JP4698091B2 - ポリオレフィン製微多孔膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用セパレータに適したポリオレフィン製微多孔膜、特にリチウムイオン二次電池用セパレータとして好適に使用されるポリオレフィン製微多孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィンを素材とする微多孔膜は、種々の電池にセパレータとして使用されており、なかでも、ポリエチレン製微多孔膜は、近年、需要が急増しているリチウムイオン二次電池において好適に使用されている。ポリエチレン製微多孔膜は、電子絶縁性に優れる、電解液含浸によりイオン透過性を有する、耐電解液性・耐酸化性に優れる、孔閉塞効果を有している、適度の強度を持っている等の性能を有しており、これが好適に使用される理由とみられる。
【0003】
本発明者は、先に特願2000−224947において、ポリエチレン及びポリプロピレンからなるポリオレフィン製微多孔膜を提案した。これは、微多孔膜においてポリエチレンとポリプロピレンを特定の組成分布構造とすることにより、従来の微多孔膜に高い破膜温度と優れた高温オーブン特性を賦与したものである。しかしながら、この方法により孔閉塞性能は低下する可能性があった。
孔閉塞性能を高める技術としては、本出願人はWO97/20883において、プロピレン単位含量が0.1〜4モル%の線状共重合ポリエチレンを構成材料として使用するポリエチレン製微多孔膜を提案している。しかしながら、この方法では破膜温度の低下及びオーブン特性の低下が懸念され、また熱収縮率が大きくなる可能性があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電池用セパレータ、特にリチウムイオン二次電池用セパレータとして、優れた透過性能と高い突刺強度を維持し、熱収縮率が小さく、そして耐熱性と孔閉塞特性を高次元で両立させた、ポリオレフィン製微多孔膜を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決したものである。すなわち本発明は、以下の通りのものである。
1.粘度平均分子量が3万〜300万であるホモポリマーポリエチレン、粘度平均分子量が3万〜300万であるコポリマーポリエチレン及び粘度平均分子量が20万〜100万であるポリプロピレンからなる電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜であって、且つポリプロピレンの全膜構成材料に占める割合が1%以上30%未満であり、GPC/FTIRより求められる分子量M(i)の常用対数値と末端メチル基濃度C(M(i))の値との最小二乗法近似直線関係が、M(i)10万以上100万以下の分子量範囲において、
C(M(i))=A×log(M(i))+B (A、Bは定数)
−0.012≦A≦2.0
であることを特徴とする、電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜。
2.破膜温度が185〜300℃であることを特徴とする1.記載の電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜。
3.突刺強度が、0.7N/20μm〜20.0N/20μmであることを特徴とする、1.又は2.に記載の電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜。
4.次の(a)〜(e)工程を含むことを特徴とする、1.〜3.のいずれか1項に記載の電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
(a)ホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン、ポリプロピレン、可塑剤とを、酸化防止剤濃度0.5〜2.0wt%、窒素雰囲気下で溶融混練する工程。
(b)溶融物を押し出し、シート状に成形して冷却固化する工程。
(c)少なくとも一軸方向へ延伸を行う工程。
(d)可塑剤を抽出する工程。
(e)熱固定の工程。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳述する。本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、ホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン及びポリプロピレンからなり、それらの混合物より形成されていることが好ましく、ホモポリマーポリエチレン及び/又はコポリマーポリエチレンがマトリクスであることがさらに好ましい。
ホモポリマーポリエチレンの全膜構成材料に占める割合としては、1%以上98%以下が好ましい。
【0007】
コポリマーポリエチレンの全膜構成材料に占める割合としては、孔閉塞性能の観点から1%以上98%以下が好ましく、より好ましくは3%以上70%以下であり、5%以上40%以下がさらに好ましい。
ポリプロピレンの全膜構成材料に占める割合としては、得られる膜の破膜温度と高温オーブン特性の観点から、1%以上が好ましく、孔閉塞性能と、突刺強度と透気度との物性バランスの観点から30%未満が好ましい。より好ましくは1%以上10%未満である。
【0008】
ポリオレフィン製微多孔膜におけるホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン、及びポリプロピレンの存在の確認は、それぞれの材料が異なる融点を持つため、ポリオレフィン製微多孔膜のDSC測定により行うことが出来る。また、ポリオレフィン製微多孔膜のファーストランのDSC測定より求められる各材料の融点ピークの△Hより、それらの量比についても確認することが可能である。
【0009】
