JP4693521B2 - 農作業機械 - Google Patents

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Description

本発明は、トラクタ等の走行機体にリンク機構を介して昇降調節可能に装着されたロータリ耕耘機にて耕耘作業を実行する農作業機械に関するものである。
従来から、耕耘作業を実行するトラクタは、エンジンを搭載した走行機体の後部にリンク機構を介して昇降調節可能に装着されたロータリ耕耘機と、作業機昇降レバーの操作位置に応じてロータリ耕耘機を昇降動させる昇降制御油圧シリンダと、昇降制御油圧シリンダの駆動を制御したり、エンジン等の回転数を制御したりする制御コントローラとを備えている。エンジンからの回転動力の一部は、PTO変速機構及びPTO軸を介して、ロータリ耕耘機に伝達されるように構成されている。
前記従来のトラクタを往復動させて圃場を耕耘するに当たっては、枕地に到達した走行機体を方向転換させる際に、作業機昇降レバーの上昇操作にてロータリ耕耘機を地面から離れるように上昇動させる。この場合、ロータリ耕耘機は上昇途中であっても耕耘作業時と同様に回転駆動するのに対して、ロータリ耕耘機に設けられた土均し用のリヤカバー体で地面(掻き上げられた土)を押え付ける作用は、ロータリ耕耘機が上昇するに連れて弱まり、やがてなくなることから、枕地と耕耘済地との間の遷移領域には、ロータリ耕耘機にて形成された耕耘跡穴が残ると共に、該耕耘跡穴の傍らに、ロータリ耕耘機にて掻き上げられた土が盛土として残ることになる。このようにして形成された耕耘跡穴及び盛土は、トラクタで遷移領域を走行する(通常耕耘作業時の往復動方向と略直交する方向に走行する)枕地耕耘作業により均さなければならない。
しかし、前記従来のトラクタの構成では、ロータリ耕耘機は上昇途中であっても耕耘作業時と同様に回転駆動するため、遷移領域に高低差の大きな凹凸が残り、その後に枕地耕耘作業をしても遷移領域を均平に仕上げられない(枕地耕耘作業後も凹凸が残る)ことがあった。
この問題を解消する方策として特許文献1には、作業機昇降レバーの上昇操作にてロータリ耕耘機を耕耘位置から上昇限界位置(地面から大きく離れた位置)に上昇動させるまでの間、エンジン回転数を予め設定された所定回転数にまで低下させることによって、PTO軸の回転数を所定回転数に低下させるという制御が開示されている(第6頁段落0029の第2文及び第3文参照)。
かかる制御を採用すると、耕耘作業中のトラクタを枕地付近で方向転換させる際に、オペレータが作業機昇降レバーを上昇操作すれば、ロータリ耕耘機が耕耘位置から上昇限界位置に到達するまでの間、PTO軸の回転数低下によりロータリ耕耘機の耕耘力(回転駆動力)が弱まるから、枕地と耕耘済地との間の遷移領域では、前記ロータリ耕耘機の上昇中に掻き上げられる土の量が減少し、耕耘跡穴と盛土との高低差(凹凸)が小さくなるという利点がある。
特開平8−214612号公報
しかし、特許文献1の制御では、ロータリ耕耘機が上昇動するときのエンジン回転数は土質や硬軟度等の圃場状況に拘らず所定の低い回転数に設定されるから、例えば圃場が硬い等の理由によりロータリ耕耘機ひいてはエンジンに多大な負荷がかかった状態で、作業機昇降レバーの上昇操作にてロータリ耕耘機を上昇動させると、その上昇開始時にエンジン回転数の低下によりエンジントルクが不足し、その結果、エンジンが過負荷で停止する(エンジンストールする)というおそれがあった。
そこで、本発明は、エンジンストールを招来することなく、ロータリ耕耘機の上昇動時に形成される耕耘跡穴及び盛土の大きさを小さくできるようにした農作業機械を提供することを技術的課題とするものである。
