JP2017196362A - 簡便に着脱できるアバットメントの構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マイクロムーブメントを抑制できるがアバットメントの取り外しが難しい、テーパー角度の小さいテーパー嵌合のインプラントシステムにおいて、インプラント体からアバットメントを容易に取り外しできるアバットメントの構造を提供する。
【解決手段】アバットメントにネジを挿入した後、ネジを締結するドライバーを使用するだけのクリアランスを残した上で、ネジの有効長よりわずかに少ない遊びを残すようにネジの出口を塞ぐ加工を施すことで、インプラント体とアバットメントとを締結後、締結したネジを緩めると、ネジがインプラント体から解放される前にネジの頭部が当該加工部に突き当たり、そこからさらにネジを緩めることでネジの頭部がアバットメントに圧接してアバットメントを押し上げることにより、インプラント体とアバットメントのテーパー嵌合が解放されてアバットメントを容易に取り外すことが可能となる。
【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
本発明は、歯科用インプラントをはじめとする体内インプラント体及びそれに接続して使用するアバットメント等の構造及び着脱方法に関する。
事故や疾病等の理由で人体の一部を欠損した場合、欠損した部位を義歯や義眼、義肢等で補完する治療方法が存在する。
それらの治療方法の内インプラント治療では、欠損部付近の骨にアンカーとなるインプラント体を埋植し、そのインプラント体にアバットメント等の接続装置を介して欠損パーツを装着し、欠損部に固定する。
歯科用インプラントで具体例を挙げる。歯牙欠損部位の顎骨にインプラント体を埋植し、骨が治癒してインプラント体と顎骨が一体化した後に補綴物(歯冠)の支台となるアバットメントをインプラント体に接続し、そのアバットメントの上に歯冠を装着し、咬合機能を回復する。
特許文献1をはじめとする、一般的な歯科用インプラントの構造を図5から図8に示す。図5ではインプラントの構造を示しており、インプラント体19及び20は雄又は雌の、六角や八角を有する回転防止の接続部21及び22を有し、アバットメント23及び24にはそれに対応した雌又は雄の、六角や八角を有する接続部25及び26が存在し、接続部同士で接続した後、ネジ27及び28でアバットメントとインプラント体とを図6のように固定する。
また、歯冠はアバットメントの形状に合わせたフレーム又は歯冠を鋳造し、フレームには陶材やレジンで歯牙形状に築盛して作成、又はセラミックス等を削り出して作成し、アバットメントに接着又はネジ止めし、最終的に図7のようになる。
特開平7−275266
近年、歯科用インプラントにおいてはインプラント体とアバットメントにおける接合部の微小な動揺、いわゆるマイクロムーブメントが原因となる骨吸収が発生するために、図5のように接合方式が面と面を合わせるバットジョイントではなく、図8のようなテーパージョイントのインプラントシステムが増加してきている。テーパージョイントのインプラントシステムの場合、インプラント体とアバットメントがくさびの様に強固に嵌合するため、マイクロムーブメントを抑制できる。
テーパージョイントのインプラントシステムも、基本的にはインプラント体29、アバットメント34、そしてネジ35からなる。インプラント体とアバットメントにはそれぞれ、六角や八角を有する回転防止の接続部30、32と、テーパー嵌合による接続部31、33がある。
テーパージョイントのインプラントシステムの場合、テーパーの角度が小さければ小さいほど、嵌合は強固になる。しかしながらその一方、インプラント体からアバットメントを外す際に、ネジを外してもアバットメントがインプラント体にくさびの様に食い込んだままで、容易に外すことができない場合がある。逆にテーパーの角度が大きい場合、アバットメントの取り外しは容易になるが、マイクロムーブメントを抑制する効果を失う。
本発明では前記の問題に鑑み、マイクロムーブメントを抑制できるがアバットメントの取り外しが難しいテーパー角度の小さいテーパー嵌合のインプラントシステムにおいて、インプラント体からアバットメントを容易に取り外しできる構造を提供することを課題とする。
本発明は、前記問題を解決すべく鋭意検討した結果、アバットメントにネジを挿入した後、ネジを締結するドライバーを使用するだけのクリアランスを残した上で、ネジの有効長よりわずかに少ない遊びを残すようにネジの出口を塞ぐ加工を施すことで、インプラント体とアバットメントとを締結後、締結したネジを緩めると、ネジがインプラント体から解放される前にネジの頭部が当該加工部に突き当たり、そこからさらにネジを緩めることでネジの頭部がアバットメントに圧接してアバットメントを押し上げることにより、インプラント体とアバットメントのテーパー嵌合が解放されてアバットメントを容易に取り外すことが可能となる。
