JP4704530B2 - 通気性容器収納型殺虫剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通気性容器収納型殺虫剤に関する。さらに詳しくは、常温蒸散性殺虫剤が用いられた通気性容器収納型殺虫剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
通気性容器収納型殺虫剤は、一般に、通気性を有する容器と、該容器内に収納された、殺虫剤が保持された殺虫剤保持体とで構成されている。該通気性容器収納型殺虫剤は、殺虫剤保持体を保護し、殺虫剤保持体からの殺虫剤の放出速度を制御し、あるいは殺虫剤保持体により周囲が汚染されるのを防止するために使用されている。
【0003】
しかしながら、従来の通気性容器収納型殺虫剤には、殺虫剤保持体に保持された殺虫剤が容器に吸着され、一旦吸着された殺虫剤は、多くの場合、再度放出されることがないため、経済性および有効性の両面で欠点がある。また、殺虫剤の容器への吸着は、使用中のみならず、商品としての流通過程においても進行し、この吸着によって容器自体に変形、変色、異臭などが発生するため、商品的価値の面でも欠点がある。
【0004】
そこで、これらの欠点を解消する手段として、近年、通気性容器収納型殺虫剤を構成している容器に特定の樹脂を使用することが提案されている(特開平2−275805号公報)。
【0005】
しかしながら、前記樹脂を用いた場合、確かに殺虫剤の容器への吸着に対しては、ある程度の効果が認められるものの、その効果が必ずしも充分であるとはいえず、また長期間使用した場合には、容器自体に変形が生じることがある。さらに、前記樹脂の多くは塩素系化合物であるため、その使用後の廃棄、焼却処理過程で、人体などに対して有害な物質を発生するおそれがあることから、環境保護の観点から、それらの使用を回避することが望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、塩素系化合物などの環境を害するおそれがある化合物を一切使用せずに、殺虫剤が容器に吸着するようなことがほとんどなく、容器に有害な変形などの劣化もほとんど発生させずに、殺虫剤が有する殺虫効果を充分に発現させることができる通気性容器収納型殺虫剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、25℃における蒸気圧が10-6〜10-3mmHgである常温蒸散性ピレスロイド系殺虫剤を担体に保持せしめてなる殺虫剤保持体を、脂肪族ポリエステルを基材とする通気性容器内に収納してなる通気性容器収納型殺虫剤であって、前記脂肪族ポリエステルが、脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸系重合体、アルキレングリコールと脂肪族ジカルボン酸またはそのエステルとの縮重合体およびポリ(ε−カプロラクトン)からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体である通気性容器収納型殺虫剤に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の通気性容器収納型殺虫剤は、前記したように、25℃における蒸気圧が10-6〜10-3mmHgである常温蒸散性殺虫剤を担体に保持せしめてなる殺虫剤保持体を、脂肪族ポリエステルを基材とする通気性容器内に収納したものである。
【0009】
常温蒸散性殺虫剤の25℃における蒸気圧が10-6mmHg以上とされるのは、それ未満では殺虫剤は実質的に常温で蒸散しないからであり、また10-3mmHg以下とされるのは、それを超えると蒸散速度が高くなりすぎ、その取扱いが煩雑となったり、安全面で注意を要するからである。
【0010】
25℃における蒸気圧が10-6〜10-3mmHgである常温蒸散性殺虫剤の種類には特に限定がない。その代表例としては、常温蒸散性有機リン系殺虫剤、常温蒸散性ピレスロイド系殺虫剤などがあげられるが、これらの中では、安全性などの面から、常温蒸散性ピレスロイド系殺虫剤が好ましい。
【0011】
常温蒸散性有機リン系殺虫剤の具体例としては、0,0−ジメチル−2,2−ジクロロビニルホスフェート(一般名:ジクロルボス)などがあげられる。
【0012】
また、常温蒸散性ピレスロイド系殺虫剤の具体例としては、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニルdl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名:エムペントリン)、d−トランス−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(一般名:トランスフルスリン)、dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルdl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名:アレスリン)、dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルd−シス/トランス−クリサンテマート(一般名:dl・d−T80−アレスリン)、dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルd−トランス−クリサンテマート(一般名:dl・d−T−アレスリン)、dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルd−トランス−クリサンテマート(一般名:d・d−T−アレスリン)、(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−インドリル)メチルdl