JP2006276177A - 動力伝達装置およびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 軸方向への挿し抜き動作によるはすば歯車の噛み合いおよび切り離し操作をより小さな力で簡単に行なうことができ、その歯車の歯面の磨耗等の発生をはじめ、その磨耗による二次的障害の発生も防止することができる動力伝達装置およびそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 軸方向(A)への挿し抜き動作によりはすば歯車(10,20)間の噛み合いおよび切り離しを行なうことにより動力伝達の有効化および切断が行なわれる動力伝達装置(1A)であって、噛み合うはすば歯車(10,20)のうちの一方(20)が、挿し抜き動作時に所定の角度(Δθ)内で自由回転し得る遊び機構部(60A)を動力伝達機構内に設けた。
【選択図】 図2
【解決手段】 軸方向(A)への挿し抜き動作によりはすば歯車(10,20)間の噛み合いおよび切り離しを行なうことにより動力伝達の有効化および切断が行なわれる動力伝達装置(1A)であって、噛み合うはすば歯車(10,20)のうちの一方(20)が、挿し抜き動作時に所定の角度(Δθ)内で自由回転し得る遊び機構部(60A)を動力伝達機構内に設けた。
【選択図】 図2
Description
本発明は、軸方向への挿し抜き動作によりはすば歯車間の噛み合いおよび切り離しが行なわれる動力伝達装置と、その伝達装置を用いたプリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に関するものである
回転動力等の動力を伝達する動力伝達装置のなかには、軸方向への挿し抜き動作によりはすば歯車間の噛み合いおよび切り離しを行なうことにより動力伝達の有効化および切断が行なわれるタイプのものがある。つまり、このようなタイプの動力伝達装置では、そのはすば歯車間の切り離しを行なわない限りは、その動力伝達機構(動力源の動力を被駆動体までに伝達するまでに必要となる機構)の伝達機能が有効な状態のままとなり、切断されることがない。
たとえば、プリンタ、複写機等の画像形成装置においては、その回転駆動系で発生する振動に起因した画質不良の発生を防止したり、あるいはその回転駆動系で発生する駆動音の低減対策等をはかるうえで有効であるという理由から、その回転駆動系の動力伝達装置として、滑らかに噛み合い、その噛み合い音も静かであるという特徴を有する「はすば歯車」を使用することが多く、その動力伝達装置の一部に上記したタイプの動力伝達装置を採用することがある。
すなわち、装置本体に対して着脱可能で回転動力を要するユニット部品がある場合、そのユニット部品と装置本体側にある回転駆動系との間にはすば歯車を使用した動力伝達装置を使用し、そのユニット部品の着脱操作時にはすば歯車どうしがその軸方向への移動により噛み合ったりまたは切り離される構成を採用することがある。
しかし、このようなタイプの動力伝達装置においては、図16に例示するように、その軸方向Aへの挿し動作(図中の実線矢印で示す方向への移動動作)によりはすば歯車01,02間の噛み合いを行なったり、あるいはその軸方向への抜き動作(図中の点線矢印で示す方向への移動動作)によりはすば歯車01,02間の切り離しを行う際、そのはすば歯車01,02どうしの噛み合い進行時および切り離し進行時にその歯すじのねじれに起因して軸方向Aへの直線的な移動の抵抗となる大きな負荷が発生し、その軸方向Aへの移動操作を軽い力でスムーズに行なうことができない。図中の符号01aは一方のはすば歯車01の軸、符号02aは他方のはすば歯車02の軸を示す。
このため、その挿し抜き動作の操作に当っては、かかる負荷に打ち勝つような力を入れて、はすば歯車01,02を含む動力伝達機構内の他の歯車や回転対象物を強引に回転させるような状態で作業を行う必要がある。特に、その動力伝達機構内に大きな回転動力を要する被回転駆動体(たとえば画像形成装置における定着装置など)が含まれている場合には、その挿し抜き作業時にその被回転駆動体を強引に回転させなければならず、きわめて多大な力が必要になって操作性の悪いものになる。
また、そのような挿し抜き動作により行われるはすば歯車間の噛み合いや切り離しに際しては、特にそのはすば歯車の歯どうしが大きな力を受けたまま擦られるような状態におかれるため、その歯面に損傷を与えることがあり、その損傷部分などをきっかけにして歯車の磨耗が助長されてしまう不具合がある。かかる歯車の磨耗等が発生すると、特に画像形成装置においては、その磨耗等に起因して振動が発生するようになり、その振動の発生により画質への悪影響が懸念されるとともに騒音の増大も危惧される。
これに対し、従来においては、このような不具合を解消するための方策は特に存在していなかった。
たとえば、特許文献1においては、画像形成装置において着脱可能に噛み合う駆動ローラギアと本体ギアを介して駆動モータの回転を駆動ローラに伝達する構造を採用する場合、その駆動ローラギアと本体ギアの着脱時にその歯面が傷つき、それが原因で周期的な速度が発生するという問題に着目したことが示されているが、その解決手段としては、駆動源の回転をカップリングを介して駆動ローラに伝達するという構成などが開示されている程度である。
この他、たとえば、上記タイプの動力伝達装置における挿し抜き動作時に噛み合ったり切り離されるはすば歯車を平歯歯車に交換することで上述したような不具合の発生を回避することが考えられる。しかし、平歯歯車を使用することは、前記したはすば歯車を使用することによる有効性が得られなくなり、特に前記した画像形成装置においては、平歯歯車の噛み合い振動によるバンディング現象等の画質不良を誘発するおそれがあるため、噛み合い率が高く振動の低減効果のあるはすば歯車を使用せざるを得ず、結果として、有効な解決策にはなり得ない。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、軸方向への挿し抜き動作によるはすば歯車の噛み合いおよび切り離し操作をより小さな力で簡単に行なうことができ、その歯車の歯面の磨耗等の発生をはじめ、その磨耗による二次的障害の発生も防止することができる動力伝達装置およびそれを用いた画像形成装置を提供するものである。
本発明の動力伝達装置は、軸方向への挿し抜き動作によりはすば歯車間の噛み合いおよび切り離しを行なうことにより動力伝達の有効化および切断が行なわれる動力伝達装置であって、前記噛み合うはすば歯車のうちの一方が、前記挿し抜き動作時に所定の角度内で自由回転し得る遊び機構部を動力伝達機構内に設けたことを特徴とするものである。
ここで、上記所定の角度とは、その挿し抜き動作よるはすば歯車間の噛み合い進行時または切り離し進行時にその歯車特有の歯すじのねじれに起因して発生する負荷を吸収し得る方向にかつ吸収し得る量だけ一方のはすば歯車が自由回転できるような角度であればよい。具体的には、上記噛み合うはすば歯車どうしをその噛み合い状態から軸方向への抜き動作により切り離すために、本来その互いの歯すじのねじれを相殺するように強引に回転させなければならないときに要する回転角度(量)と同じ角度かそれよりも大きめの角度である。
