以下、本発明の一実施の形態に係る駐車管理装置1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、駐車管理装置1の基本構成を示す斜視図である。
図1に示すように、駐車管理装置1は、駐車車両の退出を禁止する開閉可能なロック板2等からなるロック板駆動機構3と、地中内に埋設されるループセンサー等からなる車両感知器4と、この車両感知器4の信号を受けてロック板駆動機構3を制御するコントロール部5等が組み込まれた制御部6とから構成されている。
図2は、本発明の一実施の形態に係る駐車管理装置1のロック板2およびロック板駆動機構3の分解斜視図である。図3は、図2中のメインカバー77を取り外した状態のロック板駆動機構3とその周辺の斜視図である。
駐車管理装置1は、後述するモータ7の動力で開閉可能なロック板2を動作させるロック板駆動機構3を備えている駐車管理装置である。この駐車管理装置1に使用されるロック板駆動機構3の基本構成は、図2、図3および図8から図15に示すように、モータ7と、このモータ7の動力をロック板2に伝える歯車輪列等からなる動力伝達機構と、この動力伝達機構中に入れられるリンク機構とラチェット機構とからなる。
ここで、モータ7には、モータ7への通電がオフした時、このモータ7の回転を減速する減速用ギアボックス8が固定されている。なお、この実施の形態では、減速用ギアボックス8によってモータ7の回転を180分の1に減速しており、一種のギヤードモータとなっている。
一方、歯車輪列は、モータ7の出力軸となる第1回転軸9の先端に固定された出力ギヤ10と、この出力ギヤ10と噛み合い回転を減速する大径の第1のギヤ11と、この第1のギヤ11と一体回転する第2回転軸12とから構成される。この実施の形態では、この歯車輪列によってモータ7の回転を最終的に約700分の1に減速してロック板2に後述するリンク機構を介して伝えている。
この歯車輪列に続いてリンク機構が設けられている。リンク機構は、第1のギヤ11と、この第1のギヤ11に設けられる係止軸13と、この係止軸13に係止されるリンク14と、リンク14に設けられる長穴15内を相対移動可能に係合するように第2のギヤとなるラチェットギヤ16に設けられる係合軸17と、ラチェットギヤ16とから構成される。
そして、この駐車管理装置1の動力伝達機構中には、モータ7の回転をロック板2に伝えるための以上のような歯車輪列およびリンク機構に加え、さらに、ラチェット機構と、ロック板2を開き方向に付勢する付勢部材とが組み込まれている。
ラチェット機構は、第1のギヤ11に固定されたラチェットカム19と、このラチェットカム19に当接するラチェットレバー20と、このラチェットレバー20と一体動作するラチェット爪21と、ラチェット爪21が係合するラチェットギヤ16と、このラチェットギヤ16が固定される第3回転軸22と、ラチェットレバー20に一端が係止されるラチェットバネ23と、ラチェット爪21の回動支点となるラチェット軸24と、このラチェット軸24の両端部分を支持し、第3回転軸22を中心として周方向に回動可能とされているラチェットステー25とから主として構成されている。
なお、ロック板2は、第3回転軸22が後述する被係合部材112を介して嵌合する第4回転軸26に一体回転可能に取り付けられている。すなわち、ロック板2のロック板回転軸は、第1のロック板回転軸となる第3回転軸22と第2のロック板回転軸となる第4回転軸26との2つの回転軸を有している。そして、第3回転軸22は、一端がベアリングユニット27に回転可能に支持され、他端は断面が略小判形状をした係合挿入部28とされ、他端部を支持するベアリングユニット29から突出している。
ロック板2を駆動する第3回転軸22をロック板2の開き方向(=起立方向)に常時付勢する付勢部材は、第3回転軸22に挿入される駆動バネ30で構成されている。この駆動バネ30は、その一端がラチェットギヤ16に設けられるバネ当接軸31に当接し、他端が防水トレイ32の底面に当接するように組み込まれる。なお、この取り付けは、ラチェットギヤ16と遊びを持って一体回転するロック板2が、開き方向に付勢されるように取り付けられる。
モータ7と歯車輪列等の動力伝達機構は、地上に固定される箱状の防水トレイ32に入れられる。この防水トレイ32は、ロック板ベース組34の台部35に固定されている。このロック板ベース組34は、台部35と、踏み台部36と、ロック板2の閉じ位置でのへこみを防止するロック板ストッパ37と、第4回転軸26の一端を回転可能に支持するベアリングユニット38と、このベアリングユニット38部分に設けられるサイドカバー39とで主に構成される。
なお、第4回転軸26は、断面円筒状のパイプとなっている。このため、強度的に強く、しかもロック板2が軽いものとなる。このため、ロック板2の駆動機構、例えばモータ7等を小型で低価格なものとできると共に設置作業がし易いものとなる。
ロック板2の一端側となるベアリングユニット29に対向する側面には、図15または図16に示すように、ロック板2の側面形状と一致するように折り曲げられた被駆動プレート40が配置されている。すなわち、平板をロック板2の中央に向かって、約45度の角度で折り曲げたプレート部となる被駆動プレート40が溶接によってロック板2のフィン部113に取り付けられている。また、ロック板2の裏側であり、かつ被駆動プレート40のベアリングユニット38側には、後述する角状部118が取り付けられている。この被駆動プレート40と角状部118とから、後述する被係合部材112が構成されている。そして、被駆動プレート40には、図16に示すように、角状部118と連通する係合孔41が設けられている。係合挿入部28は係合孔41に挿入され、係合孔41とガタツキおよび後述する遊び隙間を持って係合している。
モータ7は、モータフレーム44に取り付けられ、このモータフレーム44には第2回転軸12を回転可能に支持するベアリング45,45が固定されている。モータフレーム44は、4つのネジ46によって防水トレイ32と台部35に固定される。また、防水トレイ32は、ベアリングユニット27,29を固定するボルト47等によって台部35に固定される(図3参照)。なお、ロック板ストッパ37は、3つのボルト48によって台部35に固定される。
ラチェットバネ23は、その一端がラチェットレバー20のバネかけ軸49に引っかけられ、他端はモータフレーム44のバネかけ穴50に引っかけられている。また、ラチェットステー25と防水トレイ32との間には、ラチェットステー25の回動を弾性的に支持するダンパーゴム51が設けられている。なお、第2回転軸12の一方のベアリング45の外方には2つの止め輪54,54が、他方のベアリング45の外方には1つの止め輪55がそれぞれ第2回転軸12に嵌合され軸方向への移動が阻止されている。そして、第2回転軸12の先端には、さらに遮光板組56が取り付けられている。
