JP4693721B2 - 自動二輪車の排気管構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンから延出する複数の排気管を連結部材で連結した自動二輪車の排気管構造に関する。
従来、自動二輪車には、エンジンから延出する複数の排気管に補強部材をそれぞれ巻装し、各補強部材の両端部を延出させて互いに連結することによって、複数の排気管を連結する連結部材を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−155743号公報
しかし、従来の構成では、車体走行時の車体振動やエンジン振動により連結部材自体が振動してしまい、この振動により騒音が生じてしまう問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、連結部材の振動を抑えることができる自動二輪車の排気管構造を提供することを目的としている。
上述課題を解決するため、本発明は、車体フレーム(2)と、車体の略中央で前記車体フレーム(2)に支持されたエンジン(6)と、エンジン(6)の前方に配置された前輪(5)と、前記エンジン(6)から延出する複数の排気管(50)と、複数の排気管(50)を連結する連結部材(80)とを備え、前記エンジン(6)は、クランクケース(31)と、クランクケース(31)の前部から上方に延出するシリンダブロック(32)と、シリンダブロック(32)の上部に設けられたシリンダヘッド(33)とを備え、前記複数の排気管(50)は、前記シリンダヘッド(33)の前面に設けられた複数の排気口に各々接続され、各排気口から下方へ延び、前記クランクケース(31)の前方を通って車両後方へ延出する自動二輪車の排気管構造において、前記連結部材(80)は、前記クランクケース(31)の前方かつ前記前輪(5)の後方に設けられており、この連結部材(80)は、複数の排気管(50B,50C)の外周を各々覆う排気管覆い部(81L,81R)と、これら排気管覆い部(81L,81R)間に掛け渡され、互いの間に間隙を有する一対の架橋部(81M,81M)とを備え、前記排気管覆い部(81L,81R)と各排気管(50B,50C)との間と、前記一対の架橋部(81M,81M)の間とに、防振部材(70)を配置し、締結部材(85,86)で各部材(81L,81R,50B,50C,81M,81M)間に前記防振部材(70)を挟むと共に前記連結部材(80)を前記排気管(50B,50C)に固定したことを特徴とする。この発明によれば、排気管の連結部材に、この連結部材の防振部材を設けたので、連結部材の振動を抑えることができ、この振動により生じる騒音の発生を抑えることができる。
また、上記構成によれば、排気管の振動を連結部材に伝わる前に外周防振部で低減することができ、連結部材の振動を抑えて振動による騒音の発生を抑制することができる。
この場合において、前記エンジン(6)の前方かつ前記前輪(5)の後方に配置されたラジエータ(7)を備え、前記連結部材(80)は、前記ラジエータ(7)よりも下方にて前記クランクケース(31)の前方かつ前記前輪(5)の後方に配置されるようにしてもよい。また、前記連結部材(80)は、前記排気管(50B,50C)の断面形状と略同一形状をなす単一のプレートからなることが好ましい。この構成によれば、連結部材が単一のプレートからなるので、部品点数を低減することができる。
また、前記連結部材(80)には、弾性部材(291)を介してダイナミックウエイト(292)が連結されることが好ましい。この構成によれば、ダイナミックウエイトの質量や弾性部材のばね定数の変更により、車両の仕様に応じた適切な防振性能を容易に得ることができる。
本発明は、排気管の連結部材に、この連結部材の防振部材を設けたので、連結部材の振動を抑えることができ、この振動により生じる騒音の発生を抑えることができる。
また、連結部材が排気管の外周に巻かれる外周防振部を外方から挟むように設けられるので、排気管の振動を連結部材に伝わる前に外周防振部で低減することができる。
また、連結部材が排気管の断面形状と略同一形状をなす単一のプレートからなるので、部品点数を低減することができる。
た、連結部材には、弾性部材を介してダイナミックウエイトが連結されるので、ダイナミックウエイトの質量や弾性部材のばね定数の変更により、車両の仕様に応じた適切な防振性能を容易に得ることができる。
