JP3995467B2 - ポリオレフィン製微多孔膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用セパレータに適したポリオレフィン製微多孔膜、特にリチウムイオン二次電池用セパレータとして好適に使用されるポリオレフィン製微多孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィンを素材とする微多孔膜は、種々の電池にセパレータとして使用されており、なかでも、ポリエチレン製微多孔膜は、需要が急増しているリチウムイオン二次電池において好適に使用されている。ポリエチレン製微多孔膜は、電子絶縁性に優れる、電解液含浸によりイオン透過性を有する、耐電解液性・耐酸化性に優れる、適度の強度を持っているなどの基本特性に加え、電池異常昇温時に120〜150℃程度の温度において電流を遮断し過度の昇温を抑制する孔閉塞効果を具備しており、これが好適に使用される理由とみられる。
【0003】
しかし、何らかの原因で孔閉塞後も昇温が続く場合、膜を構成する融解したポリエチレンの粘度低下及び膜の収縮により、ある温度で破膜を生じる可能性がある。また、長時間一定高温下での安全性試験、例えば、150℃オーブンでの電池の耐熱テストにおいても、膜を構成する融解したポリエチレンの粘度低下及び膜の収縮により破膜を生じる可能性がある。
本発明者は、先に特願2001−219510において、ポリエチレン及びポリプロピレンからなるポリオレフィン製微多孔膜を提案した。これは、微多孔膜においてポリエチレンとポリプロピレンを特定の組成分布構造とすることにより、従来の微多孔膜に高い破膜温度と優れた150℃オーブン特性を賦与したものである。しかしながら、実際の電池における150℃オーブン試験では、電池内温度は150℃以上に達すると思われ、その場合、先願で提案した微多孔膜では不充分である可能性が考えられた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電池用セパレータ、特にリチウムイオン二次電池用セパレータとして、透過性能及び突刺強度に優れ、低い孔閉塞温度と高い熱破膜温度を有し、高温オーブン特性を大きく改善したポリオレフィン製微多孔膜を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決したものである。即ち、本発明は、
1.粘度平均分子量(Mv)が30万<Mv<60万のポリエチレンと60万≦Mv≦
1000万のポリエチレンとポリプロピレンよりなるポリオレフィン製微多孔膜であり、GPC/FTIRより求められる分子量M(i)の常用対数値と末端メチル基濃度C(M(i))の値との最小二乗法近似直線関係が、M(i)10万以上100万以下の分子量範囲において、
C(M(i))=A×log(M(i))+B
(A、Bは定数)
−0.012≦A≦1.0
であることを特徴とする、ポリオレフィン製微多孔膜。
2.ポリプロピレンのMvが、15万≦Mv≦70万であることを特徴とする、上記1記載のポリオレフィン製微多孔膜。
3.破膜温度が185〜300℃であることを特徴とする上記1又は2記載のポリオレフィン製微多孔膜。
4.突刺強度が、3.5N/20μm〜20.0N/20μmであることを特徴とする、上記1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
5.次の(a)〜(d)工程を含むことを特徴とする、上記1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
(a)ポリエチレンとポリプロピレンと可塑剤とを、酸化防止剤濃度0.5〜2wt%、窒素雰囲気下で溶融混練する工程。
(b)溶融物を押し出し、シート状に成形して冷却固化する工程。
(c)少なくとも一軸方向へ延伸を行う工程。
(d)可塑剤を抽出する工程。
に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳述する。本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、 30万<Mv<60万のポリエチレン(PEA)と60万≦Mv≦1000万のポリエチレン(PEB)とポリプロピレン(PP)よりなり、それらの混合物より形成されていることが好ましく、ポリエチレンが主要マトリクスであることがさらに好ましい。
【0007】
PEAの全膜構成材料に占める割合としては、特に制限はないが、10%以上80%以下が好ましい。PEAの粘度平均分子量は、高温特性の観点から30万より大きいことが必須であり、高温特性及び製膜性の観点から60万より小さいことが必須である。
PEBの全膜構成材料に占める割合としては、特に制限はないが、10%以上80%以下が好ましい。PEBの粘度平均分子量は、高温特性の観点から60万以上であることが必須であり、製膜性の観点から1000万以下であることが必須であり、500万以下であることがさらに好ましい。
【0008】
PPの全膜構成材料に占める割合としては、高温特性の観点から1%以上が好ましく、突刺強度と透気度との物性バランスの観点から30%未満が好ましい。さらに好ましくは、1%以上15%以下である。PPの粘度平均分子量は、高温特性の観点から15万以上であることが好ましく、膜品位の観点から70万以下であることが好ましい。
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の分子量は、ポリエチレン換算の粘度平均分子量で、高温特性の観点から32万以上が好ましく、孔閉塞特性の観点から300万以下が好ましい。より好ましくは35万〜200万である。
【0009】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、GPC/FTIRより求められる分子量M(i)の常用対数値と末端メチル基濃度C(M(i))の値との最小二乗法近似直線関係が、M(i)10万以上100万以下の分子量範囲において、
C(M(i))=A×log(M(i))+B (A、Bは定数)
−0.015≦A≦2.0
である。
【0010】
GPC/FTIR測定で求められる分子量分布と末端メチル基濃度は、いずれも本発明の微多孔膜を構成するポリエチレンとポリプロピレンの合算値となる。分子量M(i)はポリエチレン換算分子量である。末端メチル基濃度C(M(i))は、メチル基に帰属される吸光度I(−CH3)(吸収波数2960cm-1とメチレン基に帰属される吸光度I(−CH2−)(吸収波数2925cm-1)との比I(−CH3)/ I(−CH2−)とする。ここで、C(M(i))は全ポリマーの側鎖末端のメチル基と主鎖末端のメチル基との和となるが、ポリプロピレンにおける側鎖メチル基のC(M(i))への影響度合いは大きいため、M(i)とC(M(i))との相関より、膜中のポリプロピレンの分子量分布を判断することが出来る。
