JP4699110B2 - 発酵茶飲料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、総ポリフェノール類濃度が高いにもかかわらず、苦渋味が少なく、缶入り発酵茶飲料やペットボトル入り発酵茶飲料とした際にもその保存性が良好である発酵茶飲料およびその製造方法に関するものである。
近年、消費者の健康に関する志向性の高まりから、茶飲料に含まれるカテキン類等のポリフェノールに対する関心が高まり、缶入りまたはペットボトル入りの茶飲料の分野において、茶飲料に含まれるポリフェノールの一種であるカテキン類を多く摂取するために高濃度カテキン類含有茶飲料を飲用する動きが高まっている。こうした中、高濃度カテキン類含有茶飲料として非重合体カテキン類を高濃度に含有する緑茶飲料が数多く販売されている。しかしながら、この非重合体カテキン類を高濃度に含有する緑茶飲料は、苦渋味の強い非重合体カテキン類を高濃度に含有するが故に、他の低濃度の非重合体カテキン類を含有する一般的に販売されている密閉容器入り緑茶飲料と較べた場合、苦渋味の強い飲みづらい緑茶飲料となっており、嗜好性が訴求される緑茶飲料としては欠点が大きいものであった。また、容器内に密封されている緑茶飲料中の非重合体カテキン類が容器内の残存酸素、酸化物質または外部からの光の照射により、酸化重合作用を受けて変色したり、風味が変化したり、沈殿が生成したりと言う悪影響が生じるため、特に緑茶飲料においては、非重合体カテキン類を高濃度に含有するが故にその影響が格段に大きいと言う嗜好性飲料である緑茶飲料としては大きな課題を有するものであった。
そのため、特許文献1においては、非重合体カテキン類を500ml当たり460〜2,500mg(100ml当たり92〜500mg)と高濃度で含有する容器詰め茶飲料において、非重合体カテキン類中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の特定含有比率を規定することにより、長時間にわたって保存しても、色調、外観の透明性が安定であることを見出したとしている。しかしながら、従前より多くの飲料メーカーから販売されてきた嗜好性重視の非重合体カテキン類濃度が低濃度の100ml当たり50mg以下である密閉容器入り茶飲料と較べた場合、その苦渋味の度合いは格段に大きく、さらに保存中の風味の変化、色調および外観の透明性の変化の度合いが大きいのは否めないといった問題を有するものであった。
特許第3329799号公報
本発明は、総ポリフェノール類濃度が高いにもかかわらず、苦渋味が少なく、さらに保存中の風味の変化、色調および外観の透明性の変化の度合いが少ない発酵茶飲料を提供することを主目的としている。
本発明は、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内であることを特徴とする発酵茶飲料を提供する。また、本発明は、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内であることを特徴とする発酵茶飲料を使用した密閉容器入りの発酵茶飲料を提供する。
本発明によれば、総ポリフェノール類の濃度が高いにもかかわらず、上記発酵茶飲料中に含まれる非重合体カテキン類の濃度が低いことから、苦渋味が少なく、さらに保存中の風味の変化、色調および外観の透明性の変化の度合いの少ない発酵茶飲料、もしくは密閉容器入り発酵茶飲料とすることができる。
また、本発明は、茶葉から抽出した茶葉抽出液に対し、ポリフェノール酸化重合酵素による酸化重合処理を施すことにより得られる発酵茶抽出液を用いて、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内である発酵茶飲料を得ることを特徴とする発酵茶飲料の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記酸化重合処理を行うことにより、上記茶葉抽出液中に含まれる苦渋味が強く、変色、風味劣化の主要原因である非重合体カテキン類を重合体カテキン類に変換させた発酵茶抽出液を得ることができる。これにより、上記発酵茶抽出液を用いて、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内である発酵茶飲料を得ることができるため、苦渋味が少なく、さらに容器中に保存した際の風味の変化、色調および外観の透明性の変化の度合いの少ない発酵茶飲料を得ることが可能となる。
上記発明においては、上記茶葉抽出液に対し、タンナーゼによるタンナーゼ処理を施すことが好ましい。これにより、上記非重合体カテキン類および重合体カテキン類中に存在する苦渋味の強いガレート体を減少させることができ、より苦渋味の減少した発酵茶飲料を得ることが可能となるからである。
また、上記発明においては、上記発酵茶抽出液を、非重合体カテキン類を含有する茶抽出物に混合させることが好ましい。これにより、容易に、非重合体カテキン類を含有する茶抽出物を、非重合体カテキン類の濃度と総ポリフェノールの濃度とが上記範囲内となる発酵茶飲料とすることができるからである。
