JP4699110B2 - 発酵茶飲料およびその製造方法 - Google Patents
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本発明の発酵茶飲料は、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノールの濃度が100〜500mg/100mlの範囲内であることを特徴とするものである。
まず、本発明の発酵茶飲料中に含まれる総ポリフェノール類について説明する。本発明における総ポリフェノール類は、本発明の発酵茶飲料中に高濃度に含まれるものである。その濃度としては、具体的に、100〜500mg/100mlの範囲内であり、好ましくは150〜450mg/100mlの範囲内、さらに好ましくは、200〜350mg/100mlの範囲内である。これにより、カテキン類を高濃度含む総ポリフェノール類の健康機能性を有し、かつ苦渋味が少なく、変色、風味劣化が少ない発酵茶飲料とすることができるからである。なお、総ポリフェノール類の濃度が上記範囲を超える場合は、苦渋味が大きくなりすぎて飲用に供するのに適さないことがある。
次に、本発明の発酵茶飲料の製造方法について説明する。本発明の発酵茶飲料の製造方法は、茶葉から抽出した茶葉抽出液に対し、ポリフェノール酸化重合酵素による酸化重合処理を施すことにより得られる発酵茶抽出液を用いて、上記発酵茶飲料を得ることを特徴とするものである。
以下、本発明の発酵茶飲料の製造方法について、各構成ごとに分けて説明する。
まず、本発明における酸化重合処理について説明する。本発明における酸化重合処理とは、茶葉から抽出した茶葉抽出液をポリフェノール酸化重合酵素による酸化重合処理を施すことにより発酵茶抽出液を得る処理である。
以下、酸化重合処理に用いられる茶葉抽出液、ポリフェノール酸化重合酵素および酸化重合処理における条件について、分けて説明する。
まず、本発明に用いられる茶葉抽出液について説明する。本発明に用いられる茶葉抽出液は、茶葉中から茶葉に含まれる成分が抽出された抽出液であれば、特に限定されるものではない。
次に、本発明に用いられるポリフェノール酸化重合酵素について説明する。本発明に用いられるポリフェノール酸化重合酵素とは、上記非重合体カテキン類を酸化重合する作用を有する酵素であれば、その種類、由来等は特に制限されるものではない。
次に、本発明における酸化重合処理の条件について説明する。本発明における酸化重合処理は、酵素反応を利用した処理であるため、温度、時間、およびpH等の条件により、得られる発酵茶抽出液中における各成分の濃度が大きく変動するものである。
本発明における酸化重合処理を行う際の温度としては、用いるポリフェノール酸化重合酵素の活性化温度と同様の温度とすることが好ましい。したがって、酸化重合処理の温度は、用いるポリフェノール酸化重合酵素により異なるものであるが、通常、20〜60℃の範囲内、中でも40〜50℃の範囲内とすることが好ましい。
なお、上記範囲にpHを調整する方法としては、例えばpH調整剤を適当量投入する方法を用いることができる。
本発明においては、特開2004−113090号公報に記載の内容を応用して、殺青処理していない生茶葉を破砕処理して、生茶葉中に内在する酸化重合酵素であるポリフェノールオキシダーゼおよび微生物等由来の植物細胞壁溶解酵素群を同時に作用させて、古くから行われている生茶葉から発酵茶を得る方法として知られているスラリー発酵を行わせて、本願発明の非重合体カテキン類および総ポリフェノール類の濃度が所定の濃度である発酵茶飲料を製造することも可能である。この方法は、原料の茶葉として破砕した生茶葉に烏龍茶葉および/または紅茶葉を混合して使用することも可能である。
本発明の発酵茶飲料の製造方法においては、上述した酸化重合処理以外に、必要に応じて他の処理を施してもよく、本発明においては、上記茶葉抽出液にタンナーゼによるタンナーゼ処理を施すことが好ましい。上記タンナーゼ処理を施すことにより、上記茶葉抽出液中に含まれる非重合体カテキン類のガレート体および重合体カテキン類のガレート体が加水分解を受けて、例えばガレート基の結合したガレート体と称されるエピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等の苦渋味の強いカテキン類のエステル結合を加水分解して没食子酸と軽快な苦味を有するエピカテキン、エピガロカテキン等に変換することができる。したがって、苦渋味のより減少した発酵茶葉飲料を得ることができるからである。
以下、本発明に用いられるタンナーゼ処理について説明する。
本発明に用いられるタンナーゼ処理は、上記茶葉抽出液中に酵素であるタンナーゼを添加して行う酵素反応を利用した処理である。ここで、本発明に用いられるタンナーゼとは、ガレート基が結合したガレート体のカテキン類のエステル結合を加水分解して没食子酸と非ガレート体とに変換する働きを有する酵素であり、発酵茶飲料の苦渋味を少なくしたり、紅茶の茶葉から製造された発酵茶飲料とした場合のクリームダウンを防止するために好適に用いられるものである。その起源は、特に限定されるものではないが、Asp.oryzae、Asp.niger、Asp.saitoi、Asp.glaucus、Penicillium oxalicum等起源のタンニン酸を唯一の炭素源として培養して得られるタンナーゼを挙げることができ、精製品であっても未精製な状態のものであっても用いることができるが、市販品としてはキッコーマン社製のタンナーゼKTFHを用いることが可能である。
なお、上記範囲にpHを調整する方法としては、例えばpH調整剤を適当量投入する方法を挙げることができる。
本発明の製造方法により得られる発酵茶飲料は、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内の発酵茶飲料である。本発明においては、このような発酵茶飲料を上記発酵茶抽出液を用いて製造するものであれば、特に限定されるものではない。
なお、非重合体カテキン類の含有量の測定はHPLC測定法にて行い、総ポリフェノール類の含有量は酒石酸鉄測定法により求めた。
緑茶から抽出した、非重合体カテキン類の含有量が628mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が739mg/100mlである茶葉抽出液にポリフェノールオキシダーゼであるラッカーゼ ダイワ Y120(天野エンザイム株式会社販売、白色腐朽菌由来)を0.03重量%添加して50℃にて3時間撹拌の酵素処理を実施した。この結果、非重合体カテキン類の含有量が103mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が510mg/100mlである発酵茶抽出液への変換を行った。この変換した発酵茶抽出液を純水にて約3.4倍に希釈して非重合体カテキン類の含有量が30mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が149mg/100mlとし、ビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの低濃度非重合体カテキン類含有で高濃度総ポリフェノール類含有の発酵茶飲料を得た。こうして得られた発酵茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、その外観、色調、および風味において、苦渋味が少なくて飲みやすく、かつ変色、風味劣化がなく、ほとんど差がないものであった。