【0011】
本発明では、C(M(i))のlogM(i)との最小二乗法近似直線関係において定数Aが−0.015以上2.0以下にあることが必須であり、好ましくは−0.012以上1.0以下、より好ましくは0以上0.5以下である。定数Aが−0.015より小さいことは、膜中において、ポリプロピレンの低分子量成分がポリプロピレンの高分子量成分と比較して非常に多いことを意味しており、この場合、本発明の優れた効果は発現されない。定数Aが2.0を越える微多孔膜を得ることは実質上困難である。
【0012】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、特願2001−219510で得られた技術を、低分子量成分が少なく分子量分布が広い系に適用することにより、高温特性をさらに改善することが可能となった。
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の厚みは、膜強度の観点より3μm以上が好ましく、透気度の観点より100μm以下が好ましい。より好ましくは5〜50μmである。
【0013】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜の気孔率は、電池セパレータとして使用される場合の電解液含浸性の観点から20%以上が好ましく、膜強度の観点から80%以下が好ましい。より好ましくは30〜70%である。
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の透気度は、イオン透過性の観点から1〜2000secであることが好ましく、80〜1000secがさらに好ましい。
【0014】
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の突刺強度は、0.7〜20.0N/20μmが好ましく、3.5〜20.0N/20μmがさらに好ましい。突刺強度が低いと、電池セパレータとして使用される場合、電極材等の鋭利部が微多孔膜に突き刺さり、ピンホールや亀裂が発生しやすくなるので、突刺強度は高い方が好ましい。
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の孔閉塞温度は、電池組立時の熱乾燥工程及び電池の通常使用状態での孔閉塞防止の観点より120℃以上が好ましく、電池異常反応時の孔閉塞性の観点より150℃以下が好ましい。より好ましくは130〜150℃である。
【0015】
本発明におけるポリオレフィン製微多孔膜の破膜温度は185〜300℃である。高い破膜温度を有することにより、本発明の微多孔膜を組み込んだ電池では、異常昇温を著しく低減できると考えられる。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、MD(微多孔膜の長手方向であり、すなわち機械方向)を固定した状態及びTD(機械方向に垂直な方向)を固定した状態で、150℃及び155℃オーブン中に1時間おいた後でも、破膜しないことを特徴とする。これにより、本発明の微多孔膜を組み込んだ電池のオーブン安全性は、従来より著しく向上すると考えられる。
【0016】
次に、本発明の微多孔膜の製造方法の例を説明する。
本発明の微多孔膜は、特願2001−219510で提案した工程により得ることができる。
本発明の微多孔膜は、例えば、以下の(a)〜(d)の工程を含む方法により得られる。
(a)ポリエチレン、ポリプロピレン、可塑剤、及び酸化防止剤を窒素雰囲気下で溶融混練する工程。
(b)溶融物を押し出し、シート状に成形して冷却固化する工程。
(c)少なくとも一軸方向へ延伸を行う工程。
(d)可塑剤を抽出する工程。
【0017】
これらの工程の順序及び回数については特に制限はないが、(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程の順序、 (a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(c)工程の順序、或いは(a)工程→(b)工程→(d)工程→(c)工程の順序が好ましく、 (a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程の順序、 (a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(c)工程の順序がさらに好ましい。
【0018】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜を構成するポリエチレン(PEA、PEB)としては、それぞれ1種類或いは複数のポリエチレンを使用することが出来、またホモポリマーポリエチレン及びコポリマーポリエチレンのいずれも使用可能である。コポリマーポリエチレンを使用する場合、使用する全ポリエチレンにおけるコモノマー(エチレン以外のα−オレフィンコモノマーを指す)含量は2モル%以下であることが好ましい。コモノマーの種類には特に制限はない。使用するポリエチレンの重合触媒には特に制限はない。また、使用するポリエチレンの重合方法として、一段重合、二段重合、もしくはそれ以上の多段重合等があるが、いずれの方法のポリエチレンも使用可能である。
【0019】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜を構成するポリプロピレンとしては、1種類或いは複数のポリプロピレンを使用することが出来る。使用するポリプロピレンとしては、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレンが挙げられるが、使用する全ポリプロピレンにおけるコモノマー(通常はエチレン)含量は1モル%以下であることが好ましく、ホモポリマーポリプロピレンであることが好ましい。使用するポリプロピレンの重合触媒には特に制限はない。
【0020】
酸化防止剤の濃度は、0.3〜3.0wt%が好ましく、0.5〜2.0wt%がさらに好ましい。
酸化防止剤としては、1次酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤が好ましく、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。なお、2次酸化防止剤である、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、ジラウリル−チオ−ジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤も、必要に応じてフェノール系酸化防止剤と併用して追加使用することが出来る。
【0021】