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の分子量は、得られる膜の破膜温度と高温オーブン特性の観点から、ポリエチレン換算の粘度平均分子量で5万以上が好ましく、製膜性の観点から100万以下が好ましい。より好ましくは10万〜80万であり、15万〜60万がさらに好ましい。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、GPC/FTIRより求められる分子量M(i)の常用対数値と末端メチル基濃度C(M(i))の値との最小二乗法近似直線関係が、M(i)10万以上100万以下の分子量範囲において、
C(M(i))=A×log(M(i))+B (A、Bは定数)
−0.015≦A≦2.0
である。
【0010】
GPC/FTIR測定で求められる分子量分布と末端メチル基濃度は、いずれも本発明の微多孔膜を構成するホモポリマーポリエチレンとコポリマーポリエチレンとポリプロピレンとの合算値となる。分子量M(i)はポリエチレン換算分子量である。末端メチル基濃度C(M(i))は、メチル基に帰属される吸光度I(−CH3)(吸収波数2960cm-1)とメチレン基に帰属される吸光度I(−CH2−)(吸収波数2925cm-1)との比I(−CH3)/ I(−CH2−)とする。ここで、C(M(i))は全ポリマーの側鎖末端のメチル基と主鎖末端のメチル基との和となるが、ポリプロピレンにおける側鎖メチル基のC(M(i))への影響度合いは大きいため、M(i)とC(M(i))との相関より膜中のポリプロピレンの分子量分布を判断することが出来る。
【0011】
本発明では、C(M(i))のlogM(i)との最小二乗法近似直線関係において定数Aが−0.015以上2.0以下にあることが必須であり、好ましくは−0.012以上1.0以下、より好ましくは0以上0.5以下である。定数Aが−0.015より小さいことは、膜中において、ポリプロピレンの低分子量成分がポリプロピレンの高分子量成分と比較して非常に多いことを意味しており、この場合、本発明の優れた効果は十分に発現されない。定数Aが2.0を越える微多孔膜を得ることは実質上困難である。
【0012】
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の厚みは膜強度の観点から3μm以上が好ましく、透気度の観点から100μm以下が好ましい。より好ましくは5〜50μmであり、5〜30μmがもっとも好ましい。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜の気孔率は、電池セパレータとして使用される場合の電解液含浸量の観点から20%以上が好ましく、膜強度の観点から80%以下が好ましい。より好ましくは30〜70%である。
【0013】
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の透気度は、1sec以上が好ましく、イオン透過性の観点から2000sec以下であることが好ましい。より好ましくは80〜1000secである。
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の突刺強度は、0.7〜20.0N/20μmが好ましく、3.5〜20.0N/20μmがさらに好ましい。突刺強度が低いと、電池セパレータとして使用される場合、電極材等の鋭利部が微多孔膜に突き刺さり、ピンホールや亀裂が発生するので、突刺強度は高い方が好ましい。
【0014】
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の孔閉塞温度は120〜140℃が好ましく、破膜温度は185〜300℃が好ましい。低い孔閉塞温度と高い破膜温度を有することにより、本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、広い温度範囲での孔閉塞状態の保持を実現している。よって、従来の電池のみならず、今後の高容量化された電池においても、本発明の微多孔膜を組み込むことにより、異常昇温及びそれによる発火の可能性を著しく低減できると考えられる。
【0015】
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の100℃熱収縮率は、MD(微多孔膜の長手方向であり、すなわち機械方向)及びTD(機械方向に垂直な方向)共に0〜10%が好ましい。低い熱収縮率を有することにより、本発明の微多孔膜を組み込む電池の乾燥工程における歩留まりを向上させることが出来ると考えられる。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、MDを固定した状態及びTDを固定した状態で150℃オーブン中に1時間おいた後でも、破膜しないことを特長とする。これにより、本発明の微多孔膜を組み込んだ電池のオーブン安全性は、従来より大きく向上すると考えられる。
【0016】
次に、本発明の微多孔膜の製造方法の例を説明する。
本発明の微多孔膜は、特願2000−224947で提案した工程により得ることができる。
本発明の微多孔膜は、例えば、以下の(a)〜(e)の工程を含む方法により得られる。
(a)ホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン、ポリプロピレン、可塑剤、及び酸化防止剤を窒素雰囲気下で溶融混練する工程。
(b)溶融物を押し出し、シート状に成形して冷却固化する工程。
(c)少なくとも一軸方向へ延伸を行う工程。
(d)可塑剤を抽出する工程。
(e)熱固定の工程
【0017】
これらの工程の順序及び回数については特に制限はないが、(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(e)工程の順序、(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(c)工程→(e)工程の順序、或いは(a)工程→(b)工程→(d)工程→(c)工程→(e)工程の順序が好ましく、(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(e)工程の順序、(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(c)工程→(e)工程の順序がさらに好ましい。
【0018】