当該加工部は、例えばアバットメントのスクリューホールから、アバッメントのスクリューホールより外径がわずかに小さく、ネジの頭部径より大きくかつネジを締結するドライバーが通過する内径を有するチューブを挿入し、適切な位置で固定することが挙げられる。この場合、当該チューブはネジを緩めた際にかかる圧力に耐えられる素材であれば材質を問わないが、好ましくは金属、さらに好ましくはアバットメントと同一の素材が適切であり、当該チューブの固定方法としては、例えば圧入、溶接、接着、ロウ着、ネジ止め、及びアバットメントのスクリューホール内部と当該チューブの外面の両方、又はどちらか一方にネジ加工を施すことによるネジ固定、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
また、アバットメントを複数のパーツに分割して設計し、ネジを封入して組み上げる構造でもよい。この場合、当該パーツの接合部の固定方法としては、例えば圧入、溶接、接着、ロウ着、ネジ止め、及び当該パーツの接合部の両方、又はどちらか一方にネジ加工を施すことによるネジ固定、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
その他、粉末冶金等の三次元造形により当該加工を予め組み込んだような一体化したアバットメントでもよい。三次元造形の場合、ネジは予め用意したものを三次元造形時に適切な位置に設置しておくことでアバットメント内部に組み込んでもよいし、ネジも同時に三次元造形してもよい。
本発明のアバットメントによれば、使用時のマイクロムーブメントは抑制できるがアバットメントの取り外しが難しいテーパー嵌合のインプラント体において、ネジを緩めるだけでアバットメントとインプラント体の楔嵌合が解放され、アバットメントを容易に取り外すことが可能となる。また、ネジとアバットメントが分離しない構造になっているため、異なるネジを取り付ける誤使用を防ぐ効果もある。
以下に、本発明に係るアバットメントの一実施例における使用形態を、図に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るアバットメント及びネジの斜視図と、その断面図である。アバットメント1にネジ2を挿入し、その後リムーバーチューブ3をアバットメントに挿入し、4の接触面をレーザー溶接にて固定した。ネジはアバットメント内では有効ネジ長よりもわずかに少ないあそび5がある状態で、アバットメント内で上下に動くが、アバットメントから分離することはない。また、ネジを締結するためにリムーバーチューブの内径はネジのドライバー径よりも太く、かつネジが抜けないためにネジの頭より細い必要がある。
図2は本発明に係るアバットメントをインプラント体6に取り付けた断面図である。テーパー部7のくさび嵌合により、強固に接合が得られている。
図3左はアバットメントを外すためにドライバー8を挿入した断面図である。図3中はネジを緩めていったところ、ネジの頭部がリムーバーチューブの底面9に突き当たった断面図である。この時点でネジ先端10は全て解放されておらず、インプラント体に2周から3周程度入り込んでいる状態である。図3右は、さらにそのままネジを緩めることで、ネジ頭部がリムーバーチューブ底面を圧接して、テーパー部のくさび嵌合を解放し、アバットメントとインプラント体が分離したところを示す断面図である。
図4は本発明に係るアバットメントで、リムーバーチューブを使用せずアバットメントを2つのパーツに分割した実施例における断面図である。アバットメントは基底部と支台部に分かれている。図4左は基底部11が凸形状で支台部12が凹形状である。ネジ13を中に封入した状態で基底部11と支台部12とを、13の接触面でレーザー溶接にて固定した。図4右は基底部15が凹形状で支台部16が凸形状である。ネジ13を中に封入した状態で基底部15と支台部16とを、17の接触面でレーザー溶接にて固定した。インプラント体18とアバットメントの分離は、図3と同様である。
また、必ずしもアバットメントが複数のパーツで設計されている必要はなく、3次元造形等で図1のアバットメント1とリムーバーチューブ3が一体化された物や、図1及び図4で示した以外のアバットメントの分割方法により設計されたものでも、その機能を損なうことはない。
本発明における最大の特徴はパーツの分割方法や製造方法では無く、図3で示す様にネジを緩めることでネジがアバットメントを押し上げテーパー嵌合を解放させ、インプラント体とアバットメントを分離させることにある。
本発明により、マイクロムーブメントを抑制できるがアバットメントの取り外しが難しいテーパー角度の小さいテーパー嵌合のインプラントシステムにおいて、インプラント体からアバットメントを容易に取り外しできるアバットメントの構造を提供する。
また、本発明は使用時には決して緩まず、かつメンテナンス等必要が生じた場合には速やかに取り外すことができる接続部の構造なので、歯科領域に限らず、例えば、頭蓋、顎、顔面の復元外科、美容外科、形成外科、整形外科、口腔外科、耳鼻咽喉科等の分野においての治療に使用することができる。
