JP4514908B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置の製造方法に関する。さらに、詳しくは液晶パネルなどに用いられる薄膜トランジスタなどに関する。
【0002】
【従来の技術】
低消費電力、低電圧動作、軽量、薄型、カラー表示などを特徴とする液晶パネルは、パーソナルコンピューター(PC)やビデオ機器などへ急速にその用途を拡大している。近年、アクティブマトリクス駆動のカラー液晶パネルは、ブラウン管(cathod ray tube : CRT)に近い高画質が期待できるので、高画質化、大画面化が進められている。
【0003】
ところで、液晶パネルには薄膜トランジスタ(以下、TFTという)が設けられており、TFTがスイッチング素子となり、液晶の配向が制御され、画像が表示される。TFTは通常、ガラス基板上にアモルファスシリコン膜を成長させ、これをチャネル導体としてトランジスタを構成する。TFTは液晶パネルの高画質化のため、速い応答速度が要求されている。しかしながら、アモルファスシリコンは単結晶シリコンや多結晶シリコンに比べて電流担体の移動度が低いため、TFTの応答速度を上げるには限界がある。
【0004】
また、アモルファスシリコンは電流担体の移動度が低いので、TFTを駆動させるドライバICをガラス基板上にTFTと同時に製造できない。従って、ドライバICは単結晶シリコン基板を用いた通常のLSIのプロセスで製造され、液晶パネルに実装されている。
多結晶シリコンはアモルファスシリコンより電流担体の移動度が高いので、多結晶シリコンを能動層に用いることにより、所望の応答速度をもつTFTやドライバICを製造することができる。しかしながら、多結晶シリコンは600℃以上の加熱雰囲気でSiH4 などを熱分解するCVD(Chemical Vapor Deposition )法で成膜される。液晶パネルに使用する基板であるガラス基板の融点は、多結晶シリコンの成長温度より低いため、ガラス基板上に直接、結晶性のよい多結晶シリコンを成長させることができない。このため、結晶性がよく、高移動度が得られる多結晶シリコンを成長させる基板として融点が高い石英ガラスを使用する必要がある。しかし、この石英ガラスは高価であるため、特殊用途の液晶パネルにのみに用いられ、一般の液晶パネルには用いられていない。
【0005】
ガラス基板上に多結晶シリコン膜を得る方法としては、まず、ガラス基板上にアモルファスシリコン膜を低温のCVD法にて成膜し、短パルスのエキシマレーザーを照射することにより、ガラス基板に影響を与えないで、アモルファスシリコン膜のみを溶融し、結晶化させて多結晶シリコンを得る方法が多く用いられている。近年では、このために、ガラス基板の大口径化に対応した高出力、線状ビームのエキシマレーザーが開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レーザー照射によって溶融結晶化して得られる多結晶シリコンは、照射エネルギー密度だけではなくビームプロファイルやアモルファスシリコンの膜表面の状態にも影響を受け易い。従って、大口径のガラス基板上に、広範囲にわたって、均一に結晶粒径の大きな多結晶シリコンを形成することは困難であった。
【0007】
図6(a)及び図6(b)はガラス基板内のシリコンの結晶性を評価したグラフである。図6(a)は高いエネルギーで照射した場合のピーク波数を示すグラフであり、図6(b)は比較的低いエネルギーで照射した場合のピーク波数を示すグラフである。
図6(a)及び図6(b)の横軸はともにガラス基板上に形成した多結晶シリコンの位置を示し、縦軸はともにピーク波数を示す。非晶質シリコン(α−Si)は480cm-1付近にブロードな山をもち、単結晶シリコン(c−Si)は520.5cm-1にピークをもち、多結晶シリコン(p−Si)はその中間的なピークを示す。エキシマレーザーで形成した多結晶シリコンはピーク波数が大きい方が電流担体の移動度が高いものが得られやすいという相関がある。
【0008】
比較的低いレーザーエネルギーの条件では、図6(b)に示すように、ピーク波数のバラツキ、すなわち、結晶粒径のバラツキは小さいが、ピーク波数が低い、すなわち、結晶粒径の小さい結晶しか得られない。従って、この条件で得られた多結晶シリコンを用いても速い応答速度のTFTを製造することができない。
一方、比較的高いエネルギーの条件では、図6(a)に示すように、部分的には▲1▼に示すようなピーク波数の高い箇所があり、大きな結晶粒径の多結晶シリコンが得られていることがわかる。しかし、▲2▼に示すようにピーク波数が低いところがあり、結晶粒径のバラツキが大きいことを示している。また、得られた多結晶シリコンの表面の凹凸も大きくなっている。結晶性のバラツキが大きくなるのは、レーザーパワーの変動やビームのエッジの影響があったためである。
