JP5270818B2 - 建築用シャッターにおける落下防止装置 - Google Patents
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Description
ところで、巻き取りシャフトは、左右方向に長尺状であるうえ、シャッターカーテンが連結されることによって大きな荷重が作用していることから、撓みが生じることがあり、このようになると、ブラケット面に対する巻き取りシャフトの取り付け姿勢が直交状態とならず、下方に傾斜する傾斜状態となる。これに対し、ケース体の左右方向一端部をブラケットに一体的に固定すると、ケース体は撓むことなく、ブラケットに対して直交状に取り付けられたまま姿勢を変えることがない。このため、撓んだ巻き取りシャフトに一体的に外嵌する回転体が、巻き取りシャフトとともに傾斜状態となり、ケース体と回転体や、該回転体に配設される制動装置等の各種部材とのあいだに予期せぬ負荷が作用したり、位置関係に変化が生じたりすることにより制動機能を損なう惧れがあって問題がある。
さらには、前記落下防止装置の制動装置は、巻き取りシャフトが落下方向(シャッターカーテンの閉鎖方向)に急回転した場合に回転体とケース体とを一体化して、シャッターカーテンの緊急停止をする一方、前記一体化された状態で回転体がシャッターカーテンの開放方向に回転した場合では、制動装置の制動が解除される構成となっている。このため、シャッターカーテンの急降下があって、シャッターカーテンを緊急停止をしたときに、反動が生じて巻き取りシャフト(回転体)を開放方向に回転させてしまう惧れがあり、このような場合では、落下防止装置の制動装置が解除され、再度、シャッターカーテンが落下(急回転)し、これによって、再び緊急停止がなされるような事態となり、このような現象を繰り返し生じながら停止することになり、円滑な停止作動にならない惧れがあって問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
請求項2の発明は、ケース体のブラケットに対する変位は、回転体の緊急停止の反動に伴うケース体の変位を許容するように構成されている請求項1に記載の建築用シャッターにおける落下防止装置である。
請求項3の発明は、ケース体側に係止凹部が形成され、ブラケットに係止突部が設けられるものとし、前記係止突部は、巻き取りシャフトを軸承する軸受け部材をブラケットに固定する固定ボルトで構成されている請求項1又は2に記載の建築用シャッターにおける落下防止装置である。
請求項2の発明とすることにより、落下防止装置によるシャッターカーテンの緊急停止を円滑に行うことができる。
請求項3の発明とすることにより、部材の兼用化が果せるうえ、軸方向のスペースを有効に活用でき、さらには、落下防止装置の外径方向に係止手段を設けない分、落下防止装置の外径方向のスペースを有効に活用できる。
図面において、1は開口部に建付けられる建築用シャッターのシャッターカーテンであって、該シャッターカーテン1は、開口部上方の躯体に固定される左右一対のブラケット2、3に回動自在に設けられた巻き取りシャフト4に上端部が連結されている。さらに、図1において、図面に向かって右側のブラケット3には補助ブラケット3aが前方に突出形成されており、該補助ブラケット3aに開閉機5が設けられ、該開閉機5と巻き取りシャフト4の右端部とのあいだに伝動チエン5aが懸回されており、これによって、開閉機5と巻き取りシャフト4との連動連結がなされている。そして、シャッターカーテン1は、開口部に設けられた操作スイッチSの操作に基づいて開閉機5の回転駆動がなされると巻き取りシャフト4が正逆回転し、シャッターカーテン1が巻き取りシャフト4から巻き出されて開口部を閉鎖する全閉姿勢と、シャッターカーテン1が巻き取りシャフト4に巻き取られて開口部を開放する全開姿勢とのあいだを開閉作動するように設定されている。このとき、シャッターカーテン1の左右側縁部は、開口部の左右両側に設けたガイドレール6による移動案内を受けるように構成されていること等の基本構成は従来通りである。
前記落下防止装置7を図3に基づいて説明する。前記落下防止装置7は、巻き取りシャフト4に一体的に外嵌する回転体8を備えて構成されており、前記回転体8は、巻き取りシャフト4に形成されたキー4bを嵌合(内嵌)するキー溝8aが形成されており、巻き取りシャフト4に対して回り止めされて一体回転するように構成されており、これによって、巻き取りシャフト4と回転体8との連動連結がなされている。
