JP4695777B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に動作半導体膜を備えてなる半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、液晶表示装置等に搭載される薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTと表す)では、図16に示すような手法を用いてガラス基板上にポリシリコン膜を形成していた。すなわち、ガラス基板上に形成したアモルファスシリコン膜29に、エキシマレーザ30から出力される200×0.6mm程度の大きさの線状の細長いビームを、数十μm程度オーバーラップさせながら一定方向(図中矢印方向)に走査しながら照射して、ポリシリコン膜31を形成していた。この手法は、一般にスキャンアニール法と呼ばれ、大面積を比較的均一に短時間で結晶化できるという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の手法で得られるポリシリコン膜31の結晶粒径は、平均で0.5μm程度、最大でも1μmである。したがって、このような手法で得られたポリシリコン膜29を使用してTFTを製造した場合、移動度は、最大でも200cm2/Vs程度にしかならない。このため、より高性能な駆動回路、演算装置、及びメモリ等を形成するのに十分な移動度が得られないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、移動度が高く、良好な結晶状態の動作半導体膜を容易、且つ、確実に製造することが可能になる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、以下に示す諸態様を備える。
【0006】
本発明は、基板上に第1の半導体膜を形成する第1の工程と、前記第1の半導体膜内の島状にパターニングされた所定領域を、時間に対して連続的に放射される第1の熱エネルギーにより結晶化することにより、前記所定領域の中心部分が前記第1の熱エネルギーの走査方向に結晶化され、且つ、その周辺部分に当該中心部分に向かう欠陥を有する島状の第1の半導体膜を形成する第2の工程と、前記第1の熱エネルギーの放射によって結晶化した島状の第1の半導体膜の中心部分をパターニングによって切り出して良質な半導体膜を形成する第3の工程と、前記良質な半導体膜が覆われるよう前記基板上に第2の半導体膜を形成する第4の工程と、前前記島状の第1の半導体膜を核として前記良質な半導体膜を覆う前記第2の半導体膜に対して時間に対して断続的に放射される第2の熱エネルギーの走査方向結晶を成長させる第の工程とを含み、前記第1の熱エネルギーの走査方向と、前記第2の熱エネルギーの走査方向とが、基板の面方向において直交することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本実施の形態では、半導体装置として薄膜トランジスタを例示し、その構成を製造方法と共に説明する。半導体装置の製造方法を説明するにあたって、先ず、本発明の特徴である薄膜トランジスタの動作半導体膜の形成方法について説明する。
【0013】
図1は、この動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図であり、図2は、概略平面図である。
【0014】
先ず、図1(a)及び図2(a)に示すように、膜厚200nm程度のバッファーSiO2を形成したガラス基板1上に、膜厚100nm程度の半導体膜としてのアモルファスシリコン膜2を例えばプラズマCVD法により形成する。
【0015】
尚、前記半導体膜は、アモルファスシリコン膜2に限らず、例えば多結晶シリコン膜、タングステンシリサイド膜等であってもよい。また、基板は、ガラス基板でなくてもよく、例えば、シリコン単結晶基板、セラミックス基板等であってもよい。
【0016】
続いて、図1(b)及び図2(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程等により、アモルファスシリコン膜2を島状(アイランド状)にパターニングする。 これにより、複数のアイランド状のアモルファスシリコン膜2aが形成される。
【0017】
その後、第1の熱源としての連続発振レーザ(Continuous−wave Laser)であるArレーザ3から出力される出力が7W、ビーム径が200μm程度のレーザビームを、200mm/sec程度の走査速度で、例えば図2(b)の矢印方向に走査させながらアイランド状のアモルファスシリコン膜2aに照射する。
【0018】
尚、上述したArレーザ3の出力、ビーム径及び走査速度は、代表例であり、製造条件によって種々の値とすることができる。
【0019】
