JP4702713B2 - 注出キャップ - Google Patents

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JP4702713B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器口部から容易に取り外すことができる分別回収に適した合成樹脂製の注出キャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
資源リサイクルのため、壜等の容器においては構成部材を材種毎に分別回収することが要求されており、容器本体と異なる材種の注出キャップを組み付けた飲料物の容器等では、内容物消費後に注出キャップを取り外す必要がある。
【0003】
ところが、注出キャップは商品の流通時あるいは使用時に外れることがないよう、容器口部に強固に組み付き固定されているため、使用後に注出キャップを取り外すことは容易ではない。この点を改善するために、例えば実開平4−118348号公報に開示された注出キャップが提案されている。
【0004】
この注出キャップは、キャップ本体と、このキャップ本体に被嵌状に組み付く上蓋とから構成され、キャップ本体は容器口部に係止する突条を内周面に突設する外筒を有し、この外筒に、突条近傍で周方向に延設する薄肉部と、下端から縦方向に延設し周方向の薄肉部と連続する薄肉部を形成し、縦方向の薄肉部近傍に一体設した摘まみ片を引っ張って各薄肉部を裂き切り、外筒の容器口部に対する係止を緩めることにより注出キャップを取り外し易くしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この注出キャップにおいては、キャップ打栓時に拡径変形を強いられる外筒の突条近傍に破損し易い薄肉部を形成しているので、外筒が薄肉部において破損しない範囲に拡径変形量を抑える必要があるが、拡径変形量を抑えると外筒の容器口部に対する係止力も抑えられ、商品の流通時あるいは使用時の不慮の外力で注出キャップが外れてしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記した従来技術における問題点を解決するために創案されたもので、外筒自体に薄肉部のような破損し易い部分を形成することなく、容器口部からの取り外しを可能とすることを技術的課題とし、外筒の容器口部に対する係止力を十分に確保しつつ、内容物使用後には容器口部から容易に取り外すことができる分別回収に適した注出キャップを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、容器口部の外周面に突周設した係止あご部と係止する係止突条を、外筒の下端部の内周面に突周設し、この下端部の外周面に、径方向に横断する切断用の弱化線を有し、この弱化線近傍の外面に摘まみ片を一体設した円環状の補強リングを、破断可能な弱化部を介して連設し、容器口部に密に組付いて注出口を形成するキャップ本体を有することこのキャップ本体に被嵌状に着脱自在に組付き、注出口を開閉する上蓋を有すること、容器口部に対するキャップ本体の組付き強度を、補強リングを取り除いた状態で、人手によるもぎ取り状の取り外しが可能なものにするために、破断可能な肉薄状、若しくはミシン目状に、あるいはこれらを組み合わせることにより弱化線を形成したこと、にある。
【0008】
この請求項1記載の発明にあっては、注出キャップは、外筒下端部の内周面に突設した係止突条が容器口部の外周面に突設した係止あご部と係止することにより、容器口部に組み付き固定するが、外筒下端部単体での容器口部に対する組付き強度は、人手によるもぎ取り状の取り外しができる程度となっているので、商品の流通時あるいは使用時に不慮の外力を受けて、外筒下端部の容器口部に対する組付きが妄りに外れることがないように、外筒下端部のたわみ変形を補強リングで拘束し、容器口部に対する組付きを安定して確保する。
【0009】
キャップの取り外しに際して、摘まみ片を引っ張り、弱化線を破断して補強リングを切断し、引き続き弱化部を破断して外筒下端部に対する補強リングによる拘束を消滅させる。外筒下端部の容器口部に対する組付き強度は、弱化部を破断した状態で、容器口部からもぎ取り可能とする程度の強さに設定しているので、キャップをもぎ取るようにして容易に取り外すことができる。