また、必要に応じて、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料等の公知の添加剤も、製膜性を損なうことなく、そして本発明の要件及び効果を損なわない範囲で混合して使用することが出来る。
さらに、ポリエチレン及びポリプロピレン以外のポリマー材料や他の有機及び無機材料についても、製膜性を損なうことなく、そして本発明の要件及び効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0022】
可塑剤は、ポリエチレン及びポリプロピレンと混合した際に、その融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を指す。例えば、流動パラフィンやパラフィンワックス等の炭化水素類、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジヘプチルフタレートなどが挙げられるが、炭化水素類が好ましい。
可塑剤の(a)工程において溶融混練される全混合物中に占める重量割合は、膜の気孔率の観点から20〜80wt%が好ましく、30〜80wt%がさらに好ましい。
【0023】
(d)工程において使用される抽出溶媒としては、ポリエチレン及びポリプロピレンに対して貧溶媒であり、且つ可塑剤に対しては良溶媒であり、沸点がポリエチレン及びポリプロピレンの融点よりも低いものが望ましい。このような抽出溶媒としては、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等の有機溶媒が挙げられる。この中から適宜選択し、単独もしくは混合して用いられる。
【0024】
(a)工程の溶融混練の方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、一軸押出し機、二軸押出し機等のスクリュー押出し機、ニーダー、バンバリーミキサー等により溶融混練させる方法が挙げられる。溶融混練する方法としては、連続運転可能な押出し機が好ましく、二軸押出し機が混練性に優れる点でさらに好ましい。可塑剤は、上記ヘンシェルミキサー等で原料ポリマーと混合しても良く、また、溶融混練時に押出し機に直接フィードしても良い。
【0025】
溶融混練時の温度は、均一な混練物を得るために160℃以上が好ましく、本発明の微多孔膜の要件を満たすために300℃以下が好ましい。より好ましくは180〜250℃である。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜を得るため、溶融混練工程では、高濃度の酸化防止剤を配合し窒素雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、構成材料のポリプロピレン及びポリエチレンの劣化は防止され、本発明の要件は満たされ、優れた高温特性を賦与することが可能となる。
【0026】
次に、(b)工程のシート成形方法としては、例えば、T−ダイを装着した押出し機より溶融物を押出し、冷却することによって得る方法が挙げられる。
冷却方法としては、冷風や冷却水等の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等が挙げられるが、冷媒で冷却したロールに接触させる方法が厚み制御が優れる点で好ましい。
【0027】
(c)工程の延伸方法としては、例えば、一軸延伸機による延伸や、同時二軸延伸機による延伸により行うことができる。(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程の順序で製造する場合の延伸条件、及び(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(c)工程の順序で製造する場合の最初の延伸工程の延伸条件としては、延伸倍率は面倍率で20倍以上が好ましく、40倍以上がさらに好ましい。延伸温度は100〜135℃が好ましく、110〜130℃がさらに好ましい。
【0028】
(d)の抽出工程では、前記の抽出溶媒に浸漬することにより全可塑剤を抽出し、その後充分に乾燥させる。抽出により、膜中の可塑剤残量を1wt%未満とすることが好ましい。
以上の工程を経て得られたポリオレフィン製微多孔膜は、さらに、収縮低減のため熱固定処理を行うことが好ましい。熱固定処理を行うことにより、高温雰囲気下での膜の収縮を低減することが出来る。熱固定は、例えばTDテンターにより、100〜135℃程度の温度範囲でTD方向の応力を緩和させることにより施すことが出来る。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、電子線照射、プラズマ照射、界面活性剤塗布、化学的改質などの表面処理を必要に応じ施すことが出来る。
【0029】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を制限しない。本発明で用いた各種物性は、以下の試験方法に基づいて測定した。
(1)定数Aの算出
GPC/FTIR測定より、微多孔膜の分子量M(i)の分布と末端メチル基濃度C(M(i))を求める。M(i)はポリエチレン換算分子量である。C(M(i))は、メチル基に帰属される吸光度I(−CH3)(吸収波数2960cm-1)とメチレン基に帰属される吸光度I(−CH2−)(吸収波数2925cm-1)との比I(−CH3)/ I(−CH2−)である。logM(i)とC(M(i))との相関について、M(i)10万以上100万以下の分子量範囲で最小二乗法直線近似することにより、定数Aは得られる。
C(M(i))=A×log(M(i))+B (A、Bは定数)
【0030】
なお、GPC/FTIR測定は以下の条件で行った。
[装置]
Waters社製 ALC/GPC 150C型
[測定条件]
カラム:昭和電工(株)製AT−807S(1本)と東ソー(株)製GMH−HT6(2本)を直列に接続
移動相:トリクロロベンゼン(TCB)
カラム温度:140℃
流量:1.0ml/分
試料調製:20mgの微多孔膜を、0.1wt%の2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを溶解させたTCB溶液20mlへ140℃に加温して溶解させる。
検出器:パーキンエルマー(株)社製FT−IR 1760X
【0031】
(2)膜厚(μm)
東洋精機製の微小測厚器(タイプKBM)を用いて室温23℃で測定した。
(3)気孔率(%)
10cm×10cm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(cm3 )と質量(g)を求め、それらと膜密度(g/cm3 )より、次式を用いて計算した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