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名:dl・d−T80−フタルスリン)、(5−ベンジル−3−フリル)メチルd−シス/トランス−クリサンテマート(一般名:dl・d−T80−レスメトリン);5−ベンジル−3−フリルメチルd−シス/トランス−クリサンテマート(一般名:クリスロンフォルテ)、5−プロパギル−2−フリルメチル−フリルメチル−d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名:フラメトリン)、dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル−dl−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−シクロプロパンカルボキシラート(一般名:テラレスリン)、(+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル(+)−シス/トランス−クリサンテマート(一般名:d・d−T80−プラレトリン)などがあげられる。これらの中では、特に蒸気圧が10-4mmHg以上である常温蒸散性ピレスロイド系殺虫剤が好ましい。その代表例としては、エムペントリン、テラレスリンなどがあげられ、これらは、本発明において好適に使用しうるものである。なかでも、エムペントリンは、特に好適に使用しうるものである。
【0013】
なお、殺虫剤は、本発明の目的が阻害されない範囲内で、他の薬剤と併用することができる。
【0014】
前記他の薬剤としては、例えば、ブチルカルビトール−6−プロピルピペロニルエーテル、オクタクロロジプロピルエーテル、イソボルニルチオシアナアセテート、イソボルニルチオシアノエチルエーテル、N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ(2,2,2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドなどの共力剤;N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、p−ジクロロベンゼン、ジ−n−ブチルサクシネート、カラン−3,4−ジオール、1−メチルプロピル2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラート、樟脳、ナフタリンなどの昆虫忌避剤;パラクロロメタキシレノール、イソプロピルメチルフェノール、オルソフェニルフェノール、チモールなどの防カビ除菌剤;2−〔1−メチル−2−(4−フェノキシフェノキシ)エトキシ〕ピリジン(一般名:ピリプロキシフェン)、11−メトキシ−3,7,11−トリメチル−2,4−ドデカジエノイックアシド−1−メチルエチルエステル(一般名:メトプレン)、1−(4−クロロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名:ジフルベンズロン)、2−シクロプロピルアミノ−4,6−ジアミノ−s−トリアジン(一般名:シロマジン)などの昆虫成長制御物質;緑茶抽出物、ベタイン化合物などの消臭剤;ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ヨシノックス425(吉富ファインケミカル(株)製、商品名)などの酸化防止剤;ホウ酸、メタアルデヒドなどの食毒剤;ブロマジオロンなどの殺鼠剤;合成フェロモンなどの誘引剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、天然香料、色素、溶剤、酸化防止剤、効力増強剤、天然精油、植物抽出物、蒸散促進剤、蒸散抑制剤などがあげられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0015】
また、殺虫剤は、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの除湿剤;シリカゲル、珪藻土などの除湿剤;活性炭などの脱臭剤;昇華剤などのインジケーターなどと組合せて使用することもできる。
【0016】
担体としては種々のものを使用することができ、その種類には特に限定がない。
【0017】
担体の代表例としては、例えば、パルプ、コットンなどの天然繊維や、ポリエチレン、通気性容器の基材として用いられるのと同様の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン−6,ナイロン−66などのポリアミド、ポリウレタンなどからなる合成繊維などの繊維からなるマット、織布、不織布、紙など;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、前記脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、ナイロン−6,ナイロン−66などのポリアミド、ポリウレタンなどの合成樹脂からなるフィルム、シート、ペレット、成形体など;有機溶媒、水などの溶媒を、各種ゲル化剤、吸水性ポリマー、吸油性ポリマー、増粘剤などでゲル化させたゲル化物;シリカ粉、ゼオライト、マイカ粉、タルク、カオリン、その他の鉱物粉などの無機粉体;マイクロカプセル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、前記脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、ナイロン−6,ナイロン−66などのポリアミド、ポリウレタンなどの樹脂粒子を焼結して得られた焼結体;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタンなどの樹脂を発泡させて得られた樹脂発泡体などがあげられる。これらの中では、取扱性、経済性などの観点から、紙、フィルム、シートなどは、好適に使用しうるものである。