烏龍茶の一種である鉄観音茶葉から抽出した茶葉抽出液にセルラーゼであるセルロシンAC40(阪急共栄物産株式会社販売Aspergillus niger由来)を0.05重量%、ヘミセルラーゼであるセルロシンHC(阪急共栄物産株式会社販売Aspergillus niger由来)を0.05重量%、ペクチナーゼであるセルロシンPE60(阪急共栄物産株式会社販売Aspergillus niger由来)を0.03重量%、タンナーゼ(キッコーマン株式会社販売、Aspergillus oryzae由来)を0.1重量%、ラッカーゼ ダイワ Y120(天野エンザイム株式会社販売、白色腐朽菌由来)を0.03重量%添加して50℃にて3時間撹拌の酵素処理を実施した。その結果、非重合体カテキン類の含有量が31mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が212mg/100mlである発酵茶抽出液への変換を行った。この変換した発酵茶抽出液にビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの低濃度非重合体カテキン類で高濃度総ポリフェノール類の発酵茶飲料を得た。こうして得られた発酵茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、その外観、色調、および風味において、苦渋味が少なくて飲みやすく、かつ変色、風味劣化がなく、ほとんど差がないものであった。
特別に調製した非重合体カテキン類の含有量が15g/100gで、総ポリフェノール類の含有量が71g/100gである紅茶から抽出した茶抽出物を、実施例1で同様にして得られた発酵茶抽出液を純水にて希釈して非重合体カテキン類の含有量が30mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が149mg/100mlとした希釈液に100mg/100ml添加して溶解し、非重合体カテキン類の含有量が45mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が220mg/100mlである発酵茶抽出液とした。この発酵茶抽出液にビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの低濃度非重合体カテキン類で高濃度総ポリフェノール類の発酵茶飲料を得た。こうして得られた発酵茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、その外観、色調、および風味において、苦渋味が少なくて飲みやすく、かつ変色、風味劣化がなく、ほとんど差がないものであった。
実施例1で用いた非重合体カテキン類の含有量が628mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が739mg/100mlである茶葉抽出液を実施例1と同じく純水にて3.4倍に希釈して非重合体カテキン類の含有量が185mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が217mg/100mlとし、ビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの高濃度非重合体カテキン類で高濃度総ポリフェノール類の緑茶飲料を得た。こうして得られた緑茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、放置当初から苦渋味が大変強くて飲みにくく、室内2ケ月間放置後の色調の変化が大きく、かつ風味の変化が大きく酸化臭の強いものであった。
烏龍茶の一種である水仙茶葉から抽出処理して、非重合体カテキン類の含有量が239mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が375mg/100mlである茶葉抽出液を得た。この抽出液を純水にて1.5倍に希釈して非重合体カテキン類の含有量が159mg/100mlで、総ポリフェノール類の含有量が250mg/100mlとし、ビタミンCナトリウムを500ppm添加し、次いで重曹にてpH6.5に調整して、透明なペットボトルに135℃、30秒間程度のUHT殺菌後無菌状態で密閉充填し、密閉容器入りの高濃度非重合体カテキン類で高濃度総ポリフェノール類の発酵茶飲料を得た。こうして得られた発酵茶飲料を室内にて室温で2ケ月間放置し、冷暗所にて同じく2ケ月間放置した同品と比較を行ったが、放置当初から苦渋味が大変強くて飲みにくく、室内2ケ月間放置後の色調の変化が大きく、かつ風味の変化が大きく酸化臭の強いものであった。
Claims (6)
- 非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内であることを特徴とする発酵茶飲料。
- 非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内であることを特徴とする発酵茶飲料を使用した密閉容器入りの発酵茶飲料。
- 茶葉から抽出した茶葉抽出液に対し、ポリフェノール酸化重合酵素による酸化重合処理を施すことにより得られる発酵茶抽出液を用いて、非重合体カテキン類の濃度が、50mg/100ml以下であり、かつ総ポリフェノール類の濃度が100〜500mg/100mlの範囲内である発酵茶飲料を得ることを特徴とする発酵茶飲料の製造方法。
- 前記茶葉抽出液に対し、タンナーゼによるタンナーゼ処理を施すことを特徴とする請求項3に記載の発酵茶飲料の製造方法。
- 前記発酵茶抽出液を、非重合体カテキン類を含有する茶抽出物に混合させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の発酵茶飲料の製造方法。
- 前記茶葉が、生茶葉、不発酵茶葉、半発酵茶葉、および完全発酵茶葉からなる群から選択される1種類の茶葉または2種類以上の茶葉を混合したものを使用することを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の発酵茶飲料の製造方法。
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