【0009】
以上のように、従来の技術ではガラス基板上のアモルファスシリコン膜にレーザー光を照射することにより、結晶粒径の大きい多結晶シリコンを広範囲にわたって均一に得ることができない。TFTやドライバICの応答速度は能動層である多結晶シリコンの結晶粒の大きさに依存し、結晶粒が大きい方が、応答速度が速い。従って、従来の技術では、TFTやドライバICの応答速度のバラツキが大きく、所望の応答速度をもつTFTやドライバICをガラス基板上に歩留りよく製造することができないという問題がある。
【0010】
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、ガラス基板上の多数のトランジスタの能動領域に、均一で、かつ大きな結晶粒を形成することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明は絶縁性基板の上に、下から順に、非単結晶シリコン膜と透光性の絶縁膜のパターンと、前記絶縁膜のパターンの面積より小さい面積を有する金属膜のパターンとが積層された構造を形成する工程と、前記絶縁性基板の前記積層された構造が形成された面側からのみ、前記金属膜のパターンをマスクとして、かつ前記絶縁膜のパターンを通して、前記非単結晶シリコン膜にレーザー光を照射して加熱し、前記非単結晶シリコン膜の前記金属膜のパターンの外側の領域を溶融させ、さらに前記金属膜のパターンの外側の領域からの熱伝導により前記非単結晶シリコン膜の溶融領域を広げて、前記金属膜のパターンの下の前記非単結晶シリコン膜を溶融させる工程とを有し前記金属膜のパターンの下の前記非単結晶シリコン膜を溶融させた後、前記絶縁性基板の上に前記積層された構造のみが形成されている状態で前記溶融した非単結晶シリコン膜が冷却されて、結晶化し、多結晶シリコンを形成することを特徴とする。
【0012】
以上のように、本発明においては、非単結晶シリコン膜全体にわたって結晶粒径が均一でかつ、大きな多結晶シリコンを得るのではなく、結晶粒径の大きさにより特性に影響を与える領域のみに結晶粒径が均一でかつ大きな多結晶シリコン膜を得ることができるようにすることを目的としている。
本発明によれば、非単結晶シリコン膜上に下から順に絶縁膜のパターンと、この絶縁膜のパターンより小さい面積を有する金属膜のパターンとを積層した構造、いわゆる、階段形状を形成している。そして、この階段形状でレーザー光を照射して非単結晶シリコン膜を溶融している。このとき、レーザー光は絶縁膜のパターンを通過し、非単結晶シリコン膜まで達する。この場合、絶縁膜のパターンに反射防止膜の機能をもたせることにより、レーザーエネルギーをより効率よく用いることができる。
【0013】
すなわち、非単結晶シリコン膜は金属膜のパターンの外側の絶縁膜のパターンの下の領域でレーザー光の照射を受けるので、そこは金属膜のパターンの直下の領域より高温となり溶融させることがきる。また、金属膜のパターンの直下の非単結晶シリコン膜はレーザー光の照射を受けないが、金属膜のパターンの外側の領域から熱拡散(熱伝導)で温度が上がり溶融させることができる。このとき、非単結晶シリコン膜の温度分布は、金属膜のパターンの直下の領域では、金属膜のパターンの外側であって絶縁膜のパターンの下の領域より温度が低い状態となる。
【0014】
これが冷却されるときには、金属膜のパターンは熱伝導度が高いので、金属膜のパターンの直下の非単結晶シリコン膜の冷却速度は速い。これに対して、絶縁膜のパターンは熱伝導度が低いので、絶縁膜のパターンの下の非単結晶シリコン膜の冷却速度は遅い。従って、金属膜のパターンの下の中央部から外側両側に向かって結晶化が進む。
【0015】
これにより、絶縁性基板上の非単結晶シリコン膜の所望の領域を自己整合的に結晶粒径が均一で、かつ大きな多結晶シリコンに変換することができる。従って、上記階段形状を絶縁性基板上の多数のトランジスタを形成する領域に形成しておくことにより、特にその能動層に限って電流担体の移動度が高い多結晶シリコンを広い範囲にわたって、均一に形成することができる。
【0016】
上記方法をトランジスタの作成に適用した場合、例えば、金属膜のパターンをゲート電極とし、その下の絶縁膜のパターンをゲート絶縁膜とし、その下の多結晶シリコン膜をトランジスタのチャネル領域とすると、そのチャネル領域ではチャネル長の方向に一つの結晶粒が形成される。このとき、チャネル長方向に交差する方向に延びるチャネル幅が広い場合、チャネル幅方向にこの結晶粒が複数並ぶことになる。このように、チャネル長方向に大きな粒径の結晶が一つしかなく、この結晶粒がチャネル幅方向に連なってチャネル領域を構成している。従って、チャネル長の方向には結晶と結晶との粒界が存在しないので、電流担体の移動度が上がり、トランジスタの応答速度をはじめとするその他の特性を向上させることができる。
