JP2015097781A - 歯科インプラントシステム - Google Patents
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Abstract
Description
歯科インプラント治療は、これらの手順に従って施術されるため、治療期間として6ヶ月〜1年間を要するのが一般的である。
特許文献1に記載の技術は、「歯根として上顎臼歯部の歯槽骨に埋入されて固定され、かつ脚構造を成す3本の脚部インプラント体と、該脚部インプラント体が移動自在に挿入されるために、前記脚部インプラント体の外径より大きい内径の維持孔が設けられ、該維持孔に挿入された前記各脚部インプラント体をまとめる機能を有する歯根台座部と、該歯根台座部と連結され、歯冠を装填するための支台であるアバットメントとを含む複合構造を有する歯科コンポーネントインプラント」である。
やはり治療期間として6ヶ月〜1年間を要するといった問題があった。
特許文献2に記載の技術は、「歯槽骨のうち口腔側に臨む上部歯槽骨に打ち込まれる抜け止め軸と、該抜け止め軸を下端に一体に突設しており、かつ上部には義歯が装着されるアバットメントとを備えた義歯固定装置」であり、「抜け止め軸が複数本からなり、これらの先端および外周の長手方向の複数箇所に抜け止め用の返り突起を有する抜け止め軸」も提案されている。
特許文献3に記載の技術は、「骨内にインプラントのボディ部を植立し、骨上にインプラントのヘッド部を突出させる歯科用インプラントで、このインプラントを2つのインプラントのそれぞれのヘッド部の1つの面を合掌させ、その時にインプラントのボディ部が骨内で八の字の形になるようにしたもの」である。
療回数を短縮することができると共に、顎骨への影響を最小限に止めることで、患者の精神的及び身体的負担を軽減することができる歯科インプラントシステムを提供することにある。
1.軸部を有する少なくとも2つのインプラント体が対を成し、
各インプラント体の軸部に、顎骨に穿設された掛穴に引掛けられる掛部が設けられ、
この掛部は、前記軸部に対して屈折されており、
各インプラント体が顎骨に引掛けられる際に、前記掛部の先端部が、互いに内側に向かって相対向するように配置される構成であり、
かつ、インプラント体同士を固定するための固定手段が設けられている構成であることを特徴とする歯科インプラントシステム。
この固定手段が、それぞれのインプラント体の軸部に各々連通される孔部と、この連通された孔部に挿通させる固定部材とを有しており、
この固定手段によって、それぞれのインプラント体の軸部同士が固定される構成であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
前記アバットメント体の側面には、それぞれのインプラント体の軸部に各々連通される孔部と共に、固定部材が挿通される側面孔部が設けられ、
複数のインプラント体の軸部が固定される構成であることを特徴とする前記4に記載の歯科インプラントシステム。
めることができる。
即ち、本発明に係る歯科インプラントシステムは、インプラント体が顎骨に融合される従来のインプラント治療とは根本的に異なるため、顎骨の骨量等を問わず、多くの患者の治療期間及び治療回数を短縮することができると共に、顎骨への影響を最小限に止めることで、患者の精神的及び身体的負担を軽減した上で、2つのインプラント体で挟持する態様によって強固に固定することができる歯科インプラントシステムを提供することができる。
本発明に係る歯科インプラントシステムは、掛部の先端部が、互いに内側に向かって相対向するように配置される構成であるため、この掛部の各先端部が当接しないように配置するためには、それぞれの軸部が相当の距離を隔てて配置されることになる。しかし、インプラント体の掛部を「く」の字形状にすることで、「く」の字の上部が、他のインプラント体に対して外側に向かった方向に屈折されるので、「く」の字の下部に位置する先端部を、軸部の軸方向の延長線上付近に位置させることができる。これにより、各インプラント体は、軸部を接近させて配置することができ、これらの軸部を固定することも容易になる。
、歯肉を含む口腔全体に対する影響を、最小限に止めることができる。
図1に、本発明に係る歯科インプラントシステム(以下、単に「歯科インプラントシステム」ともいう。)1の一実施例を表す概略斜視図を示し、図2には、歯科インプラントシステム1の一実施例を表す分解構成図を示す。
インプラント体2は、図1に表わされるように、少なくとも軸部21及び掛部22から構成される。
