本発明は、シャッター開閉機に関し、更に詳しくは、モータ部及びブレーキ部を備えるシャッター開閉機に関する。以下、本発明に係るシャッター開閉機の一実施形態について、図1〜図7Cに基いて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るシャッター開閉機を示す。このシャッター開閉機は、シャッターボックス(不図示)側板内面等に取り付けられるものであって、その取付面側に出力軸1を有し、この出力軸1側から軸方向に順に減速部2、モータ部3、ブレーキ部4及び制御部5を備える。
出力軸1は、シャッター(不図示)が巻き取られるドラム(不図示)に直接的又は間接的に連結されて、ドラムを回転させる。
減速部2は、モータ部3から出力される回転力を減速して出力軸1に伝達する。減速部2は、主に複数の歯車を有するもので、減速部2としては従来公知のものが適宜利用可能であり、詳細な説明は省略する。
モータ部3は、図2に示すように、モータシャフト31と、モータシャフト31と一体に回転するブレーキシュー32と、を有する。モータシャフト31は、その中心軸線回りに回転する。モータシャフト31の中心軸線回りの回転力は、減速部2を介して出力軸1に伝達される。モータシャフト31の中心軸線の延びる方向は、出力軸1、減速部2、モータ部3、ブレーキ部4及び制御部5が並ぶ方向と一致している。ブレーキシュー32は、モータシャフト31の減速部2側の端部と反対側の端部に固定される。ブレーキシュー32は、モータシャフト31に対して、スプライン結合、キー結合、焼き嵌め又はビス止め等の適宜の方法により固定される。なお、以下の説明においては便宜上、中心軸線の延びる方向であって出力軸1の方を前方とすると共にその反対を後方とし(図2参照)、前方より後方を見たときの左右をそれぞれ左方と右方とする(図3等参照)。
ブレーキ部4は、ブレーキケース41と、ブレーキシャフト42と、ブレーキディスク43と、アーマチュア44と、ブレーキスプリング45と、電磁クラッチ46と、を有する。
ブレーキケース41は、ブレーキシャフト42、ブレーキディスク43、アーマチュア44、ブレーキスプリング45及び電磁クラッチ46を収容する。
ブレーキシャフト42は、その中心軸線40回りに回転する。ブレーキシャフト42は、軸受又はブッシュ47等を介して、ブレーキケース41に対して回転可能となるように、ブレーキケース41に支持される。
ブレーキシャフト42の中心軸線40は、モータシャフト31の中心軸線と一致している。すなわち、ブレーキシャフト42とモータシャフト31とは、同一軸線上に位置している。ブレーキシャフト42は、中心軸線40に沿って移動可能に構成される。
ブレーキディスク43は、ブレーキシュー32に押し付けられて(付勢されて)ブレーキシュー32との間に摩擦力が発生すると、ブレーキシュー32及びブレーキシャフト42と一体に回転したり、ブレーキシュー32及びブレーキシャフト42の回転を停止したりする。
ブレーキディスク43は、ブレーキシャフト42の中心軸線40回りに回転する。本実施形態では、ブレーキディスク43は、ブレーキシャフト42に対して相対回転可能に構成される。ブレーキシャフト42に固定部材48が相対回転可能に設けられ、この固定部材48の前側の面に、ブレーキディスク43がビス止めにより固定される。なお、固定部材48へのブレーキディスク43の固定方法は、ビス止めに限定されない。
アーマチュア44は、ブレーキディスク43に対して相対回転可能となるように、ブレーキシャフト42の中心軸線40回りに回転する。アーマチュア44は、使用者により手動の回転力が入力される。本実施形態では、固定部材48の中心軸線40から離間する方(径外方向という)に、固定部材48に対して相対回転可能な回転部材49が配置される。この回転部材49の後側の面に、アーマチュア44がビス止めにより固定される。回転部材49の外周面には、スプロケット(不図示)が形成され、このスプロケットにチェーン6が巻き掛けられており、使用者は、チェーン6を引くことにより、アーマチュア44を中心軸線40回りのいずれかの方に選択的に回転させることができる。なお、回転部材49へのアーマチュア44の固定方法は、ビス止めに限定されない。
