JP4700657B2 - グレートーンマスク及びその製造方法 - Google Patents
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ここで、グレートーンマスクは、例えば、図7(1)に示すように、遮光部1と、透光部2と、グレートーン部3とを有する。グレートーン部3は、グレートーンマスクを使用する大型LCD用露光機の解像限界以下の微細遮光パターン3aを形成した領域であって、この領域を透過する光の透過量を低減しこの領域による照射量を低減してフォトレジストの膜厚を選択的に変えることを目的として形成される。遮光部1と微細遮光パターン3aはともにクロムやクロム化合物等の同じ材料からなる同じ厚さの膜から通常形成されている。透光部2と微細透光部3bはともに、透明基板上において遮光膜等が形成されていない透明基板の部分である。
グレートーンマスクを使用する大型LCD用露光機の解像限界は、ステッパ方式の露光機で約3μm、ミラープロジェクション方式の露光機で約4μmである。このため、例えば、図7(1)でグレートーン部における微細透光部3bのスペース幅を3μm未満、露光機の解像限界以下の微細遮光パターン3aのライン幅を3μm未満とする。上記大型LCD用露光機で露光した場合、グレートーン部3を通過した露光光は全体として露光量が足りなくなるため、このグレートーン部3を介して露光したポジ型フォトレジストは膜厚が薄くなるだけで基板上に残る。つまり、レジストは露光量の違いによって通常の遮光部1に対応する部分とグレートーン部3に対応する部分で現像液に対する溶解性に差ができるため、現像後のレジスト形状は、図7(2)に示すように、通常の遮光部1に対応する部分1’が例えば約1.3μm、グレートーン部3に対応する部分3’が例えば約0.3μm、透光部2に対応する部分はレジストが残存しない部分2’となる。そして、レジストが残存しない部分2’で被加工基板の第1のエッチングを行い、グレートーン部3に対応する薄い部分3’のレジストをアッシング等によって除去しこの部分で第2のエッチングを行うことによって、1枚のマスクで従来のマスク2枚分の工程を行い、マスク枚数を削減する。
また、現状の大型マスク自動欠陥検査装置では、2μmピッチパターンの欠陥検出(特にパターンのエッジについての欠陥検出)は非常に困難であり、また、±0.2μm程度の精度で微細パターンの検査を行うことも非常に困難である。
さらに、グレートーン部を微細パターンで構成しているため、データ作成におけるデ−タ容量が膨大になり、描画機および描画機に付随するデータ変換(フォーマット変換)機の能力を超えるような場合、描画できない可能性がある。詳しくは、例えば図8(2)に示すグレートーン部3のデータは、図8(1)に示す遮光部1及び透光部2のデータとは重ならないように遮光部及び透光部を避けてデータを作成しなくてはならず、データの作成が複雑になり、しかもグレートーン部3のデータは遮光部及び透光部のデータに沿った複雑な形状を示しているため、グレートーン部のデータ容量は、膨大なものとなり、図8(3)に示す合成データの容量も膨大なものとなる。
月刊FPD Intelligence,1999年5月
前記遮光部が、透明基板上に順次形成された半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜を含み、前記グレートーン部が、前記透明基板上に形成された半透光膜あるいは半透光膜及びエッチングストッパー膜を含むことを特徴とするグレートーンマスク。
透明基板上に、少なくとも半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜が順次形成されたマスクブランクを準備する工程と、
前記ブランク上にレジスト膜を形成する工程と、
透光部を形成する部分に対してレジストが完全に感光される露光量で、またグレートーン部を形成する部分に対してレジストが完全に感光される露光量より少ない露光量でレジスト膜を露光する工程と、
現像処理を行い、遮光部を形成する部分とグレートーン部を形成する部分とでレジストの残膜値が異なるようなレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜をエッチングして透光部を形成する工程と、
前記グレートーン部上に残存するレジストパターンのみを除去する工程と、
前工程で残存したレジストパターンをマスクとして遮光膜あるいは遮光膜及びエッチングストッパー膜を除去する工程と、
さらに残存したレジストパターンを剥離する工程と、を含むことを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。
透明基板上に、半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜を有することを特徴とするグレートーンマスクブランク。
構成1によれば、透明基板上に順次形成された半透光膜とエッチングストッパー膜と遮光膜との3層構造とすることによって、エッチングによりグレートーン部(半透光部)における遮光膜を除去する際に、エッチングストッパー膜によって半透光膜の減膜を回避でき、したがって、半透光膜の膜厚の均一性が非常に高いグレートーンマスクを容易に得ることができる。また、遮光膜をクロム等の遮光性が高く薄い膜で構成できるので、エッチング時間の短縮が図れると共に、アスペクト比が低くその結果遮光部のパターン形状やパターン精度が良好となる。さらに、エッチングストッパー層を設けているため、遮光膜及び半透光膜を同一材料の膜や主成分が同じ膜等で構成できる。