本発明のホモポリマーポリエチレンとは1種のホモポリマーポリエチレン或いは複数のホモポリマーポリエチレンのことである。ホモポリマーポリエチレンの粘度平均分子量には特に制限はないが、3万〜300万が好ましく、5万〜100万がさらに好ましく、10万〜80万がもっとも好ましい。重合触媒には制限はない。重合方法としては、一段重合、二段重合、もしくはそれ以上の多段重合等があるが、いずれの方法のホモポリマーポリエチレンも使用可能である。
【0019】
本発明のコポリマーポリエチレンとは、1種のコポリマーポリエチレン或いは複数のコポリマーポリエチレンのことである。コポリマーポリエチレンのコモノマーは、エチレン以外のα−オレフィンコモノマーである。α−オレフィンコモノマーの種類に特に制限はないが、プロピレン、1ーブテン、1ーペンテン、1ーヘキセン、4ーメチルー1ーペンテン、1ーオクテンの単独若しくは2種以上併用が好ましく、プロピレンが単独使用されていることがさらに好ましい。コポリマーポリエチレンのコモノマー含量は、孔閉塞性能の観点から0.1モル%以上が好ましく、耐熱性、透過性能の観点から4モル%以下が好ましい。より好ましくは0.2〜3モル%、さらに好ましくは0.5〜2モル%である。
【0020】
コポリマーポリエチレンのメルトインデックス(MI)は特に制限はないが、好ましくは0.1未満であり、0.07未満であることがさらに好ましく、0.05未満であることがもっとも好ましい。コポリマーポリエチレンの粘度平均分子量としても特に制限はないが、好ましくは3万〜300万であり、15万〜200万であることがさらに好ましく、20万〜80万であることがもっとも好ましい。重合触媒には制限はない。重合方法としては、一段重合、二段重合、もしくはそれ以上の多段重合等があるが、いずれの方法のコポリマーポリエチレンも使用可能である。
【0021】
本発明のポリプロピレンとは1種のポリプロピレン或いは複数のポリプロピレンのことである。使用するポリプロピレンとしては、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレンが挙げられるが、コモノマー(通常はエチレン)含量は1モル%以下であることが好ましく、ホモポリマーポリプロピレンであることが好ましい。ポリプロピレンの粘度平均分子量は10万〜500万であることが好ましく、20万〜100万であることがさらに好ましい。重合触媒及び重合方法には特に制限はない。
【0022】
酸化防止剤の濃度は、0.3〜3.0wt%が好ましく、0.5〜2.0wt%がさらに好ましい。
酸化防止剤としては、1次酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤が好ましく、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
【0023】
なお、2次酸化防止剤である、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、ジラウリル−チオ−ジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤も、必要に応じてフェノール系酸化防止剤と併用して追加使用することが出来る。
また、必要に応じて、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料等の公知の添加剤も混合して使用することが出来る。
【0024】
さらに、ホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン及びポリプロピレン以外のポリマー材料や他の有機及び無機材料についても、電池用セパレータとしての性能を損なうことなく、製膜性を損なうことなく、そして本発明の要件及び効果を損なわない範囲で配合することができる。
可塑剤は、ホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン及びポリプロピレンと混合した際に、その融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を指す。例えば、流動パラフィンやパラフィンワックス等の炭化水素類、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジヘプチルフタレートなどが挙げられるが、炭化水素類が好ましい。
【0025】
可塑剤の(a)工程において溶融混練される全混合物中に占める質量割合は、得られる膜の気孔率の観点から20〜80wt%が好ましく、30〜70wt%がさらに好ましい。
(d)工程において使用される抽出溶媒としては、ホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン、及びポリプロピレンに対して貧溶媒であり、且つ可塑剤に対しては良溶媒であり、沸点がホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン、及びポリプロピレンの融点よりも低いものが望ましい。このような抽出溶媒としては、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等の有機溶媒が挙げられる。この中から適宜選択し、単独もしくは混合して用いられる。
【0026】
(a)工程の溶融混練の方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、一軸押出し機、二軸押出し機等のスクリュー押出し機、ニーダー、バンバリーミキサー等により溶融混練させる方法が挙げられる。溶融混練する方法としては、連続運転可能な押出し機が好ましく、二軸押出し機が混練性に優れる点でさらに好ましい。可塑剤は、上記ヘンシェルミキサー等で原料ポリマーと混合しても良く、また、溶融混練時に押出し機に直接フィードしても良い。
【0027】