さらに、回転体8の右端部には径方向を向く螺子孔8fが周回り方向二箇所に形成されており、これら螺子孔8fに、それぞれロックピンナット4cを螺合して、ロックピンナット4cの先端面を巻き取りシャフト細径部4a外周に押圧状に止着することにより、回転体8と巻き取りシャフト4とのキー溝8cとキー4bに基づく回り止め状の(一体的な)連動連結を補助するとともに、落下防止装置7を軸方向に位置決め状に設けることができるようにしている。
前記増速手段9は、筒状の増速部ケーシング9aの内周に、回転体8外周に刻設された係合溝8bに嵌合する係合部10aが内周に形成されたベースホイール10、該ベースホイール10に回転自在に軸承され、ケーシング9aの内周に形成されたギア歯9bに噛合する第一遊星歯車11、ベースホイール10の左側に位置し、回転体8に相対回転自在に外嵌する状態で配され、前記第一遊星歯車11の回転を受けて回転する第一歯車10b、該第一歯車10bに軸承され、ケーシング9aの内周に形成されたギア歯9bに噛合して回転する第二遊星歯車11a、そして、第一歯車10bの左側に位置し、回転体8に相対回転自在に外嵌する状態で配され、前記第二遊星歯車11aの回転を受けて回転する第二歯車10cとが内装されている。そして、巻き取りシャフト4からの回転は、ベースホイール10、第一遊星歯車11、第一歯車10b、第二遊星歯車11aを介して第二歯車10cに動力伝動するように構成されており、これによって、第二歯車10cは、巻き取りシャフト4の回転数が増加(回転速度が増速)された状態で、回転体8に対して相対回転するように設定されている。
尚、増速部ケーシング9aは、右端縁部に固定されるリング状の蓋体9cにより右側の筒端部が覆蓋されるが、該蓋体9cは、内径側に形成される筒部9dの内径側部と回転体8外周とのあいだに軸受8cが介装されることにより、回転体8(巻き取りシャフト4)とは相対回動自在となるように構成されている。
そして、ウエイト体12aは、シャッターカーテン1の通常の開閉作動を行う状態の巻き取りシャフト4の回転では、増速手段9により増速されても外径側にスライド移動することはなく、通常の開閉作動時の回転を越える巻き取りシャフト4(回転体8)の予め設定される所定の回転数を越える急回転(急降下、シャッターカーテン1の落下)があったような場合に、前記急回転に基づく第二歯車10cの遠心力を受けて、リング状付勢弾機12cの付勢力に抗して外径側にスライド移動するように設定されている。
前記制動手段13は、汎用の遠心クラッチ装置を用いて構成されており、ブレーキドラムに相当する制動部ケーシング14の内側には、軸方向に対向し、回転体8と一体回転する一対のブレーキプレート13aと、該ブレーキプレート13aに揺動支軸13bを介して揺動自在に支持され、外径側に揺動して制動姿勢に変位することで外周の制動面が制動部ケーシング14の内周面に圧接するブレーキシュー(本発明の制動体に相当する)13cとが周回り方向に複数設けられている。これらブレーキシュー13cには、一端が隣接するブレーキシュー13cの揺動支軸13bに固定される付勢弾機13dの他端が連結されており、該付勢弾機13dにより内径側に揺動せしめられ、制動部ケーシング14から離間する非制動姿勢となるように付勢されている。
また、ブレーキシュー13cの内径側面には、外径側に向けて凹部13fが形成される一方、回転体8には、前記凹部13fに対向して内径側に向けて凹設された凹部8eが形成されており、前記ブレーキシュー凹部13fと回転体凹部8eとにより囲繞される空間には、断面長円状のクラッチローラ13gが設けられている。そして、ブレーキシュー13cが、前述したように非制動姿勢となっている状態では、クラッチローラ13gは、図4(A)に示すように、外径側先端部が内径側に位置する倒伏姿勢となっている。これに対し、巻き取りシャフト4が、後述するように、図4(B)に示す矢印X方向の回転である閉鎖方向に急回転することにより、ブレーキシュー13cが制動姿勢に変姿することに伴い、図4(B)に示すように、クラッチローラ13gの内径側先端部が矢印X方向の負荷を受けるとともに、ブレーキプレート13aが回転体8と一体回転することによる遠心力を受けることにより、外径側先端部が外径側に変位する起立姿勢となって、ブレーキシュー凹部13fと回転体凹部8eとのあいだに食い込み、制動部ケーシング14と回転体8(巻き取りシャフト4)との一体化がなされるように構成されている。