前記Arレーザ3から出力されるレーザビームの照射によって溶融したシリコンは、照射領域の周辺部から中心部に向かって凝固していくため、アモルファスシリコン膜2aの中心部分は、Arレーザ3の走査方向に結晶化するが、周辺部分には中心部に向かう欠陥が形成される。
【0020】
そこで、図1(c)及び図2(c)に示すように、前記各アイランド2aの中心部分をパターニングによって切り出して周辺部分の欠陥を除去し、良質なシリコン結晶からなるアイランド状の結晶化シリコン膜2bを形成する。
【0021】
続いて、図1(d)及び図2(d)に示すように、結晶化シリコン膜2bが覆われるよう基板1上面に、膜厚100nm程度の被覆半導体膜としてのアモルファスシリコン膜4を形成する。
【0022】
尚、前記被覆半導体膜は、前記半導体膜と同様、アモルファスシリコン膜に限らず、例えば多結晶シリコン膜、タングステンシリサイド膜等であってもよい。
【0023】
続いて、図1(e)及び図2(e)に示すように、第2の熱源としてのパルスレーザであるエキシマレーザ5から時間に対して断続的に出力される照射エネルギー380mJ/cm2の線状のレーザビームを、走査ステップ1μm以下で、前記Arレーザ3の走査方向に対して略90度の方向(図2(e)の矢印方向)に走査させながらアモルファスシリコン膜4に照射する。これにより、アイランド状の結晶化シリコン膜2bが核となってエキシマレーザ5の走査方向に結晶成長する。
【0024】
尚、本実施形態では、エキシマレーザ5の照射で結晶成長させられる領域が広くなるように、エキシマレーザ5の走査方向を、Arレーザ3の走査方向に対して略90度の方向となるようにしたが、エキシマレーザ5の走査方向は、どのような方向でもよく限定されない。
【0025】
このようにして結晶成長したシリコン膜は、略単結晶状態であり、移動度が400cm2/Vs程度の優れた動作半導体膜6になる。尚、この動作半導体膜6は、後に示すように、回路パターンに従って適宜パターニングして用いられる。
【0026】
ここで、結晶化シリコン膜2bをエキシマレーザ5の走査方向に対して2つ設けたのは、結晶化シリコン膜2bから遠い領域であればあるほど結晶成長過程で欠陥等が形成される確率が高くなるためである。
【0027】
すなわち、本実施形態のように、エキシマレーザ5の走査方向に対して結晶化シリコン膜2bを2つ配置すれば、結晶成長過程で欠陥等が生成される前に次の結晶化シリコン膜2b(結晶核)による結晶成長を起こすことが可能になり、広範囲にわたって略単結晶状態を有する動作半導体膜6を確実に形成することが可能になる。
【0028】
ただし、本実施形態では、エキシマレーザ5の走査方向に対する結晶化シリコン膜2bの配置数が2つの場合を例示したが、結晶化シリコン膜2bの配置数は2つに限らず、形成する動作半導体膜6の大きさ等によって適宜決めればよい。
【0029】
尚、このエキシマレーザ5の照射は、真空中で行うのが好ましい。これは、エキシマレーザ5の照射を大気中等、酸素が存在する雰囲気中で行うと、結晶表面に酸化膜が形成されて表面領域の凹凸が増加し、結晶成長が阻害されるからである。
【0030】
また、エキシマレーザ5を同一箇所に複数回照射しながら走査するのが好ましい。これは、同一箇所に照射する回数が多いほど結晶成長が促進されるからである。
【0031】
ここで、図3を参照しながら、上述のエキシマレーザ5の適正な照射条件(照射エネルギーと走査ステップの関係)について説明する。
図3は、エキシマレーザ5をアモルファスシリコン膜4に照射した時に形成される結晶粒径と照射エネルギーの関係を示した図である。
【0032】
図3に示すように、結晶粒径は、照射エネルギーの増加と共に増大し、照射エネルギーが380mJ/cm2の時に最大値(約1μm)を示した後、急激に減少する。このことから、380mJ/cm2の照射エネルギーでアモルファスシリコン膜4が完全に溶融することが分かる(以下、このエネルギーをしきい値エネルギーと表す)。
【0033】
また、アモルファスシリコン膜4と結晶化シリコン膜2bとでは、結晶化シリコン膜2bの方が溶融温度が高く、しきい値エネルギーを照射した場合、アモルファスシリコン膜4は完全に溶融するが、結晶化シリコン膜2bは完全に溶融しないことが確認できている。
【0034】
したがって、結晶成長を確実に起こすようにするためには、しきい値エネルギー(380mJ/cm2)近くの照射エネルギーが必要になる。
【0035】
また、図3に示すように、エキマレーザ5の照射によって形成される結晶粒径の最大値は1μm程度であるので、エキマレーザ5の照射によって結晶化シリコン膜2bから成長する結晶の大きさも1μm程度になる。
【0036】
したがって、結晶化シリコン膜2bを連続的に成長させるためには、エキシマレーザ5の走査ステップを1μm以下にする必要がある。
【0037】