さらに、使用する茶葉としては、生の緑茶葉から、同生茶葉中に含有されるポリフェノール酸化重合酵素であるポリフェノールオキシダーゼの働きにより同生茶葉中の非重合体カテキン類が酸化重合して重合体カテキン類に変換反応することを利用して半発酵茶葉および完全発酵茶葉が製造されていることから、緑茶に代表される不発酵茶葉、烏龍茶に代表される半発酵茶葉、紅茶に代表される完全発酵茶葉を1種類または2種類以上使用して、抽出し、かつポリフェノール酸化重合酵素処理、タンナーゼ処理しても良い。
本発明によれば、総ポリフェノールの濃度が高いにもかかわらず、上記発酵茶飲料中に含まれる非重合体カテキン類の濃度が低いことから、苦渋味が少なく、さらに密閉容器中に保存した際の風味の変化、色調および外観の透明性の変化の度合いの少ない発酵茶飲料とすることができるといった効果を奏する。
本発明は、発酵茶飲料およびその製造方法に関するものである。以下、これらについて説明する。
A.発酵茶飲料
本発明の発酵茶飲料は、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノールの濃度が100〜500mg/100mlの範囲内であることを特徴とするものである。
一般的に、従来から販売されている密閉容器入り茶飲料においては、発酵茶飲料および非発酵茶である緑茶飲料においても非重合体カテキン類の濃度は20〜50mg/100mlの範囲内に設定され、重合体カテキン類の濃度は5〜30mg/100mlの範囲内に設定されている。この理由としては、一般の消費者が茶飲料の苦渋味を敬遠する傾向が強く、喉の渇きを潤す止渇的役割を密閉容器入り茶飲料に求める傾向が強かったため、この設定以下では、茶飲料特有の風味が少なく水に近いものとなって飲料としての評価が低くなり、この設定以上では、苦渋味が出てきて消費者に敬遠される恐れがあるとともに、透明な密閉容器であるペットボトル入り飲料にした場合、非重合体カテキン類が保存中の酸化重合等の原因により変化して風味の変化、着色、沈殿生成を生じる度合いが大きくなって、同じく飲料としての評価が低くなる恐れがあったためである。
しかしながら、近年、消費者の健康志向の高まりから茶飲料中に含まれるカテキン類に対する評価が高まり、苦渋味があってもカテキン類を多く摂取するために高濃度カテキン類含有茶飲料を飲用する動きが高まっているのが現状である。こうした中、近年、高濃度カテキン類含有茶飲料として非重合体カテキン類の濃度が、従来から販売されている密閉容器入り茶飲料の数倍程度大きい緑茶飲料が販売されている。カテキン類中で非重合体カテキン類が特に注目される背景には、非重合体カテキン類がHPLC測定法によりその8種類ある非重合体カテキン類が正確に測定できるために、その分析と健康に及ぼす効果効能が評価測定しやすいと言う事実がある。それに対し、重合体カテキン類は、8種類ある非重合体カテキン類と較べ、はるかにその重合した種類が雑多であるため、事実上、一部のテアフラビン等の重合体カテキン類を除いて大部分の重合体カテキン類が分析不能であり、その健康に及ぼす効果効能が評価測定不能であることが背景にある。そのため、8種類ある非重合体カテキン類ほどには、健康に及ぼす効果効能に関する研究が進んでいないと言う背景があるが、還元性の強いフェノール性水酸基を有すると言うことでは、同じポリフェノール類に属する非重合体カテキン類と重合体カテキン類には共通点があり、重合体カテキン類も非重合体カテキン類と同様の健康に及ぼす効果効能があると言われている。
また、非重合体カテキン類の濃度が高い茶飲料は、非重合体カテキン類の濃度が大きい分、密閉容器等に保存した場合、従来から販売されている密閉容器入り茶飲料に較べて、酸素や光等による非重合体カテキン類の酸化重合等により変化して風味の変化、着色、沈殿生成を生じる度合いが大きくなるのは否めない。
そこで、本発明者は、茶飲料中の総ポリフェノール類を測定するのに広く一般的に使用される酒石酸鉄法により測定した総ポリフェノール類の含有量を一定にし、その中に含有される非重合体カテキン類および重合体カテキン類の割合を変えて、その風味の違い、および保存中の風味の変化、着色、沈殿生成の違いを調べたところ、茶飲料の保存中の風味の変化、着色、沈殿生成には非重合体カテキン類の存在が大きく関わっており、しかもその濃度の割合が大きくなるほど、その影響度合いが大きくなることを見出した。また、同じ総ポリフェノール類の含有量であっても、非重合体カテキン類の割合が大きいほど、同じく重合体カテキン類の割合が小さいほど、苦渋味が大きくなる傾向にあることを見出した。
すなわち、非重合体カテキン類の濃度を極力低濃度に抑え、かつ変化を受ける度合いが非重合体カテキン類より小さい重合体カテキン類を高濃度にし、総ポリフェノール類の含有量を高濃度にすることで、カテキン類の健康機能性を担保しつつ、苦渋味の少なく、密閉容器等に保存した際、風味の変化、着色、沈殿生成が少ない新規な発酵茶飲料とすることが可能であることを見出したのである。
以下、本発明の発酵茶飲料に含まれる各成分について説明する。
