以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1から図28に本発明の駐車管理装置の実施の形態の例を示す。この駐車管理装置は、図29および図30に示す従来のシステムと基本構成は同一である。すなわち、モータ1の動力で開閉可能なロック板2を動作させるロック板駆動機構を備えている駐車管理装置である。具体的には、駐車車両の退出を禁止する開閉可能なロック板2等からなるロック板駆動機構と、地中内に埋設され鉄材を検知するループセンサー等からなる車両感知器(図示省略)と、この車両感知器の信号を受けてロック板駆動機構を制御するコントロール部等が組み込まれた柱状の制御部(図示省略)とから構成されている。
この駐車管理装置に使用されるロック板駆動機構の基本構成は、図1から図5に示すように、モータ1と、このモータ1の動力をロック板2に伝える歯車輪列等からなる動力伝達機構と、この動力伝達機構中に入れられるリンク機構とラチェット機構とからなる。
ここで、モータ1には、モータ1への通電がオフした時、このモータ1の回転を減速する減速用ギアボックス3とが固定されている。なお、この実施の形態では、減速用ギアボックスによってモータ1の回転を180分の1に減速しており、一種のギヤードモータとなっている。
一方、歯車輪列は、モータ1の出力軸となる第1回転軸5の先端に固定された出力ギヤ6と、この出力ギヤ6と噛み合い回転を減速する大径の第1のギヤ7と、この第1のギヤ7と一体回転する第2回転軸8とから構成される。この実施の形態では、この歯車輪列によってモータ1の回転を最終的に約700分の1に減速してロック板2に伝えている。
この歯車輪列に続いてリンク機構が設けられている。リンク機構は、第1のギヤ7と、この第1のギヤ7に設けられる係止軸9と、この係止軸9に係止されるリンク10と、リンク10に設けられる長穴11内を相対移動可能に係合するように第2のギヤとなるラチェットギヤ12に設けられる係合軸13と、ラチェットギヤ12とから構成される。
そして、この駐車管理装置の動力伝達機構中には、モータ1の回転をロック板2に伝えるための以上のような歯車輪列およびリンク機構に加え、さらに、ラチェット機構と、ロック板2を開き方向に付勢する付勢部材とが組み込まれている。
ラチェット機構は、第1のギヤ7に固定されたラチェットカム15と、このラチェットカム15に当接するラチェットレバー16と、このラチェットレバー16と一体動作するラチェット爪17と、ラチェット爪17が係合するラチェットギヤ12と、このラチェットギヤ12が固定される第3回転軸18と、ラチェットレバー16に一端が係止されるラチェットバネ19と、ラチェット爪17の回動支点となるラチェット軸20と、このラチェット軸20の両端部分を支持し、第3回転軸18を中心として周方向に回動可能とされているラチェットステー21とから主として構成されている。
なお、ロック板2は、第3回転軸18が嵌合する第4回転軸22に一体回転可能に取り付けられている。すなわち、ロック板2のロック板回転軸は、第3回転軸18と第4回転軸22と後述する駆動プレート36とに分断されている。そして、第3回転軸18は、一端がベアリングユニット23に回転可能に支持され、他端は断面四角状の係合挿入部24とされ、他端部を支持するベアリングユニット25から突出している。
ロック板2を常時開き方向に付勢する付勢部材は、第3回転軸18に挿入される駆動バネ26で構成されている。この駆動バネ26は、その一端がラチェットギヤ12に設けられるバネ当接軸27に当接し、他端が防水トレイ28の底面に当接するように組み込まれる。なお、この取り付けは、ラチェットギヤ12と一体回転するロック板2が、開き方向に付勢されるように取り付けられる。
モータ1と歯車輪列等の動力伝達機構は、土地に固定される箱状の防水トレイ28に入れられる。この防水トレイ28は、ロック板ベース組30の台部31に固定されている。このロック板ベース組30は、台部31と、踏み台部32と、ロック板2の閉じ位置でのへこみを防止するロック板ストッパ33と、第4回転軸22の一端を回転可能に支持するベアリングユニット34と、このベアリングユニット34部分に設けられるサイドカバー35とで主に構成される。
なお、第4回転軸22は、ベアリングユニット34に嵌合する先端部分が断面円形のエンドシャフト21aで形成され、その他の大部分は、断面円筒のロックシャフト22bで形成され、それらが溶接部22cで溶接結合されて構成される。なお、ロックシャフト22bがいわゆるパイプとなっているため、強度的に強く、しかもロック板2が軽いものとなる。このため、ロック板2の駆動機構、例えばモータ1等を小型で低価格なものとできると共に設置作業がし易いものとなる。
