JP4702757B2 - ごみ収容袋の破袋方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ処理場におけるごみ収容袋の破袋方法および装置に関し、特にリサイクル可能なプラスチック類のごみを分別基準適合物として処理する過程において、そのごみ収容袋を異物除去可能な状態に破袋する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家庭から排出されるごみは、ビニールやポリエチレン等の袋に収容されてごみ処理場に運搬されてくるが、このうち例えば、プラスチック類を容器包装リサイクル法に基づきリサイクルしようとすれば、上記袋を破って、その中に混入しているビンや缶等を除去し、異物除去適合物として分別する必要がある。これらの袋は引っ掛け金物や鎌等を用いて人手により破っていたが、このような人力による破袋作業は、能率が悪いことから機械化が要請されていた。
【0003】
機械的な破袋装置としては、従来より破砕機や解袋機等があるが、これらは大掛かりで高価なうえ、広い設置スペースを必要とするため、コストパフォーマンスの点で問題があった。
【0004】
また、ごみ収容袋を搬送するコンベアの途中に設置するものとして、例えば特公昭62−21578号公報に開示された破袋装置があり、同装置は搬送コンベアの上部にチェーンにより吊り下げられた数条の引っ掛け爪付きローラコンベアと、ローラコンベア間の固定部に列設した複数の固定刃とからなり、さらに搬送コンベアの移動速度に対しローラコンベア相互間の速度を変化させてなるものである。したがって、この装置の破袋方法の基本原理は、ごみ収容袋を装置重量により圧下しながら搬送し、ローラコンベア相互間の速度差によって引っ掛け爪と固定刃でごみ収容袋をねじり、引きちぎる方法である。
【0005】
そのため、引っ掛け爪が確実にごみ収容袋に食い込むことが前提条件であり、食い込み力が弱いと、例えば小さいごみ収容袋が混じっているような場合には引っ掛け爪の食い込み力が弱いため、破袋作用が不十分となるものである。したがって、大小入り混じったごみ収容袋に対しては破袋効果が十分でなく、しかもごみ収容袋内に別の小袋(子袋あるいは二次袋)が入っている場合にはその小袋の破袋までは不可能である。
【0006】
また、特開平5−31390号公報では、大小入り混じったごみ収容袋に着目してこれらの袋を回転刃により破袋しようと試みているが、該回転刃は搬送コンベアの排出端側上部に設置してあり、かつ、搬送方向に対し反対方向に回転しているため、押さえレバーにて上から小袋を押さえつけようとしても小袋は逃げる一方でうまく噛み込みができない。よって、この方法では小袋の破袋はほとんど不可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来技術ではごみ収容袋内にさらに別の小袋(子袋あるいは二次袋)が入っているような場合や、大小入り混じって搬送されてくる小袋に対しては破袋効果が不十分であるという課題がある。
また、破袋方法も引っ掛け爪の速度差と固定刃によるねじり引きちぎりでは破袋部が小さく、内容物が飛散する如き解体作用は期待できず、人手による解体作業が必要となる。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ごみ収容袋内の子袋あるいは二次袋や大小入り混じって搬送されてくる小袋に対しても異物除去可能な状態に破袋・解体することができ、しかもコストパフォーマンスに優れたごみ収容袋の破袋方法および装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るごみ収容袋の破袋方法は、ごみ収容袋を上下のコンベアの間で圧下しながら搬送する工程と、上部のコンベアを破袋手段として、上部コンベアを速度差を設けて回動する複数のチェーン間に配された回転刃で、圧下状態のごみ収容袋を回転刃により搬送方向に切り破る一次破袋工程と、圧下状態のごみ収容袋に前記上部のコンベアの前記複数チェーンにそれぞれ設けた複数の移動刃を食い込ませ、該移動刃の搬送方向の速度差によりごみ収容袋を解体する二次破袋工程と、を有し、前記一次破袋工程と、二次破袋工程とを同時進行することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係るごみ収容袋の破袋装置は、ごみ収容袋を搬送するコンベアと、該コンベアの上部に配設される破袋手段とを備えたものにおいて、前記破袋手段が、ごみ収容袋を圧下しながら搬送方向に異なる速度で回動する複数のチェーンと、前記チェーンの各々に突設した複数の移動刃と、前記チェーンの間において回転する回転刃と、を備え、前記回転刃を複数の駆動軸に前後交互に配設したことを特徴とするものである。
