JP4706037B2 - 歯科矯正用インプラント - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、口蓋を横断する様に配置されるプレート状の部材をネジにより上顎に固定するタイプの歯科矯正用インプラントに関する。
歯科矯正にあたっては、特定の歯を固定して、固定された歯によって、矯正に必要な荷重を負荷する必要がある。
歯を固定するために、上顎を横断する様に配置されるプレート状の部材をネジを用いて上顎に固定するタイプのインプラントを利用する歯科矯正治療が従来から知られている。
その様なインプラントを固定源に利用する矯正治療の一例として、インプラント本体、キャップ、ネジより構成されるオルソインプラントを上顎に埋入し、オルソインプラントにスクエアワイヤー或いはプレートを取付け、固定するべき歯に固着したバンドを当該プレートにロー着する治療法が存在する(非特許文献1参照)。
しかし、上述した治療法においては、以下、(A)〜(F)に列挙するような問題が存在する。
(A) オルソインプラントを上顎に埋入した際には、インプラント本体端部のみならず、キャップ及びネジが上顎から突出することとなり、施術された患者が多大な違和感を覚える。
(B) オルソインプラントを使用せずにプレートを骨とスクリューで挟み込み、押し付けると、プレートが上顎の粘膜を押圧し、粘膜が壊死してしまう。従って、オルソインプラントを使用しない場合には、粘膜が壊死することを防止する工夫が必要である。
(C) 上顎とスクリューでプレートを十分に挟み込まないと、プレートが口腔中で回転してしまい、固定源として利用出来なくなる可能性がある。
(D) インプラントに形成されたネジ山に異物が混入すると、上顎に埋入された際に汚染源となる。
(E) プレートの材質如何によっては、歯に固着するべきバンドとの接合を樹脂で行う必要がある。
(F) 埋入されてから6週間程度経過しないと、インプラント本体が上顎骨に十分に固定されない。そのため、即時荷重が困難である。
その他の従来技術として、ネジを用いた歯科矯正用のインプラントであって、プレート状の部材を有するタイプのものが種々存在する(例えば、特許文献1〜特許文献4)。
しかし、特許文献1は歯根部に固定具を埋め込むタイプのインプラントであり、特許文献2〜特許文献4は何れも、「アンカープレート」と呼ばれるタイプのインプラントであり、上顎を横断する様に配置されるプレート状の部材をネジを用いて上顎に固定するタイプのインプラントとは異なるタイプである。そのため、特許文献1〜特許文献4に係る従来技術では、上述した(A)〜(F)の問題点を解消することは出来ない。
特表平10−511286号公報 特開2004−174278号公報 特開2004−136134号公報 特開平11−164843号公報 『THE NIPPON Dental Review(日本歯科評論)』2001年8月号(Vol.61(8)/通刊第706号)別冊第47頁〜第54頁
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、施術された患者が違和感を覚えることがなく、プレート型インプラントを固定した箇所の粘膜が壊死してしまうことを防止出来て、プレートが口腔中で回転してしまうことが無く、施術後、即時荷重を負荷することが出来る様な歯科矯正用インプラントの提供を目的としている。
本発明の歯科矯正用インプラントで用いられるプレート(1)は、口蓋(上顎4)を横断する様に配置される歯科矯正用インプラントのプレート(1)において、全体が板状に形成されており、口蓋の正中線(上顎骨で骨に十分な厚さ寸法がある箇所)に対応する箇所及び/又は当該箇所よりも口蓋の前後方向へ偏奇した位置(例えば、口蓋における前歯側、或いはいわゆる「1番」の歯側へずれた位置、但し、後方或いは後歯側へずれた位置でも良い)に貫通孔(12)が形成され(図示の例では、合計で2個形成されている)、該貫通孔(12)には雌ネジ(12at、12bt)が形成され、長手方向両端部(接合部D)は切断可能に構成され且つ歯を固定するためのバンド(7)と接続可能に構成されていることを特徴としている(請求項1:図1〜図9)。
なお、本明細書においては、必要に応じて、「口蓋」を「上顎骨」或いは「上顎」と表現する場合がある。
また、本発明の歯科矯正用インプラントで用いられるプレート(1)は、左右の歯列(5)と接続される様に上顎側或いは下顎側で配置される歯科矯正用インプラントのプレート(1C)において、全体がU字状に形成されており、正中線(上顎骨或いは下顎骨で骨に十分な厚さ寸法がある箇所)に対応する箇所及び/又は当該箇所よりも上顎或いは下顎の前後方向へ偏奇した位置(例えば、口蓋における前歯側、或いはいわゆる「1番」の歯側へずれた位置、但し、後方或いは後歯側へずれた位置でも良い)に貫通孔(12)が形成され(図28、図29の例では、合計で2個形成されている)、該貫通孔(12)には雌ネジ(12at、12bt)が形成され、U字状の両端部(接合部D)は切断可能に構成され且つ歯を固定するためのバンド(7)と接続可能に構成されていることを特徴としている(請求項2:図28、図29)。
ここで、前記プレート(1〜1C)は、当該プレート(1〜1C)を固定するべき口蓋(上顎4)に沿った湾曲した形状に成形することが出来る材質(例えば、チタン若しくはチタン合金やステンレスのような金属、樹脂等)で構成されることが好ましい。
本発明の歯科矯正用インプラントで用いられるスクリュー(2)は、歯科矯正用インプラントのプレート固定用スクリューにおいて、上顎骨(42)或いは下顎骨に侵入可能な程度に硬く且つ上顎骨(42)或いは下顎骨中で固定可能な材質(例えばチタン若しくはチタン合金)で形成されており、先端側は尖っており且つスレッド(ネジ山:条列24)が形成されており、ヘッド部分にも雄ネジ(23)が形成されており、ヘッド部分に形成された雄ネジ(23)は歯科矯正用インプラントのプレート(1)に形成された貫通孔の雌ネジ(12at、12bt)と螺合可能に構成されていることを特徴としている(請求項3:図10)。
