JP3820357B2 - 計測方法および計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タッチトリガプローブを用いて被測定物の寸法や表面性状などを計測する計測方法および計測装置に関する。
【0002】
【背景技術】
座標計測装置、たとえば、三次元測定機では、タッチトリガプローブと被測定物とを三次元方向へ相対移動させながら接触させ、両者が接触したときにタッチトリガプローブから発生する接触検出信号に基づいて各軸(三次元方向の各軸)の座標値を読み取り、これらの座標値を基に被測定物の寸法や形状を求める。
【0003】
ところで、従来、三次元測定機などに用いられるタッチトリガプローブの形式としては、測定子と一体に形成された3本のピンを6つのボールやピンなどで支持した構造、つまり、測定子をいわゆる6点接触式着座機構によって支持した構造のタッチトリガプローブと、測定子を振動させた状態で被測定物に接触させ、そのときの振動の減衰を検知して被測定物との接触を検出する構造のタッチトリガプローブとが知られている。
【0004】
前者のタッチトリガプローブは、たとえば、図10に示すように、プローブ本体4と、このプローブ本体4に6点接触式着座機構8を介して支持され先端に接触球を有する測定子1と、この測定子1を着座機構8に押圧、付勢するばねなどの押圧力発生手段7とを含んで構成されている。
着座機構8は、測定子1の基端に固定された可動体2と、この可動体2の周囲に測定子1の軸線に対して直角な面内でかつ測定子1の軸線を中心として120度間隔で放射状に突設された3本のピン3と、この各ピン3と対応してプローブ本体4の底壁5に固定されそれぞれ2本のピン(あるいはボール)をV字状に組み合わせた3組のV字状係止部6とから構成されている。
【0005】
このような構成において、可動体2を押圧力発生手段7でプローブ本体4の底壁5に向かって押圧すると、可動体2は所定の位置に静止する。このとき、可動体2上の各ピン3はV字状係止部6と2点、全体として6点で接触するので、6点接触式着座機構と呼ばれている。
【0006】
後者のタッチトリガプローブは、たとえば、図11に示すように、スタイラスホルダ12と、このスタイラスホルダ12にピン18を介して略中央部が支持された測定子としての振動子14と、この振動子14の振動の節近傍に配置されるとともに溝20に接着剤などで固着された2枚の圧電素子16とを備える。
【0007】
振動子14は、その一端に被測定物と接触する接触部14Aを、他端に前記接触部14Aと同重量のバランサ14Bを有し、かつ、その振動の節でスタイラスホルダ12に支持されている。バランサ14Bは、振動子14の一端に接触部14Aがあるため、共振時における振動の節が振動子14の中心から外れないように重量バランスをとり、かつ、タッチトリガプローブの全体が振動子14の振動方向と交差する方向に移動して加速度を受けたときに支持点回りのモーメントを受けないようにするためのものである。
【0008】
圧電素子16は、図12に示すように、振動子14を往復振動させる加振用電極16Aと、振動子14の往復振動の状態を電気的交流信号として取り出す検出用電極16Bとに分割されている。加振用電極16Aは振動子14を振動させる駆動回路24に信号線22Aを介して接続され、また、検出用電極16Bは振動子14の振動を検出する検出回路26に信号線22Bを介して接続されている。検出回路26からの信号は信号線22Dを介して駆動回路24に送られる。これにより、検出用電極16Bで取り出された電気的信号を検出回路26および駆動回路24で増幅して加振用電極16Aに送るフィードバックループが構成されている。
【0009】
検出回路26はタッチトリガ信号発生回路28に接続されている。タッチトリガ信号発生回路28は、検出用電極16Bからの交流信号を全波整流し、この整流された信号をローパスフィルタで直流信号に変換した後、基準値と比較し、検出信号が基準値になった時点でタッチトリガ信号を発する構成である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のタッチトリガプローブでは、上述したいずれの構造にあっても、タッチトリガプローブが被測定物に接触したのちに離脱したとき、電気信号的にはタッチトリガプローブが戻ったと認識しても、測定子1や振動子14の撓みなどに基づくヒステリシスのために、位置的に戻りきらない、いわゆる、リシートエラーが生じている。このようなリシートエラーは、三次元測定機などが高精度化するに従って、測定精度上無視できないことが判明してきた。