上記遊び機構部は、たとえば、少なくとも前記抜き動作時には、当該一方のはすば歯車を伝達する回転動力の回転方向と同じ方向に自由回転させる機構で構成される。この場合の遊び機構部は、その挿し動作時には、回転動力の回転方向と反対の方向に当該一方のはすば歯車を自由回転させることになる。このように構成した場合には、その抜き動作時に、当該一方のはすば歯車を回転動力の回転方向と逆の方向に自由回転させる機構にする場合に比べて、遊び機構を簡易な構成のものにすることができ実施しやすい。
この構成の場合、その2つのはすば歯車のうち回転動力源側となるはすば歯車の回転方向が挿し抜き動作の作業側から見て右回転であるとき、そのはすば歯車と噛み合う側のはすば歯車のねじれを右ねじれとすればよい。一方、その2つのはすば歯車のうち回転動力源側となるはすば歯車の回転方向が挿し抜き動作の手前側から見て左回転であるとき、そのはすば歯車と噛み合う側のはすば歯車のねじれを左ねじれとすればよい。
また、上記構成の場合、その遊び機構部は、噛み合うはすば歯車が切り離されたときに、当該一方のはすば歯車を前記所定の角度内で回転動力の回転方向の上流側となる部位に弾性付勢力により寄せるように構成するとよい。その弾性付勢力は、たとえばバネ部材などを用いて発生させることができる。このように構成した場合には、当該一方のはすば歯車がその挿し動作時に常にその自由回転しやすい位置に置かれるようになり、これにより、挿し動作時に当該一方のはすば歯車を効率よく確実に自由回転させて他のはすば歯車との噛み合いを行えるように対応することができるようになる。
上記した各遊び機構部は、たとえば、動力伝達機構内の歯車またはその軸に固定して設けられる被係止部材と、その被係止部材の近傍にある歯車に形成され、当該被係止部材を前記所定の角度内で自由に変位させかつその変位する領域の前後端部で係止させる係止規制空間とで構成することができる。この構成は、遊び機構部を最も簡易な構成にすることができる。
以上の遊び機構部は、動力伝達機構内の同軸上に取り付ける歯車と歯車の間に設けたり、あるいは、動力伝達機構内の歯車とその軸との間に設けることができる。この場合における歯車としては、噛み合うはすば歯車の一方のものであることが好ましいが、それ以外の動力伝達機構内に設置される他の歯車であってもよい。また、その軸としては、噛み合うはすば歯車の一方のはすば歯車の軸であることが好ましいが、それ以外の動力伝達機構内に設置される他の歯車の軸であってもよい。前者の歯車と歯車の間に設ける場合には、たとえば、その二つの歯車を2段歯車として構成することができる。
本発明の画像形成装置は、回転動力源を備えた装置本体に対して着脱可能で回転動力を要するユニットを有し、シート状の記録媒体に画像を形成する装置であって、前記ユニットを前記装置本体に装着したときにその装置本体側の回転動力をそのユニット側に伝達する装置として上記したいずれかの構成からなる動力伝達装置を使用していることを特徴とするものである。そのユニットとしては、たとえば、定着装置ユニット、作像装置ユニット、転写ユニットなどである。
この本発明の動力伝達装置によれば、軸方向への挿し動作によりはすば歯車の噛み合いを行なう際とその軸方向への抜き動作によりはすば歯車間の切り離しを行なう際には、動力伝達機構内に設けた遊び機構部により、噛み合うはすば歯車のうちの一方が所定の角度内で自由回転するので、その噛み合い進行時または切り離し進行時にはすば歯車特有の歯すじのねじれに起因して発生する負荷が吸収されるようになる。この結果、その挿し抜き作業を大きな力を入れる必要がなく小さな力で簡単に行なうことができる。また、このような挿し抜き作業が可能になることにより、はすば歯車の歯が挿し抜き動作時に大きな力を受けることもなくなり、挿し抜き動作に伴う歯面の損傷が発生しにくくなり、その歯の磨耗も発生しにくくなり防止される。
また、本発明の画像形成装置によれば、ユニットの着脱を行なう際に、その動力伝達装置におけるはすば歯車の噛み合いおよび切り離しが行なわれるが、上記動力伝達装置の場合と同様に、その動力伝達機構内に設けた遊び機構部により、その噛み合い進行時または切り離し進行時にはすば歯車特有の歯すじのねじれに起因して発生する負荷が吸収されるようになる。これにより、ユニットの着脱作業(この際、はすば歯車間の挿し抜き作業が同時に行なわれる)を大きな力を入れる必要がなく小さな力で簡単に行なうことができる。また、このようなユニットの着脱作業ひいてははすば歯車間の挿し抜き作業が可能になることにより、上記動力伝達装置の場合と同様に、その動力伝達装置におけるはすば歯車の挿し抜き動作に伴う歯面の損傷が発生しにくくなり、その歯の磨耗も発生しにくくなって防止されるため、かかる歯の磨耗に起因して発生する振動による画質への悪影響や騒音増大などの不具合が起こるおそれもなくなる。
<実施の形態1>
図1および図2は本発明の実施の形態1を示すものであり、図1は実施の形態1に係る動力伝達装置を適用した画像形成装置の要部を示す概略説明図、図2はその動力伝達装置の要部を示す概略説明図である。
図1および図2は本発明の実施の形態1を示すものであり、図1は実施の形態1に係る動力伝達装置を適用した画像形成装置の要部を示す概略説明図、図2はその動力伝達装置の要部を示す概略説明図である。
図1に示す画像形成装置100は、電子写真方式、静電記録方式等を利用してトナーからなる画像を最終的に記録用紙に形成する画像形成装置である。このような画像形成装置100は、装置ハウジング102内に、基本的に、矢印方向に回転する像担持体としての感光ドラム110を中心にした作像機器が設定されている。すなわち、その作像機器とは、感光ドラム100の周囲に、その感光ドラム110を均一に帯電する帯電装置120と、その帯電された感光ドラム110に画像情報に応じて光(H)を照射して潜像を形成するLEDアレー方式、レーザービーム方式等の像露光装置130と、その潜像をトナー(現像剤)により現像してトナー像を形成する現像装置140と、そのトナー像を記録用紙Pに転写する転写装置150とを主に設置した構成からなっている。なお、感光ドラム110の周囲には、その転写後の感光ドラム表面を清掃するクリーニング装置160なども設置されている。
また、装置ハウジング102内には、記録用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着装置170が設置されている。定着装置170としては、矢印方向に回転する加熱ロール171とこの加熱ロール171に圧接されて従動回転する加圧ロール172を備えたロールニップ式等の定着装置が使用される。この他にも、装置ハウジング102内には、感光ドラム110、現像装置140、定着装置170等の回転動力を要する構成部品に対して回転動力を伝達する、図示されていない電動モータ、動力伝達装置等で構成された駆動装置なども設置されている。