ブレーキスプリング45は、ブレーキディスク43をブレーキシュー32の方に向けて押し付ける。本実施形態では、ブレーキスプリング45は、ブレーキケース41の一部と固定部材48との間に配置され、直接的には固定部材48を前方に向けて押し付ける。これにより、固定部材48、ブレーキディスク43及びブレーキシャフト42は、前方に向けて常時押し付けられる。
電磁クラッチ46は、ブレーキディスク43にブレーキシュー32から離間する方に力を加える。本実施形態では、電磁クラッチ46は、アーマチュア44の後側の面から後方に離間して配置される。
電磁クラッチ46は、通常は通電されない。電磁クラッチ46に通電されていないときには、アーマチュア44及びブレーキディスク43には電磁力がかからないため、アーマチュア44及びブレーキディスク43にはブレーキスプリング45からの押し付け力がかかる。このため、電磁クラッチ46に通電されない通常時には、ブレーキディスク43はブレーキシュー32に押し付けられており、ブレーキディスク43を回転させない限り、ブレーキシュー32及びモータシャフト31は回転しないと共に出力軸1も回転せず、シャッターは巻き上げられたままあるいは閉じられたままである。
電磁クラッチ46に通電されているときには、アーマチュア44及びブレーキディスク43に後方に向けて吸引力がかかり、アーマチュア44、ブレーキディスク43及びブレーキシャフト42がブレーキスプリング45の押し付け力に抗して後方に移動し、ブレーキディスク43がブレーキシュー32から離間する。ブレーキディスク43がブレーキシュー32から離間すると、ブレーキシュー32はブレーキディスク43からの押し付け力(制動力)から解放されて、モータシャフト31及び出力軸1は自由に回転可能となる。
なお、電磁クラッチ46に通電する代わりに、ブレーキ解除レバー9を手動で操作することによっても、ブレーキディスク43を後方に移動させてブレーキシュー32から離間させ、モータシャフト31を制動力から解放させることができる。
使用者がシャッターを開こうとする場合、操作部(不図示)の例えば「開」ボタンや「上」ボタンを押すと、リレー(不図示)に並列に接続されたモータ部3のモータ(不図示)と電磁クラッチ46への通電が開始される。電磁クラッチ46に通電されることにより、モータシャフト31はブレーキディスク43からの制動力から解放される。また、モータの駆動により、モータシャフト31、出力軸1及びドラムがシャッターの巻き上げ方向に回転して、シャッターを巻き上げて開くことができる。シャッターの巻き上げ動作は、シャッターが開ききったときにリミットスイッチ(不図示)が作動してモータを停止させることにより、あるいは、操作部の例えば「停止」ボタンを押してモータを停止させることにより、停止する。
また、使用者がシャッターを閉じようとする場合、操作部の例えば「閉」ボタンや「下」ボタンを押して電磁クラッチ46に通電させるか、あるいは、ブレーキ解除レバー9を手動で操作することにより、モータシャフト31はブレーキディスク43からの制動力から解放されると共に、モータの駆動又はシャッターの自重によりモータシャフト31、出力軸1及びドラムをシャッターの降下方向に回転させて、シャッターを降下して閉じることができる。シャッターの下降動作は、シャッターが閉じきったときにリミットスイッチが作動してモータを停止させることにより、あるいは、操作部の「停止」ボタンを押してモータを停止させることにより、停止する。
また、電磁クラッチ46に通電されていないときに、ブレーキディスク43を回転させると、ブレーキディスク43と共にブレーキシュー32、モータシャフト31及び出力軸1が回転するため、シャッターを巻き上げたり降下させたりすることができる。以下にブレーキディスク43を回転させるための構成について説明する。
