JP6378541B2 - 歯科インプラントシステム - Google Patents

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Description

本発明は、歯科インプラントに関し、詳しくは、1本の歯に対して、複数のインプラント体が用いられる歯科インプラントシステムに関する。
従来から、天然歯を喪失した場合に、その喪失した箇所の顎骨に人工的な歯根(インプラント体)を埋め込んで、この人工歯根を土台として、この上に義歯を取り付ける歯科インプラント治療が知られている。
現在実施されている歯科インプラント治療は、外科的に顎骨(歯槽骨)上の歯肉を切除した後、予め検査して得られたサイズのインプラント体を顎骨に埋入し、その後3ヶ月〜6ヶ月の期間を待って、インプラント体と顎骨が結合(オッセオインテグレーション)するのを待つ必要がある。そして、顎骨と結合したインプラント体に、アバットメント体と呼ばれる台座と取り付け、このアバットメント体に、予め所定のサイズに成形された義歯を取り付けるといった手順で施術されている。
歯科インプラント治療は、これらの手順に従って施術されるため、治療期間として6ヶ月〜1年間を要するのが一般的である。
また、患者によっては、特に上顎骨への施術について、インプラント体を埋入するために必要な骨量(特に骨の厚さ)が不足している場合がある。かかる場合には、先ず、顎骨に対して、骨再生誘導法(GBR法)、リッジエクスパンジョン、ソケットリフト、サイナスリフト等の補助手術を施し、必要な骨量を形成した上で、上記歯科インプラント治療を行うことになり、更に数ヶ月の治療期間を要する。
上記のような補助手術を要しない歯科インプラント治療について、特許文献1に記載の技術が提案されている。
特許文献1に記載の技術は、「歯根として上顎臼歯部の歯槽骨に埋入されて固定され、かつ脚構造を成す3本の脚部インプラント体と、該脚部インプラント体が移動自在に挿入されるために、前記脚部インプラント体の外径より大きい内径の維持孔が設けられ、該維持孔に挿入された前記各脚部インプラント体をまとめる機能を有する歯根台座部と、該歯根台座部と連結され、歯冠を装填するための支台であるアバットメントとを含む複合構造を有する歯科コンポーネントインプラント」である。
これを要約すると、歯根として歯槽骨に埋入されるインプラント体が3本であり、この3本のインプラント体を歯根台座部でまとめ、これらにアバットメントを加えた複合構造を有する歯科コンポーネントインプラントである。
この技術によれば、「上顎骨や下顎骨の形状、また下顎骨の下部に走っている下歯槽神経の位置に関係なく埋入可能であり、かつ複数の脚部インプラント体により歯根台座部を支持することにより噛み合う際の荷重が各脚部インプラント体に分散して偏った応力の集中を避ける共に当該荷重がアバットメントの長軸方向に加わることでインプラント全体の寿命が長くなる。これにより、骨増量などの骨再生誘導法による付加的手術も不要となり、骨不足、埋入不適症例へのインプラント埋入術の応用が可能となる。」といった効果が得られる。
しかし、特許文献1に記載の技術では、骨不足や埋入不適症例への骨再生誘導法等による補助手術は不要になるが、インプラント体と顎骨との結合に要する期間は必要であり、
やはり治療期間として6ヶ月〜1年間を要するといった問題があった。
一方で、インプラント体と顎骨との結合に要する期間を要しない歯科インプラント治療について、特許文献2に記載の技術が提案されている。
特許文献2に記載の技術は、「歯槽骨のうち口腔側に臨む上部歯槽骨に打ち込まれる抜け止め軸と、該抜け止め軸を下端に一体に突設しており、かつ上部には義歯が装着されるアバットメントとを備えた義歯固定装置」であり、「抜け止め軸が複数本からなり、これらの先端および外周の長手方向の複数箇所に抜け止め用の返り突起を有する抜け止め軸」も提案されている。
これらの技術によれば、「従来のようにインプラント材と歯槽骨がくっつく数ヶ月の期間を待つことなく、直ぐにアバットメントを上部歯槽骨に取り付けることができる。」と共に、「抜け止め軸を、これの先端および外周の長手方向の複数箇所に抜け止め用の返り突起を有するものとしたので、上記抜け止め軸の歯槽骨への打ち込みを容易化でき、さらに抜け止め軸によるアバットメントの歯槽骨における結着力を十分に高めることができる」といった効果が得られる。
しかし、特許文献2に記載の技術では、アバットメントに設けられた抜け止め軸を、歯槽骨に余程深く打ち込まなければ固定されず、この抜け止め軸に返り突起を設けたとしても、抜け難さは多少増すものの、ハンマーなどを用いて歯槽骨に強く打ち込まなければならず、固定が不十分な上に骨への負担が大きいといった問題があった。
また、骨への負担の軽減を課題とした技術も提案されている。
特許文献3に記載の技術は、「骨内にインプラントのボディ部を植立し、骨上にインプラントのヘッド部を突出させる歯科用インプラントで、このインプラントを2つのインプラントのそれぞれのヘッド部の1つの面を合掌させ、その時にインプラントのボディ部が骨内で八の字の形になるようにしたもの」である。
この技術によれば、「熟練を要することなくインプラントを植立する箇所の骨を必要量だけ除去し、インプラントを必要以上に沈下させることなくインプラント体を容易に埋植することで初期固定を確実にし、その後の咬合圧によるインプラントへの垂直方向へかかる力を緩和することでインプラントの動揺、沈下を防ぎ長期に口腔内で機能する確立の高いインプラントを提供できる」といった効果が得られる。
しかし、特許文献3に記載の技術では、インプラントのボディ部を植立させるための溝を掘削するために、専用の円形切削器具を用いなければならない。また、顎骨に溝を掘削するという作業は、歯科医師にとって経験のない作業であることから、極めて困難であるという問題があった。更に、この技術でもインプラント体と顎骨との結合に要する期間は必要であり、やはり治療期間として長期間を要するといった問題があった。
特許第4226609号公報 特開平8−196547公報 特開2010−063854
そこで、本発明の課題は、上記背景技術のようなインプラント体と顎骨との結合期間を必要とせず、顎骨の骨量や厚さが少ない患者にも施術でき、多くの患者の治療期間及び治
療回数を短縮することができると共に、顎骨への影響を最小限に止めることで、患者の精神的及び身体的負担を軽減することができる歯科インプラントシステムを提供することにある。
上記本発明の課題は、下記の手段により達成される。
1.軸部を有する少なくとも2つのインプラント体が対を成し、
各インプラント体の軸部に、顎骨に穿設された掛穴に引掛けられる掛部が設けられ、
この掛部は、前記軸部に対して屈折されており、
各インプラント体が顎骨に引掛けられる際に、前記掛部の先端部が、互いに内側に向かって相対向するように配置される構成であり、
かつ、インプラント体同士を固定するための固定手段が設けられている構成であり、
前記固定手段が、インプラント体の軸部に設けられており、
この固定手段が、それぞれのインプラント体の軸部に各々連通される孔部と、この連通された孔部に挿通させる固定部材とを有しており、
この固定手段によって、それぞれのインプラント体の軸部同士が固定される構成であることを特徴とする歯科インプラントシステム。
2.掛部が、くの字形状であることを特徴とする前記1に記載の歯科インプラントシステム。
3.掛部が、先端部と他の部分との間に段部が設けられ、先端部が他の部分よりも小径であることを特徴とする前記1又は2に記載の歯科インプラントシステム。
.義歯が装着される台座となるアバットメント体を有し、
前記アバットメント体の側面には、それぞれのインプラント体の軸部に各々連通される孔部と共に、固定部材が挿通される側面孔部が設けられ、
複数のインプラント体の軸部が固定される構成であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
前記1に示す発明によれば、インプラント体に設けられた掛部を、顎骨に穿設された掛穴に引掛けることによって、インプラント体を顎骨に取り付けることができる。この取り付け手段によって、1本の歯に対して複数のインプラント体を顎骨に取り付け、これらのインプラント体を一体に結合すれば、複数のインプラント体が顎骨に固定される。
インプラント体に設けられた掛部は、例えば、軸部の端部を屈折させたように、軸部に対して屈折して設けられ、この掛部を、同じく軸部の方向に対して屈折した方向に穿設された掛穴に引掛けるので、軸部方向には抜けることがない。更に、各インプラント体は、顎骨に引掛けられる際に、掛部の屈折方向が互いに内側に向かって相対向するように配置される構成である。各インプラント体を一体に結合すれば、掛部の屈折方向にも抜けることがないばかりでなく、顎骨を挟み込むように締結でき、極めて強固に固定できる。
従来のインプラント治療とは異なり、インプラント体を顎骨にねじ込む等して深く埋入させるのではなく、顎骨に浅く穿設された掛穴に、掛部を引掛ける構成であるため、顎骨の骨量や厚さが少ない場合であっても、補助手術等をすることなく施術することができる。また、インプラント体を深く埋入させることによる顎骨への損傷等の影響を最小限に止
めることができる。
かかる構成の歯科インプラントシステムであれば、インプラント体を顎骨に引掛け、各インプラント体を一体に結合するだけで、一体に結合されたインプラント体が顎骨に固定されるので、従来のインプラント治療のように、インプラント体と顎骨とが結合する期間が不要であり、治療期間及び治療回数を短縮することができる。また、顎骨の骨量や厚さが少ない患者にも施術でき、補助手術による治療期間の延長を避けることもできる。
更に、掛部は、注射針程度の細さで形成することができ、同程度の細さの歯科用ドリルで顎骨に掛穴を設け、この掛穴にインプラント体の掛部を取り付けることができるので、顎骨を覆う歯肉を剥離しなくても施術することができ、歯肉の出血を最小限に抑えることができる。これにより、治療時間が短縮でき、顎骨と歯肉に対する損傷を最小限に止めた上で強固に固定することができる。