因みに、クラッチローラ13gは、回転体8(巻き取りシャフト4)を矢印反X方向(シャッターカーテン1の開放方向)に回転させることにより倒伏姿勢とすることができ、このようにすることにより、ブレーキシュー13cが非制動姿勢に変姿して、落下防止装置7を、制動部ケーシング14と回転体8(巻き取りシャフト4)との一体化が解除される非制動状態に復帰させられるように構成されている。
尚、14eは、周回り方向に隣接する係止凹部14dのあいだに形成されて制動部ケーシング14の軽量化を図るための肉抜き用孔である。
また、シャッターカーテン1の通常の開放作動において、巻き取りシャフト4は、図4(A)の矢印で示す方向に回転するように設定されている。そして、巻き取りシャフト4(回転体8)の回転に伴い、ブレーキプレート13a、ブレーキシュー13cとが一体に回転するが、このとき、クラッチローラ13gは、径方向外方が回転方向後側に位置する傾斜姿勢に遊嵌されているため、ブレーキプレート13aとともに回転することによる遠心力を受けたとしても、該遠心力によりクラッチローラ13gが径方向に起立する起立姿勢に変姿することはなく、しかも、付勢弾機13dの付勢力を受けているので、ブレーキシュー13cは非制動姿勢に保持されて、制動手段13による制動がなされることがなく、落下防止装置7は非制動状態となっている。
ここで、このような通常の開閉作動を行う状態において、落下防止装置7の増速手段9、回転数検知手段12、制動手段13は、それぞれ回転体8の回転に基づいて回転している。これに対し、落下防止装置7のカバー体Cは、前述したように、カバー体係止凹部14dと固定ボルト突出先端部16aの径の差に基づいた変位が許容された状態となっている。このため、通常の開閉作動時において増速手段11の回転に伴い、カバー体Cと、該カバー体Cを軸承する軸受8c、8dとのあいだ、ベースホイール10と増速部ケーシング9a内周のギア歯9bとのあいだとにそれぞれ回転抵抗が生じるが、この場合に、ケース体Cの荷重をこれらの回転抵抗よりも上回るように設定することにより、カバー体Cが回転することがないように構成されている。
因みに、カバー体Cは、係止凹部14d部における回転許容範囲に基づいて閉鎖方向の回転をした後、係止凹部14dの穴縁が固定ボルト突出先端部16aに当接することにより左側ブラケット2側からの回転規制を受け、これによって、巻き取りシャフト4の回転を緊急停止させるように設定されている。
そして、この場合に、本実施の形態のケース体Cは、左側ブラケット2に対し、カバー体係止凹部14dと固定ボルト突出先端部16aとの径の差に基づいた変位が許容された状態となっている。即ち、急停止した状態で、ケース体Cは、閉鎖方向の回転における先側となる係止凹部14dの穴縁が固定ボルト16の突出先端部16aに当接した状態となっており、この状態からシャッターカーテン1の反動を受けたとしても、ケース体Cは開放方向の回転における先側となる係止凹部14dの穴縁が固定ボルト16の突出先端部16aに当接するまでの回転、即ち、固定ボルト16の突出先端部16aの外径R2とケース体係止凹部14dの内径R1との差(R1−R2)に基づく(所定範囲の)回転が許容されている。これによって、シャッターカーテン1の緊急停止がなされたときに、巻き取りシャフトが受ける反動を、落下防止装置7のケース体Cとともに開放方向に回転することにより吸収することができ、ケース体Cと回転体8とが相対回転して制動装置13のブレーキシュー13cを非制動姿勢にすることがなく、円滑なシャッターカーテン1の緊急停止を行うことができるように構成されている。
この結果、巻き取りシャフト4に撓みが生じ、左側ブラケット2のブラケット面に対し細径部4aが傾斜状態になって、該細径部4aに一体的に外嵌する落下防止装置7の回転体8も傾斜状態となったような場合に、ケース体Cが回転体8の傾斜状態に追随した変位を行うことができて、落下防止装置7の制動手段13が損なわれるようなことが回避され、長期にわたって優れた制動機能を備えた落下防止装置7とすることができる。
