JP4708121B2 - 磁性薄膜作成用ターゲット、磁気記録媒体およびその製造方法、磁気記録再生装置 - Google Patents

磁性薄膜作成用ターゲット、磁気記録媒体およびその製造方法、磁気記録再生装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4708121B2
JP4708121B2 JP2005239371A JP2005239371A JP4708121B2 JP 4708121 B2 JP4708121 B2 JP 4708121B2 JP 2005239371 A JP2005239371 A JP 2005239371A JP 2005239371 A JP2005239371 A JP 2005239371A JP 4708121 B2 JP4708121 B2 JP 4708121B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
thin film
target
film
magnetic recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005239371A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007059424A (ja
Inventor
謙治 清水
博 金澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2005239371A priority Critical patent/JP4708121B2/ja
Publication of JP2007059424A publication Critical patent/JP2007059424A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4708121B2 publication Critical patent/JP4708121B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)

Description

本発明は、磁性薄膜作成用ターゲットおよびこの磁性薄膜作成用ターゲットを用いて作成した磁気記録媒体および磁気記録再生装置に関するものである。
垂直磁気記録方式は、従来、媒体の面内方向に向けられていた磁気記録層の磁化容易軸を媒体の垂直方向に向けることにより、記録ビット間の境界である磁化遷移領域付近での反磁界が小さくなるため、記録密度が高くなるほど静磁気的に安定となって熱揺らぎ耐性が向上することから、面記録密度の向上に適した方式である。
また、非磁性基板と垂直磁気記録膜との間に軟磁性材料からなる裏打ち層を設けた場合には、いわゆる垂直2層媒体として機能し、高い記録能力を得ることができる。このとき、軟磁性裏打ち層は磁気ヘッドからの記録磁界を還流させる役割を果たしており、記録再生効率を向上させることができる。
一般に垂直磁気記録媒体は、非磁性基板上に裏打ち層(軟磁性膜)を設け、磁性層の磁化容易軸を非磁性基板面に対して垂直に配向させる下地膜、Co合金からなる垂直磁気記録膜および保護膜の順で構成されている。この中で、裏打ち層構造について幾つかの改善手法が提案されている。
特開昭58−166531号公報 特開2000−348327号公報 特開平06−103553号公報
上記垂直2層媒体を構成する軟磁性膜は、一般に、ターゲットを用いてスパッタリング法により形成される。したがって、軟磁性膜の生産性を向上するためには、軟磁性膜の膜厚を薄くするか、ターゲットの膜厚を厚くすることにより、連続で生産できる数量が多くすることが望ましい。また、垂直2層媒体を構成する軟磁性膜は、垂直2層媒体として十分な特性を持つものとするため、飽和磁束密度が大きいものとされることが好ましい。
軟磁性膜の膜厚は、軟磁性膜の飽和磁束密度を大きくすることにより、薄くすることができる。しかしながら、マグネトロンスパッタ成膜法を用いて、飽和磁束密度の大きい軟磁性膜を生成する場合、ターゲットの後ろに配置されたマグネットからの漏洩磁界が小さくなり、ターゲットの表面における漏洩磁界が低下してしまう。このため、ターゲットの厚さを薄くしなければならず、生産性の低下(連続で生産できる数量の低下)をまねいてしまう。これに対し、マグネトロンスパッタ成膜法を用いて、飽和磁束密度の小さい軟磁性膜を生成する場合には、ターゲットの膜厚を厚くすることができる。しかし、垂直2層媒体として十分な特性を持つものとするために、軟磁性膜の膜厚を厚くしなければならなくなり、結局のところ生産性の低下(連続で生産できる数量の低下)をまねいてしまう。
すなわち、生産性を高めるためには、ターゲットの飽和磁束密度を小さくしてマグネットからの漏洩磁界を十分に確保することでターゲットの厚みを厚くするとともに、該ターゲットを用いて作成した軟磁性膜の飽和磁束密度を大きくすることで軟磁性膜の膜厚を薄くすることが要求されている。