即ち、本発明に係る歯科インプラントシステムは、インプラント体が顎骨に融合される従来のインプラント治療とは根本的に異なるため、顎骨の骨量等を問わず、多くの患者の治療期間及び治療回数を短縮することができると共に、顎骨への影響を最小限に止めることで、患者の精神的及び身体的負担を軽減した上で、2つのインプラント体で挟持する態様によって強固に固定することができる歯科インプラントシステムを提供することができる。
更にまた、前記1に示す発明によれば、2つのインプラント体を固定するための固定手段として、それぞれの軸部に、各々連通される孔部が設けられ、この2つのインプラント体の軸部が配置された後に、この連通された孔部に固定部材を挿通させることによって2
つの軸部が固定される構成が採用されている。これにより、各軸部には孔部を設けるだけでよく、加工が容易であり、2つのインプラント体の軸部を固定する際も、連通される孔部に固定部材を挿通させるだけでよく、施術が簡単でありながら確実に固定することができる。
前記2に示す発明によれば、インプラント体の掛部が「く」の字形状に形成されていることで、2つ以上の軸部を接近させて配置・固定させることができる。
本発明に係る歯科インプラントシステムは、掛部の先端部が、互いに内側に向かって相対向するように配置される構成であるため、この掛部の各先端部が当接しないように配置するためには、それぞれの軸部が相当の距離を隔てて配置されることになる。しかし、インプラント体の掛部を「く」の字形状にすることで、「く」の字の上部が、他のインプラント体に対して外側に向かった方向に屈折されるので、「く」の字の下部に位置する先端部を、軸部の軸方向の延長線上付近に位置させることができる。これにより、各インプラント体は、軸部を接近させて配置することができ、これらの軸部を固定することも容易になる。
また、顎骨に進入される部分(「く」の字の下部の一部)と軸部との間に、「く」の字の上部が介在するので、軸部の直下に当たる部分に空隙が設けられ、この箇所の歯肉がインプラント体で圧迫されることを防止・抑制でき、この箇所の歯肉の血行を維持することができる。これにより、歯肉を含む口腔全体に対する影響を、最小限に止めることができる。
前記3に示す発明によれば、掛部の先端部と他の部分との間に段部が設けられ、先端部が他の部分よりも小径に形成されていることで、掛部の掛穴への進入深度を一定にすることができる。詳述すると、先ず、顎骨に設けられる掛穴について、掛部の先端部と略同径のガイドドリルで顎骨を穿設し、この穴の一部を、先端部以外の部分と略同径のインプラントドリルで径を拡開して、2段階の径の掛穴を形成する。その後、2段階の径に穿設された掛穴に、掛部を挿入すると、掛穴の段差部分と掛部の段部の当接によって、掛部の掛穴への進入が止まるので、掛部の掛穴への進入深度を一定にすることができる。掛部の進入深度は、インプラントドリルによる径の拡開を行う深さによって調整することができる。
また、掛部の進入深度を一定に保てることから、前記2における掛部の「く」の字形状と相俟って、軸部の直下に当たる部分に空隙が設けられ、この箇所の歯肉がインプラント体で圧迫されずに済むので、この箇所の歯肉の血行を維持することができる。これにより
、歯肉を含む口腔全体に対する影響を、最小限に止めることができる。
前記に示す発明によれば、インプラント体の軸部に設けられた孔部と、アバットメント体の側面に設けられた側面孔部とが、固定部材によって連通されるので、複数のインプラント体とアバットメント体とを一体的に固定することができる。
本発明に係る歯科インプラントシステムの一実施例を表す概略斜視図 本発明に係る歯科インプラントシステムの一実施例を表す分解構成図 インプラント体の掛部と歯肉と顎骨の位置付けを表す概略説明図 インプラント体の掛部に段部を設けたことによる効果を表す概略説明図 側面溝部と係止穴部が設けられたアバットメント体を表す概略斜視図 インプラント体を4本使用した実施例を表す概略斜視図 本発明の他の実施例を表す一部断面分解正面図 図7におけるアバットメント体の平面図 図7におけるインプラント体の掛部を省略した平面図 本発明の他の実施例を表す一部断面正面図 図10に表す歯科インプラントシステムのうちインプラント体の掛部を省略した平面図 本発明を総入れ歯に応用した例を表す概略説明図 本発明を歯科ブリッジに応用した例を表す概略説明図
参考発明に係る歯科インプラントシステムの一実施例を表す分解説明図 参考発明に係るインプラント体の一例を表す斜視図 参考発明に係るインプラント体の他の例を表す斜視図 参考発明に係る2対のインプラント体を使用した例において、インプラント体を掛部側から観察した態様を表す概略図 参考発明に係る軸固定部が設けられたインプラント体の一例を表す斜視図 参考発明に係る凸部が設けられたインプラント体の一例を表す斜視図 参考発明に係る凸部が設けられたインプラント体の他の例を表す斜視図 参考発明に係る枢支部が設けられたインプラント体の一例を表す斜視図 参考発明に係るアバットメント体の一例を表す斜視図 参考発明に係る2つのインプラント体を結合させるアバットメント体の例を表す斜視図 参考発明に係る3つのインプラント体を結合させるアバットメント体の例を表す斜視図 参考発明に係る4つのインプラント体を結合させるアバットメント体の例を表す斜視図 参考発明に係る掛部と爪部の位置関係を表す概略図 参考発明に係る透孔が設けられたアバットメント体の一例を表す斜視図 参考発明に係る歯科インプラントシステムの取り付け手順の一例を説明する概略図 参考発明に係る歯科インプラントシステムが顎骨に取り付けられた状態の一例を表す概略図 参考発明に係る歯科インプラントシステムが顎骨に取り付けられた状態の他の例を表す概略図
本発明に係る歯科インプラントシステム1は、現在実施されている歯科インプラント治療とは異なり、インプラント体を顎骨に埋入した後のインプラント体と顎骨との結合(オッセオインテグレーション)が不要であり、治療期間及び治療回数を短縮することができる歯科インプラントシステムである。
以下、添付の図面に従って本発明を詳細に説明する。
図1に、本発明に係る歯科インプラントシステム(以下、単に「歯科インプラントシステム」ともいう。)1の一実施例を表す概略斜視図を示し、図2には、歯科インプラントシステム1の一実施例を表す分解構成図を示す。
歯科インプラントシステム1は、図1に示されるように、少なくとも2つのインプラント体2から構成され、アバットメント体3と固定部材4を加えた構成とすることができる。インプラント体2には、直接又はアバットメント体3を介して義歯5が取り付けられる。
本発明におけるインプラント体2は、顎骨6の特に歯槽骨に設けられた掛穴61に、引掛けて固定するためのものである。
インプラント体2は、図1に表わされるように、少なくとも軸部21及び掛部22から構成される。
軸部21は、顎骨6から天然歯が生える方向と同方向に立設され、顎骨6と義歯5とを直接又は後述するアバットメント体3を介して接続し、固定する箇所である。
軸部21の形状に限定はないが、例えば、図1に示されるように、円柱状に形成することができる。
軸部21のサイズに限定はないが、例えば、図1に示されるような円柱状に形成される場合には、長さが5mm〜15mm、直径が0.5mm〜3mmに形成されることが好ましく、直径については、0.7mm〜1.5mmに形成されるがより好ましい。
尚、軸部21の長さや径といったサイズについては、歯科医師が治療の現場において、患者に合わせて加工することができる。特に、歯科用ドリル等で削ることでサイズや形状を加工することができるので、インプラント体2は、必要なサイズよりもやや大きめであることが好ましい。
軸部21の側面には、図1に示されるように、軸方向と直交する方向に貫通した孔部21aが設けられる。
孔部21aは、共に使用される複数のインプラント体2の軸部21に連通するように形成され、棒体の如き固定部材4(後述する)を、各孔部21に閂状に挿通させることで、複数のインプラント体2の軸部21を固定することができる。
掛部22は、軸部21の顎骨6側に設けられ、顎骨6に穿設された掛穴61に引掛けられる箇所である。換言すれば、掛部22は、軸部21の軸方向から屈折した角度で穿設された掛穴61に、浅く進入して係止される箇所である。
掛部22は、図1に示されるように、軸部21の顎骨6側の端部に設けられ、軸部21の軸方向に対して屈折した方向に設けられ、柱状、棒状、先細り状又は針状の形態に形成される。
掛部22は、例えば、軸部21の端部を屈折させるようにして、軸部21に対して屈折して設けられ、この掛部22を、同じく軸部21の方向に対して屈折した方向に穿設された掛穴61に進入させて引掛けるので、軸部21の軸方向には抜けることがない。更に、各インプラント体2は、掛部22の先端部22cが互いに内側に向かって相対向するように取り付けられ、これらのインプラント体2が一体に結合されるので、掛部22の屈折方向にも抜けることがない。
掛部22の形状として、図1に示されるように、「く」の字形状を採用することができる。掛部22を「く」の字形状とした場合に、軸部21側を上部22aとし、上部22aから反対方向に屈折した箇所を下部22bという。また、下部22bの端部を、掛部22の先端部22cという。後述する掛穴61の形状との兼ね合いで、下部22bの先端部22c以外の部分は、円柱形状であることが好ましく、一方、先端部22cは、先細り円柱形状又は針状の形状であることが好ましい。
図1では、上部22aと下部22bの長さが略同じに表わされているが、これらの長さに限定はなく、一方が他方よりも長い構成であってもよい。
図1では、上部22aと下部22bの角度が、略90度に表わされているが、この角度に限定はないが、30度から150度の範囲内であること好ましく、60度から120度の範囲内であることがより好ましい。
また、図1では、軸部21に対する屈折角度についても、上部22aと下部22bそれぞれが約45度に表わされているが、この角度にも限定はなく、例えば、上部22aは、軸部21に対して30度の屈折し、下部22bは、軸部21に対して60度屈折し、上部22aと下部22bの角度が90度に形成される構成を採用することができる。
軸部21に対する掛部22の屈折角度は、掛部22の上部22a若しくは下部22b又は両方を屈曲させて調整できる構成であってもよい。これにより、掛部22の(軸部21に対する)屈折角度と、顎骨に穿設された掛穴61の(軸部21に対する)角度が一致していなくても、歯科医師が臨床現場において掛部22の屈折角度を調整し、掛穴61の角度と合致させることができる。掛部22を屈曲させるには、歯科用ペンチ等の工具を使用して力を加えるか、掛部22を加熱して屈曲し易くする等の手段を挙げることができる。