さらには、落下防止装置7の制動作用でシャッターカーテン1の緊急停止がなされたときに、シャッターカーテン1に開放方向の反動が生じようとしても、該反動を、巻き取りシャフト4と一体化されているケース体Cが巻き取りシャフト4と一体的に変位する状態で回転することにより吸収することができ、巻き取りシャフトが開放方向に回転して落下防止装置のブレーキシューを制動姿勢から非制動姿勢に変姿させてしまうような不具合がなくなって、円滑なシャッターカーテン1の緊急停止を行うことができる。
さらには、図7に示す第二の実施の形態のように構成することができる。ここで、第二の実施の形態における落下防止装置、取り付けブラケットの各部材は同様の構成であり、同様の符号を付すことにより説明を省略する。
第二の実施の形態において、左側ブラケット2には、巻き取りシャフトの細径部を軸承する軸受け部材19が設けられるとともに、左側ブラケット2内側面には、左右方向内方に向けて突出する係止受け突起20が一体的に突設されている。一方、落下防止装置7を構成する制動部ケーシング14の左端側の外周面には、外径方向に突出する係止突起21が突設されている。そして、左側ブラケット2に巻き取りシャフトを軸承する際に、落下防止装置7の係止突起21が左側ブラケット2に設けられた係止受け突起20に対し、シャッターカーテンを閉鎖する回転方向の後側に位置し、係止受け突起20とのあいだに隙間がある状態(図7の二点鎖線で示す状態)で配設されている。
このように構成することにより、落下防止装置7がシャッターカーテンの落下に伴う巻き取りシャフトの急回転があった場合では、係止突起21が係止受け突起20に係止する状態(図7の一点鎖線で示す状態)となることにより、巻き取りシャフト(シャッターカーテン)の緊急停止を行うことができる。そして、この場合に、落下防止装置7のケース体Cは、通常使用時において、係止受け突起21と離間していることから、巻き取りシャフトの撓みに追随して傾斜状態になることが自由にできるうえ、ケース体Cは、シャッターカーテンの開放方向への回転が自由になっていることから、巻き取りシャフトの緊急停止に伴う反動で制動手段が非制動状態になるような不具合を防止できる。
2 左側ブラケット
4 巻き取りシャフト
5 開閉機
7 落下防止装置
8 回転体
9 増速手段
12 回転数検知手段
13 制動手段
13c ブレーキシュー
14 制動部ケーシング
14d 係止凹部
16 固定ボルト
16a 突出先端部
Claims (3)
- 躯体側に固定されたブラケットに、シャッターカーテンが連結された巻き取りシャフトを正逆回転自在に軸承し、前記巻き取りシャフトの正逆回転に伴いシャッターカーテンによる開口部の開閉がなされるよう構成された建築用シャッターにおいて、前記ブラケットと巻き取りシャフトとのあいだに、巻き取りシャフトと一体回転する回転体と、該回転体に対して相対回動自在に軸支され、かつブラケットに係止手段を介して係止され、少なくともシャッターカーテンの閉鎖方向の回転が規制されるケース体と、回転体の急回転でケース体と回転体とを一体化して、ケース体のブラケットからの回転規制に基づいて回転体を緊急停止する制動手段とを備えた落下防止装置を設けるにあたり、前記係止手段は、ケース体とブラケットとの何れか一方に設けられる係止凹部と、他方に設けられ、該係止凹部に内嵌する係止突部とで構成されるものであり、該係止突部を、外径が係止凹部の内径よりも小さく、突出量が係止凹部の溝深さよりも短い設定にして、係止凹部の穴縁および溝底に当接することがない遊嵌状で係止凹部に内嵌する構成にすることで、前記巻き取りシャフトに生じる撓みを回転体を介して受けるケース体のブラケットに対する三次元方向の変位が、前記係止手段の遊嵌状の内嵌構成で許容されることになって、ケース体が巻き取りシャフトの撓みに伴う回転体の変位に追随した変位をするよう構成されている建築用シャッターにおける落下防止装置。
- ケース体のブラケットに対する変位は、回転体の緊急停止の反動に伴うケース体の変位を許容するように構成されている請求項1に記載の建築用シャッターにおける落下防止装置。
- ケース体側に係止凹部が形成され、ブラケットに係止突部が設けられるものとし、前記係止突部は、巻き取りシャフトを軸承する軸受け部材をブラケットに固定する固定ボルトで構成されている請求項1又は2に記載の建築用シャッターにおける落下防止装置。
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