【0017】
さらに、上記階段状形状を絶縁性基板上の多数のトランジスタを形成する領域に形成しておくことにより、単結晶シリコンを能動層としたトランジスタに近い特性をもつ高性能なトランジスタを大口径の絶縁性基板上に歩留りよく形成することができる。さらに、絶縁性基板上に駆動回路一体型の液晶パネルを容易に製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1(a)は本発明の第1の実施の形態の半導体装置を示す断面図であり、図1(b)は平面図である。図1(a)は、図1(b)のIV―IVに沿った断面図である。
【0019】
図1(a)に示すように、ガラス基板10の上に下から順に、p−Si膜パターン14、SiO2 膜パターン16a及びMoからなる金属膜パターン18aが形成されている。SiO2 膜パターン16aはSiO2 膜パターン16aの下に形成されたp−Si膜パターン14bの面積より小さく形成されている。また、SiO2 膜パターン16aの上に形成された金属膜パターン18aはSiO2 膜パターン16aの面積より小さく形成されている。
【0020】
すなわち、下から順に、a−Si膜パターン14、SiO2 膜パターン16a及び金属膜パターン18aがいわゆる、階段形状に形成されている。
ここで、p−Si膜パターン14bはトランジスタの能動層であり、SiO2 膜パターン16aはゲート絶縁膜であり、金属膜パターン18aはゲート電極である。p−Si膜パターン14bにはソース15b及びドレイン15aが形成されている。ソース15bとドレイン15aとの間のチャネル長の方向には結晶粒(グレイン)が一つ形成され、それがチャネル長に交差する方向に複数並んでトランジスタのチャネル部を構成している。
【0021】
この実施の形態の半導体装置によれば、トランジスタのチャネル長の方向にp−Siの結晶粒が一つしかない。すなわち、チャネル長の方向には結晶と結晶の粒界が存在しないので、電流担体の移動度を向上させることができる。従って、トランジスタの応答速度をはじめとするトランジスタ特性を向上させることができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
図2(a)〜(d)の左側の図面は本発明の第2の実施の形態の半導体装置の製造方法を工程順に説明する断面図であり、図2(a)〜(c)の右側の図面は平面図である。図2(a)〜(c)の左側の断面図は右側の平面図のV−V、VI―VI及びVII−VIIに沿った断面を示す。
第2の実施の形態の半導体装置の製造方法においては、a−Si膜14cをパターニングした後に溶融・結晶化させてp−Si膜パターン14dを形成し、かつa−Si膜パターン14c上のレーザー光を透光させるためのSiO2 膜パターン16b及びレーザー光を反射させるための金属膜パターン18bをそのまま残して、それぞれゲート絶縁膜及びゲート電極として用いていることを特徴としている。
【0023】
図2(a)に示すように、まず、PE−CVD(Plasma enhanced chemical vapor deposition)により、絶縁性基板であるガラス基板10a上に下から順に、SiO2 、及び非単結晶シリコンである非晶質シリコン(以下、a−Siという)を連続成長させ、それぞれ、下地SiO2 膜12a、及びa−Si膜を形成する。a−Si膜の膜厚は例えば50nmとする。なお、ガラス基板10a上にシリカコートされたものを使用してもよい。
【0024】
次いで、a−Si膜上にフォトリソグラフィーによりレジスト膜(図示せず)をパターニングし、これをマスクにしてa−Si膜を島状にパターニングしてa−Si膜パターン14cを形成する。
次に、図2(b)に示すように、a−Si膜パターン14cの上に、CVD法にてSiO2 膜を50nm成膜し、スパッタリングによりSiO2 膜12a上にMo膜を300nm成膜する。フォトリソグラフィーにてレジスト膜(図示せず)をa−Si膜パターン14cの面積より小さくなるようにパターニングし、これをマスクにしてMo膜をエッチングして、ゲート電極18bを形成する。ゲート電極18bの幅は2μm以下で形成するのが好ましく、例えば、0.8μmで形成する。
【0025】
次に、同じく図2(b)に示すように、フォトリソグラフィーでレジスト膜(図示せず)をa−Si膜パターン14cの面積より小さく、かつゲート電極18bより大きい面積になるようにパターニングし、これをマスクにしてSiO2 膜をエッチングして、ゲート絶縁膜16bを形成する。
