JP4697023B2 - プレス不良判定方法、プレス不良判定システム及びプレス成形装置 - Google Patents

プレス不良判定方法、プレス不良判定システム及びプレス成形装置 Download PDF

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本発明は、プレス成形装置にて被加工素材を成形加工する際に生じる割れやくびれ等のプレス不良を検出する技術に関する。
一般的にプレス成形加工は、一秒に数枚程度の処理速度で行われることが多いため、この非常に短い加工時間の現象を正確に捉えることは非常に難しい。このため、被加工素材を成形加工する際に該被加工素材に生じる割れやくびれ等のプレス不良は、真因追求や、再発防止対策が実現できていない課題の一つである。
被加工素材が塑性変形や破壊する際に,被加工素材内にひずみの形で蓄えられていたエネルギーが弾性波(音波)の形で放出される現象(アコースティック・エミッション)が生じる。以下、アコースティック・エミッションにより発生する弾性波を『AE波』と記載する。
特に、成形加工時に被加工素材に割れが発生すると、通常よりも高レベルのエネルギーが放出される。よって、成形加工時にAE波を検出することによって、被加工素材の割れを検出することが可能である。
そこで、特許文献1では、成形加工時に被加工素材に割れが発生した場合に、放出される高レベルのエネルギー(異常信号)をリアルタイムで検出し、割れ発生の有無の判定を行うために、被加工素材からの加工割れ状態を検出するアコースティック・エミッションセンサ(以下、AEセンサと記載する)などの割れ発生検出手段を内蔵したプレス加工装置が提案されている。この技術によれば、成形加工時にインラインでリアルタイムに全ての被加工素材に対してプレス不良発生の有無の判定を行うことが理論的に可能となる。
しかし、AEセンサは音響センサであるので、該AEセンサの検出信号には、被加工素材から発生するAE波の他に、プレス成形装置から発生する機械音等に基づく弾性波等の外乱要因が含まれる。このようなAEセンサの検出信号を解析し、評価するにあたって、被加工素材から発生したAE波を明確に区別して、割れを確実に検出することは困難であった。
特開平4−75800号公報
そこで、本発明では、プレス成形装置から発される機械音等の外乱の影響を受けずに、成形加工において被加工素材に割れやくびれ等のプレス不良が発生したことを、確実に検出することを可能とする、プレス不良検出のための技術を提案する。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサにて被加工素材に近接する位置で検出するとともに、第二のAEセンサにて第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出し、これらの弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形及び第二のAE波形を取得する工程と、前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出する工程と、前記第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、予め設定された良品形成時に得られる第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較することによって、プレス不良の有無を判定する工程とを、含むプレス不良検出方法である。
請求項2においては、プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサにて被加工素材に近接する位置で検出するとともに、第二のAEセンサにて第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出し、これらの弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形及び第二のAE波形を取得する工程と、前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された複数の時間領域について算出する工程と、ある時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、その他の時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較することによって、プレス不良の有無を判定する工程とを、含むプレス不良検出方法である。
請求項3においては、前記第一のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型における被加工素材に近接する位置に設け、前記第二のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型の外側に配置される外型に設けるものである。
請求項4においては、プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、被加工素材に近接する位置で検出する第一のAEセンサを備え、該第一のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形を得る第一のAE測定手段と、プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出する第二のAEセンサを備え、該第二のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第二のAE波形を得る第二のAE測定手段と、前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出するAEエネルギー算出手段と、前記第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、予め設定された良品形成時に得られる第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較する比較演算手段と、前記比較演算結果に基づいて、プレス不良の有無を判定する判定手段とを、含むプレス不良検出システムである。