図3に示すように、ブレーキディスク43は、その外周面に、周方向に互いに離間して、間に挿入凹部432が形成される複数の規制凸部431を有する。特に本実施形態では、ブレーキディスク43は、その外周面の周方向に均等に間隔をあけて、所定個数(12個)の規制凸部431及び挿入凹部432を有する。
ブレーキ部4は、規制部7を有する。規制部7は、ブレーキディスク43の外周面に中心軸線40の方(径内方向という)に押し付けられて、挿入凹部432に挿入可能である。規制部7は、周方向の所定の位置に、径内方向又は径外方向に移動可能に配置される。規制部7が挿入凹部432に挿入されていると、ブレーキディスク43が回転しようとしても規制部7が挿入凹部432の内側面(規制凸部431の外側面)に接触して、それ以上ブレーキディスク43が回転するのが規制される。
本実施形態では、図2に示すように、規制基板70の後端部がブレーキケース41に枢支され、規制基板70の前端部が径内方向に折り返されて規制部7が形成されている。規制基板70とブレーキケース41との間には、規制基板70を径内方向に付勢するコイルばねからなる付勢部材71が設けられている。このような構成により、規制部7は、径内方向に向けて、ブレーキディスク43の外周面に押し付けられている。
図4に示すように、アーマチュア44は、その外周面に、周方向に互いに離間して間に退き凹部442が形成される複数の押し凸部441を有する。特に本実施形態では、アーマチュア44は、その外周面の周方向に均等に間隔をあけて、所定個数(12個)と同数の押し凸部441及び退き凹部442を有する。
図2に示すように、ブレーキ部4は、解除用部材8を有する。解除用部材8は、アーマチュア44の外周面に径内方向に押し付けられて、退き凹部442に挿入可能である。解除用部材8は、球体からなるが、球体とは、真球でなくてもよく、実質的に球体として扱えるものであればよい。また、解除用部材8は、鋼球であるが、材質は限定されない。解除用部材8は、周方向の所定の位置に、径内方向又は径外方向に移動可能に配置される。
本実施形態では、ブレーキケース41に径内外方向に貫通する、内径が解除用部材8の外径とほぼ同じかこの外径より若干大きい貫通孔411が形成されている。解除用部材8は、この貫通孔411に挿入されることにより、周方向の所定の位置に位置し、かつ、径内外方向に移動可能となる。また、解除用部材8は、規制基板70により径内方向に付勢され、アーマチュア44の外周面に押し付けられている。
アーマチュア44は、ブレーキディスク43に対して所定角度の範囲で相対回転可能に構成される。本実施形態では、図5Aに示すように、ブレーキディスク43が固定される固定部材48の径外側の面に凸部481が形成され、アーマチュア44が固定される回転部材49の径内側の面に凸部481が挿入される凹部491が形成されている。凸部481が凹部491に挿入されることで、回転部材49が固定部材48に対して所定角度の範囲で相対回転可能に構成されている。所定角度は、例えば15°であるが、15°に限定されない。所定角度の範囲について、更に説明する。
図6A〜図6Cに示すように、アーマチュア44の押し凸部441の周方向における中心を押し凸部中心440とし、ブレーキディスク43の規制凸部431の周方向における中心を規制凸部中心430とする。図6Aに示すように、押し凸部中心440が規制凸部中心430と一致する位置を範囲中心とする。このとき、凸部481と凹部491とは、図5Aに示す位置関係にある。
凸部481は、範囲中心を中心として周方向の両側に所定角度の半分の角度ずれた範囲内を移動可能である。所定角度の半分の角度は、所定角度が15°の場合には7.5°であるが、7.5°に限定されない。
図6Bに、アーマチュア44が正面視において左回りに7.5°回転したときの押し凸部441と規制凸部431の位置関係を示し、図6Cに、アーマチュア44が正面視において右回りに7.5°回転したときの押し凸部441と規制凸部431の位置関係を示す。図6B及び図6Cに示す状態においては、凸部481が凹部491の内側面に接触して、それ以上アーマチュア44が回転するのが規制されている。