軸部21の形状に限定はないが、例えば、図1に示されるように、円柱状に形成することができる。
尚、軸部21の長さや径といったサイズについては、歯科医師が治療の現場において、患者に合わせて加工することができる。特に、歯科用ドリル等で削ることでサイズや形状を加工することができるので、インプラント体2は、必要なサイズよりもやや大きめであることが好ましい。
孔部21aは、共に使用される複数のインプラント体2の軸部21に連通するように形成され、棒体の如き固定部材4(後述する)を、各孔部21に閂状に挿通させることで、複数のインプラント体2の軸部21を固定することができる。
掛部22は、図1に示されるように、軸部21の顎骨6側の端部に設けられ、軸部21の軸方向に対して屈折した方向に設けられ、柱状、棒状、先細り状又は針状の形態に形成される。
図1では、上部22aと下部22bの長さが略同じに表わされているが、これらの長さに限定はなく、一方が他方よりも長い構成であってもよい。
また、図1では、軸部21に対する屈折角度についても、上部22aと下部22bそれぞれが約45度に表わされているが、この角度にも限定はなく、例えば、上部22aは、軸部21に対して30度の屈折し、下部22bは、軸部21に対して60度屈折し、上部22aと下部22bの角度が90度に形成される構成を採用することができる。
また、掛部22は、強度を保つために、屈曲できない構成であってもよい。この場合、掛部22の屈曲角度が異なる複数のインプラント体2を予め用意しておき、掛穴61の角度に合致したものを選択して使用することができる。
歯科インプラントシステム1は、掛部22の先端部22cが、互いに内側に向かって相対向するように配置される構成であるため、この掛部22の各先端部22cが当接しないように配置するためには、それぞれの軸部21が相当の距離を隔てて配置されることになる。しかし、インプラント体2の掛部22を「く」の字形状にすることで、「く」の字の上部22aが、他のインプラント体2に対して外側に向かった方向に屈折されるので、「く」の字の下部22bに位置する先端部22cを、軸部21の軸方向の延長線上付近に位置させることができる。これにより、各インプラント体2は、軸部21を接近させて配置することができ、これらの軸部21を固定することも容易になる。
図4は、掛部22を「く」の字形状とした場合の例であるため、先端部22cは、掛部22の下部22bに位置し、この下部22bに段部22dが設けられた構成である。
掛部22を、注射針程度の直径(上記のとおり、例えば、最大径が2.5mm以下、好ましくは2.0mm以下、特に好ましくは1.5mm以下、就中1.0mm以下。)で、長さが5mm前後という極めて小さなサイズに止めることができるので、歯肉7を切開せずに、歯肉7の上から施術が可能であり、歯肉の外側からインプラント体2を顎骨5に取り付け可能であるため、患者の心身の苦痛・負担を軽減することができる。
アバットメント体3は、複数のインプラント体2の軸部21を固定させると共に、義歯5が装着される台座となるものである。
側面孔部32は、軸部挿通孔部31に相通されるインプラント体2の軸部21に設けられた孔部21aと、連通するように形成され、棒体の如き固定部材4(後述する)を、各孔部21と側面孔部32に閂状に挿通させることで、複数のインプラント体2の軸部21とアバットメント体3とを固定することができる。
尚、この側面溝部33は、例えば、下記係止穴部34に向かって次第に浅い深さとなる傾斜切除溝の形状であることが好ましい。
側面溝部33は、片方の側面のみに設けてもよいし、上記のように相対向する両側面に1つずつ設けてもよく、更に、片方又は両方の側面にそれぞれ複数個設けてもよい。
係止穴部34は、側面孔部32に貫通しない深さで設けられることが好ましい。また、係止穴部34には、雌ネジを設けてもよい(図示しない)。
尚、複数のインプラント体2を固定する手段は、上記固定部材4をしなくてもよく、歯科用セメント等を使用して接着固定してもよい。
固定部材4は、十分な強度と硬度を有する材料で、一体に成形されることが好ましい。用いられる材料に限定はなく、インプラント体やアバットメント体の材料と同様に、公知・公用の材料を特別の制限なく採用することができるが、例えば、チタン又はこの合金等の金属の他、セラミックスやジルコニア等を挙げることができる。
インプラント体2は、それぞれの掛部22の先端部22cが、互いに内側に向かって相対向するように配置された2つのインプラント体2を対として、図6に示すように、この対を2組並列させる。