図4は、図2中の遮光板57を示す図で、(A)は正面図で、(B)は(A)の矢示B方向から見た側面図である。図5は、図2中のセンサーボス58を示す図で、(A)は(B)のA−A断面図で、(B)は(A)の矢示B方向から見た背面図である。図6は、図2中の防水トレイ32を示す平面図である。図7は、図6の防水トレイを矢示VII方向から見た側面図である。
図4および図5に示すように、遮光板組56は、先端が90度折り曲げられた遮光板57と、遮光板57の中央孔57aへ嵌合する段部58aと2つのネジ穴58h,58hとを有するセンサーボス58と、センサーボス58を第2回転軸12に取り付ける止めネジ(図示省略)から構成される。そして、図2に示すように、センサブラケット59には、それぞれ受発光素子からなる上限センサ60と下限センサ61が取り付けられ、それらを遮光版57の先端部57bが横切るように第2回転軸12に遮光板57が取り付けられる。2つのセンサ60,61は、略180度対称位置に設けられ、ロック板2の全開位置と全閉位置に対応した第1のギヤ11の回転位置を検知するものとなっている。
図6に示すように、防水トレイ32には、モータフレーム44の取り付け用の4つの孔32aと、台部35に設けられるベアリングユニット27,29の取り付け用の4つの軸64,64,65,65が貫通する4つの孔32bと、ダンパーゴム51の取り付け用の孔32cと、水抜き用の1つの孔32dと、後述する基板組70を取り付けるための2つの孔32eとが設けられている。なお、台部35には、防水トレイ32に設けられる4つの孔32a、1つの孔32cおよび2つの孔32eにそれぞれ対応する位置にねじ穴が設けられ、モータフレーム44やダンパーゴム51等を取り付けできるようになっている。
遮光板57は、表面が黒色に処理された金属板材から形成され、センサーボス58に係止される。また、図7に示すように、防水トレイ32は、第3回転軸22を挿通する挿通孔125が出っ張り部126その一部がかかるように設けられている。防水トレイ32内およびその上方の空間には、上述したようにモータ7や動力伝達機構や基板組70等が設置されるが、水につかっても大丈夫なように、その高さHより上方に電気関係部分が配置される。
また、図2に示すように、ダンパーゴム51には、貫通孔66が設けられ、その貫通孔66中に位置決め部材67が入れられている。そして、位置決め部材67の上部がラチェットステー25に設けられた長穴68から突出している。この構成によって、ラチェットステー25の第3回転軸22を中心とした上方へのガタを許容し、ラチェット爪21とラチェットギヤ16との噛み合いがしっかり行われるようにしている。すなわち、ラチェット爪21は、モータ7が配置されている方向へラチェットバネ23によって引っ張られているため、ラチェット爪21の先端とラチェットステー25の最外周は第3回転軸22から見て互いに逆方向に動くこととなり、ラチェット爪21とラチェットギヤ16とはしっかり噛合することとなる。
基板組70は、2つの制御回路基板71,72と、両制御回路基板71,72の間隔を保つ4つのスペーサ73と、防水トレイ32に取り付けられる取付部74を有する基板ブラケット75と、両基板71,72をカバーする基板カバー76とから構成される。なお、両基板71,72は雨水等が付いても容易に乾くように縦形に設置される。
モータ7から第3回転軸22までの動力伝達機構および基板組70は、防水トレイ32で囲まれる空間およびその上部にくるように配置されるメインカバー77の内部空間内に配置されると共に、そのメインカバー77によって覆われる。このメインカバー77は、防水トレイ32の部分に加え、モータ7等への配線を挿通するため台部35に設けられた配線孔78(図2参照)も覆うように台部35にねじ(図示省略)で固定される。なお、モータ7、遮光板組56、基板組70等の電気関連部分は、防水トレイ32の高さH以上の高位置に配置している。これにより、仮に、防水トレイ32中に水が入っても、防水トレイ32の高さHまで水がきても電気的に安全となる。
図8は、図2のロック板駆動機構3に使用される第1のギヤ11とラチェットカム19を示す図で、(A)は正面図で、(B)は(A)の矢示B方向から見た側面図である。図9は、図2のロック板駆動機構3に使用されるリンク14の正面図である。図10は、図2のロック板駆動機構3に使用されるラチェットギヤ16を示す図で、(A)は正面図で、(B)は(A)の矢示B方向から見た側面図である。
第2回転軸12に取り付けられる第1のギヤ11は、第2回転軸12と一体回転するように固定される。すなわち、第2回転軸12のキー溝80と、第1のギヤ11およびラチェットカム19に設けられているキー溝81にキー(図示省略)が嵌合されている。なお、第1のギヤ11とラチェットカム19は、複数のピン82で一体化されている。
ラチェットカム19には、キー溝81の他に、ラチェットレバー20が当接するレバー当接面83と、このレバー当接面83と共に山形の形状をなすように対称的に配置される傾斜面84と、第2回転軸12が貫通する貫通孔85とが形成されている。
図2および図9に示すように、リンク14には、係合軸17が係合する長穴15の他に、第1のギヤ11の係止軸13が嵌入し、係止軸13を支点としてリンク14が回動可能とされる係止孔86が設けられている。長穴15は、ロック板2が車底の高さに追従してわずかに開き動作が可能となるように設けられた始端部87と、係合軸17を押圧する押圧部88と、ラチェット爪21が破損等してロック板2の係止が行われなくなったとき、ロック板2の閉じ方向の動作をそのまま行わせる円弧状の逃がし部89とを有している。なお、リンク14は、全体として、への字状に角度α(この実施の形態では162度)を設けて曲げられている。
ラチェットギヤ16には、係合軸17とバネ当接軸31が設けられているが、これらは図10に示されるように、一本の軸90から形成されている。ラチェットギヤ16には、ラチェット爪21が嵌合するラチェット歯部91と、第3回転軸22と一体回転するようにキーが入れられるキー溝92と、第3回転軸22が貫通する貫通孔93と、ラチェットギヤ16を第3回転軸22に固定するためのボルトが嵌入する2つのボルト穴94,94が設けられている。そして、ラチェットギヤ16のラチェット歯部91は、全周ではなく、扇形に設けられており、この実施の形態では、その設置角度βを72度としている。また、ラチェット爪21の歯先97(図11参照)が入る歯先間の角度γ1を60度としている。なお、ラチェット歯部91の各歯面は、高周波焼き入れがなされている。