【0011】
本発明の目的は、このような従来の問題を解決し、リシートエラーにより発生する測定精度への影響を排除し、より高精度な計測を実現できる計測方法および計測装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、タッチトリガプローブと被測定物とが接触したのちに離脱したとき、タッチトリガプローブにはその接触方向に応じたリシートエラーが生じていることに着目し、次に、タッチトリガプローブと被測定物とが接触したときに、その直前の接触によって生じているリシートエラーを考慮して、接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正するようにしたものである。具体的には、次の通りである。
【0013】
本発明の計測方法は、タッチトリガプローブと被測定物とを相対移動させながら接触させ、そのときにタッチトリガプローブから発生する接触検出信号に基づいてタッチトリガプローブと被測定物との相対移動座標値を検出し、この相対移動座標値を基に被測定物の寸法および表面性状の少なくとも一方を計測する計測方法であって、前記タッチトリガプローブと被測定物との接触方向に関して、予め設定された複数の接触方向について、その直前の接触方向との関係において得られた補正量を補正テーブルに記憶させる補正テーブル作成工程と、測定時に、前記タッチトリガプローブと被測定物との接触方向を検出する接触方向検出工程と、この接触方向検出工程によって検出された今回の接触方向とその直前の接触方向とに最も近い関係の組み合わせに対応する補正量を前記補正テーブルの中から選択する補正量選択工程と、この補正量選択工程で選択された補正量を用いて、前記接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正する補正工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の計測装置は、タッチトリガプローブと被測定物とを相対移動させながら接触させ、そのときにタッチトリガプローブから発生する接触検出信号に基づいてタッチトリガプローブと被測定物との相対移動座標値を検出し、この相対移動座標値を基に被測定物の寸法および表面性状の少なくとも一方を計測する計測装置であって、前記タッチトリガプローブと被測定物との接触方向に関して、予め設定された複数の接触方向について、その直前の接触方向との関係において得られた補正量を記憶した補正テーブルと、測定時に、前記タッチトリガプローブと被測定物との接触方向を検出する接触方向検出手段と、この接触方向検出手段によって検出された今回の接触方向とその直前の接触方向とに最も近い関係の組み合わせに対応する補正量を前記補正テーブルの中から選択する補正量選択手段と、この補正量選択手段で選択された補正量を用いて、前記接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
このような構成において、タッチトリガプローブと被測定物とを相対移動させながら接触させると、タッチトリガプローブから接触検出信号が発生される。すると、タッチトリガプローブと被測定物との接触方向が検出されるとともに、今回の接触方向とその直前の接触方向とに最も近い関係の組み合わせに対応する補正量が補正テーブルの中から選択され、その選択された補正量を用いて、接触検出信号発生時の相対移動座標値が補正される。
従って、タッチトリガプローブが被測定物に接触したのちに離脱したとき、撓みなどのヒステリシスのために、位置的に戻りきらない、いわゆる、リシートエラーが生じても、このリシートエラーにより発生する測定精度への影響を排除でき、より高精度な計測を実現できる。
【0016】
ここで、接触検出信号が発生したときのタッチトリガプローブと被測定物との相対移動座標値は、たとえば、タッチトリガプローブと被測定物との相対移動量を検出する変位検出器と、この変位検出器で検出される相対移動量を更新記憶するカウンタとを有する変位検出手段などを用いて検出することができる。なお、変位検出器としては静電容量式、光電式、磁気式などの変位検出器を用いることができる。
【0017】
上記計測方法において、前記タッチトリガプローブから接触検出信号が発生したときの、タッチトリガプローブと被測定物との接触速度を検出する速度検出工程を有し、前記補正工程では、前記補正量選択工程で選択された補正量および速度検出工程で検出された接触速度に基づく補正量を用いて、前記接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正するようにしてもよい。