これにより、a−Si膜パターン14c、ゲート絶縁膜16b及びゲート電極18bが下から順に階段形状になるように形成される。
【0026】
次に、ガラス基板10aの温度を室温に保持した状態で、パルス幅が40nsec〜数100nsecのパルス状の紫外線レーザー、例えば、Xe−Clエキシマレーザー(波長308nm)を用いて、エネルギー密度約350mJ/cm2 で、ガラス基板10a上のa−Si膜パターン14cに照射する。パルス状の紫外線レーザーを用いているのはガラス基板10に影響を与えないで、a−Si膜14cを加熱するためである。
【0027】
次に、図3及び図4を参照して、エキシマレーザー光を照射したときのa−Si膜パターン14cからp−Si膜(多結晶シリコン膜)14dへの変換の様子を詳細に説明する。図3は図2(b)で示す工程が完了した後、試料にレーザー光を照射している状態を示す断面図である。すなわち、図2(c)を拡大したものである。
【0028】
図4は図3に示すa−Si膜14cにエキシマレーザー光を照射したときの温度分布を示すグラフである。図4のA領域はMoからなるゲート電極18bの下のa−Si膜パターン14cの温度分布を示し、B領域及びC領域は金属膜パターン18bの外側両側のゲート絶縁膜16bの下のa−Si膜パターン14cの温度分布を示している。また、D領域及びE領域はゲート絶縁膜16bの両側外側のa−Si膜パターン14cが露出している部分の温度分布を示している。
【0029】
ゲート電極18bはレーザーを反射させるMoからなり、その下にはレーザーの反射が最小になる膜厚で形成されたゲート絶縁膜16bが、ゲート電極18bより大きく形成されている。
図3に示すように、レーザー光を照射したとき、レーザー光はゲート電極18bにより反射されて、その下のa−Si膜パターン14cには達しない。一方、ゲート絶縁膜16bは透光性であるのでその下のa−Si膜パターン14cにレーザーが到達する。レーザー光が照射されるとB領域及びC領域からの熱の拡散によりA領域の温度も上昇する。このとき、ゲート電極18bの下のa−Si膜パターン14cのA領域では、レーザー光の照射を直接受けないため、B領域及びC領域より温度が低くなる。なお、D領域及びE領域がB領域及びC領域より温度が低くなっているのは入射状態及び放熱状態が違うためである。
【0030】
このようにして、レーザー光を照射することにより、a−Si膜パターン14cでは図4のような温度分布を保ちながら全体にわたってa−Si膜パターン14cが溶融する。その後、レーザー光のパルスが終わると、溶融したa−Si膜パターン14cは冷却されて結晶化する。ここで、領域Aと領域B及び領域Cとの冷却速度は異なる。これは、領域Aの上方には熱伝導率の大きいゲート電極18bがあり、領域B及び領域Cの上方には熱伝導率の小さいゲート絶縁膜16bがあり、放熱状態が異なるためである。すなわち、領域Aでは熱が逃げやすいので冷却速度が速く、領域B及び領域Cの上部には熱が逃げにくいので冷却速度が遅い。従って、図4の温度分布はA領域とB,C領域との温度差が拡大するように変化していく。
【0031】
これにより、図3に示すように、溶融したa−Si膜パターン14cはA領域からB領域及びC領域に向かって結晶化が進む。すなわち、金属膜パター18bの下部の中心部から金属膜パターン18bの短手方向の両側外側に向かって結晶化が進む。これにより、ゲート電極18bの短手方向の全体の幅である0.8μm程度にわたって一つの結晶粒を成長させることができる。一方、ゲート電極18bの長手方向には一つの結晶粒が複数個連なるように形成される。このようにして、ゲート電極18bの下部に局所的に結晶粒径が大きいp−Si膜パターン14dを得ることができる。
【0032】
このようにして、チャネル長の方向に結晶粒が一つのみ形成されたチャネル部をゲート電極18bに対して自己整合的に形成することができる。
次に、ゲート電極18bをマスクにして、イオンドーピング法などによりリンなどの導電型不純物をp−Si膜14dに注入する。続いて、アニールし、導電型不純物を活性化させて、ソース15bとドレイン15aとを形成する。このイオンドーピング法は発生させた導電型不純物のイオン種を質量分離することなくすべて打ち込む方法である。これにより、プラズマ中の水素も同時に打ち込まれ、イオン電流密度が高くなるので、p−Si膜14dの温度が上昇する。従って、p−Si膜14dの結晶性が維持されるため、低温アニール、例えば、300℃の温度でリンなどの導電型不純物を活性化させることができる。
【0033】
