JP2009082171A - 歯科用インプラントアバットメント - Google Patents

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Abstract

【課題】欠如歯部の失われた口腔機能を回復するための歯科インプラント治療において、顎骨に埋入されて人工歯根となるインプラントフィクスチャーの口腔内側に装着され、歯肉を貫通し上部構造体の土台となる歯科用インプラントアバットメントであって、歯科インプラント治療を施した患者に骨吸収に伴う歯肉退縮が生じても審美性を著しく損なうことがない歯科用インプラントアバットメントを提供する。
【解決手段】歯科用インプラントアバットメントを、顔料を添加して焼結されることによって全体が歯肉に近似した色を成すセラミック製とする。歯肉に近似した色としては、L*a*b*表色系表示でL*が60〜85、a*が9〜20,b*が−5〜9が好ましい。
【選択図】図7

Description

本発明は、欠如歯部の失われた口腔機能を回復するための歯科インプラント治療において、顎骨に埋入されて人工歯根となるインプラントフィクスチャーの口腔内側に装着され、歯肉を貫通し上部構造体の土台となる歯科用インプラントアバットメントであって、歯科インプラント治療を施した患者に骨吸収に伴う歯肉退縮が生じても審美性を著しく損なうことがない歯科用インプラントアバットメントに関するものである。
欠如歯部の失われた口腔機能を回復するための治療方法として、欠如歯部の顎骨内に埋入して顎骨と骨結合した人工歯根となるインプラントフィクスチャーの口腔内側に歯科用補綴物を固定する歯科インプラント治療が普及してきている。この歯科インプラント治療において、従来はインプラントフィクスチャーの口腔内側に歯肉を貫通する歯科用インプラントアバットメントを配置し、この歯科用インプラントアバットメントの口腔内側に歯科用補綴物を配置する構造が一般的であった(例えば、特許文献1,特許文献2及び特許文献3参照。)。
しかしこのような歯科インプラント治療においては、歯科インプラント治療を施した患者に経時的に骨吸収が起こり、これに伴って歯肉退縮が発生することがある。このような歯肉退縮が発生すると、インプラントフィクスチャーの口腔内側に配置されている歯肉を貫通する歯科用インプラントアバットメントの口腔内側部分が露出することになる。
しかるに、従来の歯科用インプラントアバットメントは生体親和性等を考慮してチタン又はチタン合金で形成されていたため、歯科用インプラントアバットメントの口腔内側部分が露出するようになると金属色のチタン又はチタン合金が歯肉の口腔内側に見えることになって著しく審美性を損なうことになる。
また近年、歯科用CAD/CAM技術の進歩により、歯科用インプラントアバットメントをセラミック製のブロックから削り出して製作する手法が普及してきたが、このセラミックはジルコニアを主成分とするものであるので白色に近い色彩のものであるから、やはり歯科用インプラントアバットメントの口腔内側部分が露出するようになると白色に近いセラミックが歯肉の口腔内側に見えることになって著しく審美性を損なうことになる。
このように歯科用インプラントアバットメントの唇側又は頬側部分が露出して著しく審美性が損なわれるようになると、歯科用インプラントアバットメントを高さの低いものに替えるか又は切削して再度咬合採得から補綴物を作製し直す必要があるが、これは歯肉退縮が発生した患者の肉体的や金銭的な負担が大きく好ましくない。
そこで骨吸収した顎骨や退縮した歯肉を回復させる方法として、歯肉の移植や、エムドゲイン,GTR,GBR等を用いた外科的な処置方法も提案されているが、このような処置方法は未だ現実的ではないばかりか、歯肉退縮が発生した患者の負担が大きいことに変わりはない。
特開平7−80003公報8 特開2003−325552号公報 米国特許明細書5674072号公報
本発明は、歯科インプラント治療を施した患者に骨吸収に伴う歯肉退縮が生じても審美性を著しく損なうことがない歯科用インプラントアバットメントを提供することを課題とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、歯科用インプラントアバットメントを顔料を添加して焼結されることによって全体が歯肉に近似した色を成すセラミック製とすれば、歯科インプラント治療を施した患者に骨吸収に伴う歯肉退縮が生じて歯科用インプラントアバットメントの口腔内側部分が露出してもその露出した部分の色が歯肉に近似した色を成すので審美性を著しく損なうことがないことを究明し、本発明を完成したのである。
即ち本発明は、顎骨に埋入されて人工歯根となるインプラントフィクスチャーの口腔内側に装着され、歯肉を貫通し上部構造体の土台となる歯科用インプラントアバットメントであって、顔料を添加して焼結されることによって全体が歯肉に近似した色を成すセラミック製であることを特徴とする歯科用インプラントアバットメントである。