本発明の歯科矯正用インプラントで用いられるスクリュー(2A、2F、2H)において、前記スレッド(24、240)と雄ネジ(23)との間の領域に、ネジ山或いはスレッド(24、240)の何れもが形成されていない非ネジ部分(25、250)を設け、該非ネジ部分(25、250)の軸線方向長さは口内の粘膜(41)の厚さ以上に設定されているのが好ましい(請求項4:図11)。
本発明の歯科矯正用インプラントは、口蓋(上顎4)を横断する様に配置されるプレート(1)と、該プレート(1)を固定するためのスクリュー(2)とを有しており、前記プレート(1)は全体が板状に形成されており、口蓋の正中線(上顎骨において、骨に十分な厚さ寸法がある箇所)に対応する箇所及び/又は当該箇所よりも口蓋の前後方向へ偏奇した位置(例えば、口蓋における前歯側、或いはいわゆる「1番」の歯側へずれた位置、但し、後方或いは後歯側へずれた位置でも良い)に貫通孔(12)が形成され(図示の例では、合計で2個形成されている)、該貫通孔(12)には雌ネジ(12at、12bt)が形成され、長手方向両端部(接合部D)は切断可能に構成され且つ歯を固定するためのバンド(7)と接続可能に構成されており、前記スクリュー(2)は上顎骨(42)に侵入可能な程度に硬く且つ上顎骨(42)中で固定可能な材質(例えばチタン若しくはチタン合金)で形成されており、先端側は尖っており且つスレッド(ネジ山:条列24)が形成されており、ヘッド部分にも雄ネジ(23)が形成されており、ヘッド部分に形成された雄ネジ(23)は前記プレート(1)の貫通孔(12)に形成された雌ネジ(12at、12bt)と螺合可能であり、プレート(1)の貫通孔(12)にスクリュー(2)を回転しつつ挿入することによりプレート(1)が口蓋内(上顎4側)で固定される様に構成されていることを特徴としている(請求項5:図23、図24)。
或いは、本発明の歯科矯正用インプラントは、上顎側或いは下顎側(例えば、上顎4)に配置されるプレート(1C)と、該プレート(1C)を固定するためのスクリュー(2)とを有しており、前記プレート(1C)は全体がU字状に形成されており、正中線(上顎骨或いは下顎骨において、骨に十分な厚さ寸法がある箇所)に対応する箇所及び/又は当該箇所よりも上顎或いは下顎の前後方向へ偏奇した位置(例えば、前歯側、或いはいわゆる「1番」の歯側へずれた位置、但し、後方或いは後歯側へずれた位置でも良い)に貫通孔(12)が形成され(図28、図29の例では、合計で2個形成されている)、該貫通孔(12)には雌ネジ(12at、12bt)が形成され、U字状の両端部(D)は切断可能に構成され且つ歯を固定するためのバンド(7)と接続可能に構成されており、前記スクリュー(2)は上顎骨(42)或いは下顎骨に侵入可能な程度に硬く且つ上顎骨或いは下顎骨中で固定可能な材質(例えばチタン若しくはチタン合金)で形成されており、先端側は尖っており且つスレッド(ネジ山:条列24)が形成されており、ヘッド部分にも雄ネジ(23)が形成されており、ヘッド部分に形成された雄ネジ(23)は前記プレート(1C)の貫通孔(12)に形成された雌ネジ(12at、12bt)と螺合可能であり、プレート(1C)の貫通孔(12)にスクリューを回転しつつ挿入することによりプレート(1C)が上顎側或いは下顎側(例えば上顎4側)で固定される様に構成されていることを特徴としている(請求項6:図29)。
本発明の歯科矯正用インプラントにおいて、前記スクリュー(2A、2F、2H)は、スレッド(24、240)と雄ネジ(23)との間の領域に、ネジ山或いはスレッドの何れもが形成されていない非ネジ部分(25、250)を設けており、該非ネジ部分(25、250)の軸線方向長さは口内の粘膜(41)の厚さ以上に設定されているのが好ましい(図25)。
スクリュー(2、2A、2E〜2H)の材質としては上顎骨及び/又は下顎骨との「なじみ」が良好なチタン若しくはチタン合金が望ましい。
プレート(1〜1C)の材質としては、固定するべき歯に取付けるバンド(7;材質はステンレス)とロー着が可能なステンレスを採用することが可能である。但し、スクリュー(2、2A、2E〜2H)をチタン若しくはチタン合金とする場合には、スクリュー(2、2A、2E〜2H)とプレート(1〜1C)との螺合箇所で2種類の異なる金属が接触することによる電位差発生の可能性が有るので、係る電位差発生に対処する必要がある。
チタン若しくはチタン合金でプレート(1〜1C)を構成した場合には、上述した電位差の問題は生じないが、歯を固定するためのバンド(7)とプレート(1〜1C)とをロー着することが出来なくなるので、例えば、樹脂(3)等で接続する必要がある。その場合、プレートの長手方向端部(1e)は、樹脂(3)が良く馴染む様な形状となっているのが好ましい。係る「樹脂が良く馴染む様な形状」としては、例えば、凹凸(111)が多数形成されている、樹脂(3)が回り込む様な貫通孔(16)が形成されている等が好適である。
すなわち、前記プレート(1〜1C)の長手方向両端部(1e)は、歯を固定するためのバンド(7)と接続するための樹脂(3)と強固に接続されるような形状に構成されることが好ましい。
プレートの材質を樹脂にすることが可能である。
その場合、プレートに必要な剛性を持たせるために、プレートの幅や厚みを考慮する必要がある。
ここで、全体が板状に形成されているプレートを用いる場合において、スクリューを上顎骨に埋め込む位置として、口蓋の正中線に対応する箇所としたのは、係る位置であれば上顎骨において十分な厚さ寸法があり、且つ、埋め込まれたスクリューが神経や血管を損傷しない位置だからである。換言すれば、スクリューを上顎骨に埋め込む位置は、医学的或いは解剖学的に安全な位置に設定されているのである。