なお、LDD(lightly doped dorain) 構造とする場合,まず、低濃度のリンなどの導電型不純物をゲート絶縁膜16bを突き抜ける加速エネルギーに設定してp−Si膜パターン14dに注入する。その後、高濃度のリンなどの導電型不純物をゲート絶縁膜16bがマスクになる加速エネルギーでp−Si膜パターン14dに注入する。
【0034】
これにより、自己整合的にソース15b及びドレイン15aが形成され、素子サイズ及び寄生容量が小さいLDD構造を有するトランジスタをガラス基板10a上に容易に形成することができる。
次に、図2(d)に示すように、カバーSiO2 膜24をCVD法にて形成し、続いて、フォトリソグラフィーとエッチングによりドレイン15aのコンタクト窓を開口する。そして、ITO(Indium tin oxide) をスパッタリングにて成膜し、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、ITOをパターニングして画素電極26を形成する。
【0035】
次に、カバーSiO2 膜24にフォトリソグラフィー及びエッチングによりソース15b部のコンタクト窓を形成する。そして、Alをスパッタリングにて成膜し、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、Alをパターニングして、ソース電極28を形成する。
以上により、図1の半導体装置が完成する。
【0036】
上記第2の実施の形態によれば、大口径のガラス基板10a上のa−Si膜パターン14cにゲート絶縁膜16b及びゲート電極18bを階段形状で形成し、レーザー光を照射することにより、チャネル長の方向に結晶粒が一つのみ形成されたチャネル部をゲート電極18bに対して自己整合的に形成することができる。
【0037】
このため、ゲート電極18bをチャネル部に位置合わせする必要がない。従って、ゲート電極18bの短手方向の幅を縮小することができるため、容易にチャネル長を短くすることができる。これにより、トランジスタの応答速度をはじめとする特性を向上させることができる。
また、上記階段形状をガラス基板10a上の多数のトランジスタを形成する領域に形成しておくことにより、特にその能動層に限って電流担体の移動度が高い多結晶シリコンを均一に形成することができる。
【0038】
従って、大口径のガラス基板上に高性能なトランジスタを歩留りよく製造することができ、また、TFTとドライバICとを同時に形成することができる。
そして、TFTとドライバICとを同時に形成することができるので、駆動回路一体型の液晶パネルを容易に製造することができる。
また、予め、a−Si膜を島状にエッチングしてa−Si膜パターン14cを形成してからレーザー光を照射している。このため、a−Si膜パターン14cからの放熱は少ないので、低いエネルギーのレーザー光で効率よくa−Si膜パターン14cを溶融して、結晶を得ることができる。また、複数のa−Si膜パターン14c間での温度差を小さくすることができるので、ガラス基板10a上に、均一なp−Si結晶粒17bを有する複数のp−Si膜パターン14を広い範囲にわたって得ることができる。
【0039】
なお、本実施の形態において、レーザー照射後にソース及びドレインに導電型不純物を注入し、その後、導電型不純物の活性化アニールを行っているが、レーザー照射の工程の前にソース15b及びドレイン15aに導電型不純物の注入を行い、レーザー光の照射でa−Si膜パターン14cの溶融と導電型不純物の活性化とを同時に行ってもよい。このときのレーザーのエネルギー密度は、例えば、a−Si膜パターン14cの溶融エネルギ密度350mJ/cm2 とする。なお、一般に不純物の活性化のみが目的のときは250mJ/cm2 〜280mJ/cm2 である。
【0040】
(第3の実施の形態)
図5(a)〜(d)の左側の図面は本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図であり、図5(a)〜(d)の右側の図面は平面図である。図5(b)〜(d)の断面図はそれぞれ同平面図のI−I、II―II及びIII―IIIに沿った断面を示す。
【0041】
第2の実施の形態との相違点は、a−Si膜14をパターニングせずにそのまま溶融・結晶化させた後、p−Si膜をパターニングし、かつ形成されたp−Si膜パターン14b上のレーザー光を透光させるためのSiO2 膜パターン16a及びレーザー光を反射させるための金属膜パターン18aを除去し、新たにゲート絶縁膜13及びゲート電極18cを形成していることである。
【0042】