本発明に係るアバットメントの一実施例における構造を示す斜視図及び断面図である。 本発明に係るアバットメントの一実施例における使用形態を説明する図であり、インプラントを接続した状態を示す図である。 本発明に係るアバットメントの一実施例における使用形態を説明する図であり、接続したアバットメントを外す過程を示す図である。 本発明に係るアバットメントの、図1とは異なる一実施例における構造を示す断面図である。 一般的なバットジョイントタイプの歯科用インプラントの構造を示した斜視図である。 一般的なバットジョイントタイプの歯科用インプラントを接続した状態を示した斜視図である。 一般的なバットジョイントタイプの歯科用インプラントに歯冠形態を装着した状態を示した斜視図である。 一般的なテーパージョイントタイプの歯科用インプラントの構造、及び接続した状態を示した斜視図である。
1:アバットメント(テーパージョイント・リムーバー)
2:ネジ(テーパージョイント・リムーバー)
3:リムーバーチューブ(テーパージョイント・リムーバー)
4:レーザー溶接部(テーパージョイント・リムーバー)
5:ネジのあそび(テーパージョイント・リムーバー)
6:インプラント体(テーパージョイント・リムーバー)
7:テーパージョイント部(テーパージョイント・リムーバー)
8:ドライバー(テーパージョイント・リムーバー)
9:ネジ頭部とリムーバーチューブの接触面(テーパージョイント・リムーバー)
10:ネジがインプラント体から解放されていない部分(テーパージョイント・リムーバー)
11:アバットメント基底部(複数パーツのアバットメント・凸形状)
12:アバットメント支台部(複数パーツのアバットメント・凹形状)
13:ネジ(複数パーツのアバットメント)
14:レーザー溶接部(複数パーツのアバットメント・基底部凸形状)
15:アバットメント基底部(複数パーツのアバットメント・凹形状)
16:アバットメント支台部(複数パーツのアバットメント・凸形状)
17:レーザー溶接部(複数パーツのアバットメント・基底部凸形状)
18:インプラント体(複数パーツのアバットメント)
19:インプラント体(バットジョイント・インターナル)
20:インプラント体(バットジョイント・エクスターナル)
21:インプラント体の回転防止機構(バットジョイント・インターナル)
22:インプラント体の回転防止機構(バットジョイント・エクスターナル)
23:アバットメント(バットジョイント・インターナル)
24:アバットメント(バットジョイント・エクスターナル)
25:アバットメントの回転防止機構(バットジョイント・インターナル)
26:アバットメントの回転防止機構(バットジョイント・エクスターナル)
27:ネジ(バットジョイント・インターナル)
28:ネジ(バットジョイント・エクスターナル)
29:インプラント体(テーパージョイント)
30:インプラント体の回転防止機構(テーパージョイント)
31:インプラント体のテーパー(テーパージョイント)
32:アバットメントの回転防止機構(テーパージョイント)
33:アバットメントのテーパー(テーパージョイント)
34:アバットメント(テーパージョイント)
35:ネジ(テーパージョイント)

Claims (4)

  1. テーパー嵌合の体内インプラント体に接続するアバットメントにおいて、アバットメントにネジを挿入した後、ネジを締結するドライバーを使用するだけのクリアランスを残した上で、ネジの有効長よりわずかに少ない遊びを残すようにネジの出口を塞ぐ加工を施すことで、インプラント体とアバットメントとを締結後、締結したネジを緩めると、ネジがインプラント体から解放される前にネジの頭部が当該加工部に突き当たり、そこからさらにネジを緩めることでネジの頭部がアバットメントに圧接してアバットメントを押し上げることにより、インプラント体とアバットメントのテーパー嵌合が解放されてアバットメントを容易に取り外すことが可能となるアバットメントの構造。
  2. ネジの封入方法が、アバッメントのスクリューホールより外径がわずかに小さく、ネジの頭部径より大きくかつネジを締結するドライバーが通過する内径を有するチューブを圧入、溶接、接着、ロウ着、ネジ止め、アバットメントのスクリューホール内部と当該チューブの外面の両方、又はどちらか一方にネジ加工を施すことによるネジ固定、及びそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のアバットメントの構造
  3. アバットメントが複数のパーツによって構成され、ネジの封入方法が当該アバットメントのパーツ同士を圧入、溶接、接着、ロウ着、ネジ止め、アバットメントのスクリューホール内部と当該チューブの外面の両方、又はどちらか一方にネジ加工を施すことによるネジ固定、及びそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のアバットメントの構造。
  4. ネジの封入方法が、粉末冶金等の三次元造形によりアバットメントとネジを同時に成形、又は予め作成しておいたネジの周りにアバットメントを成形し組み込むことを特徴とした請求項1又は2に記載のアバットメントの構造。
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