ロック板2のベアリングユニット23側の側面には、平板状の駆動プレート36が溶接によって取り付けられている。そして、ロックシャフト22bの端面が当接する位置に第3回転軸18の係合挿入部24が嵌合する断面四角形の係合孔37が設けられている。係合挿入部24と係合孔37との係合部分には、分断されたロック板2が周方向にわずかに相対回転できるように、隙間Sからなるがたが設けられている。これは、このロック板駆動機構が土地に固定されるとき、土地自体が平らでないためロック板駆動機構全体が曲がって取り付けられても、ロック板回転軸がスムーズに回転するようにさせるためである。なお、このがたによるガタツキは、通常の動作中は現れない。すなわち、ロック板2の自重で通常は、一方向に押しつけられているためである。
モータ1は、モータフレーム40に取り付けられ、このモータフレーム40には第2回転軸8を回転可能に支持するベアリング41,41が固定されている。モータフレーム40は、4つのネジ42によって防水トレイ28と台部31に固定される。また、防水トレイ28は、ベアリングユニット23,25を固定するボルト43等によって台部31に固定される。なお、ロック板ストッパ33は、3つのボルト44によって台部31に固定される。
ラチェットバネ19は、その一端がラチェットレバー16のバネかけ軸45に引っかけられ、他端はモータフレーム40のバネかけ穴46に引っかけられている。また、ラチェットステー21と防水トレイ28との間には、ラチェットステー21の回動を弾性的に支持するダンパーゴム47が設けられている。なお、第2回転軸8の一方のベアリング41の外方には2つの止め輪50,50が、他方のベアリング41の外方には1つの止め輪51がそれぞれ第2回転軸8に嵌合され軸方向への移動が阻止されている。そして、第2回転軸8の先端には、さらに遮光板組52が取り付けられている。
遮光板組52は、図13および図14に示すように、先端が90度折り曲げられた遮光板53と、遮光板53の中央孔53aが嵌合する段部54aを有するセンサーボス54と、センサーボス54を第2回転軸8に取り付ける止めネジ(図示省略)から構成される。そして、センサブラケット55には、それぞれ受発光素子からなる上限センサ56と下限センサ57が取り付けられ、それらをその先端部53bが横切るように第2回転軸8に遮光板53が取り付けられる。2つのセンサ56,57は、略180度対称位置に設けられ、ロック板2の全開位置と全閉位置に対応した第1のギヤ7の回転位置を検知するものとなっている。
防水トレイ28には、図15および図16に示すように、モータフレーム40の取り付け用の4つの孔28aと、台部31に設けられるベアリングユニット23,25の取り付け用の4つの軸60,60,61,61が貫通する4つの孔28bと、ダンパーゴム47の取り付け用の孔28cと、水抜き用の1つの孔28dと、後述する基板組70を取り付けるための2つの孔28eとが設けられている。なお、台部31には、防水トレイ28に設けられる4つの孔28a、1つの孔28cおよび2つの孔28eにそれぞれ対応する位置にねじ穴が設けられ、モータフレーム40やダンパーゴム47等を取り付けできるようになっている。
ダンパーゴム47には、貫通孔62が設けられ、その貫通孔62中に位置決め部材63が入れられている。そして、位置決め部材63の上部がラチェットステー21に設けられた長穴64から突出している。この構成によって、ラチェットステー21の上方へのがたを許容し、ラチェット爪17とラチェットギヤ12との噛み合いがしっかり行われるようにしている。すなわち、ラチェット爪17は、モータ1が配置されている方向へラチェットバネ19によって引っ張られているため、ラチェット爪17の先端とラチェットステー21の最外周は互いに逆方向に動くこととなり、ラチェット爪17とラチェットギヤ12とはしっかり噛合することとなる。
基板組70は、2つの制御回路基板71,72と、両制御回路基板71,72の間隔を保つ4つのスペーサ73と、防水トレイ28に取り付けられる取付部74を有する基板ブラケット75と、両基板71,72をカバーする基板カバー76とから構成される。なお、両基板71,72は雨水等が付いても容易に乾くように縦形に設置される。
モータ1から第3回転軸18までの動力伝達機構および基板組70は、防水トレイ28で囲まれる空間およびその上部にくるように配置されると共にメインカバー77によって覆われる。このメインカバー77は、防水トレイ28の部分に加え、モータ1等への配線を挿通するため台部31に設けられた配線孔78も覆うように台部31にねじ(図示省略)で固定される。なお、モータ1、遮光板組52、基板組70等の電気関連部分は、防水トレイ28の高さ以上の高位置に配置している。これにより、仮に、防水トレイ28中に水が入っても、防水トレイ28の高さまでは電気的に安全となる。