一方、全体がU字状に形成されたプレートを用いる場合には、上顎側のみならず、下顎側にも取り付けることが可能である。その場合、プレートの貫通孔を下顎における前歯(いわゆる「1番」の歯)近傍の位置に設け、前記スクリューは前歯(いわゆる「1番」の歯)近傍の歯槽骨に埋め込まれるのが好ましい。
上述する構成を具備する本発明によれば、プレート(1〜1C)をスクリュー(2、2A、2E〜2H)に固定する際に、スクリュー(2、2A)頭部のネジ山(23)が貫通孔(12)の雌ネジ(12at、12bt)と螺合するので、スクリュー(2、2A、2E〜2H)はプレート(1〜1C)表面から口腔内に突出しない。口腔内に突出するのは、当該プレート(1〜1C)のみであるため、施術された患者が感じる違和感が減少する。
プレート(1〜1C)は上顎(4)に押圧されて固定される訳ではなく、スクリュー頭部の雄ネジ(23)と貫通孔の雌ネジ(12at、12bt)との螺合により固定される。そのため、プレート(1〜1C)で粘膜(41)を押圧する必要がなくなり、粘膜(41)の壊死が防止できる。
プレート(1〜1C)は、2箇所の貫通孔でスクリュー(2、2A、2E〜2H)と螺合するので、口腔中で回転することはない。
プレート(1〜1C)の1つの貫通孔を形成した部分(第2の取付け座14)は、プレート(1〜1C)の他の部分から容易に除去出来るので、1本のスクリュー(2、2A)のみで口腔中を回転しない様に取付けることが可能な場合には、プレート(1〜1C)を上顎(4)に取付ける際に、貫通孔(12)を形成した部分(14)をプレート(1〜1C)から取り外せば良い。
スクリュー(2、2A、2E〜2H)は、上顎骨(42)に埋入する部分と、プレート(1〜1C)の貫通孔の雌ネジ(12at、12bt)と螺合する部分との間の領域に、ネジ山を形成していない部分(25)を設けたので、当該ネジ山を形成していない部分(25)に汚物が混入してしまう恐れがない。
プレート(1〜1C)の端部(D)は、樹脂が良く馴染む様な形状となっているので、プレート(1〜1C)とバンド(7)がロー着出来ない場合でも、樹脂(3)により、両者を確実に接合できる。
スクリュー(2、2A、2E〜2H)が上顎骨(42)に埋入する部分は尖った形状となっているので、スクリュー(2、2A)と骨(42)との初期固定が強固に得られるので、即時荷重が可能となる。従って、馴染むための期間が、従来のインプラントに比較して遥かに短縮される。
プレート(1〜1C)の材質に樹脂を選択すれば、スクリュー(金属製)が螺合した際に、金属同士が接合することによる電位差の発生が防止できる。
バンド(7)と接合するための樹脂(3)とプレート(1〜1C)との接合が容易且つ確実になる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図3を参照して、本発明のプレートの第1実施形態の一実施例を説明する。図1は全体を符号1で示すプレートの平面図を、図2は図1におけるX1‐X1断面図を、図3は図1におけるX2‐X2断面図を示す。
又、図1において符号A16の矢印の向きは、奥歯側から前歯側に向う向きである。
図1〜図3において、プレート1は全体が左右対称であり、断面が矩形の細い板状の軸部11と、その軸部11の中央(口蓋の正中線に対応する箇所:上顎骨において、骨に十分な厚さ寸法がある箇所に対応する箇所)に位置する中央取付け部Cと、軸部11の左右両端部に位置するバンド接合部Dとから構成されている。
前記中央取付け部Cには貫通孔12を有する第1の取付け座13と、前記軸部11の長手方向に直交する方向(口蓋の前後方向)で第1の取付け座13に隣接して設けられ貫通孔12を有する第2の取付け座14が形成されている。
換言すれば、第2の取付け座14は、第1の取付け座13に対して口蓋の前後方向へ偏奇した位置、例えば、口蓋における前歯側、或いはいわゆる「1番」の歯側へずれた位置に設けられている。そして、図示されてはいないが、第2の取付け座14を、第1の取付け座13に対して、口蓋の後方(後歯側或いは咽喉側)に設けても良い。
前記第1及び第2の取付け座13、14の輪郭は、図示の例では円形を成し、従って第1及び第2の取付け座13、14の互いに隣接する位置には括れ部15が2箇所形成されている。
第1及び第2の取付け座13、14に形成された前記貫通穴12は、図2に示すように人体頭部の口蓋表面に接する側のストレート孔12aと、口蓋表面から離反する側のテーパ孔12bとから構成され、ストレート孔12aにはストレートの雌ねじ12atが、テーパ孔12bにはテーパ雌ねじ12btが夫々形成されている。
図2において、符号tはプレート1の厚みを示す。
プレート固定用スクリュー(後述)によって当該プレートの口蓋内への取付けの様態については後述する。
軸部11の左右両端の前記バンド接合部Dには、図示の例では輪郭が円形で中央に貫通孔16を穿孔し、左右の片側に1対の接合部材17、18が前記軸部11の長手方向に沿って形成されている。
その左右片側の1対の接合部17と接合部18との間には、図示の例では軸部11と同じ断面の括れ部19が形成されており、プレート1と後述するバンド7及び接合部材である樹脂3から構成される歯科矯正用プラント全体を短く構成したい場合は、その括れ部19で矢印Y方向に両端を切断する様に構成されている。
図3に断面を示すように、バンド接合部D(17、18)の前記孔16には、後述する歯を固定するバンド(図20、図21の符号7を参照)をプレート1に、例えば樹脂等によって接合する際(図7、図8の符号3を参照)に、接合用樹脂が矢印Rの様に孔16に入り込むので、両者の接合が強固となり、プレート1がバンドに対して外れてしまうことが防止される。