図11は、図2のロック板駆動機構3に使用されるラチェット爪21を示す図で、(A)は正面図で、(B)は(A)の矢示B方向から見た上面図である。図12は、図2のロック板駆動機構3に使用されるラチェット軸24を示す図で、(A)は正面図で、(B)は(A)の矢示B方向から見た側面図である。図13は、図2のロック板駆動機構3に使用されるラチェットステー25を示す図で、(A)は正面図で、(B)は(A)の矢示B方向から見た上面図である。図14は、図2のロック板駆動機構3のラチェット機構部分を示す斜視図である。
図11に示すように、ラチェットギヤ16に噛合するラチェット爪21は、ラチェット軸24が貫通する支持孔95と、ラチェットレバー20をその上部にねじ止めするための2つのねじ孔96,96を有している。そして、ラチェット爪21は、ラチェット軸24によって回動可能に保持される。一方、このラチェット軸24は、ラチェットステー25に回動可能に保持されている。ラチェット爪21の歯先97の角度γ2は、角度γ1と同様にされている。すなわち、この実施の形態では、60度とされている。
なお、この角度γ2を角度γ1より小さくすると、この歯先97が折れ易くなり、違法な脱出行為が行われたときの過負荷による破損をラチェット爪21の部分で発生させることができ、修理がし易くなる。また、この実施の形態では、歯先97の設定角度θを90度としていると共に歯先97を高周波焼き入れにより硬くしている。
図12に示すように、ラチェット軸24は、焼き入れ焼き戻しの処理がされ、かつ、両端部に径を細くした細径部101,101を有している。このため、過負荷が加わったとき、所定の大きさの力まではそのままで耐え、所定の力を越えると、その部分でポキリと折れることとなる。なお、強度的には、まずこのラチェット軸24が折れ、次に上述したラチェット爪の歯先97が折れるように設定してある。ラチェット軸24の挿入側には、止め輪102が嵌入する係止溝103が設けられ、他端側には、ラチェット爪21の支持孔95に挿入させた際にラチェット爪21に突き当たる度当たり部104が設けられる。
また、ラチェット軸24の軸中心には、リード線が挿入される貫通孔105が設けられている。この貫通孔105に挿入されるリード線は、このラチェット軸24が折れたときに切断されることにより、その破損を電気的に検知するために設けられる。この検知によって、駐車管理装置1のコントロール部5は、その破損を駐車管理装置1の管理者やメンテナンス者のみが分かる位置や分かる表示によって、それらの者に知らせる。なお、この実施の形態では、リード線として、制御回路基板71,72から取り出されるアース線を採用している。
ラチェットステー25は、図2および図13に示すように2つの腕部106,106と、ダンパーゴム51に載置される載置部107とから主に構成される。そして、各腕部106には、それぞれ、ラチェットギヤ16と一体回転するようにキー(図示省略)が入るキー溝108と、ラチェット軸24を挿通し、支持する支持孔109と、第3回転軸22が挿通する挿通孔110とが設けられている。
ラチェットステー25には、ラチェット軸24が折れた際に、ラチェット爪21がラチェットギヤ16の回動に伴って自由に移動できる自由空間111が設けられている。この自由空間111に、例えば、ねじ等を設けると、折れたラチェット爪21がそのねじに突き当たり、ラチェットギヤ16の回動を阻止するようになってしまう。このため、この実施の形態では、この自由空間111には、ねじ部を設けず、この自由空間111の外方にこのラチェットステー25を取り付ける位置決め部材67がくるように、自由空間111の外方に取り付け用の長穴68を設けている。
図15は、図1の駐車管理装置1に使用されるロック板2の裏面平面図である。図16は、図15中の被係合部材112の分解斜視図である。図17は、図16中の係合板121の構成を示す図であり、(A)は、その平面図であり、(B)は、(A)における矢示C方向から見た図である。図18は、図15におけるロック板2を矢示D方向から見た図である。図19は、図18における一点鎖線Eで囲んだ部分の拡大図である。図20は、図15中の補強部材114の斜視図である。図21は、図18における一点鎖線Fで囲んだ部分の拡大図であり、係合孔41に係合挿入部28を挿入した状態を示す図である。図22は、ロック板2を持ち上げた場合の係合挿入部28と係合孔41との係合関係を説明するための図であり、(A)は、ロック板2を持ち上げる前の状態を示す図であり、(B)は、ロック板2を持ち上げた後の状態を示す図である。
ロック板2は、図15等に示すように、第4回転軸26と、被係合部材112と、1枚の平板状縞鋼板から形成されるフィン部113と、補強部材114と、補強パイプ115と、他端側の側面を構成する側板116とから主に構成されている。
図16に示すように、被係合部材112は、被駆動プレート40と、角状部118とから構成されている。被駆動プレート40は長手状の平板の一端40a側を角状部118が配置される側に向かって、約45度の角度をもって折り曲げられている。また、被駆動プレート40における図16の右下方の角部119の端面は曲面状に形成されている。本実施の形態では、この曲面は半径Rが17mmの円弧状に形成されているが、半径Rの値は17mmに限定されるものではない。また、被駆動プレート40の角部119近傍には、係合孔41が設けられている。また、被駆動プレート40の図16において上部となる上端面40bは、係合孔41が設けられている側から一端側40aに向かって、高さが低くなるようなテーパ状に形成されている。
角状部118は、図16に示すように、例えば、5枚の略平板状の係合板121を積層させることによって形成されている。図17に示すように、係合板121は、図17(A)における上方の両角部に、第1段部122および第2段部123の2つの段部を有している。係合板121の上端面125は、水平な水平面125aと、図17(A)における左方に向かって斜め下方に傾斜するテーパ状の傾斜面125bとを有する。また、係合板121における図17(A)の右下方の角部127の端面は曲面状に形成されている。本実施の形態では、この曲面は、被駆動プレート40の場合と同様、半径Rが17mmの円弧状に形成されているが、半径Rの値は17mmに限定されるものではない。
また、係合板121の角部127近傍には、被駆動プレート40に設けられている係合孔41の形状と同一形状の係合孔(以下では、同じく「係合孔41」という。)が設けられている。各係合孔41の形状は、小判形状を形成する直線状の各対向辺41a,41bの略中央に位置する中央点41c,41dを中心として、小判形状において斜め方向に対向する点41e,41fをそれぞれ図17(A)における時計回り方向に向かって、点41g,41hまで膨らました形態を有している。すなわち、円形形状において対向する2つの領域を径方向外方から径方向内方に向かって角度の大きな略V字状に切り欠いた形態を有している。このため、係合孔41は、係合挿入部28と当接する4つの当接部42a,42b,42c,42dを有している。