この技術的課題を達成するため、請求項1の発明は、エンジンを搭載した走行機体に、ロータリ耕耘機がリンク機構を介して昇降調節可能に装着され、前記エンジンからの回転動力の一部が、PTO変速機構及びPTO軸を介して前記ロータリ耕耘機に伝達されるように構成され、前記エンジンや前記PTO軸の回転数を制御する制御手段が備えられた農作業機械であって、前記走行機体には、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、前記エンジンへの燃料供給量から前記エンジンに対する負荷を検出するエンジン負荷検出手段とが設けられ、前記ロータリ耕耘機が耕耘位置から非耕耘位置に上昇動する場合において、前記エンジンに対する負荷が予め設定された設定負荷以下のとき、エンジンストールしない範囲で、前記ロータリ耕耘機が非耕耘位置に上昇するまでの時間が一定になるように、目標耕耘深さの深浅に応じて前記エンジンの回転数を低下させ、且つ前記PTO変速機構の変速段を低速側に移行させることによって、前記PTO軸の回転数を低下させるものである。
請求項1の発明によると、前記PTO軸の回転数低下により前記ロータリ耕耘機の耕耘力が弱まるから、枕地と耕耘済地との間の遷移領域では、耕耘跡穴と盛土との高低差(凹凸)を小さくできる。
一方、前記ロータリ耕耘機の上昇動の際に、前記エンジンに対する負荷が前記設定負荷より大きいと、前述の制御は実行されないので、例えば圃場が硬い等の理由により前記ロータリ耕耘機ひいては前記エンジンに多大な負荷がかかった状態では、エンジン回転数及びエンジントルクが高い状態に維持され、エンジンストールすることはない。
従って、ロータリ耕耘機の上昇動時におけるエンジンストールの防止、及び遷移領域に形成される凹凸の小型化という両方の機能を兼ね備えた使い勝手のよいものになるという効果を奏する。
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図14)に基づいて説明する。
図1〜図12はトラクタに本発明を適用した第1実施形態を示している。図1はトラクタの側面図、図2はトラクタの平面図、図3は作業機用昇降機構の概略側面図、図4は作業機用昇降機構の概略平面図、図5は図2のV−V視側断面図、図6はロータリ耕耘機の概略背面図、図7はトラクタの油圧回路図、図8は制御手段の機能ブロック図、図9は耕耘深さ自動制御のフローチャート、図10はエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示す制御マップの図、図11はロータリ耕耘機の上昇動に要する時間とエンジン回転数との関係を示す図、図12はロータリ耕耘機が上昇動する態様の説明図である。
図1乃至図4に示すように、第1実施形態におけるトラクタ1の走行機体2は、左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。前記走行機体2の前部に搭載したディーゼル式エンジン5にて後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、トラクタ1は前後進走行するように構成される。エンジン5はボンネット6にて覆われる。また、前記走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3の操向方向を左右に動かすようにした操縦ハンドル(丸ハンドル)9とが設置されている。キャビン7の外側部には、オペレータが乗降するステップ10が設けられ、該ステップ10より内側で且つキャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
また、図1乃至図4に示すように、走行機体2は、前バンパ12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部にボルトにて着脱自在に固定する左右の機体フレーム16とにより構成される。機体フレーム16の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するための走行変速機構19を有するミッションケース17が搭載されている。後車輪4は、ミッションケース17の外側面から外向きに突出するように装着された後車軸ケース18を介して取り付けられている。
ミッションケース17には、エンジン5からの回転動力の一部を後述するPTO軸23に伝達するためのPTO変速機構70も内蔵されている(図3参照)。PTO変速機構70は、ロータリ耕耘機24の回転伝動系への入口において、回転動力の大きさを無段階又は段階的に調節する(適宜変速させる)ためのものである。