この接合円柱軸部24が、1つの円柱として形成されることによって、これに被覆するアバットメント体3や義歯5の加工及び取り付け(固定)が容易となり、アバットメント体3等の生産コストを下げられると共に、施術時間を短縮することができる。
2つのインプラント体2の分割円柱軸部23を係止するための他の手段として、一方のインプラント体2の分割円柱軸部23には、凸部等の係止部(図示しない。)が設けられ、他方のインプラント体2の分割円柱軸部23には、凹部等の被係止部(図示しない。)が設けられ、この係止部と被係止部が係止や嵌合等されることによって、2つのインプラント体2の分割円柱軸部23が係止され、接合円柱軸部24が形成される構成を挙げることができる。
図12に示されるように、少なくとも2つが対になったインプラント体2とアバットメント体3を、適当な間隔を空けながら顎骨6に取り付け、ここに一方の奥歯から他方の奥歯まで連設された義歯5を取り付けることで、歯科インプラントシステム1は総入れ歯の
ように使用することができる。尚、図12においては、第3大臼歯(親知らず)に相当する歯の記載を省略しているが、この第3大臼歯に相当する位置に、歯科インプラントシステム1を取り付けることもできる。
図13に示されるように、少なくとも2つが対になったインプラント体2とアバットメント体3を、天然歯が欠損した箇所の顎骨6の両端に取り付け、ここに、欠損した分の歯が連設された義歯5を取り付けることで、歯科インプラントシステム1は部分入れ歯又は歯科ブリッジのように使用することができる。尚、図13においては、第3大臼歯(親知らず)に相当する歯の記載を省略しているが、この第3大臼歯に相当する位置に、歯科インプラントシステム1を取り付けることもできる。
ここでは、図1に示されるように、インプラント体2を2つ、アバットメント体3を1つ、固定部材4を1つ用いた場合の手順を説明する。
先ず、歯科用ドリルを使用して顎骨6の歯槽骨に2つの掛穴61を穿設する。この際に、顎骨6を覆う歯肉7を切開し、顎骨6を露出させてから掛穴61を穿設してもよいし、歯肉7を切開しないで、歯肉7の上から歯科用ドリルを刺すように挿入し、顎骨6に掛穴61を穿設することも可能である。インプラント体2の掛部22は、直径で3mm以下という注射針の如き極細部材であり、掛穴61も略同径の穴を穿設すればよく、歯肉7を切開しないで、歯肉7に歯科用ドリルを刺すように挿入して顎骨6まで到達し、掛穴61を穿設することが可能である。
掛穴61は、インプラント体2における掛部22の屈折角度と略同一となる角度に穿設することが好ましい。尚、歯肉7を切開する場合は、掛穴61を穿設する前に、顎骨6の歯槽骨の表面に球冠状等の窪みを設けておけば、掛穴61を任意の角度に穿設し易い。
掛穴61の穿設手段について詳述すると、先ず、掛部22の先端部22cと略同径のガイドドリルを用いて顎骨6を穿設し、この穿設した穴の一部を、先端部22c以外の部分と略同径のインプラントドリルを用いて径を拡開し、掛穴段部62を有する2段階の径の掛穴61を形成する。ガイドドリルでは、掛部22の下部22bの長さと同程度の深さ又はそれ以上の深さまで穿設することが好ましく、インプラントドリルでは、下部22bの先端部22c以外の部分の長さと同程度の深さ又はそれ以下の深さまで径の拡開することが好ましい。
この際、掛穴61の屈折角度に合わせて、この屈曲角度と掛部22の屈折角度が合致するインプラント体2を選択して使用する。インプラント体2の掛部22が屈曲可能な構成の場合は、掛部22を掛穴61の屈折角度に合致させるように屈曲させて使用することができる。
この際、2つのインプラント体2は、それぞれの掛部22が掛穴61に挿入される過程において、それぞれの軸部21が接近し、互いに寄せ合う格好となる。
尚、掛部22と掛穴61の大きさが合致しない場合には、治療現場において歯科用ドリル等を使用して、掛部22の先端部22cを短く又は細く加工してもよい。
インプラント体2とアバットメント体3の間や、孔部21a又は側面孔部32と固定部材4との間に、隙間が生じる場合には、この隙間を歯科用セメント等で埋めることができ、インプラント体2、アバットメント体3及び固定部材4が隙間なく一体となって固定されることが好ましい。
更に、掛部22は、顎骨6に対して浅くかつ斜めに取り付けられるので、取り付け箇所の骨の厚さや骨量が最小限で足り、特に上顎など、従来のインプラント治療では、補助手術をしなければならなかった患者に対しても施術可能であり、この分の治療回数・時間を短縮することもできる。
各インプラント体の軸部に、顎骨に穿設された掛穴に引掛けられる掛部が設けられ、
この掛部は、前記軸部に対して屈折されており、