また、掛部22は、強度を保つために、屈曲できない構成であってもよい。この場合、掛部22の屈曲角度が異なる複数のインプラント体2を予め用意しておき、掛穴61の角度に合致したものを選択して使用することができる。
掛部22を「く」の字形状に形成することによる効果を、図3に従って説明する。
歯科インプラントシステム1は、掛部22の先端部22cが、互いに内側に向かって相対向するように配置される構成であるため、この掛部22の各先端部22cが当接しないように配置するためには、それぞれの軸部21が相当の距離を隔てて配置されることになる。しかし、インプラント体2の掛部22を「く」の字形状にすることで、「く」の字の上部22aが、他のインプラント体2に対して外側に向かった方向に屈折されるので、「く」の字の下部22bに位置する先端部22cを、軸部21の軸方向の延長線上付近に位置させることができる。これにより、各インプラント体2は、軸部21を接近させて配置することができ、これらの軸部21を固定することも容易になる。
また、顎骨6に進入される掛部22の先端部22cと軸部21との間に、「く」の字の上部22aが介在するので、軸部21と顎骨6の間であって軸部21の直下に当たる部分に空隙Sが設けられ、この箇所の歯肉7がインプラント体2で圧迫されることを防止・抑制でき、この箇所の歯肉7の血行を維持することができる。これにより、歯肉7を含む口腔全体に対する影響を、最小限に止めることができる。
掛部22は、先端部22cと他の部分との間に段部22dが設けられ、先端部22cが他の部分よりも小径であることが好ましい。かかる構成について、図4に従って説明する。
図4は、掛部22を「く」の字形状とした場合の例であるため、先端部22cは、掛部22の下部22bに位置し、この下部22bに段部22dが設けられた構成である。
掛部22に段部22dを設け、先端部22cが他の部分よりも小径とすることで、顎骨6に穿設された掛穴61への進入深度を一定にすることができる。詳述すると、先ず、顎骨6に設けられる掛穴61について、掛部22の先端部22cと略同径の歯科用ドリル(例えば、ガイドドリル。)で顎骨6を穿設し、この穴の一部を、先端部以外の部分と略同径の歯科用ドリル(例えば、インプラントドリル。)で径を拡開して、2段階の径の掛穴61を形成する。この掛穴61に設けられた段差を掛穴段部62という。その後、掛穴段部62が設けられた掛穴61に、掛部22を挿入すると、掛穴段部62と掛部22の段部22dの当接によって、掛部22の掛穴61への進入が、掛部の段部22dで止まるので、掛部22の掛穴61への進入深度を一定にすることができる。掛部22の進入深度は、インプラントドリル等の歯科ドリルによる径の拡開を行う深さ、即ち、掛穴段部62が設けられる掛穴61における深さ位置によって調整することができる。
また、掛部22の進入深度を一定に保てることから、掛部を「く」の字形状とした効果と相俟って、軸部21の直下に当たる部分に空隙S(図3参照)が設けられ、この箇所の歯肉7がインプラント体2で圧迫されずに済むので、この箇所の歯肉7の血行を維持することができ、これにより、歯肉7を含む口腔全体に対する影響を、最小限に止めることができる。
掛部22のサイズに限定はないが、必要な強度と顎骨への影響を比較考量すると、長さが2mm〜8mm、径が2.5mm以下であることが好ましく、径について好ましくは2.0mm以下、特に1.5mm以下、就中1.0mm以下に形成する。また、掛部22に段部22dが設けられる構成では、先端部22cの径が、他の部分よりも0.1mm以上小さいことが好ましい。径が小さいものは、前歯ないし上顎への施術に適し、径が大きいものは奥歯ないし下顎への施術に適する。尚、掛部22の長さや径については、歯科医師が治療の現場において、患者に合わせて加工することができる。
掛部22を、注射針程度の直径(上記のとおり、例えば、最大径が2.5mm以下、好ましくは2.0mm以下、特に好ましくは1.5mm以下、就中1.0mm以下。)で、長さが5mm前後という極めて小さなサイズに止めることができるので、歯肉7を切開せずに、歯肉7の上から施術が可能であり、歯肉の外側からインプラント体2を顎骨5に取り付け可能であるため、患者の心身の苦痛・負担を軽減することができる。
また、掛部22の軸部21に対する屈折角度(掛部22が「く」の字形状である場合には、下部22bの軸部21に対する屈折角度)に限定はないが、10度〜60度の範囲であることが好ましく、30度〜50度の範囲であることがより好ましい。この屈折角度が小さいと、インプラント体2が軸方向へ離脱するおそれがあり、屈折角度が大きいと、掛部22(又は掛穴61)の上を覆う顎骨6の厚みが薄くなり、強い力が加わると当該部分が割れるおそれがあり、また掛部21の取り付けも掛穴61の穿設も困難になる。
インプラント体2を構成する各部は、十分な強度と硬度を有する材料で、一体に成形されることが好ましい。用いられる材料に限定はなく、インプラント体の材料として公知・公用の材料を特別の制限なく採用することができるが、例えば、チタン又はこの合金等の金属の他、セラミックスやジルコニア等を挙げることができる。
次に、アバットメント体3について説明する。
アバットメント体3は、複数のインプラント体2の軸部21を固定させると共に、義歯5が装着される台座となるものである。
アバットメント体3は、図1に示されるように、インプラント体2の数に応じた軸部挿通孔部31が設けられている。この軸部挿通孔部31は、インプラント体2の軸部21の形状に対応したもので、それぞれの軸部挿通孔部31に、インプラント体2のそれぞれの軸部21が挿通される。軸部挿通孔部31の形状を、軸部21の形状と予め一致させておくことで、複数のインプラント体2は、それぞれの軸部21が軸部挿通孔部31に挿通されることで結合ないし固定される。
図1は、2つのインプラント体2が挿通される構成であるが、3つのインプラント体2が挿通される場合には、軸部挿通孔部31が3つ設けられ、4つのインプラント体2が挿通される場合には、軸部挿通孔部31が4つ設けられる。尚、軸部挿通孔部31は、挿通される軸部21よりも大きめに形成しておき、軸部21との間に生じた隙間を、歯科用セメント等で埋めて使用することもできる。尚また、図1における態様は、平面から底面まで貫通している孔であるが、平面が閉鎖された有底の穴状の態様を採用することもできる(図示しない)。
アバットメント体3は、図1に表わされる態様の他、中空の角柱形状に形成することができる(図示しない)。この場合、中空部には、複数のインプラント体2の軸部21が挿通される。中空部31aの形状を、任意の数のインプラント体2の軸部21の形状と予め一致させておくことで、中空部に挿通された複数の軸部21は、この中空部内で密状態に収容され、束ねられるような態様で結合ないし固定される。また、中空部を、挿通される軸部21よりも大きめに形成しておき、軸部21との間に生じた隙間を、歯科用セメント等で埋めて使用することもできる。
アバットメント体3の側面には、図1に示されるように、軸部挿通孔部31とは直交する方向に貫通した側面孔部32が設けられる。
側面孔部32は、軸部挿通孔部31に相通されるインプラント体2の軸部21に設けられた孔部21aと、連通するように形成され、棒体の如き固定部材4(後述する)を、各孔部21と側面孔部32に閂状に挿通させることで、複数のインプラント体2の軸部21とアバットメント体3とを固定することができる。
アバットメント体3の側面には、図5に示されるように、相対向する側面溝部33を設けることができる(図中において裏面に形成される他方の側面溝部33は図示しない。)。この側面溝部33を設けることによって、顎骨6に設置されたインプラント体2にアバットメント体3を取り付けた後、側面溝部33に周囲の歯肉7が徐々に入り込み、アバットメント体3と歯肉7の接着を強固にすることができる。また、アバットメント体3を包み込む歯肉7の量を増加させることによって、歯肉7の血行を確保することができる。
尚、この側面溝部33は、例えば、下記係止穴部34に向かって次第に浅い深さとなる傾斜切除溝の形状であることが好ましい。
側面溝部33は、片方の側面のみに設けてもよいし、上記のように相対向する両側面に1つずつ設けてもよく、更に、片方又は両方の側面にそれぞれ複数個設けてもよい。
アバットメント体3の平面(インプラント体2への取り付ける際に、顎骨7とは反対側に位置する面)には、図5に示されるように、係止穴部34を設けることができる。この係止穴部34は、他の部材を取り付ける際に利用することができ、例えば、アバットメント体3の高さを延長したい場合に、延長部材を取り付けることができ、また、義歯5を取り付ける際に利用することもできる。
係止穴部34は、側面孔部32に貫通しない深さで設けられることが好ましい。また、係止穴部34には、雌ネジを設けてもよい(図示しない)。
アバットメント体3は、十分な強度と硬度を有する材料で、一体に成形されることが好ましい。用いられる材料に限定はなく、アバットメント体の材料として公知・公用の材料を特別の制限なく採用することができるが、例えば、チタン又はこの合金等の金属の他、セラミックスやジルコニア等を挙げることができる。
本発明において、インプラント体2だけでは、義歯5を顎骨6に固定するために必要な強度を得ることができない場合でも、複数のインプラント体2にアバットメント体3を結合させることによって、必要十分な強度を得ることができる。
図1に示される固定部材4は、複数のインプラント体2の軸部21にそれぞれ設けられた孔部21aに閂状に挿通し、複数のインプラント体2を1つに固定するためのものである。また、固定部材4は、複数のインプラント体2の軸部21にそれぞれ設けられた孔部21aと、アバットメント体3に設けられた側面孔部32に閂状に挿通し、複数のインプラント体2とアバットメント体3とを固定するためのものである。