しかしながら、従来の磁性薄膜作成用ターゲットは、一様な結晶相から構成されるものであるため、ターゲットの飽和磁束密度と該ターゲットを用いて作成した磁性薄膜の飽和磁束密度は同じであり、上記要求を満たすことはできなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、飽和磁束密度が小さく、厚みを厚くできる磁性薄膜作成用ターゲットおよび磁性薄膜作成用ターゲットを用いて作成した磁性薄膜を備えた生産性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)磁性薄膜をマグネトロンスパッタ成膜法により形成するための2種類以上の結晶相を含む磁性薄膜作製用ターゲットであって、前記結晶相のうちの少なくとも1種類の結晶相がFeNi系合金からなり、前記FeNi系合金が、Feの含有量が60at%以上80at%以下、Niの含有量が20at%以上40at%以下のものであり、前記2種類以上の結晶相が、前記FeNi系合金からなる結晶相と、Fe合金もしくはCo合金からなる結晶相とからなり、前記磁性薄膜作成用ターゲットの飽和磁束密度が1200emu/cc以下であり、前記磁性薄膜が、前記磁性薄膜作成用ターゲットの飽和磁束密度の1.2倍以上の飽和磁束密度を持つものとなることを特徴とする磁性薄膜作成用ターゲット。
(2)前記2種類以上の結晶相からなる粉末を焼結したものであることを特徴とする(1)に記載の磁性薄膜作成用ターゲット。
(3)前記磁性薄膜作成用ターゲットの飽和磁束密度が800emu/cc以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁性薄膜作成用ターゲット。
(4)厚さが7mm以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の磁性薄膜作成用ターゲット。
(5)前記FeNi系合金からなる結晶相中にB、C、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zr、Hf、Pd、Pt、Ag、Re、Nb、Ta、Wのいずれか一つ以上が含まれていることを特徴とする(1)に記載の磁性薄膜作成用ターゲット。
(6)(1)〜(5)のいずれか一項に記載の磁性薄膜作成用ターゲットを用いて形成された磁性薄膜を備えることを特徴とする磁気記録媒体。
(7)前記磁性薄膜が、前記磁性薄膜作成用ターゲットの飽和磁束密度の1.2倍以上の飽和磁束密度を持つことを特徴とする(6)記載の磁気記録媒体。
(8)前記磁性薄膜が軟磁性膜であり、前記磁気記録媒体が前記軟磁性膜と垂直磁気記録膜とを備える垂直2層媒体であることを特徴とする(6)または(7)に記載の磁気記録媒体。
(9)(6)(8)のいずれか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、前記磁性薄膜作成用ターゲットを用いて磁性薄膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(10)磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が(6)(8)のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする磁気記録再生装置。
マグネトロンスパッタ成膜法を用いて垂直2層媒体の軟磁性膜を作成する時に、用いるターゲットの飽和磁束密度(TGT Ms)を下げることで、マグネットからの漏洩磁界を増大させ、ターゲットの厚みを厚くしても成膜可能とし、軟磁性膜の生産性向上に寄与することができる。
本発明の磁性薄膜作成用ターゲットは、マグネトロンスパッタ成膜法を用いて磁気記録媒体を構成する磁性薄膜を形成するための材料として好適に用いられるものである。
図1は、本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態の一例を示した概略断面図である。図1に示す磁気記録媒体10は、本発明の磁性薄膜作成用ターゲットを用いて形成された磁性薄膜を備えたものであり、磁性薄膜と垂直磁気記録膜とを備える垂直2層媒体である。また、図1に示す磁気記録媒体10は、非磁性基板1の両面に、裏打ち層2と配向制御層3と中間層4と垂直磁気記録膜5と保護膜6と潤滑膜7とが順次形成された構成となっている。なお、図1に示す磁気記録媒体10には、非磁性基板1の両面に裏打ち層2と配向制御層3と中間層4と垂直磁気記録膜5と保護膜6と潤滑膜7が形成されているが、図1においては、図面を見やすくするために、非磁性基板1の片面側(図1においては非磁性基板の下側)に形成された裏打ち層2と配向制御層3と中間層4と垂直磁気記録膜5と保護膜6と潤滑膜7の図示を省略して示している。
非磁性基板1としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料からなる金属基板を用いてもよいし、ガラス、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。
ガラス基板としては、アモルファスガラス、結晶化ガラスがあり、アモルファスガラスとしては汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスを使用できる。また、結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスを用いることができる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが使用可能である。
非磁性基板1は、平均表面粗さRaが1nm以下、好ましくは0.5nm以下であるとことがヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から望ましい。