以下、本発明の一実施形態を添付した図面を参照して説明する。なお、説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は、車体に対してのものとする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印UPは車体上方をそれぞれ示している。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動二輪車の全体構成を示す側面図である。この自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2のヘッドパイプ2Aに回動可能に支持された左右一対のフロントフォーク3と、これらフロントフォーク3の上端部に配置された操舵用のハンドル4と、フロントフォーク3に回転自在に支持された前輪5と、車体の略中央で車体フレーム2に支持されたエンジン6と、エンジン6の前方に配置されたラジエータ7と、エンジン6の後方で車体フレーム2に上下に揺動自在に支持されたリヤフォーク8と、このリヤフォーク8の後端部に回転自在に支持された後輪9と、リヤフォーク8と車体フレーム2との間に配設されたリヤクッション10と、車体フレーム2の上部に配置された燃料タンク11と、この燃料タンク11の後方に配置され、運転者が着座する前部シート12及び同乗者が着座する後部シート13とを備えており、車体の略全体がカウル14で覆われたフルカウリングタイプに構成されている。
車体フレーム2は、エンジン6等を支持するメインフレーム20と、シート12,13を支持する左右一対のシートレール21とを備え、これらはアルミ合金等の金属材料を鋳造又は鍛造して製作されている。
メインフレーム20は、ヘッドパイプ2Aから左右にわかれて後方斜め下方に延出し、その前部に左右一対の前側エンジンハンガ22が一体的に形成された左右一対のフレーム部20Aと、各フレーム部20Aの後端から屈曲して下方に延出し、その下端に左右一対の後側エンジンハンガ23が一体的に形成された左右一対のピボットプレート20Bとを備えている。
左右一対のピボットプレート20Bには、リヤフォーク8の前端が回動自在に連結されると共に、前部シート12に着座した運転者が足を乗せる左右一対のメインステップ25などが取り付けられている。左右一対のシートレール21は、その前端がフレーム部20Aの後端に連結され、このシートレール21には、後部シート13に着座した同乗者が足を乗せる左右一対のピリオンステップ26などが取り付けられる。
エンジン6は、クランクケース31と、クランクケース31の前部に一体的に形成されたシリンダブロック32と、シリンダブロック32の上部に連結されるシリンダヘッド33とを備え、シリンダブロック32内に、左右方向に4本のシリンダ(気筒)が並列に配された並列4気筒4サイクル型エンジン(多気筒エンジン)である。
このエンジン6は、シリンダブロック32がメインフレーム20の前側エンジンハンガ22にボルト止めされ、またクランクケース31がメインフレーム20の後部及び後側エンジンハンガ23にそれぞれボルト止めされることにより、シリンダブロック32及びシリンダヘッド33が車体前側に前傾した状態で車体フレーム2に支持されている。
シリンダブロック32には、各シリンダ内に往復自在にピストンが収容され、クランクケース31には、各ピストンにコンロッドを介して連結されたクランク軸や出力軸35が軸支されると共にクランク軸と出力軸35との間の動力伝達機構を構成するクラッチ機構や変速機構などが収容されている。この出力軸35から後輪9への動力伝達は、チェーン伝動機構36を介して行われ、すなわち、出力軸35と後輪9とに各々設けられたスプロケット37,38と、これらスプロケット37,38に巻回されたドライブチェーン39を介してエンジン6の動力が後輪9に伝達される。
エンジン6のシリンダヘッド33の背面には4つの吸気口33A,33A,33A,33Aが左右一列に開口しており、各吸気口33A,33A,33A,33Aには、スロットルボディ(図示略)を介してエアクリーナ40が接続される。また、シリンダヘッド33の前面には4つの排気口33B,33B,33B,33Bが左右一列に開口しており、各排気口33B,33B,33B,33B毎に4本の排気管50A,50B,50C,50Dが各々接続されている。以下、説明の便宜上、4本の排気管50A,50B,50C,50Dを特に区別する必要がない場合は、排気管50と表記する。
4本の排気管50は、ステンレス材やチタン材などからなる金属管を屈曲して形成される。各排気管50は、図2及び図3に示すように、上流側の先端にジョイント50Jを備え、図示せぬガスケットを間に挟んで先端がシリンダヘッド33に押し当てられ、ジョイント50J,50J,50J,50Jがシリンダヘッド33にボルト止めされることによって排気管50がシリンダヘッド33の各排気口33B,33B,33B,33Bに接続される(図1参照)。