図1〜図3の第1実施形態のプレートの一実施例では、第1の取付け座13の中心が軸部の中心に一致し、第2の取付け座は前歯側に配置されている。
それに対して、図31で示す第1実施形態のプレートの他の実施例は、第1の取付け座13の中心が軸部の中心に一致し、第2の取付け座は奥歯側に配置した実施例である。
第2の取付け座を奥歯側に配置した以外は第1実施形態の一実施例と同様である。尚、図31では両端部を省略して描いている。
第1実施形態の一実施例(図1)及び第1実施形態の他の実施例(図31)は共に第2の取付け座14が軸部の中心線に対して前歯側か、奥歯側の何れかに偏奇して配置されている。
それに対して図32の第1実施形態の別の実施例では、第1及び第2の取付け座13、14は軸部11に対して対称となる位置に配置して構成されている。したがって、括れ部150は軸部11と各取付け座13、14の境界に形成されている。
第1及び第2の取付け座13、14を軸部11に対して対称となる位置に配置して構成した以外は第1実施形態の一実施例と同様である。尚、図32でも両端部を省略して描いている。
次に図4を参照してプレートの第2実施形態を説明する。
図1〜図3の第1実施形態では、特に図2で示す様に、雌ネジが形成されている貫通孔12では、テーパ孔12bとストレート孔12aとの双方に雌ネジ12bt、12atが形成されている。
それに対して、図4の第2実施形態では、中央部Cの第1及び第2の取付け座13、14の貫通孔12Aは、ストレート孔12aのみに雌ネジ12atが形成されており、テーパ孔12bにはネジ部(雌ネジ)は形成されていない。
次に図5を参照してプレートの第3実施形態を説明する。
図5の第3実施形態では、中央部Cの第1及び第2の取付け座13、14の貫通孔12Bには、雌ネジ12btが形成されたテーパ孔12bのみが形成されている。
次に図6を参照してプレートの第4実施形態を説明する。
図6の第4実施形態では、中央部Cの第1及び第2の取付け座13、14の貫通孔12Cには、ストレート孔12aのみが穿孔されており、そのストレート孔12aには雌ネジ12atが形成されている。
次に図7を参照してプレートの第5実施形態を説明する。
図7の第5実施形態では、プレート両端の貫通孔(図1の接合部Dの孔16)に代えて、プレートの両端1eに多数の突起111を形成している。プレートと図示しないバンドとを接合用樹脂(図7の2点鎖線で符号3)で接合する場合に、当該突起111により接合用の樹脂3がプレート端部1eに対して強固に固定され、プレートと図示しないバンドとの接合が強固となる。
次に図8を参照してプレートの第6実施形態を説明する。
図8の第6実施形態では、プレート両端の貫通孔(図1の接合部Dの孔16)に代えて、プレート両端1eの矩形の周囲の少なくとも面積の大なる2面に微小な凹凸112を多数形成した実施形態である。
微小な凹凸112を形成するに際しては、例えばローレット加工で形成すればよい。その様に構成することにより、プレートとバンドとを接合用樹脂3で接合する場合に、多数の微小凹凸112により接合用樹脂3がプレート端部1eに対して強固に固定され、プレートと図示しないバンドとの接合が強固となる。
図1〜図8で示す第1実施形態〜第6実施形態は、例えばチタン若しくはチタン合金のように、歯を固定するためのバンドとの溶着が困難な材質を用いてプレートを構成した場合において、バンドとプレート端部とを樹脂を用いて接合することを前提としている。
これに対して、例えば前記バンドとロー着することが出来るステンレスでプレートを構成する場合や、樹脂でプレートを構成する場合では、樹脂とプレート端部とのなじみを考慮する必要が無い。
図9で示す第7実施形態は、その様に、樹脂とプレート端部とのなじみを考慮する必要が無い場合に適用される。
すなわち、図9においては、その中央部には、図1、図2、図4〜図6で示す様な雌ネジ12at、12btを形成した貫通孔12が形成されている。しかし、図9で示すプレート1Aの端部1Aeには、図1、図3、図7、図8で示す様な接合部は設けられておらず、平滑となっている。
なお、図1、図7、図8、図9において、矢印Yは、プレートの長さを調節するために端部を切断する(詳細は後述)際の切断箇所を例示している。
図10〜図14及び図33〜図38は、図1〜図9で説明したプレート1、1Aを口蓋に固定するためのスクリューを示している。
図10は、係るスクリューの第1実施形態を示す。
ここで、スクリューが埋め込まれるのは、図1〜図9で説明したプレート1、1Aを用いる場合には上述した通り口蓋であるが、後述するU字状のプレートを使用する場合には、下顎側の歯槽骨、例えばいわゆる「1番」近傍の歯槽骨、にスクリューが埋め込まれる場合がある。
図10において、全体を符号2で示すスクリューは、前端が尖った軸部21と後端側の径が拡大したテーパ状頭部22とによって構成されている。
スクリュー2において、後端から符号L(図1〜図9で説明したプレート1、1Aの板厚と同一寸法)で示す領域には、図1、図2で示す雌ネジ12at、12btと螺合する雄ネジ23が形成されている。即ち、雄ねじ23は、軸部21の一部(テーパ状頭部22に隣接した領域)に形成されたストレート雄ねじ23aと、テーパ状頭部22に形成されたテーパ雄ねじ23bとによって連続する雄ねじに形成されている。
雄ネジ23が形成されたヘッド部(符号Lの領域)は、図2で示すテーパ孔12bとストレート孔12aとを有し且つ雌ネジ12bt、12atが形成された貫通孔12に螺合する様に形成されている。換言すれば、雄ネジ23と、図2で示すテーパ孔12bとストレート孔12aの雌ネジ12bt、12atとが螺合することにより、図10のスクリュー2は、図1、図2で示す様なプレート1に固定されて、一体化するのである。
スクリュー2とプレート1との一体化について、詳細は後述する。