【0011】
ごみ収容袋は、下部のコンベアと上部の複数のチェーン(コンベア)の間に挟み込まれ、圧下を受けながら搬送される。この圧下状態のごみ収容袋を搬送方向に回転する回転刃で切り破ることにより縦長の切れ目ができ、さらに速度差をもつ相互の移動刃がごみ収容袋に食い込んだ(あるいは突き刺した)状態で引っ張るので、切れ目が大きく割けて内容物が散在する状態に解体させることができる。したがって、破袋効果が大きく、解体率が向上する。また、確実に異物除去可能な状態に解体できるので、プラスチック類のごみをリサイクル可能な分別基準適合物として処理することが可能となる。もちろん、人手による解体の後処理も不要である。
また、ごみ収容袋内に子袋が入っている場合や大小入り混じった小袋が搬送されてきても、回転刃によりそれらの子袋や小袋までも切り破ることができ、解体できる。
【0012】
また、本発明の破袋装置は、以下の特徴を有するものである。
前記回転刃をごみ収容袋の搬送方向に対し斜めに配設する。
前記破袋手段を昇降手段上に設置する。
複数列の前記回転刃の駆動軸をそれぞれ独立に揺動するスイングレバーにより支持する。
【0013】
回転刃は複数設けられ、この場合、回転刃にかかる負荷を軽減・分担させるために複数の駆動軸に前後交互に取り付けることが望ましい。また、回転刃を搬送方向に若干斜めに取り付けると、袋の切れ目が波形となるが、この場合でも同様の破袋効果がある。
さらに、ビン、缶等の硬い異物が混入している場合、回転刃を保護するために破袋手段を昇降手段上に設置し、破袋手段を上昇させることで、回転刃の過負荷を防ぐ。同様に、回転刃の駆動装置のみをスイングレバーによって揺動させ退避させることもできる。また、複数列の回転刃駆動軸はそれぞれ独立に揺動させる。
また、チェーンソーの如く、回転刃の代わりに別のチェーンの外周に切断刃を設けることもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の破袋装置の平面図、図2は概略の断面側面図、図3は図2のA−A線断面図である。
この破袋装置は、ごみ収容袋1を搬送する下部のコンベア10と、コンベア10の上部に配設された上部コンベアを主体とする破袋手段20とから構成される。破袋手段20は、主として、コンベア10の上部においてその幅方向に平行に並設した複数のチェーン21、22と、チェーン21、22の各々に所定の間隔で突設した移動刃23、24と、チェーン21と22の間において搬送方向に回転する複数の回転刃25とから構成される。
【0015】
チェーン21、22は、相互に速度差を設けて回動する。そのため、一方のチェーン21は、大径の駆動ホイール26に巻回され、速い速度で回動する。他方のチェーン22は、小径の駆動ホイール27に巻回され、遅い速度で回動する。したがって、これらのチェーン21、22に突設した移動刃23、24も、一方の移動刃23は高速で、他方の移動刃24は低速で、移動し、相互の移動刃23、24間に速度差を有する。
【0016】
チェーン21、22は、さらに同一径の従動ホイール28と、下部ガイドホイール29、30にそれぞれ巻回され、共通の駆動軸31に設けたチェーン駆動用モータ32によって、上記のように速度差を保ちながら搬送方向aと同方向に回動する。そして、下部の2列のガイドホイール29、30によりチェーン21、22の下側部分はコンベア10とほぼ平行に保持されている。また、チェーン21、22は、例えばキャタピラ(登録商標)形式のローラチェーンからなるものであるが、この形式に特に限定されるものではない。なお、図1において、33はチェーン緊張装置である。