複数のインプラント体2を固定する手段として、それぞれのインプラント体2の軸部21に設けられた孔部21aに、固定部材4を閂状に挿通させる手段を挙げることができる。固定部材4が孔部21aから脱落しないように、挿通後に歯科用セメント等で周辺を固めることが好ましい。また、複数のインプラント体2の軸部21に、アバットメント体3を被冠させる手段を挙げることもできる。更に、これらの手段を掛け合わせて、インプラント体2の軸部21にアバットメント体3を被冠させ、これらに連通して設けられた孔部21a及び側面孔部32に、固定部材4を閂状に挿通させる手段を挙げることができる。
尚、複数のインプラント体2を固定する手段は、上記固定部材4をしなくてもよく、歯科用セメント等を使用して接着固定してもよい。
固定部材4の形状に限定はないが、図1に示されるような円柱その他の棒体に形成することを例示することができる。
固定部材4は、十分な強度と硬度を有する材料で、一体に成形されることが好ましい。用いられる材料に限定はなく、インプラント体やアバットメント体の材料と同様に、公知・公用の材料を特別の制限なく採用することができるが、例えば、チタン又はこの合金等の金属の他、セラミックスやジルコニア等を挙げることができる。
本発明では、少なくとも2つのインプラント体2が使用される。図1に表わされる実施例では、2つのインプラント体2を使用しているが、1本の歯当たり3つ以上のインプラント体2を使用することができ、特に奥歯など、顎骨6に十分な骨量があり、強度が必要な箇所には、4〜6つのインプラント体2を使用することができる。
1本の歯に対し、4つのインプラント体2を使用する場合の実施例を、図6に従って説明する。
インプラント体2は、それぞれの掛部22の先端部22cが、互いに内側に向かって相対向するように配置された2つのインプラント体2を対として、図6に示すように、この対を2組並列させる。
アバットメント体3は、軸部挿通孔部31が4つ設けられたものが使用され、各軸部挿通孔部31に軸部21が1本ずつ挿通される。側面孔部32は、軸部挿通孔部31に直交する方向に貫通したものが、2組設けられる。
固定部材4(図6において図示を省略する。)は、2本使用される。4つのインプラント体2にアバットメント体3が取り付けられた後、2つのインプラント体2の孔部21aとアバットメント体3の側面孔部32に、1本の固定部材4を連通させる。同じく、他方の2つのインプラント体2の孔部21aとアバットメント体3の側面孔部32に、1本の固定部材4を連通させる。これにより、4つのインプラント体2と1つのアバットメント体3は、2本の固定部材4によって固定される。
図7〜図11に、本発明の他の実施例を示す。図7には、アバットメント体3を表すA−A断面図と、インプラント体2を表す正面図を示す。図8には、図7におけるアバットメント体3の平面図、図9には、図7におけるインプラント体2のうち掛部22の記載を省略した平面図を示す。図10には、図7におけるインプラント体2とアバットメント体3を結合・固定して形成された歯科インプラントシステム1の一部断面正面図を示す。図11には、図10における歯科インプラントシステム1のうち掛部22の記載を省略した平面図を示す。
図7〜図11に示される実施例は、インプラント体2の軸部が、分割円柱形状に形成され(この軸部を、分割円柱軸部23という。)、2つのインプラント体2の分割円柱軸部23を接合させることで、1つの接合円柱軸部24が形成される構成である。詳述すると、軸方向に円柱を分割した形状である分割円柱形状にインプラント体2の分割円柱軸部23を形成し、この2つの分割円柱軸部23を接合させると、1つの円柱(接合円柱軸部24)が形成される構成であり、2つのインプラント体2の接合によって1つの円柱形状の軸部を形成することができる。
この接合円柱軸部24が、1つの円柱として形成されることによって、これに被覆するアバットメント体3や義歯5の加工及び取り付け(固定)が容易となり、アバットメント体3等の生産コストを下げられると共に、施術時間を短縮することができる。
図7〜図11に示される実施例は、2つのインプラント体2の分割円柱軸部23を係止するために、2つの分割円柱軸部23に各々連通される孔部23aが設けられ、この2つの分割円柱軸部23が接合された後に、この連通された孔部23aに固定部材4(図7〜図11には図示しない。)を挿通させることによって、2つのインプラント体2の分割円柱軸部23が係止される構成である。かかる構成は、図1に示される実施例と同様である。
2つのインプラント体2の分割円柱軸部23を係止するための他の手段として、一方のインプラント体2の分割円柱軸部23には、凸部等の係止部(図示しない。)が設けられ、他方のインプラント体2の分割円柱軸部23には、凹部等の被係止部(図示しない。)が設けられ、この係止部と被係止部が係止や嵌合等されることによって、2つのインプラント体2の分割円柱軸部23が係止され、接合円柱軸部24が形成される構成を挙げることができる。
また、図7〜図11に示される実施例は、接合円柱軸部24の外周に雄ネジ25が設けられ、アバットメント体3に、接合円柱軸部24の外周に設けられた雄ネジ25に対応した雌ネジ部35が設けられた構成である。この構成により、インプラント体2の接合円柱軸部24に、アバットメント体3を螺合により結合することができ、確実に固定することができる。尚、図7等におけるアバットメント体3は、軸部挿通孔部31が有底の穴状に表わされているが、平面から底面まで貫通した孔状の形態であってもよい。
歯科インプラントシステム1は、総入れ歯に応用することができる。
図12に示されるように、少なくとも2つが対になったインプラント体2とアバットメント体3を、適当な間隔を空けながら顎骨6に取り付け、ここに一方の奥歯から他方の奥歯まで連設された義歯5を取り付けることで、歯科インプラントシステム1は総入れ歯の
ように使用することができる。尚、図12においては、第3大臼歯(親知らず)に相当する歯の記載を省略しているが、この第3大臼歯に相当する位置に、歯科インプラントシステム1を取り付けることもできる。
また、歯科用インプラントシステム1は、部分入れ歯又は歯科ブリッジに応用することができる。
図13に示されるように、少なくとも2つが対になったインプラント体2とアバットメント体3を、天然歯が欠損した箇所の顎骨6の両端に取り付け、ここに、欠損した分の歯が連設された義歯5を取り付けることで、歯科インプラントシステム1は部分入れ歯又は歯科ブリッジのように使用することができる。尚、図13においては、第3大臼歯(親知らず)に相当する歯の記載を省略しているが、この第3大臼歯に相当する位置に、歯科インプラントシステム1を取り付けることもできる。
続いて、歯科インプラントシステム1を用いた治療手順について説明する。
ここでは、図1に示されるように、インプラント体2を2つ、アバットメント体3を1つ、固定部材4を1つ用いた場合の手順を説明する。
先ず、歯科用ドリルを使用して顎骨6の歯槽骨に2つの掛穴61を穿設する。この際に、顎骨6を覆う歯肉7を切開し、顎骨6を露出させてから掛穴61を穿設してもよいし、歯肉7を切開しないで、歯肉7の上から歯科用ドリルを刺すように挿入し、顎骨6に掛穴61を穿設することも可能である。インプラント体2の掛部22は、直径で3mm以下という注射針の如き極細部材であり、掛穴61も略同径の穴を穿設すればよく、歯肉7を切開しないで、歯肉7に歯科用ドリルを刺すように挿入して顎骨6まで到達し、掛穴61を穿設することが可能である。
2つの掛穴61は、図1に示されるように、互いに内側に向かって相対抗する方向に穿設され、歯列の外側から内側に向けて、又は歯列の内側から外側に向けて穿設されることが好ましい。歯列の内側から外側に向けての方向又はその反対方向から穿設することで、隣接する歯が邪魔にならず、作業が容易となるからである。
掛穴61は、インプラント体2における掛部22の屈折角度と略同一となる角度に穿設することが好ましい。尚、歯肉7を切開する場合は、掛穴61を穿設する前に、顎骨6の歯槽骨の表面に球冠状等の窪みを設けておけば、掛穴61を任意の角度に穿設し易い。
掛穴61の穿設手段について詳述すると、先ず、掛部22の先端部22cと略同径のガイドドリルを用いて顎骨6を穿設し、この穿設した穴の一部を、先端部22c以外の部分と略同径のインプラントドリルを用いて径を拡開し、掛穴段部62を有する2段階の径の掛穴61を形成する。ガイドドリルでは、掛部22の下部22bの長さと同程度の深さ又はそれ以上の深さまで穿設することが好ましく、インプラントドリルでは、下部22bの先端部22c以外の部分の長さと同程度の深さ又はそれ以下の深さまで径の拡開することが好ましい。
次に、一方の掛穴61に、インプラント体2の掛部22を挿入し、引掛けるようにして取り付ける。挿入していくと、掛部22の段部22dと、掛穴61の掛穴段部62が当接し、それ以上深くは挿入されない(図4参照)。
この際、掛穴61の屈折角度に合わせて、この屈曲角度と掛部22の屈折角度が合致するインプラント体2を選択して使用する。インプラント体2の掛部22が屈曲可能な構成の場合は、掛部22を掛穴61の屈折角度に合致させるように屈曲させて使用することができる。
続いて、他方の掛穴61にも同様に、インプラント体2の掛部22を取り付ける。
この際、2つのインプラント体2は、それぞれの掛部22が掛穴61に挿入される過程において、それぞれの軸部21が接近し、互いに寄せ合う格好となる。
尚、掛部22と掛穴61の大きさが合致しない場合には、治療現場において歯科用ドリル等を使用して、掛部22の先端部22cを短く又は細く加工してもよい。
次に、アバットメント体3をインプラント体2に被冠させる。具体的には、アバットメント体3に設けられた軸部挿通孔部31を、それぞれの軸部21に軸方向から被せるようにして挿通させる。この状態において、インプラント体2は、それぞれの軸部21が、アバットメント3の軸部挿通孔部31aに密状態で収容される。
次に、インプラント体2とアバットメント体3のそれぞれに設けられた孔部21aと側面孔部32に、固定部材4を閂状に連通させる。これにより、インプラント体2とアバットメント体3は固定される。
インプラント体2とアバットメント体3の間や、孔部21a又は側面孔部32と固定部材4との間に、隙間が生じる場合には、この隙間を歯科用セメント等で埋めることができ、インプラント体2、アバットメント体3及び固定部材4が隙間なく一体となって固定されることが好ましい。