本実施の形態では、当接部42a,42cの長さは、同一とされる一方、それぞれが同一となる中央点41cから点41eまでの距離や中央点41dから点41fまでの距離より小さくされている。また、点41e,41fのそれぞれを時計回り方向に膨らました角度φおよび角度δは、それぞれ25度および22度と異なる角度とされている。これらの構成は係合板121の強度を保ちつつロック板2の小型化を図る工夫となっている。例えば、角度δを角度φと同一とすることも考えられるが、角度δを25度とすると、寸法制約上、係合板121の強度すなわち図17の右下角部の強度が低下してしまうからである。なお、以下の説明において、角度φで膨らんだ部分を遊び隙間S1とし、角度δで膨らんだ部分を遊び隙間S2とする。また、図17(A),(B)に示すように、係合板121における係合孔41の右方には、図17(A)における紙面手前側から奥側に向かって、円柱状に窪む円形凹部129が上下に並ぶように2つ設けられている。また、係合板121において、円形凹部129が設けられる側と反対側の面には、円形凹部129が設けられた位置と同位置から、2つの円形凸部130が図17(A)における紙面奥側に向かって突出している(図17(B)参照)。
角状部118は、係合板121に設けられた円形凸部130が隣接する係合板121に設けられた円形凹部129にそれぞれ嵌まるように積層されることによって形成されている。この係合板121の積層は圧接によって行われる。また、5枚の係合板121が積層された状態で、各係合板121の第1段部122の部分および第2段部123の部分が溶接され、各係合部121は一体化され各係合板121が離れないように固定される(図15参照)。また、被駆動プレート40には、係合板121の円形凹部129と対応する位置に係合板121と同形状の不図示の円形凸部が設けられている。したがって、被駆動プレート40の不図示の円形凸部を被駆動プレート40に隣接する係合板121の円形凹部129に嵌め込むことによって、被駆動プレート40と角状部118は一体化され互いに固定される。これに加えて、被駆動プレート40と角状部118とは、被駆動プレート40側に配置される係合板121の上端面125と被係合プレート40の上端面40bとを溶接によって固定している。5つの係合板121および被駆動プレート40は、係合孔41の外縁がそれぞれ合わさった状態で積層されている。また、係合板121および被駆動プレート40は、各係合板121の側端面132aおよび下端面132bと、被駆動プレート40の側端面40cおよび下端面40dとが、それぞれ面一となるように積層されている。
フィン部113は、全体の平面形状が台形状とされている。フィン部113は、図18に示すように、第4回転軸26側(以下、「根元側」という。)がその軸26の外形に沿って略90度曲げられていると共に、開閉動作先端部側(以下、「先端部側」という。)が略円弧状に曲げられている。また、根元側および先端部側を曲げた状態では、フィン部113は、図15における先端部側の左右角部を先端部側から根元側に向かって45度の角度で切り欠いた略台形形状を有している。
被係合部材112は、図15における被駆動プレート40の左方の側面が、フィン部113の左端面に略一致するように、フィン部113の裏側に溶接によって固定される。溶接は、被駆動プレート40の下端面40dがフィン部113の裏面と接触する複数の箇所134および係合板121の第1段部122がフィン部113の根元側の曲げ部分と接触する箇所137において行われる。また、図15において角状部118の右側に隣接する位置には、フィン部113の長手方向に沿って第4回転軸26が配置されている。第4回転軸26は、その外周面の一部がフィン部113の根元側において曲げられた部分の内周面と接触している。フィン部113の根元側において曲げられた部分と第4回転軸26とは、複数の箇所135において溶接によって固定されている。また、図15における第4回転軸26の左端面は角状部118の右端面と接触している。第4回転軸26と角状部118とは、当該接触箇所136において溶接によって固定されている。図15におけるフィン部113の右端の裏側には被駆動プレート40と左右対称形状をした側板116が取り付けられている。側板116において、第4回転軸26と対応する位置には第4回転軸26の外径と同径となる不図示の円孔が設けられている。側板116は、この不図示の円孔に第4回転軸26のフィン部113から図15の右方に突出した部分を挿入した状態でフィン部113の裏側に取り付けられる。この側板116とフィン部113とは、複数の箇所138において溶接によって固定されている。また、不図示の円孔と第4回転軸26が接触する部分140も溶接によって固定されている。なお、被駆動プレート40および側板116の図15における上端部141a,141bは、先端部側の曲げ部分に覆われている。
図19に示すように、フィン部113の先端部側の曲げ部分の内側には角形鋼管の補強パイプ115が配置され、フィン部113の曲げ部分の先端と接触している。また、補強パイプ115と第4回転軸26との間には複数(この実施の形態では3つ)の補強部材114が配置されている。各補強部材114は、図20に示すように、平板状の鋼板をハット状に折り曲げた形態を有している。具体的には、補強部材114は、平板状の上板部114aと、その両端から略鉛直下方に対向するように折り曲げられた側板部114bと、側板部114bの両端から略直角方向外方に折り曲げられた鍔部114cとからなる。補強部材114が補強パイプ115と第4回転軸26との間に配置された状態では、補強部材114の図20における前後2つの端面114dのうちの一方はパイプ15の側面115aと接触し(図19参照)、他方の端面114dは第4回転軸26の外周面と接触している。
補強パイプ115がフィン部113の曲げ部分の先端と接触する部分であって、補強部材114と接触しない領域は、複数の箇所142において溶接によって固定されている。また、補強パイプ115がフィン部113の曲げ部分の先端および補強部材114の双方と接触する部分は、複数の箇所144において溶接によって固定されている(図15および図19参照)。この場合、補強パイプ115とフィン部113の曲げ部分の先端と補強部材114の端面114dの3つの部分が溶接箇所144において固定されている。補強部材114の端面114dと第4回転軸26の外周面とは、複数の箇所148において溶接によって固定されている。さらに、フィン部113と第4回転軸26とは、両者が接触する複数の箇所150において溶接によって固定されている。補強部材114は、フィン部113の裏側に鍔部114cの裏面が接触するように配置されている。そして、フィン部113と鍔部114cは、この接触箇所152において溶接によって固定されている。