請求項5においては、プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、被加工素材に近接する位置で検出する第一のAEセンサを備え、該第一のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形を得る第一のAE測定手段と、プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出する第二のAEセンサを備え、該第二のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第二のAE波形を得る第二のAE測定手段と、前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出するAEエネルギー算出手段と、ある時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、その他の時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較する比較演算手段と、前記比較演算結果に基づいて、プレス不良の有無を判定する判定手段とを、含むプレス不良検出システムである。
請求項6においては、前記第一のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型における被加工素材に近接した位置に設け、前記第二のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型の外側に配置される外型に設けるものである。
請求項7においては、請求項4〜請求項6の何れか一項に記載のプレス不良検出システムを備えたプレス成形装置である。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明によれば、被加工素材から発生するAE波を主に計測した第一のAEエネルギー値と、被加工素材から発生するAE波とプレス成形装置の機械音等の弾性波とを計測した第二のAEエネルギー値との比に基づいて、プレス不良の有無を判定するので、外乱要因から発される弾性波の影響を受けることなく、被加工素材から発生するAE波の変化を評価することができるので、製品形状の大小や複雑さに関係なく、また、複雑な評価手法や解析手法を用いずに、割れ、くびれ又は減肉等のプレス不良を、検出することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施例に係るプレス不良検出システムの構成を示す図、図2はプレス加工装置の全体的な構成を示す図、図3はプレス不良判定システムのブロック図である。
図4はAEエネルギーを説明する図、図5は計測される第一AE波形と第二AE波形の一例を示す図である。
図6はプレス不良検出システムによるプレス不良検出の流れ図である。
本発明は、成形加工時に発生するアコースティック・エミッションを利用して、割れやくびれ等のプレス不良を成形加工時に検出する技術である。
ここで、『AE(アコースティック・エミッション)』とは、亀裂の発生や伸展などといった被加工素材の破壊に伴って、被加工素材内にひずみの形で蓄えられていたエネルギーが振動や音波などの弾性波(音波)の形で放出される現象のことをいう。
そして、このAEにより生じる弾性波を『AE波』と記載する。
〈プレス加工装置10〉
図1に示すように、本発明の実施例に係るプレス不良検出システム11は、プレス加工装置10に備えられる。プレス加工装置10の構成は本実施例に限定されるものではなく、広く一般のプレス加工装置とすることができる。
前記プレス加工装置10は、図2(a)に示すように、ダイホルダ21に保持されたダイス20と、ポンチホルダ25に保持されたポンチ22と、被加工素材9の周囲を押さえ込むための押圧板24と、前記ポンチ22及び前記押圧板24の駆動装置40と、該駆動装置40の駆動を制御する演算制御装置28等で構成される。
前記ダイス20とポンチ22とによりプレス型が形成され、前記ダイホルダ21とポンチホルダ25とによりプレス型の外側に配置される外型が形成される。
前記駆動装置40には、駆動手段として油圧シリンダ41が備えられ、該油圧シリンダ41の伸縮するシリンダロッド42の端部には、押圧板24が端部に固設された押出棒44を備えた押出板43等が接続される。前記押出棒44は、コイルバネ45とポンチホルダ25とに遊挿される。
上記構成のプレス加工装置10では、図2(b)に示すように、シリンダロッド42の伸長に伴って移動する押出板43に押し出されて、押圧板24及びポンチ22がダイス20に対して近接する方向に移動する。やがて、ポンチ22と押圧板24とは略同時に被加工素材9に当接するが、押圧板24とダイス20との間で被加工素材9が挟持されたのちは、押出棒44に外嵌されたコイルバネ45が縮み、ポンチ22のみがダイス20に近接する方向に移動して、被加工素材9が型押しされる。
〈プレス不良検出システム11〉
上記構成のプレス加工装置10に備えられるプレス不良検出システム11は、図1及び図3に示すように、第一AE測定装置13と、第二AE測定装置14と、演算制御装置15とで構成される。
各AE測定装置13・14には、それぞれ、AEを検出するアコースティック・エミッションセンサ(以下、『AEセンサ31・32』と記載する)と、AEセンサ31・32の検出信号を増幅するアンプ34・36と、AEセンサ31・32にて検出されたAE信号を時系列解析してAE波を得るアコースティック・エミッション解析手段(以下、『AE解析手段35・37』と記載する)とが備えられる。
上記第一AE測定装置13に具備される第一AEセンサ31は、プレス型で成形される被加工素材9に近接する位置で弾性波を検出するように設けられる。なお、被加工素材9に近接する位置とは、被加工素材9に直接接する位置および被加工素材9の近傍位置の両方を含むものである。