以上のことから、照射エネルギーが380mJ/cm2、走査ステップが1μm以下の条件でエキシマレーザ5を照射することが最適であることが分かる。ただし、前記照射エネルギーは、厳密に380mJ/cm2でなくてもよく、380mJ/cm2に近い値であればよい。この場合、走査ステップの最大値は図3の曲線に従って小さくなることは言うまでもない。
【0038】
尚、上述したしきい値エネルギーは、膜厚100nm程度のアモルファスシリコン膜4にXeCl(波長308nm)のエキシマレーザ5を使用した場合の値であるが、このしきい値エネルギーは、使用するレーザの種類や波長、半導体膜の膜厚等によって変化するため、その組み合わせに応じて最適なエネルギーを選択するようにする。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、アモルファスシリコン膜2をパターニングして形成したアイランド状のアモルファスシリコン膜2aに、連続発振レーザであるArレーザ3を照射して結晶化シリコン膜2bを形成した後、パルスレーザであるエキシマレーザによって結晶化シリコン膜2bを核とした結晶成長を起こさせるようにしたので、動作半導体膜6は、連続発振レーザであるArレーザ3から出力されるレーザビームだけを使用した場合よりも、広範囲にわたって略単結晶状態になり、且つ、高速駆動の薄膜トランジスタを形成するのに十分な移動度を有するようになる。
【0040】
したがって、例えば、薄膜トランジスタの形成領域が制限されたり、集積度が減少したり、回路設計の自由度が減少したりすることがなくなる。
【0041】
尚、本実施形態では、レーザ3、5を用いて動作半導体膜6を形成する場合について説明したが、アモルファスシリコン膜2、4に熱エネルギーを与えられれば、レーザビームでなくてもよく、例えば、紫外光等であってもよい。
【0042】
次に、本実施形態の動作半導体膜の諸変形例について説明する。
【0043】
(変形例1)
図4は、変形例1における動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図であり、図5は、概略平面図である。尚、上述の実施形態と同一構成のものについては、図1と同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。以下、本例における動作半導体膜の形成方法について説明する。
【0044】
先ず、図4(a)、図5(a)に示すように、上述の実施形態と同様の手法でバッファーSiO2を形成したガラス基板1上に、アモルファスシリコン膜2を形成する。
【0045】
続いて、図4(b)、図5(b)に示すように、アモルファスシリコン膜2上に、フォトリソグラフィ工程等により窒化シリコン膜7のパターンを形成する。
【0046】
その後、Arレーザ3から出力されるレーザビームを、図5(b)の矢印方向に走査させながら窒化シリコン膜7及びアモルファスシリコン層2に照射する。
【0047】
このArレーザ3の照射によって溶融したアモルファスシリコン膜2は、膜2の外縁から上部が窒化シリコン膜7で覆われている領域と覆われていない領域の境界に向かって冷却し凝固する。こうして、アモルファス状態であった上部が窒化シリコン膜7で覆われている領域の中心部に選択的に良質な結晶8が形成される。また、この良質な結晶8の周辺は欠陥の多い結晶9になる。
【0048】
続いて、図4(c)、図5(c)に示すように、窒化シリコン膜7をエッチング等により除去する。
【0049】
続いて、図4(d)、図5(d)に示すように、エキシマレーザ5から出力される照射エネルギー380mJ/cm2の線状のレーザビームを、走査ステップ1μm以下で図5(d)の矢印方向に走査させながらアモルファスシリコン膜2上に照射する。
【0050】
これにより、窒化シリコン膜7の下部に形成された良質な結晶化シリコンが核となってエキシマレーザ5の走査方向に結晶が成長し、移動度が高く、略単結晶状態を有する動作半導体膜10が形成される。
【0051】
尚、この動作半導体膜10は、上述の実施形態と同様、回路パターンに従って適宜パターニングして用いられる(図12参照)。
【0052】
このように、本例では、1回のパターニングで結晶核となる結晶化シリコン膜8を形成できるようになるので、上述の実施形態の効果に加え、製造工程数を減らせ、容易に動作半導体膜10を形成できるという効果がある。
【0053】
尚、本例では、窒化シリコン膜7がArレーザ3からの熱エネルギーを吸収することにより、上部が窒化シリコン膜7で覆われている領域と、覆われていない領域に温度差を生じさせ、上部が窒化シリコン膜7で覆われている領域に結晶核を形成するようにしたが、熱を吸収させることができれば必ずしも窒化シリコン膜7を用いなくてもよく、例えばその他の絶縁体であってもよい。
【0054】
また、アモルファスシリコン膜2の上部が窒化シリコン膜7で覆われている領域と覆われていない領域に温度差を生じさせるようにできれば、断熱体、熱反射体を窒化シリコン膜7の代わりに用いてもよい。
