JP2007285949A - プレス不良判定方法、プレス不良判定システム及びプレス成形装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被加工素材9の成形加工時に発生する弾性波を、第一AEセンサ31にて被加工素材9に近接する位置で検出し、第二AEセンサ32にて第一のAEセンサ31よりも被加工素材9から離れた位置で検出し、これらの弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一AE波形及び第二AE波形を取得し、これらのAE波形の積分値である、第一AEエネルギー値及び第二AEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出する。そして、第一AEエネルギー値と第二AEエネルギー値との比と、予め良品について求めた第一AEエネルギー値と第二AEエネルギー値との比とを、比較することによって、プレス不良の有無を判定する。
【選択図】図1
Description
特に、成形加工時に被加工素材に割れが発生すると、通常よりも高レベルのエネルギーが放出される。よって、成形加工時にAE波を検出することによって、被加工素材の割れを検出することが可能である。
図1は本発明の実施例に係るプレス不良検出システムの構成を示す図、図2はプレス加工装置の全体的な構成を示す図、図3はプレス不良判定システムのブロック図である。
図4はAEエネルギーを説明する図、図5は計測される第一AE波形と第二AE波形の一例を示す図である。
図6はプレス不良検出システムによるプレス不良検出の流れ図である。
ここで、『AE(アコースティック・エミッション)』とは、亀裂の発生や伸展などといった被加工素材の破壊に伴って、被加工素材内にひずみの形で蓄えられていたエネルギーが振動や音波などの弾性波(音波)の形で放出される現象のことをいう。
そして、このAEにより生じる弾性波を『AE波』と記載する。
図1に示すように、本発明の実施例に係るプレス不良検出システム11は、プレス加工装置10に備えられる。プレス加工装置10の構成は本実施例に限定されるものではなく、広く一般のプレス加工装置とすることができる。
前記ダイス20とポンチ22とによりプレス型が形成され、前記ダイホルダ21とポンチホルダ25とによりプレス型の外側に配置される外型が形成される。
上記構成のプレス加工装置10に備えられるプレス不良検出システム11は、図1及び図3に示すように、第一AE測定装置13と、第二AE測定装置14と、演算制御装置15とで構成される。
各AE測定装置13・14には、それぞれ、AEを検出するアコースティック・エミッションセンサ(以下、『AEセンサ31・32』と記載する)と、AEセンサ31・32の検出信号を増幅するアンプ34・36と、AEセンサ31・32にて検出されたAE信号を時系列解析してAE波を得るアコースティック・エミッション解析手段(以下、『AE解析手段35・37』と記載する)とが備えられる。
本実施例においては、前記第一AEセンサ31は、プレス成形装置10のプレス型に内装されており、被加工素材9に接する位置に配置されている。図2(a)に示す例では、プレス型を構成するポンチ22の内部に、第一AEセンサ31及びこの配線を設けるための空間が形成され、該第一AEセンサ31は被加工素材9と直接接する位置に配置される。
但し、プレス型の構造や被加工素材9の材質や形状により、第一AEセンサ31を被加工素材9に接するように配置することが困難となる場合もある。このようなときには、プレス加工装置10を伝播する外乱を含む音波を多少含んでも、被加工素材9を伝播する弾性波(AE波)を主に捉えることのできる位置に、第一AEセンサ31が配置される。例えば、被加工素材9に直接接触させることができない場合は、薄板やウエーブガイドを介して第一AEセンサ31を配置したり、ダイス20又はポンチ22における被加工素材9に近接する位置に第一AEセンサ31を配置したりすることができる。
なお、前記第一AEセンサ31と第二AEセンサ32とで検出される弾性波の減衰を利用してプレス不良の有無の評価を行うために、前記第一AEセンサ31と第二AEセンサ32とは離れた位置に設けられる。
これらのAE解析手段35・37では、AEセンサ31・32から受けた検出信号に対して、ノイズ除去のためのフィルタ処理などが施されたうえで、検出された音波の大小が、電気的信号の大小に変換される。この電気的信号の大小を時系列で表すことによって、AEセンサ31・32で検出された音波の大きさの経時変化を、電圧値の経時変化として表したアコースティック・エミッション波形(以下、『AE波形』と記載する)を得ることができる。図4では、AE波形の一例を示している。
以下、第一AE解析手段35にて得られたAE波形を『第一AE波形』、第二AE解析手段37にて得られたAE波形を『第二AE波形』と記載する。
但し、演算制御装置15は、制御手段91、演算手段92及び記憶手段93を少なくとも備える専用装置として構成することもできる。
前記AEエネルギー算出部92a、比較演算部92b、及び判定部92cの機能については、後述する。
続いて、プレス不良検出方法について説明する。
なお、設定される時間領域は、被加工素材9の加工形状に応じて連続的に定めたり、特にプレス不良が頻発する時間領域のみを断続的に定めたりすることができる。例えば、成形加工において、曲げる時間領域、直線的に伸展させる時間領域等、被加工素材9に与える変形に基づいて時間領域を設定することができる。
このように、AEエネルギーを評価する時間領域を任意に設定することにより、効率的に評価を行うことができる。
従って、プレス不良が発生しなければ、算出されたAEエネルギー値に多少のばらつきがあったとしても、下記[数1]に示すように、第一AEエネルギー値と第二AEエネルギー値との比(第一AEエネルギー値/第二AEエネルギー値)は、ほぼ一定となる。
そして、演算制御装置15にて算出された第一AEエネルギー値と、第二AEエネルギー値との比(第一AEエネルギー値/第二AEエネルギー値)を、αで除した値を、評価値εとして求める。なお、プレス不良が発生しない場合には、評価値εはおよそ1となる。
そして、前記評価値εを、予め設定された閾値ε0と比較することによって、プレス不良を検出する。
被加工素材9の成形時にAE波が発生するが、プレス不良が発生した際には、著しく大きいAE波が被加工素材9より発されるので、この現象を利用して、プレス不良の有無を判定するのである。この場合、各時間領域について求めた第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比(第一AEエネルギー値/第二AEエネルギー値)のうち、著しく大きい値となるものが有るか否かを比較演算し、著しく大きい値となる時間領域が存在した場合に、プレス不良が発生したと判定することができる。