各インプラント体が、顎骨に引掛けられる際に、この掛部の屈折方向が、複数のインプラント体で異なることを特徴とする歯科インプラントシステム。
各インプラント体の掛部の屈折方向が、相対向するように配置される構成であることを特徴とする前記(1)に記載の歯科インプラントシステム。
一方の対を成す2つのインプラント体について、各インプラント体の掛部の屈折方向が、互いに内側に向かって相対向するように配置され、
他方の対を成す2つのインプラント体について、各インプラント体の掛部の屈折方向が、互いに外側に向かって相対向するように配置される構成であることを特徴とする前記(2)に記載の歯科インプラントシステム。
そのうちの少なくとも2つのインプラント体について、各インプラント体の掛部の屈折方向が、相対向するように配置されることを特徴とする前記(1)に記載の歯科インプラントシステム。
そのうちの少なくとも2つのインプラント体が、各軸部が交差するように配置され、該軸部が交差する位置で枢支される構成であることを特徴とする前記(5)に記載の歯科インプラントシステム。
アバットメント体を有することを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
アバットメント体によって2つのインプラント体の軸部が結合された状態において、
前記2つの爪部が、前記2つのインプラント体の掛部の基端部と、略等辺の四角形を形成する位置に形成されることを特徴とする前記(10)〜(12)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
掛部は、柱状又は針状に形成されることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。
が不要であり、治療期間及び治療回数を短縮することができる。また、顎骨の骨量や厚さが少ない患者にも施術でき、補助手術による治療期間の延長を避けることもできる。
即ち、顎骨の骨量等を問わず、多くの患者の治療期間及び治療回数を短縮することができると共に、顎骨への影響を最小限に止めることで、患者の精神的及び身体的負担を軽減することができる歯科インプラントシステムを提供することができる。
体とで、義歯と装着させるための基礎を形成することができる。
参考発明に係る歯科インプラントシステム101の一例として、図14に分解説明図を示す。
インプラント体102は、図15又は図16に表わされるように、少なくとも軸部121及び掛部122から構成され、角度調整部2又は位置決め部124を設けることができる。
軸部121の形状に限定はないが、例えば、図15に示されるように、板状に形成することもできるし、図16に示されるように、角柱状に形成することもできる。尚、軸部121の形状として、円柱状等の非角型を採用することもできるが、後述するように、参考発明に係る歯科インプラントシステム101は、2つ以上のインプラント体102を組み合わせて使用するため、この2つ以上のインプラント体102を所定の箇所に配置する際に、板状や角柱状のように側面に平面を有する形状の方が、平面同士を接して固定し易いという利点がある。
尚、軸部121の長さや径又は厚さについては、歯科医師が治療の現場において、患者に合わせて加工することができる。特に、歯科用ドリル等で削ることでサイズや形状を加工することができるので、インプラント体102は、必要なサイズよりもやや大きめであることが好ましい。
掛部122は、図15又は図16に示されるように、軸部121の顎骨105側の端部に又は後述する角度調整部123を介して設けられ、軸部121の軸方向に対して屈折した方向に設けられ、柱状又は針状に形成される。
3つ以上のインプラント体102が対を成す場合においても、そのうちの少なくとも2つのインプラント体102について、各インプラント体102の掛部122の屈折方向が、相対向するように配置されることが好ましい。
図17は、2対のインプラント体102から構成される場合において、掛部122側から軸部121側を臨む方向に観察した場合における概略図である。この図17において、角度調整部123が表れる2つで対を成すインプラント体102は、図15に示される態様であり、軸部121が表れる2つで対を成すインプラント体102は、図16に示される態様である。
また、掛部122の軸部121に対する屈折角度に限定はないが、10度〜60度の範囲であることが好ましく、30度〜50度の範囲であることがより好ましい。この屈折角度が小さいと、インプラント対2が軸方向へ離脱するおそれがあり、屈折角度が大きいと、掛部122(又は掛穴151)の上を覆う顎骨105の厚みが薄くなり、強い力が加わると当該部分が割れるおそれがあり、また掛部21の取り付けも掛穴151の穿設も困難になる。