【0017】
各チェーン21、22の間に設けられた回転刃25は、ここでは2列の駆動軸34に平面視で千鳥状に配置してあり、それぞれ駆動用モータ35により搬送方向aと同方向(図2において反時計方向)に回転する。回転刃25の刃先形状は円形刃、角形刃、のこ刃、かぎ形刃等適宜に選定される。回転刃25は半割りになっており、駆動軸34を挟んで取り付けられるようになっている。
【0018】
また、上記のように構成された破袋手段20は、ここでは昇降可能に設けられている。すなわち、コンベア10のサイドフレーム11の両外側にシリンダ装置40により昇降する昇降台41を設け、前記のチェーン駆動用モータ32、駆動軸31の軸受36、ガイドホイール軸の軸受37、従動ホイール軸の軸受38、並びに回転刃駆動用モータ35、および駆動軸34の軸受39等は全てこれらの昇降台41上に設置されている。シリンダ装置40はサイドフレーム11に固定された基台42の前後端部に取り付けられている。昇降台41は基台42上のガイドポスト43により昇降案内をさせている。
このように昇降可能な破袋手段20を設置するために、コンベア10のサイドフレーム11には各チェーンホイール軸および回転刃駆動軸34を上方より挿入するよう切欠き部12が設けてある。
【0019】
コンベア10は、幅の半分程度の羽根13を千鳥状に配設した羽根付きのものとなっているが、もちろんこのような形式に限定されるものではない。また、コンベア10は傾斜させることも可能である。図中、44は安全カバーである。
【0020】
次に、この実施の形態による破袋装置の動作を図4を参照して説明する。
プラスチック類のごみを収容したごみ収容袋1をコンベア10により次々に搬送する。ごみ収容袋1は、本破袋装置に到達すると、搬送方向aと同方向に回動しているチェーン21、22の入口傾斜部によって噛み込まれ、次第に圧下されながら搬送される。ごみ収容袋1は圧下されると、幅広い扁平な状態となる(図4(a)参照)。
【0021】
この圧下状態にあるごみ収容袋1は、回転刃25の回転により搬送方向aに、すなわち縦長に切り破られる。回転刃25は複数設けてあるので、数条の切れ目2ができる。これが、図4(b)に示す一次破袋工程(1)である。この切れ目2ができると、内部の圧縮された空気やビニール等の袋の復元力によって切れ目2が大きく割けることになる。これが、図4(c)に示す一次破袋工程(2)である。また、ごみ収容袋1内に子袋3が混入している場合や大小入り混じって小さい小袋(図示せず)がある場合でも、その子袋3あるいは小袋を切り破ることができる。
【0022】
回転刃25の相互間にはチェーン21、22に取り付けられた移動刃23、24が速度差をもって搬送方向aと同方向に移動しているので、移動刃23、24は切れ目2と切れ目2の間において袋1に食い込みもしくは突き刺し、速度差によってごみ収容袋1を引きちぎることになる(図4(d)参照)。ここにごみ収容袋1は完全に解体され、内容物(プラスチック類のごみ)4が散在する状態となる。これが二次破袋工程である。
【0023】
実際には、以上の、圧下・搬送、一次破袋、二次破袋の各工程は順番に行われるのではなく、同時進行的に行われる。
また、ごみ収容袋1内に、ビン、缶、ガラス、陶器類等が混入している場合において、回転刃25にかかる負荷が大きくなると、回転刃25を保護するために、シリンダ装置40によって昇降台41を上昇させ、回転刃25にかかる負荷を軽減させる。この上昇のタイミングは回転刃駆動用モータ35の負荷電流や回転刃25の回転数等を検知することによって制御することができる。また、このシリンダ装置40によって圧下・搬送部のギャップを調整することができるとともに、圧下時に大形の異物があった場合は破袋手段20を上昇させることにより装置を保護することができる。
【0024】
回転刃25を搬送方向aに対して若干斜めに取り付けることもできる。これによって、ごみ収容袋1や子袋3等の切れ目2を波形にすることができ、同様の破袋効果がある。