第2回転軸8に取り付けられる第1のギヤ7は、第2回転軸8と一体回転するように固定される。すなわち、第2回転軸8のキー溝80と、第1のギヤ7およびラチェットカム15に設けられているキー溝81にキー(図示省略)が嵌合されている。なお、第1のギヤ7とラチェットカム15は、複数のピン82で一体化されている。
ラチェットカム15には、キー溝81の他に、ラチェットレバー16が当接するレバー当接面83と、このレバー当接面83と共に山形の形状をなすように対称的に配置される傾斜面84と、第2回転軸8が貫通する貫通孔85とが形成されている。
リンク10には、図1および図4に示すように、係合軸13が係合する長穴11の他に、第1のギヤ7の係止軸9が嵌入し、係止軸9を支点としてリンク10が回動可能とされる係止孔86が設けられている。長穴11は、ロック板2が車底の高さに追従してわずかに開き動作が可能となるように設けられた始端部87と、係合軸63を押圧する押圧部88と、ラチェット爪17が破損等してロック板2の係止が行われなくなったとき、ロック板2の閉じ方向の動作をそのまま行わせる円弧状の逃がし部89とを有している。なお、リンク10は、全体として、への字状に角度α(この実施の形態では162度)を設けて曲げられている。
ラチェットギヤ12には、係合軸13とバネ当接軸27が設けられているが、これらは図5に示されるように、一本の軸90から形成されている。ラチェットギヤ12には、ラチェット爪17が嵌合するラチェット歯部91と、第3回転軸18と一体回転するようにキーが入れられるキー溝92と、第3回転軸18が貫通する貫通孔93と、ラチェットギヤ12を第3回転軸18に固定するためのボルトが嵌入する2つのボルト穴94,94が設けられている。そして、ラチェットギヤ12のラチェット歯部91は、全周ではなく、扇形に設けられており、この実施の形態では、その設置角度βを72度としている。また、ラチェット爪17の歯先97が入る歯先間の角度γ1を60度としている。なお、ラチェット歯部91の各歯面は、高周波焼き入れがなされている。
ラチェットギヤ12に噛合するラチェット爪17は、ラチェット軸20が貫通する支持孔95と、ラチェットレバー16をねじ止めするための2つのねじ孔96,96を有している。そして、ラチェット爪17は、ラチェット軸20によって回動可能に保持される。一方、このラチェット軸20は、ラチェットステー21に回動可能に保持されている。ラチェット爪17の歯先97の角度γ2は、角度γ1と同様にされている。すなわち、この実施の形態では、60度とされている。
なお、この角度γ2を角度γ1より小さくすると、この歯先97が折れ易くなり、違法な脱出行為が行われたときの過負荷による破損をラチェット爪17の部分で発生させることができ、修理がし易くなる。また、この実施の形態では、歯先97の設定角度θを90度としていると共に歯先97を高周波焼き入れにより硬くしている。
ラチェット軸20は、焼き入れ焼き戻しの処理がされ、かつ図7に示すように、両端部に径を細くした細径部101,101を有している。このため、過負荷が加わったとき、所定の大きさの力まではそのままで耐え、所定の力を越えると、その部分でポキリと折れることとなる。なお、強度的には、まずこのラチェット軸20が折れ、次に上述したラチェット爪の歯先97が折れるように設定してある。ラチェット軸20の挿入側には、止め輪102が嵌入する係止溝103が設けられ、他端側には、ラチェット爪17の支持孔95に挿入させた際にラチェット爪17に突き当たる度当たり部104が設けられる。
また、ラチェット軸20の軸中心には、リード線が挿入される貫通孔105が設けられている。この貫通孔105に挿入されるリード線は、このラチェット軸20が折れたときに切断されることにより、その破損を電気的に検知するために設けられる。この検知によって、駐車管理装置の従来と同様なコントロール部153は、その破損を駐車管理装置の管理者やメンテナンス者のみが分かる位置や分かる表示によって、それらの者に知らせる。なお、この実施の形態では、リード線として、制御回路基板71,72から取り出されるアース線を採用している。
ラチェットステー21は、図1および図8に示すように2つの腕部106,106と、ダンパーゴム47に載置される載置部107とから主に構成される。そして、各腕部106には、それぞれ、ラチェットギヤ12と一体回転するようにキー(図示省略)が入るキー溝108と、ラチェット軸20を挿通し、支持する支持孔109と、第3回転軸18が挿通する挿通孔110とが設けられている。
