JP4695374B2 - 表面倣い測定装置および倣いプローブの補正テーブル作成方法 - Google Patents
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Description
図17に、従来の倣いプローブを利用した表面倣い測定装置としての測定システムの構成を示す。
この測定システム100は、倣いプローブ2を移動させる三次元測定機1と、手動操作するジョイスティック31を有する操作部3と、三次元測定機1の動作を制御するモーションコントローラ4と、モーションコントローラ4を介して三次元測定機1を動作させるとともに三次元測定機1によって取得した測定データを処理して被測定物Wの寸法や形状などを求めるホストコンピュータ5と、を備えている。
支持部23は、互いに直交する方向に移動可能なxpスライダ、ypスライダおよびzpスライダを有するスライド機構(不図示)と、スライド機構の各軸方向の変位量を検出するとともに検出した変位量を出力するプローブセンサ24(図1参照)とを備えている。スタイラス21はスライド機構によって支持部23に対して一定の範囲内でスライド可能に支持されている。
なお、このような倣いプローブの構成は、例えば特許文献1に記載されている。
このとき、三次元測定機1の駆動量から倣いプローブ2の移動軌跡が得られる。そして、倣いプローブ2の移動軌跡は、すなわち、接触部22の移動軌跡となるところ、接触部22の中心点の移動軌跡に対して接触部22の半径r分だけオフセットした位置に被測定物表面と接触部22との接触点が存在する。
図19は、接触部22を被測定物Wに基準押込量Δrだけ押し込んだ状態を説明する図である。まず、図19(A)は、接触部22が被測定物Wに接触した状態で、基準押込量Δrがゼロの状態を示す。この状態では、接触部22の中心P1から被測定物Wの当接点までの距離は、接触部22の半径rに等しい。この場合、基準押込量Δrがゼロであるために、倣いプローブ2の接触部22が、被測定物Wに接触しているか否かの判断が行えない。
この状態から倣いプローブ2の接触部22を被測定物Wに対して、基準押込量Δrが所定値となるまで押し込んだ状態を、図19(B)に示す。この状態においては、被測定物Wに対して接触部22が測定圧で決まる圧力で押圧されるため、スタイラス21にたわみが生じる。
径rに等しいことは、図19(A)と同一であるが、プローブセンサ24の検出位置(図19(A)に対して、基準押込量Δrだけシフトした位置=見かけ上の接触部中心P3)から被測定物Wの当接点まで距離はQ(オフセット値)となり、接触部22の半径rとは異なる値となる。このようにオフセット値Qが接触部22の半径rと異なる値をとる原因としては、既に説明したスタイラス21のたわみの影響の他、接触部22の真球度の影響が考えられる。
このように、見かけ上の接触部中心P3が描く移動軌跡から被測定物表面方向へオフセット値Qだけ補正されると、被測定物表面の形状が求められる。
ここで、基準押込量Δrは、常に同一値である必要はなく、プローブセンサ24の測定可能範囲において、適切な基準位置範囲内であればよい。
このような問題により、表面倣い測定装置による形状測定には誤差が含まれているとともに、この誤差を十分に補正できず、形状測定の精度を向上させるには困難があった。
なお、補正テーブルは、着脱可能な記憶素子に格納され、交換可能とされてもよい。
選択された補正係数は、例えば、検出センサ値に乗算される。すると、検出センサ値が補正されて、補正された検出センサ値により被測定物表面と測定子との相対位置が正確に求められる。すると、被測定物表面の形状が正確に求められる。
ここで、測定子の基準点とは、前記倣いプローブの検出センサが検出した位置を示す。
選択されたオフセット値は、例えば、測定子の基準点座標値に加算(あるいは減算)される。測定子の基準点から測定方向に向けてオフセット値だけオフセットした位置に被測定物表面が位置するところ、被測定物表面の形状が求められる。
また、倣いプローブあるいは測定子の交換が可能な場合には、交換された測定子に対応
する補正テーブルを用いて検出値の補正が行えるので、測定の自由度と精度の向上が期待できる。
ここで、補正テーブルは不揮発性の記憶装置に格納されていてもよく、着脱可能な記憶素子に格納されて交換可能とされていてもよい。