4本の排気管50は、図1に示すように、各排気口33B,33B,33B,33Bから前方斜め下方へ延びた後、車体後方へ屈曲してクランクケース31の前部下方を通り、図3に示すように、車体進行方向左側2本(排気管50A、50B)、及び、車体進行方向右側2本(50C、50D)が第1排気管集合部51L,51Rにより各々1本に集合される。第1排気管集合部51L,51Rは、金属製の筒体からなり、第1排気管集合部51L,51Rの後端には、排気管50より大径の集合排気管52L,52Rが各々接続される。集合排気管52L,52Rは、クランクケース31の下面に沿って後方へ延び、クランクケース31の後部下方において、金属製の筒体からなる第2排気管集合部53に接続され、ここで1本に集合される。
第2排気管集合部53の後部には、図1に示すように、集合排気管52L,52Rより大径の集合排気管54が接続される。この集合排気管54は、クランクケース31後方で屈曲してリヤクッション10の右側方を上方へ延び、リヤクッション10の上部近傍で後方へ屈曲して左右一対のシートレール21間を通って後方斜め上方へ延び、その後端がシートレール21間に配設されるマフラー55に接続される。すなわち、4本の排気管50A〜50D、第1排気管集合部51L,51R、集合排気管52L,52R、第2排気管集合部53、集合排気管54及びマフラー55によって、この自動二輪車1の排気ユニット100が構成される。
このように、集合排気管54及びマフラー55をシートレール21間に配置することにより、これら部品をカウル14の一部品を構成するリヤシートカウル内に収容することができ、車体横にマフラーを配置した場合に生じる乱流の発生を防ぐと共に、左右の重量の均等化などを容易に図ることができる。
ところで、本構成では、図2及び図3に示すように、4本の排気管50A,50B,50C,50Dのうち、中央2本の排気管50B,50Cを連結する連結ユニット60を備えており、この連結ユニット60により、車両走行時の車体振動やエンジン振動により排気管50A,50Bが別々に振動するのを抑制している。
この連結ユニット60は、図2に示すように、排気管50B,50Cの上流部分(つまり、クランクケース31の前方部分)に取り付けられ、より具体的には、排気管50B,50Cのエンジン6側の曲げ部M1と、クランクケース31下方に向けて大きく屈曲する曲げ部M2との間の略中間位置に取り付けられている。
図4は、連結ユニット60を排気管50A〜50Dと共に示す断面図である。また、図5(A)は連結ユニット60の断面図であり、図5(B)は連結ユニット60をその周辺構成と共に車体前方から見た図である。なお、図4及び図5(A)は排気管50Cの軸線に対する垂直断面(図2に示すIV−IV断面)を示している。
連結ユニット60は、図4及び図5(A)に示すように、排気管50B,50Cの外周に巻かれる外周防振部材(防振部材)70と、この外周防振部材70を外方から挟んだ状態で排気管50B,50Cを連結する連結プレート(連結部材)80とを備えている。
外周防振部材70には、グラスウールが適用される。グラスウールは、ガラス繊維であるため、排気管50B,50Cからの熱に十分に耐える耐熱性を備えると共に、連結プレート80や排気管50B,50Cが振動した場合にその振動によりガラス繊維がこすれる等して振動エネルギーを熱エネルギーに変換することができる。このため、この外周防振部材70は、連結プレート80や排気管50B,50Cの振動エネルギーを熱エネルギーへ変換し、排気管50B,50Cから連結プレート80に伝わる振動などを低減することができる。また、グラスウールの繊維径や密度などを調整することによって、車両の仕様(エンジン型式や排気管構成など)に応じた適切な防振性能に調整することもできる。
なお、グラスウールに代えて、サスウール等の他の金属製ウールやセラミックウール等の他の不燃性繊維材料を適用してもよく、また、耐熱性ゴム等の弾性部材を適用する、といったように他の耐熱性を備えた防振材料を適用してもよい。
連結プレート80は、略矩形形状の一枚の金属板に、連結プレート80の取付位置における排気管50B,50Cの外形形状に沿った曲げ加工を施すことによって形成される。より具体的には、この連結プレート80は、排気管50B,50Cの外周面との間に略一定の間隙L1を有して排気管50B,50Cを各々覆う排気管覆い部81L,81Rと、排気管50B,50C間に架け渡され、互いに略一定の間隙L2を有する架橋部81M,81Mとを一体に有し、この金属板の両端部81T1,81T2が一方の排気管50Bの側方で当接する形状に形成されている。
なお、図4及び図5(A)は、排気管50Cに対しては垂直断面であるため、排気管50Cの断面形状は真円形状になるのに対し、排気管50A,50B,50Dに対しては若干斜めの断面であるため、排気管50A,50B,50Dの断面形状は若干長円形状になっており、また、排気管50B,50Cの外周面との間の間隙L1は実際には同一の隙間に形成されている。