本実施例においては、前記第一AEセンサ31は、プレス成形装置10のプレス型に内装されており、被加工素材9に接する位置に配置されている。図2(a)に示す例では、プレス型を構成するポンチ22の内部に、第一AEセンサ31及びこの配線を設けるための空間が形成され、該第一AEセンサ31は被加工素材9と直接接する位置に配置される。
上述のように、第一AEセンサ31を被加工素材9に接するように配置することで、該第一AEセンサ31の検出信号は、被加工素材9を伝播する弾性波(AE波)を主に捉えて、外乱要因を除くことができるので、望ましい。
但し、プレス型の構造や被加工素材9の材質や形状により、第一AEセンサ31を被加工素材9に接するように配置することが困難となる場合もある。このようなときには、プレス加工装置10を伝播する外乱を含む音波を多少含んでも、被加工素材9を伝播する弾性波(AE波)を主に捉えることのできる位置に、第一AEセンサ31が配置される。例えば、被加工素材9に直接接触させることができない場合は、薄板やウエーブガイドを介して第一AEセンサ31を配置したり、ダイス20又はポンチ22における被加工素材9に近接する位置に第一AEセンサ31を配置したりすることができる。
一方、上記第二AE測定装置14に具備される第二AEセンサ32は、被加工素材9を含むプレス成形装置10から発される弾性波を検出するように設けられる。つまり、第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で、成形加工される被加工素材9より発されるAE波と、プレス加工装置10で発生する機械音等の外乱を含めた弾性波とを合わせて検出することが可能な位置に第二AEセンサ32が設けられる。
なお、前記第一AEセンサ31と第二AEセンサ32とで検出される弾性波の減衰を利用してプレス不良の有無の評価を行うために、前記第一AEセンサ31と第二AEセンサ32とは離れた位置に設けられる。
本実施例においては、前記第二AEセンサ32は、プレス成形装置10のプレス型の外側に配置される外型に接して設けられる。図2(a)に示すように、プレス型の外型を構成するポンチホルダ25に接するように第二AEセンサ32が設けられる。なお、同様にプレス型の外型であるダイホルダ21に第二AEセンサ32を設けても良い。
前記第一AEセンサ31、第二AEセンサ32の検出信号は、それぞれ、アンプ34・36を介して、第一AE解析手段35、第二AE解析手段37に伝達される。
これらのAE解析手段35・37では、AEセンサ31・32から受けた検出信号に対して、ノイズ除去のためのフィルタ処理などが施されたうえで、検出された音波の大小が、電気的信号の大小に変換される。この電気的信号の大小を時系列で表すことによって、AEセンサ31・32で検出された音波の大きさの経時変化を、電圧値の経時変化として表したアコースティック・エミッション波形(以下、『AE波形』と記載する)を得ることができる。図4では、AE波形の一例を示している。
上記第一AE解析手段35及び第二AE解析手段37は、何れも、演算制御装置15に電気的に接続され、第一AE解析手段35及び第二AE解析手段37で得られたAE波形は、演算制御装置15に取得される。
以下、第一AE解析手段35にて得られたAE波形を『第一AE波形』、第二AE解析手段37にて得られたAE波形を『第二AE波形』と記載する。
前記演算制御装置15は、本実施例において、制御手段91及び演算手段92としてのCPUと、記憶手段93としてのハードディスクやメモリと、入力手段94としてのキーボードやマウスと、及び出力手段95としてのモニタやプリンタ等とを含む、汎用的な電子計算機90として構成される。
但し、演算制御装置15は、制御手段91、演算手段92及び記憶手段93を少なくとも備える専用装置として構成することもできる。
前記演算制御装置15の演算手段92は、AEエネルギー算出部92a、比較演算部92b、判定部92cとして機能する。また、前記記憶手段93には、演算手段92に上記各機能を実現させるためのプログラムや、プレス不良検出方法を実行するためのプログラムや、パラメータ等が格納される。
前記AEエネルギー算出部92a、比較演算部92b、及び判定部92cの機能については、後述する。
〈プレス不良検出方法〉
続いて、プレス不良検出方法について説明する。
本プレス不良検出方法では、例えば、図4に示すように、AE波形の積分値であるアコースティック・エミッションエネルギー(以下、『AEエネルギー』と記載する)を、予め設定された単数又は複数の時間領域ごとに算出する。
なお、設定される時間領域は、被加工素材9の加工形状に応じて連続的に定めたり、特にプレス不良が頻発する時間領域のみを断続的に定めたりすることができる。例えば、成形加工において、曲げる時間領域、直線的に伸展させる時間領域等、被加工素材9に与える変形に基づいて時間領域を設定することができる。
このように、AEエネルギーを評価する時間領域を任意に設定することにより、効率的に評価を行うことができる。
そして、上述の第一AE波のAEエネルギー値(以下、『第一AEエネルギー値』と記載する)と、第二AE波のAEエネルギー値(以下、『第二AEエネルギー値』と記載する)との比に基づいて、プレス不良の有無を判定する。
音波等の弾性波は、距離に相関した比で伝播及び減衰する。プレス不良が生じた被加工素材9で発生する弾性波(AE波)は、周波数が比較的高く、伝播による減衰が大きい。
一方、装置で発生する機械音等の弾性波は周波数が比較的低く、伝播による減衰が小さい。
従って、プレス不良が発生しなければ、算出されたAEエネルギー値に多少のばらつきがあったとしても、下記[数1]に示すように、第一AEエネルギー値と第二AEエネルギー値との比(第一AEエネルギー値/第二AEエネルギー値)は、ほぼ一定となる。
一方、割れ、くびれ又は減肉等のプレス不良が発生すると、プレス不良に伴って被加工素材9より発されるAE波により、第一AEエネルギー値と第二AEエネルギー値との比が、プレス不良が発生しないときから変化する。つまり、プレス不良が発生すると、第一AEエネルギー値のみが著しく増大するので、下記[数2]に示すように、プレス不良が発生しないときと比較して、第一AEエネルギー値と第二AEエネルギー値との比(第一AEエネルギー値/第二AEエネルギー値)が大きくなる。