まず、本発明の発酵茶飲料中に含まれる総ポリフェノール類について説明する。本発明における総ポリフェノール類は、本発明の発酵茶飲料中に高濃度に含まれるものである。その濃度としては、具体的に、100〜500mg/100mlの範囲内であり、好ましくは150〜450mg/100mlの範囲内、さらに好ましくは、200〜350mg/100mlの範囲内である。これにより、カテキン類を高濃度含む総ポリフェノール類の健康機能性を有し、かつ苦渋味が少なく、変色、風味劣化が少ない発酵茶飲料とすることができるからである。なお、総ポリフェノール類の濃度が上記範囲を超える場合は、苦渋味が大きくなりすぎて飲用に供するのに適さないことがある。
本発明におけるポリフェノール類とは、茶飲料に含まれるポリフェノール類の総称であり、例えば、非重合体カテキン類、重合体カテキン類等を挙げることができる。
ここで、本発明においては、上記非重合体カテキン類は、本発明の密閉容器入り発酵茶飲料中に低濃度に含まれるものである。その濃度としては、具体的に、50mg/100ml以下であり、好ましくは0〜30mg/100mlの範囲内である。これにより、苦渋味が軽減され、密閉容器等に保存した際、風味や色調の変化および沈殿生成の少ない発酵茶飲料とすることができるからである。
本発明における非重合体カテキン類は、茶飲料に含まれるポリフェノールの一種であり、一般的に苦渋味を有する化合物として知られている。このような非重合体カテキン類とは、カテキン、エピカテキン、ガロカテキンおよびエピガロカテキンのガレート基を有さない非ガレート体と、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレートのガレート基を有するガレート体との8種類のことを示す。
また、本発明における非重合体カテキン類中の、上記ガレート体の含有量は、少ないことが好ましく、具体的には、50mg/100ml以下が好ましく、中でも0〜30mg/100mlの範囲内が好ましい。上記ガレート体の含有量が多すぎると、ガレート体は苦渋味の強い化合物であるため、発酵茶飲料の苦渋味が増してしまう傾向にあるからである。なお、非重合体カテキン類中のガレート体を減少させる方法としては、後述する「B.発酵茶飲料の製造方法」で説明するタンナーゼを用いたタンナーゼ処理等を用いることができる。
また、本発明における総ポリフェノール類に含まれる重合体カテキン類としては、重合体カテキン類として知られている化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、代表的には紅茶等に多く含有されるテアフラビン類等を挙げることができる。
上記重合体カテキン類には、上述した非重合体カテキン類と同様にガレート基を有したガレート体とガレート基を有さない非ガレート体とが存在する。本発明においては、上記重合体カテキン類中のガレート体の含有量が少ないことが好ましいが、前述の通り、重合体カテキン類は一部、テアフラビン類を除いて、その種類が雑多であり、またその分析法も煩雑であるため、事実上、分析が不可能であるため、その含有量を特定することができないが、タンナーゼ処理により、生成される没食子酸の含有量が増加することから、ガレート体の重合カテキン類の含有量が減少しているものと類推されるものであるが、いずれにしても、ガレート体の重合カテキン類の含有量が少ないことが望ましい。これは、ガレート体の非重合カテキン類の場合と同様に、上記ガレート体の含有量が多すぎると、発酵茶飲料の苦渋味が増す可能性があるからである。なお、非重合体カテキン類中のガレート体を減少させる方法としては、後述する「B.発酵茶飲料の製造方法」で説明するタンナーゼを用いたタンナーゼ処理等を用いることができる。
また、このような重合体カテキン類の発酵茶飲料中の含有量としては、前述の通り、非重合体カテキン類と比べ、苦渋味が少なく、変色、風味劣化が少ないことから高濃度ポリフェノール含有発酵茶飲料中において、高いことが好ましいが、具体的には、前述の通り、重合体カテキン類は一部、テアフラビン類を除いて、その種類が雑多であり、またその分析法も煩雑であるため、事実上、分析が不可能であるため、その含有量を特定することができないが、酒石酸鉄法で測定された総ポリフェノール含有量から、HPLC法で測定された非重合体カテキン類および生成される没食子酸含有量を差し引いた数値により、その含有量が充当される。いずれにしても、この充当される含有量としては、50mg/100ml以上が好ましく、中でも50〜450mg/100mlの範囲内が好ましい。これにより、健康に及ぼす効果効能を期待できるカテキン類を高濃度に含有した発酵茶飲料とすることができるからである。
なお、上記重合体カテキン類の含有量を増加させる方法としては、後述する「B.発酵茶飲料の製造方法」で説明するポリフェノール酸化重合酵素による酸化重合処理により、上記非重合体カテキン類を重合体カテキン類に変換させる方法等を用いることができる。