最後に、インプラント体2、アバットメント体3及び固定部材4との結合体に、義歯5を被せる。この際、アバットメント体3を、義歯5に合わせて歯科用ドリル等で加工し、両者が嵌合するように形状を整えることができ、更には歯科用接着剤や歯科用セメント等を用いて、両者を接着固定してもよい。
本発明に係る歯科インプラントシステム1によれば、インプラント体2に設けられた掛部22を、顎骨6に穿設された掛穴61に引掛けることによって、インプラント体2を顎骨6に取り付けることができるので、従来のインプラント治療のように、インプラント体2と顎骨6とが結合する期間が不要であり、治療期間及び治療回数を短縮することができる。治療を急ぐ場合には、抜歯と同日にでも、顎骨6への掛穴61の穿設から、インプラント体2及びアバットメント体3の取り付けが可能である。患者に合った義歯5の製作が、同日中に可能であるならば、抜歯と同日に、治療を終えることができる。義歯5の完成が後日になる場合であっても、抜歯からインプラント体2等の取り付けと、義歯5の取り付けの2回の治療で終えることができる。
また、インプラント体2の掛部は、直径で3mm以下という注射針程度の極細部材であることから、掛穴61の穿設からインプラント体2の取り付けに至るまで、歯肉7を切開せずに、歯肉7の上から施術が可能であり、出血を最小限に抑えることができ、患者に与える心身の苦痛や負担を最小限に止めることができる。
更に、掛部22は、顎骨6に対して浅くかつ斜めに取り付けられるので、取り付け箇所の骨の厚さや骨量が最小限で足り、特に上顎など、従来のインプラント治療では、補助手術をしなければならなかった患者に対しても施術可能であり、この分の治療回数・時間を短縮することもできる。
本発明に係る歯科インプラントシステム1を使用すれば、顎骨6の骨量等を問わず、多くの患者の治療期間及び治療回数を短縮することができると共に、顎骨6や歯肉7といった口腔全体への影響を最小限に止めることで、患者の精神的及び身体的負担を軽減することができる歯科インプラント治療を提供することができる。
本発明の参考発明として、以下の構成を挙げることができる。尚、参考発明に係る各部名称は、本発明に係る各部名称とは必ずしも一致しないことがあり、同じ名称を用いていても、異なる箇所を指し、又は異なる構成や意味である場合がある。参考発明に係る図面は、図14から図30であり、数字の符号には、全て100番台が付され、ローマ字の符号には、全て「’(ダッシュ)」が付されている。
以下に掲げる参考発明の課題は、インプラント体と顎骨との結合期間を必要とせず、顎骨の骨量や厚さが少ない患者にも施術でき、多くの患者の治療期間及び治療回数を短縮することができると共に、顎骨への影響を最小限に止めることで、患者の精神的及び身体的負担を軽減することができる歯科インプラントシステムを提供することにある。
(1)1本の歯に対して、複数のインプラント体が用いられる歯科インプラントシステムにおいて、
各インプラント体の軸部に、顎骨に穿設された掛穴に引掛けられる掛部が設けられ、
この掛部は、前記軸部に対して屈折されており、
各インプラント体が、顎骨に引掛けられる際に、この掛部の屈折方向が、複数のインプラント体で異なることを特徴とする歯科インプラントシステム。
(2)2つのインプラント体が対を成し、
各インプラント体の掛部の屈折方向が、相対向するように配置される構成であることを特徴とする前記(1)に記載の歯科インプラントシステム。
(3)少なくとも2対のインプラント体から成り、
一方の対を成す2つのインプラント体について、各インプラント体の掛部の屈折方向が、互いに内側に向かって相対向するように配置され、
他方の対を成す2つのインプラント体について、各インプラント体の掛部の屈折方向が、互いに外側に向かって相対向するように配置される構成であることを特徴とする前記(2)に記載の歯科インプラントシステム。
(4)対を成す2つのインプラント体が、各軸部が交差するように配置され、該軸部が交差する位置で枢支される構成であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の歯科インプラントシステム。
(5)3つ以上のインプラント体が対を成し、
そのうちの少なくとも2つのインプラント体について、各インプラント体の掛部の屈折方向が、相対向するように配置されることを特徴とする前記(1)に記載の歯科インプラントシステム。
(6)3つ以上のインプラント体が対を成し、
そのうちの少なくとも2つのインプラント体が、各軸部が交差するように配置され、該軸部が交差する位置で枢支される構成であることを特徴とする前記(5)に記載の歯科インプラントシステム。
(7)インプラント体の軸部と掛部との間に、軸部に対する掛部の屈折角度を調整するための角度調整部が設けられることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
(8)インプラント体の軸部の基端部に、少なくとも掛部の屈折方向とは反対方向に突出した軸固定部が設けられることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
(9)インプラント体の軸部に、鍔状の凸部が設けられることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
(10)複数のインプラント体の軸部を結合させると共に、義歯が装着される台座となる
アバットメント体を有することを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
(11)アバットメント体の側面に、透孔が設けられることを特徴とする前記(10)に記載の歯科インプラントシステム。
(12)アバットメント体に、顎骨に埋入して固定されるための爪部が設けられることを特徴とする前記(10)又は(11)に記載の歯科インプラントシステム。
(13)アバットメント体に2つの爪部が設けられ、
アバットメント体によって2つのインプラント体の軸部が結合された状態において、
前記2つの爪部が、前記2つのインプラント体の掛部の基端部と、略等辺の四角形を形成する位置に形成されることを特徴とする前記(10)〜(12)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
(14)アバットメント体が、複数のインプラント体の軸部を束ねることで結合させる構成であることを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれに記載の歯科インプラントシステム。
(15)インプラント体の軸部及び角度調整部は、板状に形成され、
掛部は、柱状又は針状に形成されることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
(16)掛部が、直径0.5mm以上5mm以下の柱状体又は針状体であることを特徴とする前記(1)〜(15)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
(17)インプラント体を顎骨に埋入した後、インプラント体と顎骨との結合を要しないことを特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
前記(1)に示す発明によれば、インプラント体に設けられた掛部を、顎骨に穿設された掛穴に引掛けることによって、インプラント体を顎骨に取り付けることができる。この取り付け手段によって、1本の歯に対して複数のインプラント体を顎骨に取り付け、これらのインプラント体を歯科用セメント等によって一体に結合すれば、複数のインプラント体が顎骨に固定される。
インプラント体に設けられた掛部は、例えば、軸部の端部を屈折させたように、軸部に対して屈折して設けられ、この掛部を、同じく軸部の方向に対して屈折した方向に穿設された掛穴に引掛けるので、軸部方向には抜けることがない。更に、各インプラント体は、掛部の屈折方向が異なるように取り付けられ、これらのインプラント体が一体に結合されるので、掛部の屈折方向にも抜けることがない。
従来のインプラント治療とは異なり、インプラント体を顎骨にねじ込む等して深く埋入させるのではなく、顎骨に浅く穿設された掛穴に、掛部を引掛ける構成であるため、顎骨の骨量や厚さが少ない場合であっても、補助手術等をすることなく施術することができる。また、インプラント体を深く埋入させることによる顎骨への損傷等の影響を最小限に止めることができる。
かかる構成の歯科インプラントシステムであれば、インプラント体を顎骨に引掛け、各インプラント体を一体に結合するだけで、一体に結合されたインプラント体が顎骨に固定されるので、従来のインプラント治療のように、インプラント体と顎骨とが結合する期間
が不要であり、治療期間及び治療回数を短縮することができる。また、顎骨の骨量や厚さが少ない患者にも施術でき、補助手術による治療期間の延長を避けることもできる。
即ち、顎骨の骨量等を問わず、多くの患者の治療期間及び治療回数を短縮することができると共に、顎骨への影響を最小限に止めることで、患者の精神的及び身体的負担を軽減することができる歯科インプラントシステムを提供することができる。
前記(2)に示す発明によれば、2つのインプラント体の掛部の屈折方向が、相対抗するように配置することによって、各掛部が引掛けられる方向が反対になり、これらの2つのインプラント体が一体に結合されれば、一体に結合されたインプラント体が顎骨から外れることがなく固定される。
前記(3)に示す発明によれば、2対のインプラント体について、それぞれ内側に向かって相対向するものと、外側に向かって相対向するものを組み合わせることによって、掛部があらゆる方向に対して抜け難くなり、インプラント体の顎骨への固定がより強化される。
前記(4)に示す発明によれば、2つのインプラント体の各軸部が交差するように配置され、該軸部が交差する位置で枢支されるので、石吊り具の要領で、軸部に対して顎骨から引き抜かれる方向に力が加わると、掛部が顎骨を掴むように、内側に向かって力を加えるように働くので、軸部を引き抜こうとすればするほど、顎骨からインプラント体が抜け難くなる。
前記(5)に示す発明によれば、インプラント体が3つ以上使用される場合であっても、そのうちの少なくとも2つのインプラント体の掛部の屈折方向が、相対抗するように配置することによって、各掛部が引掛けられる方向が反対になり、これらの2つのインプラント体が一体に結合されれば、一体に結合されたインプラント体が顎骨から外れることがなく固定される。