角度調整部123は、 図15に示されるように、軸部121と掛部122との接続箇所に、軸部121の軸方向に略直交する方向に延設することができる。この延設された角度調整部123は、軸部121よりも細くないし薄く形成することで屈曲し易くなり、この角度調整部123を任意に屈曲させることで、軸部121に対する掛部122の屈折角度を調整することができる。
設けることができる。この溝状ないし凹状に設けられる角度調整部123は、軸部121の外周に沿って連続的に設けられてもよいし、断続的に複数個が設けられてもよい。この溝状ないし凹状に設けられた箇所は、軸部121よりも細くないし薄く形成することで屈曲し易くなり、この角度調整部123を任意に屈曲させることで、軸部121に対する掛部122の屈折角度を調整することができる。
位置決め部124は、図16に示されるように、軸部121の外周に沿って鍔状に設けることができる。アバットメント体2に軸部121が挿入される際に、位置決め部124の位置まで挿入されると、この位置決め部124にアバットメント体103が当接し、これ以上は挿入されなくなり、この位置でインプラント体102とアバットメント体103とを取り付けることができる。尚、図15に示されるインプラント体102の場合には、軸部121から延設された角度調整部123が位置決め部124の役割を果たすことができる。
突起部は、軸部121の下端に1つ設けてもよいし、この下端の幅方向両端部に1つずつ計2つ設けてもよいし、3つ以上を設けてもよい。
軸固定部125は、インプラント体102の軸部121の基端部に設けられ、少なくとも掛部122の屈折方向とは反対方向に突出させることで設けることができ、該基端部の全周にわたって突出させてもよいし、掛部122の屈折方向とは反対方向に加えて他の方向に突出させてもよい。
図19は、図15に示されるインプラント体102に凸部126が設けられた例であり、図20は、図16に示されるインプラント体102に凸部126が設けられた例である。
部121に上下に複数段設けることができる。図19は、凸部126が上下2段に設けられた例であり、図20は、凸部126が上下3段に設けられた例である。
図20に示される軸部121について、軸部121の基端部に設けられた凸部126(図面上で最下段に表わされる凸部126)は、上述した軸固定部125を兼ねることができる。この場合、凸部126は、少なくとも掛部122の屈折方向とは反対方向に突出する態様となる。
2つのインプラント体102が対を成して使用される場合において、図21に示されるように、2つの軸部121が交差するように配置され、該軸部121が交差する位置に枢支部127が設けられ、該枢支部で2つの軸部121が回動可能に枢支される構成を採用することができる。この場合、各インプラント体102の掛部122は、相互に内側に向かって屈折され、相対向するように配置される。
アバットメント体103は、複数のインプラント体102の軸部121を結合させると共に、義歯104が装着される台座となるものである。
図22等に示されるように、アバットメント体103は、台座部131と爪部132とを有する。
台座部131の形状は、図22に示されるように、中空の角柱形状に形成することができる。この形状は、図15に示されるインプラント体102の形状に対応したもので、中空部131aには、複数のインプラント体102の軸部121が挿通される。中空部131aの形状を、任意の数のインプラント体102の軸部121の形状と予め一致させてお
くことで、中空部131aに挿通された複数の軸部121は、中空部131a内で密状態に収容され、束ねられるような態様で結合ないし固定される。また、中空部131aを挿通される軸部121よりも大きめに形成しておき、軸部121と台座部131の間に生じた空隙S’を、歯科用セメント等で埋めることができる。即ち、例えば、図29に示されるように、2つのインプラント体102の軸部121の間の空隙S’が歯科用セメント等で埋められることにより、2つの軸部121が傾斜したりすることを抑制できる。
尚、図22における形状は上部が開放されているが、この上部が閉鎖された形状を採用することもできる(図示しない)。
尚、図23〜図25に示されるアバットメント体103の態様であっても、孔部131bを挿通される軸部121よりも大きめに形成しておき、軸部121と台座部131の間に生じた空隙S’を、歯科用セメント等で埋めることができる。