ここで、前記補正データ算出工程は、前記検出センサによる検出値を補正する補正係数を算出する補正係数算出工程を備えていることが好ましい。また、前記補正データ算出工程は、前記測定子の基準点(前記検出センサが検出した位置)から前記被測定物表面までのオフセット値を算出するオフセット値算出工程を備えていることが好ましい。
また、補正点は、マスターボールの半球部分にのみ設定してもよい。そして、残りの半球部分については、測定方向が逆向きで平行となる補正データを適用すればよい。
例えば、XY平面で被測定物を断面したときの断面輪郭を測定したい場合、被測定物を測定する方向(指定測定方向)は、Z方向に垂直な方向である。このとき、補正テーブルを作成するにあたって、基準ゲージの表面上に設定される補正点は、XY平面に交差するライン上に多く設定される(補正点設定工程)。
このように設定された補正点を倣いプローブで検出して(補正点検出工程)、検出誤差の自乗和を最小にする補正データを求める(補正データ算出工程)。すると、指定測定方向に多く設定された補正点の影響を強く反映した補正データが得られる。
被測定物を指定測定方向で測定して、このときの倣いプローブの検出値が指定測定方向に応じて得られた補正データによって補正されることにより、被測定物の指定測定方向における形状が正確に測定される。
また、基準ゲージとしては、例えば、半径既知のマスタ−ボールを用いることができる他、各種の形状の基準ゲージを用いることができる。例えば、指定測定方向を一平面内に含まれる方向(一軸に垂直方向)とする場合には、基準ゲージとしてリングゲージを用いてもよい。
(第1実施形態)
本発明の表面倣い測定装置に係る第1実施形態について説明する。
第1実施形態として倣いプローブを用いた表面倣い測定装置としての測定システムを図17に示す。また、図1に、測定システム100の機能ブロック図を示す。
この測定システム100の概略構成は、背景技術で説明した構成に同様であり、三次元測定機1と、三次元測定機1の動作を手動操作する操作部3と、三次元測定機1の駆動制御を実行するモーションコントローラ4と、モーションコントローラ4に所定の指令を与えるとともに被測定物Wの形状解析等の演算処理を実行するホストコンピュータ5と、測定条件等を入力する入力手段61と、測定結果を出力する出力手段62と、を備えている。
駆動機構12は、定盤11の両側端から定盤11に略垂直方向であるZm方向に高さを有するとともに定盤11の側端に沿ったYm軸方向へスライド可能に設けられた二本のビーム支持体121と、ビーム支持体121の上端に支持されてXm方向に長さを有するビーム122と、ビーム122にXm方向にスライド可能に設けられZm軸方向にガイドを有するコラム123と、コラム123内をZ軸方向にスライド可能に設けられ下端にて倣いプローブ2を保持するスピンドル124とを備えて構成されている。
接触部22は、半径rの略真球に加工されている。
支持部23は、互いに直交方向に移動可能なxpスライダ、ypスライダおよびzpスライダを有するスライド機構(不図示)と、スライド機構の各軸方向の変位量を検出するとともに検出した変位量を出力するプローブセンサ(検出センサ)24とを備えている。スタイラス21はスライド機構によって支持部23に対して一定の範囲内でスライド可能に支持されている。
プローブセンサ24は、図1に示されるように、スタイラス21のXp方向への移動を検出するXp方向センサ241と、スタイラス21のYp方向への移動を検出するYp方向センサ242と、スタイラス21のZp方向への移動を検出するZp方向センサ243と、を備えている。プローブセンサ24によって検出されたスタイラス21の変位量はモーションコントローラ4を経由してホストコンピュータ5に出力される。
駆動カウンタ411は、Ym軸センサ131からの出力を計数するYm軸カウンタ412と、Xm軸センサ132からの出力を計数するXm軸カウンタ413と、Zm軸センサ133からの出力を計数するZm軸カウンタ414とを備えている。
プローブカウンタ415は、Xp方向センサ241からの出力を計数するXp方向カウンタ416と、Yp方向センサ242からの出力を計数するYp方向カウンタ417と、Zp方向センサ243からの出力を計数するZp方向カウンタ418と、を備えている。
駆動カウンタ411によるカウント値(Xm、Ym、Zm)およびプローブカウンタ415によるカウント値(Xp、Yp、Zp)はそれぞれホストコンピュータ5に出力される。