雄ネジ23が形成されたヘッド部以外の領域では、上顎骨に固定するための条列部分(雄ねじ)24が形成されている。条列部分24により、スクリュー2は図示しない上顎骨に食い込み、且つ、固定されるのである。
図11はスクリューの第2実施形態(スクリュー2A)の側面を示す図である。
図10の第1実施形態では、雄ネジ23が形成されたヘッド部分(符号Lで示す領域)の近傍から条列部分24が形成されているが、図11の第2実施形態では、ヘッド部分(符号Lで示す領域)と条列部分24との間に、ネジ山或いは条列が形成されていない非ネジ部分25が介在している。係る非ネジ部分25を設けた理由については、後述する。
なお、図10、図11で説明したスクリューについて、図37、図38で示す様に構成することも可能である。
図37、図38で示すスクリューの第10、第11実施形態では、雄ねじ240のネジ山を形成するにあたって、ネジ山間の「谷」の部分を基材から切削して形成し、ネジ山頂部が基材の表面(仮想面:図37、図38において2点鎖線で示す)から突出しないように形成している。
図12はスクリューの第3実施形態(スクリュー2B)の側面を示す図である。
図10、図11のスクリュー2、2Aのヘッド部分は、図2のプレート1の貫通孔12におけるテーパ孔12bに対応するテーパ状頭部22と、図2のストレート孔12aに対応する軸部21との双方に雄ネジが形成されており、図2の貫通孔12の雌ネジ12at、12btと螺合するように構成されている。
それに対して、図12の第3実施形態に係るスクリュー2Bでは、ヘッド部分(符号Lで示す領域)のテーパ状頭部22には雄ネジが形成されておらず、軸部21にのみ雄ネジ23aが形成されている。以って、図4で示すプレートの貫通孔12Aのストレート孔12aに形成された雌ネジ12atと螺合せしめることが出来る。
図13はスクリューの第4実施形態(スクリュー2C)の側面を示す図である。
図13で示すスクリュー2Cのヘッド部分(符号Lで示す領域)はテーパ状頭部22のみで形成されており、テーパ状頭部22に形成された雄ねじ23bが、図5で示すプレートの貫通孔12Bに形成された雌ネジ12btと螺合することにより、図13のスクリュー2Cと図5のプレートとが一体化するのである。
図14はスクリューの第5実施形態(スクリュー2D)の側面を示す図である。
図14で示すスクリュー2Dには、テーパ状頭部に相当する部分は設けられておらず、軸部21と円盤状のヘッド26により、ヘッド部分(符号Lで示す領域)が形成されている。そして、軸部21に形成された雄ねじ23aが、図6のストレート孔12Cの雌ネジ12atと螺合することより、図14のスクリュー2Dと図6のプレートとが一体化される。
後述するが、図6のプレートと一体化した場合、図14のスクリュー2Dは、ヘッド26の厚さ寸法δだけプレート表面から口内に突出する。
スクリューの第1実施形態から第5実施形態までは、軸部21がストレート、即ち円柱状である。軸部が円柱状であると、スクリューを上顎骨に捻じ込む際に、最初から大きな捻じ込みトルクを要する。医療器具の能力及び患者の負荷を考慮すると、捻じ込み始めは小さなトルクとしたい。
そうした要請に応えるスクリューの実施形態が図33の第6実施形態である。
図33において、スクリュー2Eの軸部210は、いわゆる、木ネジ状の円錐形状である。軸部210の周囲に形成された条列部分である雄ねじ240のネジ山頂部は軸部210の周囲から突出して形成されている。
第6実施形態のスクリューには円錐軸部210全体に雄ねじ240が形成されている。その他の構成については図10の第1実施形態と実質的に同様である。
次に図34を参照して、スクリューの第7実施形態(スクリュー2F)について説明する。
図33のスクリューの第6実施形態(スクリュー2E)では、条列部分である雄ねじ240は軸部210全体に亙って形成されている。それに対して図34のスクリューの第7実施形態は、軸部210に雄ねじ240が形成されない不完全ネジ部250を有している。
不完全ネジ部250を有すること以外は図33のスクリューの第6実施形態と同様である。
図33の第6実施形態及び図34の第7実施形態は、共に条列部分である雄ねじ240のネジ山頂部が軸部210の周囲から突出して形成されている。
それに対して、図35、図36のスクリューの第8及び第9実施形態では、条列部分である雄ねじ240のネジ山頂部の間の「谷」の部分を基材表面(仮想面:図35、図36で2点鎖線で示す)から切削することにより形成しており、以って、軸部211の周囲(上述した仮想面:2点鎖線)から突出しないように形成された実施形態である。
図35のスクリューの第8実施形態(スクリュー2G)は、図33の第6実施形態(スクリュー2E)と同様軸部211(軸部の符号は異なる)に不完全ネジ部がない。
雄ねじ240のネジ山頂部が軸部211の周囲から突出しないように形成されたこと以外は、図33のスクリューの第6実施形態と同様である。
図36のスクリューの第9実施形態(スクリュー2H)は、図34の第7実施形態(スクリュー2F)と同様軸部211(軸部の符号は異なる)に不完全ネジ部250を有している。
雄ねじ240のネジ山頂部が軸部211の周囲から突出しないように形成されたこと以外は、図34のスクリューの第7実施形態と同様である。
図12〜図14において、ヘッド部分(符号Lで示す領域)以外の部分の図示は省略しているが、図10で示す様に構成することも、図11で示す様に構成することも、或いは、図33〜図36で示すように構成することも可能である。
次に、図15以下を参照して、所定の歯を固定するために、図1〜図9を参照して説明したプレート1、1Aと、図10〜図14を参照して説明したスクリュー2〜2Dを使用する態様について説明する。尚、図33〜図36を参照して説明したスクリュー2E〜2Hを使用する様態については、図10及び図11のスクリュー2、2Aを使用した場合に準ずるため、図を用いての説明は省略する。