また、計測装置において、前記タッチトリガプローブから接触検出信号が発生したときの、タッチトリガプローブと被測定物との接触速度を検出する速度検出手段を有し、前記補正手段では、前記補正量選択手段で選択された補正量および速度検出手段で検出された接触速度に基づく補正量を用いて、前記接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正するようにしてもよい。
このようにすれば、タッチトリガプローブと被測定物との接触速度が検出されたのち、この接触速度に基づく補正量で相対移動座標値が補正されるから、つまり、タッチトリガプローブと被測定物との接触速度に基づく測定誤差についても自動的に補正されるから、測定内容により測定速度を変更する必要のある複雑な測定においても、高精度でかつ能率的な測定を実現できる。
【0018】
ここで、接触速度に基づく補正量を決めるには、たとえば、タッチトリガプローブが被測定物に接触してから接触検出信号を発生するまでのタッチトリガプローブ固有の遅れ時間を予め記憶しておき、接触検出信号発生時の相対移動速度および遅れ時間から補正量を算出し、この補正量で接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正するようにしてもよい。あるいは、タッチトリガプローブと被測定物との接触速度およびこの接触速度に基づく補正量の関係を予め補正テーブルに記憶しておき、接触検出信号発生時の接触速度に対応する補正量を補正テーブルから求め、この補正量で接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正するようにしてもよい。
【0019】
また、前記補正テーブル作成工程は、前記被測定物の特定方向からの接触方向について、その直前の接触方向との関係において得られた補正量を補正テーブルに記憶させるようにしてもよい。
このようにすれば、被測定物の特定方向からの接触方向についての補正量のみを記憶してあるから、補正テーブルの大きさを低減でき、コスト削減が可能である。
【0020】
また、前記接触方向検出工程および接触方向検出手段では、タッチトリガプローブと被測定物との各軸方向の相対移動量を検出する変位検出手段からのデータを基にタッチトリガプローブと被測定物との接触方向を検出するようにしてもよい。
このようにすれば、三次元測定機などの測定装置において、三次元方向の各軸毎に設けられる変位検出手段を利用してタッチトリガプローブと被測定物との接触方向を検出することができるから、新たなセンサなどを付加することなく、既存の機器を利用して実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係る三次元測定機の全体ブロック図である。同三次元測定機は、図示省略の三次元移動機構を介して三次元方向(X、YおよびZ軸方向)へ移動可能に設けられ被測定物Wとの接触によって接触検出信号を発生するタッチトリガプローブ30と、このタッチトリガプローブ30を各軸方向へ移動させるXYZ軸駆動手段40と、前記タッチトリガプローブ30の座標値を計測するXYZ軸座標検出手段50と、記憶装置60と、キーボード71、表示装置72およびプリンタ73と、演算制御部80とから構成されている。
【0022】
前記タッチトリガプローブ30は、前述した図10および図11に示す構造のタッチトリガプローブと同じ構造である。従って、ここでは詳細な説明を省略する。
前記XYZ軸駆動手段40は、タッチトリガプローブ30をX,Y,Z軸方向へ移動させるXYZ軸駆動モータ41と、このXYZ軸駆動モータ41を駆動制御するXYZ軸駆動制御部42とから構成されている。
前記XYZ軸座標検出手段50は、タッチトリガプローブ30の各軸方向(X,Y,Z軸方向)の移動位置(座標値P)を検出するXYZ軸変位検出器51と、このXYZ軸変位検出器51で検出されるタッチトリガプローブ30の座標値Pを取り込み記憶するXYZ軸カウンタ52とから構成されている。
【0023】
前記記憶装置60は、タッチトリガプローブ30と被測定物Wとの相対移動速度に関する補正量を記憶した第1の補正テーブル61と、タッチトリガプローブ30と被測定物Wとの接触方向に関する補正量を記憶した第2の補正テーブル62とを備えている。なお、これらの補正テーブル61,62は、電気的消去可能なEEPROMなどによって構成されている。