本発明の発酵茶飲料は、上述した非重合体カテキン類および重合体カテキン類等を含む総ポリフェノール類以外の、他の成分を含有していてもよく、例えば、ビタミンC、ビタミンB等のビタミン類やカフェイン等を挙げることができる。また、必要に応じて添加剤、具体的には、pH調整剤、さらには着香、着色、酸化防止の目的で、それぞれ炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウム等のpH調整剤、茶フレーバー等の香料、葉緑素等の着色料、アスコルビン酸またはその塩やルチン等の酸化防止剤、ショ糖脂肪酸エステル等の抗菌目的の乳化剤等を含有していてもよい。
本発明の発酵茶飲料は、種々の用途に用いることが可能であり、例えばペットボトルやアルミ缶容器に充填することにより、密閉容器入り発酵茶飲料として用いることができる。なお、ペットボトルの様に透明で光を通しやすい容器中に保存された飲料とした場合においても、本発明の発酵茶飲料は、光による酸化劣化の要因となる非重合体カテキン類が低濃度であるため、酸化劣化による風味の変化、着色、沈殿生成を抑えることができる。
B.発酵茶飲料の製造方法
次に、本発明の発酵茶飲料の製造方法について説明する。本発明の発酵茶飲料の製造方法は、茶葉から抽出した茶葉抽出液に対し、ポリフェノール酸化重合酵素による酸化重合処理を施すことにより得られる発酵茶抽出液を用いて、上記発酵茶飲料を得ることを特徴とするものである。
一般的に、茶飲料等に含まれる成分のうち苦渋味の強い成分である非重合体カテキン類は、ポリフェノール酸化重合酵素であるポリフェノールオキシダーゼ等により、重合体カテキン類へと変換することができることが知られている。これは、発酵茶の原料である発酵茶葉を製造する際に利用される反応であり、この発酵茶葉の製造は、生茶葉中に内在するポリフェノールオキシダーゼの働きによる自然発酵により行われるものである。
一方、このような非重合体カテキン類から重合体カテキン類への変換は、密閉容器入り茶飲料等において、酸化劣化と呼ばれる形で起こる場合もある。すなわち、密閉容器入り茶飲料における酸化劣化は、その保存状態や流通条件により、茶飲料中に含まれる非重合体カテキン類が、酸素や光等により酸化重合を起こすことによるものである。
本発明者は、これらの非重合体カテキン類から重合体カテキン類への変換について、以下の様に検討を行った。まず、非重合体カテキン類が同じ含有量である非重合体カテキン類溶液を準備し、一方をポリフェノールオキシダーゼを添加して非重合体カテキン類を重合体カテキン類に変換した場合とし、もう一方を上述したような密閉容器入り茶飲料中で従来、容器内に残存した酸素や外部からの光等による酸化劣化により行われていた非重合体カテキン類の重合体カテキン類へ変換した場合とし、両者を比較した。その結果、同じ非重合体カテキン類から重合体カテキン類への変換であっても、明らかに前者が後者より風味の変化、着色、沈殿生成が少ないことを見出すことができた。
本発明においては、茶葉抽出液にポリフェノールオキシダーゼ等のポリフェノール酸化重合酵素による酸化重合処理を施し、茶葉抽出液中に含まれる非重合体カテキン類を重合体カテキン類に変換させることにより、非重合体カテキン類が低濃度で、かつ重合体カテキン類が高濃度で含まれた発酵茶抽出液を得ることができ、この発酵茶抽出液を用いて、重合体カテキン類の濃度すなわち総ポリフェノール類の濃度が高い発酵茶飲料を製造することができる。これにより、上記重合体カテキン類自体は風味も悪くなく、苦渋味も少ないため、気軽に健康に有用なカテキン類を多く摂取することが可能な発酵茶飲料とすることが可能となるのである。また、得られる発酵茶飲料の非重合体カテキン類の濃度を極力少なくすることで、密閉容器入り発酵茶飲料とした場合に、発酵茶飲料保存中の品質劣化の主原因である、非重合体カテキン類に起こる酸素や光等による酸化劣化を防ぐことができる。したがって、本発明の発酵茶飲料の製造方法により、保存中の風味劣化や色調の変化等が少なく、かつ高濃度総ポリフェノール類含有の発酵茶飲料を得ることが可能となるのである。
なお、本発明の発酵茶飲料の製造方法は、茶葉から抽出した茶葉抽出液にポリフェノール酸化重合酵素を加えて非重合体カテキン類を酸化重合させるものであり、原料に用いられる茶葉の種類は、発酵茶葉に限らず非発酵茶葉である緑茶葉を用いることが可能であるが、従来の発酵茶飲料は、原料の生茶葉を生茶葉中に含まれるポリフェノール酸化重合酵素の働きにより自然発酵させて、生茶葉中に含まれる非重合体カテキン類が酸化重合した重合体カテキン類を多く含む発酵茶葉としてから、その発酵茶葉より抽出して得られるものである。このように本発明で得られる発酵茶飲料と従来の発酵茶飲料とは、製法に違いはあるものの、同様の酸化重合反応を利用しているという観点から、本発明で得られる発酵茶飲料は、従来の発酵茶飲料と同様の発酵茶飲料の範疇に含めることができるものとする。
以下、本発明の発酵茶飲料の製造方法について、各構成ごとに分けて説明する。
1.酸化重合処理
まず、本発明における酸化重合処理について説明する。本発明における酸化重合処理とは、茶葉から抽出した茶葉抽出液をポリフェノール酸化重合酵素による酸化重合処理を施すことにより発酵茶抽出液を得る処理である。