【0010】
また、本発明の注出キャップは、外筒自体に薄肉部のような破損し易い部分を形成していないのでキャップ打栓時に外筒が破損することがなく、また外筒の拡径変形の影響の大半が弱化部の弾性変形により吸収されてしまうので、補強リングに作用する拡径変形方向への変形力は小さくなり、それのより補強リングが、その弱化線で破断する恐れは、殆どない。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、弱化線を径方向に対して斜めに形成したこと、を加えたものである。
【0012】
この請求項2記載の発明にあっては、弱化線を斜めにすることにより、キャップ打栓時に補強リングに発生する周方向の引張力に抵抗する弱化線の断面積が大きくなるので、打栓操作による弱化線の破断を確実に防止する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に、横長状の摘まみ片を、この摘まみ片の長手方向略中央に形成した薄片状の連結片を介して補強リングに一体設したこと、を加えたものである。
【0014】
この請求項3記載の発明にあっては、キャップの取り外しに際して、横長の摘まみ片をひねって縦向きとすることにより、摘まみ片が摘まみ易い状態となり、その後の補強リングの切断や弱化部の破断を楽に行うことができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成に、摘まみ片を、補強リングの外周面に沿って円弧状に湾曲させたこと、を加えたものである。
【0016】
この請求項4記載の発明にあっては、キャップの取り外し前において、摘まみ片が補強リングに沿って納まっているので、容器取り扱い時に誤って指等を引っ掛けて弱化線を裂き切る等の不都合の発生を少なくすることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3または4記載の発明における、容器口部に対するキャップ本体の組付き強度の設定手段を、外筒の下端部の肉厚とした、ものである。
【0018】
この請求項5記載の発明にあっては、外筒の下端部の肉厚を薄くすると、外力による拡径方向への撓み変形量が大きくなり、逆に厚くすると同一外力による拡径方向への撓み変形量が小さくなるので、この肉厚を適正に設定することにより、容器口部に対するキャップ本体の組付き強度を、適正な範囲に設定することが、特別な構造を追加することなく達成される。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3または4記載の発明における、容器口部に対するキャップ本体の組付き強度の設定手段を、外筒の下端部に割り溝を設けることとした、ものである。
【0020】
この請求項6記載の発明にあっては、外筒の下端部への割り溝の付形により、容器口部に対する外筒下端部の組付き強度を弱化させ、この割り溝の個数および配置により、容器口部に対するキャップ本体の組付き強度を、適正な範囲に設定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す注出キャップ1は、キャップ本体2と、このキャップ本体2に被嵌状に螺合結合する上蓋3とから構成されている。なお、本発明は、実施例に示すネジキャップに限定されることはなく、ヒンジキャップに適用しても良いものである。
【0022】
キャップ本体2は、内容物が通過する注出口が開設される頂壁5と、この頂壁5の周縁から起立設する上方に拡径したラッパ状の注出筒6と、この注出筒6の外側に位置し、上部外周面に螺条20を突設し、下部が容器口部4に内嵌する内筒7と、この内筒7と外鍔片8を介して一体に連設され、容器口部4に外嵌する外筒9と、この外筒9の下端部10の外周面に連設される補強リング12とから構成されている。
【0023】
頂壁5の下面には、注出口開設箇所を区画する薄肉ループ状のスコア18が形成され、頂壁5上面のスコア18の内側には、注出口の開設時に引き上げるプルリング19が一体設されている。
【0024】
外筒9は、その下端部10の筒厚を、容器口部4からもぎ取り可能とする程度にたわみ変形する薄さに設定し、この下端部10の内周面には、容器口部4の外周面に突設する係止あご部17にアンダーカット結合する係止突条16を突設している。