また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下)であるのがヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。端面のチャンファー部の面取り部、側面部の少なくとも一方のいずれの表面平均粗さRaが10nm以下(より好ましくは9.5nm以下)のものを用いることが磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。微少うねり(Wa)は、例えば、表面粗さ測定装置P−12(KLA−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
裏打ち層2は、軟磁性膜であり、本発明の磁性薄膜作成用ターゲットを用いてマグネトロンスパッタ成膜法などのスパッタリング法により形成されたものである。
本発明の磁性薄膜作製用ターゲットは、2種類以上の結晶相を含むものであり、前記結晶相のうちの少なくとも1種類の結晶相がFeNi系合金からなり、前記FeNi系合金が、Feの含有量が60at%以上80at%以下、Niの含有量が20at%以上40at%以下のものである。また、本発明の磁性薄膜作製用ターゲットを構成するFeNi系合金は、Feの含有量が61at%以上79at%以下、Niの含有量が21at%以上38at%以下とすることがより好ましく、Feの含有量が70at%、Niの含有量が25at%以上30at%以下とすることがさらに好ましい。
Fe−Ni合金は、Fe=70、Ni=30(at%)で磁性がなくなる(インバー効果)特徴をもつ。例えば、ターゲットを70Fe−30Niと各組成のFe−Ni合金との混合状態とすることで、ターゲットの飽和磁束密度を低下させることができる。また、混合するFe−Ni合金の組成、または混合比をかえることで、非磁性基板上に形成した軟磁性膜の飽和磁束密度を最適にすることができ、適した特性を有する軟磁性膜を作製することができる。
本発明では、ターゲットを構成する全ての結晶相における、Feの含有量が60at%以上80at%以下、Niの含有量が20at%以上40at%以下のFeNi系合金(以下「第1の結晶相」ともいう)の混合比(第1の結晶相/ターゲットを構成する全ての結晶相)を、20%〜80%とすることができ、40%〜70%とすることがより好ましい。第1の結晶相の混合比が、20%未満である場合、ターゲットの飽和磁束密度を小さくする効果が十分に得られない虞が生じる。また、第1の結晶相の混合比が、80%を越える場合、ターゲットを用いて作成した軟磁性膜の飽和磁束密度が十分に得られない虞が生じる。
また、FeNi系合金からなる結晶相(第1の結晶相)は、Feの含有量が70at%である場合、ターゲットの飽和磁束密度を小さくする効果が効果的に得られる。
この場合の混合比(第1の結晶相/ターゲットを構成する全ての結晶相)は、10%〜70%とすることができ、30%〜60%とすることがより好ましい。
さらに、本発明の磁性薄膜作製用ターゲットにおいては、FeNi系合金からなる結晶相(第1の結晶相)以外の結晶相が、Fe合金もしくはCo合金であるものとすることができる。このようなターゲットとすることで、大きな飽和磁束密度が得られる軟磁性膜を得ることができるものとなる。
また、本発明の磁性薄膜作製用ターゲットにおいては、FeNi系合金からなる結晶相(第1の結晶相)中にB、C、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zr、Hf、Pd、Pt、Ag、Re、Nb、Ta、Wのいずれか一つ以上が含まれているものとすることができる。このようなターゲットとすることで、良好な特性を有する軟磁性膜を得ることができるものとなる。
例えば、FeNi系合金からなる結晶相(第1の結晶相)中にB、C、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zr、Hf、Pd、Pt、Ag、Re、Nb、Ta、Wのいずれか一つ以上が含まれているものとすることで、アモルファス構造または微細結晶構造からなる軟磁性膜を得ることができるものとなる。
裏打ち層2がアモルファス構造または微細結晶構造である場合、表面粗さが良好なものとなり、上に設けられる垂直磁気記録膜5の結晶配向性が良好なものとなる。これに対し、表面粗さが粗いと、裏打ち層2の表面の法線方向に結晶成長していく配向制御膜3や垂直磁気記録膜5のばらつきが大きくなり、良好な結晶配向性を有する垂直磁気記録膜5が得られない場合がある。
本発明の磁性薄膜作製用ターゲットを製造するには、例えば、ホットプレス法、HIP(熱間静水圧プレス)法、通電焼結法などの焼結法を用いて、2種類以上の結晶相からなる粉末を、800℃以上の温度、好ましくは1000℃程度の温度で50MPa以上の圧力を加えて焼結する方法によって得られる。温度が800℃未満である場合や、圧力が50MPa未満である場合には、得られたターゲットに空隙が残留する虞が生じるため好ましくない。
本発明の磁性薄膜作製用ターゲットは、ターゲットの飽和磁束密度(TGT Ms)の1.2倍以上の飽和磁束密度を持つ軟磁性膜を作成するものであることが望ましく、1.8倍以上とすることがより望ましい。ターゲットの飽和磁束密度(TGT Ms)と軟磁性膜の飽和磁束密度(Film Ms)との比(Film Ms/TGT Ms)(以下、「Ms比」ともいう。)が1.2未満であると、ターゲットの厚みを厚くできる効果が十分に得られない虞が生じる。