そして、この画像形成装置100においては、たとえば、定着装置170が装置ハウジング102に対して着脱自在なユニットとして構成されている。その着脱操作は、ユニットを加熱ロール171の軸方向に沿った方向に移動させることにより行なわれるようになっている。また、この定着装置の着脱ユニットは、装置ハウジング102に装着した後にその加熱ロール171を定着動作のために回転させる必要があるため、そのハウジング102内にある駆動装置からの回転動力を伝達するための以下のごとき動力伝達装置1(A)が装備されている。
動力伝達装置1Aは、図2に示すように、少なくとも軸方向Aへの挿し抜き動作により第1はすばギア10と第2はすばギア20間の噛み合いおよび切り離しを行なうことにより動力伝達の有効化および切断が行なわれるタイプのものである。この例では、第2はすばギア20が回転動力源側に設置されるはすばギアとなる。
図2中において符号103は、装置ハウジング102側に設置される駆動装置のユニットを取り付けて支持する支持フレームである。この支持フレーム103に対して、駆動用の電動モータ50が取り付けられており、この電動モータ50の回転動力が複数のギアを介して第2はすばギア20まで伝達されるようになっている。その複数のギアとしては、駆動モータ40の駆動軸55に取り付けられる駆動ギア41と、その駆動ギア41と噛み合う従動ギア42と、その従動ギア42と噛み合う第2はすばギア20と2段ギアを構成する大径ギア30が使用されている。これらの各ギア41,42,30はいずれもはすばギアである。また、従動ギア42は支持フレーム103に立設された軸45に、第2はすばギア20と大径ギア30は支持フレーム103に立設された同じ軸46に回転自在に取り付けられている。
一方、定着装置170の着脱ユニット側は、その加熱ロール171の回転軸175の先端部に第2はすばギア10が取り付けられている。この例では、第2はすばギア10は回転軸175に固定されている。
また、この動力伝達装置1Aにおいては、その同じ軸46に取り付けている第2はすばギア20と大径ギア30との間に、第2はすばギア20を挿し抜き動作時に後述する所定の角度Δθ(°)内で自由回転させる遊び機構60Aを設けている。
この実施の形態1における遊び機構60Aは、図3、図4に示すように、第2はすばギア20の大径ギア30と対面する側面に軸方向Aと平行する方向に突出した状態で形成した2つの被係止突起61,62と、この2つの被係止突起61,62と対面する大径ギア30の側面に被係止突起61,62を所定の角度θ内でそれぞれ自由に変位させるとともにその変位する領域の前後端部で係止させるように形成した2つの円弧溝状の係止規制空間63、64とで構成されものである。図中の符号21は第2はすばギア20のはすばのギア歯であり、31は大径ギア30のはすばのギア歯である。
被係止突起61,62については、第2はすばギア20の側面においてその軸孔25を中心にして対称に形成されたいずれも中心角度θ1の断面円弧状の突起からなるものである。このため、その各係止突起61,62の円周方向における両側面どうし(61aと62a,61bと62b)は同じ直径線と交わる面になっている。また、係止規制空間63、64についても、大径ギア30の側面においてその軸孔35を中心にして対称に形成されたいずれも中心角度θ2(>θ1)の円弧状の溝からなるものである。このため、その規制空間63,64の円周方向における両側壁面どうし(63aと64a,63bと64b)は同じ直径線と交わる面になっている。
また、被係止突起61,62における角度θ1と係止規制空間63、64における角度θ2については、遊び機構60Aの第2はすばギア20を自由回転させるべき所定の角度Δθを確保できる関係になるようにする観点から設定される。
このときの所定の角度Δθは、図17に示すように、動力伝達装置1Aにおいて噛み合う第1はすばギア10と第2はすばギア20どうしをその噛み合い状態から軸方向Aへの抜き動作により切り離すために、一方のはすばギア(02,20)が回転しないと仮定した場合、本来そのはすば歯の歯すじ(M)のねじれを相殺するように強引に回転させなければならないときに要する他方のはすばギア(01,10)の回転角度(量)βと同じ角度かそれよりも大きめの角度である。図中においてαははすば歯のねじれ角度、Lは第1はすばギア10の第2はすばギア20への噛み合い幅Wを含む食い込み幅Lである。上記回転角度βは、次式で概略求められる。
β(°)={(L・tanα)/(D・π)}・360
β(°)={(L・tanα)/(D・π)}・360
求めた回転角度βから遊び機構60Aに必要な所定の角度Δθを決定する。たとえば、角度βに少し余裕をみてΔθ=β+eとする(eはたとえば0〜10°とする)。このことから、前記被係止突起61,62における角度θ1と係止規制空間63、64における角度θ2については、両角度の差分(θ2−θ1)が被係止突起の係止規制空間内で自由に移動できる量(角度)であるから、その差分が機構60Aに必要な所定の角度Δθと少なくとも同じであればよい。従って、角度θ1と角度θ2は、「θ2−θ1=Δθ=β+e」という条件を満たすように適宜選定される。
そして、この遊び機構60Aは、その抜き動作時には、遊び機構60Aを設けた側の第2はすばギア20を駆動装置から伝達される回転動力の回転方向Cと同じ方向に自由回転させるように構成されている。この例では、駆動モータ50からの回転動力の回転方向Cが第2はすばギア20に伝達された地点で挿し抜き動作の作業側から見て右回転(時計回りの方向)C(R)となるように設定されている。
このため、抜き動作時に第2はすばギア20を回転動力の回転方向Cと同じ方向に自由回転させるためには、その動力伝達時に第2はすばギア20にある被係止突起61,62が大径ギア30にある係止規制空間63、64の回転動力の回転方向C(R)の上流側の側壁面63b(64b)に突き当たって係止された状態になり(図5の上部の図参照)、その状態にある第2はすばギア20を当該回転方向C(R)と同じ方向に回転させる必要があることから、その第2はすばギア20と噛み合う側の第1はすばギア10の歯すじのねじれを「右ねじれ」として、抜き動作時において第2はすばギア20を当該回転方向C(R)にまわす負荷をかけるようにする必要がある。図2において、第1はすばギア10の右下がりの斜線は、その歯すじが「右ねじれ」になっていることを示している。この場合、第2はすばギア20の歯すじのねじれは自動的に「左ねじれ」となる。なお、大径ギアの歯すじのねじれの方向は右ねじれ、左ねじれのどちらであってもよい。
次に、このような遊び機構60Aを設けた動力伝達装置1Aによる動作について説明する。