ラチェットステー21には、このラチェット軸20が折れた際に、ラチェット爪17がラチェットギヤ12の回動に伴って自由に移動できる、2つの腕部106,106で挟まれる自由空間111が設けられている。この自由空間111内に、例えば、ねじ等を設けると、折れたラチェット爪17がそのねじに突き当たり、ラチェットギヤ12の回動を阻止するようになってしまう。このため、この実施の形態では、この自由空間111に、ねじ部の一部が入り込まないようにし、この自由空間111内ではなく、この自由空間の外方にこのラチェットステー21を取り付けるねじ63がくるように、自由空間111の外側に取り付け用の長穴64を設けている。
ロック板2は、図10等に示すように、エンドシャフト22aとロックシャフト22bとが接続された第4回転軸22に、複数の箇所115で溶接、固定されて形成されている。そして、駆動プレート36と、1枚の平板状縞鋼板から形成されるフィン部116と、補強パイプ117,118,119,120とから構成される。フィン部116は、第4回転軸22側がその軸22に沿って略90度曲げられていると共に、開閉動作先端部が円形状に180度曲げられている。この実施の形態では、内半径Rが9.5mmとなるように曲げている。この内半径Rを6〜15mmとすると、厚さ、安全性等から好ましいものとなる。この曲げ部の内側に、角形鋼管の補強パイプ117,118,119,120の先端に取り付けられた補強プレート121が挟み込まれ、フィン部116の曲げ部分の先端を支持している。
ロック板2のフィン部116と補強パイプ117,118,119,120および駆動プレート36の一体化は、図10に示すように、複数箇所の溶接部122によって行っている。また、第4回転軸22とフィン部116との溶接は、互い違いの位置で行われ、溶接強度を増している。また、フィン部116の一端側先端部が三角状に短くされ、ロック板2を閉じたときにも台部31が上方から見えるような空間部123に形成されている。
なお、ロック板2は、通常の閉状態では、水平位置とされ、10kg以上の荷重が加わると、台部31と当接するようにしてある。また、第3回転軸18と駆動プレート36との間にがたが設けられているため、閉状態となるとき等に足や手が台部31とロック板2との間に挟み込まれたとしても、容易に離脱できるようになっている。なお、ロック板2が軽い荷重では、押し下げられないように、台部31とロック板2との間にクッションゴムを配置するようにしても良い。
遮光板53は、表面が黒色に処理された金属板材から形成され、センサーボス54に係止される。また、防水トレイ28は、第3回転軸18を挿通する挿通孔125が出っ張り部126に設けられている。防水トレイ28内およびその上方の空間には、上述したようにモータ1や動力伝達機構や基板組70等が設置されるが、水につかっても大丈夫なように、その高さHより上方に電気関係部分が配置される。
また、ロック板を交換したいときは、次のようにして行う。まず、サイドカバー35を取り外す。次に、ベアリングユニット34を取り外し、ロック板2を引き抜く。このような極めて簡単な作業によって、ロック板2がロック板ベース組30から取り外される。一方、新しいロック板2を取り付ける場合は、取り外し作業とは逆の工程の作業によって取り付ける。
次に、このように構成された駐車管理装置の動作を説明する。
車両が駐車場に入庫すると、ループセンサーからなる車両感知器が車両を感知する。その感知により時間計測が開始される。そして、所定時間、例えば約4秒たつと、柱状の制御部に設けらる車両認識ランプがその後約15秒間点滅した後、消える。一方、最初の車両検知から所定時間、例えば約30秒後に再度検知回路が作動し、車両の有無を検知する。このように、ループセンサーからなる車両感知器は、所定時間例えば約30秒間隔で常時車両を検知しており、連続2回の車両検知により、車両の入庫を確認している。そして、2回連続して車両を検知すると、制御部からの信号によりモータ1が動作し、ロック板2を開方向に駆動させる。その動作と同時に、柱状の制御部に設けられる料金表示窓に基本料金を表示する。
なお、車両が駐車場に入庫する際、ロック板2は図17に示す水平状態から押されて、図18に示すように、台部31に突き当たる。しかし、このとき、ロック板2からの動きは、ラチェットギヤ12まで伝わるが、リンク10の長穴11によって、その動力伝達は遮断され、モータ1側に伝わらないようになっている。このため、ロック板2は、スムーズに押し下げられることとなる。なお、車両が通り過ぎると、ロック板2は、駆動バネ26の復元力によって自動的に元の水平状態となる。