溶融混練時の温度は、均一な混練物を得るために160℃以上が好ましく、本発明の微多孔膜の要件を満たすために300℃以下が好ましい。より好ましくは180〜250℃である。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜を得るため、溶融混練工程では、高濃度の酸化防止剤を配合し窒素雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、構成材料のポリプロピレンの劣化は防止され、本発明の要件は満たされ、優れた耐熱性を賦与することが可能となる。また、従来、構成材料のコポリマーポリエチレンは混練時に劣化しやすいため、過度に低融点化した成分が結果として生じる問題があった。そのため、孔閉塞性能は改善されても熱固定が充分に出来なくなり、収縮が悪化する傾向にあった。本発明のポリオレフィン製微多孔膜では、構成材料のポリプロピレンと共にコポリマーポリエチレンも劣化が防止されているため、優れた耐熱性に加え、熱収縮率を悪化させることなく優れた孔閉塞性能も賦与されている。
【0028】
次に、(b)工程のシート成形方法としては、例えば、T−ダイを装着した押出し機より溶融物を押出し、冷却することによって得る方法が挙げられる。
冷却方法としては、冷風や冷却水等の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等が挙げられるが、冷媒で冷却したロールに接触させる方法が厚み制御が優れる点で好ましい。
(c)工程の延伸方法としては、例えば、一軸延伸機による延伸や、同時二軸延伸機による延伸により行うことができる。(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(e)工程の順序で製造する場合の延伸条件、及び(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(c)工程→(e)工程の順序で製造する場合の最初の延伸工程の延伸条件としては、延伸倍率は面倍率で20倍以上が好ましく、40倍以上がさらに好ましい。延伸温度は100〜135℃が好ましく、110〜130℃がさらに好ましい。
【0029】
(d)の抽出工程では、前記の抽出溶媒に浸漬することにより全可塑剤を抽出し、その後充分に乾燥させる。抽出により、膜中の可塑剤残量を1wt%未満とすることが好ましい。
(e)工程において、熱固定処理を行うことにより、熱収縮率を低減することが出来る。熱固定は、例えばTDテンターにより、100〜135℃程度の温度範囲でTD方向の応力を緩和させることにより施すことが出来る。
【0030】
本発明の効果を損なわない範囲で、電子線照射、プラズマ照射、界面活性剤塗布、化学的改質などの表面処理を必要に応じ施すことが出来る。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を制限しない。本発明で用いた各種物性は、以下の試験方法に基づいて測定した。
(1)定数Aの算出
GPC/FTIR測定より、微多孔膜の分子量M(i)の分布と末端メチル基濃度C(M(i))を求める。M(i)はポリエチレン換算分子量である。C(M(i))は、メチル基に帰属される吸光度I(−CH3)(吸収波数2960cm-1)とメチレン基に帰属される吸光度I(−CH2−)(吸収波数2925cm-1)との比I(−CH3)/ I(−CH2−)である。logM(i)とC(M(i))との相関について、M(i)10万以上100万以下の分子量範囲で最小二乗法直線近似することにより、定数Aは得られる。
C(M(i))=A×log(M(i))+B (A、Bは定数)
なお、GPC/FTIR測定は以下の条件で行った。
【0031】
[装置]
Waters社製 ALC/GPC 150C型
[測定条件]
カラム:昭和電工(株)製AT−807S(1本)と東ソー(株)製GMH−HT6(2本)を直列に接続
移動相:トリクロロベンゼン(TCB)
カラム温度:140℃
流量:1.0ml/分
試料調製:20〜30mgの微多孔膜を、0.1wt%の2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを溶解させたTCB溶液20mlへ140℃に加温して溶解させる。
検出器:パーキンエルマー(株)社製FT−IR 1760X
【0032】
(2)膜厚(μm)
東洋精機製の微小測厚器(タイプKBM)を用いて室温23℃で測定した。
(3)気孔率(%)
10cm×100cm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(cm3 )と質量(g)を求め、それらと膜密度(g/cm3 )より、次式を用いて計算した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
なお、膜密度はASTM−D1505に準拠し、密度勾配管法(23℃)により測定した。
【0033】
(4)透気度(sec)
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精器(株)製G−B2型)により測定した。
(5)突刺強度(N/20μm)
カトーテック製KES−G5ハンディー圧縮試験器を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として生の突刺強度(N)が得られる。これに20(μm)/膜厚(μm)を乗じることにより20μm膜厚換算突刺強度(N/20μm)を算出した。
【0034】
(6)孔閉塞温度(℃)及び破膜温度(℃)
厚さ10μmのニッケル箔を2枚(A、B)用意し、一方のニッケル箔Aを縦15mm、横10mmの長方形部分を残してテフロンテープでマスキングすると共に、他方のニッケル箔Bには測定試料の微多孔膜を置き、微多孔膜の両端をテフロンテープで固定した。
このニッケル箔Bを規定の電解液に浸漬して微多孔膜に電解液を含浸させた後、これらニッケル箔A、Bを張り合わせ2枚のガラス板で両側を押さえた。このようにして作成したニッケル箔電極を25℃のオーブンに入れ200℃まで2℃/minで昇温した。
【0035】
この際のインピーダンス変化を交流1V、1kHzの条件下で測定した。この測定において、インピーダンスが1000Ωに達した時点の温度を孔閉塞温度とした。また、孔閉塞状態に達した後、再びインピーダンスが1000Ωを下回った時点の温度を破膜温度とした。
なお、規定の電解液の組成比は以下の通りである。
溶媒の組成比(体積比):炭酸プロピレン/炭酸エチレン/δ−ブチルラクトン=1/1/2
溶質の組成比:上記溶媒にてLiBF4を1mol/リットルの濃度になるように溶かす