【0055】
さらに、エキシマレーザ5の走査方向に対する結晶化領域の数(窒化シリコン膜7の数)は、上述の実施形態における結晶化シリコン層2bの場合と同様、形成する動作半導体膜10の大きさや用途等によって適宜決められる。
【0056】
(変形例2)
図6は、変形例2における動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図であり、図7は、概略平面図である。尚、上述の実施形態又は変形例1と同一構成のものについては、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。以下、本例における動作半導体膜の形成方法について説明する。
【0057】
先ず、図6(a)、図7(a)に示すように、バッファーSiO2を形成したガラス基板1上に、フォトリソグラフィ工程等により窒化シリコン膜11のパターンを形成した後、窒化シリコン膜11が覆われるようにガラス基板1上にアモルファスシリコン膜2を形成する。
【0058】
続いて、図6(b)、図7(b)に示すように、Arレーザ3から出力されるレーザビームを、図7(b)の矢印方向に走査させながらアモルファスシリコン膜2に照射する。
【0059】
このArレーザ3の照射によって溶融したアモルファスシリコン膜2は、膜2の外縁から、下部に窒化シリコン膜11のある領域とない領域との境界に向かって冷却し凝固する。こうして、下部に窒化シリコン膜11のある領域の中心部に選択的に良質な結晶12が形成される。また、この良質な結晶12の周辺は欠陥の多い結晶13になる。
【0060】
続いて、図6(c)、図7(c)に示すように、エキシマレーザ5から出力される照射エネルギー380mJ/cm2の線状のレーザビームを、走査ステップ1μm以下で図7(c)の矢印方向に走査させながらアモルファスシリコン膜2上に照射する。
【0061】
これにより、窒化シリコン膜11の上部に形成された良質な結晶化シリコンが核となってエキシマレーザ5の走査方向に結晶が成長し、移動度が高く、略単結晶状態を有する動作半導体膜14が形成される。尚、この動作半導体膜14は、上述の実施形態と同様、回路パターンに従って適宜パターニングして用いられる。
【0062】
このように、本例のような手法でも、1回のパターニングで結晶核を生成でき、製造工程数を減らすことが可能になる。
【0063】
尚、エキシマレーザ5の走査方向に対する結晶化領域の数(窒化シリコン膜11の数)は、上述の実施形態における結晶化シリコン層2bの場合と同様、形成する動作半導体膜14の大きさや用途等によって適宜決められる。
【0064】
さらに、上述の変形例1と同様、窒化シリコン膜11とは別の熱吸収体、または断熱体、熱反射体を用いて結晶核を形成してもよい。
【0065】
(変形例3)
図8は、変形例3における動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図であり、図9は、概略平面図である。尚、上述の実施形態又は変形例1、2と同一構成のものについては、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。以下、本例における動作半導体膜の形成方法について説明する。
【0066】
先ず、図8(a)、図9(a)に示すように、凹み部を有するバッファーSiO2を形成したガラス基板1上に、半導体膜としてのアモルファスシリコン膜15を、例えばプラズマCVD法により形成する。このようにして形成されるアモルファスシリコン膜15は、バッファーSiO2の形状に対応した凹み部を有する。
【0067】
続いて、図8(b)、図9(b)に示すように、Arレーザ3から出力されるレーザビームを、図9(b)の矢印方向に走査させながらアモルファスシリコン膜15に照射する。
【0068】
このArレーザ3の照射によって溶融したアモルファスシリコン膜15は、膜15の外縁から、凹み部の開口端に向かって冷却し凝固する。こうして、アモルファス状態であった凹み部の中心部に選択的に良質な結晶16が形成される。また、この良質な結晶16の周辺は欠陥の多い結晶17になる。
【0069】
続いて、図8(c)、図9(c)に示すように、エキシマレーザ5から出力される照射エネルギー380mJ/cm2の線状のレーザビームを、走査ステップ1μm以下で図9(c)の矢印方向に走査させながらアモルファスシリコン膜15上に照射する。
【0070】
これにより、アモルファスシリコン膜15の単結晶化した領域16(図8(c)の凹み部)が核となってエキシマレーザ5の走査方向に結晶が成長し、移動度が高く、略単結晶状態を有する動作半導体膜18が形成される。尚、この動作半導体膜18は、上述の実施形態と同様、回路パターンに従って適宜パターニングして用いられる。
【0071】
このように、本例のような手法でも、1回のパターニングで結晶核を生成でき、製造工程数を減らすことが可能になる。