また、車両が駐車場に入庫した際、この駐車管理装置にサービス時間が設定されていると、車両認識ランプは、所定時間、例えば約15秒間点滅した後、点灯状態になる。また、連続2回の車両検知信号が発生しない限り、ロック板駆動機構は、ロック板2が下限の位置に行くまで所定回数ロック板2を閉方向に駆動させようとする。
車両の入庫が確認され、モータ1が動作し始めると、モータ1の動力は、ロック板駆動機構の歯車輪列を介して減速されながら第2回転軸8に伝えられる。この第2回転軸8の回転と共に、遮光板53が回転する。すなわち、遮光板53が下限センサ57の位置から上限センサ56の位置へ向かって回動して行く。
一方、ロック板2が閉じ状態のときのラチェット機構の関係は、図17に示す関係となっており、ロック板2に対し常時開方向に働く駆動バネ26の付勢力を、増速となる歯車輪列の抵抗で受けている。なお、このときラチェットギヤ12の係合軸13とリンク10との関係は、ラチェットギヤ12の力が第1のギヤ7に伝わりにくい関係となっている。このため、駆動バネ26は、ロック板2が閉じられているときが、開き方向に最も強く付勢するものとなっているが、その強い付勢力に十分耐え、ロック板2を閉じ状態に維持できるものとなっている。
そして、モータ1の動作開始により、第1のギヤ7が図17の矢示A方向に動いて行く。第1のギヤ7の動作開始により、ラチェットカム15も矢示A方向に回転し始める。そして、ラチェットカム15が矢示A方向に回転すると、係止軸9が図17で左方向に駆動されていく。すると、ラチェットギヤ12は、図19に示すように、その動きに追従して矢示B方向回動していく。これは、ラチェットギヤ12が駆動バネ26から常時矢示B方向の付勢力を受けているためである。
ここで、仮に、車高の低い部分にロック板2が突き当たると、ロック板2の動きは、図19に示す位置で停止することになる。一方、第1のギヤ7およびラチェットカム15は、さらに、矢示A方向に、モータ1の回転を受けて回転を継続する。そして、図20に示すように、ラチェットレバー16がラチェットカム15のレバー当接面83に完全に当接する位置にくると、ラチェット爪17の歯先97がラチェットギヤ12のラチェット歯部91の図20で最右方の歯先空間に入る。
この噛合と同時にモータ1の回転が停止する。この当接位置の検出すなわちモータ1の回転停止は、遮光板53を上限センサ56が検出することにより行っている。なお、モータ1の回転は、外部等から負荷を受けることが無いので極めてスムーズなものとなっている。
モータ1の回転が停止すると、第1のギヤ7およびラチェットカム15は、増速となる歯車輪列により、その位置にロックされる。なお、その後、車両がわずかに移動し、車高が高い部分にロック板2が対向すると、駆動バネ26の働きでロック板2は、その動きに追従し、上がっていく。
この動作の結果、ロック板2と車両の底との隙間は生じないものとなる。このため、車両を強引に駐車場所から離脱させようとする気持ちを、駐車車両の運転者に生ぜじめることがなくなり、駐車管理装置として十分機能するものとなる。このように、ロック板2を開状態とすることにより、入庫した車両の退出を阻止する。
そして、基本時間が経過すると、追加料金を加算した金額が料金表示窓に表示される。なお、基本時間、基本料金、追加時間及び追加料金の各時間単位と各料金単位は、目的に応じ自由に設定できる。柱状の制御部に設けられる硬貨投入口に硬貨が投入されると、この制御部内のコントロール部の検知機能により検知され、その硬貨金額を料金表示窓の金額から差し引く。そして、表示料金が零になると、制御部から信号を出し、モータ1を動作させ、ロック板2を閉方向に駆動させる。
このとき、モータ1の動力は、ロック板駆動機構の歯車輪列を介して減速されラチェットカム15に伝えられ、ラチェットカム15は、図20に示す矢示C方向に回転する。すると、ラチェットレバー16がラチェットカム15によって、図20の矢示E方向に押し上げられ、ラチェット爪17がラチェットギヤ12から外れる。この結果、ラチェットギヤ12が回転可能となり、ロック板2も閉じ方向に駆動可能となる。しかし、まだ、リンク10の押圧部88が係合軸13に当接していないため、ロック板2は車両の底についたままの状態をしばらく維持する。
なお、ロック板2の開状態のとき、リンク機構は、第1のギヤ7の回転力がリンク10を介して、ラチェットギヤ12に伝わり易い構成となっている。すなわち、図19に示すように、係止軸9と係合軸13とを結ぶ線と、ラチェットギヤ12の回転支点と係合軸13とを結ぶ線とからなる角度が大きな角度となっており、効率良く、ロック板2を閉じ方向に動作させることができる。