また、ターゲットの飽和磁束密度(TGT Ms)は、1200emu/cc以下であることが望ましく、800emu/cc以下であることがより望ましい。ターゲットの飽和磁束密度(TGT Ms)が1200emu/ccを越える場合、マグネットからの漏洩磁界を十分に確保することができない虞が生じる。
また、裏打ち層2を構成する軟磁性膜の飽和磁束密度(Film Ms)は、1200emu/cc以上であることが望ましく、1300emu/cc以上とするのがより望ましい。軟磁性膜の飽和磁束密度(Film Ms)が1300emu/cc未満である場合、垂直2層媒体としての特性が不十分となる虞が生じる。
また、本発明の磁性薄膜作製用ターゲットは、厚さが7mm以上であることが望ましい。ターゲットの厚さが7mm未満である場合、生産性を向上させる効果が十分に得られない虞が生じる。
また、裏打ち層2に用いる軟磁性膜の膜厚は、100nm以下とするのが好ましく、60nm)以下とすることがより好ましい。軟磁性膜の膜厚が上記範囲を超えると表面性の悪化による特性の劣化や生産性の悪化が生じるため好ましくない。なお、裏打ち層2の厚さは、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)で観察することにより求めることができる。
裏打ち層2を構成する軟磁性膜の保磁力Hcは20(Oe)以下とするのが好ましく、10(Oe)以下とするのがより好ましい。なお、1Oeは、約79A/mである。
また、裏打ち層2は、軟磁性膜を2層以上形成し、軟磁性膜と軟磁性膜の間にRu層を設けた構造とすることが好ましい。この場合、Ru層の厚さを所定の範囲の厚さ(例えば0.6〜1.0nm)とすることで、Ru層の上下に配置された軟磁性膜を反強磁性結合させることができる。上記構成とすることで、媒体上に加わる外部からの弱い磁界に対しての耐性を上げることが可能となる。
配向制御膜3は、垂直磁気記録膜5の配向および粒径を制御するためのものである。配向制御膜3の材料としては、RuまたはRu合金が好ましい。
配向制御膜3の厚さを3nm以上30nm(特に10〜20nm)とするのが好ましい。配向制御膜3の厚さが上記範囲であるとき、垂直磁気記録膜5の配向性がよく、かつ記録時における磁気ヘッドと裏打ち層2との距離を小さくすることができるので、再生信号の分解能を低下させることなく記録再生特性を高めることができるからである。
垂直磁気記録膜5は、その磁化容易軸が非磁性基板に対して主に垂直方向に向いたものであり、少なくともCoとPtと酸化物からなるグラニュラー構造を有することが好ましい。
特にCoCrPtにSiO2、TiO、TiO2、ZrO2、Cr2O3、CoO、Ta2O5などの酸化物からなるグラニュラー構造であることが好ましい。
主に垂直方向に向いたものとは垂直方向の保磁力Hc(P)と面内方向の保磁力Hc(L)がHc(P)>Hc(L)である垂直磁気記録膜5のことである。
また、垂直磁気記録膜5は、CoCrPt材料からなる1層構造とすることもできるし、組成の異なる材料からなる2層以上の構造とすることもできる。
垂直磁気記録膜5の厚さは、5〜20nm(より好ましくは10〜16nm)とするのが好ましい。垂直磁気記録膜5の厚さが5nm以上であると、十分な磁束が得ることができ、再生時における出力が低くならず、出力波形がノイズ成分にうもれてしまうことがないので、より高記録密度に適した磁気記録再生装置として動作するので好ましい。また、垂直磁気記録膜5の厚さが20nm以下であると、垂直磁気記録膜5内の磁性粒子の粗大化を抑えることができ、ノイズの増大といった記録再生特性の劣化が生じるおそれがないため好ましい。
保護膜6は垂直磁気記録膜5の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのもので、従来公知の材料を使用でき、例えばC、SiO2、ZrO2を含むものが使用可能である。保護膜6の厚さは、1nm以上5nm以下とするのがヘッドと媒体の距離を小さくできるので高記録密度の点から望ましい。
潤滑膜7には従来公知の材料、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いるのが好ましい。
本形態の磁気記録媒体にあっては、裏打ち層2を成膜する際のターゲットとして、2種類以上の結晶相を含み、前記結晶相のうちの少なくとも1種類の結晶相がFeNi系合金からなり、前記FeNi系合金が、Feの含有量が60at%以上80at%以下、Niの含有量が20at%以上40at%以下である磁性薄膜作成用ターゲットを用いることで、マグネットからの漏洩磁界を増加してターゲットを厚くしても成膜可能としたので、生産性を向上することができる。
図2は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の一例を示すものである。図2に示す磁気記録再生装置11は、磁気記録媒体10と、磁気記録媒体10を回転駆動させる媒体駆動部12と、磁気記録媒体10に情報を記録再生する磁気ヘッド13と、ヘッド駆動部14と、記録再生信号処理系15とを備えている。記録再生信号処理系15は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド13に送ったり、磁気ヘッド13からの再生信号を処理してデータを出力することができるようになっている。