図21に示すように、係合孔41における円弧同士を円周状に結んだ場合の直径R2の大きさの方が、第4回転軸26の内径R1の大きさより若干大きく形成されている。そのため、図21に示すように、第4回転軸26の内周と、係合孔41におけるフィン部113の曲げ部分側の円弧を合わせるように、被駆動プレート40を第4回転軸26の端面に当接させて配置した場合、係合孔41における先端部側(図21で左方)の円弧部分近傍は第4回転軸26の端面によって塞がれる。このため、係合挿入部28を第4回転軸26の中心軸線と一致するように挿入させた状態では、第3回転軸22(係合挿入部28)の中心Pと係合孔41の中心Qは一致しない。具体的には、係合孔41の中心Qが第3回転軸22の中心P(=第4回転軸26の中心)より、フィン部113の先端部側に若干ずれる。なお、後述するように、係合挿入部28は係合孔41のみに入り、第4回転軸26の内部には侵入しない。本実施の形態では、強度向上の理由から係合孔41の寸法が規制される。このため、係合孔41の全体の直径の大きさを第4回転軸26の内径の大きさに一致させる場合と比較して、本実施の形態のように係合孔41の直径を第4回転軸26の内径より若干大きく形成した方が、係合孔41の一方の円弧の大きさを大きく取れる。
本実施の形態では、係合挿入部28と係合孔41との間には、所定のクリアランスが設けられている。このクリアランスの大きさは、設計に応じて適宜調節するのが好ましい。図22(A)に示すように、ロック板2が閉じた状態にあるとき、すなわち、係合挿入部28の図22(A)における上方の円弧部分が係合孔41の上方の円弧部分と当接しているとき、係合挿入部28の図22(A)における下方の円弧部分と係合孔41の下方の円弧部分との間にはクリアランスJ1が形成される。このクリアランスJ1の大きさは、係合挿入部28の中心Pを第4回転軸26の中心軸線Pと一致させるように係合孔41に挿入した場合に、係合挿入部28の外周面と係合孔41の当接部42a,42b,42c,42dとの間や円弧部分との間に形成されるクリアランスの約2倍の大きさとなっている。この状態では、係合挿入部28の2つの角部28a,28bが係合孔41の内周面である当接部42a,42cに当接している。また、この状態では、係合挿入部28と係合孔41との間には遊び隙間S1,S2より大きな隙間が形成されている。この状態から、ロック板2を矢示T方向に人の手等を使って持ち上げると、まず、中央点41cが係合挿入部28の外周面と当接する。そして、ロック板2は、該中央点41cを中心として、矢示T方向に回転する。さらに、ロック板2を持ち上げ続けると、中央点41cは係合挿入部28の外周面から離れ、係合挿入部28の2つの角部28c,28dが係合孔41の内周面と当接し、図22(B)の状態となる。上述したように、本実施の形態では、遊び隙間S1の角度φおよび遊び隙間S2の角度δはそれぞれ25度および22度とされている。ここで、係合挿入部28と係合孔41との間にクリアランスが設けられていない場合、ロック板2を持ち上げても、ロック板2は矢示T方向に22度しか回転しない。しかし、本実施の形態では、係合挿入部28と係合孔41との間には、遊び隙間S1,S2の他にクリアランスが設けられているため、上述の持ち上げ動作において、係合挿入部28と係合孔41との係合部分における周方向のガタツキは角度δを超える角度とすることができる。この実施の形態では約25度となる。したがって、寸法制限されない先端部側の遊び隙間S1の角度φを遊び隙間S2の角度δより大きく取り、しかもクリアランスを取ることで、係合部分における周方向の遊び角度をより大きくすることができる。
ロック板2は、図15における先端部側の左右の角部を45度の角度で切り欠いた形態を有しているため、四角形の平板の場合と比較して、ロック板2の開閉動作における安全性が向上する。また、ロック板2の側方は、被駆動プレート40および側板116によって塞がれているため、外観における意匠性が向上する。
なお、ロック板2は、通常の閉状態では、斜め下方に向かって倒れており、台部35と当接している。また、第3回転軸22と被係合部材112との間に遊び隙間S1,S2が設けられているため、閉状態となるとき等に手や足が台部35とロック板2との間に挟み込まれたとしても、図22(B)のようにロック板2を持ち上げることで容易に離脱できるようになっている。なお、ロック板2が水平状態のときを閉状態とし、台部35とロック板2との間にクッションゴムを配置するようにしても良い。
また、ロック板2を交換したいときは、次のようにして行う。まず、サイドカバー39を取り外す。次に、ベアリングユニット38を取り外し、ロック板2を引き抜く。このような極めて簡単な作業によって、ロック板2がロック板ベース組34から取り外される。一方、新しいロック板2を取り付ける場合は、取り外し作業とは逆の工程の作業によって取り付ける。
次に、このように構成された駐車管理装置1の動作を説明する。
図23は、駐車管理装置1のリンク機構とラチェット機構の動作を説明するための図であり、ロック板2が下限位置(閉じ状態)にきているときの状態を示す図である。図24は、駐車管理装置1のリンク機構とラチェット機構の動作を説明するための図であり、ロック板2が開動作において車両の底に当接した状態を示す図である。図25は、駐車管理装置1のリンク機構とラチェット機構の動作を説明するための図であり、第1のギヤ11が上限位置にきて停止したときの状態を示す図である。図26は、駐車管理装置1のリンク機構とラチェット機構の動作を説明するための図であり、ロック板2が閉動作において車両の底に当接した後、ある程度時間が経過した状態を示す図である。図27は、駐車管理装置1のリンク機構とラチェット機構の動作を説明するための図であり、ロック板2が人の手や足を挟んだ直後の状態を示す図である。図28は、駐車管理装置1のリンク機構とラチェット機構の動作を説明するための図であり、ロック板2が人の手や足を挟んだ後、ある程度時間が経過した状態を示す図である。
車両が駐車場に入庫すると、ループセンサーからなる車両感知器4が車両を感知する。その感知により時間計測が開始される。そして、所定時間、例えば約4秒たつと、柱状の制御部6に設けられる車両認識ランプがその後約15秒間点滅した後、消える。一方、最初の車両検知から所定時間、例えば約30秒後に再度検知回路が作動し、車両の有無を検知する。このように、ループセンサーからなる車両感知器4は、所定時間例えば約30秒間隔で常時車両を検知しており、連続2回の車両検知により、車両の入庫を確認している。そして、2回連続して車両を検知すると、制御部6からの信号によりモータ7が動作し、ロック板2を開方向に駆動させる。その動作と同時に、柱状の制御部6に設けられる料金表示窓に基本料金を表示する。