その後、図19の状態となると、長穴11の押圧部88が係合軸13に当接し、ラチェットギヤ12を図19で矢示D方向へ押していく。この結果、ロック板2が駆動バネ26の付勢力に抗して閉じていく。そして、ロック板2は、図17に示す閉じ状態となる。
このとき、閉じ付近では、第1のギヤ7からの伝達効率が悪くなり、伝えられる力が小さくなると共に変位量が少なくなる。このため、閉じ付近では、ロック板2は、低速かつ低トルクにて動作することとなる。これにより、仮に、ロック板2が台部31と当接する構造であったとしても子供などの手や足がロック板2と台部31との間に挟まれても大けがには至らない。なお、この実施の形態では、ロック板2が水平状態となったときを閉じ位置、すなわち下限の位置としている。このため、台部31との間に隙間が生じ、子供などが手や足を挟んでしまうことは生じない。ここで、下限位置は、遮光板53が下限センサ57側に戻り、検知されることによりその位置が検出される。
ロック板2が閉状態の下限にくると、下限センサ57により得られる信号により、モータ1をオフし、ロック板2の閉動作の完了後の位置保持を行う。このように、ロック板2を閉状態とすることにより、入庫した車両の退出を可能とする。なお、モータ1には電磁ブレーキが付加されていないので、ロック板2を閉から開方向に歯車輪列の抵抗以上の強い力で引っ張ると、ロック板2は徐々に開方向に動いていく。このため、手動でロック板2を動かし、その後、ロック板2に荷重をかけることによって、ラチェット機構が動作するか否かを確認できる。なお、従来と同様に電磁ブレーキを付加するようにしても良い。
以上のような通常の入出庫以外に異常な入出庫が行われることがある。例えば、入庫した車両が料金を支払わずに出庫しようとする場合がある。この場合、ロック板2は開方向の力を受けるが、このとき、ロック板2は、開方向の上限位置までスムーズに移動する。そして、さらにロック板2に力が加わると、ロック板2はたわみ、その後、車両がロック板2を乗り越えると、ロック板2にはそのたわみの反力と車両の荷重の両方が急激に加わる。
このとき、ロック板2の回動は、第3回転軸18に伝わり、ラチェットギヤ12に伝達される。すると、ラチェットギヤ12と噛合しているラチェット爪17に負荷が加わり、ラチェット爪17を支持しているラチェットステー21を下方側に移動させる。すなわち、第3回転軸18を中心として、ラチェットステー21は回動し、ダンパーゴム47を押圧する。この動きと共に、ラチェットステー21のがたのため、ラチェットギヤ12の支点とラチェット爪17の支点の間の距離がわずかに広がる。この結果、噛合が浅く行われていた場合でも、ラチェットギヤ12とラチェット爪17の噛合が深く行われ、ラチェット爪17は、ロック板2に加わる負荷をしっかりと受け止める。なお、両者の噛合がいわば半がかり的なままで力が加わると、ラチェット爪17の歯先97が簡単に折れてしまうこととなる。
しかし、この受け止め力があまり大きいと、ロック板2が曲がったり、第3回転軸18がねじれたりし、大きな損害となる。このため、この実施の形態ではラチェット軸20の両端に細径部101,101を設けて、ラチェット軸20を折れ易くしている。このため、極めて過大な力が加わると、ラチェット軸20が最初に破損することとなる。この破損は、ラチェット軸20を挿通しているアース線の切断を導き、この駐車管理装置が故障したことを管理者等に知らせることとなる。
以上のようなラチェットギヤ12とラチェット爪17の2段階的な動きは、ラチェットステー21の下方に置かれるダンパーゴム47の弾性力を利用して行われる。このダンパーゴム47は、図21に示すような特性を有している。すなわち、一定の力が時刻t1の時点で加わった場合、最初厚さH1のものが、急激に薄くなり、時刻t2では厚さH2となる。その後はほとんど厚さは変化せず、一種の鋼体となる。このような特性を有するダンパーゴム47であるため、まず、ラチェットギヤ12とラチェット爪17の噛合を深くさせ、その後、ラチェット爪17が受ける力を鋼体的に受け止めることとなる。なお、この実施の形態では、200kg程度の荷重がロック板2に加わったときに、ダンパーゴム47がしずみ始めるような特性とされている。
ラチェット軸20が折れると、ロック板2に対しての負荷を受け止めるものがなくなり、ロック板2は、閉じ方向に急激に回動する。このとき、ラチェットギヤ12も同時に回動する。この回動は、係合軸13が長穴11の逃がし部89内を移動していくことにより許容される。
