JP4693721B2 - 自動二輪車の排気管構造 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、連結部材の振動を抑えることができる自動二輪車の排気管構造を提供することを目的としている。
また、連結部材が排気管の外周に巻かれる外周防振部を外方から挟むように設けられるので、排気管の振動を連結部材に伝わる前に外周防振部で低減することができる。
また、連結部材が排気管の断面形状と略同一形状をなす単一のプレートからなるので、部品点数を低減することができる。
また、連結部材には、弾性部材を介してダイナミックウエイトが連結されるので、ダイナミックウエイトの質量や弾性部材のばね定数の変更により、車両の仕様に応じた適切な防振性能を容易に得ることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動二輪車の全体構成を示す側面図である。この自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2のヘッドパイプ2Aに回動可能に支持された左右一対のフロントフォーク3と、これらフロントフォーク3の上端部に配置された操舵用のハンドル4と、フロントフォーク3に回転自在に支持された前輪5と、車体の略中央で車体フレーム2に支持されたエンジン6と、エンジン6の前方に配置されたラジエータ7と、エンジン6の後方で車体フレーム2に上下に揺動自在に支持されたリヤフォーク8と、このリヤフォーク8の後端部に回転自在に支持された後輪9と、リヤフォーク8と車体フレーム2との間に配設されたリヤクッション10と、車体フレーム2の上部に配置された燃料タンク11と、この燃料タンク11の後方に配置され、運転者が着座する前部シート12及び同乗者が着座する後部シート13とを備えており、車体の略全体がカウル14で覆われたフルカウリングタイプに構成されている。
メインフレーム20は、ヘッドパイプ2Aから左右にわかれて後方斜め下方に延出し、その前部に左右一対の前側エンジンハンガ22が一体的に形成された左右一対のフレーム部20Aと、各フレーム部20Aの後端から屈曲して下方に延出し、その下端に左右一対の後側エンジンハンガ23が一体的に形成された左右一対のピボットプレート20Bとを備えている。
このエンジン6は、シリンダブロック32がメインフレーム20の前側エンジンハンガ22にボルト止めされ、またクランクケース31がメインフレーム20の後部及び後側エンジンハンガ23にそれぞれボルト止めされることにより、シリンダブロック32及びシリンダヘッド33が車体前側に前傾した状態で車体フレーム2に支持されている。
このように、集合排気管54及びマフラー55をシートレール21間に配置することにより、これら部品をカウル14の一部品を構成するリヤシートカウル内に収容することができ、車体横にマフラーを配置した場合に生じる乱流の発生を防ぐと共に、左右の重量の均等化などを容易に図ることができる。
この連結ユニット60は、図2に示すように、排気管50B,50Cの上流部分(つまり、クランクケース31の前方部分)に取り付けられ、より具体的には、排気管50B,50Cのエンジン6側の曲げ部M1と、クランクケース31下方に向けて大きく屈曲する曲げ部M2との間の略中間位置に取り付けられている。
連結ユニット60は、図4及び図5(A)に示すように、排気管50B,50Cの外周に巻かれる外周防振部材(防振部材)70と、この外周防振部材70を外方から挟んだ状態で排気管50B,50Cを連結する連結プレート(連結部材)80とを備えている。
なお、グラスウールに代えて、サスウール等の他の金属製ウールやセラミックウール等の他の不燃性繊維材料を適用してもよく、また、耐熱性ゴム等の弾性部材を適用する、といったように他の耐熱性を備えた防振材料を適用してもよい。
なお、図4及び図5(A)は、排気管50Cに対しては垂直断面であるため、排気管50Cの断面形状は真円形状になるのに対し、排気管50A,50B,50Dに対しては若干斜めの断面であるため、排気管50A,50B,50Dの断面形状は若干長円形状になっており、また、排気管50B,50Cの外周面との間の間隙L1は実際には同一の隙間に形成されている。
この場合、外周防振部材70は、連結プレート80を取り付ける前に排気管50A,50Bの外周に予め巻いておくか、あるいは、取り付け前の連結プレート80の内側に予め配置しておくことで、排気管50A,50Bと連結プレート80との間の間隙L1内や連結プレート80の間隙L2内に配置することができる。
しかも、この外周防振部材70には、連結プレート80だけでなく、排気管50B,50Cも接触するため、この外周防振部材70により排気管50B,50Cの振動も低減することができる。このため、この種の外周防振部材70を備えずに排気管を連結する従来のものに比して、連結プレート80の振動だけでなく、排気管50B,50Cの振動で生じる騒音の発生も抑制することができる。
さらに、本実施形態では、連結ユニット60の連結プレート80が排気管50B,50Cの断面形状と略同一形状をなす単一のプレートから形成されるので、複数の排気管に補強部材をそれぞれ巻装して各補強部材を互いに連結した従来のものに比して、部品点数を低減することができる。
図6(A)(B)は第2実施形態の連結ユニット160を示す。この連結ユニット160は、図6(A)(B)に示すように、排気管50B,50Cに溶接にて接合されて排気管50B,50Cを連結する連結プレート180と、この連結プレート180の反対側に防振部材170を挟んで固定される押さえプレート190とを備えている。なお、第1実施形態と略同一の部材は同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
連結プレート180及び押さえプレート190は、平板状の金属板が適用され、互いに連通する孔部81H、81Hが形成される。これら連結プレート180及び押さえプレート190の孔部81H、81Hには、クランクケース31前方からボルト85が挿通されてナット86に締結されることにより、連結プレート180及び押さえプレート190間に防振部材170を挟持するように押さえプレート190が連結プレート180に固定される。
本実施形態では、排気管50B,50Cを連結する連結プレート180との間に防振部材170を挟んで押さえプレート190を固定したので、連結ユニット160を簡易に構成できると共に、この防振部材170が連結プレート180の振動を低減する防振部材として機能し、連結プレート180の振動による騒音の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、連結ユニット160を構成する連結プレート180や押さえプレート190に曲げ加工を必要としないため、各部品を容易に製作することができ、また、排気管50B,50Cの外周を防振部材170や連結プレート180で覆わないため、連結ユニット160を小型化することができる。