【0018】
なお、担体として、例えば、紙、フィルム、シートなどの基材を用いる場合には、かかる基材の厚さは、常温蒸散性殺虫剤を効率的に蒸散させる観点および充分な機械的強度を保持させる観点から、0.01〜10mm程度、好ましくは0.1〜5mm程度であることが望ましい。
【0019】
担体に常温蒸散性殺虫剤を保持させる方法としては、例えば、担体が紙、フィルム、シート、織布、不織布などである場合には、印刷、滴下、含浸、塗布、噴霧などの方法があげられ、また担体がペレット、成形体などである場合には、その原料と常温蒸散性殺虫剤とを混練する方法、ペレット、成形体などに塗布する方法などがあげられる。
【0020】
担体に保持される常温蒸散性殺虫剤の量は、かかる常温蒸散性殺虫剤の種類、対象となる害虫の種類、常温蒸散性殺虫剤の有効期間などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、担体1個あたり、10〜1000mg程度であることが好ましい。
【0021】
かくして常温蒸散性殺虫剤を担体に保持せしめることにより、殺虫剤保持体が得られる。
【0022】
得られた殺虫剤保持体を、脂肪族ポリエステルを基材とする通気性容器内に収納することにより、本発明の通気性容器収納型殺虫剤が得られる。
【0023】
脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は、特に限定がないが、通常、10000〜1000000程度であることが望ましい。
【0024】
脂肪族ポリエステルの種類には、特に限定がない。経済性および加工性の観点から好適に使用しうる脂肪族ポリエステルの代表例としては、脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸系重合体、アルキレングリコールと脂肪族ジカルボン酸またはそのエステルとの共重合体、ポリ(ε−カプロラクトン)などがあげられ、これら単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
前記脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸系重合体に用いられるモノマーとしては、例えば、乳酸、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。該モノマーを単独で使用した場合にはホモポリマーが得られ、また該モノマーを2種以上使用した場合にはコポリマーとなる。該コポリマーは、ランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよい。
【0026】
前記脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸系重合体の具体例としては、例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレート共重合体などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
前記アルキレングリコールと脂肪族ジカルボン酸またはそのエステルとの共重合体の代表例としては、炭素数が2〜4のアルキレングリコールと、炭素数が2〜8の直鎖状脂肪族飽和ジカルボン酸またはそのエステルとの縮重合体があげられる。炭素数が2〜4のアルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、炭素数が2〜8の直鎖状脂肪族飽和ジカルボン酸またはそのエステルとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、それらのエステルなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、前記脂肪族ジカルボン酸の炭素数が1〜4のアルキルエステルなどがあげられる。
【0028】
前記炭素数が2〜4のアルキレングリコールと、炭素数が2〜8の直鎖状脂肪族飽和ジカルボン酸またはそのエステルとの縮重合体の具体例としては、例えば、エチレングリコールとコハク酸またはそのエステルとの縮重合体であるポリエチレンサクシネート、ブチレングリコールとコハク酸またはそのエステルとの縮重合体であるポリブチレンサクシネート、エチレングリコールおよびブチレングリコールとコハク酸またはそのエステルとの縮重合体であるポリエチレンブチレンサクシネート、ブチレングリコールとコハク酸またはそのエステルおよびアジピン酸またはそのエステルとの縮重合体であるポリブチレンサクシネートアジペートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
なお、通気性容器は、脂肪族ポリエステルを基材としていればよく、必要により、例えば、経済性や外観性の向上、改質などを目的として、本発明の目的が阻害されない範囲内で、該脂肪族ポリエステルには他の樹脂を配合することができる。かかる他の樹脂、すなわち脂肪族ポリエステル以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、デンプン、キトサン、セルロースなどの天然高分子化合物などがあげられ、これらの樹脂は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの樹脂を配合する場合、これらの樹脂は、脂肪族ポリエステルとただ単に物理的に混合されているだけであってもよく、また脂肪族ポリエステルと分子レベルで結合されていてもよい。
【0030】