評価値εが閾値ε0以下である場合には(S5のNO)、当該時間領域において、「プレス不良無し」と判断される(S6)。また、評価値εが閾値ε0よりも大きい場合には(S5のYES)、当該時間領域において、「プレス不良有り」と判定される(S7)。
なお、少なくとも一つの時間領域において「プレス不良有り」と判断された場合には、成形加工品に対して、「プレス不良有り」と判定される。
上記判定部92cによる判定結果は、出力手段95にて表示や音声等によって出力される(S8)。
10 プレス加工装置
11 プレス不良検出システム
13 第一AE測定装置
14 第二AE測定装置
15 演算制御装置
20 ダイス
22 ポンチ
24 押圧板
25 ポンチホルダ
28 演算制御装置
31 第一AEセンサ
32 第二AEセンサ
Claims (7)
- プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサにて被加工素材に近接する位置で検出するとともに、第二のAEセンサにて第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出し、これらの弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形及び第二のAE波形を取得する工程と、
前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出する工程と、
前記第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、予め設定された良品形成時に得られる第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較することによって、プレス不良の有無を判定する工程とを、
含むことを特徴とするプレス不良検出方法。 - プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサにて被加工素材に近接する位置で検出するとともに、第二のAEセンサにて第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出し、これらの弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形及び第二のAE波形を取得する工程と、
前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された複数の時間領域について算出する工程と、
ある時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、その他の時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較することによって、プレス不良の有無を判定する工程とを、
含むことを特徴とするプレス不良検出方法。 - 前記第一のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型における被加工素材に近接する位置に設け、
前記第二のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型の外側に配置される外型に設けることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載のプレス不良検出方法。 - プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、被加工素材に近接する位置で検出する第一のAEセンサを備え、該第一のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形を得る第一のAE測定手段と、
プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出する第二のAEセンサを備え、該第二のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形を得る第二のAE測定手段と、
前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出するAEエネルギー算出手段と、
前記第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、予め設定された良品形成時に得られる第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較する比較演算手段と、
前記比較演算結果に基づいて、プレス不良の有無を判定する判定手段とを、
含むことを特徴とするプレス不良検出システム。 - プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、被加工素材に近接する位置で検出する第一のAEセンサを備え、該第一のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形を得る第一のAE測定手段と、
プレス成形装置による被加工素材の成形加工時に発生する弾性波を、第一のAEセンサよりも被加工素材から離れた位置で検出する第二のAEセンサを備え、該第二のAEセンサにより検出した弾性波を電気的信号に変換して、弾性波の大きさを電圧値の経時変化として表した第一のAE波形を得る第二のAE測定手段と、
前記第一のAE波形及び第二のAE波形に基づいて、AE波形の積分値である、第一のAEエネルギー値及び第二のAEエネルギー値を、予め設定された単数又は複数の時間領域について算出するAEエネルギー算出手段と、
ある時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比と、その他の時間領域について算出された第一のAEエネルギー値と第二のAEエネルギー値との比とを、比較する比較演算手段と、
前記比較演算結果に基づいて、プレス不良の有無を判定する判定手段とを、
含むことを特徴とするプレス不良検出システム。 - 前記第一のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型における被加工素材に近接した位置に設け、
前記第二のAEセンサは、プレス成形装置のプレス型の外側に配置される外型に設けることを特徴とする、
請求項4又は請求項5に記載のプレス不良検出システム。 - 請求項4〜請求項6の何れか一項に記載のプレス不良検出システムを備えた、
プレス成形装置。
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