そして歯肉に近似した色はL*a*b*表色系表示でL*が60〜85、a*が9〜20,b*が−5〜9であることが好ましいと共に、この歯科用インプラントアバットメントとしては、歯肉を貫通する部位の口腔内側に補綴物固定部位を有するものであることが好ましいのである。
本発明に係る歯科用インプラントアバットメントは、顎骨に埋入されて人工歯根となるインプラントフィクスチャーの口腔内側に装着され、歯肉を貫通し上部構造体の土台となる歯科用インプラントアバットメントであって、顔料を添加して焼結されることによって全体が歯肉に近似した色を成すセラミック製であるから、歯科インプラント治療を施した患者に骨吸収に伴う歯肉退縮が生じて歯科用インプラントアバットメントの口腔内側部分が露出してもその露出した部分の色が歯肉に近似した色を成すので審美性を著しく損なうことがない。その結果、審美性を回復するために補綴物の再作製や、歯科インプラント治療の再施術や、歯肉の外科的な処置を行う頻度を軽減することができるのである。
このような効果は、歯肉に近似した色がL*a*b*表色系表示でL*が60〜85、a*が9〜20,b*が−5〜9であれば確実に奏することができ、また歯肉を貫通する部位の口腔内側に補綴物固定部位を有するものであれば、歯科用CAD/CAM技術により、セラミック製のブロックから歯科用インプラントアバットメントを削り出して製作する際に、補綴物固定部位も一緒に作製することができるので、補綴物固定部位に相当する部材を別途準備しなくても済むという効果もある。
以下、図面により本発明に係る歯科用インプラントアバットメントについて詳細に説明する。
図1は本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの1実施例の斜視図、図2は図1に示す歯科用インプラントアバットメントを使用した歯科インプラント治療完了後の状態を示す縦断面説明図、図3は本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの他の実施例の斜視図、図4は図3に示す歯科用インプラントアバットメントを使用した歯科インプラント治療完了後の状態を示す縦断面説明図、図5は本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの更に他の実施例の斜視図、図6は本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの更に他の実施例の斜視図、図7は本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの更に他の実施例の斜視図である。
図面中、1は欠如歯部の失われた口腔機能を回復するための歯科インプラント治療において、欠如歯部の顎骨に埋入され顎骨と骨結合して人工歯根となるインプラントフィクスチャーであり、前記特許文献1に示されているような略円柱状を成しているものや、前記特許文献2に示されているような略円柱状を成しておりその外周にオネジが螺設されているものがあり、その中央の軸方向にメネジ1aが螺設されている。そしてその口腔内側には後述する歯科用インプラントアバットメント2を回転しないように係合させるための係合部1bが設けられている。この係合部1bとしては、図1及び図3に示すように歯科用インプラントアバットメント2のインプラントフィクスチャー1側に設けられている係合部2aが六角形などの角柱状である場合にはその横断面が角柱状に合致した形状の凹部であり、図5に示すように歯科用インプラントアバットメント2のインプラントフィクスチャー1側に設けられている係合部2aがその横断面が六角形などの角状の凹部である場合にはその角状に合致した形状の柱状であり、また図6に示すように歯科用インプラントアバットメント2のインプラントフィクスチャー1側に設けられている係合部2aが円柱状の外周に所定間隔で凸条が設けられている形状である場合にはその横断面が円形の外周に所定間隔で凹条が設けられている形状である。そして、このような係合部1bが柱状である場合にはその係合部1bにメネジ1aに連通する貫通穴が形成されている。
2は顎骨に埋入されて人工歯根となるインプラントフィクスチャー1の口腔内側に装着され、歯肉を貫通し上部構造体の土台となる本発明に係る歯科用インプラントアバットメントであり、顔料を添加して焼結されることによって全体が歯肉に近似した色を成すセラミック製である。更に詳しくは、ジルコニアを主成分とし、これに赤色又は赤色と黄色の顔料を少量添加して焼結すれることによって製造された全体が歯肉に近似した色を成すセラミック製である。