第1の補正テーブル61には、図2に示すように、タッチトリガプローブ30と被測定物Wとの接触速度と測定誤差との関係、つまり、接触検出信号発生時の両者の相対移動速度と補正量との関係が、各軸(X,Y,X軸)毎にかつタッチトリガプローブ30の種類(プローブA、プローブB…)毎にそれぞれ記憶されている。
【0024】
第2の補正テーブル62には、図3に示すように、タッチトリガプローブ30と被測定物Wとの接触方向に関して、予め設定された複数の接触方向について、その直前の接触方向との関係において得られた補正量が記憶されている。具体的には、図4に示すように、基準球Sについて、基準球Sの中心を含むXZ平面(A面)内におけるX+方向(1)とX−方向(3)、基準球Sの中心を含むYZ平面(B面)内におけるY+方向(2)とY−方向(4)、基準球Sの中心(C軸)を通るZ+方向(5)とZ−方向(6)からの接触方向について、その直前の接触方向(1)〜(6)との関係において得られた補正量が各軸(X,Y,Z軸)毎に記憶されている。つまり、今回の接触方向(1)〜(6)とその直前の接触方向(1)〜(6)との組み合わせ[(1-1)(1-2)(1-3)(1-4)(1-5)(1-6)…(6-4)(6-5)(6-6)]にそれぞれ対応して、その組み合わせでのリシートエラーを補正する補正量が各軸(X,Y,Z軸)毎にそれぞれ記憶されている。
【0025】
演算制御部80は、カウンタ52にラッチされた計数値を入力し、これをタッチトリガプローブ30の現在位置座標値に変換するとともに、一定間隔でサンプリングされたカウンタ52の計数値からタッチトリガプローブ30の移動速度および移動方向を検出し、さらに、タッチトリガプローブ30からの接触検出信号が出されたときタッチトリガプローブ30が被測定物Wに接触したときの接触速度および接触方向を検出する。また、接触速度に対応する補正量を第1の補正テーブル61から選択するとともに、今回の接触方向とその直前の接触方向とに最も近い関係の組み合わせに対応する補正量を第2の補正テーブル62から読み出し、これらの補正量を用いて、接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正する。ここに、演算制御部80は、座標値検出手段、接触方向検出手段、速度検出手段、補正量選択手段および補正手段を構成している。
【0026】
次に、このように構成された三次元測定機の動作について説明する。
三次元測定機では、タッチトリガプローブ30を三次元方向へ移動させながら、タッチトリガプローブ30の先端球を被測定物Wの各部に接触させることにより、被測定物Wの各部を測定する。そのときの接触速度や接触方向によって、測定誤差が発生する場合があるので、予め補正テーブル61,62を次のような操作で求めておく。
【0027】
(補正テーブル61の作成)
基準球Sに対して、タッチトリガプローブ30を移動させて基準球Sの特定の面近辺に位置決めさせる。この状態でタッチトリガプローブ30に歪みが掛からないような自由状態とする。次に、その状態で各軸を固定してレーザ干渉計や校正用プローブなどを用いた公知のスケール校正手法を用いてX,Y,Z軸座標値を精密に測定する。そして、表示装置72で表示されたX,Y,Z表示値と精密測定された表示値とがずれている場合には、表示値を測定された値に校正する。
【0028】
続いて、タッチトリガプローブ30を、基準球Sの上記特定の面に接触速度を変えながら何回か接触させ、そのときの接触速度と測定値との関係を記憶する。演算制御部80は、得られた接触速度と測定値との関係から、たとえば、図5に示すような、接触速度と偏差量(誤差=測定値−精密測定値)との関係を示す曲線を最小二乗法等によって求める。そして、この曲線を各タッチトリガプローブについて、各軸方向に求めると、求めた曲線から図2に示すような接触速度と偏差量との関係を示す補正テーブル61を作成することができる。なお、接触速度と偏差量との関係が、タッチトリガプローブ30の構造上、接触方向に全く依存しない場合には、各軸毎に偏差量を求める必要はない。
【0029】
(補正テーブル62の作成)
図6のフローチャートに示すように、補正テーブル用の接触方向を決定する(S11)。ここでは、図4に示すように、基準球Sについて、基準球Sの中心を含むXZ平面(A面)内におけるX+方向(1)とX−方向(3)、基準球Sの中心を含むYZ平面(B面)内におけるY+方向(2)とY−方向(4)、基準球Sの中心(C軸)を通るZ+方向(5)とZ−方向(6)を、補正テーブル用の接触方向として決定する。