前記(6)に示す発明によれば、インプラント体が3つ以上使用される場合であっても、そのうちの少なくとも2つのインプラント体の各軸部が交差するように配置され、該軸部が交差する位置で枢支されるので、石吊り具の要領で、軸部に対して顎骨から引き抜かれる方向に力が加わると、掛部が顎骨を掴むように、内側に向かって力を加えるように働くので、軸部を引き抜こうとすればするほど、顎骨が抜け難くなる。
前記(7)に示す発明によれば、インプラント体に設けられた角度調整部によって、掛部の軸部に対する屈折角度を調整することができ、掛部の屈折角度と、顎骨に穿設された掛穴の角度が一致していなくても、歯科医師が臨床現場において、これらの角度を調整し合致させることができる。
前記(8)に示す発明によれば、軸部の基端部に、少なくとも掛部の屈折方向とは反対方向に突出した軸固定部によって、この軸固定部が、顎骨の表面に当接し、顎骨に埋入された掛部と相俟って、顎骨に取り付けられた軸部が傾くことを防止・抑制することができる。
前記(9)に示す発明によれば、鍔状の凸部が設けられることで、歯科用セメント等を用いて、複数のインプラント体を結合・固定する場合に、用いられる歯科用セメントの移動を規制するので、結合・固定を強化することができる。
前記(10)に示す発明によれば、義歯が装着される台座となるアバットメント体が、複数のインプラント体の軸部を結合させるので、複数のインプラント体とアバットメント
体とで、義歯と装着させるための基礎を形成することができる。
前記(11)に示す発明によれば、アバットメント体の側面に、透孔が設けられることで、歯科用セメント等を用いてインプラント体とアバットメント体を結合・固定する場合に、インプラント体とアバットメント体の間に塗布されたセメントが、この透孔にも流入することで、インプラント体、アバットメント体及び歯科用セメントがより強固に結合・固定され、更に、この透孔からはみ出した歯科用セメントを簡単に除去することもできる。
前記(12)に示す発明によれば、アバットメント体に設けたれた爪部が、顎骨に埋入されるので、インプラント体と顎骨との固定に、アバットメント体と顎骨との固定も加わり、より強く固定させることができる。
前記(13)に示す発明によれば、アバットメント体に設けられた2つの爪部が、2つのインプラント体の掛部と、略等辺の四角形を形成する位置に形成されるので、2つのインプラント体とアバットメント体との結合体が、掛部の屈折方向のみならず、これと直交する方向に対しても強く固定される。
前記(14)に示す発明によれば、アバットメント体が、複数のインプラント体の軸部を束ねることで結合させるので、アバットメント体とインプラント体の取り付けが容易であり、かつ複数のインプラント体を確実に結合することもできる。
前記(15)に示す発明によれば、インプラント体の軸部及び角度調整部が板状に形成されるので、2つの板状の軸部を重ねることで、2つのインプラント体を相対向して配置することができる。また、掛部が柱状又は針状に形成されるので、顎骨に穿設する掛穴は、ドリル等によって容易に穿設できる丸穴でよい。このような態様にインプラント体を形成することによって、施術を容易にすることができる。
前記(16)に示す発明によれば、掛部を、直径0.5mm以上5mm以下の柱状体又は針状体に形成することで、顎部に設けられる掛穴もこれに対応するサイズを穿設すればよく、掛穴の穿設が容易であると共に、顎骨への損傷等の影響を最小限に止めることができる。
前記(17)に示す発明によれば、インプラント体を顎骨に埋入した後、インプラント体と顎骨との結合を要しない構成なので、治療期間及び治療回数を短縮することができる。
参考発明に係る歯科インプラントシステム101は、現在実施されている歯科インプラント治療とは異なり、インプラント体を顎骨に埋入した後のインプラント体と顎骨との結合(オッセオインテグレーション)が不要であり、治療期間及び治療回数を短縮することができる歯科インプラントシステムである。
以下、添付の図面に従って参考発明を詳細に説明する。
参考発明に係る歯科インプラントシステム101の一例として、図14に分解説明図を示す。
図14に示されるように、歯科インプラントシステム101は、少なくとも2つのインプラント体102から構成され、これに直接又はアバットメント体103を介して義歯104が取り付けられる。
参考発明におけるインプラント体102は、顎骨105の特に歯槽骨に設けられた掛穴151に、引掛けて固定するためのものである。
インプラント体102は、図15又は図16に表わされるように、少なくとも軸部121及び掛部122から構成され、角度調整部2又は位置決め部124を設けることができる。
図15は、軸部121及び角度調整部123を板状に形成した例であり、図16は、軸部121及び角度調整部123を角柱状に形成した例である。尚、軸部121及び角度調整部123の形状は、図15又は図16に表わされる形態に限定されるものではない。
軸部121は、顎骨105から自然歯が生える方向と同方向に立設され、顎骨105と義歯104とを直接又は後述するアバットメント体103を介して接続し、固定する箇所である。
軸部121の形状に限定はないが、例えば、図15に示されるように、板状に形成することもできるし、図16に示されるように、角柱状に形成することもできる。尚、軸部121の形状として、円柱状等の非角型を採用することもできるが、後述するように、参考発明に係る歯科インプラントシステム101は、2つ以上のインプラント体102を組み合わせて使用するため、この2つ以上のインプラント体102を所定の箇所に配置する際に、板状や角柱状のように側面に平面を有する形状の方が、平面同士を接して固定し易いという利点がある。
また、軸部121のサイズに限定はないが、例えば、図15に示されるように板状に形成される場合には、長さが5mm〜15mm、板の幅が2mm〜7mm、板の厚さが1mm〜2mmに形成することができ、図16に示されるように角柱状に形成される場合には、同じく長さが5mm〜15mm、対角線長が2mm〜3mm(奥歯用は4mm〜7mm)に形成することができる。
尚、軸部121の長さや径又は厚さについては、歯科医師が治療の現場において、患者に合わせて加工することができる。特に、歯科用ドリル等で削ることでサイズや形状を加工することができるので、インプラント体102は、必要なサイズよりもやや大きめであることが好ましい。
掛部122は、軸部121の顎骨105側に設けられ、顎骨105に穿設された掛穴151に引掛けられる箇所である。
掛部122は、図15又は図16に示されるように、軸部121の顎骨105側の端部に又は後述する角度調整部123を介して設けられ、軸部121の軸方向に対して屈折した方向に設けられ、柱状又は針状に形成される。
掛部122は、例えば、軸部121の端部を屈折させるようにして、軸部121に対して屈折して設けられ、この掛部122を、同じく軸部121の方向に対して屈折した方向に穿設された掛穴151に引掛けるので、軸部121の軸方向には抜けることがない。更に、各インプラント体102は、掛部122の屈折方向が異なるように取り付けられ、これらのインプラント体102が一体に結合されるので、掛部122の屈折方向にも抜けることがない。
特に、掛部122は、2つのインプラント体102が対を成す場合において、各インプラント体102の掛部122の屈折方向が、相対向するように配置されることが好ましい。具体的には、掛部122の屈折方向が、互いに内側に向かって向き合う格好で相対向するように配置されること(図14に示されるインプラント体102の配置方向を参照。)、又は、掛部122の屈折方向が、互いに外側に向かって相対向するように配置されることが好ましい。
3つ以上のインプラント体102が対を成す場合においても、そのうちの少なくとも2つのインプラント体102について、各インプラント体102の掛部122の屈折方向が、相対向するように配置されることが好ましい。
また、2つのインプラント体102が対を成す場合であって、少なくとも2対のインプラント体102から構成される場合は、一方の対を成す2つのインプラント体102について、各インプラント体102の掛部122の屈折方向が、互いに内側に向かって相対向するように配置され、他方の対を成す2つのインプラント体102について、各インプラント体102の掛部122の屈折方向が、互いに外側に向かって相対向するように配置される構成とすることが好ましい。
2つのインプラント体102が対を成す構成について、詳述する。
図17は、2対のインプラント体102から構成される場合において、掛部122側から軸部121側を臨む方向に観察した場合における概略図である。この図17において、角度調整部123が表れる2つで対を成すインプラント体102は、図15に示される態様であり、軸部121が表れる2つで対を成すインプラント体102は、図16に示される態様である。
図17に示されるように、2対のインプラント体102から構成される場合は、一方の対を成すインプラント体102(図15に示される態様)は、その掛部122の先端部122aが、互いに内側を向いて相対向するように配置され、他方の対を成すインプラント体102(図16に示される態様)は、その掛部122の先端部122aが、互いに外側を向いて相対向するように配置されることが好ましい。かかる構成を採用することによって、2対のインプラント体102について、それぞれ内側に向かって相対向するものと、外側に向かって相対向するものとが組み合わされるので、掛部122があらゆる方向に対して抜け難くなり、インプラント体102の顎骨105への固定がより強化される。
掛部122のサイズに限定はないが、必要な強度と顎骨への影響を比較考量すると、長さが3mm〜10mm、径が0.5mm〜5mmの範囲に形成することが好ましく、径について0.7mm〜2mmの範囲に形成することがより好ましい。径が細いものは、前歯ないし上顎への施術に適し、径が太いものは奥歯ないし下顎への施術に適する。尚、掛部122の長さや径については、歯科医師が治療の現場において、患者に合わせて加工することができる。