倣いベクトル指令部52は、例えば、メモリ51に設定された輪郭データ513に基づいて被測定物Wを倣い走査するベクトル指令を生成する。また、倣いベクトル指令部52は、プローブカウンタ415の出力に基づいて押込量を基準押込量Δrで所定範囲(基準位置範囲)にする押込方向のベクトル指令を生成する。倣いベクトル指令部52で生成されたベクトル指令は、駆動制御回路42に出力される。
補正テーブル53は、補正データとして、プローブカウンタ415のカウンタ値を補正
するための補正係数(Kxp、Kyp、Kzp)と、接触部22の(見かけの)中心座標値に対する被測定物表面までの補正半径r(オフセット値Q)と、を格納している。
すなわち、補正テーブル53には、プローブカウンタ415のカウンタ値(Xp、Yp、Zp)に各軸ごとに乗算されて各軸ごとのカウンタ値を補正する補正係数(Kxp、Kyp、Kzp)が設定されている。
また、補正テーブル53には、接触部22の(見かけの)中心座標値に対して被測定物表面の法線に沿って加算(あるいは減算)され、接触部22の中心座標値を被測定物表面の座標値に補正する補正半径r(オフセット値Q)が設定されている。
なお、補正テーブル53が作成される工程については、図4、図5および図6を参照して第2実施形態で後述する。
形状解析部54は、図3に示されるように、測定データ記憶部541と、接触方向算出部(測定方向算出手段)542と、補正データ選択部(補正データ選択手段)543と、補正演算部544と、測定データ合成部547と、を備えて構成されている。
接触方向算出部542においてサンプリング点ごとに接触方向が算出されると、補正データ選択部543は、サンプリング点ごとに補正テーブル53に設定された補正データを選択して読み出す。
プローブカウンタ値補正部545は、補正データ選択部543で選択された補正データのうち、補正係数(Kxp、Kyp、Kzp)を各軸ごとのプローブカウンタ値(Xp、Yp、Zp)に乗算してプローブカウンタ値を補正する。つまり、補正後のカウンタ値(Xd、Yd、Zd)は、次のように表される。
求めるべき被測定物表面の座標値は、接触部22の(見かけの)中心点から接触部22の半径r分だけオフセットされているところ、補正テーブル53の補正半径r(オフセット値Q)を用いて接触部22の中心点座標値が所定方向にシフトされると、接触部22と被測定物表面との接触点座標値が求められる。
駆動機構12の駆動量は駆動センサ13によってマシン座標系で検出され、スタイラス21の変位はプローブセンサ24によってプローブ座標系で検出されている。そして、プローブセンサ24の出力値は、補正テーブル53の補正データによって接触部22と被測定物Wとの接触点に補正されている。そこで、接触点の座標値と駆動機構12の駆動量とが合成されると、被測定物表面形状が算出される。接触点の座標値と駆動機構12の駆動量とを合成する場合には、プローブ座標系で表された接触点の座標値をマシン座標系に変換したうえで、駆動機構12の駆動量に加算することが例として挙げられる。
まず、測定に先だって測定条件を設定入力する。測定条件としては、サンプリングピッチ511、基準押込量512、被測定物の輪郭データ513などが挙げられる。
次に、測定者がジョイスティック31を用いて入力する倣い方向指令、あるいは、輪郭データ513に基づいて倣いベクトル指令部52で生成される倣いベクトル指令が駆動制御回路42に出力される。すると、駆動制御回路42から駆動機構12に制御信号が出力されて駆動機構12が駆動される。駆動機構12によって倣いプローブ2が被測定物表面
に対して基準押込量Δrまで押し込まれた状態で被測定物表面に沿って倣い移動される。また、倣い走査時にプローブカウンタ415から倣いベクトル指令部52に出力されるプローブカウンタ値に基づいて、押込量が基準押込量Δrに制御される。
カウンタ部41(駆動カウンタ411およびプローブカウンタ415)でカウントされて取得されたカウント値は測定データ記憶部541に出力されて記憶され、以後、形状解析部54で解析処理されて被測定物の表面形状が求められる。
このとき、接触方向単位ベクトルと補正テーブル53に設定された方向(P1〜P29)の単位ベクトルとの内積が算出されて、内積の絶対値が一番大きくなる方向が選択される。そして、その方向(P1〜P29)に対応する補正係数(Kxp、Kyp、Kzp)が読み出される。