また、ロック板2が開方向に動作し始めた時、一旦入庫した車両が駐車を止めて急に出庫しようとする場合がある。この場合、ロック板2に、加速した車両がぶつかり極めて大きな開方向の力が加わる。この力は過負荷となり、図30に示す従来のロック板駆動機構では、伝達ピンや歯車輪列の歯車等が損傷してしまう。しかし、このロック板駆動機構では、ロック板2が開となる近くでは、歯車輪列には力が伝わりにくいリンク関係となるため、それらの部分の破損が生ずる危険性は低い。また、仮にロック板2が破損したとしても、ロック板2の交換が極めて簡単であり簡単な修理交換で対応できる。このため全体としての修理費の上昇を抑えることができる。
また、時には、ロック板2の開き動作時に、人が足で踏む等によりロック板2が閉じ方向に移動させられることがある。その状態が続くと従来の装置では、その電磁ブレーキ173が働き、その位置でロック板2を保持してしまい、違法駐車がし易くなっている。しかし、この装置では、そのような動きを行えないようになっている。すなわち、駆動バネ26が常時ロック板2を開き方向へ付勢しているためである。
一方、ロック板2が開状態のときに、さらに開方向に力が加わると、次の3ヶ所でその力を受けるようになる。第1に、ロック板ストッパ33の背面にロック板2が突き当たること、第2に、踏み台部32の端面にロック板2の背面が突き当たること、第3に、係合軸13がリンク10の押圧部88に突き当たることにより開方向の力を受ける。このように3ヶ所によって開方向の力を分散させて受けることによって、ロック板2のさらなる開方向への移動を阻止している。なお、リンク10と係止軸9と係合軸13の位置関係が、係合軸13からの力を第1のギヤ7の回転力に変換しにくい関係となっているため、歯車輪列が破損することはほとんどない。
この実施の形態では、仮に、ラチェット軸20やラチェット爪17が折れた場合でも、外観上は正常に動作する。すなわち、通常の営業動作であるロック板2の開方向および閉方向の動きは支障なく行われる。このため、ラチェット軸20等が破損しても駐車場の営業はそのまま継続できる。問題は、違法脱出しようとすると、簡単にできてしまうようになることであるが、この点は、営業ができなくなるのに比べればその損失ははるかに少なくて済む。なお、故障したことについては、上述したように、管理者等のみに検知できるので、故障の修理を適宜な時間帯に行うことができる。
また、上述の実施の形態では、ロック板2が車底に追従できるものとなっているが、このような場合等では、ロック板2の車底への食いつきが問題となる。例えば、運転車のみがのってきて駐車した後、発進するときには、数人がのっているような場合、同乗者の重みによって車底が下がり、ロック板2が車底に食い付いてしまう現象が生ずる。しかも、このような現象は、車の底の状況や乗る人数等によって種々な状態として現れてくる。このため、この現象が生じても確実に食いつきを外せるように構成するのが重要となってくる。
この実施の形態では、伝達効率が徐々に変化するリンク機構を上手に活用しこの食いつき現象等を回避している。すなわち、駆動バネ26に抗してロック板2を閉じる当初は、伝達効率を高くし、急速に閉じ方向に駆動すると共に大きいトルクで閉じている。そして、閉じる付近では、伝達効率が低くなり、ロック板2はゆっくり閉じると共に、小さいトルクで閉じることとなる。なお、ロック板2が開くときは、この逆に、最初はゆっくりかつ小さいトルクで開き始めるが、駆動バネ26の付勢力が加わるため、ゆっくり確実に開いていく。
また、上述の実施の形態では、ラチェット爪17とラチェットギヤ12との関係を、周方向に相対的に回動できるようにしてあるので、ラチェット爪とラチェットギヤとの深い噛合が確実になされる。
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、第3回転軸18の係合挿入部24と、駆動プレート36の係合孔37の関係は、それぞれ断面四角形状ではなく、図22(A)に示すように、D形としたり、図22(B)に示すように、六角形としたり、図22(C)のように小判形としたりしても良い。さらには、図22(D)に示すように、両者を円形とし、ボルト130によって両者を一体化させても良い。なお、両者の係合は、図11(B)や図22(A)〜(C)に示すようにわずかな隙間Sを持たせることによりがたを設けるようにするのが好ましいが、がたを設けないようにしても良い。
さらに、リンク機構としては、図23から図26に示す構造のものとしても良い。なお、ここで図23は、図17に対応し、図24は図18に、図25は図19に、図26は図20にそれぞれ対応した図となっている。
このリンク機構は、第1のギヤ7が矢示X方向に回転することにより、ロック板2が水平位置から徐々に起き上がっていく。そして、ロック板2を閉じるときは、図26の状態から第1のギヤ7を矢示W方向に回転させる。これによりラチェットギヤ12が各図で時計方向に押され、ロック板2は閉じていく。