【0072】
尚、エキシマレーザ5の走査方向に対する結晶化領域の数(アモルファスシリコン膜15の凹み部の数)は、上述の実施形態における結晶化シリコン層2bの場合と同様、形成する動作半導体膜18の大きさや用途等によって適宜決められる。
【0073】
(変形例4)
図10は、変形例3における動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図であり、図11は、概略平面図である。尚、上述の実施形態又は変形例1〜3と同一構成のものについては、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。以下、本例における動作半導体膜の形成方法について説明する。
【0074】
先ず、図10(a)、図11(a)に示すように、上述の変形例1と同様の手法でバッファーSiO2を形成したガラス基板1上に、アモルファスシリコン膜2を形成する。
【0075】
続いて、図10(b)、図11(b)に示すように、金属マスク19をアモルファスシリコン膜2上に翳し、Arレーザ3から出力されるレーザビームを、図11(b)の矢印方向に走査させながらアモルファスシリコン膜2に照射する。これにより、金属マスク19を介してレーザビームが照射された領域(図11(b)の斜線部)の中心部に良質な結晶20が形成される。また、この良質な結晶20の周辺は欠陥の多い結晶21になる。
【0076】
続いて、図10(c)、図11(c)に示すように、エキシマレーザ5から出力される照射エネルギー380mJ/cm2の線状のレーザビームを、走査ステップ1μm以下で図11(c)の矢印方向に走査させながらアモルファスシリコン膜2上に照射する。
【0077】
これにより、アモルファスシリコン膜2の単結晶化した領域20が核となってエキシマレーザ5の走査方向に結晶が成長し、移動度が高く、略単結晶状態を有する動作半導体膜22が形成される。尚、この動作半導体膜22は、上述の実施形態と同様、回路パターンに従って適宜パターニングして用いられる。
【0078】
このように、本例では、金属マスク19のパターニングだけで結晶核を生成でき、製造工程数を減らすことが可能になる。
【0079】
尚、エキシマレーザ5の走査方向に対する結晶化領域の数(金属マスク19のマスクの数)は、上述の実施形態における結晶化シリコン層2bの場合と同様、形成する動作半導体膜22の大きさや用途等によって適宜決められる。
【0080】
以下、上述の如く形成された動作半導体膜を用いたnチャネル薄膜トランジスタの製造例について説明する。図12〜図15、この薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0081】
先ず、図12(a)に示すように、ガラス基板1上に酸化シリコン膜23を介して前述の各手法により形成された動作半導体膜を用意する。ここでは、変形例1により形成された動作半導体膜10を使用した場合を例示する。
【0082】
続いて、図12(b)に示すように、動作半導体膜10上に膜厚120nm程度のゲート酸化膜となるシリコン酸化膜24を例えばPECVD法により形成する。尚、シリコン酸化膜22の形成方法は、PECVD法に限らず、他の手法、例えばLPCVD法又はスパッタリング法等を利用してもよい。
【0083】
続いて、図12(c)に示すように、膜厚300nm程度のアルミニウム膜(又はアルミニウム合金膜)25を例えばスパッタリング法により成膜形成する。
【0084】
続いて、図13(a)に示すように、アルミニウム膜25をフォトリソグラフィ及びそれに続くドライエッチングにより電極形状にパターニングし、ゲート電極25を形成する。
【0085】
続いて、図13(b)に示すように、パターニングされたゲート電極25をマスクとしてシリコン酸化膜24をパターニングし、ゲート電極形状に倣ったゲート酸化膜24を形成する。
【0086】
続いて、図13(c)に示すように、ゲート電極25をマスクとして動作半導体膜10のゲート電極25の両側部位にイオンドープする。具体的には、n型不純物、例えばリン(P)を加速エネルギー10keV、ドープ量5×1015/cm2の条件でドープし、ソース/ドレイン領域を形成する。
【0087】
続いて、図14(a)に示すように、ソース/ドレイン領域のリンを活性化するためにエキシマレーザでレーザビームを照射した後、図14(b)に示すように、全面を覆うように膜厚300nm程度に窒化シリコンを堆積し、層間絶縁膜26を形成する。
【0088】
続いて、図15(a)に示すように、ゲート電極25上、動作半導体膜10のソース/ドレイン領域上をそれぞれ露出させるコンタクトホール27を層間絶縁膜24に開口形成する。
【0089】
続いて、図15(b)に示すように、各コンタクトホール27を埋め込むように、アルミニウム等の金属膜28を形成した後、図15(c)に示すように、金属膜28をパターニングし、それぞれのコンタクトホール27を通じてゲート電極25、動作半導体膜10のソース/ドレイン領域と同通する配線を形成する。