なお、膜密度はASTM−D1505に準拠し、密度勾配管法(23℃)により測定した。
【0032】
(4)透気度(sec)
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精器(株)製G−B2型)により測定した。
(5)突刺強度(N/20μm)
カトーテック製KES−G5ハンディー圧縮試験器を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として生の突刺強度(N)が得られる。これに20(μm)/膜厚(μm)を乗じることにより20μm膜厚換算突刺強度(N/20μm)を算出した。
【0033】
(6)孔閉塞温度(℃)及び熱破膜温度(℃)
厚さ10μmのニッケル箔を2枚(A、B)用意し、一方のニッケル箔Aを縦15mm、横10mmの長方形部分を残してテフロン(登録商標)製テープでマスキングすると共に、他方のニッケル箔Bには測定試料の微多孔膜を置き、微多孔膜の両端をテフロン(登録商標)製テープで固定した。
このニッケル箔Bを規定の電解液に浸漬して微多孔膜に電解液を含浸させた後、これらニッケル箔A、Bを張り合わせ2枚のガラス板で両側を押さえた。このようにして作成したニッケル箔電極を25℃のオーブンに入れ200℃まで2℃/minで昇温した。
【0034】
この際のインピーダンス変化を交流1V、1kHzの条件下で測定した。この測定において、インピーダンスが1000Ωに達した時点の温度を孔閉塞温度とした。また、孔閉塞状態に達した後、再びインピーダンスが1000Ωを下回った時点の温度を熱破膜温度とした。
【0035】
なお、規定の電解液の組成比は以下の通りである。
溶媒の組成比(体積比):炭酸プロピレン/炭酸エチレン/δ−ブチルラクトン=1/1/2
溶質の組成比:上記溶媒にてLiBF4を1mol/リットルの濃度になるように溶解させる。
【0036】
(7)150℃及び155℃オーブン試験
60×40mm長方形の試料を微多孔膜より▲1▼MDが長手方向、▲2▼TDが長手方向となるようにそれぞれ切り取り、外寸60mm、内寸40mm、厚さ1mmの正方形のSUS枠に、枠内が試料で全て覆われるように中心位置を合わせて置き、試料が枠に重なった部分をテフロン粘着テープで固定することにより、▲1▼MD固定試料、▲2▼TD固定試料を作成した。
作成した試料は、あらかじめ150℃及び155℃に設定したオーブンへ速やかに入れた。この際、試料に直接熱風が当たらないよう防風板を設置した。1時間経過後、試料をオーブンより取り出し、状態を観察した。
【0037】
(8)粘度平均分子量Mv
ASTM D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求める。ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=6.77×10-4Mv0.67
ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10-4Mv0.80
【0038】
【実施例1】
Mv40万のホモポリマーポリエチレン52wt%、Mv70万のホモポリマーポリエチレン45wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン3wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0039】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が63wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度220℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1600μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度122℃である。
【0040】
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
さらに、TDテンターに導き、延伸及び熱固定を行った。設定延伸倍率は1.5倍、設定熱固定温度は129℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、熱破膜温度の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃及び155℃オーブン試験を実施したところ、いずれのMD固定試料/TD固定試料共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。以上の測定結果を表1に記載した。
【0041】
【実施例2】
Mv40万のホモポリマーポリエチレン45wt%、Mv90万のホモポリマーポリエチレン51wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン4wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0042】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が65wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度220℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1550μmのゲルシートを得た。
【0043】
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度123℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
さらに、TDテンターに導き、延伸及び熱固定を行った。設定延伸倍率は1.5倍、設定熱固定温度は128℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、熱破膜温度の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃及び155℃オーブン試験を実施したところ、いずれのMD固定試料/TD固定試料共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。以上の測定結果を表1に記載した。
【0044】
【実施例3】