【0036】
(7)100℃収縮率
120mm×120mm角の試料を微多孔膜より切り取り、MD及びTDにそれぞれ3カ所100mm採寸し、採寸したそれぞれの両端に油性ペンで印を付けた。作成した試料は、あらかじめ100℃に設定したオーブンへ速やかに入れた。この時、試料に直接熱風が当たらないよう置く場所に注意した。1時間経過後、試料をオーブンより取り出し、10分以上室温で静置した。その後、MD及びTDで、それぞれ3カ所の印間の長さを読み、平均の印間長さ(LMD、LTD;mm)を求めた。求めた値を以下の式に代入することにより、MD及びTD収縮率を算出した。
MD収縮率(%)=(100−LMD)/100×100
TD収縮率(%)=(100−LTD)/100×100
【0037】
(8)150℃オーブン試験
60×40mm長方形の試料を微多孔膜より▲1▼MDが長手方向、▲2▼TDが長手方向となるようにそれぞれ切り取り、外寸60mm、内寸40mm、厚さ1mmの正方形のSUS枠に、枠内が試料で全て覆われるように中心位置を合わせて置き、試料が枠に重なった部分をテフロン粘着テープで固定することにより、▲1▼MD固定試料、▲2▼TD固定試料を作成した。
作成した試料は、あらかじめ150℃に設定したオーブンへ速やかに入れた。この時、試料に直接熱風が当たらないよう置く場所に注意した。1時間経過後、試料をオーブンより取り出し、状態を観察した。
【0038】
(9)粘度平均分子量Mv
ASTM D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求める。ポリエチレン(ホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン)のMvは次式により算出した。
[η]=6.77×10-4Mv0.67
ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10-4Mv0.80
【0039】
(10)メルトインデックスMI
ASTM D1238に基づき、温度190℃、荷重21.2Nで測定した。
(11)コモノマー含量(モル%)
13C−NMRスペクトルにおいて、コモノマー単位由来のシグナル強度の積分値のモル換算量(A)を、(A)と主モノマー単位由来のシグナル強度の積分値のモル換算量(B)との和で除して得られた値に100を乗じることにより、求めた。
例えば、コモノマーとしてプロピレンを用いたコポリマーポリエチレンの場合、下記の構造モデル(1)
【0040】
【化1】
【0041】
において、I1、I1'、I2、I3、Iα、Iβ、Iγ、Im、及びIMをそれぞれ対応する炭素に由来する13C−NMRスペクトルのシグナル強度とすると、
コモノマー含量(モル%)=(A)/((A)+(B))×100
ここで、
(A)=(I1'+Im+Iα/2)/3、
(B)=(I1+I2+I3+IM+Iα/2+Iβ+Iγ)/2
となるので、末端の炭素由来のシグナル強度I1、I2、及びI3を無視して上式を整理すると、
コモノマー含量(モル%)=Im/(Im+(IM+5Im)/2)×100
となる。
【0042】
【実施例1】
Mv25万のホモポリマーポリエチレン80wt%、Mv25万でプロピレン含量1.3mol%のコポリマーポリエチレン15wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン5wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99.4wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.6wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で充分に置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10―5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0043】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が55wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1400μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度120℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
【0044】
さらに、TDテンター熱固定機に導き、熱固定を行った。熱固定条件は、最大延伸倍率1.4倍、最終延伸倍率1.2倍、最大延伸時設定温度115℃、最終延伸時設定温度127℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、破膜温度、100℃収縮率の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃オーブン試験を実施したところ、MD固定/TD固定共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。以上の測定結果を表1に記載した。また、GPC/FTIRのチャートを図1に示した。
【0045】
【実施例2】
Mv25万のホモポリマーポリエチレン65wt%、Mv25万でプロピレン含量1.3mol%のコポリマーポリエチレン30wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン5wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99.4wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.6wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で充分に置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10―5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0046】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が55wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1300μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度122℃である。