以下、実施例を示して本発明の作用効果を明確にする。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1〜実験例20)
表1に示す2種類の結晶相からなる粉末を、1250℃の温度で、100MPaの圧力を2時間加えるHIP法を用いて焼結し、表1に示す平均組成からなる実験例1〜実験例20の磁性薄膜作成用ターゲットを得た。
Figure 0004708121
次いで、得られた実験例1〜実験例20のターゲットの飽和磁束密度(TGT Ms)を、以下のようにして測定した。すなわち、実験例1〜実験例20のターゲットを加工して、幅10mm、長さ10mm、厚み2mmの試験片を形成し、振動式磁気特性測定装置(VSM)で測定した。その結果を表1に示す。
次いで、表1に示す実験例1〜実験例20の磁性薄膜作成用ターゲットを用い、図3に示すDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)を用いて、以下に示すように、磁性薄膜を形成した。
図3は、DCマグネトロンスパッタ装置を側面から見た概略断面図である。図3に示すDCマグネトロンスパッタ装置には、チャンバ22内に起立した状態の非磁性基板24が収容されている。非磁性基板24の両面側には、ターゲット21、21が非磁性基板24に平行に配置され、ターゲット21、21の非磁性基板24と反対側には、台座29に支持されたマグネット板25がターゲット21、21に平行に配置されている。また、ターゲット材21、21には、電極23から負電圧を印加できるように電源27が電気的に接続されている。
そして、図3に示すDCマグネトロンスパッタ装置のチャンバ22内に非磁性基板24を収容し、到達真空度が1×10−5Paとなるまでチャンバ22内を排気した後、ターゲット21、21の周囲にプラズマを発生させ、非磁性基板24上に50nmの磁性薄膜を堆積させた。
なお、非磁性基板24として洗浄済みのガラス基板(MYG社製、外直径2.5インチ)を用い、ターゲット21、21として直径180mm、厚さ8mmの実験例1〜実験例20の磁性薄膜作成用ターゲットを用い、マグネット板25として同社製のType162−3を用いた。
そして、実験例1〜実験例20の磁性薄膜作成用ターゲットを用いて得られた磁性薄膜の飽和磁束密度(Film Ms)を振動式磁気特性測定装置(VSM)で測定し、ターゲットの飽和磁束密度(TGT Ms)との比であるMs比(Film Ms/TGT Ms)を求めた。その結果を表1に示す。
また、実験例1〜実験例20において磁性薄膜を形成する際におけるマグネットからの漏洩磁界を以下に示すようにして測定した。すなわち、図4に示すように、図3に示すDCマグネトロンスパッタ装置のチャンバ22内にガウスメータ26を配置して、ガウスメータ26のセンサ26aをターゲット21の表面から1mm離れた位置で、かつ、マグネット板25の表面から20mm離れた位置に配置し、マグネットからの水平成分の漏洩磁界を測定して最も強度の強い値を測定値とした。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実験例1と実験例2とを比較すると、ターゲットの平均組成が同じであるのに、実験例1では、漏洩磁界が著しく大きくなっており、ターゲットの飽和磁束密度(TGT Ms)が小さく、軟磁性膜の飽和磁束密度(Film Ms)が同等であることがわかった。また、実験例1では、Film MsがTGT Msの1.2倍以上(Ms比が1.2以上)となり、ターゲットを厚くしても、安定して放電することが可能であり、生産性を向上できることがわかった。
また、表1の実験例1〜実験例20より、結晶相1がFeNi系合金からなり、Feの含有量が60at%以上80at%以下、Niの含有量が20at%以上40at%以下である実験例3〜実験例5、実験例9〜実験例10、実験例12〜実験例20は、実験例6〜実験例8、実験例11と比較して、ターゲットの飽和磁束密度を低減することができ、漏洩磁界を大きくできることが確認できた。
さらに、表1より、FeNi系合金が、Feの含有量が61at%以上70at%以下、Niの含有量が25at%以上38at%以下のものである場合、ターゲットの飽和磁束密度を800emu/cc以下とすることができ、漏洩磁界をより一層大きくできることが確認できた。
図1は、本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態の一例を示した概略断面図である。 本発明の磁気記録再生装置の一例を示す構成図である。 DCマグネトロンスパッタ装置の一例を示した概略断面図である。 実験例1〜実験例20の漏洩磁界の測定状況を説明するための図である。
符号の説明
1、24・・・非磁性基板、2・・・裏打ち層、3・・・配向制御層、4・・・中間層、5・・・垂直磁気記録膜、6・・・保護膜、7・・・潤滑膜、10・・・磁気記録媒体、11・・・磁気記録再生装置、12・・・媒体駆動部、13・・・磁気ヘッド、14・・・ヘッド駆動部、15・・・記録再生信号処理系、21、21・・・ターゲット、22・・・チャンバ、23・・・電極、25・・・マグネット板、26・・・ガウスメータ、26a・・・センサ、27・・・電源、29・・・台座