まず、定着装置170の交換ユニットが装置ハウジング102の装着位置にセットされているときには、図5の上部に示すように、加熱ロール171側の第1はすばギア10が動力源側の第2はすばギア20と噛み合った状態にある。そして、画像形成動作時等において電動モータ50が始動すると、その回転動力が駆動ギア41から従動ギア45を経由して大径ギア30まで伝達される。
続いて、その回転動力を大径ギア30が受けると、その動力の回転方向C(R)に回転するため、その係止規制空間63(64)の回転動力の回転方向C(R)の上流側の側壁面63b(64b)が第2はすばギア20の被係止突起61(62)に突き当たって押す状態になる。これにより、その回転動力が大径ギア30から第2はすばギア20に伝達される。
このようにして回転動力を受けた第2はすばギア20は、その回転方向C(R)の回転動力をその噛み合う第1はすばギア10側に伝達する。この結果、電動モータ50の回転動力が第1はすばギア10を通して加熱ロール171に伝達される。これにより、加熱ロール171は、左方向(反時計回りの方向)に回転するようになる。
次いで、定着装置170の交換ユニットを装置ハウジング102の装着位置から引き出して取り出す際には、そのユニットを加熱ロール171の軸方向Aの方向にそって引き出すように移動させることになる。これにより、動力伝達装置1Aにおいては、抜き動作が行なわれることになり、加熱ロール171側の第1はすばギア10が動力源側の第2はすばギア20から切り離される。
この際、第1はすばギア10は、その歯すじが「右ねじれ」であるため、第2はすばギア20との噛み合いの関係で抜き作業の側から見て第2はすばギア20を右回転させるような方向性をもつ負荷を発生する。
しかし、このときの第2はすばギア20は、遊び機構60Aにより、その被係止突起61(62)が係止規制空間63(64)内における回転動力の回転方向C(R)と同じ方向に所定の角度Δθだけ自由に移動できるようになっているため(図5の上部の図参照)、停止状態にある大径ギア30に対して回転動力の回転方向C(R)と同じ右方向に自由に(負荷なく)回転することになる。図5中の三角形の印は、挿し抜き時において回転するギヤ等の経時的な移動の状態を示す(なお、大径ギア30のように回転していないものは、その三角形の印を常に同じ位置に付して回転していないことを表わせている)。
この結果、第1はすばギア10は、その抜き作業により、図5の中段に示すように、第2はすばギア20を右方向に自由回転させながら引き出され、これにより第1はすばギア10から発生する前記負荷が第2はすばギア20の自由回転により吸収されるため、第1はすばギア10は大きな力を要することなく容易に2はすばギア20から切り離すことができる。
この切り離しが終了する時点では、図5の下部に示すように、第2はすばギア20の被係止突起61(62)が係止規制空間63(64)の回転動力の回転方向C(R)の下流側の側壁面63a(64a)に突き当たって係止される。この間、第2はすばギア20は遊び機構60Aの所定角度Δθだけ回転することになる。そして、この切り離しにより動力伝達装置1Aの動力伝達がはじめて切断されることになる。
一方、この定着装置170の交換ユニットを装置ハウジング102の装着位置に押し込んで装着する際には、そのユニットを加熱ロール171の軸方向Aの方向にそって押し込むように移動させることになる。これにより、動力伝達装置1Aにおいては、挿し動作が行なわれることになり、加熱ロール171側の第1はすばギア10が動力源側の第2はすばギア20との噛み合わされることになる。
この際、第1はすばギア10は、その歯すじが「右ねじれ」であるため、第2はすばギア20との噛み合いの関係で抜き作業の側から見て第2はすばギア20を左回転させるような方向性をもつ負荷を発生する。
しかし、このときの第2はすばギア20は、遊び機構60Aにより、その被係止突起61(62)が係止規制空間63(64)内における回転動力の回転方向C(R)の上流側に所定の角度Δθだけ自由に移動できるようになっているため(図5の下部の図参照)、停止状態にある大径ギア30に対して回転動力の回転方向C(R)と反対側の左方向に自由に(負荷なく)回転することになる。
この結果、第1はすばギア10は、その抜き作業により、図5の中段に示すように、第2はすばギア20を左方向に自由回転させながら押し込まれ、これにより第1はすばギア10から発生する前記負荷が第2はすばギア20の自由回転により吸収されるため、第1はすばギア10は大きな力を要することなく容易に2はすばギア20と噛み合わせることができる。
この噛み合いが完了する時点では、図5の上部に示すように、第2はすばギア20の被係止突起61(62)が係止規制空間63(64)の回転動力の回転方向C(R)の上流側の側壁面63b(64b)に突き当たって係止される。この間、第2はすばギア20は遊び機構60Aの所定角度Δθだけ回転することになる。そして、この噛み合いにより動力伝達装置1Aの動力伝達がはじめて有効なものになる。
なお、この動力伝達装置1Aにおける遊び機構60Aにおいては、図6に例示するように、第1はすばギア10が第2はすばギア20から切り離されたときに(図5の下部の図参照)、遊び機構60Aを設けた第2はすばギア20を回転動力の回転方向C(R)の上流側となる部位(係止規制空間の側壁面63a,64a)に寄せるように、係止規制空間の側壁面63b,64b側からスプリングバネ69で弾性的に付勢するように構成してもよい。
このように構成すれば、遊び機構60Aを設けた第2はすばギア20が、第1はすばギア10の挿し動作時に常にその自由回転しやすい位置(被係止突起61、62が係止規制空間63、64の回転動力の回転方向C(R)の下流側の側壁面63a,64aに突き当たる位置)に置かれるようになる。これにより、第1はすばギア10の挿し動作時に第2はすばギア20を効率よく確実に自由回転させてそのはすばギア20との噛み合わせを行えるように対応できる。特に組み立て工程持や、メンテナンス作業時には、その作業の効率化と正確性を向上させることができ有効である。
<実施の形態2>
図7は、本発明の実施の形態2に係る動力伝達装置の要部を示す概略説明図である。
図7は、本発明の実施の形態2に係る動力伝達装置の要部を示す概略説明図である。
この動力伝達装置1Bは、回転動力の回転方向Cを左回転方向(反時計回りの方向)C(L)に変えたことに伴い遊び機構60に関する一部の構成を変更した以外は実施の形態1に係る動力伝達装置1Aと同じ構成からなるものである。
すなわち、この動力伝達装置1Bでは、その駆動モータ50からの回転動力の回転方向Cを第2はすばギア20に伝達された地点で挿し抜き動作の作業側から見たときに左回転C(L)となるように設定した。
このため、遊び機構60Bとして、第1はすばギア10の抜き動作時に第2はすばギア20を回転動力の回転方向Cと同じ方向に自由回転させるためには、その動力伝達時に第2はすばギア20にある被係止突起61,62が大径ギア30にある係止規制空間63、64の回転動力の回転方向C(L)の上流側の側壁面63a(64a)に突き当たって係止された状態になり(図8の上部の図参照)、その状態にある第2はすばギア20を当該回転方向C(L)と同じ方向に回転させる必要があることから、その第2はすばギア20と噛み合う側の第1はすばギア10の歯すじのねじれを「左ねじれ」として、抜き動作時において第2はすばギア20を当該回転方向C(L)にまわす負荷をかけるようにする必要がある。