【0047】
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
さらに、TDテンター熱固定機に導き、熱固定を行った。熱固定条件は、最大延伸倍率1.4倍、最終延伸倍率1.3倍、最大延伸時設定温度110℃、最終延伸時設定温度122℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、破膜温度、100℃収縮率の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃オーブン試験を実施したところ、MD固定/TD固定共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。以上の測定結果を表1に記載した。
【0048】
【実施例3】
Mv40万のホモポリマーポリエチレン80wt%、Mv25万でプロピレン含量1.3mol%のコポリマーポリエチレン15wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン5wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99.0wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1.0wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で充分に置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10―5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0049】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が62wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数210rpm、吐出量12kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1400μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度123℃である。
【0050】
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
さらに、TDテンター熱固定機に導き、熱固定を行った。熱固定条件は、最大延伸倍率1.4倍、最終延伸倍率1.2倍、最大延伸時設定温度123℃、最終延伸時設定温度127℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、破膜温度、100℃収縮率の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃オーブン試験を実施したところ、MD固定/TD固定共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。以上の測定結果を表1に記載した。
【0051】
【実施例4】
Mv55万のホモポリマーポリエチレン80wt%、Mv25万でプロピレン含量1.3mol%のコポリマーポリエチレン15wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン5wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99.0wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1.0wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で充分に置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10―5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0052】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が64wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数210rpm、吐出量12kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1420μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度122℃である。
【0053】
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
さらに、TDテンター熱固定機に導き、熱固定を行った。熱固定条件は、最大延伸倍率1.5倍、最終延伸倍率1.3倍、最大延伸時設定温度115℃、最終延伸時設定温度123℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、破膜温度、100℃収縮率の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃オーブン試験を実施したところ、MD固定/TD固定共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。以上の測定結果を表1に記載した。
【0054】
【比較例1】