Claims (10)

  1. 磁性薄膜をマグネトロンスパッタ成膜法により形成するための2種類以上の結晶相を含む磁性薄膜作製用ターゲットであって、
    前記結晶相のうちの少なくとも1種類の結晶相がFeNi系合金からなり、
    前記FeNi系合金が、Feの含有量が60at%以上80at%以下、Niの含有量が20at%以上40at%以下のものであり、
    前記2種類以上の結晶相が、前記FeNi系合金からなる結晶相と、Fe合金もしくはCo合金からなる結晶相とからなり、
    前記磁性薄膜作成用ターゲットの飽和磁束密度が1200emu/cc以下であり、
    前記磁性薄膜が、前記磁性薄膜作成用ターゲットの飽和磁束密度の1.2倍以上の飽和磁束密度を持つものとなることを特徴とする磁性薄膜作成用ターゲット。
  2. 前記2種類以上の結晶相からなる粉末を焼結したものであることを特徴とする請求項1に記載の磁性薄膜作成用ターゲット。
  3. 前記磁性薄膜作成用ターゲットの飽和磁束密度が800emu/cc以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁性薄膜作成用ターゲット。
  4. 厚さが7mm以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の磁性薄膜作成用ターゲット。
  5. 前記FeNi系合金からなる結晶相中にB、C、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zr、Hf、Pd、Pt、Ag、Re、Nb、Ta、Wのいずれか一つ以上が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の磁性薄膜作成用ターゲット。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の磁性薄膜作成用ターゲットを用いて形成された磁性薄膜を備えることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 前記磁性薄膜が、前記磁性薄膜作成用ターゲットの飽和磁束密度の1.2倍以上の飽和磁束密度を持つことを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記磁性薄膜が軟磁性膜であり、前記磁気記録媒体が前記軟磁性膜と垂直磁気記録膜とを備える垂直2層媒体であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の磁気記録媒体。
  9. 請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記磁性薄膜作成用ターゲットを用いて磁性薄膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  10. 磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、
    前記磁気記録媒体が請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする磁気記録再生装置。
JP2005239371A 2005-08-22 2005-08-22 磁性薄膜作成用ターゲット、磁気記録媒体およびその製造方法、磁気記録再生装置 Active JP4708121B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005239371A JP4708121B2 (ja) 2005-08-22 2005-08-22 磁性薄膜作成用ターゲット、磁気記録媒体およびその製造方法、磁気記録再生装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005239371A JP4708121B2 (ja) 2005-08-22 2005-08-22 磁性薄膜作成用ターゲット、磁気記録媒体およびその製造方法、磁気記録再生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007059424A JP2007059424A (ja) 2007-03-08
JP4708121B2 true JP4708121B2 (ja) 2011-06-22