また、掛部122の軸部121に対する屈折角度に限定はないが、10度〜60度の範囲であることが好ましく、30度〜50度の範囲であることがより好ましい。この屈折角度が小さいと、インプラント対2が軸方向へ離脱するおそれがあり、屈折角度が大きいと、掛部122(又は掛穴151)の上を覆う顎骨105の厚みが薄くなり、強い力が加わると当該部分が割れるおそれがあり、また掛部21の取り付けも掛穴151の穿設も困難になる。
角度調整部123は、軸部121と掛部122との間に設けられ、軸部121に対する掛部122の屈折角度を調整するための箇所である。
角度調整部123は、 図15に示されるように、軸部121と掛部122との接続箇所に、軸部121の軸方向に略直交する方向に延設することができる。この延設された角度調整部123は、軸部121よりも細くないし薄く形成することで屈曲し易くなり、この角度調整部123を任意に屈曲させることで、軸部121に対する掛部122の屈折角度を調整することができる。
また、図16に示されるように、軸部121の掛部122近傍の一部を溝状ないし凹状に形成し、当該部分を軸部121の径又は厚さよりも細く又は薄く形成することによって
設けることができる。この溝状ないし凹状に設けられる角度調整部123は、軸部121の外周に沿って連続的に設けられてもよいし、断続的に複数個が設けられてもよい。この溝状ないし凹状に設けられた箇所は、軸部121よりも細くないし薄く形成することで屈曲し易くなり、この角度調整部123を任意に屈曲させることで、軸部121に対する掛部122の屈折角度を調整することができる。
位置決め部124は、軸部121の外周に突出して設けられ、後述するアバットメント体103が用いられる場合に、インプラント体102との取り付け位置を確認ないし予め決定するために設けられる。
位置決め部124は、図16に示されるように、軸部121の外周に沿って鍔状に設けることができる。アバットメント体2に軸部121が挿入される際に、位置決め部124の位置まで挿入されると、この位置決め部124にアバットメント体103が当接し、これ以上は挿入されなくなり、この位置でインプラント体102とアバットメント体103とを取り付けることができる。尚、図15に示されるインプラント体102の場合には、軸部121から延設された角度調整部123が位置決め部124の役割を果たすことができる。
図15に示されるインプラント体102のような形態の場合は、軸部121の下端に、突起部(図示しない)を設けることができる。この突起部は、顎骨105に浅く埋入して固定されるための凸部ないし小突起である。突起部は、顎骨105に軽く打ち込むことによって、又は予め穿設された穴に埋入することによって顎骨105に固定される。この突起部を設けることにより、特に、横方向(軸部121の軸方向とは直交する方向)への強度を高めることができる。
突起部は、軸部121の下端に1つ設けてもよいし、この下端の幅方向両端部に1つずつ計2つ設けてもよいし、3つ以上を設けてもよい。
インプラント体102には、以下に説明するように、軸固定部125、凸部126、枢支部127を設けることもできる。
図18に示されるように、インプラント体102の軸部121の基端部に、少なくとも掛部122の屈折方向とは反対方向に突出した軸固定部125を設けることができる。この軸固定部125が、顎骨105の表面に当接し、顎骨105に埋入された掛部122と相俟って、顎骨105に取り付けられた軸部121が傾くこと、特に掛部122の屈折方向とは反対方向に傾くことを防止・抑制することができる。
軸固定部125は、インプラント体102の軸部121の基端部に設けられ、少なくとも掛部122の屈折方向とは反対方向に突出させることで設けることができ、該基端部の全周にわたって突出させてもよいし、掛部122の屈折方向とは反対方向に加えて他の方向に突出させてもよい。
図19又は図20に示されるように、インプラント体102の軸部121に、鍔状の凸部126を設けることができる。歯科用セメント等を用いて、複数のインプラント体102やアバットメント体103を結合・固定する場合に、この凸部126が、歯科用セメントの移動を規制するので、結合・固定を強化することができる。
図19は、図15に示されるインプラント体102に凸部126が設けられた例であり、図20は、図16に示されるインプラント体102に凸部126が設けられた例である。
凸部126は、軸部121の側面に鍔状に設けることができるが、全周にわたって連続的に形成される必要はなく、全周にわたって断続的に凸部126が形成されてもよいし、例えば半周や1/4周のように一部の周回に形成されてもよい。また、凸部126は、軸
部121に上下に複数段設けることができる。図19は、凸部126が上下2段に設けられた例であり、図20は、凸部126が上下3段に設けられた例である。
図20に示される軸部121について、軸部121の基端部に設けられた凸部126(図面上で最下段に表わされる凸部126)は、上述した軸固定部125を兼ねることができる。この場合、凸部126は、少なくとも掛部122の屈折方向とは反対方向に突出する態様となる。
インプラント体102について、他の例を挙げる。
2つのインプラント体102が対を成して使用される場合において、図21に示されるように、2つの軸部121が交差するように配置され、該軸部121が交差する位置に枢支部127が設けられ、該枢支部で2つの軸部121が回動可能に枢支される構成を採用することができる。この場合、各インプラント体102の掛部122は、相互に内側に向かって屈折され、相対向するように配置される。
かかる構成を採用することによって、2つのインプラント体102の各軸部121が回動可能に枢支されるので、石吊り具や氷はさみの要領で、軸部121に対して顎骨105から引き抜かれる方向(1)に力が加わると、掛部122が、内側に向かって顎骨105を掴む方向(2)に力を加えるので、軸部121を引き抜こうとすればするほど、インプラント体102が顎骨105から抜け難くなる。
また、3つ以上のインプラント体102が対を成して使用される場合においても、そのうちの少なくとも2つのインプラント体102について、2つの軸部121が交差するように配置され、該軸部121が交差する位置に枢支部127が設けられ、該枢支部で2つの軸部121が回動可能に枢支される構成を採用することができる。この場合も、各インプラント体102の掛部122は、相互に内側に向かって屈折され、相対向するように配置される。
参考発明では、少なくとも2つのインプラント体102を使用する。図14等に表わされる例では、2つのインプラント体102を使用しているが、1本の歯当たり3つ以上のインプラント体102を使用することができ、特に奥歯など、顎骨105に十分な骨量があり、強度が必要な箇所には、4〜6つのインプラント体102を使用することができる。
インプラント体102を構成する各部は、十分な強度と硬度を有する材料で、一体に成形されることが好ましい。用いられる材料に限定はなく、インプラント体の材料として公知・公用の材料を特別の制限なく採用することができるが、例えば、チタン又はこの合金等の金属の他、セラミックスやジルコニア等を挙げることができる。
次に、アバットメント体103について説明する。
アバットメント体103は、複数のインプラント体102の軸部121を結合させると共に、義歯104が装着される台座となるものである。
図22等に示されるように、アバットメント体103は、台座部131と爪部132とを有する。
台座部131は、複数のインプラント体102の軸部121を結合させると共に、義歯104を装着する土台となる箇所である。
台座部131の形状は、図22に示されるように、中空の角柱形状に形成することができる。この形状は、図15に示されるインプラント体102の形状に対応したもので、中空部131aには、複数のインプラント体102の軸部121が挿通される。中空部131aの形状を、任意の数のインプラント体102の軸部121の形状と予め一致させてお
くことで、中空部131aに挿通された複数の軸部121は、中空部131a内で密状態に収容され、束ねられるような態様で結合ないし固定される。また、中空部131aを挿通される軸部121よりも大きめに形成しておき、軸部121と台座部131の間に生じた空隙S’を、歯科用セメント等で埋めることができる。即ち、例えば、図29に示されるように、2つのインプラント体102の軸部121の間の空隙S’が歯科用セメント等で埋められることにより、2つの軸部121が傾斜したりすることを抑制できる。
尚、図22における形状は上部が開放されているが、この上部が閉鎖された形状を採用することもできる(図示しない)。
また、台座部131の形状は、図23に示されるように、インプラント体102の数に応じた孔部131bが設けられた形状に形成することができる。この形状は、例えば、図16に示されるインプラント体102の形状に対応したもので、それぞれの孔部131bに、インプラント体102のそれぞれの軸部121が挿通される。孔部131bの形状を、軸部121の形状と予め一致させておくことで、複数のインプラント体102は、それぞれの軸部121が孔部131bに挿通されることで結合ないし固定される。
図23は、2つのインプラント体102が挿通される例であるが、3つのインプラント体102が挿通される場合には、図24に示されるような形状を、4つのインプラント体102が挿通される場合には、図25に示されるような形状を採用することができる。
尚、図23〜図25に示されるアバットメント体103の態様であっても、孔部131bを挿通される軸部121よりも大きめに形成しておき、軸部121と台座部131の間に生じた空隙S’を、歯科用セメント等で埋めることができる。
爪部132は、顎骨105に浅く埋入して固定されるための凸部ないし小突起である。爪部132は、顎骨105に軽く打ち込むことによって、又は予め穿設された小穴152に埋入することによって顎骨105に固定される。特に、横方向(軸部121の軸方向とは直交する方向)への強度を高めることができる。
図26に、アバットメント体103に設けられる爪部132と、インプラント体102の掛部122の位置関係について示す。図26は、インプラント体102にアバットメント体103が取り付けられた状態を口腔側から顎骨105に向かって観察した図であり、掛部122と爪部132は実線で表わされ、他の部分は破線で表されている。