【0025】
下端部10の外周面には、破断可能な弱化部11を介して円環状の補強リング12が連設されており、弱化部11は、片状部材を周方向に間隔をおいて複数個配列したり、全周にわたって肉薄状、若しくはミシン目状に形成したり、あるいはこれらを組み合わせることにより形成されている。
【0026】
また、図2に示す通り、補強リング12は、その外面から内面に向かって斜めに横断し、弱化部11と連続する弱化線13を一つ有しており、この弱化線13は破断可能な肉薄状、若しくはミシン目状に、あるいはこれらを組み合わせることにより形成されている。
【0027】
補強リング12外面における弱化線13近傍の傾き方向側には、横長円弧状の摘まみ片15が、その長手方向略中央に形成した薄片状の連結片14を介して、補強リング12に沿って一体設されている。
【0028】
上蓋3は、頂板21と、この頂板21の周端から垂下設され、外周面に開閉操作時のスベリ止めとなるローレットを刻設したスカート筒22と、このスカート筒22の内側に位置し、内周面に螺条20と螺合する螺溝24を凹設した螺合筒23と、この螺合筒23の内側に位置し、注出筒6に密に嵌入して、上蓋3による密閉機能を発揮させるシール筒25とから構成されている。
【0029】
次に、注出キャップ1の分別回収時の取り扱いについて説明する。
内容物の初めての使用に際して、上蓋3を開放方向に回転して取り外し、プルリング19を引き上げスコア18を破断して、頂壁5に注出口を開設し、注出口から注出筒6を通じて内容物を注出する。
【0030】
内容物を複数回に分けて使用する場合は、注出後に上蓋3を閉鎖して、次の使用の際に上蓋3を開放して注出を行う。そして内容物を全て使用し終えたら、以下に示す方法で、注出キャップ1を容器口部4から取り外す。
【0031】
注出キャップ1の取り外しに際して、図3(i)に示す通り、先ず横長状の摘まみ片15を指先で摘まみ、図3(ii)に示す通り、摘まみ片15をひねって縦向きにして摘まみ易い状態とする。そして図3(iii)に示す通り、摘まみ片15を外方向に引っ張り、弱化線13を破断して補強リング12を切断し、引き続き弱化部11を破断して下端部10に対する補強リング12による拘束を消滅させる。この際、弱化部11を全周に渡って破断しなくても、半周以上破断しておけば注出キャップ1の取り外しは可能である。
【0032】
次いで、注出キャップ1を把持して、容器口部4からもぎ取るように力を加えると、下端部10の周方向に沿った一部分が外側にたわみ変形し、その部分の係止突状16と係止あご部17の係止が解除されるので、注出キャップ1を容器口部4から容易に取り外すことができる。なお、キャップ本体2を単独で取り外すよりも、上蓋3を装着しておいた方がもぎ取りの際に把持し易すいので、上蓋3を装着して行うのが好ましい。
【0033】
図4は、本発明の他の実施例を示すもので、外筒9の下端部10の肉厚を薄くして、この下端部10を撓み変形し易くするのではなく、この下端部10に所望数の割り溝26を適当な配置で形成して、この下端部10の撓み変形が行われ易くしたものである。
【0034】
本発明の注出キャップ1は安価で、成形性に優れ、かつ適度な変形性を有する材料が好ましく、かかる材料としてポリエチレンが適当である。また本発明に適用できる容器は特に限定はなく、例えば飲料物の容器として普及しているペットボトル等に好適に使用できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
請求項1記載の発明にあっては、外筒自体に薄肉部のような破損し易い部分を形成していないので、キャップの打栓時に外筒が破損することがなく、安全に打栓組み付けを得ることができる。
【0036】
また、キャップ本体の容器口部に対する組付き強度を、容器口部からもぎ取り状に取り外し可能とする程度に設定しながらも、外筒下端部を補強リングで拡径変形不能に拘束したので、容器口部に対する組付き力を充分に強く確保しながらも、内容物消費後には弱化部を破断して、補強リングによる拘束を消滅させることにより、注出キャップをもぎ取るようにして容器口部から容易に取り外すことができる。
【0037】
請求項2記載の発明にあっては、補強リングに作用する周方向の引張力に抵抗する弱化線の断面積が大きくなるので、キャップ打栓時に補強リングが破断するのをより確実に防止し、キャップ打栓時の安全性を更に高めることができる。