次に、今回の接触方向(1)〜(6)に対して、補正用の直前接触方向(1)〜(6)を決定する(S12)。
次に、(1)方向にダミー測定を行い、(1)方向に対するプローブリシートエラーを発生させたのちに、再度(1)方向に測定し、今回の接触方向が(1)方向でかつ直前接触方向が(1)方向の組み合わせ(1-1)に対応する補正量(プローブリシートエラーが無くなるような補正量)を各軸毎に求める(S13)。
【0030】
次に、(2)方向にダミー測定を行い、(2)方向に対するプローブリシートエラーを発生させたのちに、今度は(1)方向に測定し、今回の接触方向が(1)方向でかつ直前接触方向が(2)方向の組み合わせ(1-2)に対応する補正量(プローブリシートエラーが無くなるような補正量)を各軸毎に求める(S14)。
同様にして、今回の接触方向が(1)方向で、直前接触方向が(3)(4)(5)(6)方向の組み合わせ[(1-3)(1-4)(1-5)(1-6)]に対応する補正量を求める(S15)。
【0031】
同様にして、今回の接触方向が(2)方向で、直前接触方向が(1)〜(6)方向の組み合わせ[(2-1)〜(2-6)]に対応する補正量、今回の接触方向が(3)方向で、直前接触方向が(1)〜(6)方向の組み合わせ[(3-1)〜(3-6)]に対応する補正量、今回の接触方向が(4)方向で、直前接触方向が(1)〜(6)方向の組み合わせ[(4-1)〜(4-6)]に対応する補正量、今回の接触方向が(5)方向で、直前接触方向が(1)〜(6)方向の組み合わせ[(5-1)〜(5-6)]に対応する補正量、今回の接触方向が(6)方向で、直前接触方向が(1)〜(6)方向の組み合わせ[(6-1)〜(6-6)]に対応する補正量、をそれぞれ求める(S16)。
【0032】
(測定)
演算制御部80は、図7のフローチャートに示すように、タッチトリガプローブ30から接触検出信号が入力されると、まず、接触検出信号入力時点の測定値(X,Y,Z軸座標値)を取り込む(S1)。次に、補正テーブル61により接触速度に対する偏差量を求める(S2)。このとき、接触速度が、たとえば1.3mm/sであり、補正テーブル61に登録されている接触速度が0.5、1.0、1.5、…mm/sであるとすると、補正テーブル61の1.0mm/sと1.5mm/sの偏差量からたとえば直線補間などによって偏差量を算出する。
【0033】
次に、各軸方向の偏差量が予め記憶されている場合(図2参照)には、タッチトリガプローブ30の接触速度成分を各軸に分解して各軸方向毎の接触速度を算出し、この算出された接触速度のそれぞれに対して偏差量を求めればよいが、接触速度と偏差量との関係と、接触方向とに依存がない場合には、求めた偏差量を接触方向に基づいて各軸(XYZ)方向の成分に分配する(S3)。そして、取り込まれた補正前測定値と各軸の偏差量とを加算(または減算)したものを補正後測定値として求める(S4)。つまり、各軸の偏差量を補正量として、補正前測定値に加算(または減算)する。これにより、接触速度に依存しない精度の良い測定が可能になる。
【0034】
次に、図8のフローチャートに示すように、直前接触方向を判別し(S21)、直前接触方向が不明な場合には、最初の測定個所を再度測定する(S22)。つまり、ダミー入力して直前接触方向を決定する。
直前接触方向が不明でない場合には、補正テーブル用の接触方向(1)〜(6)を決定する(S23)。
次に、今回の接触方向に対して、補正用の直前接触方向(1)〜(6)を決定する(S24)。
次に、方向(1)〜(6)の中で、直前接触方向に最も近い方向を判定し、その組み合わせに対応する補正量を決定する(S25)。たとえば、図9に示すように、直前の接触方向が方向(1)〜(6)のいずれにも一致しなかったとすると、方向(1)〜(6)のうちで最も近い方向を決定する。この場合、直前接触方向単位ベクトルと補正方向(1)〜(6)の単位ベクトルの内積を計算し、内積の値が正でかつ最小のものとすればよい(同じ場合はどちらでもよい。)。
なお、今回の接触方向が方向(1)〜(6)のいずれにも一致しない場合は、同様に方向(1)〜(6)のうちで最も近い方向を選択すればよい。この場合も同様に今回の接触方向の単位ベクトルと補正方向(1)〜(6)の単位ベクトルの内積を計算し、内積の値が正でかつ最小のものとすればよい(同じ場合はどちらでもよい。)。
最後に、決定した補正量を使用して、測定値を補正する(S26)。
【0035】