選択された補正半径rは、接触点算出部546に出力されて、接触部22の中心座標値に加算(あるいは減算)される。
(1)補正テーブル53には接触方向ごとに補正データとして補正係数(Kxp、Kyp
、Kzp)が設定されているので、接触部22が被測定物Wに接触する方向によってプローブセンサ24に検出誤差が生じる場合でも、接触方向に応じてセンサ出力を補正することできる。すると、押込量が正確に検出されるので、接触部22の中心座標値が正確に求められる。
そして、補正テーブル53には接触方向ごとに補正データとして補正半径rが設定されているので、接触部22の(見かけの)中心座標値に補正半径rを加算(あるいは減算)することによって被測定物表面との接触点が正確に求められる。このとき、接触方向ごとに補正半径rが設定されているので、接触部22の形状誤差(真球からの誤差など)やスタイラス21のたわみ等に関わらず、被測定物Wの表面形状を正確に測定することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る倣いプローブの補正テーブル作成方法について説明する。図4に、補正テーブル作成方法のフローチャートを示す。
なお、第2実施形態における測定システムとしては第1実施形態に説明した構成と同様の測定システムを用いることができる。
まず、ST1において、マスターボール7を用意する。マスターボール7は、半径既知の真球に加工されて、例えば、図17中に示されるように定盤11上に配設されることが例示される。
ここで、各格子点P1〜P29からマスターボール7の中心へ向かう方向に接触方向が設定され、この接触方向で接触部22が被測定物Wに接触するときのプローブセンサ出力(あるいはプローブカウンタ出力)、および、接触部22の中心から被測定物表面までのオフセット値(例えば補正半径r)が補正されることとなる。
各格子点の座標値P(x、y、z)は、例えば、図6に示されるように角度のパラメータθおよびΨ、マスターボール7の半径Rを用いて、マスターボール7の中心を原点とするとき次のように表される。
このとき、三次元測定機1の駆動機構12によって倣いプローブ2を移動させていく。したがって、マスターボール7に接触部22が当接したあと、接触部22をマスターボール7に押し込んでいく過程では、駆動センサ13とプローブセンサ24との出力値は対応するはずである。
そこで、駆動センサ13の出力値に基づいて、接触部22を各格子点に基準押込量まで押し込んでいく。
なお、接触部22とマスターボール7とが当接したことは、プローブセンサ24からの検出信号により判断可能である。
倣いプローブ2が格子点に対して基準押込量Δrまで押し込まれた状態で、プローブセンサ24の出力(あるいはプローブカウンタの出力)が検出される。そして、プローブセンサ24の出力値(Xp、Yp、Zp)と駆動センサ13の出力値とのずれ分を補正する補正係数(Kxp、Kyp、Kzp)が軸ごとに求められる。
また、接触部22の中心点座標と格子点の座標とを比較して、接触部22の見かけの中心から格子点までのオフセット値(補正半径r)が算出される。
ST7において、補正係数および補正半径が接触方向(P1〜P29)ごとに格納されて、例えば、図2に示される補正テーブル53が作成される(補正テーブル作成工程)。
そして、選択される接触方向(P1〜P29)が補正テーブル53に設定された方向と逆であっても、スタイラス21のたわみやオフセット値(補正半径)といった測定誤差に繋がる原因は同じになるので、方向が逆であっても等価な補正データを用いてプローブセンサ24の出力を被測定物表面の座標値に補正することができる。
(5)マスターボール7のような球体上に均質に格子点を設定して、各格子点について補正データを取得することより、必要とされる全方向について補正データを得ることができる。
(6)マスターボール7の半球部分についてのみ格子点を設定することによって、補正データを半分にすることができる。
次に、本発明の表面倣い測定装置に係る第3実施形態について説明する。
第3実施形態の基本的構成は、第1実施形態に同様であるが、図7に示すように補正テーブルの構成が異なる。
補正テーブル531、532、・・・53nは複数設けられており、それぞれ複数の接触部22に対応して補正データが格納されている。
例えば、倣いプローブ2において、スタイラス21が、直線状の軸体と、軸体の先端から軸体に直交して延びたアームを十字状に4本有する十字状アームと、から構成され、そして、十字状アームの先端にそれぞれ接触部22が設けられる場合がある。