本発明においては、上記酸化重合処理を行うことにより、上記茶葉抽出液に含まれる非重合体カテキン類が重合反応し、重合体カテキン類へと変換させることができる。ここで、非重合体カテキン類および重合体カテキン類は、両者ともポリフェノール類の一種であるため、上記酸化重合処理により行われる重合体への変換は、同じポリフェノール類中の成分同士によるものである。したがって、このような処理を行った発酵茶抽出液を用いることにより、総ポリフェノール類濃度を高く保持したまま、非重合体カテキン類に由来する苦渋味のみを軽減させた発酵茶飲料を得ることが可能となるのである。
以下、酸化重合処理に用いられる茶葉抽出液、ポリフェノール酸化重合酵素および酸化重合処理における条件について、分けて説明する。
a.茶葉抽出液
まず、本発明に用いられる茶葉抽出液について説明する。本発明に用いられる茶葉抽出液は、茶葉中から茶葉に含まれる成分が抽出された抽出液であれば、特に限定されるものではない。
本発明に用いられる茶葉としては、特に限定されるものではなく、緑茶葉、半発酵茶葉、および完全発酵茶葉のいずれであってもよいが、本発明においては、半発酵茶葉および完全発酵茶葉であることが好ましい。このような発酵茶葉は、緑茶葉に較べて苦渋味の強い非重合体カテキン類の含有割合が少ないからである。
上記半発酵茶葉としては、例えば烏龍茶葉等が挙げられ、上記完全発酵茶葉としては、例えば紅茶等が挙げられる。このような半発酵茶葉および発酵茶葉は、生の茶葉を生の茶葉中に含まれる酸化重合酵素であるポリフェノールオキシダーゼの働きにより、生の茶葉中の非重合体カテキン類が酸化重合反応されることを利用して製造されるもので、酸化重合反応の度合いの強弱に応じて、上記半発酵茶葉および発酵茶葉に分けることができる。
本発明における茶葉抽出液は、茶葉から抽出されたものであるが、その抽出方法としては、特に限定されるものではなく、例えば茶葉を水に浸漬させた後、濾過する方法等を用いることができる。
この際に用いられる水としては、特に限定されるものではないが、脱イオン水または蒸留水を用いることが好ましい。このように脱イオン水または蒸留水が好適であるのは、水中にカルシウムイオンおよび鉄イオン等が溶解している場合、茶葉抽出液中のタンニンと結合を生じ、不溶解物を生じたり、色の変化が生じたりすることを防止するためである。
また、抽出時の水の温度や浸漬時間等の条件としては、特に限定されるものではなく、茶葉の抽出方法に一般的に用いられる条件と同様とすることができる。具体的には、水の温度が10〜98℃の範囲内程度、浸漬時間が1分〜20時間の範囲内程度であることが好ましい。
b.ポリフェノール酸化重合酵素
次に、本発明に用いられるポリフェノール酸化重合酵素について説明する。本発明に用いられるポリフェノール酸化重合酵素とは、上記非重合体カテキン類を酸化重合する作用を有する酵素であれば、その種類、由来等は特に制限されるものではない。
本発明に用いられるポリフェノール酸化重合酵素としては、例えば、ラッカーゼ(ポリフェノールオキシダーゼ)、ペルオキシダーゼ、フェノラーゼ等の茶葉中に含有される酵素、その他植物に由来する同様な酵素群、微生物由来の酵素等を挙げることができる。なお、これらの酵素は、精製品であっても未精製な状態のものであっても用いることができる。
本発明に用いられるポリフェノール酸化重合酵素の添加量としては、用いるポリフェノール酸化重合酵素の種類等により異なるものであるが、例えば、茶葉抽出液に対して0.001〜0.30質量%の範囲内、中でも0.01〜0.10質量%の範囲内の添加量で用いることが好ましい。上記範囲より添加量が少ない場合は、酸化重合が効率的に進行しない可能性があるからである。一方、上記範囲より多く添加しても、酸化重合効率の大幅な向上が期待できず、コスト的な面で不利となるからである。
c.酸化重合処理の条件
次に、本発明における酸化重合処理の条件について説明する。本発明における酸化重合処理は、酵素反応を利用した処理であるため、温度、時間、およびpH等の条件により、得られる発酵茶抽出液中における各成分の濃度が大きく変動するものである。
以下、酸化重合処理における温度、時間、およびpHの各条件について説明する。
本発明における酸化重合処理を行う際の温度としては、用いるポリフェノール酸化重合酵素の活性化温度と同様の温度とすることが好ましい。したがって、酸化重合処理の温度は、用いるポリフェノール酸化重合酵素により異なるものであるが、通常、20〜60℃の範囲内、中でも40〜50℃の範囲内とすることが好ましい。
本発明における酸化重合処理の時間としては、用いるポリフェノール酸化重合酵素や茶葉抽出液中における各成分の比率等により大幅に異なるものであるが、酸化重合がほぼ完全に進行するのに要する時間と同様とすることが好ましく、具体的には、0.5〜6.0時間の範囲内が好ましく、中でも1.0〜3.0時間の範囲内であることが好ましい。これにより、茶葉抽出液中の非重合体カテキン類の含有量をより減少させ、重合体カテキン類の含有量をより増加させることが可能となるからである。
本発明における酸化重合処理は、酵素を用いた酸化重合処理であることから、酵素の至適pH付近で行うことが好ましい。本発明に用いられる酵素は、ポリフェノール酸化重合酵素であり、酸化重合処理に用いる茶葉抽出液のpHが、2.0〜10.0の範囲内、中でも4.0〜9.0の範囲内になる様に調整されて酸化重合処理が行われることが好ましい。