Mv40万のホモポリマーポリエチレン34wt%、Mv200万のホモポリマーポリエチレン60wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン6wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0045】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が66wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度230℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1520μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度125℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
【0046】
さらに、TDテンターに導き、延伸及び熱固定を行った。設定延伸倍率は1.6倍、設定熱固定温度は129℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、熱破膜温度の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃及び155℃オーブン試験を実施したところ、いずれのMD固定試料/TD固定試料共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。以上の測定結果を表1に記載した。
【0047】
【実施例4】
Mv55万のホモポリマーポリエチレン71wt%、Mv300万のホモポリマーポリエチレン20wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン9wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0048】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が70wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度230℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量15kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1700μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度125℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
【0049】
さらに、TDテンターに導き、延伸及び熱固定を行った。設定延伸倍率は1.3倍、設定熱固定温度は129℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、熱破膜温度の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。さらに、150℃及び155℃オーブン試験を実施したところ、いずれのMD固定試料/TD固定試料共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。以上の測定結果を表1に記載した。
【0050】
【比較例1】
Mv20万のホモポリマーポリエチレン95wt%とMv40万のホモポリマーポリプロピレン5wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0051】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が50wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度220℃、スクリュー回転数160rpm、吐出量12kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1050μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度118℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
【0052】
さらに、TDテンターに導き、延伸及び熱固定を行った。設定延伸倍率は1.5倍、設定熱固定温度は128℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、熱破膜温度の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。150℃オーブン試験では、 MD固定試料/TD固定試料共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。155℃オーブン試験では、 MD固定試料/TD固定試料共に、破膜して枠より外れていた。以上の測定結果を表1に記載した。
【0053】
【比較例2】
Mv40万のホモポリマーポリエチレン95wt%とMv40万のホモポリマーポリプロピレン5wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出し機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出し機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0054】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が60wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量12kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1250μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度121℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
【0055】
さらに、TDテンターに導き、延伸及び熱固定を行った。設定延伸倍率は1.5倍、設定熱固定温度は127℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、熱破膜温度の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。150℃オーブン試験では、 MD固定試料/TD固定試料共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。155℃オーブン試験では、 MD固定試料/TD固定試料共に、破膜して枠より外れていた。以上の測定結果を表1に記載した。
【0056】
【比較例3】