このような場合、補正テーブルは、接触部(測定子)22ごとに設けられ、合計4個の補正テーブル531、532、533、534が設けられる。
ここで、各補正テーブルは、着脱可能な記憶素子に格納され、交換可能となっていてもよい。
次に、本発明の変形例1について説明する。
第1実施形態および第3実施形態における補正テーブルは、ホストコンピュータ5に設けられているが、図8に示されるように、変形例1における補正テーブル91は、倣いプローブ2に設けられている点が異なる。
従って、形状解析部54は、倣いプローブ2の補正テーブル91から補正データを読み取ることになるが、その他の点は、第1実施形態または第3実施形態に同様である。
ここで、補正テーブル91は、不揮発性の記憶装置に格納されていてもよく、さらに、着脱可能な記憶素子に格納され、交換可能とされてもよい。
このように、補正テーブル91が倣いプローブ2に設けられているので、倣いプローブ2を交換した場合には、同時に補正テーブル91もあわせて交換されることになる。
このような構成によれば、倣いプローブ2に応じた最適な補正データを間違いなく利用することができる。また、補正データに混同を生じることがなく、補正データの管理が容易になる。
本発明の第4実施形態に係る倣いプローブの補正テーブル作成方法について説明する。
従来、プローブセンサ(検出センサ)24の検出値を補正する補正係数および接触部22の補正半径r(すなわちオフセット値)を求めるにあたって、最小自乗法を用いる方法が知られている。
例えば、半径既知の真球であるマスターボール7の表面を複数点で測定し、これら測定値に関する測定誤差の自乗和を最小にする補正係数および接触部22の補正半径rが求められる。
このとき、マスタ−ボール7の表面上に設定される補正点は、図9に示されるように、マスタ−ボール7の半球上において略均等に配設されていた。
このようにマスターボール7の表面に略均等に配設された補正点に基づいて作成された補正テーブルによれば、被測定物Wを測定する方向に関わりなく測定値を補正することができるからである。
例えば、図10に示されるように、三つの断面において真球71の輪郭を測定すると、図11に示されるように、XY面、YZ面、ZX面のいずれの面においても誤差が残ってしまう。
これでは、被測定物Wの形状を高精度に測定することはできないという問題が生じる。
本第4実施形態における倣いプローブの補正テーブル作成方法を図12のフローチャートを参照して説明する。
なお、測定の対象が被測定物WをXY平面で断面した断面輪郭であって、被測定物Wを測定する方向(指定測定方向)がZ方向に直交する方向である場合を例にして説明する。
次にST13において、設定されたこれらの補正点に倣いプローブ2の接触部22を接触させて、基準押込量Δrまで接触部22をマスターボール7に押し込んでいく(補正点検出工程)。このときのプローブセンサ24の出力値を順次所定の記憶手段に記憶していく(ST14)。
図14を参照して、最小自乗法により補正データ(補正係数、補正半径)を算出する方法を説明する。
求める補正係数を3×3のマトリクス[A]で表し、プローブセンサ24の出力値をPi、駆動センサ13の出力値をCiで表す。そして、マスターボール7の中心座標をSとする。また、マスターボール7の半径をR’、求めるべき補正半径をrとするとき、
接触部22とマスターボール7との中心間距離R(=R’+r)は、次の式で表される。
ここで、補正係数[A]によりプローブセンサ出力値Piは次のように補正される。
被測定物Wを測定する指定測定方向に対応した補正テーブルを作成することができるので、この補正テーブルにより指定測定方向における測定値を正確に補正することができる。
例えば、指定測定方向がXY平面内の方向(Z方向に垂直方向)であり、この指定測定方向に対応した補正テーブルによって測定値を補正すると、図15(A)に示されるように、真球71の輪郭を正確に測定することができる。
ここで、図15(B)および(C)に示されるように、YZ平面内やZX平面内における測定に対して上記補正テーブルを適用すると測定誤差が大きくなるが、被測定物Wを測定する方向をXY平面内とするので、他の方向での補正精度は問題とならない。
そして、被測定物Wを測定した測定値を補正するための補正テーブルを選択するにあたっては、外部設定入力により該当する補正テーブルを指定してもよく、あるいは、自動選択されるようにしてもよい。