従って、測定時に、タッチトリガプローブ30と被測定物Wとの接触方向が検出されるとともに、今回の接触方向とその直前の接触方向とに最も近い関係の組み合わせに対応する補正量が第2の補正テーブル62の中から選択され、その選択された補正量を用いて、接触検出信号発生時の相対移動座標値が補正されるから、タッチトリガプローブ30が被測定物Wに接触したのちに離脱したとき、撓みなどのヒステリシスのために、位置的に戻りきらない、いわゆる、リシートエラーが生じても、このリシートエラーにより発生する測定精度への影響を排除でき、より高精度な計測を実現できる。
【0036】
なお、上述した実施形態では、タッチトリガプローブ30のみを三次元方向へ移動するようにしたが、被測定物Wを移動させるようにしてもよく、あるいは、両者(タッチトリガプローブ30と被測定物W)を共に移動させるようにしてもよい。
さらに、前記実施形態では、タッチトリガプローブ30と被測定物Wとを三次元方向へ移動させる構造であったが、二次元方向へ相対移動するものについても適用できる。
【0037】
また、前記実施形態では、速度に関する補正テーブル61を作成したが、前記タッチトリガプローブ30と被測定物Wとの接触速度(相対移動速度)およびこの接触速度に基づく偏差量(補正量)の関係を関数として予め記憶手段に記憶しておき、演算手段によって接触速度(前記接触検出信号発生時の相対移動速度)を前記関数に代入して偏差量(補正量)を求め、この偏差量で前記接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正するようにしてもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、被測定物の寸法の計測について説明したが、これに限らず計測した座標値から被測定物の形状(輪郭や真円度)等の表面性状を計測するようにしてもよい。
さらに、前記実施形態では、接触速度に起因する補正テーブル61と、今回の接触方向と直前の接触方向に起因する補正テーブル62を別々に備える構成を説明したが、これら両者の補正テーブルを統合して一組の補正テーブルとしても良い。すなわち、図3において、補正テーブル62の例えば、X軸の接触方向1−1に関して、補正テーブル61に示すような各速度毎の補正量を記憶し、同様にY軸、Z軸についても、さらに、接触方向1−2、1−3・・・6−5、6−6についても同様に記憶するようにしてもよい。つまり、実際の測定にあたっては、今回の接触方向と接触速度および直前の接触方向と接触速度との関係において最も近い関係の組み合わせに対応する補正量を補正テーブルの中から選択して補正するようにしてもよい。
【0039】
また、接触方向に関して、前記実施形態においては方向(1)から(6)についてのみ説明したが、基準球Sの全周方向の内の任意方向に対して、補正テーブルを作成してもよい。
これらの補正を行うことによって、リシートエラーのみならずプローブの先端球の形状誤差(真円度や真球度)に起因する測定誤差をも補正することができるので、更に高精度な測定が可能となる。
【0040】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の計測方法および計測装置によれば、リシートエラーにより発生する測定精度への影響を排除し、より高精度な計測を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上実施形態における第1の補正テーブルを示す図である。
【図3】同上実施形態における第2の補正テーブルを示す図である。
【図4】同上実施形態において、第2の補正テーブルを作成するにあたって、今回の接触方向とその直前の接触方向との関係を示す図である。
【図5】同上実施形態において、第1の補正テーブルを作成する際に得られる偏差量と接触速度との関係を示す図である。
【図6】同上実施形態において、第2の補正テーブルを作成する際の手順を示すフローチャートである。
【図7】同上実施形態において、測定時の手順を示すフローチャートである。
【図8】同上実施形態において、測定時の手順を示すフローチャートである。
【図9】同上実施形態において、測定時に直前接触方向を決定する際の図である。
【図10】従来の6点接触式着座機構のタッチトリガプローブを示す図である。
【図11】従来の振動式のタッチトリガプローブを示す図である。
【図12】従来の同上タッチトリガプローブの検出駆動回路を示す図である。
【符号の説明】
30 タッチトリガプローブ
50 XYZ軸座標値検出手段
60 記憶装置
61 第1の補正テーブル
62 第2の補正テーブル