Mv53万のホモポリマーポリエチレン95wt%とMv40万のホモポリマーポリプロピレン5wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出し機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0057】
溶融混練し押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比は65wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数210rpm、吐出量12kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み950μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度121℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
【0058】
さらに、TDテンターに導き、延伸及び熱固定を行った。設定延伸倍率は1.5倍、設定熱固定温度128℃である。
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、熱破膜温度の測定を行った。なお、膜密度は0.97であった。150℃オーブン試験では、 MD固定試料/TD固定試料共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。155℃オーブン試験では、 MD固定試料/TD固定試料共に、破膜して枠より外れていた。以上の測定結果を表1に記載した。
【0059】
【比較例4】
Mv20万のホモポリマーポリエチレン70wt%、Mv300万のホモポリマーポリエチレン27wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン3wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0060】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が70wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度230℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量15kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1700μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度124℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
さらに、TDテンターに導き、延伸及び熱固定を行った。設定延伸倍率は1.3倍、設定熱固定温度は129℃である。
【0061】
得られた微多孔膜について、GPC/FTIRの測定を行い、定数Aを算出した。また、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、孔閉塞温度、熱破膜温度の測定を行った。膜密度は0.97であった。なお、得られた微多孔膜の表面は、他の例には認められなかったざらつきがあり、未溶融物が若干存在すると思われる。150℃オーブン試験では、 MD固定試料/TD固定試料共に、非固定方向への幾分かの収縮は見られたが、破膜は生じていなかった。155℃オーブン試験では、 MD固定試料/TD固定試料共に、破膜して枠より外れていた。以上の測定結果を表1に記載した。
【0062】
【比較例5】
Mv90万のホモポリマーポリエチレン48wt%、Mv300万のホモポリマーポリエチレン48wt%、Mv40万のホモポリマーポリプロピレン4wt%をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
【0063】
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が70wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度230℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量15kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度30℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1500μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を試みたが、チャック付近より破れ、膜を得ることはできなかった。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、透過性能及び突刺強度に優れ、低い孔閉塞温度と高い熱破膜温度を有し、高温オーブン特性が非常に優れている。それにより、従来の微多孔膜よりも高性能な二次電池を得ることが可能である。
Claims (5)
- 粘度平均分子量(Mv)が30万<Mv<60万のポリエチレンと60万≦Mv≦1000万のポリエチレンとポリプロピレンよりなるポリオレフィン製微多孔膜であり、GPC/FTIRより求められる分子量M(i)の常用対数値と末端メチル基濃度C(M(i))の値との最小二乗法近似直線関係が、M(i)10万以上100万以下の分子量範囲において、
C(M(i))=A×log(M(i))+B
(A、Bは定数)
−0.012≦A≦1.0
であることを特徴とする、ポリオレフィン製微多孔膜。 - ポリプロピレンのMvが、15万≦Mv≦70万であることを特徴とする、請求項1記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- 破膜温度が185〜300℃であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- 突刺強度が、3.5N/20μm〜20.0N/20μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- 次の(a)〜(d)工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
(a)ポリエチレンとポリプロピレンと可塑剤とを、酸化防止剤濃度0.5〜2wt%、窒素雰囲気下で溶融混練する工程。
(b)溶融物を押し出し、シート状に成形して冷却固化する工程。
(c)少なくとも一軸方向へ延伸を行う工程。
(d)可塑剤を抽出する工程。
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