脂肪族ポリエステルと他の樹脂とを併用する場合、脂肪族ポリエステルの量は、脂肪族ポリエステルと他の樹脂との全量中に、10〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%含まれていることが、脂肪族ポリエステルの特性を充分に発現させる観点から望ましい。
【0031】
また、通気性容器を構成している樹脂中には、例えば、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、シリカなどの無機充填剤;酸化チタンなどの顔料;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名:「チヌビン326」、「チヌビンP」などの紫外線吸収剤;酸化防止剤などの耐候性改良剤;界面活性剤、帯電防止剤などの加工助剤、強度向上などの物理的性質の改善を目的とした改質剤を必要に応じて適量で配合することもできる。
【0032】
通気性容器の大きさおよびその形態は、その内部に殺虫剤保持体を収納することができる形態であればよく、特に限定がない。かかる通気性容器の代表例としては、例えば、通気性成形容器、通気性袋体などがあげられる。また、その大きさは、一辺の長さが2〜20cm程度であればよい。
【0033】
通気性容器が通気性成形容器である場合、脂肪族ポリエステルの熱可塑性を利用して、例えば、真空成形、射出成形、圧空成形、ブロー成形などの成形法により、所望の形状を有する容器に成形することができる。この場合、この容器に通気性を付与するために、例えば、容器本体にスリットや格子状などの開口部を設けることができる。開口部の面積および形状は、本発明の通気性容器収納型殺虫剤の使用目的などに応じて任意に設定すればよい。このような通気性成形容器を使用する場合には、該通気性成形容器を複数の部材で構成させ、例えば、成形容器本体と蓋体とを蝶番などで蓋体が開閉自在となるように取付ければよい。また、通気性成形容器には、必要により、例えば、吊り下げ具、固定具、接着部などのその適応部位に応じて必要とされる部材が適宜配設されていてもよい。
【0034】
通気性容器が通気性袋体である場合、例えば、鐘紡(株)製、商品名:「ラクトロン」などのスパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などの不織布、織布、フィルム、シートなどに成形加工したものを縫製、接着などにより袋体に加工することにより、所望の形状を有する袋体を製造することができる。該通気性袋体が不織布や織布などで構成されている場合、それ自体が通気性を有するので、前記通気性成形容器のように開口部を設けなくてもよい。
【0035】
本発明の通気性容器収納型殺虫剤は、イガ、ヒメカツオブシムシ、シミなどの繊維害虫、ゴキブリ、ハエ、カ、屋内塵性ダニ、ノミなどの衛生害虫、コクゾウムシ、コクヌストモドキなどの食品害虫、チョウバエ、チャタテムシ、ハチなどの不快害虫、ナメクジ、アブラムシ、チョウなどの農業害虫をはじめとする種々の害虫に好適に使用しうるものである。
【0036】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0037】
実施例1〜4および比較例1〜5
担体としてパルプ製マット(12cm×12cm×1.5mm厚)を用い、これに常温蒸散性殺虫剤としてエムペントリン500mgおよび防カビ剤としてレモングラスオイル50mgを塗布し、殺虫剤保持体を得た。
【0038】
一方、通気性容器として、表1に示す樹脂を射出成形し、直方体状の通気性容器〔14cm×14cm×1cm厚、通気孔の開口率:全表面積(196cm2 )に対して約70%〕を作製した。
【0039】
次に、得られた通気性容器内に、殺虫剤保持体を収納し、通気性容器収納型殺虫剤を得た。
【0040】
得られた通気性容器収納型殺虫剤を用いて、以下の物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
(1)殺虫剤の移行量
通気性容器収納型殺虫剤をアルミニウムラミネートフィルムで密封し、これを40℃の恒温室内で保存し、2カ月または4カ月経過後に取り出し、通気性容器への常温蒸散性殺虫剤の移行量および常温蒸散性殺虫剤のマットにおける残存量を測定し、両者の合計量に対する通気性容器への殺虫剤の移行量およびマットにおける殺虫剤の残存量の比率を求めた。
【0042】
(2)容器変形
前記(1)の試験を行なった後、通気性容器の変形の有無を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて判定した。
〔評価基準〕
○:容器の変形が認められず。
△:わずかな容器変形が認められる。
×:明らかな容器変形が認められる。
【0043】
実施例5〜8および比較例6〜12
実施例1〜4および比較例1〜5において、殺虫剤保持体として、水解紙(10cm×10cm、坪量:100g/m2 )を用い、これに常温蒸散性殺虫剤としてエムペントリン300mgを塗布して得られた殺虫剤保持体を用いた他は、実施例1〜4および比較例1〜5と同様にして通気性容器収納型殺虫剤を製造した。
【0044】
得られた通気性容器収納型殺虫剤を用いて、前記物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0045】
なお、表1中、容器の材質の略号などは、以下のことを意味する。
ポリ乳酸:カーギル社製、商品名「エコプレ」
ポリヒドロキシアルカン酸:ヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレート共重合体(モンサント社製、商品名「バイオポール」)
SBE:コハク酸−ブタンジオール/エチレングリコール縮重合体(昭和電工(株)製、商品名「ビオノーレ」)
PCL:ポリ(ε−カプロラクトン)(ダイセル化学工業(株)製、商品名「セルグリーン」)
SPP:デンプン系添加剤(ノボン・ジャパン(株)製、商品名「ノボン」、30重量%とポリプロピレン70重量%との混合物)