そこで、本プレス不良検出方法では、この第一AEエネルギー値と第二AEエネルギー値との比の変化に基づいて、プレス不良を検出する。
本実施例では、演算制御装置15に、下記[数3]に示すように、プレス不良が発生しないとき(良品が形成されたとき)の第一AEエネルギー値と第二AEエネルギー値との比(第一AEエネルギー値/第二AEエネルギー値)の値αを、予め試験的に求めたものを、記憶させておく。
そして、演算制御装置15にて算出された第一AEエネルギー値と、第二AEエネルギー値との比(第一AEエネルギー値/第二AEエネルギー値)を、αで除した値を、評価値εとして求める。なお、プレス不良が発生しない場合には、評価値εはおよそ1となる。
そして、前記評価値εを、予め設定された閾値ε0と比較することによって、プレス不良を検出する。
例えば、図5では、上段に第一AE波形が、下段に第二AE波形が示されている。各時間領域において、算出されるAEエネルギー値はそれぞれ異なるが、エネルギー値の大小の傾向が似ている。つまり、プレス不良の発生に起因するAE波の増大はない。この場合、算出される評価値εは、閾値ε0を超えることはなく、「プレス不良無し」と判定される。
但し、プレス不良の判定手法は上記に限定されるものではなく、算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、予め求めた良品成形時の第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比との、比較演算結果に基づいて、プレス不良の有無を判定する他の手法を採用することができる。
また、計測する時間領域が複数ある場合には、ある時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、その他の時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較することによっても、プレス不良の有無を判定することもできる。
被加工素材9の成形時にAE波が発生するが、プレス不良が発生した際には、著しく大きいAE波が被加工素材9より発されるので、この現象を利用して、プレス不良の有無を判定するのである。この場合、各時間領域について求めた第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比(第一AEエネルギー値/第二AEエネルギー値)のうち、著しく大きい値となるものが有るか否かを比較演算し、著しく大きい値となる時間領域が存在した場合に、プレス不良が発生したと判定することができる。
ここで、上記プレス不良検出システム11に具備される演算制御装置15にて実行されるプレス不良検出の流れについて、図6を用いて説明する。
演算制御装置15が、第一AE解析手段35及び第二AE解析手段37より、第一AE波形及び第二AE波形に関する情報を取得すると(S1)、演算制御装置15のAEエネルギー算出部92aでは、AE波形ごとに、予め設定された各時間領域について、AEエネルギー値が算出される(S2)。
続いて、演算制御装置15の比較演算部92bでは、各時間領域について、前記[数3]に基づいて、評価値εが算出される(S3)。
更に、演算制御装置15の判定部92cでは、算出された各評価値εについて、予め設定された閾値ε0と比較演算される(S4)。
評価値εが閾値ε0以下である場合には(S5のNO)、当該時間領域において、「プレス不良無し」と判断される(S6)。また、評価値εが閾値ε0よりも大きい場合には(S5のYES)、当該時間領域において、「プレス不良有り」と判定される(S7)。
なお、少なくとも一つの時間領域において「プレス不良有り」と判断された場合には、成形加工品に対して、「プレス不良有り」と判定される。
上記判定部92cによる判定結果は、出力手段95にて表示や音声等によって出力される(S8)。
上述のプレス不良検出方法によれば、被加工素材9から発生するAE波を主に計測した第一AEエネルギー値と、被加工素材9から発生するAE波とプレス成形装置10の機械音等の外乱要因から発される弾性波とを計測した第二AEエネルギー値との比に基づいて、プレス不良の有無を判定するので、外乱要因から発される弾性波の影響を受けることなく、被加工素材9から発生するAE波の変化を評価することができる。従って、成形品形状の大小や複雑さに関係なく、また、複雑な評価手法や解析手法を用いずに、割れ、くびれ又は減肉等のプレス不良を、検出することができる。
つまり、算出されたAEエネルギー値のうち、プレス加工装置10の機械音等による外乱要因から発される弾性波の変化に基づくエネルギー値のばらつきを解消して、被加工素材9から発生するAE波の変化に基づくエネルギー値を評価することができる。これにより、プレス不良判定の制度を向上させることができる。
なお、前記第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、他の時間領域において求めた第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較することによってプレス不良の有無を判定する場合には、前記比較演算部92bでは、各時間領域について求めた第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比(第一AEエネルギー値/第二AEエネルギー値)のうち、著しく大きい値となるものが有るか否かを比較演算し、前記判定部92cでは、著しく大きい値となる時間領域が存在した場合に、プレス不良が発生したと判定する。
本発明の実施例に係るプレス不良検出システムの構成を示す図。 プレス加工装置の全体的な構成を示す図。 プレス不良判定システムのブロック図。 AEエネルギーを説明する図。 計測される第一AE波形と第二AE波形の一例を示す図。 プレス不良検出システムによるプレス不良検出の流れ図。
9 被加工素材
10 プレス加工装置
11 プレス不良検出システム
13 第一AE測定装置
14 第二AE測定装置
15 演算制御装置
20 ダイス
22 ポンチ
24 押圧板
25 ポンチホルダ
28 演算制御装置
31 第一AEセンサ