なお、上記範囲にpHを調整する方法としては、例えばpH調整剤を適当量投入する方法を用いることができる。
d.その他
本発明においては、特開2004−113090号公報に記載の内容を応用して、殺青処理していない生茶葉を破砕処理して、生茶葉中に内在する酸化重合酵素であるポリフェノールオキシダーゼおよび微生物等由来の植物細胞壁溶解酵素群を同時に作用させて、古くから行われている生茶葉から発酵茶を得る方法として知られているスラリー発酵を行わせて、本願発明の非重合体カテキン類および総ポリフェノール類の濃度が所定の濃度である発酵茶飲料を製造することも可能である。この方法は、原料の茶葉として破砕した生茶葉に烏龍茶葉および/または紅茶葉を混合して使用することも可能である。
2.その他の処理
本発明の発酵茶飲料の製造方法においては、上述した酸化重合処理以外に、必要に応じて他の処理を施してもよく、本発明においては、上記茶葉抽出液にタンナーゼによるタンナーゼ処理を施すことが好ましい。上記タンナーゼ処理を施すことにより、上記茶葉抽出液中に含まれる非重合体カテキン類のガレート体および重合体カテキン類のガレート体が加水分解を受けて、例えばガレート基の結合したガレート体と称されるエピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等の苦渋味の強いカテキン類のエステル結合を加水分解して没食子酸と軽快な苦味を有するエピカテキン、エピガロカテキン等に変換することができる。したがって、苦渋味のより減少した発酵茶葉飲料を得ることができるからである。
なお、このようなタンナーゼ処理は、上述した酸化重合処理の前に行ってもよく、また酸化重合処理の後に行ってもよいが、本発明においては、酸化重合処理と同時に行うことが好ましい。これにより、効率よく発酵茶飲料を製造することができるからである。
以下、本発明に用いられるタンナーゼ処理について説明する。
(タンナーゼ処理)
本発明に用いられるタンナーゼ処理は、上記茶葉抽出液中に酵素であるタンナーゼを添加して行う酵素反応を利用した処理である。ここで、本発明に用いられるタンナーゼとは、ガレート基が結合したガレート体のカテキン類のエステル結合を加水分解して没食子酸と非ガレート体とに変換する働きを有する酵素であり、発酵茶飲料の苦渋味を少なくしたり、紅茶の茶葉から製造された発酵茶飲料とした場合のクリームダウンを防止するために好適に用いられるものである。その起源は、特に限定されるものではないが、Asp.oryzae、Asp.niger、Asp.saitoi、Asp.glaucus、Penicillium oxalicum等起源のタンニン酸を唯一の炭素源として培養して得られるタンナーゼを挙げることができ、精製品であっても未精製な状態のものであっても用いることができるが、市販品としてはキッコーマン社製のタンナーゼKTFHを用いることが可能である。
本発明においては、このようなタンナーゼを、例えば、茶葉抽出液に対して、0.001〜0.30質量%の範囲内、中でも0.01〜0.10質量%の範囲内の添加量で用いることが好ましい。上記範囲より添加量が少ない場合は、加水分解が効率的に進行しない可能性があるからである。一方、上記範囲より多く添加しても、加水分解効率の大幅な向上が期待できず、コスト的な面で不利となるからである。
上記タンナーゼ処理を行う際の温度としては、用いるタンナーゼの活性化温度と同様の温度とすることが好ましい。具体的には、20〜60℃の範囲内、中でも40〜50℃の範囲内とすることが好ましい。
上記タンナーゼ処理の時間としては、加水分解がほぼ完全に進行するのに要する時間と同様とすることが好ましく、具体的には、0.5〜6.0時間の範囲内が好ましく、中でも1.0〜3.0時間の範囲内であることが好ましい。これにより、苦渋味の強いガレート体の含有量がより減少した発酵茶葉飲料とすることができるからである。
上記タンナーゼ処理は、酵素を用いた加水分解処理であることから、酵素の至適pH付近で行うことが好ましい。本発明に用いられる酵素は、タンナーゼであり、タンナーゼ処理に用いる茶葉抽出液のpHが、2.0〜10.0の範囲内、中でも4.0〜9.0の範囲内になる様に調整されてタンナーゼ処理が行われることが好ましい。
なお、上記範囲にpHを調整する方法としては、例えばpH調整剤を適当量投入する方法を挙げることができる。
なお、本発明におけるタンナーゼ処理としては、特公平4−63662号公報に記載のごとく、紅茶の茶葉をタンナーゼおよび植物細胞壁溶解酵素群で湿潤状態で処理する方法を用いることもできる。
3.発酵茶飲料
本発明の製造方法により得られる発酵茶飲料は、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内の発酵茶飲料である。本発明においては、このような発酵茶飲料を上記発酵茶抽出液を用いて製造するものであれば、特に限定されるものではない。