また、ブレーキ部4は、図5Bに示すように、押し凸部中心440が範囲中心に位置するようにアーマチュア44に力を加える付勢部材493を有する。付勢部材493は、本実施形態ではコイルばねからなり、回転部材49に形成される一対の凹所492にそれぞれコイルばねの一端部が挿入され、それぞれのコイルばねの他端部により固定部材48の押され部482が押されている。これにより、図6Bに示すようにアーマチュア44が左回りに回転すると、アーマチュア44に右回りに回転させる復元力が働き、図6Cに示すようにアーマチュア44が右回りに回転すると、アーマチュア44に左回りに回転させる復元力が働く。
以下に、ブレーキ部4の動作について説明する。なお、電磁クラッチ46には通電されておらず、ブレーキディスク43はブレーキシュー32に押し付けられており、ブレーキディスク43はシャッターが巻き取られるドラムと一体的に回転する。
ブレーキディスク43及びアーマチュア44が回転しておらず、チェーン6が引かれていないときには、付勢部材493の復元力により、ブレーキディスク43及びアーマチュア44は図6Aに示す位置関係にある。このとき、規制部7はブレーキディスク43の挿入凹部432に挿入されていると共に(図3参照)、解除用部材8はアーマチュア44の退き凹部442に挿入されている(図4参照)。規制部7がブレーキディスク43の挿入凹部432に挿入されているため、ブレーキディスク43は、自重で降下しようとするシャッターが巻き取られているドラムからの回転力により回転しようとしても、ブレーキディスク43は回転しない。
次に、使用者がチェーン6を引いて、図6Cに示すようにアーマチュア44が右回りに7.5°回転すると、退き凹部442に挿入されている解除用部材8が、押し凸部441に押されて径外方向に移動する。解除用部材8が径外方向に移動すると、解除用部材8が規制基板70を径外方向に押して規制基板70が径外方向に移動するため、規制部7も径外方向に移動する。しかし、規制部7は挿入凹部432より完全には脱出しておらず、ブレーキディスク43は規制部7により回転が規制される状態である。すなわち、アーマチュア44がブレーキディスク43に対して相対回転して、押し凸部中心440が範囲中心に対して所定角度の半分の角度ずれた状態では、規制部7が挿入凹部432に挿入可能である。
次に、使用者がチェーン6を更に引くと、回転部材49の凹部491(図5A参照)の内側面が固定部材48の凸部481に接触していて、アーマチュア44がブレーキディスク43に対して相対回転不能であるため、アーマチュア44と一体にブレーキディスク43が回転する。図7Aに示すように、アーマチュア44が図6Cに示す状態から右回りに更に2.5°(範囲中心から10°)回転すると、解除用部材8が押し凸部441に押されて径外方向に更に移動すると共に、規制部7も径外方向に更に移動する。すなわち、退き凹部442に挿入されている解除用部材8が、アーマチュア44が中心軸線40回りに回転して押し凸部441に押されて中心軸線40から離間する方向に移動したときに、挿入凹部432に挿入されている規制部7を、中心軸線40から離間する方向に移動させて挿入凹部432より脱出させるように構成されている。これにより、規制部7は、挿入凹部432より完全に脱出して、ブレーキディスク43は規制部7により回転が規制されずに自由に回転可能となる。
次に、使用者がチェーン6を更に引いて、図7Bに示すようにアーマチュア44が右回りに更に13°(範囲中心から23°)回転すると、押し凸部441による解除用部材8の径外方向への押し出し量が小さくなり、解除用部材8が規制基板70を径外方向に押さなくなるが、規制部7は規制凸部431の径外側の面に接触して摺動するため、ブレーキディスク43は回転する。
次に、使用者がチェーン6を更に引いて、図7Cに示すようにアーマチュア44が右回りに更に12°(範囲中心から35°)回転すると、規制部7は規制凸部431から外れて挿入凹部432に挿入される。