80 演算制御部(接触方向検出手段、速度検出手段、補正量選択手段、補正手段)
W 被測定物
Claims (8)
- タッチトリガプローブと被測定物とを相対移動させながら接触させ、そのときにタッチトリガプローブから発生する接触検出信号に基づいてタッチトリガプローブと被測定物との相対移動座標値を検出し、この相対移動座標値を基に被測定物の寸法および表面性状の少なくとも一方を計測する計測方法であって、
前記タッチトリガプローブと被測定物との接触方向に関して、予め設定された複数の接触方向について、その直前の接触方向との関係において得られた補正量を補正テーブルに記憶させる補正テーブル作成工程と、
測定時に、前記タッチトリガプローブと被測定物との接触方向を検出する接触方向検出工程と、
この接触方向検出工程によって検出された今回の接触方向とその直前の接触方向とに最も近い関係の組み合わせに対応する補正量を前記補正テーブルの中から選択する補正量選択工程と、
この補正量選択工程で選択された補正量を用いて、前記接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正する補正工程と、
を備えることを特徴とする計測方法。 - 請求項1に記載の計測方法であって、
前記タッチトリガプローブから接触検出信号が発生したときの、タッチトリガプローブと被測定物との接触速度を検出する速度検出工程を有し、
前記補正工程では、前記補正量選択工程で選択された補正量および速度検出工程で検出された接触速度に基づく補正量を用いて、前記接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正する、
ことを特徴とする計測方法。 - 請求項1または請求項2に記載の計測方法において、
前記補正テーブル作成工程では、前記被測定物の特定方向からの接触方向について、その直前の接触方向との関係において得られた補正量を補正テーブルに記憶させることを特徴とする計測方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の計測方法において、
前記接触方向検出工程は、タッチトリガプローブと被測定物との各軸方向の相対移動量を検出する変位検出手段からのデータを基にタッチトリガプローブと被測定物との接触方向を検出することを特徴とする計測方法。 - タッチトリガプローブと被測定物とを相対移動させながら接触させ、そのときにタッチトリガプローブから発生する接触検出信号に基づいてタッチトリガプローブと被測定物との相対移動座標値を検出し、この相対移動座標値を基に被測定物の寸法および表面性状の少なくとも一方を計測する計測装置であって、
前記タッチトリガプローブと被測定物との接触方向に関して、予め設定された複数の接触方向について、その直前の接触方向との関係において得られた補正量を記憶した補正テーブルと、
測定時に、前記タッチトリガプローブと被測定物との接触方向を検出する接触方向検出手段と、
この接触方向検出手段によって検出された今回の接触方向とその直前の接触方向とに最も近い関係の組み合わせに対応する補正量を前記補正テーブルの中から選択する補正量選択手段と、
この補正量選択手段で選択された補正量を用いて、前記接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする計測装置。 - 請求項5に記載の計測装置において、
前記タッチトリガプローブから接触検出信号が発生したときの、タッチトリガプローブと被測定物との接触速度を検出する速度検出手段を有し、
前記補正手段では、前記補正量選択手段で選択された補正量および速度検出手段で検出された接触速度に基づく補正量を用いて、前記接触検出信号発生時の相対移動座標値を補正する、
ことを特徴とする計測装置。 - 請求項5または請求項6に記載の計測装置において、
前記補正テーブルには、前記被測定物の特定方向からの接触方向について、その直前の接触方向との関係において得られた補正量が記憶されていることを特徴とする計測装置。 - 請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の計測装置において、
前記接触方向検出手段は、タッチトリガプローブと被測定物との各軸方向の相対移動量を検出する変位検出手段からのデータを基にタッチトリガプローブと被測定物との接触方向を検出することを特徴とする計測装置。
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