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、連結ユニット160の取り付けに排気管50B,50Cに特別な工夫がいらないので、この種の防振構造を採用していない既存の排気管に容易に取り付けることができる。
図7(A)(B)は第3実施形態の連結ユニット260を示す。この連結ユニット260は、排気管50B,50Cに溶接などで固定されて排気管50B,50Cを連結する連結プレート180と、この連結プレート180との間に防振部材170を挟んで固定される押さえプレート290と、押さえプレート290に弾性部材291を介して連結されたウエイト(質量体)292とを備えている。
弾性部材291には、ゴム等の弾性材料からなるラバー材が適用される。この弾性部材291と連結プレート180との間には、図7(A)に示すように、耐熱性を有する防振部材170が配置されるので、この防振部材291が比較的耐熱性が低いものであっても、防振部材170により排気管50B,50Cの熱から弾性部材291を保護することができる。
本実施形態では、このウエイト292の質量や弾性部材291のばね定数などが、この防振ダンパーの固有振動数が低減したい振動数、具体的には、連結プレート180の固有振動数に適合するように調整される。従って、防振ダンパーとして機能する連結ユニット260が、外部振動を受けた場合に連結プレート180の固有振動エネルギーを防振ダンパーの振動エネルギーに変換して吸収し、連結プレート180の振動を低減するダイナミックダンパーとして機能することができる。
しかも、連結プレート180と押さえプレート290との間に防振部材170を配置しているため、この防振部材170によっても連結プレート180、排気管50及び押さえプレート290の振動を低減でき、これら振動による騒音の発生を抑制することができると共に、この防振部材170を弾性部材291を排気管50の熱から保護する熱遮断部材として兼用することができる。
また、本実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様に、連結ユニット260の取り付けに排気管50B,50Cに特別な工夫がいらないので、この種の防振構造を採用していない既存の排気管に容易に取り付けることができる。
また、上述の実施形態では、押さえプレート290にダイナミックウエイトを設ける場合を説明したが、これに限らず、連結プレート80、180に直接ダイナミックウエイトを設けてもよい。
また、上述の実施形態では、自動二輪車の排気管構造に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、エンジンから複数の排気管が延出する車両に広く適用することができ、例えば、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両等を含む鞍乗り型車両の排気管構造などにも適用が可能である。
2 車体フレーム
6 エンジン
31 クランクケース
32 シリンダブロック
33 シリンダヘッド
50,50A,50B,50C,50D 排気管
51L,51R 第1排気管集合部
52L,52R,54 集合排気管
53 第2排気管集合部
55 マフラー
60,160,260 連結ユニット
70 外周防振部材(防振部材)
80,180 連結プレート(連結部材)
81L,81R 排気管覆い部
81M 架橋部
81T1,81T2 両端部
81H 孔部
85 ボルト
86 ナット
100 排気ユニット
170 防振部材
190,290 押さえプレート
291 弾性部材
292 ウエイト(ダイナミックウエイト)
M1,M2 曲げ部
Claims (4)
- 車体フレーム(2)と、車体の略中央で前記車体フレーム(2)に支持されたエンジン(6)と、エンジン(6)の前方に配置された前輪(5)と、前記エンジン(6)から延出する複数の排気管(50)と、複数の排気管(50)を連結する連結部材(80)とを備え、前記エンジン(6)は、クランクケース(31)と、クランクケース(31)の前部から上方に延出するシリンダブロック(32)と、シリンダブロック(32)の上部に設けられたシリンダヘッド(33)とを備え、前記複数の排気管(50)は、前記シリンダヘッド(33)の前面に設けられた複数の排気口に各々接続され、各排気口から下方へ延び、前記クランクケース(31)の前方を通って車両後方へ延出する自動二輪車の排気管構造において、
前記連結部材(80)は、前記クランクケース(31)の前方かつ前記前輪(5)の後方に設けられており、この連結部材(80)は、複数の排気管(50B,50C)の外周を各々覆う排気管覆い部(81L,81R)と、これら排気管覆い部(81L,81R)間に掛け渡され、互いの間に間隙を有する一対の架橋部(81M,81M)とを備え、
前記排気管覆い部(81L,81R)と各排気管(50B,50C)との間と、前記一対の架橋部(81M,81M)の間とに、防振部材(70)を配置し、締結部材(85,86)で各部材(81L,81R,50B,50C,81M,81M)間に前記防振部材(70)を挟むと共に前記連結部材(80)を前記排気管(50B,50C)に固定したことを特徴とする自動二輪車の排気管構造。 - 前記エンジン(6)の前方かつ前記前輪(5)の後方に配置されたラジエータ(7)を備え、
前記連結部材(80)は、前記ラジエータ(7)よりも下方にて前記クランクケース(31)の前方かつ前記前輪(5)の後方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の排気管構造。 - 前記連結部材(80)は、前記排気管(50B,50C)の断面形状と略同一形状をなす単一のプレートからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車の排気管構造。
- 前記連結部材(80)には、弾性部材(291)を介してダイナミックウエイト(292)が連結されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動二輪車の排気管構造。
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