ここで、使用者がチェーン6を更に引き続けると、アーマチュア44及びブレーキディスク43はこの位置関係を保ったまま回転し、再び図7Aに示す状態となって規制部7が挿入凹部432より脱出して、ブレーキディスク43は回転を続けることができる。以降は、使用者がチェーン6を引き続ける限り、このサイクルが繰り返されて、ブレーキディスク43の回転が継続する。
しかし、図7Cに示す状態となった後、使用者がチェーン6を引くのを停止すると、ブレーキディスク43は惰性で図7Aに示す位置まで回転する。しかしながら、アーマチュア44にはチェーン6からの回転力がかからなくなるため、付勢部材493(図5B参照)の付勢力により押し凸部中心440が範囲中心に戻り、図6Aに示す状態となる。この状態では、解除用部材8は退き凹部442に挿入されて規制基板70を径外方向に押さないため、規制部7は挿入凹部432に挿入されて、ブレーキディスク43及びドラムは回転しない。
上記シャッター開閉機にあっては、アーマチュア44の外周面に径内方向に押し付けられるのが解除用部材8である。このため、解除用部材8とアーマチュア44の外周面とは主に点接触して、従来例の作動片のように線接触する場合と比べて解除用部材8とアーマチュア44との間に生じる摩擦力が小さくてすむ。更に、従来例の作動片とは異なり解除用部材8は回転可能であるため、アーマチュア44の外周面に対して摺動ではなく転動しやすく、解除用部材8とアーマチュア44との間に生じる抵抗力がより一層低減可能である。この結果、アーマチュア44がスムーズに回転することが可能となる。
更に上記シャッター開閉機にあっては、押し凸部中心440が範囲中心に対して所定角度の半分の角度(7.5°)ずれた状態、すなわち、ブレーキディスク43に対してアーマチュア44が相対回転可能な最大限の角度ずれている状態でも、規制部7が挿入凹部432に挿入される。このため(図6C参照)、使用者がチェーン6を引くのを停止して、規制部7が挿入凹部432の内側面の位置(図7Aの規制部7の位置参照)にまで回転したとき、付勢部材493の復元力によりアーマチュア44の押し凸部中心440が範囲中心に向けて戻ることで、解除用部材8は押し凸部441に大きく押されず、規制部7が挿入凹部432から脱出せず、ブレーキディスク43の回転は停止する。
更に説明を加えると、従来例においては、アーマチュアがブレーキディスクに対して相対回転可能な最大限の角度ずれている状態では、作動片がアーマチュアに押されない場合でも、ロック片が凸部の端面に当接して、係合凹部に挿入されない。このため、使用者がチェーンを引いてブレーキディスクとアーマチュアの回転が継続している時には、ロック片が凸部の端面に当接しているか、あるいは作動片がアーマチュアに押されることによりロック片を押しているため、ロック片が係合凹部に挿入されない状態が維持されて、回転がスムーズとなる。しかしながら、使用者がチェーンを引くのを停止しても、すぐにはアーマチュアがブレーキディスクに対して回転してロック片が係合凹部に挿入可能にはならず、少し時間がたってアーマチュアがブレーキディスクに対して大きく回転して角度のずれが小さくなった時に初めて、ロック片が係合凹部に挿入可能となる。このため、使用者がチェーンを引いてシャッターを巻き上げるのを停止しても、ロック片が凸部の端面に当接していると、すぐにはロック片が係合凹部に挿入されず、この間に、シャッターの自重によりブレーキディスクに反転する回転力がかかって、ブレーキディスクがアーマチュアに対して相対回転可能な最大限の角度ずれると、再びロック片が係合凹部に挿入されない状態が維持されて、シャッターが降下してしまうおそれがある。このため、従来例においては、ブレーキディスクの逆回転(シャッターの降下方向の回転)を阻止するためのラチェット機構が必要であった。
これに対して、本実施形態では、押し凸部中心440が範囲中心に対して所定角度の半分の角度(7.5°)ずれた状態では、アーマチュア44が解除用球体8及び規制基板70を大きく押していなければ、規制部7が挿入凹部432に挿入される。これにより、使用者がチェーン6を引くのを停止したときに、ブレーキディスク43の回転が停止しやすい。
