量を溶解度とし
た。 (分散状態の測定)厚み50〜100μmの超薄切片を
用いた。透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−1200
EX)を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜100万
倍で層状化合物の分散状態を観察撮影した。TEM写真
において、100個以上の分散粒子が存在する任意の領
域を選択し、層厚、層長、粒子数([N]値)、等価面
積円直径[D]を、目盛り付きの定規を用いた手計測ま
たはインタークエスト社の画像解析装置PIASIIIを
用いて処理する事により測定した。
【0063】等価面積円直径[D]はインタークエスト
社の画像解析装置PIASIIIを用いて処理する事によ
り測定した。[N]値の測定は以下のようにして行っ
た。まず、TEM像上で、選択した領域に存在する層状
化合物の粒子数を求めた。これとは別に、層状化合物に
由来する樹脂組成物の灰分率を測定した。上記粒子数を
灰分率で除し、面積100μm2に換算した値を[N]
値とした。平均層厚は個々の層状化合物の層厚の数平均
値、最大層厚は個々の層状化合物の層厚の中で最大の値
とした。分散粒子が大きく、TEMでの観察が不適当で
ある場合は、光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製の光
学顕微鏡BH−2)を用いて上記と同様の方法で[N]
値を求めた。ただし、必要に応じて、サンプルはLIN
KAM製のホットステージTHM600を用いて250
〜270℃で溶融させ、溶融状態のままで分散粒子の状
態を測定した。板状に分散しない分散粒子のアスペクト
比は、長径/短径の値とした。ここで、長径とは、顕微
鏡像等において、対象となる粒子の外接する長方形のう
ち面積が最小となる長方形を仮定すれば、その長方形の
長辺を意図する。また、短径とは、上記最小となる長方
形の短辺を意図する。平均アスペクト比は個々の層状化
合物の層長と層厚の比の数平均値とした。 (曲げ特性)本発明のポリエステル樹脂組成物を乾燥
(140℃、5時間)した。型締圧75tの射出成形機
(東芝機械(株)製、IS−75E)を用い、樹脂温度
250〜270℃で、寸法約10×100×6mmの試
験片を射出成形した。ASTMD−790に従い、得ら
れた試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。 (溶融熱安定性)射出成形機のシリンダー内で250〜
270℃で5分間滞留した後に、上記と同条件で試験片
を得、曲げ強度を測定した。 (反り)本発明のポリエステル樹脂組成物を乾燥(14
0℃、5時間)した後、金型温度120℃、樹脂温度2
50〜280℃の条件で、寸法約120×120×1m
mの平板状試験片を射出成形した。平面上に上記の平板
状試験片を置き、試験片の4隅の内の1カ所を押さえ、
残り3隅の内、平面からの距離が最も大きい値をノギス
等を用いて測定した。4隅それぞれを押さえ、得られた
反り値の平均値を求めた。 (表面光沢)反りと同条件で成形した平板状試験片の表
面光沢を測定した。ERICHSEN社のミニグロスマ
スターを用い、反射角60°で測定した。標準板50%
に対する相対値とした。 (灰分率)JIS K 7052に準じ、層状化合物に由
来するポリエステル樹脂組成物の灰分率を測定した。 (製造例1)イオン交換水と層状化合物を混合した。次
いでポリエーテル化合物を添加して15〜30分間混合
を続けた。その後、粉体化して層状化合物(A−1〜A
−6およびB−1〜B−3)を得た。製造例で用いた原
料の重量比は表2に示す。
【0064】
【表2】 (製造例2)反応機にジメチルテレフタレート(DM
T)、DMT100重量部に対し、76重量部のプロピ
レングリコール、0.003重量部のヒンダードフェノ
ール系安定剤(旭電化(株)アデカスタブAO60、以
降AO60と称す)および0.00025重量部のTi
(OBu)4を投入し、反応温度約150〜200℃で
撹拌してDMTとプロピレングリコールをエステル交換
させた。その後、0.00025重量部のSb23を添
加し、反応温度270〜280℃、減圧下(0.8〜5.