この連結プレート80を排気管50B,50Cに取り付ける場合には、連結プレート80の両端部81T1,81T2を開き、排気管50Cの側方から排気管50C,50Bに順に通した後、両端部81T1,81T2を開く力を弱めると、連結プレート80自体の弾性復帰力により両端部81T1,81T2が閉じて互いに当接し、連結プレート80が排気管50B,50Cを挟むように取り付く。
この場合、外周防振部材70は、連結プレート80を取り付ける前に排気管50A,50Bの外周に予め巻いておくか、あるいは、取り付け前の連結プレート80の内側に予め配置しておくことで、排気管50A,50Bと連結プレート80との間の間隙L1内や連結プレート80の間隙L2内に配置することができる。
また、連結プレート80の架橋部81M,81Mには、前後に連通する孔部81H,81Hが形成されており、これら孔部81H,81Hにはクランクケース31前方からボルト85が挿通されてナット86に締結され、これにより、連結プレート80が、排気管50B,50Cとの間に外周防振部材70を挟んで排気管50B,50Cに確実に固定される。
本実施形態では、排気管50B,50Cを連結する連結ユニット60が、排気管50B,50Cの外周に巻かれる外周防振部材70と、この外周防振部材70を外方から挟んだ状態で排気管50B,50Cを連結する連結プレート80とを備えるので、排気管50B,50Cの振動が連結プレート80に伝わる前に、この振動を外周防振部材70で低減することができ、連結プレート80の振動で生じる騒音の発生を抑制することができる。
しかも、この外周防振部材70には、連結プレート80だけでなく、排気管50B,50Cも接触するため、この外周防振部材70により排気管50B,50Cの振動も低減することができる。このため、この種の外周防振部材70を備えずに排気管を連結する従来のものに比して、連結プレート80の振動だけでなく、排気管50B,50Cの振動で生じる騒音の発生も抑制することができる。
このように本構成は、排気管50B,50Cの振動を低減できるため、排気管50B,50Cに接続された第1排気管集合部51L,51R、集合排気管52L,52R、第2排気管集合部53及び集合排気管54の振動も低減でき、この第1排気管集合部51L,51Rに接続された排気管50A,50Dの振動も十分に低減することができる。従って、連結ユニット60は、外周防振部材70によって連結プレート80及び排気ユニット100全体の振動を低減することができ、各部の振動で生じる騒音の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、上記連結ユニット60を、排気管50B,50Cの曲げ部M1,M2間の略中間位置に取り付けるので、排気管50B,50Cの振動時に振幅が極大となり易い曲げ部M1,M2間の略中間位置の振動を効率よく低減することができる。また、連結ユニット60の取り付け位置がクランクケース31前方からアクセス容易な位置にあるので、連結ユニット60の取り付けや取り外しが容易である。
さらに、本実施形態では、連結ユニット60の連結プレート80が排気管50B,50Cの断面形状と略同一形状をなす単一のプレートから形成されるので、複数の排気管に補強部材をそれぞれ巻装して各補強部材を互いに連結した従来のものに比して、部品点数を低減することができる。
また、本実施形態の連結ユニット60は、排気管50B,50Cに特別な工夫をせずにこれら排気管50B、50Cに取付可能なので、この種の防振構造を採用していない既存の排気管に容易に取り付けることができる。
<第2実施形態>
図6(A)(B)は第2実施形態の連結ユニット160を示す。この連結ユニット160は、図6(A)(B)に示すように、排気管50B,50Cに溶接にて接合されて排気管50B,50Cを連結する連結プレート180と、この連結プレート180の反対側に防振部材170を挟んで固定される押さえプレート190とを備えている。なお、第1実施形態と略同一の部材は同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
連結プレート180及び押さえプレート190は、平板状の金属板が適用され、互いに連通する孔部81H、81Hが形成される。これら連結プレート180及び押さえプレート190の孔部81H、81Hには、クランクケース31前方からボルト85が挿通されてナット86に締結されることにより、連結プレート180及び押さえプレート190間に防振部材170を挟持するように押さえプレート190が連結プレート180に固定される。
この防振部材170には、グラスウール等の排気管50B,50Cからの熱に耐える耐熱性を有し、かつ、外部から作用する振動を低減可能な防振材料が適用される。