また、車両が駐車場に入庫した際、この駐車管理装置1にサービス時間が設定されていると、車両認識ランプは、所定時間、例えば約15秒間点滅した後、点灯状態になる。また、連続2回の車両検知信号が発生しない限り、ロック板駆動機構3は、ロック板2が下限の位置に行くまで所定回数ロック板2を閉方向に駆動させようとする。
なお、車両が駐車場に入庫する際、ロック板2は図23に示すように、斜め下方に傾いていて、台部35に当接している。すなわち、ロック板2は閉じ状態となっている。この状態では、遊び隙間S1,S2の存在により、ロック板2はその重力で台部35に当接しているため、ロック板2の先端部側を持って図22(B)に示すように、ロック板2をその重力にさからって引き上げることができる。
車両の入庫が確認され、モータ7が動作し始めると、モータ7の動力は、ロック板駆動機構3の歯車輪列を介して減速されながら第2回転軸12に伝えられる。この第2回転軸12の回転と共に、遮光板57が回転する。すなわち、遮光板57が下限センサ61の位置から上限センサ60の位置へ向かって回動して行く。
一方、ロック板2が閉じ状態のときのラチェット機構の関係は、図23に示す関係となっており、ロック板2を駆動させる第3回転軸22に対しロック板2の開方向に常時働く駆動バネ30の付勢力を、増速となる歯車輪列の抵抗で受けている。なお、このときラチェットギヤ16の係合軸17とリンク14との関係は、ラチェットギヤ16の力が第1のギヤ11に伝わりにくい関係となっている。このため、駆動バネ30は、ロック板2が閉じられているときが、開き方向に最も強く付勢するものとなっているが、その強い付勢力に十分耐え、ロック板2を閉じ状態に維持できるものとなっている。なお、閉じ状態においては、係合挿入部28は、図22(A)に示すように、係合孔41の当接部42a,42cと当接している。
そして、モータ7の動作開始により、第1のギヤ11が図23の矢示A方向に動いて行く。第1のギヤ11の動作開始により、ラチェットカム19も矢示A方向に回転し始める。そして、ラチェットカム19が矢示A方向に回転すると、係止軸13が図23で左方向に駆動されていく。すると、ラチェットギヤ16は、図24に示すように、その動きに追従して矢示B方向に回動していく。これは、ラチェットギヤ16が駆動バネ30から常時矢示B方向の付勢力を受けているためである。
ここで、仮に、車高の低い部分にロック板2が突き当たると、ロック板2の動きは、図24に示す位置で停止することになる。一方、第1のギヤ11およびラチェットカム19は、さらに、矢示A方向に、モータ7の回転を受けて回転を継続する。そして、図25に示すように、ラチェットレバー20がラチェットカム19のレバー当接面83に完全に当接する位置にくると、ラチェット爪21の歯先97がラチェットギヤ16のラチェット歯部91の図25で最右方の歯先空間に入る。なお、この状態においても、係合挿入部28は、係合孔41の当接部42a,42cと当接している。
この噛合と同時にモータ7の回転が停止する。この当接位置の検出すなわちモータ7の回転停止は、遮光板57を上限センサ60が検出することにより行っている。なお、モータ7の回転は、外部等から負荷を受けることが無いので極めてスムーズなものとなっている。
モータ7の回転が停止すると、第1のギヤ11およびラチェットカム19は、増速となる歯車輪列により、その位置にロックされる。なお、その後、車両がわずかに移動し、車高が高い部分にロック板2が対向すると、駆動バネ30の働きで第3回転軸22は開方向に動き、その動きに従い、ロック板2は上がっていく。
この動作の結果、ロック板2と車両の底との隙間は生じないものとなる。このため、車両を強引に駐車場所から離脱させようとする気持ちを、駐車車両の運転者に生ぜじめることがなくなり、駐車管理装置1として十分機能するものとなる。このように、ロック板2を開状態とすることにより、入庫した車両の退出を阻止する。
そして、基本時間が経過すると、追加料金を加算した金額が料金表示窓に表示される。なお、基本時間、基本料金、追加時間及び追加料金の各時間単位と各料金単位は、目的に応じ自由に設定できる。柱状の制御部6に設けられる硬貨投入口に硬貨が投入されると、この制御部6内のコントロール部の検知機能により検知され、その硬貨金額を料金表示窓の金額から差し引く。そして、表示料金が零になると、制御部6から信号を出し、モータ7を動作させ、ロック板2を閉方向に駆動させる。
このとき、モータ7の動力は、ロック板駆動機構3の歯車輪列を介して減速されラチェットカム19に伝えられ、ラチェットカム19は、図25に示す矢示C方向に回転する。すると、ラチェットレバー20がラチェットカム19によって、図25の矢示E方向に押し上げられ、ラチェット爪21がラチェットギヤ16から外れる。この結果、ラチェットギヤ16が回転可能となり、ロック板2も閉じ方向に駆動可能となる。しかし、まだ、リンク14の押圧部88が係合軸17に当接していないため、ロック板2は車両の底についたままの状態をしばらく維持する。
なお、ロック板2の開状態のとき、リンク機構は、第1のギヤ11の回転力がリンク14を介して、ラチェットギヤ16に伝わり易い構成となっている。すなわち、図24に示すように、係止軸13と係合軸17とを結ぶ線と、ラチェットギヤ16の回転支点と係合軸17とを結ぶ線とからなる角度が90度に近い角度となっており、効率良く、ロック板2を閉じ方向に動作させることができる。
その後、図24の状態となると、長穴15の押圧部88が係合軸17に当接し、ラチェットギヤ16を図24で矢示D方向へ押していく。この結果、ロック板2が駆動バネ30の付勢力に抗して閉じていく。そして、ロック板2は、図23に示す閉じ状態となる。
仮に、閉じ動作の途中で、図24の状態となったとき、例えば、ロック板2が駐車管理装置1から脱出しようとする車両のマフラー等に突き当たるとする。この場合、閉じ動作中であるため、ラチェットカム19は、図24に示す矢示C方向に回転する。すると、長穴15の押圧部88が係合軸17を図24の右方向に押し、ラチェットギヤ16が図24で矢示D方向へ向かって移動する。これに伴い、第3回転軸22も図24で矢示F方向に回転する。すると、第3回転軸22の係合挿入部28が図22(B)に示すように、係合孔41の当接部42b,42dと当接して図26の状態となる。すなわち、遊び隙間S1,S2の存在によって、ロック板2は図26の矢示G方向に回動するかまたは図24の状態を維持しつつラチェットギヤ16の矢示D方向の開動を許容することになる