例えば、上述のように指定測定方向をXY平面内(Z方向に垂直方向)とする補正テーブルの他に、YZ平面内(X方向に垂直方向)およびZX平面内(Y方向に垂直方向)を指定測定方向とする補正テーブルをそれぞれ作成しておく。
そして、被測定物Wを測定する方向に対応した補正テーブルを選択して測定値を補正すれば、図15(A)のXY平面内の他、YZ平面内(図15(B)参照)およびZX平面内(図15(C)参照)においても正確に被測定物Wの形状を測定することができる。
例えば、指定測定方向として、XY平面内の方向(Z方向に垂直な方向)とすることに加えて、図16に示されるように、XY平面内の−45°から+45°までの方向とするなど限定を強化してもよい。なお、この場合にも最小自乗法における未知数の関係上、補正点が13個以上必要である。
また、例えば、被測定物Wの形状が、ギア、ブレード、スクロール(ねじ形状)である場合、これら特殊な形状を測定する指定測定方向を予め選定しておき、マスターボール上にこれら選定された指定測定方向に対応する位置に補正点を(多く)設定すれば、各種特殊形状を測定した測定値を補正するのに適した補正テーブルを作成することができる。
補正テーブル53には補正係数だけを設定しておいて、倣い走査中に押込量が正確に一定になるように制御してもよい。すると、接触部22が真球であってオフセット値を常に一定値とみなせば、接触方向に応じてオフセット値を補正する必要はない。
半球部分に限られず、例えば、マスターボール7の8分の1に格子点を設定してもよい。例えば、x、y、zがプラスとなる象限に格子点を設定して補正データを取得し、その他の象限は、先に取得したデータを回転移動させるなどして作成してもよい。
接触部22の形状は真球に限られず、算盤球形状や円板状であってもよい。
あるいは、被測定物表面に光を照射するとともに被測定物表面からの反射光を検出する光学式プローブであってもよい。例えば、被測定物表面とのギャップを光学式プローブの対物レンズの焦点距離に保って倣い走査する光学式プローブが例として挙げられる。このような場合でも、プローブを被測定物表面に近接させていく方向によって生じる検出誤差を本発明の補正テーブルによって補正できる。
例えば、接触方向算出部542で算出される接触方向単位ベクトルに近い方向を補正テーブルの測定方向からいくつか選択して、これら選択された測定方向の補正データを内挿することによって、最適な補正データを求めてもよい。
ウンタ、417…Yp方向カウンタ、418…Zp方向カウンタ、42…駆動制御回路、5…ホストコンピュータ、51…メモリ、511…サンプリングピッチ、512…基準押込量、513…輪郭データ、52…倣いベクトル指令部、53、531、53n…補正テーブル、54…形状解析部、541…測定データ記憶部、542…接触方向算出部(測定方向算出手段)、543…補正データ選択部(補正データ選択手段)、544…補正演算部、545…プローブカウンタ値補正部(検出センサ値補正手段)、546…接触点算出部(測定点算出手段)、547…測定データ合成部、55…中央処理部、56…バス、61…入力手段、62…出力手段、7…マスターボール、81…補正演算部、811…接触点算出部、91…補正テーブル。
Claims (8)
- 被測定物表面に当接される測定子、および、前記測定子と被測定物表面との相対位置を検出する検出センサを有し、前記測定子と前記被測定物表面との相対位置を予め設定された基準位置範囲に保って倣い走査する倣いプローブと、
前記倣いプローブを被測定物表面に沿って相対移動させる移動手段と、
前記移動手段の駆動量を検出する駆動センサと、
前記検出センサおよび駆動センサによる検出値に基づいて前記被測定物の形状を解析する解析手段と、を具備し、
前記解析手段は、
前記検出センサによる検出値に基づいて前記測定子と前記被測定物表面との接触方向である測定方向を算出する測定方向算出手段と、
前記検出センサによる検出値を補正する補正データが格納された補正テーブルを備え、
前記測定方向算出手段にて算出された測定方向と、前記補正テーブルとに基づいて前記検出センサによる検出値を補正し、
前記補正テーブルには、
前記倣いプローブで前記被測定物表面を倣い走査する際に前記測定方向ごとに前記検出センサによる検出値を補正する補正係数、および前記倣いプローブで前記被測定物表面を倣い走査する際に前記測定方向ごとに前記測定子の基準点から前記被測定物表面までのオフセット値が前記補正データとして格納されている