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示された結果から、実施例1〜8で得られた通気性容器収納型殺虫剤は、いずれも、長期間保存した場合であっても、殺虫剤が殺虫剤容器にほとんど移行しないことがわかる。これに対し、比較例1〜12で得られた通気性容器収納型殺虫剤は、長期間保存した場合には、殺虫剤が殺虫剤容器に比較的多量で移行することがわかる。
【0048】
また、実施例1〜8で得られた通気性容器収納型殺虫剤は、いずれも、長期間使用した場合であっても、通気性容器に変形などを生じないことがわかる。これに対して、比較例1〜12で得られた通気性容器収納型殺虫剤は、長期間使用した場合には、通気性容器に変形を生じることがわかる。
【0049】
これらの事実から、実施例1〜8で得られた通気性容器収納型殺虫剤は、殺虫剤が容器にほとんど吸着するようなことがなく、容器に有害な変形などの劣化もほとんど発生させないものであることがわかる。
【0050】
実験例1
洋服ダンス内に、衣料害虫(イガ幼虫20個体およびヒメカツオブシムシ幼虫20個体)を入れたのち、実施例1〜4で得られた通気性容器収納型殺虫剤を吊るしたところ、約12カ月間にわたり、これら衣料害虫に対して充分な食害防止効果が認められた。
【0051】
以上の結果から、実施例1〜4で得られた通気性容器収納型殺虫剤は、洋服ダンス内で殺虫剤が有する殺虫効果を充分に発現させることができることがわかる。
【0052】
実験例2
実施例5〜8で得られた通気性容器収納型殺虫剤を家庭用浄化槽内に吊るし、約3カ月間放置した。その結果、オオチョウバエ成虫の発生は、まったく認められなかった。
【0053】
その後、通気性容器収納型殺虫剤を使用せずに、家庭用浄化槽を約3カ月間放置したところ、オオチョウバエ成虫の発生が認められた。
【0054】
以上の結果から、実施例5〜8で得られた通気性容器収納型殺虫剤は、家庭用浄化槽内で殺虫剤が有する殺虫効果を充分に発現させることができることがわかる。
【0055】
【発明の効果】
本発明の通気性容器収納型殺虫剤は、通気性容器には塩素系化合物などの環境を害するおそれがある化合物が一切使用されていないので、使用後の廃棄、焼却処理過程で、人体などに対して有害な物質を発生するおそれが少なく、環境保護の面で優れたものである。
【0056】
また、本発明の通気性容器収納型殺虫剤は、殺虫剤が通気性容器に吸着することがほとんどなく、通気性容器に有害な変形などの劣化をほとんど発生しないという優れた効果を奏する。
【0057】
したがって、本発明の通気性容器収納型殺虫剤は、殺虫剤が有する殺虫効果を充分に発現させるという効果を奏する。
Claims (6)
- 25℃における蒸気圧が10-6〜10-3mmHgである常温蒸散性ピレスロイド系殺虫剤を担体に保持せしめてなる殺虫剤保持体を、脂肪族ポリエステルを基材とする通気性容器内に収納してなる通気性容器収納型殺虫剤であって、前記脂肪族ポリエステルが、脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸系重合体、アルキレングリコールと脂肪族ジカルボン酸またはそのエステルとの縮重合体およびポリ(ε−カプロラクトン)からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体である通気性容器収納型殺虫剤。
- 脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸系重合体が、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレートまたはヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレート共重合体である請求項1記載の通気性容器収納型殺虫剤。
- アルキレングリコールと脂肪族ジカルボン酸またはそのエステルとの縮重合体が、炭素数が2〜4のアルキレングリコールと、炭素数が2〜8の直鎖状脂肪族飽和ジカルボン酸またはそのエステルとの縮重合体である請求項1記載の通気性容器収納型殺虫剤。
- 炭素数が2〜4のアルキレングリコールと、炭素数が2〜8の直鎖状脂肪族飽和ジカルボン酸またはそのエステルとの縮重合体が、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンブチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネートアジペートである請求項3記載の通気性容器収納型殺虫剤。
- 常温蒸散性ピレスロイド系殺虫剤が、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニルdl−シス/トランス−クリサンテマートである請求項1〜4いずれか記載の通気性容器収納型殺虫剤。
- 通気性容器が、通気性成形容器または通気性袋体である請求項1〜5いずれか記載の通気性容器収納型殺虫剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00217099A JP4704530B2 (ja) | 1999-01-07 | 1999-01-07 | 通気性容器収納型殺虫剤 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP00217099A JP4704530B2 (ja) | 1999-01-07 | 1999-01-07 | 通気性容器収納型殺虫剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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