図7において、第1はすばギア10Bの左下がりの斜線は、その歯すじが「左ねじれ」になっていることを示している。この場合、第2はすばギア20Bの歯すじのねじれは自動的に「右ねじれ」となる。なお、この場合においても大径ギアの歯すじのねじれの方向は右ねじれ、左ねじれのどちらであってもよい。
次に、このような遊び機構60Bを設けた動力伝達装置1Bによる動作について説明する。
まず、定着装置170の交換ユニットが装置ハウジング102の装着位置にセットされているときには、図8の上部に示すように、加熱ロール171側の第1はすばギア10Bが動力源側の第2はすばギア20Bと噛み合った状態にある。そして、画像形成動作時等において電動モータ50が始動すると、その回転動力が駆動ギア41から従動ギア45を経由して大径ギア30まで伝達される。
続いて、その回転動力を大径ギア30が受けると、その動力の回転方向C(L)に回転するため、その係止規制空間63(64)の回転動力の回転方向C(L)の上流側の側壁面63a(64a)が第2はすばギア20の被係止突起61(62)に突き当たって押す状態になる。これにより、その回転動力が大径ギア30から第2はすばギア20Bに伝達される。
このようにして回転動力を受けた第2はすばギア20Bは、その回転方向C(L)の回転動力をその噛み合う第1はすばギア10B側に伝達する。この結果、電動モータ50の回転動力が第1はすばギア10Bを通して加熱ロール171に伝達される。これにより、加熱ロール171は、右方向(時計回りの方向)に回転するようになる。
次いで、定着装置170の交換ユニットを装置ハウジング102の装着位置から引き出して取り出す際には、実施の形態1の場合と同様に、動力伝達装置1Bにおいては、抜き動作が行なわれることになり、加熱ロール171側の第1はすばギア10Bが動力源側の第2はすばギア20Bから切り離される。
この際、第1はすばギア10Bは、その歯すじが「左ねじれ」であるため、第2はすばギア20Bとの噛み合いの関係で抜き作業の側から見て第2はすばギア20Bを左回転させるような方向性をもつ負荷を発生する。
しかし、このときの第2はすばギア20Bは、遊び機構60Bにより、その被係止突起61(62)が係止規制空間63(64)内における回転動力の回転方向C(L)の上流側に所定の角度Δθだけ自由に移動できるようになっているため(図8の上部の図参照)、停止状態にある大径ギア30に対して回転動力の回転方向C(L)と同じ左方向に自由に(負荷なく)回転することになる。
この結果、第1はすばギア10Bは、その抜き作業により、図8の中段に示すように、第2はすばギア20Bを左方向に自由回転させながら引き出され、これにより第1はすばギア10Bから発生する前記負荷が第2はすばギア20Bの自由回転により吸収されるため、第1はすばギア10Bは大きな力を要することなく容易に2はすばギア20Bから切り離すことができる。
この切り離しが終了する時点では、図8の下部に示すように、第2はすばギア20Bの被係止突起61(62)が係止規制空間63(64)の回転動力の回転方向C(L)の上下流側の側壁面63b(64b)に突き当たって係止される。この間、第2はすばギア20Bは遊び機構60Bの所定角度Δθだけ回転することになる。そして、この切り離しにより動力伝達装置1Bの動力伝達が切断されることになる。
一方、この定着装置170の交換ユニットを装置ハウジング102の装着位置に押し込んで装着する際には、やはり実施の形態1の場合と同様に、動力伝達装置1Bにおいては、挿し動作が行なわれることになり、加熱ロール171側の第1はすばギア10Bが動力源側の第2はすばギア20Bとの噛み合わされることになる。
この際、第1はすばギア10Bは、その歯すじが「左ねじれ」であるため、第2はすばギア20Bとの噛み合いの関係で抜き作業の側から見て第2はすばギア20Bを右回転させるような方向性をもつ負荷を発生する。
しかし、このときの第2はすばギア20Bは、遊び機構60Bにより、その被係止突起61(62)が係止規制空間63(64)内における回転動力の回転方向C(L)の下流側に所定の角度Δθだけ自由に移動できるようになっているため(図8の下部の図参照)、停止状態にある大径ギア30に対して回転動力の回転方向C(L)と反対側の右方向に自由に(負荷なく)回転することになる。
この結果、第1はすばギア10Bは、その抜き作業により、図8の中段に示すように、第2はすばギア20Bを右方向に自由回転させながら押し込まれ、これにより第1はすばギア10Bから発生する前記負荷が第2はすばギア20Bの自由回転により吸収されるため、第1はすばギア10Bは大きな力を要することなく容易に2はすばギア20Bと噛み合わせることができる。
この噛み合いが完了する時点では、図8の上部に示すように、第2はすばギア20Bの被係止突起61(62)が係止規制空間63(64)の回転動力の回転方向C(L)の下流側の側壁面63a(64a)に突き当たって係止される。この間、第2はすばギア20Bは遊び機構60Bの所定角度Δθだけ回転することになる。そして、この噛み合いにより動力伝達装置1Bの動力伝達がはじめて有効なものになる。
なお、この動力伝達装置1Bにおける遊び機構60Bにおいても、図6に例示した構成をまねて、第1はすばギア10Bが第2はすばギア20Bから切り離されたときに(図8の下部の図参照)、遊び機構60Bを設けた第2はすばギア20Bを回転動力の回転方向C(L)の下流側となる部位(係止規制空間の側壁面63b,64b)に寄せるように、係止規制空間の側壁面63a,64a側からスプリングバネ(69)で弾性的に付勢するように構成してもよい。
<実施の形態3>
図9は、本発明の実施の形態3に係る動力伝達装置の要部を示す概略説明図である。
図9は、本発明の実施の形態3に係る動力伝達装置の要部を示す概略説明図である。
この動力伝達装置1Cは、遊び機構60の構成を変えたことに伴い一部の構成についてもわずかな変更をした以外は実施の形態1に係る動力伝達装置1Aと同じ構成からなるものである。
すなわち、この動力伝達装置1Cでは、第2はすばギア26とその軸46との間に、第2はすばギア26を挿し抜き動作時に所定の角度Δθ(°)内で自由回転させる遊び機構60Cを設けている。この遊び機構60Cの設置位置を変更したことに伴い、第2はすばギア26を軸46においてギア30から少し離した位置に回転自在に取り付けている。また、軸46は、ギア30が固定された状態にあって支持フレーム103に回転可能に軸受されており、ギア30に伝達される回転動力により一体となって回転するようになっている。