また、使用者がチェーン6を引いてシャッターを巻き上げるのを停止して、シャッターの自重によりブレーキディスク43に反転する回転力がかかるときにも、ブレーキディスク43が反転しにくい。これにより、従来例で設けられていた爪部材を有するラチェット機構が不要となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、設計等に応じて種々の変更が可能である。
例えば、固定部材48は任意の構成であって設けられなくてもよい。
また、回転部材49は任意の構成であって設けられなくてもよい。
また、規制部7は、規制基板70に一体的に形成されるものでなくてもよい。また、規制基板70は設けられなくてもよい。
また、解除用部材8は、規制基板70により径内方向に付勢されるのではなく、コイルばね等により径内方向に付勢されてもよい。
以上、述べた一実施形態およびその変形例から明らかなように、第1の態様のシャッター開閉機は、モータ部3及びブレーキ部4を備える。モータ部3は、モータシャフト31と、モータシャフト31と一体に回転するブレーキシュー32と、を有する。ブレーキ部4は、ブレーキディスク43と、アーマチュア44と、ブレーキスプリング45と、電磁クラッチ46と、を有する。ブレーキディスク43は、中心軸線40回りに回転する。アーマチュア44は、ブレーキディスク43に対して相対回転可能となるように中心軸線40回りに回転する。ブレーキスプリング45は、ブレーキディスク43をブレーキシュー32の方に向けて押し付ける。電磁クラッチ46は、ブレーキディスク43にブレーキシュー32から離間する方に力を加える。
ブレーキディスク43は、その外周面に、周方向に均等に間隔をあけて、間に挿入凹部432が形成される複数の所定個数の規制凸部431を有する。アーマチュア44は、その外周面に、周方向に均等に間隔をあけて、間に退き凹部442が形成される前記所定個数と同数の押し凸部441を有する。ブレーキ部4は、規制部7と、解除用部材8と、を有する。規制部7は、ブレーキディスク43の外周面に中心軸線40の方に押し付けられて挿入凹部432に挿入可能である。解除用部材8は、アーマチュア44の外周面に中心軸線40の方に押し付けられて退き凹部442に挿入可能である。退き凹部442に挿入されている解除用部材8が、アーマチュア44が中心軸線40回りに回転して押し凸部441に押されて中心軸線40から離間する方向に移動したときに、挿入凹部432に挿入されている規制部7を、中心軸線40から離間する方向に移動させて挿入凹部432より脱出させるように構成されている。規制部7及び解除用部材8は、周方向の所定の位置に、中心軸線40に対して近接又は離間する方向に移動可能に配置される。アーマチュア44は、ブレーキディスク43に対して所定角度の範囲で相対回転可能に構成される。所定角度の範囲は、押し凸部中心440が、規制凸部中心430と一致する位置を範囲中心としたとき、範囲中心を中心として周方向の両側に所定角度の半分の角度ずれた範囲内である。押し凸部中心440は、アーマチュア44の押し凸部441の周方向における中心である。規制凸部中心430は、ブレーキディスク43の規制凸部431の周方向における中心である。ブレーキ部4は、押し凸部中心440が範囲中心に位置するようにアーマチュア44に力を加える付勢部材493を有する。アーマチュア44がブレーキディスク43に対して相対回転して、押し凸部中心440が範囲中心に対して所定角度の半分の角度ずれた状態で、規制部7が挿入凹部432に挿入可能である。
第1の態様によれば、使用者がチェーン6を引いてシャッターを巻き上げるのを停止して、シャッターの自重によりブレーキディスク43に反転する回転力がかかるときにも、ブレーキディスク43が反転しにくく、従来例で設けられていた爪部材を有するラチェット機構が不要となり、構造を簡素化することができる。
第2の態様は、第1の態様との組み合わせにより実現される。第2の態様では、解除用部材8は、球体により構成される。
第2の態様によれば、解除用部材8はアーマチュア44の外周面に対して、主に点接触するとともに転動しやすいため、アーマチュア44がスムーズに回転することが可能となる。