図15は、上顎4における歯列5を下顎側から見た状態を示している。図1〜図9を参照して説明したプレート1、1Aと、図10〜図14を参照して説明したスクリュー2〜2Dは、主として、図15で示す上顎4側で用いられる。
図中、前歯T1から最も奥の奥歯(親知らず)T7までに符号T1〜T7を付して、以降の説明の際に特定歯を符号T1〜T7を以って説明する。
先ず、図1〜図3で示すプレート1と、図10で示すスクリュー2とを用いる場合において、図16〜図24で例示する。
図16は、図1〜図3で説明したプレート(プレートの第1実施形態)を、図1の矢印A16方向から見た状態を示している。
この段階では、プレート1は直線形状となっており、湾曲はしていない。
歯科矯正を行う場合には、図17に示すように、図15で示した歯列5を含む模型6を形成して、インプラント(プレートとバンドを接合用樹脂で接続した歯科矯正用の集合体)の寸法、形状を調節する。
図16で示すプレート1を固定するには、上顎4の曲面4Rに沿って湾曲させる必要がある(図17参照)。
図17は、歯列5を含む模型6を用いて、上顎4に沿ってプレート1を湾曲させた状態を示している。
図18、図19は、プレート1の長さを調節するために、プレート1の端部を切断する工程を示している。
歯科矯正において、固定するべき歯には、固定用の円環状のバンド7を装着する。係る固定用のバンド7は、図18において点線で示されている。
プレート1の長さとしては、プレート1の端部と固定用のバンド7とが、接合箇所で接続されるように調節する必要がある。そのため、図18、図19において、矢印Yで示す位置にて、プレート1を切断し、以って、プレート1の長さを調節する。
プレート1の長さを調節したならば、図20、図21で示す様に、接合部Jにおいて、プレート1端部と固定用のバンド7とを接合する。
ここで、図16〜図24で例示した場合において、スクリュー2(図22)は上顎骨4との馴染みが良いチタン若しくはチタン合金製であり、プレート1もチタン若しくはチタン合金製である。この場合、プレート1と固定用バンド(ステンレス製)7は異種金属なので、接合部Jをロー着で構成することは出来ない。そのため、接合部は樹脂で構成される。
プレート1の端部は、樹脂が良く馴染む様な形状(接合部17、18及びその中央に形成された貫通穴12(図1、図3)や、プレート端部表面に形成された複数の突起や凹凸形状111、112(図7、図8))となっているので、この場合の様に、プレート1とバンド7がロー着出来ない場合でも、樹脂により、両者を確実に接合できる。
図19で示す様に、プレート1の端部は2つの貫通孔16の中間で切断されている。従って、プレート1端部には図3で示す様な貫通孔16が1箇所は残されている。図3で説明したように、樹脂は貫通孔16内部に流れ込み(図3の矢印R)、固化した際にはプレート1端部と一体化する。
図16〜図24では例示されていないが、プレート1及び固定用バンド7が共にステンレス製の場合は、プレート1の端部に樹脂と馴染ませるための構造を設けることは不要であり(図9参照)、接合部Jは単にロー着で構成すれば良い。
また、プレート1を樹脂で製造した場合においても、樹脂と馴染ませるための構造は、プレート1の端部では不要となる。
図20は、バンド7とプレート1とを接合した状態を、図16で示す方向(図1の矢印A16方向)からの矢視で示している。
また、図21は、バンド7とプレート1とを接合した状態を、図1或いは図15と同一方向から示している。
図20、図21で示す状態で、プレート1及びバンド7を、歯科矯正を行うべき患者の口腔内の上顎4側に設置する。そして、図33〜図36で示す様なスクリュー2E〜2H(或いは、図10で示す様なスクリュー2)を2本、各々、プレート1中央部の貫通孔(雌ネジを形成した貫通孔)12に回転させながら挿入する。
スクリュー2E〜2Hを回転することにより、その先端側の条列部分24が上顎骨4中に侵入する。そして、スクリュー2E〜2Hのヘッド部分に形成した雄ネジ23aが、プレート1の雌ネジ12at、12btに螺合することにより、スクリュー2E〜2Hとプレート1とが固定されて一体化される(図23参照)。
図23において、スクリュー2E〜2Hとプレート1とを固定する際に、スクリュー2E〜2Hのヘッド部分の雄ネジ23aが貫通孔12の雌ネジ12at、12btと螺合し、スクリュー2E〜2H(のヘッド)はプレート1表面から口腔内(図示の上方)に突出しない。口腔内に突出するのは、プレート1の厚さtのみであるため、施術された患者が感じる違和感(口腔内に人工的な突起が存在する違和感)が減少する。
また、図23で示す様に、プレート1は上顎4に押圧されて固定される訳ではなく、スクリュー2E〜2Hのヘッド部分における雄ネジ23aとプレート1の貫通孔12の雌ネジ12at、12btとの螺合により固定される。そのため、プレート1で上顎4の表面を形成する粘膜41を押圧することがなく、粘膜の壊死が防止できる。図23において符号42は上顎4を形成する上顎骨を示す。
さらに、スクリュー2E〜2Hが上顎骨42に埋入する部分は尖った形状となっているので、スクリュー2E〜2Hと上顎骨42との初期固定が強固に得られ、即時荷重が可能となる。従って、インプラントが上顎骨42に対して馴染むための期間が、従来に比較して遥かに短縮される。
発明者の観測によれば、インプラントに対して荷重を負荷できる様になる期間について、約6週間の短縮が可能となった。
その結果、矯正治療全体に必要とされる期間も遥かに短縮されるのである。
図24で示す様に、プレート1は、2箇所の貫通孔12でスクリューと螺合して固定される。従って、プレート1に対して図24の符号Mで示す様なモーメントが作用しても、2箇所で固定されたプレート1が口腔中で回転してしまうことは無くなる。
ここで、バンド7は前から6番目の歯T6に装着している。