まず、図5(a)に示すように、絶縁性基板であるガラス基板10に下から順に、下地SiO2 膜12、a−Si膜14及びSiO2 膜16を形成する。a−Si膜14の膜厚は例えば50nmとする。SiO2 膜16の膜厚はレーザ光に対する反射防止膜になる膜厚に設定し、例えば50nmとする。
その後、SiO2 膜16の上にMo(モリブデン)をスパッタリングにより、20nmの厚さで成膜し、金属膜18を形成する。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、フォトリソグラフィーにより、レジスト膜(図せず)をパターニングし、このレジスト膜をマスクとして金属膜18をエッチングして、金属膜パターン18aを形成する。a−Si膜14をレーザー光で溶融する際、金属膜パターン18aの直下のa−Si膜14は金属膜パターン18aの両側外側の下のa−Si膜14から、すなわち、左右からの熱拡散により溶融するので、ガラス基板10が耐えられる温度で溶融できるa−Si膜14の幅Wとしては2μm程度が限界である。従って、金属膜パターン18aの幅Wは2μm以下とすることが好ましい。
【0044】
次に、フォトリソグラフィーにより、金属膜パターン18aを被覆し、かつその面積より大きくレジスト膜(図示せず)をパターニングし、これをマスクにしてSiO2 膜16をエッチングして、SiO2 膜パターン16aを形成する。なお、金属膜パターン18aから側方にSiO2 膜パターン16aがはみ出す寸法Waは3μmより小さくすることが好ましい。
【0045】
これにより、a−Si膜14の上に、下から順に、SiO2 膜パターン16aとこのSiO2 パターン16aより小さい面積を有する金属膜パターン18aを積層した構造、いわゆる階段形状を形成することができる。
次に、ガラス基板10全面にパルス幅が40nsec〜数100nsecのパルス状の紫外線レーザーを照射し、a−Si膜14を多結晶シリコン膜(以下、p−Siという)に変換する。紫外線レーザとしてXe−Clエキシマレーザー(波長308nm)を用い、エネルギー密度を約350mJ/cm2 とする。このとき、a−Si膜14、SiO2 膜パターン16a及び金属膜パターン18aはいわゆる、階段形状に形成されているので、第2の実施の形態と同様に、金属膜パターン18aはレーザー光を反射し、金属膜パターン18aの外側両側のSiO2 膜パターン16aの領域のみがレーザー光を透過し、この下のa−Si膜14の温度が上昇する。
【0046】
そして、金属膜パターン18aの下部のa−Si膜14は横からの熱拡散で温度上昇しa−Si膜14全体にわたって溶融する。これが冷却されて、金属膜パターン18aの中心から外側両側に向かって結晶化が進む。
これにより、金属膜パターン18aの短手方向の全体の幅である2.0μm程度にわたって一つの結晶粒を成長させることができる。一方、金属膜パターン18aの長手方向には一つの結晶粒が連なるように形成される。このようにして、金属膜パターン18aの下部に局所的に結晶粒径が大きいp−Si膜14aを得ることができる。
【0047】
次に、金属膜パターン18a及びSiO2 膜パターン16aを除去した後、図1(d)に示すように、p−Si膜14a上にフォトリソグラフィーによりレジスト膜(図示せず)のマスクを形成し、このマスクに従って、p−Si膜14aをエッチングして、p−Si膜パターン14bを形成する。このp−Si膜パターン14bはガラス基板10上に多数形成され、これをトランジスタの能動層として使用するすることができる。
【0048】
次に、p−Si膜パターン14bの上にCVD(chemical vapor deposition)法により、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜13を形成する。続いて、ゲート絶縁膜13の上に、スパッタ法によりAl膜を形成する。
次に、Al膜の上に、フォトリソグラフィーにより、レジスト膜(図示せず)のマスクを形成する。このとき、複数のトランジスタのゲートパターンを有する露光用マスクを、p−Si膜パターン14bの中に形成されている大きな結晶粒の長手方向の幅がトランジスタのゲート長、すなわち、チャネル長になるように位置合わせし、露光、現像して、レジスト膜をパターニングする。続いて、このレジスト膜をマスクにして、Al膜をエッチングして、ゲート電極18cを形成する。
【0049】
次に、公知の方法により、リンなどの導電型不純物を導入し、ソース及びドレインを形成して、TFTなどのトランジスタを形成する。
以上により、図1の半導体装置が完成する。