【0090】
しかる後、全面を覆う保護膜の形成等を経て、n型薄膜トランジスタを完成させる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態及びその諸変形例によれば、高い移動度を有する略単結晶状態を有する動作半導体膜を半導体装置の基板上に形成できるようにしたので、集積度が高い高速駆動の薄膜トランジスタを実現することが可能になる。これにより、高性能な液晶ディスプレイ(LCD)表示装置やメモリ、集積回路等を形成することが可能になり、システムオングラスを実現することも可能になる。
【0092】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0093】
(付記1) 基板上に半導体膜を形成する第1の工程と、
前記半導体膜内の所定領域を、時間に対して連続的に放射される第1の熱エネルギーにより結晶化する第2の工程と、
前記結晶化した所定領域内の結晶粒径を、時間に対して断続的に放射される第2の熱エネルギーにより拡大させる第3の工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0094】
(付記2) 前記第3の工程により結晶粒径が拡大した領域の全部または一部を、パターニングにより残存させて動作半導体膜とする第4の工程を含むことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0095】
(付記3) 前記第2の工程は、前記第1の熱エネルギーを放射する第1の熱源を、前記半導体膜に対して走査して前記所定領域を結晶化し、
前記第3の工程は、前記第2の熱エネルギーを放射する第2の熱源を、前記結晶化した所定領域を含むように前記半導体膜に対して走査して前記所定領域内の結晶粒径を拡大させることを特徴とする付記1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記4) 前記第1の熱源の走査方向と、前記第2の熱源の走査方向とが異なることを特徴とする付記3に記載の半導体装置の製造方法。
【0097】
(付記5) 前記所定領域は、前記第2の熱源の走査方向に対して間隔を有して複数あることを特徴とする付記3または4に記載の半導体装置の製造方法。
【0098】
(付記6) 前記第2の熱源は、当該熱源のみを使用して前記第2の熱エネルギーを放射した時に前記半導体膜内に形成される結晶粒径以下の間隔で走査することを特徴とする付記3〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0099】
(付記7) 前記第2の熱エネルギーは、当該第2の熱エネルギーを放射した時に前記半導体膜内に形成される結晶粒径が略最大となるエネルギーを有することを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0100】
(付記8) 第3の工程は、前記第2の熱エネルギーを同一箇所で複数回放射して、前記結晶化した所定領域内の結晶粒径を拡大させることを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0101】
(付記9) 前記第3の工程は、前記第2の熱エネルギーを真空中で照射して、前記結晶化した所定領域内の結晶粒径を拡大させることを特徴とする付記1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0102】
(付記10) 前記第2の工程で所定領域を結晶化した後、少なくとも前記所定領域を覆うように上面から被覆半導体膜を形成する第5の工程を含み、
第3の工程は、前記被覆半導体膜の上方から前記第2の熱エネルギーを放射することにより、前記結晶化した所定領域内の結晶粒径を拡大させることを特徴とする付記1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0103】
(付記11) 前記第2の工程は、前記半導体膜をパターニングして島状の領域形成し、
前記第1の熱エネルギーを放射することにより、前記島状の領域を結晶化し、
前記島状の領域の多結晶化している周辺領域を、パターニングにより除去することを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
【0104】
(付記12) 前記第1の熱エネルギーは、連続発振レーザから出力されるレーザビームが有する熱エネルギーであることを特徴とする付記1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0105】