Mv25万のホモポリマーポリエチレン95wt%とMv40万のホモポリマーポリプロピレン5wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99.7wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素置換を行うことなく、二軸押出機へフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10―5m2/s)を押出機シリンダーにポンプにより注入した。溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が55wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量15kg/hで行った。
【0055】
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1450μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度120℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
【0056】
さらに、TDテンター熱固定機に導き、熱固定を行った。熱固定条件は、最大延伸倍率1.5倍、最終延伸倍率1.3倍、最大延伸時設定温度125℃、最終延伸時設定温度130℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、破膜温度、100℃収縮率の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃オーブン試験を実施したところ、MD固定/TD固定共に、破膜して枠より外れていた。以上の測定結果を表1に記載した。
【0057】
【比較例2】
Mv25万のホモポリマーポリエチレン70wt%、Mv25万でプロピレン含量1.3mol%のコポリマーポリエチレン30wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99.7wt%に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3wt%添加し、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素置換を行うことなく、二軸押出機へフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10―5m2/s)を押出機シリンダーにポンプにより注入した。溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が55wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量15kg/hで行った。
【0058】
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1470μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度121℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
【0059】
さらに、TDテンター熱固定機に導き、熱固定を行った。熱固定条件は、最大延伸倍率1.4倍、最終延伸倍率1.2倍、最大延伸時設定温度108℃、最終延伸時設定温度113℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、破膜温度、100℃収縮率の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃オーブン試験を実施したところ、MD固定/TD固定共に、破膜して枠より外れていた。以上の測定結果を表1に記載した。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、優れた透過性能と高い突刺強度を維持し、熱収縮率が小さく、そして耐熱性と孔閉塞特性を高次元で両立している。それにより、従来の微多孔膜よりも高性能な二次電池を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のGPC/FTIRのチャート図である。
Claims (4)
- 粘度平均分子量が3万〜300万であるホモポリマーポリエチレン、粘度平均分子量が3万〜300万であるコポリマーポリエチレン及び粘度平均分子量が20万〜100万であるポリプロピレンからなる電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜であって、且つポリプロピレンの全膜構成材料に占める割合が1%以上30%未満であり、GPC/FTIRより求められる分子量M(i)の常用対数値と末端メチル基濃度C(M(i))の値との最小二乗法近似直線関係が、M(i)10万以上100万以下の分子量範囲において、
C(M(i))=A×log(M(i))+B (A、Bは定数)
−0.012≦A≦2.0
であることを特徴とする、電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜。 - 破膜温度が185〜300℃であることを特徴とする請求項1記載の電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜。
- 突刺強度が、0.7N/20μm〜20.0N/20μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜。
- 次の(a)〜(e)工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池セパレーター用ポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
(a)ホモポリマーポリエチレン、コポリマーポリエチレン、ポリプロピレン、可塑剤とを、酸化防止剤濃度0.5〜2.0wt%、窒素雰囲気下で溶融混練する工程。
(b)溶融物を押し出し、シート状に成形して冷却固化する工程。
(c)少なくとも一軸方向へ延伸を行う工程。
(d)可塑剤を抽出する工程。
(e)熱固定の工程。
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