ことを特徴とする表面倣い測定装置。 - 請求項1に記載の表面倣い測定装置において、
前記解析手段は、
前記測定方向算出手段にて算出された測定方向に基づいてこの測定方向に対応する前記補正係数を補正データとして前記補正テーブルから選択する補正データ選択手段と、
前記補正データ選択手段にて選択された前記補正データを前記検出センサの検出値に乗算して前記検出センサの検出値を補正する検出センサ値補正手段と、を備える
ことを特徴とする表面倣い測定装置。 - 請求項1に記載の表面倣い測定装置において、
前記解析手段は、
前記測定方向算出手段にて算出された前記測定方向に基づいてこの測定方向に対応する前記オフセット値を補正データとして前記補正テーブルから選択する補正データ選択手段と、
前記補正データ選択手段で選択された前記補正データを用いて、前記測定方向に向けて前記基準点の座標値を前記補正データだけシフトさせて前記被測定物表面を求める測定点算出手段と、を備えている
ことを特徴とする表面倣い測定装置。 - 請求項2または請求項3に記載の表面倣い測定装置において、
前記補正データ選択手段は、前記測定方向算出手段で算出された測定方向のベクトルに対し、内積の絶対値が最大になる方向を前記補正テーブルに設定された測定方向から選択する
ことを特徴とする表面倣い測定装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の表面倣い測定装置において、
前記補正テーブルは、前記測定子ごとに備えられている
ことを特徴とする表面倣い測定装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の表面倣い測定装置において、
前記補正テーブルは、前記倣いプローブに設けられている
ことを特徴とする表面倣い測定装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の表面倣い測定装置の倣いプローブの補正テーブルを作成する方法であって、
半径および中心座標値が既知となる真球であるマスターボールの球面上において、座標値が既知である複数の補正点を設定する補正点設定工程と、
前記各補正点から前記マスターボールの中心点に向かう方向に沿って前記測定子を前記各補正点に向けて相対移動させ、この測定子と前記補正点との相対位置を基準位置範囲にしたときの前記補正点の位置を検出する補正点検出工程と、
前記補正点検出工程における前記検出センサの出力値を前記補正点の座標値に対比して、この検出センサの出力値を補正する補正係数、および前記測定子の基準点から前記被測定物表面までのオフセット値を補正データとして算出する補正データ算出工程と、
前記補正データ算出工程において算出された前記補正データをこの補正点から前記測定子の中心に向かう方向に対応づけて格納するテーブルを作成する補正テーブル作成工程と、を備えている
ことを特徴とする倣いプローブの補正テーブル作成方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の表面倣い測定装置の倣いプローブの補正テーブルを作成する方法であって、
真球であるマスターボールの球面上に複数の補正点を設定する補正点設定工程と、
前記測定子を前記各補正点に向けて相対移動させ、この測定子と前記補正点との相対位置を基準位置範囲にしたときの前記補正点の位置を検出する補正点検出工程と、
前記補正点検出工程における前記検出センサの出力値を前記補正点の座標値に対比して、この検出センサの出力値を補正する補正係数、および前記測定子の基準点から前記被測定物表面までのオフセット値を補正データとして算出する補正データ算出工程と、
前記補正データ算出工程において算出された前記補正データを格納するテーブルを作成する補正テーブル作成工程と、を備え、
前記補正点設定工程は、予め被測定物を測定する方向として指定された指定測定方向に応じて、この指定測定方向に他の方向よりも多くの前記補正点を設定し、
前記補正データ算出工程は、前記補正点に関する測定誤差の自乗和を最小にする補正データを算出する
ことを特徴とする倣いプローブの補正テーブル作成方法。
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