(付記13) 前記第2の熱エネルギーは、パルスレーザから出力されるレーザビームが有する熱エネルギーであることを特徴とする付記1〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0106】
(付記14) 基板上に動作半導体膜を備えてなる半導体装置であって、
前記動作半導体膜は、全領域で略単結晶状態であることを特徴とする半導体装置。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、移動度が高く、良好な結晶状態を有する動作半導体膜を形成できるようになる。これにより、例えば、集積度が高い高速駆動の薄膜トランジスタを実現でき、さらには、高性能な液晶ディスプレイ(LCD)表示装置やメモリ、集積回路等を形成することが可能になり、システムオングラスを実現することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図である。
【図2】本実施形態において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略平面図である。
【図3】エキシマレーザをアモルファスシリコン膜に照射した時に形成される結晶粒径と照射エネルギーの関係を示した図である。
【図4】本実施形態の変形例1において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図である。
【図5】本実施形態の変形例1において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略平面図である。
【図6】本実施形態の変形例2において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図である。
【図7】本実施形態の変形例2において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略平面図である。
【図8】本実施形態の変形例3において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図である。
【図9】本実施形態の変形例3において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略平面図である。
【図10】本実施形態の変形例4において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略断面図である。
【図11】本実施形態の変形例4において、動作半導体膜の形成方法を工程順に示した概略平面図である。
【図12】本実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図13】図12に引き続き、本実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図14】図13に引き続き、本実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図15】図14に引き続き、本実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図16】従来のアモルファスシリコン膜を結晶化する様子を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2、4、9、14 アモルファスシリコン膜
2b、8、12、15、19 結晶化シリコン膜
3 Arレーザ
5 エキシマレーザ
6、10、13、16、20 動作半導体膜

Claims (1)

  1. 基板上に第1の半導体膜を形成する第1の工程と、
    前記第1の半導体膜内の島状にパターニングされた所定領域を、時間に対して連続的に放射される第1の熱エネルギーにより結晶化することにより、前記所定領域の中心部分が前記第1の熱エネルギーの走査方向に結晶化され、且つ、その周辺部分に当該中心部分に向かう欠陥を有する島状の第1の半導体膜を形成する第2の工程と、
    前記第1の熱エネルギーの放射によって結晶化した島状の第1の半導体膜の中心部分をパターニングによって切り出して良質な半導体膜を形成する第3の工程と、
    前記良質な半導体膜が覆われるよう前記基板上に第2の半導体膜を形成する第4の工程と、
    前前記島状の第1の半導体膜を核として前記良質な半導体膜を覆う前記第2の半導体膜に対して時間に対して断続的に放射される第2の熱エネルギーの走査方向結晶を成長させる第の工程とを含み、
    前記第1の熱エネルギーの走査方向と、前記第2の熱エネルギーの走査方向とが、基板の面方向において直交することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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