また、回転刃25に過負荷がかかった場合に、上記のように装置全体を上昇させるのではなく、回転刃25の駆動装置のみを退避させることもできる。例えば、図5に示すように、駆動軸34の両端部をスイングレバー45により支持する。この場合、前後の回転刃25をそれぞれ独立に揺動させ退避させるよう複数列の駆動軸34の各々をスイングレバー45で支持する。回転刃25はなるべく複数設ける方がよく、その場合においても、1本の軸に複数取り付けるよりも複数本の軸に取り付けることによって回転刃25にかかる負荷を軽減・分担させることが望ましい。
また、図6に示すように、回転刃の代わりに別のチェーン46の外周に切断刃47を設けることにより、切断機構をチェーンソーの如く構成することもできる。
【0025】
本発明の破袋装置は、既設のコンベアにも設置できることはいうまでもない。また、斜めに設置されたコンベアに対しても設置が可能である。しかも、省スペースでコンパクトな構成であるため、コストパフォーマンスに優れている。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ごみ収容袋を上下のコンベアの間で圧下しながら搬送し、その圧下状態にあるごみ収容袋を回転刃により搬送方向に切り破り、さらに上部のコンベアに突設した相互の移動刃の速度差により切れ目を拡大するようにしたので、解体率が向上するとともに、ごみ収容袋を確実に異物除去可能な状態に解体することができる。
また、ごみ収容袋内の子袋や大小入り混じって搬送される小袋をも回転刃により破袋することができる。
さらに、省スペースでコンパクトな構成であるため、コストパフォーマンスに優れている。
また、圧下時および破袋時に大形の異物や切断不可能な異物(ビン、缶等)が合った場合には破袋手段を上昇もしくは揺動させて退避させることにより本破袋装置を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の破袋装置の平面図である。
【図2】図1の概略断面側面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の破袋方法を示す説明図である。
【図5】回転刃駆動装置の揺動手段の概略側面図である。
【図6】別の切断機構を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1 ごみ収容袋
2 切れ目
3 子袋
4 内容物(プラスチック類のごみ)
10 コンベア
20 破袋手段
21、22 チェーン
23、24 移動刃
25 回転刃
31 駆動軸
32 チェーン駆動用モータ
34 回転刃駆動軸
35 回転刃駆動用モータ
40 シリンダ装置
41 昇降台
45 スイングレバー
46 チェーン
47 切断刃
Claims (5)
- ごみ収容袋を上下のコンベアの間で圧下しながら搬送する工程と、
上部のコンベアを破袋手段として、上部コンベアを速度差を設けて回動する複数のチェーン間に配された回転刃で、圧下状態のごみ収容袋を回転刃により搬送方向に切り破る一次破袋工程と、
圧下状態のごみ収容袋に前記上部のコンベアの前記複数チェーンにそれぞれ設けた複数の移動刃を食い込ませ、該移動刃の搬送方向の速度差によりごみ収容袋を解体する二次破袋工程と、を有し、
前記一次破袋工程と、二次破袋工程とを同時進行することを特徴とするごみ収容袋の破袋方法。 - ごみ収容袋を搬送するコンベアと、該コンベアの上部に配設される破袋手段とを備えたものにおいて、
前記破袋手段が、ごみ収容袋を圧下しながら搬送方向に異なる速度で回動する複数のチェーンと、
前記チェーンの各々に突設した複数の移動刃と、
前記チェーンの間において回転する回転刃と、を備え、
前記回転刃を複数の駆動軸に前後交互に配設したことを特徴とするごみ収容袋の破袋装置。 - 前記回転刃をごみ収容袋の搬送方向に対し斜めに配設したことを特徴とする請求項2記載のごみ収容袋の破袋装置。
- 前記破袋手段を昇降手段上に設置したことを特徴とする請求項2記載のごみ収容袋の破袋装置。
- 前記回転刃の駆動軸の両端部をそれぞれ独立に揺動するスイングレバーにより支持してなることを特徴とする請求項2または3記載のごみ収容袋の破袋装置。
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