この実施の形態3における遊び機構60Cは、図10、図11に示すように、第2はすばギア26の軸46にその軸方向Aと直行する方向に突出した状態で取り付けた(2つの)被係止ピン65,66と、この2つの被係止ピン65,66の近傍となる第2はすばギア26のギア30と対面する側の側面に被係止ピン65,66を所定の角度θ内でそれぞれ自由に変位させるとともにその変位する領域の前後端部で係止させるように形成した2つの扇溝状の係止規制空間67、68とで構成されものである。図中の符号27は第2はすばギア26のはすばのギア歯である。
被係止ピン65,66は、1本のまっすぐな棒状のピン部材を軸46に貫通させて同じ高さだけ軸から突出させた状態で固定するように取り付けたものである。この被係止ピン65,66は、軸46の回転方向に対する幅(大きさ)を回転角度(中心角度)で概略表わすと、中心角度が約θ3の大きさのものである。また、係止規制空間67、68については、第2はすばギア26のギア30と対向する側の側面においてその軸孔28を中心にして線対称に形成されたいずれも中心角度θ4(>θ3)の扇形状をした溝からなるものである。この規制空間67、68の円周方向における両側壁面どうし(63aと64a,63bと64b)は被係止ピン65,66の幅だけ離れた平行な面になっている。
また、被係止ピン65,66における角度θ3と係止規制空間67、68における角度θ4については、遊び機構60Cの第2はすばギア26を自由回転させるべき所定の角度Δθを確保できる関係になるようにする観点から設定される。このときの所定の角度Δθは、実施の形態1において既述したようにして同様に求められる。この実施の形態3においても、Δθ=β+eとする。
そして、被係止ピン65,66における角度θ3と係止規制空間67、68における角度θ4については、両角度の差分(θ4−θ3)が被係止ピンの係止規制空間内で自由に移動できる量(角度)であるから、その差分が機構60Cに必要な所定の角度Δθと少なくとも同じであればよい。従って、角度θ3と角度θ4は「θ4−θ3=Δθ=β+e」という条件を満たすように適宜選定される。
そして、この遊び機構60Cにおいても、その抜き動作時には、遊び機構60Cを設けた側の第2はすばギア26を駆動装置から伝達される回転動力の回転方向Cと同じ方向に自由回転させるように構成されている。この例では、実施の形態1の場合と同様に、駆動モータ50からの回転動力の回転方向Cが第2はすばギア26に伝達された地点で挿し抜き動作の作業側から見て右回転C(R)となるように設定されている。
このため、抜き動作時に第2はすばギア26を回転動力の回転方向C(R)と同じ方向に自由回転させるためには、その動力伝達時に第2はすばギア26にある被係止ピン65,66が第2はすばギア26に形成された係止規制空間67、68の回転動力の回転方向C(R)の上流側の側壁面63b(64b)に突き当たって係止された状態になり(図12の上部の図参照)、その状態にある第2はすばギア26を当該回転方向C(R)と同じ方向に回転させる必要があることから、その第2はすばギア26と噛み合う側の第1はすばギア10の歯すじのねじれを「右ねじれ」として、抜き動作時において第2はすばギア20を当該回転方向C(R)にまわす負荷をかけるようにする必要がある。図9において、第1はすばギア10の右下がりの斜線は、その歯すじが「右ねじれ」になっていることを示している。この場合、第2はすばギア26の歯すじのねじれは自動的に「左ねじれ」となる。なお、大径ギア30の歯すじのねじれの方向は右ねじれ、左ねじれのどちらであってもよい。
次に、このような遊び機構60Cを設けた動力伝達装置1Cによる動作について説明する。
まず、定着装置170の交換ユニットが装置ハウジング102の装着位置にセットされているときには、図12の上部に示すように、加熱ロール171側の第1はすばギア10が動力源側の第2はすばギア26と噛み合った状態にある。そして、画像形成動作時等において電動モータ50が始動すると、その回転動力が駆動ギア41から従動ギア45を経由して大径ギア30まで伝達される。
続いて、その回転動力を大径ギア30が受けると、そのギア30が固定された軸46も回転動力の回転方向C(R)と同じ方向に回転するため、その被係止ピン65,66が第2はすばギア26の係止規制空間67(68)における回転動力の回転方向C(R)の下流側の側壁面67a(68a)に突き当たって押す状態になる。これにより、その回転動力が大径ギア30から軸46を介して第2はすばギア26に伝達される。
このようにして回転動力を受けた第2はすばギア26は、その回転方向C(R)の回転動力をその噛み合う第1はすばギア10側に伝達する。この結果、電動モータ50の回転動力が最後に第1はすばギア10を通して加熱ロール171に伝達される。これにより、加熱ロール171は、左方向に回転するようになる。
次いで、定着装置170の交換ユニットを装置ハウジング102の装着位置から引き出して取り出す際には、実施の形態1の場合と同様に、動力伝達装置1Aにおいては、抜き動作が行なわれることになり、加熱ロール171側の第1はすばギア10が動力源側の第2はすばギア26から切り離される。
この際、第1はすばギア10は、その歯すじが「右ねじれ」であるため、第2はすばギア26との噛み合いの関係で抜き作業の側から見て第2はすばギア26を右回転させるような方向性をもつ負荷を発生する。
しかし、このときの第2はすばギア20は、遊び機構60Cにより、その被係止ピン65(66)が係止規制空間67(68)内における回転動力の回転方向C(R)と同じ方向に所定の角度Δθだけ自由に移動できるようになっているため(図12の上部の図参照)、停止状態にある軸46に対して回転動力の回転方向C(R)と同じ右方向に自由に(負荷なく)回転することになる。
この結果、第1はすばギア10は、その抜き作業により、図12の中段に示すように、第2はすばギア26を右方向に自由回転させながら引き出され、これにより第1はすばギア10から発生する前記負荷が第2はすばギア26の右方向への自由回転により吸収されるため、第1はすばギア10は大きな力を要することなく容易に2はすばギア26から切り離すことができる。
この切り離しが終了する時点では、図12の下部に示すように、軸46の被係止ピン65,66が第2はすばギア26の係止規制空間67(68)の回転動力の回転方向C(R)の上流側の側壁面67b(68b)に突き当たって係止される。この間、第2はすばギア26は遊び機構60Cの所定角度Δθだけ回転することになる。そして、この切り離しにより動力伝達装置1Cの動力伝達が切断されることになる。
一方、この定着装置170の交換ユニットを装置ハウジング102の装着位置に押し込んで装着する際には、実施の形態1の場合と同様に、動力伝達装置1Cにおいては、挿し動作が行なわれることになり、加熱ロール171側の第1はすばギア10が動力源側の第2はすばギア26との噛み合わされることになる。
この際、第1はすばギア10は、その歯すじが「右ねじれ」であるため、第2はすばギア26との噛み合いの関係で抜き作業の側から見て第2はすばギア26を左回転させるような方向性をもつ負荷を発生する。