本実施形態では、排気管50B,50Cを連結する連結プレート180との間に防振部材170を挟んで押さえプレート190を固定したので、連結ユニット160を簡易に構成できると共に、この防振部材170が連結プレート180の振動を低減する防振部材として機能し、連結プレート180の振動による騒音の発生を抑制することができる。
また、排気管50B,50Cが振動した場合も、この振動による連結プレート180の振動が防振部材170により低減されると共に、押さえプレート190が振動した場合も、この振動が押さえプレート190に接する防振部材170により低減され、これら部材の振動による騒音の発生も抑制することができる。
さらに、本実施形態では、連結ユニット160を構成する連結プレート180や押さえプレート190に曲げ加工を必要としないため、各部品を容易に製作することができ、また、排気管50B,50Cの外周を防振部材170や連結プレート180で覆わないため、連結ユニット160を小型化することができる。
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、連結ユニット160の取り付けに排気管50B,50Cに特別な工夫がいらないので、この種の防振構造を採用していない既存の排気管に容易に取り付けることができる。
<第3実施形態>
図7(A)(B)は第3実施形態の連結ユニット260を示す。この連結ユニット260は、排気管50B,50Cに溶接などで固定されて排気管50B,50Cを連結する連結プレート180と、この連結プレート180との間に防振部材170を挟んで固定される押さえプレート290と、押さえプレート290に弾性部材291を介して連結されたウエイト(質量体)292とを備えている。
弾性部材291には、ゴム等の弾性材料からなるラバー材が適用される。この弾性部材291と連結プレート180との間には、図7(A)に示すように、耐熱性を有する防振部材170が配置されるので、この防振部材291が比較的耐熱性が低いものであっても、防振部材170により排気管50B,50Cの熱から弾性部材291を保護することができる。
また、上記ウエイト292が、排気管50B,50Cを連結する連結プレート180に弾性支持されるため、このウエイト292がダンパーウエイトとして機能し、連結ユニット260全体を防振ダンパーとして機能させることができる。
本実施形態では、このウエイト292の質量や弾性部材291のばね定数などが、この防振ダンパーの固有振動数が低減したい振動数、具体的には、連結プレート180の固有振動数に適合するように調整される。従って、防振ダンパーとして機能する連結ユニット260が、外部振動を受けた場合に連結プレート180の固有振動エネルギーを防振ダンパーの振動エネルギーに変換して吸収し、連結プレート180の振動を低減するダイナミックダンパーとして機能することができる。
このように、排気管50B,50Cを連結する連結プレート180にウエイト292を弾性支持してダイナミックウエイトとして機能させたため、連結プレート180の振動を確実に低減することができ、この振動による騒音の発生を確実に抑制することができる。また、ウエイト292の質量や弾性部材291のばね定数を変更するだけで、車両の仕様(エンジン型式や排気管構成など)に応じた適切な防振性能を容易に得ることができる。
しかも、連結プレート180と押さえプレート290との間に防振部材170を配置しているため、この防振部材170によっても連結プレート180、排気管50及び押さえプレート290の振動を低減でき、これら振動による騒音の発生を抑制することができると共に、この防振部材170を弾性部材291を排気管50の熱から保護する熱遮断部材として兼用することができる。
また、この連結ユニット260においても、第2実施形態と同様に、連結プレート180や押さえプレート290に曲げ加工を必要としないため、各部品を容易に製作することができ、また、排気管50B,50Cの外周を防振部材170などで覆わないので、連結ユニット260を小型化することができる。
また、本実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様に、連結ユニット260の取り付けに排気管50B,50Cに特別な工夫がいらないので、この種の防振構造を採用していない既存の排気管に容易に取り付けることができる。
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、種々の設計変更を行うことができる。例えば、上述の実施形態では、連結ユニット60,160及び260を、排気管50B,50Cの曲げ部M1,M2間の略中間位置に取り付ける場合を説明したが、これに限らず、要は、排気管50の振動の大きい部分や、振動の腹に相当する部分、例えば、排気管50内に流れる排気ガスの脈動により生じる振動の腹に相当する部分に取り付けることが好ましく、また排気管の直線部分に設けることが好ましい。