2つのインプラント体102を用いた歯科インプラントシステム101の場合、各インプラント体102の掛部122を結んだ直線の方向に対しては、高い強度が発揮されるが、この方向とは異なる方向、特に直交する方向に対しての強度は低いといえる。この直交する方向に対する強度を補うため、アバットメント体103の爪部132は、図26に示されるように、2つの掛部122を結ぶ直線と、2つの爪部132を結ぶ直線とが直行するように設けられることが好ましい。
インプラント体102が、3つ以上用いられる場合でも、掛部122だけでは横方向の強度が低い方向があり、この方向への強度を補う位置に爪部132が設けられることが好ましい。
アバットメント体103には、側面に透孔133が設けれらることが好ましい。透孔133を設けることで、歯科用セメント等を用いてインプラント体102とアバットメント体103を結合・固定する場合に、インプラント体102とアバットメント体103の間に塗布されたセメントが、この透孔133にも流入することで、インプラント体102、アバットメント3体及び歯科用セメントがより強固に結合・固定され、更に、この透孔133からはみ出した歯科用セメントを簡単に除去することもできる。
透孔133は、図27に示されるように、台座部131の側面に設けられる。図27においては、透孔133は1つのみ表わされているが、2つ以上の透孔133を設けてもよい。また、図27では、透孔133は長方形状に表わされているが、この形状に限定はされず、円形や多角形などの形状を特別の制限なく採用することができる。
アバットメント体103は、十分な強度と硬度を有する材料で、一体に成形されることが好ましい。用いられる材料に限定はなく、アバットメント体の材料として公知・公用の材料を特別の制限なく採用することができるが、例えば、チタン又はこの合金等の金属の他、セラミックスやジルコニア等を挙げることができる。
参考発明において、インプラント体102単体では、義歯104を顎骨105に固定するのに必要な強度を得ることができないおそれがあるが、このインプラント体102を2つ以上結合させ、更にはアバットメント体103を結合させることによって、必要十分な強度を得ることができるのである。
続いて、歯科インプラントシステム101を用いた治療手順について説明する。
ここでは、図15に示されるインプラント体102を2つと、図22に示されるアバットメント体103を1つ用いた場合の手順を説明する。
先ず、抜歯した箇所の歯肉106を切開し、顎骨105の歯槽骨に2つの掛穴151を穿設する。2つの掛穴151は、図28に示されるように、相対抗する方向に穿設されることが好ましく、歯列の外側から内側に向けて、又は歯列の内側から外側に向けて穿設されることが好ましい。歯列の内側から外側に向けての方向又はその反対方向から穿設することで、隣接する歯が邪魔にならず、作業が容易となるからである。
掛穴151は、インプラント体102における掛部122の屈折角度と略同一となる角度に穿設することが好ましい。尚、掛穴151を穿設する前に、顎骨105の歯槽骨の表面に球冠状等の窪みを設けておけば、掛穴151を任意の角度に穿設し易い。
また、必要に応じて、顎骨105の歯槽骨に、小穴152も穿設する。小穴152を穿設する位置は、先に説明したとおり、図26に示される位置である。
次に、一方の掛穴151に、インプラント体102の掛部122を引掛けて取り付ける。この際、掛部122と掛穴151の屈折角度に若干の相違が生ずる可能性があるが、インプラント体102に設けられた角度調整部123を折り曲げ等することによって、この屈折角度を調整し、掛部122と掛穴151の角度を一致させることができる。
続いて、他方の掛穴151にも同様に、インプラント体102の掛部122を引掛けて取り付ける。
この際、図28に示されるように、2つのインプラント体102は、それぞれの掛部122が掛穴151に奥まで挿通される過程において、それぞれの軸部121が接し、互いに寄せ合う態様となる。
2つのインプラント体102が接触せず、間に空隙S’が生じる場合(図29参照。)には、この空隙S’を歯科用セメント等で埋めることができ、2つのインプラント体102が一体となって固定されることが好ましい。即ち、例えば、図29に示されるように、2つのインプラント体102の軸部121の間の空隙S’が歯科用セメント等で埋められることにより、2つの軸部121が傾斜したりすることを抑制できる。
尚、掛部122と掛穴151の大きさが合致しない場合には、治療現場において歯科用ドリル等を使用して、掛部122を短く又は細く加工してもよい。
次に、アバットメント体103を、2つの軸部121に軸方向から被せ、束ねるように結合する。アバットメント体103は、インプラント体102に設けられた角度調整部1
23に接触し、これ以上奥には移動しない。
この状態において、2つのインプラント体102は、それぞれの軸部121が、アバットメント3の中空部131aに密状態で収容されるので、顎骨105に固定される。
インプラント体102とアバットメント体103の間に、空隙S’が生じる場合(図29参照。)には、この空隙S’を歯科用セメント等で埋めることができ、インプラント体102とアバットメント体103とが一体となって固定されることが好ましい。
また、アバットメント体103に設けられた爪部132を、予め顎骨105に穿設された小穴152に埋入する。
最後に、インプラント体102とアバットメント体103との結合体に、義歯104を被せる。この際、インプラント体102又はアバットメント体103を、義歯104に合わせて歯科用ドリル等で加工し、両者が嵌合するように形状を整えることができ、更には歯科用接着剤や歯科用セメント等を用いて、両者を接着固定してもよい。
上記手順で顎骨105に取り付けられた歯科インプラントシステム101を、図29に示す。インプラント体102、アバットメント体103及び義歯104は一体に結合され、顎骨105に固定され、掛部122により軸方向に抜けず、掛部122及び爪部132により横方向にも高い強度を有する。
上記治療手順では、図15に示されるインプラント体102を2つと、図22に示されるアバットメント体103を1つ用いた場合の手順を説明し、その治療が完成した状態の概略図を図21に示したが、図16に示されるインプラント体102を2つと、図23に示されるアバットメント体103を1つ用いた治療が完成した状態の概略図を、図30に示す。図30に示す例でも、図29に示す場合と同様の効果を得ることができる。
尚、図29及び25について、アバットメント体103は、部分断面図にて表わされ、アバットメント3に挿通されたインプラント体102の態様が表わされている。
参考発明に係る歯科インプラントシステム101によれば、インプラント体102に設けられた掛部122を、顎骨105に穿設された掛穴151に引掛けることによって、インプラント体102を顎骨105に取り付けることができるので、従来のインプラント治療のように、インプラント体102と顎骨105とが結合する期間が不要であり、治療期間及び治療回数を短縮することができる。治療を急ぐ場合には、抜歯と同日にでも、顎骨105への掛穴151の穿設から、インプラント体102及びアバットメント体103の取り付けが可能である。患者に合った義歯104の製作が、同日中に可能であるならば、抜歯と同日に、治療を終えることができる。義歯104の完成が後日になる場合であっても、抜歯からインプラント体102等の取り付けと、義歯104の取り付けの2回の治療で終えることができる。
更に、掛部122は、顎骨105に対して浅くかつ斜めに取り付けられるので、取り付け箇所の骨の厚さや骨量が最小限で足り、特に上顎など、従来のインプラント治療では、補助手術をしなければならなかった患者に対しても施術可能であり、この分の治療回数・時間を短縮することもできる。
参考発明に係る歯科インプラントシステム101を使用すれば、顎骨105の骨量等を問わず、多くの患者の治療期間及び治療回数を短縮することができると共に、顎骨105への影響を最小限に止めることで、患者の精神的及び身体的負担を軽減することができる歯科インプラント治療を提供することができる。
1 歯科インプラントシステム
2 インプラント体
21 軸部
21a 孔部
22 掛部
22a 上部
22b 下部
22c 先端部
22d 段部
23 分割円柱軸部
23a 孔部
24 接合円柱軸部
25 雄ネジ部
3 アバットメント体
31 軸挿通孔部
32 側面孔部
33 側面溝部
34 係止穴部
35 雌ネジ部
4 固定部材
5 義歯
6 顎骨
61 掛穴
62 掛穴段部
7 歯肉
S 空隙
T 天然歯

Claims (4)

  1. 軸部を有する少なくとも2つのインプラント体が対を成し、
    各インプラント体の軸部に、顎骨に穿設された掛穴に引掛けられる掛部が設けられ、
    この掛部は、前記軸部に対して屈折されており、
    各インプラント体が顎骨に引掛けられる際に、前記掛部の先端部が、互いに内側に向かって相対向するように配置される構成であり、
    かつ、インプラント体同士を固定するための固定手段が設けられている構成であり、
    前記固定手段が、インプラント体の軸部に設けられており、
    この固定手段が、それぞれのインプラント体の軸部に各々連通される孔部と、この連通された孔部に挿通させる固定部材とを有しており、
    この固定手段によって、それぞれのインプラント体の軸部同士が固定される構成であることを特徴とする歯科インプラントシステム。
  2. 掛部が、くの字形状であることを特徴とする請求項1に記載の歯科インプラントシステム。
  3. 掛部が、先端部と他の部分との間に段部が設けられ、先端部が他の部分よりも小径であることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科インプラントシステム。
  4. 義歯が装着される台座となるアバットメント体を有し、
    前記アバットメント体の側面には、それぞれのインプラント体の軸部に各々連通される孔部と共に、固定部材が挿通される側面孔部が設けられ、
    複数のインプラント体の軸部が固定される構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
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