しかし、このときの第2はすばギア26は、遊び機構60Cにより、軸46の被係止ピン65(66)が係止規制空間67(68)内における回転動力の回転方向C(R)の上流側(左回転方向)に所定の角度Δθだけ自由に移動できるようになっているため(図512下部の図参照)、停止状態にある軸46に対して回転動力の回転方向C(R)と反対側の左回転方向に自由に(負荷なく)回転することになる。
この結果、第1はすばギア10は、その抜き作業により、図12の中段に示すように、第2はすばギア26を左方向に自由回転させながら押し込まれ、これにより第1はすばギア10から発生する前記負荷が第2はすばギア26の左回転方向への自由回転により吸収されるため、第1はすばギア10は大きな力を要することなく容易に第2はすばギア26と噛み合わせることができる。
この噛み合いが完了する時点では、図12の上部に示すように、軸46の被係止ピン65(66)が第2はすばギア26の係止規制空間67(68)の回転動力の回転方向C(R)の上流側の側壁面67b(68b)に突き当たって係止される。この間、第2はすばギア26は遊び機構60Cの所定角度Δθだけ回転することになる。そして、この噛み合いにより動力伝達装置1Cの動力伝達が有効なものになる。
<実施の形態4>
図13は、本発明の実施の形態4に係る動力伝達装置の要部を示す概略説明図である。
図13は、本発明の実施の形態4に係る動力伝達装置の要部を示す概略説明図である。
この動力伝達装置1Dは、回転動力の回転方向Cを左回転方向C(L)に変えたことに伴い遊び機構60に関する一部の構成を変更した以外は実施の形態3に係る動力伝達装置1Cと同じ構成からなるものである。
すなわち、この動力伝達装置Dでは、その駆動モータ50からの回転動力の回転方向Cを第2はすばギア26に伝達された地点で挿し抜き動作の作業側から見たときに左回転C(L)となるように設定した。
このため、遊び機構60Dとして、第1はすばギア10の抜き動作時に第2はすばギア26を回転動力の回転方向Cと同じ方向に自由回転させるためには、その動力伝達時に軸46の被係止ピン65(66)が第2はすばギア26の係止規制空間67(68)における回転動力の回転方向C(L)の上流側の側壁面67a(68a)に突き当たって係止された状態になり(図14の上部の図参照)、その状態にある第2はすばギア26を当該回転方向C(L)と同じ方向に回転させる必要があることから、その第2はすばギア26と噛み合う側の第1はすばギア10Bの歯すじのねじれを「左ねじれ」として、抜き動作時において第2はすばギア26Bを当該回転方向C(L)と同じ方向にまわす負荷をかけるようにする必要がある。この場合、第2はすばギア20Bの歯すじのねじれは自動的に「右ねじれ」となる。
次に、このような遊び機構60Dを設けた動力伝達装置1Dによる動作について説明する。
まず、定着装置170の交換ユニットが装置ハウジング102の装着位置にセットされているときには、図14の上部に示すように、加熱ロール171側の第1はすばギア10Bが動力源側の第2はすばギア26Bと噛み合った状態にある。そして、画像形成動作時等において電動モータ50が始動すると、その回転動力が駆動ギア41から従動ギア45を経由して大径ギア30まで伝達される。
続いて、その回転動力を大径ギア30が受けると、その動力の回転方向C(L)に回転するため、そのギア30が固定されている軸46も同じ方向に回転し、これにより軸46の被係止ピン65(66)が第2はすばギア26Bの係止規制空間67(68)における回転動力の回転方向C(L)の下流側の側壁面67b(68b)に突き当たって押す状態になる。これにより、その回転動力が大径ギア30から第2はすばギア26Bに伝達される。
このようにして回転動力を受けた第2はすばギア26Bは、その回転方向C(L)の回転動力をその噛み合う第1はすばギア10B側に伝達する。この結果、電動モータ50の回転動力が第1はすばギア10Bを通して加熱ロール171に伝達される。これにより、加熱ロール171は、右方向(時計回りの方向)に回転するようになる。
次いで、定着装置170の交換ユニットを装置ハウジング102の装着位置から引き出して取り出す際には、実施の形態1の場合と同様に、動力伝達装置1Bにおいては、抜き動作が行なわれることになり、加熱ロール171側の第1はすばギア10Bが動力源側の第2はすばギア26Bから切り離される。
この際、第1はすばギア10Bは、その歯すじが「左ねじれ」であるため、第2はすばギア26Bとの噛み合いの関係で抜き作業の側から見て第2はすばギア26Bを左回転させるような方向性をもつ負荷を発生する。
しかし、このときの第2はすばギア26Bは、遊び機構60Dにより、その係止規制空間67(68)が軸46の被係止ピン65(66)に対して回転動力の回転方向C(L)の上流側に所定の角度Δθだけ自由に移動できるようになっているため(図14の上部の図参照)、停止状態にある軸46に対して回転動力の回転方向C(L)と同じ左方向に自由に(負荷なく)回転することになる。
この結果、第1はすばギア10Bは、その抜き作業により、図14の中段に示すように、第2はすばギア26Bを左回りに自由回転させながら引き出され、これにより第1はすばギア10Bから発生する前記負荷が第2はすばギア26Bの左回転方向への自由回転により吸収されるため、第1はすばギア10Bは大きな力を要することなく容易に2はすばギア20Bから切り離すことができる。
この切り離しが終了する時点では、図14の下部に示すように、第2はすばギア26Bの係止規制空間67(68)における回転動力の回転方向C(L)の下流側の側壁面67b(68b)が軸46の被係止ピン65(66)に突き当たって係止される。この間、第2はすばギア26Bは遊び機構60Dの所定角度Δθだけ回転することになる。そして、この切り離しにより動力伝達装置1Bの動力伝達が切断されることになる。
一方、この定着装置170の交換ユニットを装置ハウジング102の装着位置に押し込んで装着する際には、やはり実施の形態1の場合と同様に、動力伝達装置1Dにおいては、挿し動作が行なわれることになり、加熱ロール171側の第1はすばギア10Bが動力源側の第2はすばギア26Bとの噛み合わされることになる。
この際、第1はすばギア10Bは、その歯すじが「左ねじれ」であるため、第2はすばギア26Bとの噛み合いの関係で抜き作業の側から見て第2はすばギア26Bを右回転させるような方向性をもつ負荷を発生する。
しかし、このときの第2はすばギア26Bは、遊び機構60Dにより、その係止規制空間67(68)が回転動力の回転方向C(L)の下流側に所定の角度Δθだけ自由に移動できるようになっているため(図14の下部の図参照)、停止状態にある軸46(の被係止ピン65(66)の存在にかかわらず)に対して回転動力の回転方向C(L)と反対側の右方向に自由に(負荷なく)回転することになる。