また、上述の実施形態では、押さえプレート290にダイナミックウエイトを設ける場合を説明したが、これに限らず、連結プレート80、180に直接ダイナミックウエイトを設けてもよい。
また、上述の実施形態では、連結プレート80,180や押さえプレート190に金属製のプレートを使用する場合を説明したが、これに限らず、耐熱性を有する他の材料からなるプレートを適用してもよい。
また、上述の実施形態では、自動二輪車の排気管構造に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、エンジンから複数の排気管が延出する車両に広く適用することができ、例えば、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両等を含む鞍乗り型車両の排気管構造などにも適用が可能である。
第1実施形態に係る自動二輪車の全体構成を示す側面図である。 排気ユニットを側方から見た図である。 排気ユニットを上方から見た図である。 図2のIV−IV断面を示す図である。 (A)は連結ユニットの断面図であり、(B)は連結ユニットをその周辺構成と共に車体前方から見た図である。 (A)は第2実施形態の連結ユニットの断面図であり、(B)は連結ユニットをその周辺構成と共に車体前方から見た図である。 (A)は第3実施形態の連結ユニットの断面図であり、(B)は連結ユニットをその周辺構成と共に車体前方から見た図である。
符号の説明
1 自動二輪車
2 車体フレーム
6 エンジン
31 クランクケース
32 シリンダブロック
33 シリンダヘッド
50,50A,50B,50C,50D 排気管
51L,51R 第1排気管集合部
52L,52R,54 集合排気管
53 第2排気管集合部
55 マフラー
60,160,260 連結ユニット
70 外周防振部材(防振部材)
80,180 連結プレート(連結部材)
81L,81R 排気管覆い部
81M 架橋部
81T1,81T2 両端部
81H 孔部
85 ボルト
86 ナット
100 排気ユニット
170 防振部材
190,290 押さえプレート
291 弾性部材
292 ウエイト(ダイナミックウエイト)
M1,M2 曲げ部

Claims (4)

  1. 車体フレーム(2)と、車体の略中央で前記車体フレーム(2)に支持されたエンジン(6)と、エンジン(6)の前方に配置された前輪(5)と、前記エンジン(6)から延出する複数の排気管(50)と、複数の排気管(50)を連結する連結部材(80)とを備え、前記エンジン(6)は、クランクケース(31)と、クランクケース(31)の前部から上方に延出するシリンダブロック(32)と、シリンダブロック(32)の上部に設けられたシリンダヘッド(33)とを備え、前記複数の排気管(50)は、前記シリンダヘッド(33)の前面に設けられた複数の排気口に各々接続され、各排気口から下方へ延び、前記クランクケース(31)の前方を通って車両後方へ延出する自動二輪車の排気管構造において、
    前記連結部材(80)は、前記クランクケース(31)の前方かつ前記前輪(5)の後方に設けられており、この連結部材(80)は、複数の排気管(50B,50C)の外周を各々覆う排気管覆い部(81L,81R)と、これら排気管覆い部(81L,81R)間に掛け渡され、互いの間に間隙を有する一対の架橋部(81M,81M)とを備え、
    前記排気管覆い部(81L,81R)と各排気管(50B,50C)との間と、前記一対の架橋部(81M,81M)の間とに、防振部材(70)を配置し、締結部材(85,86)で各部材(81L,81R,50B,50C,81M,81M)間に前記防振部材(70)を挟むと共に前記連結部材(80)を前記排気管(50B,50C)に固定したことを特徴とする自動二輪車の排気管構造。
  2. 前記エンジン(6)の前方かつ前記前輪(5)の後方に配置されたラジエータ(7)を備え、
    前記連結部材(80)は、前記ラジエータ(7)よりも下方にて前記クランクケース(31)の前方かつ前記前輪(5)の後方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の排気管構造。
  3. 前記連結部材(80)は、前記排気管(50B,50C)の断面形状と略同一形状をなす単一のプレートからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車の排気管構造。
  4. 前記連結部材(80)には、弾性部材(291)を介してダイナミックウエイト(292)が連結されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動二輪車の排気管構造。
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