このリンク機構は、上述のリンク機構と次の点で異なる。第1は、上述のリンク機構がロック板2と車の底との食いつき現象に対応しているのに対し、このリンク機構は、ラチェットギヤ12とラチェット爪17との食いつきへの対応を主に考慮しているものとなっている点である。ロック板2に大きな負荷が加わると、ラチェット爪17はラチェットギヤ12と深く噛合し、食いつき現象が生ずる。これに対して、このリンク機構では、図26に示されるように、ラチェットレバー16を上方に上げ易い構成となっている。すなわち、ラチェットカム15のレバー当接面83がラチェットレバー16の支点より遠く離れた位置に配置されるため、ラチェットレバー16を小さい力で動作させることが可能となる。これにより、仮に、ラチェットギヤ12とラチェット爪17とが食いついていたとしても容易に離脱させることができる。なお、この食いつき現象は、部品間での食いつきであるため、先の車底とロック板2との食いつきに比べ、その力を計算し易く、図23から図26のような設計とすることで対応が可能となる。
第2の相違点は、リンク10の形状である。このリンク機構中のリンク10は、90度に折れ曲がった度当たり部131を有しており、第1のギヤ7が矢示X方向に回転し続ける、いわば暴走が生じてもその度当たり部131が台部31に突き当たり確実にその暴走を止めることができるようになっている。なお、このような暴走に対しては、リンク10を長くし、上死点や下死点を通りすぎることがないようにすることによっても防止することができる。
また、上述の実施の形態では、ラチェット爪17の歯先97の角度γ2を、ラチェットギヤ12の歯先間の角度γ1と同一としているが、図27に示すように、角度γ2を45度とし、角度γ1を60度としたりすることによって、γ1>γ2としても良い。このようにすると、ラチェット爪17の歯先97が一層折れ易くなり、ラチェット軸20が折れない場合でも確実にこの部分が破損するようになる。なお、最初に折れる部分をラチェット軸20ではなく、ラチェット爪17の歯先97としたい場合には、特に好適となる。
また、リンク10に長穴11を設けるのではなく、図28に示すように第2のギヤとなるラチェットギヤ12に長溝135を設け、リンク10に係合軸136を設けるようにしても良い。
さらに、上述の実施の形態では、ラチェット爪17の支点をラチェットギヤ12の支点に対し周方向に回動可能にしているが、ラチェット機構を他の部分、例えば歯車輪列を増やし、その歯車輪列中に設けるような場合には、ラチェットギヤ12の方を回動させるようにすることができる。また、弾性部材としてダンパーゴム47を採用しているが、樹脂材や金属材等で形成された弾性部材としても良い。さらに、弾性部材としては、図21に示すような特性を有するのが好ましいが、所定の弾性を持つものであれば一定の効果を有することとなる。
また、ラチェット軸20の貫通孔105にリード線を通して破損を検知するのではなく、ラチェット爪17にマグネットを付け、ラチェットステー21にリードスイッチを設置して、ラチェット爪17の動きや位置を検知する等、他の破損検知手段を設けても良い。
さらに、ラチェット機構に用いられるラチェット爪17を1つとせず、2つ以上にしても良い。また、ロック板2のモータ1による動作下限位置を水平位置とせず、台部31に当接する位置としたり、水平位置から+5度以内の略水平状態としても良い。
また、上述の実施の形態では、付勢部材として、第3回転軸18に巻かれるコイル状の巻バネを採用しているが、ロック板2と台部31の間に設けられるスプリングバネとしたり、また他の弾性部材としたり、さらには、ソレイドやモータ等を利用して開方向に常時付勢させるようにしても良い。さらに、第4回転軸22をエンドシャフト22aとロックシャフト22bの2部材で構成せず、パイプ状のロックシャフト22bで両部分を構成したり、係合孔37を含めて1つの角形のロックシャフトですべてを構成するようにしても良い。
さらに、車両感知には、ループセンサ以外に赤外線センサ等他の検知手段を採用したり、ループセンサと赤外線センサを併用したりすることができる。また、本各発明および上述の実施の形態で示した各機構は、従来のような駐車管理装置、すなわち地中内に埋設されるループセンサー等からなる車両感知器と、この車両感知器の信号を受けてロック板駆動機構を制御するコントロール部等が組み込まれた制御部を有し、モータの動力で開閉可能なロック板を動作させるロック板駆動機構を備える駐車管理装置に使用するのが好適であるが、それらを具備しない駐車管理装置、例えばモータ駆動方式でないものや車両感知器を有しない駐車管理装置等にも適用できる。