本発明においては、上記発酵茶抽出液を水等で希釈することにより、非重合体カテキン類の濃度および総ポリフェノール類の濃度が上記範囲内である発酵茶飲料を得てもよい。この際、用いられる水としては、特に限定されるものではないが、脱イオン水または蒸留水を用いることが好ましい。これにより、上記発酵茶抽出液中のタンニンと水中にカルシウムイオンおよび鉄イオン等とが結合を生じ、不溶解物を生じたり、色の変化が生じたりすることを防止することができるからである。
また、上記発酵茶抽出液を、非重合体カテキン類を含有する茶葉抽出物に混合させることにより、非重合体カテキン類の濃度および総ポリフェノール類の濃度が上記範囲内である発酵茶飲料を得てもよい。この際に用いられる非重合体カテキン類を含有する茶葉抽出物とは、特に限定されるものではなく、非発酵茶葉から抽出された抽出物であってもよく、発酵茶葉から抽出された抽出物であってもよい。また、上記茶葉抽出物の状態としては、茶葉から抽出された抽出物を含んだものであれば特に限定されるものではなく、例えば茶葉から水等を用いて抽出した茶葉抽出液等の液体状態であってもよく、茶葉抽出液を加工する等により得られた固体状態であってもよい。
なお、本発明における発酵茶飲料について、上述した以外の点は、上述した「A.発酵茶飲料」の記載と同様であるので、ここでの説明は省略する。
斯様に、昨今の健康志向の高まりを受け、カテキン類の多量摂取が叫ばれ、密閉容器入り茶飲料等の非重合体カテキン類の高濃度化が注目される中、非重合カテキン類が高濃度であるが故に酸素、光等の酸化劣化による風味劣化等の影響が強く出る欠点が指摘されていて、なおかつ、本願発明内容である低濃度の非重合体カテキン類であり、そして高濃度の重合体カテキン類を含有する密閉容器入り茶飲料が他に見出せない中で、本願発明は、茶葉抽出液中の高濃度の非重合カテキン類濃度を酸化重合酵素であるポリフェノールオキシダーゼ等により極力低濃度にして、かつ高濃度の重合体カテキン類に変換することで、密閉容器入り発酵茶飲料とした際にも風味劣化等が少なく、かつカテキン類等のポリフェノール類が多量摂取可能な高濃度総ポリフェノール類含有発酵茶飲料が提供できるものである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するもの、またはそれらの均等物は、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、非重合体カテキン類の含有量の測定はHPLC測定法にて行い、総ポリフェノール類の含有量は酒石酸鉄測定法により求めた。
[実施例1]
緑茶から抽出した、非重合体カテキン類の含有量が628mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が739mg/100mlである茶葉抽出液にポリフェノールオキシダーゼであるラッカーゼ ダイワ Y120(天野エンザイム株式会社販売、白色腐朽菌由来)を0.03重量%添加して50℃にて3時間撹拌の酵素処理を実施した。この結果、非重合体カテキン類の含有量が103mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が510mg/100mlである発酵茶抽出液への変換を行った。この変換した発酵茶抽出液を純水にて約3.4倍に希釈して非重合体カテキン類の含有量が30mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が149mg/100mlとし、ビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの低濃度非重合体カテキン類含有で高濃度総ポリフェノール類含有の発酵茶飲料を得た。こうして得られた発酵茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、その外観、色調、および風味において、苦渋味が少なくて飲みやすく、かつ変色、風味劣化がなく、ほとんど差がないものであった。
[実施例2]
烏龍茶の一種である鉄観音茶葉から抽出した茶葉抽出液にセルラーゼであるセルロシンAC40(阪急共栄物産株式会社販売Aspergillus niger由来)を0.05重量%、ヘミセルラーゼであるセルロシンHC(阪急共栄物産株式会社販売Aspergillus niger由来)を0.05重量%、ペクチナーゼであるセルロシンPE60(阪急共栄物産株式会社販売Aspergillus niger由来)を0.03重量%、タンナーゼ(キッコーマン株式会社販売、Aspergillus oryzae由来)を0.1重量%、ラッカーゼ ダイワ Y120(天野エンザイム株式会社販売、白色腐朽菌由来)を0.03重量%添加して50℃にて3時間撹拌の酵素処理を実施した。その結果、非重合体カテキン類の含有量が31mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が212mg/100mlである発酵茶抽出液への変換を行った。この変換した発酵茶抽出液にビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの低濃度非重合体カテキン類で高濃度総ポリフェノール類の発酵茶飲料を得た。こうして得られた発酵茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、その外観、色調、および風味において、苦渋味が少なくて飲みやすく、かつ変色、風味劣化がなく、ほとんど差がないものであった。