上記第3の実施の形態によれば、上記のような階段形状をガラス基板10上の予め決まられたトランジスタを形成する領域に多数形成し、これにレーザー光を照射することにより、a−Si膜14の所望の領域、すなわち、a−Si膜14のトランジスタを形成するための領域をp−Si膜14aに変換することができる。また、a−Si膜14をSiO2 膜パターン16aで覆われた状態でレーザーを照射するので、平坦性のよいp−Si膜14を得ることができる。
【0050】
すなわち、上記階段形状を絶縁性基板上の多数のトランジスタを形成する領域に形成しておくことにより、特にその能動層に限って単結晶に近い電流担体の移動度をもつ多結晶シリコンを広い範囲にわたって均一に、かつ平坦に形成することができる。
この各トランジスタを形成する領域のp−Si膜パターン14bには一つの大きな結晶粒が複数連なって形成された領域があり、この一つの結晶粒の長手方向の幅がトランジスタのチャネル長になるようにして、トランジスタを形成している。これにより、トランジスタのチャネル長には結晶と結晶の粒界が存在しないので、単結晶を能動層に用いたトランジスタと同等の応答速度をもつトランジスタをガラス基板10上に容易に形成することができる。
【0051】
従って、大口径のガラス基板10上に単結晶を能動層としたトランジスタに近い応答速度をもつ、高性能なトランジスタを歩留りよく形成することができる。また、大口径のガラス基板上にTFTとドライバICとを同時に形成することができるので、駆動回路一体型の液晶パネルを容易に製造することができる。
前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、その要旨から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。本発明の範囲は、特許請求範囲によって示すものであって、実施の形態には、なんら拘束されない。
【0052】
(付記1) 絶縁性基板の上に、下から順に、非単結晶シリコン膜と透光性の絶縁膜のパターンと、前記絶縁膜のパターンの面積より小さい面積を有する金属膜のパターンとが積層された構造を形成する工程と、
前記金属膜のパターンをマスクとして、かつ前記絶縁膜のパターンを通して、前記非単結晶シリコン膜にレーザー光を照射して加熱し、前記非単結晶シリコン膜の一部を溶融させる工程とを有し、
熱伝導により前記非単結晶シリコン膜の溶融領域を広げて、前記金属膜のパターンの下の前記非単結晶シリコン膜を溶融させた後、
前記溶融した非単結晶シリコン膜が冷却されて、結晶化し、多結晶シリコンを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0053】
(付記2) 前記絶縁性基板は石英ガラス以外のガラス基板であるか、又は前記ガラス基板上にシリコン含有絶縁膜が形成されたものであることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記金属膜のパターンの幅が2μm以下であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0054】
(付記4) 前記絶縁膜のパターンは前記レーザー光に対する反射防止膜であることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記非単結晶シリコン膜にレーザー光を照射して加熱する工程の前に、
前記金属膜のパターンをマスクとして前記非単結晶シリコン膜に導電型不純物を導入する工程を有し、前記非単結晶シリコン膜にレーザー光を照射して加熱する工程で前記非単結晶シリコン膜の溶融とともに前記導電型不純物の活性化を行うことを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0055】
(付記6) 前記多結晶シリコン膜は前記金属膜のパターンの下がチャネル領域となっており、かつ前記金属膜のパターンの両側がソース/ドレイン領域となっているトランジスタの能動層であり、前記絶縁膜のパターンはゲート絶縁膜であり、前記金属膜のパターンはゲート電極であることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0056】
(付記7) 絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上に形成された多結晶シリコン膜と、
前記多結晶シリコン膜の上に形成された、前記多結晶シリコン膜の形成領域よりも小さい面積を有する透光性の絶縁膜のパターンと、
前記絶縁膜のパターン上に形成された、前記絶縁膜のパターンの面積よりも小さい面積を有する金属膜のパターンとを有する半導体装置であって、