再び図23において、図33、図35で示す様な木ねじタイプのスクリュー2E、2G(或いは、図10で示すタイプのスクリュー2)では、上顎骨42に埋入する部分とプレート1の貫通孔12の雌ネジ12at、12btと螺合する部分との間の領域Hにも条列部分240(或いは24)が形成されているので、当該条列部分240に異物が混入した場合に、異物が粘膜41内に侵入して化膿等の原因となってしまう可能性が有る。
これに対して、図34の符号2F、図36の符号2Hで示すタイプのスクリュー(或いは図11で示すタイプのスクリュー2A)を採用すれば、図25で示す様に、上顎骨42に埋入する部分とプレート1の貫通孔12の雌ネジ12at、12btと螺合する部分との間の領域には、ネジや条列が形成されていない非ネジ部分250(或いは25)が位置している。条列部分240(或いは24)とは異なり、非ネジ部分250(或いは25)には異物が混入し得ないので、図34の符号2F、図36の符号2Hで示すタイプのスクリュー(或いは図11のタイプのスクリュー2A)を用いれば、異物が粘膜内に侵入して化膿してしまうことが防止される。
換言すれば、図34の符号2F、図36の符号2Hで示すタイプのスクリュー(或いは図11で示すタイプのスクリュー2A)では、異物を粘膜内に侵入させない様にするため、非ネジ部分250(或いは25)を形成しているのである。
ここで、図26で示す様に、雌ネジ12at、12btを形成した貫通孔12を形成した第1及び第2の取付け座13、14は、矢印Y1で示す部分(括れ部15)で剪断することにより、プレート1の他の部分から容易に除去出来る。
従って、図24の矢印Mで示すモーメントがプレート1に作用しないことが明白な場合には、或いは、1本のスクリュー2のみで口腔中を回転しない様に取付けることが可能な場合には、図26の矢印Y1部分で剪断して、プレート1を上顎に取付ける際に、貫通孔12を形成した第2の取付け座14をプレート1から取り外して、プレート1を固定すれば良い(図27参照)。
図16〜図27で例示したプレートの取付け態様においては、バンド7を装着して固定するべき歯は、いわゆる「5番」、「6番」の様に奥の方に位置する歯5T、6T(図27の例では、歯T6)である。しかし、矯正の態様においては、いわゆる「3番」、「4番」(3T、4T)の様に前方に位置する歯を固定することが望ましい場合が存在する。
しかし、口腔内前方の領域は、スクリュー2や図示しないアンカーを視認し難いため、スクリュー2をいわゆる「3番」、「4番」の歯3T、4Tと同様な前方領域に打ち込むことは困難である。
図28は、その様な問題を解消するためのプレート1Cであり、プレートの第8実施形態に係るものである。
図28は、図1と同方向から見た状態を示している。図28において、プレート1C全体はU字状に湾曲した状態で構成されている。
プレート1C全体がU字状に湾曲しているため、図28のプレート1Cを用いた場合には(図29参照)、いわゆる「4番」の様に前方に位置する歯4Tにバンド7を装着する場合でも、スクリュー2を打ち込む貫通孔12を口腔中の奥まった位置にすることが出来る。そのためスクリュー2を視認した状態で上顎骨4に打ち込むことが可能となり、いわゆる「3番」、「4番」の様に前方に位置する歯3T、4Tを固定することが容易となる。
図28のプレート1Cは、図1〜図4の第1実施形態の軸部11をU字状に湾曲したのみであって、中央の取付け座C及び左右端部の接合部Dの構成は第1実施形態と同じ構成である。
なお、図28のプレート1Cにおいて、貫通孔12はプレート1Cの中心軸線上の位置と、それよりも前方(前歯側)の位置に合計2箇所形成されている。明確には図示されていないが、貫通孔12は、プレート1Cの中心軸線上の位置と、それよりも後方(後歯側或いは咽喉側)の位置に形成しても良いし、或いは、プレート1Cの中心軸線に対して前方(前歯側)に偏奇した位置と、後方(後歯側或いは咽喉側)に偏奇した位置とに形成しても良い。
ここで、全体がU字状に形成されたプレート1Cを用いる場合には、図29で示す様に口蓋側に装着するのみならず、図39で示す様に下顎4Uにも取り付けることが可能である。その場合、プレート1Cの貫通孔12を下顎4Uの前歯(いわゆる「1番」の歯:符号T1で示す)近傍の位置に設け、貫通孔12に挿入されるスクリューは、前歯(いわゆる「1番」の歯)T1、T1近傍の歯槽骨に埋め込まれる。
図30は、図14で示すスクリュー2Dを用いてプレート1Dを固定した状態を示している。この場合においては、スクリュー2Dのヘッド26がプレート1Dの表面から突出するが、ヘッド26の厚さ寸法δを十分に小さくすることが可能であるため、患者が感じる違和感を可能な限り少なくすることが出来る。
その他の作用効果については、上述したのと同様である。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、図示の実施形態は、種々組み合わせることが可能である。
また、図示の実施形態では、主として上顎側にプレートを固定する態様を説明しているが、下顎側にプレートを固定することも可能である。