図26の状態では、長穴15の押圧部88は、係合軸17を図26の矢示G方向に押す。この矢示G方向は、ロック板2の起立方向に対して直角に近い角度となっている。この場合、係止軸13と係合軸17とを結ぶ線と、ラチェットギヤ16の回転支点と係合軸17とを結ぶ線とからなる角度は図24と比べさらに90度に近い角度となり、図24の状態の場合と比較して、より効率良く、ロック板2を閉じ方向に動作させることができる。このように、係合孔41と係合挿入部28との係合状態において遊び隙間S1,S2が形成されるため、ロック板2の閉じ動作においてロック板2が車両の底部に突き当たった場合、ロック板2の閉じ動作に有利に働くこととなる。したがって、ロック板2が車両の底部に少しひっかかったくらいでは、ロック板2は閉じ動作を継続し、図23のように閉じ状態となる。また、ロック板2の先端部側はR状に曲げられているため、ロック板2は車両の底部と面接触ではなく、線接触し易い構成となっている。したがって、ロック板2が車両の底部に当接した場合、ロック板2の閉じ動作が完全に遮られることなく、閉じ動作が継続しやすくなる。すなわち、R状の曲げはロック板2の閉じ動作に有利に働く。
また、閉じ付近では、第1のギヤ11からの伝達効率が悪くなり、伝えられる力が小さくなると共に変位量が少なくなる。このため、閉じ付近では、ロック板2は、低速かつ低トルクにて動作することとなる。
図27に示す閉じ動作の途中で、ロック板2と台部35との間に人の足等が挟まれた場合でも、依然として、第3回転軸22は図27で矢示F方向に回転する。しかし、係合孔41と係合挿入部28との係合状態において遊び隙間S1,S2が形成されるため、係合挿入部28はロック板2をすぐに押し下げることはない。すなわち、図28の状態のように、ロック板2の状態を維持したまま係合挿入部28は係合孔41の当接部42b,42dと当接するまで回転する。これは、係合挿入部28が遊び隙間S1,S2によって周方向に有する遊び分だけ、ロック板2は、閉じ位置から開方向に向かって持ち上がる余裕を持っているためである。このロック板2が閉じ位置から開方向に向かって持ち上がる高さKの大きさは、設計上の都合により適宜調節することが可能である。
この高さKの寸法より大きなものが挟まった場合は、係合挿入部28が係合孔41の当接部42b,42dと当接した後、さらにロック板2によって押さえつけられる。一方、高さKの寸法より小さなものが挟まった場合は、遊び分の余裕によりロック板2によって押さえつけられることはない。このため、子供などの手や足がロック板2と台部35との間に挟まれても大けがに至ることはない。なお、この実施の形態では、ロック板2が台部35と当接するときを閉じ位置、すなわち下限の位置としている。ここで、下限位置は、遮光板57が下限センサ61側に戻り、検知されることによりその位置が検出される。
ロック板2が閉状態の下限にくると、下限センサ61により得られる信号により、モータ7をオフし、ロック板2の閉動作の完了後の位置保持を行う。このように、ロック板2を閉状態とすることにより、入庫した車両の退出を可能とする。なお、モータ7には電磁ブレーキが付加されていないので、ロック板2を閉から開方向に歯車輪列の抵抗以上の非常に強い力で引っ張ると、ロック板2は徐々に開方向に動いていく。このため、手動でロック板2を動かし、その後、ロック板2に荷重をかけることによって、ラチェット機構が動作するか否かを確認できる。なお、従来と同様に電磁ブレーキを付加するようにしても良い。
以上のような通常の入出庫以外に異常な入出庫が行われることがある。例えば、入庫した車両が料金を支払わずに出庫しようとする場合がある。この場合、ロック板2は開方向の力を受けるが、このとき、ロック板2は、遊び隙間S1,S2の存在により開方向の上限位置までスムーズに移動する。そして、さらにロック板2に力が加わると、ロック板2はたわみ、その後、車両がロック板2を乗り越えると、ロック板2にはそのたわみの反力と車両の荷重の両方が急激に加わる。
このとき、ロック板2の回動は、第3回転軸22に伝わり、ラチェットギヤ16に伝達される。すると、ラチェットギヤ16と噛合しているラチェット爪21に負荷が加わり、ラチェット爪21を支持しているラチェットステー25を下方側に移動させる。すなわち、第3回転軸22を中心として、ラチェットステー25は回動し、ダンパーゴム51を押圧する。この動きと共に、ラチェットステー25のガタのため、ラチェットギヤ16の支点とラチェット爪21の支点の間の距離がわずかに広がる。この結果、噛合が浅く行われていた場合でも、ラチェットギヤ16とラチェット爪21の噛合が深く行われ、ラチェット爪21は、ロック板2に加わる負荷をしっかりと受け止める。なお、両者の噛合がいわば半がかり的なままで力が加わると、ラチェット爪21の歯先97が簡単に折れてしまうこととなる。
しかし、この受け止め力があまり大きいと、ロック板2が曲がったり、第3回転軸22がねじれたりし、大きな損害となる。このため、この実施の形態ではラチェット軸24の両端に細径部101,101を設けて、ラチェット軸24を折れ易くしている。このため、極めて過大な力が加わると、ラチェット軸24が最初に破損することとなる。この破損は、ラチェット軸24を挿通しているアース線の切断を導き、この駐車管理装置1が故障したことを管理者等に知らせることとなる。
図29は、駐車管理装置1に使用されるダンパーゴム51の特性を示す図である。この図29は同じ力を与え続けてダンパーゴム51の厚さを小さくしていく場合の厚さと時間の関係を示すものである。
以上のようなラチェットギヤ16とラチェット爪21の2段階的な動きは、ラチェットステー25の下方に置かれるダンパーゴム51の弾性力を利用して行われる。このダンパーゴム51は、図29に示すような特性を有している。すなわち、一定の力が時刻t1の時点で加わった場合、最初厚さH1のものが、急激に薄くなり、時刻t2では厚さH2となる。その後はほとんど厚さは変化せず、一種の鋼体となる。このような特性を有するダンパーゴム51であるため、まず、ラチェットギヤ16とラチェット爪21の噛合を深くさせ、その後、ラチェット爪21が受ける力を鋼体的に受け止めることとなる。なお、この実施の形態では、200kg程度の荷重がロック板2に加わったときに、ダンパーゴム51がしずみ始めるような特性とされている。
ラチェット軸24が折れると、ロック板2に対しての負荷を受け止めるものがなくなり、ロック板2は、閉じ方向に急激に回動する。このとき、ラチェットギヤ16も同時に回動する。この回動は、係合軸17が長穴15の逃がし部89内を移動していくことにより許容される。
また、ロック板2が開方向に動作し始めた時、一旦入庫した車両が駐車を止めて急に出庫しようとする場合がある。この場合、ロック板2に、加速した車両がぶつかり極めて大きな開方向の力が加わる。しかし、このロック板駆動機構3では、遊び隙間S1,S2により、ロック板2はさらに直立することとなり車両は逃げにくくなる。また、歯車輪列には力が伝わらないため歯車輪列の歯車等に破損が生ずることはない。また、仮にロック板2が破損したとしても、ロック板2の交換が極めて簡単であり簡単な修理交換で対応できる。このため全体としての修理費の上昇を抑えることができる。