なお、エッチングストッパー膜としてSiO2もしくはSOG(Spin On Glass)等を用いた場合、SiO2やSOGは透明基板と同等の透過特性を有するため、グレートーン部(半透光部)に介在してもその透過特性に影響を与えないので、グレートーン部(半透光部)におけるエッチングストッパー膜は除去しなくても良い。
本発明において、遮光膜及び/又は半透光膜としては、Cr、クロム化合物、MoSi、Si、W、Alのうちから選択されるいずれかを用いることが好ましい。
なお、上記構成1ないし3においてクロム化合物としては、酸化クロム(CrOx)、窒化クロム(CrNx)、酸窒化クロム(CrOxNy)、フッ化クロム(CrFx)や、これらの膜に炭素や水素を含むものが挙げられる。
なお、エッチングストッパー層を設けない場合、半透光膜と遮光膜とをエッチング選択比が取れる材料で構成する必要があり材料が制限され、また半透光膜と遮光膜との付着力が問題となることがある。
SiO2もしくはSOGからなるエッチングストッパー層の厚さは100〜1000オングストロームの範囲とすることが好ましい。
なお、透光部を形成すべき部分上のエッチングストッパー膜を除去する工程と、半透光部を形成すべき部分上のレジストを除去する工程は、同時に行うことが好ましい。
また、透光部を形成すべき部分上の半透光膜を除去する工程と、半透光部を形成すべき部分上の遮光膜を除去する工程は、同時に行うことが好ましい。
グレートーンマスクを使用する大型LCD用露光機の解像限界の微細パターンにてグレートーン部を形成する必要がないので、グレートーン部における微細パターンの加工精度の問題が生じ得ない。
グレートーン部(半透光部)を半透光膜の膜厚で制御することにより、検出波形が安定するため欠陥険出は、微細パターンにてグレートーン部を形成する場合に比べ、容易である。
予め、透過率を制御した半透光膜を使用しているため、透過率の制御が容易である。
遮光部及び透光部のパターン形状が複雑であっても、グレートーン部(半透光部)は露光量を調節してグレートーン部全面に一様に描画する(いわゆるべた露光する)ので、グレートーン部の描画データ量は、微細パターンからなるグレートーン部を描画する場合に比べ、少なくなり、描画が容易となる。
遮光部、透光部及びグレートーン部の全てのパターンデータを組み込んだ場合の合成データが、図1(1)に示すように、遮光部1及び透光部2(例えばTFTのアモルファスシリコンパターン)と、その周辺に形成されるグレートーン部3(半透光部)で構成された場合を例にとる。この場合、図1(2)に示す遮光部1及び透光部2のデータと、図1(3)に示すグレートーン部3のデータに分離する。そして、透光部2をレジストが完全に除去できる露光量(100%)で描画した後、半透光部3をレジストが完全に感光される露光量の約半分の露光量で描画することにより図1(1)に示すパターンの描画を行うことができる。図1(1)に示す描画パターンであれば、グレートーン部3に解像限界以下の微細パターンを形成する必要がなく、グレートーン部に微細パターンを形成する場合のデータ容量の問題は解決される。なお、透光部2と半透光部3の描画の順序については順不同であり、どららが先でも構わない。
上記図1(1)に示す描画パターンを、レジスト上(ポジレジストでの描画例)に描画した際の、露光量の分布は、図2に示すようになる。つまり、透光部2の露光量は100%、グレートーン部3の露光量は50%、遮光部1の露光量は0%(露光されない)となる。
図3及び図4はグレートーンマスクの製造手順を示す部分断面図であり、図2のI−I線断面を示す。
この際、レジスト膜15の膜厚は、エリアAで工リアBの約半分程度となり、エリアCでは完全に除去された状態となる。なお、ウエット処理は、例えば、無機アルカリ(例えばKOH、濃度0.63N)もしくは有機アルカリ(例えばTMAH、濃度2.3%)などの現像液にて処理を行う。
なお、エッチングストッパー膜13をドライエッチングにて処理する場合には、次工程(図4(1))で行うエリアA(半透光部)のレジスト除去を同時に行っても構わない。
なお、前工程(図3(4))で、エッチングストッパー膜13のエッチングをドライエッチングにて処理する場合には、本工程は省いても構わない。
このように遮光膜及び半透光膜をCr系材料とし、エッチングストッパー層をSiO2系材料とすることにより、Cr系材料は例えば硝酸第2セリウムアンモニウムに過塩素酸を加えた水溶液によるウエットエッチング又は塩素系ガスによるドライエッチングによりエッチングすることができ、SiO2系材料はフッ素系水溶液によるウエットエッチング又はフッ素系ガスによるドライエッチングによりエッチングすることが可能であり、これらは互いのエッチング液又はエッチングガスに対する選択性が高いため、互いのエッチングに対してエッチングされにくい。
なお、SiO2膜もしくはSOGからなるエッチングストッパー膜は透過率にほとんど影響を与えないので、除去しなくてても構わない。
この際、遮光膜と半透光膜とを合わせた光学濃度は3.0以上とする。
また、エッチングストッパー層の厚さは100〜1000オングストロームの範囲とする。
半透光膜の厚さは、半透光膜の透過率が20%〜50%となるような膜厚とする。例として、半透光膜にCrを用いた場合には半透光膜の膜厚が100〜200オングストロームの範囲(図5)、半透光膜にCrOを用いた場合には、半透光膜の膜厚が650〜1400オングストロームの範囲(図6)になるようにする。