前記多結晶シリコン膜は前記金属膜のパターンの下がチャネル領域となっており、かつ前記金属膜のパターンの両側がソース/ドレイン領域となっているトランジスタの能動層であり、前記絶縁膜のパターンはゲート絶縁膜であり、前記金属膜のパターンはゲート電極であり、前記金属膜のパターンの下の多結晶シリコンはチャネル長の方向で結晶粒が一つとなっていることを特徴とする半導体装置。
【0057】
(付記8) 前記結晶粒の長さは2μm以下であることを特徴とする付記7に記載の半導体装置。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、非単結晶シリコン膜上に下から順に透光性の絶縁膜のパターンと、この絶縁膜のパターンより小さい面積を有する金属膜のパターンとを積層した構造、いわゆる、階段形状を形成している。そして、この階段形状で絶縁膜のパターンを通してレーザー光を照射し、非単結晶シリコン膜を全体にわたって溶融している。これが冷却されると、金属膜のパターンと、絶縁膜のパターンとの熱伝導度の違いにより、金属膜のパターンの下の中央部から外側両側に向かって結晶化が進むことになる。これにより、絶縁性基板上の非単結晶シリコン膜の所望の領域を自己整合的に結晶粒径が均一で、かつ大きな多結晶シリコンに変換することができる。
【0059】
すなわち、上記階段形状を絶縁性基板上の多数のトランジスタを形成する領域に形成しておくことにより、特にその能動層に限って電流担体の移動度が高い多結晶シリコンを広い範囲にわたって均一に形成することができる。従って、高性能なトランジスタを大口径の絶縁性基板上に歩留りよく形成することが可能となる。さらに、絶縁性基板上に駆動回路一体型の液晶パネルを容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ( a)は第1の実施の形態である半導体装置を示す断面図であり、(b)は同じく平面図であり、(a)は(b)のIV−IV線に沿う断面図に相当する。
【図2】(a)〜(d)は第2の実施の形態である半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図及び平面図である。
【図3】図1(c)を拡大した断面図であり、レーザー照射によりa−Si膜を溶融している状態を示す。
【図4】図3におけるa−Si膜の温度分布を示す図である。
【図5】(a)〜(d)は第3の実施の形態である半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図及び平面図である。
【図6】従来技術のレーザー照射による結晶化の状態を面内にわたって示すグラフである。
【符号の説明】
10 ガラス基板、
12 下地SiO2 膜、
14 a−Si膜、
14b a−Si膜パターン、
15a ドレイン、
15b ソース、
16 SiO2 膜 、
16a SiO2 膜パターン、
16b ゲート絶縁膜、
17a,17b 結晶粒、
18 金属膜、
18a 金属膜パターン、
18b ゲート電極、
24 カバーSiO2 膜、
26 画素電極、
28 ソース電極。

Claims (2)

  1. 絶縁性基板の上に、下から順に、非単結晶シリコン膜と透光性の絶縁膜のパターンと、前記絶縁膜のパターンの面積より小さい面積を有する金属膜のパターンとが積層された構造を形成する工程と、
    前記絶縁性基板の前記積層された構造が形成された面側からのみ、前記金属膜のパターンをマスクとして、かつ前記絶縁膜のパターンを通して、前記非単結晶シリコン膜にレーザー光を照射して加熱し、前記非単結晶シリコン膜の前記金属膜のパターンの外側の領域を溶融させ
    さらに前記金属膜のパターンの外側の領域からの熱伝導により前記非単結晶シリコン膜の溶融領域を広げて、前記金属膜のパターンの下の前記非単結晶シリコン膜を溶融させる工程とを有し
    前記金属膜のパターンの下の前記非単結晶シリコン膜を溶融させた後、前記絶縁性基板の上に前記積層された構造のみが形成されている状態で前記溶融した非単結晶シリコン膜が冷却されて、結晶化し、多結晶シリコンを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記非単結晶シリコン膜にレーザー光を照射して加熱する工程の前に、前記金属膜のパターンをマスクとして前記非単結晶シリコン膜に導電型不純物を導入する工程を有し、前記非単結晶シリコン膜にレーザー光を照射して加熱する工程で前記非単結晶シリコン膜の溶融とともに前記導電型不純物の活性化を行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
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