32 第二AEセンサ

Claims (7)

  1. プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサにて被加工素材に近接する位置で検出するとともに、第二のAEセンサにて第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出し、これらの弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形及び第二のAE波形を取得する工程と、
    前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出する工程と、
    前記第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、予め設定された良品形成時に得られる第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較することによって、プレス不良の有無を判定する工程とを、
    含むことを特徴とするプレス不良検出方法。
  2. プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサにて被加工素材に近接する位置で検出するとともに、第二のAEセンサにて第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出し、これらの弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形及び第二のAE波形を取得する工程と、
    前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された複数の時間領域について算出する工程と、
    ある時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、その他の時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較することによって、プレス不良の有無を判定する工程とを、
    含むことを特徴とするプレス不良検出方法。
  3. 前記第一のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型における被加工素材に近接する位置に設け、
    前記第二のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型の外側に配置される外型に設けることを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載のプレス不良検出方法。
  4. プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、被加工素材に近接する位置で検出する第一のAEセンサを備え、該第一のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形を得る第一のAE測定手段と、
    プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出する第二のAEセンサを備え、該第二のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第二のAE波形を得る第二のAE測定手段と、
    前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出するAEエネルギー算出手段と、
    前記第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、予め設定された良品形成時に得られる第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較する比較演算手段と、
    前記比較演算結果に基づいて、プレス不良の有無を判定する判定手段とを、
    含むことを特徴とするプレス不良検出システム。
  5. プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、被加工素材に近接する位置で検出する第一のAEセンサを備え、該第一のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形を得る第一のAE測定手段と、
    プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出する第二のAEセンサを備え、該第二のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第二のAE波形を得る第二のAE測定手段と、
    前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出するAEエネルギー算出手段と、
    ある時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、その他の時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較する比較演算手段と、
    前記比較演算結果に基づいて、プレス不良の有無を判定する判定手段とを、
    含むことを特徴とするプレス不良検出システム。
  6. 前記第一のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型における被加工素材に近接した位置に設け、
    前記第二のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型の外側に配置される外型に設けることを特徴とする、
    請求項4又は請求項5に記載のプレス不良検出システム。
  7. 請求項4〜請求項6の何れか一項に記載のプレス不良検出システムを備えた、
    プレス成形装置。
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