例えば、マスクブランクの段階において、遮光膜上に反射防止層を設けることができる。この場合、遮光膜と反射防止膜は通常同時にエッチングできるので工程増は生じない。反射防止層は、例えば酸化クロム(CrOx)、窒化クロム(CrNx)、酸窒化クロム(CrOxNy)などで形成できる。
また、ウエット処理の替わりにドライエッチング又はドライ処理を行うことができ、ドライエッチング又はドライ処理の替わりにウエット処理を行うこともできる。また、レーザ描画機による露光に限定されず、他の露光装置を用いても良い。
グレートーン部(半透光部)の光照射量は、所定の膜厚のフォトレジストを十分に感光されるのに必要な光照射量の50%に限定されない。
以上説明したように本発明によれば、半透光膜の膜厚の均一性が非常に高いグレートーンマスクを容易に得ることができる。また、遮光膜をクロム等の遮光性が高く薄い膜で構成できるので、エッチング時間の短縮が図れるとともに、アスペクト比が低くその結果遮光部のパターン形状やパターン精度が良好となる。
特に、本発明は、LCD用大型グレートーンマスク等を実用化する上で必要不可欠である。
2 透光部
3 グレートーン部
3a 微細遮光パターン
3b 微細透光部
11 透明基板
12 半透光膜
13 エッチングストッパー膜(バリアー膜)
14 遮光膜
15 レジスト膜
Claims (6)
- 遮光部と、
前記遮光部と隣接する部分を有する透光部と、
露光光の一部を透過するグレートーン部とを有するグレートーンマスクであって、
該グレートーン部を通過する光を低減し、露光したフォトレジストの膜厚を選択的に変えたのち、該フォトレジストの残存しない部分で被加工基板の第1のエッチングを行い、該グレートーン部に対応する、薄いフォトレジストの部分をアッシングにより除去してこの部分で第2のエッチングを行うことにより、一枚のマスクでマスク二枚分のエッチング工程を行えるものである大型LCD用グレートーンマスクにおいて、
前記遮光部が、透明基板上に順次形成された、
Cr化合物からなり、透過率が20〜50%となる、650〜1400Åの膜厚の半透光膜、
膜厚100〜1000Åのエッチングストッパー膜、及び
前記半透光膜とあわせた光学濃度が3.0以上となる膜厚の、Crの遮光膜を含み、
前記グレートーン部が、前記透明基板上に形成された前記半透光膜を含むものであり、
前記遮光部、前記透光部、前記グレートーン部は、
透明基板上に、少なくとも半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜が順次形成されたマスクブランクを準備し、前記半透光膜、エッチングストッパー膜、及び遮光膜をそれぞれウェットエッチングすることにより形成された
ことを特徴とする大型LCD用グレートーンマスク。 - 前記遮光膜及び前記半透光膜を、同一エッチング液で処理できる膜で構成することを特徴とする請求項1に記載のグレートーンマスク。
- 前記エッチングストッパー膜が、SiO2又はSOG(Spin On Glass)であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のグレートーンマスク。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のグレートーンマスクの製造方法において、
透明基板上に、少なくとも半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜が順次形成されたマスクブランクを準備する工程と、
前記ブランク上にレジスト膜を形成する工程と、
透光部を形成する部分に対してレジストが完全に感光される露光量で、またグレートーン部を形成する部分に対してレジストが完全に感光される露光量より少ない露光量でレジスト膜を露光する工程と、
現像処理を行い、遮光部を形成する部分とグレートーン部を形成する部分とでレジストの残膜値が異なるようなレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜をウェットエッチングして透光部を形成する工程と、
前記グレートーン部上に残存するレジストパターンのみを除去する工程と、
前工程で残存したレジストパターンをマスクとして遮光膜あるいは遮光膜およびエッチングストッパー膜をウェットエッチングにより除去する工程と、
さらに残存したレジストパターンを剥離する工程と、を含むことを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。 - 請求項1〜3 のいずれかに記載のグレートーンマスクを介して露光光を介してフォトレジストに露光する工程を有する、LCDの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のグレートーンマスクを用いたTFTの製造方法において、
該グレートーンマスクを使用して露光したフォトレジストの膜厚を選択的に変え、
レジストの残存しない部分で被加工基板の第1のエッチングを行い、
該グレートーン部に対応する、薄いレジストの部分をアッシングにより除去してこの部分で第2のエッチングを行うことを含むTFTの製造方法。
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