この歯科用インプラントアバットメント2としては、その口腔内側と反対側にインプラントフィクスチャー1の口腔内側に設けられている係合部1bに係合するための、図1及び図3に示すような六角形などの角柱状や、図5に示すような横断面が六角形などの角状の凹部や、図6に示すような円柱状の外周に所定間隔で凸条が設けられている形状の係合部2aが設けられており、またその口腔内側には図1,図2及び特許文献1に示すような歯科用インプラントアバットメント2とは別部材から成る補綴物形成部材を回転しないように係合する口腔内側係合部2bが設けられている態様や、図3,図4,図5,図6及び特許文献2に示すような歯肉を貫通する部位の口腔内側に略裁頭円錐形状の外面形状を有する補綴物固定部位2cが一体を成して形成されている態様や、図7に示す如く形成する補綴物の形状に即した形状の補綴物固定部位2cが一体を成して形成されている態様のものがあり、またインプラントフィクスチャー1の口腔内側にその係合部2aを係合させて装着された際に、図1,図2や特許文献1及び特許文献2のようにインプラントフィクスチャー1の口腔内側外面から口腔内側に拡がるような形状のものや、図4や特許文献3のようにインプラントフィクスチャー1の口腔内側端面の外周より内側から口腔内側に拡がるような形状のものがある。そして、インプラントフィクスチャー1の口腔内側面から口腔内側に拡がる口腔内側端部は平面状を成しているものや、図7に示すような歯間の乳頭部を考慮して歯間の乳頭部側が口腔内側により突出するようなスキャロップ構造のものがある。
ジルコニアを主成分とし、顔料として、Pigment Red 231のみ、又はPigment Red 231とPigment Yellow 159とを添加して焼結したセラミック製の材料を使用した歯科用インプラントアバットメントと、顔料を全く添加すること無くジルコニアのみから成るものを焼結したセラミック製の材料を使用した歯科用インプラントアバットメントとを製造した。
これらの歯科用インプラントアバットメントのL*a*b*表色系表示でのL*,a*及びb*を求めた結果を表1に示す。
その結果、L*a*b*表色系表示でL*が60〜85、a*が9〜20,b*が−5〜9である実施例1〜5は歯肉に近似した色を成し、歯科インプラント治療を施した患者に骨吸収に伴う歯肉退縮が生じても審美性を著しく損なうことがないことが確かめられたが、比較例1〜4はL*a*b*表色系表示でa*が9より大きいため色相が赤色に近くなって歯肉に近似した色を成さないばかりかb*が9より大きいため彩度が黄色に近くなって歯肉に近似した色を成さないので好ましくなく、また顔料が全く添加されない比較例5はL*が95以上であるので白色に近く、歯科インプラント治療を施した患者に骨吸収に伴う歯肉退縮が生じても審美性を著しく損なうことは明白であった。
Figure 2009082171
本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの1実施例の斜視図である。 図1に示す歯科用インプラントアバットメントを使用した歯科インプラント治療完了後の状態を示す縦断面説明図である。 本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの他の実施例の斜視図である。 図3に示す歯科用インプラントアバットメントを使用した歯科インプラント治療完了後の状態を示す縦断面説明図である。 本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの更に他の実施例の斜視図である。 本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの更に他の実施例の斜視図である。 本発明に係る歯科用インプラントアバットメントの更に他の実施例の斜視図である。
符号の説明
1 インプラントフィクスチャー
1a メネジ
1b 係合部
2 歯科用インプラントアバットメント
2a 係合部
2b 口腔内側係合部
2c 補綴物固定部位

Claims (3)

  1. 顎骨に埋入されて人工歯根となるインプラントフィクスチャーの口腔内側に装着され、歯肉を貫通し上部構造体の土台となる歯科用インプラントアバットメントであって、顔料を添加して焼結されることによって全体が歯肉に近似した色を成すセラミック製であることを特徴とする歯科用インプラントアバットメント。
  2. 歯肉に近似した色がL*a*b*表色系表示でL*が60〜85、a*が9〜20,b*が−5〜9である請求項1に記載の歯科用インプラントアバットメント。
  3. 歯肉を貫通する部位の口腔内側に補綴物固定部位を有する請求項1又は2に記載の歯科用インプラントアバットメント。
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