インプラント体102が、3つ以上用いられる場合でも、掛部122だけでは横方向の強度が低い方向があり、この方向への強度を補う位置に爪部132が設けられることが好ましい。
ここでは、図15に示されるインプラント体102を2つと、図22に示されるアバットメント体103を1つ用いた場合の手順を説明する。
掛穴151は、インプラント体102における掛部122の屈折角度と略同一となる角度に穿設することが好ましい。尚、掛穴151を穿設する前に、顎骨105の歯槽骨の表面に球冠状等の窪みを設けておけば、掛穴151を任意の角度に穿設し易い。
また、必要に応じて、顎骨105の歯槽骨に、小穴152も穿設する。小穴152を穿設する位置は、先に説明したとおり、図26に示される位置である。
この際、図28に示されるように、2つのインプラント体102は、それぞれの掛部122が掛穴151に奥まで挿通される過程において、それぞれの軸部121が接し、互いに寄せ合う態様となる。
2つのインプラント体102が接触せず、間に空隙S’が生じる場合(図29参照。)には、この空隙S’を歯科用セメント等で埋めることができ、2つのインプラント体102が一体となって固定されることが好ましい。即ち、例えば、図29に示されるように、2つのインプラント体102の軸部121の間の空隙S’が歯科用セメント等で埋められることにより、2つの軸部121が傾斜したりすることを抑制できる。
尚、掛部122と掛穴151の大きさが合致しない場合には、治療現場において歯科用ドリル等を使用して、掛部122を短く又は細く加工してもよい。
23に接触し、これ以上奥には移動しない。
この状態において、2つのインプラント体102は、それぞれの軸部121が、アバットメント3の中空部131aに密状態で収容されるので、顎骨105に固定される。
インプラント体102とアバットメント体103の間に、空隙S’が生じる場合(図29参照。)には、この空隙S’を歯科用セメント等で埋めることができ、インプラント体102とアバットメント体103とが一体となって固定されることが好ましい。
また、アバットメント体103に設けられた爪部132を、予め顎骨105に穿設された小穴152に埋入する。
尚、図29及び25について、アバットメント体103は、部分断面図にて表わされ、アバットメント3に挿通されたインプラント体102の態様が表わされている。
2 インプラント体
21 軸部
21a 孔部
22 掛部
22a 上部
22b 下部
22c 先端部
22d 段部
23 分割円柱軸部
23a 孔部
24 接合円柱軸部
25 雄ネジ部
3 アバットメント体
31 軸挿通孔部
32 側面孔部
33 側面溝部
34 係止穴部
35 雌ネジ部
4 固定部材
5 義歯
6 顎骨
61 掛穴
62 掛穴段部
7 歯肉
S 空隙
T 天然歯
Claims (5)
- 軸部を有する少なくとも2つのインプラント体が対を成し、
各インプラント体の軸部に、顎骨に穿設された掛穴に引掛けられる掛部が設けられ、
この掛部は、前記軸部に対して屈折されており、
各インプラント体が顎骨に引掛けられる際に、前記掛部の先端部が、互いに内側に向かって相対向するように配置される構成であり、
かつ、インプラント体同士を固定するための固定手段が設けられている構成であることを特徴とする歯科インプラントシステム。 - 掛部が、くの字形状であることを特徴とする請求項1に記載の歯科インプラントシステム。
- 掛部が、先端部と他の部分との間に段部が設けられ、先端部が他の部分よりも小径であることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科インプラントシステム。
- インプラント体同士を固定するための固定手段が、インプラント体の軸部に設けられており、
この固定手段が、それぞれのインプラント体の軸部に各々連通される孔部と、この連通された孔部に挿通させる固定部材とを有しており、
この固定手段によって、それぞれのインプラント体の軸部同士が固定される構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歯科インプラントシステム。 - 義歯が装着される台座となるアバットメント体を有し、
前記アバットメント体の側面には、それぞれのインプラント体の軸部に各々連通される孔部と共に、固定部材が挿通される側面孔部が設けられ、
複数のインプラント体の軸部が固定される構成であることを特徴とする請求項4に記載の歯科インプラントシステム。
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