0torr(0.107〜0.665MPa))で溶融
重縮合を行い、ポリプロピレンテレフタレート(PP
T)樹脂を得た。 (実施例1〜7)表3に示す重量比のPET、製造例1
で得た層状化合物(A−1〜A−6)およびAO60を
二軸押出機(日本製鋼(株)製、TEX44)を用いて
溶融混練することによりポリエステル樹脂組成物を得、
評価した。結果を表3に示す。
【0065】
【表3】 (比較例1〜6)表4に示す重量比のPET、製造例1
で得た層状化合物(B−1〜B−3)、ME100、ク
ニピアF、GFおよびAO60を実施例1と同様に溶融
混練し、評価した。結果を表4に示す。
【0066】
【表4】 表4よりME100やクニピアFはポリエーテル化合物
で処理をしないと薄片状に微分散しないために曲げ特性
は改善されずまた良好な平板状試験片は得られなかっ
た。水酸基価が30mgKOH/gよりも大きいポリエ
ーテル化合物(PEG400、PEG4000S)で処
理した場合(B−1〜B−3)では、曲げ特性は改善さ
れるものの、溶融状態で滞留すると曲げ強度が著しく低
下したり、成形ができないほどに粘度が低下するなど、
熱安定性が著しく低かった。GFでは反りや光沢度が損
なわれた。従って、比較例ではバランスに優れるものは
得られなかった。 (実施例8、9)表5に示す重量比のPBT、製造例1
で得た層状化合物(A−1、A−3)およびAO60を
実施例1と同様に溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物
を得、評価した。結果を表5に示す。
【0067】
【表5】 (比較例7,8)表5に示す重量比のPBT、製造例1
で得た層状化合物(B−1)、ME100およびAO6
0を実施例1と同様に溶融混練し、評価した。結果を表
5に示す。
【0068】表5より、ME100はポリエーテル化合
物で処理をしないと薄片状に微分散しないために曲げ特
性は改善されずまた良好な平板状試験片は得られなかっ
た。水酸基価が30mgKOH/gよりも大きいポリエ
ーテル化合物(PEG400)で処理した場合(B−
1)では、曲げ特性は改善されるものの、熱安定性が著
しく低くバランスに優れるものは得られなかった。 (実施例10、11)表6に示す重量比の製造例2で得
たPPT、製造例1で得た層状化合物(A−1、A−
3)およびAO60を実施例1と同様に溶融混練し、ポ
リエステル樹脂組成物を得、評価した。結果を表6に示
す。
【0069】
【表6】 (比較例9,10)表6に示す重量比の製造例2で得た
PPT、製造例1で得た層状化合物(B−1)、ME1
00およびAO60を実施例1と同様に溶融混練し、評
価した。結果を表6に示す。
【0070】表6より、ME100はポリエーテル化合
物で処理をしないと薄片状に微分散しないために曲げ特
性は改善されずまた良好な平板状試験片は得られなかっ
た。水酸基価が30mgKOH/gよりも大きいポリエ
ーテル化合物(PEG400)で処理した場合(B−
1)では、曲げ特性は改善されるものの、熱安定性が著
しく低くバランスに優れるものは得られなかった。
【0071】
【発明の効果】熱可塑性ポリエステル樹脂中で、水酸基
価が30mgKOH/g以下であるポリエーテル化合物
で処理された層状化合物を均一微分散することによっ
て、低反りでかつ機械的特性が高まると共に、溶融状態
での熱安定性も向上させ、物性のバランスに優れるポリ
エステル樹脂組成物が提供できる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂、および水酸
    基価が30mgKOH/g以下であるポリエーテル化合
    物で処理された層状化合物を含有するポリエステル樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエーテル化合物で処理された層状化
    合物が、水または水を含有する極性溶媒中で層状化合物
    およびポリエーテル化合物を混合する事によって得られ
    るものである事を特徴とする、請求項1に記載のポリエ
    ステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリエーテル化合物が水または水を含有
    する極性溶媒に可溶である事を特徴とする、請求項1ま
    たは2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物
    の等価面積円直径[D]が3000Å以下である層状化
    合物の比率が20%以上である、請求項1、2または3
    に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物
    の等価面積円直径[D]の平均値が5000Å以下であ
    る、請求項1、2、3または4に記載のポリエステル樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物
    の平均層厚が500Å以下である事を特徴とする、請求
    項1、2、3、4または5に記載のポリエステル樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物
    の最大層厚が2000Å以下である事を特徴とする、請
    求項1、2、3、4、5または6に記載のポリエステル
    樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物
    の[N]値が30以上であり、ここで[N]値が、樹脂
    組成物の面積100μm2中に存在する、層状化合物の
    単位比率当たりの粒子数であると定義される事を特徴と
    する、請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の
    ポリエステル樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 ポリエステル樹脂組成物中の層状化合物
    の平均アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜30
    0である、請求項1、2、3、4、5、6、7または8
    に記載のポリエステル樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 層状化合物が層状ケイ酸塩である、請
    求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の
    ポリエステル樹脂組成物。
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