一方、ロック板2が開状態のときに、さらに開方向に力が加わると、まず、遊び隙間S1,S2の存在により、ロック板2はさらに立ち上がる。その後、ロック板2にかかる力は、次の3ヶ所でその力を受けるようになる。第1に、ロック板ストッパ37の背面にロック板2が突き当たること、第2に、踏み台部36の端面にロック板2の背面が突き当たること、第3に、係合軸17がリンク14の押圧部88に突き当たることにより開方向の力を受ける。このように3ヶ所によって開方向の力を分散させて受けることによって、ロック板2のさらなる開方向への移動を阻止している。なお、リンク14と係止軸13と係合軸17の位置関係が、係合軸17からの力を第1のギヤ11の回転力に変換しにくい関係となっているため、歯車輪列が破損することはほとんどない。
この実施の形態では、仮に、ラチェット軸24やラチェット爪21が折れた場合でも、外観上は正常に動作する。すなわち、通常の営業動作であるロック板2の開方向および閉方向の動きは支障なく行われる。このため、ラチェット軸24等が破損しても駐車場の営業はそのまま継続できる。問題は、違法脱出しようとすると、簡単にできてしまうようになることであるが、この点は、営業ができなくなるのに比べればその損失ははるかに少なくて済む。なお、故障したことについては、上述したように、管理者等のみに検知できるので、故障の修理を適宜な時間帯に行うことができる。
また、上述の実施の形態では、伝達効率が徐々に変化するリンク機構を上手に活用しこの食いつき現象等を回避している。すなわち、駆動バネ30に抗してロック板2を閉じる当初は、伝達効率を高くし、急速に閉じ方向に駆動すると共に大きいトルクで閉じている。そして、閉じる付近では、伝達効率が低くなり、ロック板2はゆっくり閉じると共に、小さいトルクで閉じることとなる。なお、ロック板2が開くときは、この逆に、最初はゆっくりかつ小さいトルクで開き始めるが、駆動バネ30の付勢力が加わるため、ゆっくり確実に開いていく。
また、上述の実施の形態では、ラチェット爪21とラチェットギヤ16との関係を、周方向に相対的に回動できるようにしてあるので、ラチェット爪21とラチェットギヤ16との深い噛合が確実になされる。
以上のように構成された駐車管理装置1では、ロック板2は第3回転軸22と周方向に遊び隙間S1,S2有して一体回転する。このため、ロック板2が閉じた状態では、該ロック板2は、その遊び隙間S1,S2分だけ開方向へ持ち上がる余裕を持っている。したがって、ロック板2と台部35との間に人の手や足が挟まれた場合でも、ロック板2の開方向へ持ち上がる余裕によって、人の手や足が負傷することが防止される。したがって、駐車管理装置1の安全性が向上する。
また、駐車管理装置1では、ロック板2の側方には、被駆動プレート40および側板116が配置されている。また、被駆動プレート40および側板116の45度の角度で曲げられた部分の上端部141a,141bは、先端部側の曲げ部分に覆われている。このため、ロック板2は、全周に渡って側面を有した形態となる。したがって、ロック板2の外観における意匠性が向上すると共に、側面からのゴミ等の侵入を防止できる。
また、駐車管理装置1では、遊び隙間S1の角度φおよび遊び隙間S2の角度δはそれぞれ25度および22度とされている。また、係合挿入部28と係合孔41との間にはクリアランスが設けられている。このため、係合挿入部28と係合孔41との係合部分における周方向の回転余裕を角度δを超える角度とすることができる。したがって、寸法制限されない先端部側の遊び隙間S1の角度φを寸法制限される側にある遊び隙間S2の角度δより大きく取ることで、ロック板2の第3回転軸22に対する周方向の回転余裕をより大きくすることが可能となる。
また、駐車管理装置1では、角状部118は、複数の係合孔41が設けられた係合板121が積層された積層構造を有している。このため、被係合部材112を製造するのが容易となり、製造コストの削減を図ることが可能となる。
また、駐車管理装置1では、係合孔41には遊び隙間S1,S2が設けられている。このため、ロック板2の閉じ動作の途中で、ロック板2が駐車管理装置1から脱出しようとする車両のマフラー等に突き当たった場合、係止軸13と係合軸17とを結ぶ線と、ラチェットギヤ16の回転支点と係合軸17とを結ぶ線とからなる角度は約90度となり、効率良く、ロック板2を閉じ方向に動作させることができる。また、ロック板2の先端部側はR状に曲げられている。このため、ロック板2は車両の底部と面接触ではなく、線接触し易く、かつ食いつきにくい構成となっている。したがって、ロック板2が閉動作において車両の底部と当接した場合、ロック板2の閉じ動作に有利に働く。
また、駐車管理装置1では、ロック板2の裏側には、補強部材114が配置されている。このため、ロック板2の強度を向上させることが可能となる。また、補強部材114はハット形状に折り曲げられた形態を有しているため、軽量化を図りつつ、かつ低コストでロック板2の強度の向上を図ることができる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
上述の実施の形態では、ロック板2をリンク機構を介して動作させているが、モータ7からの動力をすべて輪列機構を介してロック板2に伝えるものとしても良い。また、動力源としてはモータではなく、ソレノイド等の他の動力源としても良い。
また、上述の実施の形態では、角状部118は係合板121を積層させる構成となっているが、積層構造に限定されるものではなく、例えば、角状部118を鋳型等を用いて一体的に形成するようにしても良い。また、角状部118は、5枚の係合板121を積層さることによって形成されているが、積層させる係合板121の枚数は5枚に限定されるものではなく、4枚以下としても良いし、6枚以上としても良い。
また、上述の実施の形態では、係合挿入部28の断面形状は小判形状を呈しているが、係合挿入部28の断面形状は小判形状に限定されるものではなく、例えば、図30(A)に示すように、小判形状における中央部分の厚みを両外側から中央側に向かって曲線状になめらかに小さくした形態としたり、図30(B)に示すように、長方形としたり、図30(C)に示すように、横長の六角形としても良い。
また、上述の実施の形態では、フィン部113の裏側には、被係合部材112を配設されているが、被係合部材112を設けることなく、第4回転軸24が被係合部材112の役割を兼ね備えるような構成としても良い。
また、上述の実施の形態では、おおぎ状の遊び隙間S1,S2の形状は異なる形状とされているが、遊び隙間S1,S2の形状を同一形状としても良い。また上述の実施の形態では、第3回転軸22の中心Pと係合孔41の中心Qは一致していないが、これら中心Pと中心Qを一致させるようにしても良い。さらに、係合孔41を第3回転軸22に設け、係合挿入部28をロック板2に設けるようにしても良い。この場合、特許請求の範囲でいう「係合挿入部」は係合孔を意味し、「係合孔」は係合挿入部を意味することとなる。