【0038】
請求項3記載の発明にあっては、摘まみ片をひねって縦向きとすることにより把持し易い状態となるので、キャップの取り外しに伴う補強リングの切断、弱化部の破断を楽に行うことができる。
【0039】
請求項4記載の発明にあっては、摘まみ片が補強リングに沿って納まっているので、容器取り扱い時に誤って指等の引っ掛かりによる不都合を少なくすることができる。
【0040】
請求項5記載の発明にあっては、キャップ本体の容器口部に対する組付き強度の設定を、外筒下端部の肉厚の大小により達成するので、特別な構造を付加することなく、組付き強度の設定を達成することができる。
【0041】
請求項6記載の発明にあっては、キャップ本体の容器口部に対する組付き強度の設定を、外筒下端部に対する割り溝の付形により達成するので、割り溝の数、配置、深さ等により、外筒下端部の肉厚に関わりなく、正確に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、注出キャップの右半分を断面で示した正面図。
【図2】図1に示した実施例における、キャップ本体の半底面図。
【図3】図1図示実施例の、補強リングの切断および弱化部の破断の説明図。
【図4】本発明の他の実施例を示す、半縦断面図。
【符号の説明】
1 ; 注出キャップ
2 ; キャップ本体
3 ; 上蓋
4 ; 容器口部
5 ; 頂壁
6 ; 注出筒
7 ; 内筒
8 ; 外鍔片
9 ; 外筒
10; 下端部
11; 弱化部
12; 補強リング
13; 弱化線
14; 連結片
15; 摘まみ片
16; 係止突条
17; 係止あご部
18; スコア
19; プルリング
20; 螺条
21; 頂板
22; スカート筒
23; 螺合筒
24; 螺溝
25; シール筒
26; 割り溝

Claims (5)

  1. 容器口部(4)の外周面に突周設した係止あご部(17)係止する係止突条(16)を、外筒(9)の下端部(10)の内周面に突周設し、該下端部(10)の外周面に、径方向に横断する切断用の弱化線(13)を有し、該弱化線(13)近傍の外面に摘まみ片(15)を一体設した円環状の補強リング(12)を、破断可能な弱化部(11)を介して連設し、前記容器口部(4)に密に組付いて注出口を形成するキャップ本体(2)と、該キャップ本体(2)に被嵌状に着脱自在に組付き、注出口を開閉する上蓋(3)と、から構成され、弱化線(13)を径方向に斜めに形成し、前記容器口部(4)に対するキャップ本体(2)の組付き強度を、前記補強リング(12)を取り除いた状態で、人手によるもぎ取り状の取り外しが可能なものにするために、破断可能な肉薄状、若しくはミシン目状に、あるいはこれらを組み合わせることにより弱化線を形成した合成樹脂製の注出キャップ。
  2. 横長状の摘まみ片(15)を、該摘まみ片(15)の長手方向略中央に形成した連結片(14)を介して補強リング(12)に一体設した請求項1記載の注出キャップ。
  3. 摘まみ片(15)を、補強リング(12)の外周面に沿って円弧状に湾曲させた請求項2記載の注出キャップ。
  4. 請求項1から3の何れか一項に係わり、
    容器口部(4)に対するキャップ本体(2)の組付き強度を、外筒(9)の下端部(10)の肉厚を可変して調整する、容器口部(4)に対するキャップ本体(2)の組付き強度の設定・調整方法、および、当該方法によって設計・製造された注出キャップ。
  5. 請求項1から4の何れか一項に係わり、
    容器口部(4)に対するキャップ本体(2)の組付き強度を、外筒(9)の下端部(10)に割り溝(26)の数、配置、深さを可変することで調整する、容器口部(4)に対するキャップ本体(2)の組付き強度の設定・調整方法、および、当該方法によって設計・製造された注出キャップ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001122310A (ja) * 1999-03-15 2001-05-08 Toppan Printing Co Ltd 分別回収用プラスチック製閉蓋用注出口

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