本発明のプレートの第1実施形態の一実施例を示す平面図。 図1のX1‐X1断面図。 図1のX2‐X2断面図。 本発明のプレートの第2実施形態に係る部分断面図。 本発明のプレートの第3実施形態に係る部分断面図。 本発明のプレートの第4実施形態に係る部分断面図。 本発明のプレートの第5実施形態に係る部分断面図。 本発明のプレートの第6実施形態に係る部分断面図。 本発明のプレートの第7実施形態に係る部分断面図。 本発明のスクリューの第1実施形態を示す側面図。 本発明のスクリューの第2実施形態を示す側面図。 本発明のスクリューの第3実施形態を示す側面図。 本発明のスクリューの第4実施形態を示す部分側面図。 本発明のスクリューの第5実施形態を示す部分側面図。 上顎部の歯列を示した平面図。 本発明のプレートの第1実施形態の正面図。 本発明のプレートを上顎部に配置する場合にプレートを上顎部の湾曲に沿わせて曲げた状態を示す図。 本発明のプレートを上顎部に配置し、プレートとバンドとを接合する状態を示した状態図。 本発明の実施形態に係り、プレートの端部の余分な部分を排除する切断位置を示した上面図。 プレートの実施形態をバンドと接合した状態を示す正面図。 図20に対応する平面図。 プレートの実施形態とバンドとを接合したインプラントをスクリューで上顎部の当該治療歯に取付ける状態を示す正面図。 プレートの第1実施形態をスクリューの第1実施形態で上顎部に取付けた際の取付け部の拡大断面図。 図22に対応する平面図。 プレートの第1実施形態をスクリューの第2実施形態で上顎部に取付けた際の取付け部の拡大断面図。 プレートの実施形態において中央取付け部の1箇所の取付け座を切断して用いる際の切断箇所を示した平面図。 プレートの実施形態において中央取付け部の1箇所の取付け座を切断して歯科矯正を行っている状態を示した状態図。 本発明のプレートの第8実施形態を示す平面図。 プレートの第8実施形態を用いて歯科矯正を行っている状態を示した状態図。 プレートの第4実施形態をスクリューの第5実施形態で上顎部に取付けた際の取付け部の拡大断面図。 プレートの第1実施形態の他の実施例を示す平面図。 プレートの第1実施形態の別の実施例を示す平面図。 スクリューの第6実施形態の側面図。 スクリューの第7実施形態の側面図。 スクリューの第8実施形態の側面図。 スクリューの第9実施形態の側面図。 スクリューの第10実施形態の側面図。 スクリューの第11実施形態の側面図。 本発明のプレートの第8実施形態を下顎側に取り付ける状態を示す図。
符号の説明
1・・・プレート
2・・・スクリュー
3・・・樹脂
4・・・上顎
5・・・歯列
6・・・模型
7・・・バンド
11・・・軸部
12・・・貫通孔
13・・・第1の取付け座
14・・・第2の取付け座
15・・・括れ部
16・・・貫通孔
17、18・・・接合部
21・・・軸部
22・・・テーパ状頭部
23・・・雄ねじ
24・・・条列部分
25・・・非ねじ部分
26・・・ヘッド

Claims (6)

  1. 口蓋を横断する様に配置される歯科矯正用インプラントのプレートにおいて、全体が板状に形成されており、口蓋の正中線に対応する箇所及び/又は当該箇所よりも口蓋の前後方向へ偏奇した位置に貫通孔が形成され、該貫通孔には雌ネジが形成され、長手方向両端部は切断可能に構成され且つ歯を固定するためのバンドと接続可能に構成されていることを特徴とする歯科矯正用インプラントのプレート。
  2. 左右の歯列と接続される様に上顎側或いは下顎側で配置される歯科矯正用インプラントのプレートにおいて、全体がU字状に形成されており、正中線に対応する箇所及び/又は当該箇所よりも上顎或いは下顎の前後方向へ偏奇した位置に貫通孔が形成され、該貫通孔には雌ネジが形成され、U字状の両端部は切断可能に構成され且つ歯を固定するためのバンドと接続可能に構成されていることを特徴とする歯科矯正用インプラントのプレート。
  3. 歯科矯正用インプラントのプレート固定用スクリューにおいて、上顎骨或いは下顎骨に侵入可能な程度に硬く且つ上顎骨或いは下顎骨中で固定可能な材質で形成されており、先端側は尖っており且つスレッドが形成されており、ヘッド部分にも雄ネジが形成されており、ヘッド部分に形成された雄ネジは歯科矯正用インプラントのプレートに形成された貫通孔の雌ネジと螺合可能に構成されていることを特徴とする歯科矯正用インプラントのプレート固定用スクリュー。
  4. 前記スレッドと雄ネジとの間の領域に、ネジ山或いはスレッドの何れもが形成されていない非ネジ部分を設け、該非ネジ部分の軸線方向長さは口内の粘膜の厚さ以上に設定されている請求項3の歯科矯正用インプラントのプレート固定用スクリュー。
  5. 口蓋を横断する様に配置されるプレートと、該プレートを固定するためのスクリューとを有しており、前記プレートは全体が板状に形成されており、口蓋の正中線に対応する箇所及び/又は当該箇所よりも口蓋の前後方向へ偏奇した位置に貫通孔が形成され、該貫通孔には雌ネジが形成され、長手方向両端部は切断可能に構成され且つ歯を固定するためのバンドと接続可能に構成されており、前記スクリューは上顎骨に侵入可能な程度に硬く且つ上顎骨中で固定可能な材質で形成されており、先端側は尖っており且つスレッドが形成されており、ヘッド部分にも雄ネジが形成されており、ヘッド部分に形成された雄ネジは前記プレートの貫通孔に形成された雌ネジと螺合可能であり、プレートの貫通孔にスクリューを回転しつつ挿入することによりプレートが口蓋内で固定される様に構成されていることを特徴とする歯科矯正用インプラント。
  6. 上顎側或いは下顎側に配置されるプレートと、該プレートを固定するためのスクリューとを有しており、前記プレートは全体がU字状に形成されており、正中線に対応する箇所及び/又は当該箇所よりも上顎或いは下顎の前後方向へ偏奇した位置に貫通孔が形成され、該貫通孔には雌ネジが形成され、U字状の両端部は切断可能に構成され且つ歯を固定するためのバンドと接続可能に構成されており、前記スクリューは上顎骨或いは下顎骨に侵入可能な程度に硬く且つ上顎骨或いは下顎骨中で固定可能な材質で形成されており、先端側は尖っており且つスレッドが形成されており、ヘッド部分にも雄ネジが形成されており、ヘッド部分に形成された雄ネジは前記プレートの貫通孔に形成された雌ネジと螺合可能であり、プレートの貫通孔にスクリューを回転しつつ挿入することによりプレートが上顎側或いは下顎側で固定される様に構成されていることを特徴とする歯科矯正用インプラント。
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