Family

ID=37922682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005239371A Active JP4708121B2 (ja) 2005-08-22 2005-08-22 磁性薄膜作成用ターゲット、磁気記録媒体およびその製造方法、磁気記録再生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4708121B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5370917B2 (ja) * 2009-04-20 2013-12-18 日立金属株式会社 Fe−Co−Ni系合金スパッタリングターゲット材の製造方法
JP5656104B2 (ja) * 2009-07-01 2015-01-21 日立金属株式会社 Fe−Co−Ni系合金スパッタリングターゲット材
JP4871406B1 (ja) * 2010-08-06 2012-02-08 田中貴金属工業株式会社 マグネトロンスパッタリング用ターゲットおよびその製造方法
JP5748639B2 (ja) * 2011-11-17 2015-07-15 田中貴金属工業株式会社 マグネトロンスパッタリング用ターゲットおよびその製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63118067A (ja) * 1986-11-05 1988-05-23 Tokin Corp スパツタリングタ−ゲツト
JPS63124213A (ja) * 1986-11-13 1988-05-27 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 垂直磁気記録媒体
JPH06248445A (ja) * 1993-02-23 1994-09-06 Toshiba Corp スパッタリングターゲットとそれを用いて形成した磁性薄膜および薄膜磁気ヘッド

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02187916A (ja) * 1989-01-13 1990-07-24 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 垂直磁気記録媒体及びその製造法
JP3220116B2 (ja) * 1999-07-06 2001-10-22 株式会社日立製作所 垂直磁気記録媒体および磁気記憶装置
JP2000355759A (ja) * 1999-06-14 2000-12-26 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 光磁気記録媒体用ターゲットとその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63118067A (ja) * 1986-11-05 1988-05-23 Tokin Corp スパツタリングタ−ゲツト
JPS63124213A (ja) * 1986-11-13 1988-05-27 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 垂直磁気記録媒体
JPH06248445A (ja) * 1993-02-23 1994-09-06 Toshiba Corp スパッタリングターゲットとそれを用いて形成した磁性薄膜および薄膜磁気ヘッド

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007059424A (ja) 2007-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5638814B2 (ja) 片面垂直磁気記録媒体
JP4470881B2 (ja) 磁気記録媒体、および磁気記録再生装置
JP4185391B2 (ja) 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置
JP4745421B2 (ja) 垂直磁気記録媒体、及び磁気記録再生装置
WO2010038448A1 (ja) 垂直磁気記録媒体
JP4708121B2 (ja) 磁性薄膜作成用ターゲット、磁気記録媒体およびその製造方法、磁気記録再生装置
JP2005276366A (ja) 磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録再生装置
US6372367B1 (en) Magnetic recording medium, method for producing the same and magnetic recording apparatus using the same
JP4101836B2 (ja) 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置
JP4611847B2 (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP5325945B2 (ja) 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP2006099951A (ja) 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置
JP2012102399A (ja) スパッタターゲットおよびスパッタターゲットから形成されるハードディスクの記録材
JP2012033247A (ja) ターゲット、ターゲットの製造方法、磁気記録媒体の製造方法
JP6416041B2 (ja) 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP5232730B2 (ja) 磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置
JP4472767B2 (ja) 磁気記録媒体および磁気記録再生装置
JP4637785B2 (ja) 磁気記録媒体並びに磁気記録再生装置
JP2001351226A (ja) 磁気記録媒体、その製造方法及び磁気記録装置
JP6451011B2 (ja) 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP4507153B2 (ja) 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置
JP2004039030A (ja) 磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置
JP2001283427A (ja) 磁気記録媒体、その製造方法、スパッタリングターゲット、および磁気記録再生装置
JP2006120234A (ja) 垂直磁気記録媒体の製造方法
JP5737676B2 (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080514

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100917

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110316

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4708121

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350