[実施例3]
特別に調製した非重合体カテキン類の含有量が15g/100gで、総ポリフェノール類の含有量が71g/100gである紅茶から抽出した茶抽出物を、実施例1で同様にして得られた発酵茶抽出液を純水にて希釈して非重合体カテキン類の含有量が30mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が149mg/100mlとした希釈液に100mg/100ml添加して溶解し、非重合体カテキン類の含有量が45mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が220mg/100mlである発酵茶抽出液とした。この発酵茶抽出液にビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの低濃度非重合体カテキン類で高濃度総ポリフェノール類の発酵茶飲料を得た。こうして得られた発酵茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、その外観、色調、および風味において、苦渋味が少なくて飲みやすく、かつ変色、風味劣化がなく、ほとんど差がないものであった。
[比較例1]
実施例1で用いた非重合体カテキン類の含有量が628mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が739mg/100mlである茶葉抽出液を実施例1と同じく純水にて3.4倍に希釈して非重合体カテキン類の含有量が185mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が217mg/100mlとし、ビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの高濃度非重合体カテキン類で高濃度総ポリフェノール類の緑茶飲料を得た。こうして得られた緑茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、放置当初から苦渋味が大変強くて飲みにくく、室内2ケ月間放置後の色調の変化が大きく、かつ風味の変化が大きく酸化臭の強いものであった。
[比較例2]
烏龍茶の一種である水仙茶葉から抽出処理して、非重合体カテキン類の含有量が239mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が375mg/100mlである茶葉抽出液を得た。この抽出液を純水にて1.5倍に希釈して非重合体カテキン類の含有量が159mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が250mg/100mlとし、ビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの高濃度非重合体カテキン類で高濃度総ポリフェノール類の発酵茶飲料を得た。こうして得られた発酵茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、放置当初から苦渋味が大変強くて飲みにくく、室内2ケ月間放置後の色調の変化が大きく、かつ風味の変化が大きく酸化臭の強いものであった。

Claims (6)

  1. 非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内であることを特徴とする発酵茶飲料。
  2. 非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内であることを特徴とする発酵茶飲料を使用した密閉容器入りの発酵茶飲料。
  3. 茶葉から抽出した茶葉抽出液に対し、ポリフェノール酸化重合酵素による酸化重合処理を施すことにより得られる発酵茶抽出液を用いて、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内である発酵茶飲料を得ることを特徴とする発酵茶飲料の製造方法。
  4. 前記茶葉抽出液に対し、タンナーゼによるタンナーゼ処理を施すことを特徴とする請求項3に記載の発酵茶飲料の製造方法。
  5. 前記発酵茶抽出液を、非重合体カテキン類を含有する茶抽出物に混合させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の発酵茶飲料の製造方法。
  6. 前記茶葉が、生茶葉、不発酵茶葉、半発酵茶葉、および完全発酵茶葉からなる群から選択される1種類の茶葉または2種類以上の茶葉を混合したものを使用することを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の発酵茶飲料の製造方法。
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