この結果、第1はすばギア10Bは、その抜き作業により、図14の中段に示すように、第2はすばギア26Bを右方向に自由回転させながら押し込まれ、これにより第1はすばギア10Bから発生する前記負荷が第2はすばギア26Bの右回転方向への自由回転により吸収されるため、第1はすばギア10Bは大きな力を要することなく容易に第2はすばギア26Bと噛み合わせることができる。
この噛み合いが完了する時点では、図14の上部に示すように、第2はすばギア26Bの係止規制空間67(68)における回転動力の回転方向C(L)の下流側の側壁面67b(68b)が軸46の被係止ピン65(66)に突き当たって係止される。この間、第2はすばギア26Bは遊び機構60Dの所定角度Δθだけ回転することになる。そして、この噛み合いにより動力伝達装置1Dの動力伝達がはじめて有効なものになる。
なお、この動力伝達装置1Dにおける遊び機構60Dにおいても、実施の形態1の変形例として図6に例示した場合と同様に、第1はすばギア10Bが第2はすばギア26Bから切り離されたときに(図14の下部の図参照)、遊び機構60Dを設けた第2はすばギア26Bを回転動力の回転方向C(L)の上流側となる部位(その係止規制空間の側壁面67a,68aが軸46の被係止ピン65、66に突き当たる位置)に寄せるように、係止規制空間の側壁面67b,68bと被係止ピン65、66の間にスプリングバネ69を設置して第2はすばギア26Bを弾性的に左回転方向に付勢するように構成してもよい。
<他の実施の形態>
実施の形態1〜4では、遊び機構60A〜Dを動力源側の第2はすばギア20側に設ける場合について説明したが、回転動力が伝達される側の第1はすばギア10側に設けてもよい。また、遊び機構60A〜Dは、挿し抜き動作時に噛み合う第1はすばギア10や第2はすばギア20にかならずしも設ける必要はなく、必要によっては動力伝達装置内の伝達機構としての他のギア等に設けてもよい。
実施の形態1〜4では、遊び機構60A〜Dを動力源側の第2はすばギア20側に設ける場合について説明したが、回転動力が伝達される側の第1はすばギア10側に設けてもよい。また、遊び機構60A〜Dは、挿し抜き動作時に噛み合う第1はすばギア10や第2はすばギア20にかならずしも設ける必要はなく、必要によっては動力伝達装置内の伝達機構としての他のギア等に設けてもよい。
また、実施の形態1〜4では、動力伝達装置1の伝達機構として、いずれもはすばギヤからなるギア列で構成された場合を説明したが、その用途分野等によっては、挿し抜き動作時に噛み合う第1はすばギア10や第2はすばギア20を除けば、他の伝達機構部分には、はすばギア以外のギアを使用したり、ベルト等の他の伝達機構部品を組み合わせて使用するように構成してもよい。
1A,1B,1C,1D…動力伝達装置、10…(右ねじれの)第1はすばギア、10B…左ねじれの第1はすばギア、20,26…(右ねじれの)第2はすばギア(一方のはすば歯車)、20B,26B…左ねじれの第2はすばギア、41…軸(その軸)、50…電動モータ(回転駆動源)、60A,60B,60C,60D…遊び機構(遊び機構部)、61,62…被係止突起(被係止部材)、63,64,67,68…係止規制空間、65,66…被係止ピン(被係止部材)、69…スプリングバネ(弾性付勢力の発生要素)、100…画像形成装置、102…装置ハウジング(装置本体)、170…定着装置(の交換ユニット)、A…軸方向、C…回転動力の回転方向、Δθ…所定の角度。
Claims (9)
- 軸方向への挿し抜き動作によりはすば歯車間の噛み合いおよび切り離しを行なうことにより動力伝達の有効化および切断が行なわれる動力伝達装置であって、
前記噛み合うはすば歯車のうちの一方が、前記挿し抜き動作時に所定の角度内で自由回転し得る遊び機構部を動力伝達機構内に設けたことを特徴とする動力伝達装置。 - 前記遊び機構部が、少なくとも前記抜き動作時には、当該一方のはすば歯車を伝達する回転動力の回転方向と同じ方向に自由回転させる機構で構成されている請求項1に記載の動力伝達装置。
- 前記2つのはすば歯車のうち回転動力源側となるはすば歯車の回転方向が前記挿し抜き動作の作業側から見て右回転であるとき、そのはすば歯車と噛み合う側のはすば歯車のねじれを右ねじれとする請求項2に記載の動力伝達装置。
- 前記2つのはすば歯車のうち回転動力源側となるはすば歯車の回転方向が前記挿し抜き動作の手前側から見て左回転であるとき、そのはすば歯車と噛み合う側のはすば歯車のねじれを左ねじれとする請求項2に記載の動力伝達装置。
- 前記遊び機構部が、噛み合うはすば歯車が切り離されたときに、当該一方のはすば歯車を前記所定の角度内で回転動力の回転方向上流側となる部位に弾性付勢力により寄せるように構成されている請求項2に記載の動力伝達装置。
- 前記遊び機構部が、動力伝達機構内の歯車またはその軸に固定して設けられる被係止部材と、その被係止部材の近傍にある歯車に形成され、当該被係止部材を前記所定の角度内で自由に変位させかつその変位する領域の前後端部で係止させる係止規制空間とで構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の動力伝達装置。
- 前記遊び機構部を動力伝達機構内の同軸上に取り付ける歯車と歯車の間に設ける請求項1ないし6のいずれかに記載の動力伝達装置。
- 前記遊び機構部を動力伝達機構内の歯車とその軸との間に設ける請求項1ないし6のいずれかに記載の動力伝達装置。
- 回転動力源を備えた装置本体に対して着脱可能で回転動力を要するユニットを有し、シート状の記録媒体に画像を形成する装置であって、
前記ユニットを前記装置本体に装着したときにその装置本体側の回転動力をそのユニット側に伝達する装置として請求項1ないし8のいずれかに記載の動力伝達装置を使用していることを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (4)
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-
2005
- 2005-03-28 JP JP2005091404A patent/JP2006276177A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
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JP2009084956A (ja) * | 2007-10-02 | 2009-04-23 | Sanica:Kk | 駐車管理装置 |
JP4701223B2 (ja) * | 2007-10-02 | 2011-06-15 | 株式会社サニカ | 駐車管理装置 |
JP2010006540A (ja) * | 2008-06-26 | 2010-01-14 | Kyocera Mita Corp | ギヤユニット、給紙装置及び画像形成装置 |
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