図3及び図4に示すように、ミッションケース17の後部上面には、作業機としてのロータリ耕耘機24を昇降動するための油圧式の作業機用昇降機構20が着脱可能に取り付けられている。ロータリ耕耘機24は、ミッションケース17の後部に、一対の左右ロワーリンク21及びトップリンク22からなる3点リンク機構を介して連結される。左右ロワーリンク21の前端側は、ミッションケース17の後部の左右側面にロワーリンクピン25を介して回動可能に連結されている。トップリンク22の前端側は、作業機用昇降機構20の後部のトップリンクヒッチ26にトップリンクピン27を介して連結されている。さらに、ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機24にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸23が後向きに突出するように設けられている。
図3、図4及び図7に示すように、油圧式の作業機用昇降機構20には、後述する単動形の昇降制御油圧シリンダ28にて回動させるための一対の左右リフトアーム29が設置されている。進行方向に向かって左側のロワーリンク21とリフトアーム29とは、左リフトロッド30を介して連結されている。進行方向に向かって右側のロワーリンク21とリフトアーム29とは、右リフトロッド31、及び該ロッド31の一部を形成する複動形の傾斜制御油圧シリンダ32、及び該シリンダ32のピストンロッド33とを介して連結されている。
図1に示すように、ロータリ耕耘機24における下リンクフレーム34の前端と左右一対のロワーリンク21とは、下ヒッチピン35aを介して連結されている。トップリンク22の各後端側と上リンクフレーム34の前端側とは、上ヒッチピン34aを介して連結されている。
図1、図2、図5及び図6に示すように、ロータリ耕耘機24は、横長筒状のメインビーム36と、メインビーム36の左右側端部にそれぞれ上端側が連結されたチェンケース37及び軸受板38と、チェンケース37及び軸受板38の下端側に左右両端部が回転自在に軸支された耕耘爪軸39と、耕耘爪軸39に放射状にて着脱可能に取り付けられた複数の耕耘爪40と、耕耘爪40の回転軌跡の上方を覆うように配置された耕耘上面カバー41と、耕耘爪40の回転軌跡の左右側方を覆うように配置された左右耕耘サイドカバー42と、耕耘爪40の回転軌跡の後方を覆うように配置された耕耘リヤカバー43と、メインビーム36に前端側が取り付けられて後方に長く伸びる耕深調節フレーム44と、上リンクフレーム34の後端側と耕深調節フレーム44の前後方向の中間部とをつなぐ伸縮調節可能な耕深調節軸45等を備えている。
下リンクフレーム35はメインビーム36に一体的に連結されている(図2及び図6参照)。トップリンク22は、ターンバックル22aの回転にて伸縮させて、該トップリンク22の長さを変更調節可能となるように構成されている(図3及び図4参照)。上リンクフレーム34の前後方向の中間部は、耕深調節支点軸34bを介してメインビーム36に回動可能に連結されている(図1参照)。耕深調節フレーム44の前端側はメインビーム36に一体的に連結されている。耕深調節ハンドル45a(図1参照)の回転操作にて耕深調節軸45を伸縮させたときには、一対の左右ロワーリンク21及びトップリンク22にて支持されるロータリ耕耘機24が前傾又は後傾姿勢に変化して、耕耘爪40による耕耘深さRDが変更可能に構成されている。
図1、図5及び図6に示すように、メインビーム36の左右中央部には、PTO軸23からの駆動力を入力するためのギヤケース46が配置されている。PTO軸23とギヤケース46の前面側のPTO入力軸46aとは、両端に自在継手が備えられた伸縮自在な伝動軸46bを介して連結されている。PTO軸23からの動力は、ギヤケース46に内蔵されたベベルギヤ(図示せず)、メインビーム36に内蔵された回転軸(図示せず)、チェンケース37に内蔵されたたスプロケット及びチェン(図示せず)等を介して耕耘爪軸39に伝達され、耕耘爪40を図1及び図5において反時計方向に回転させる。
図5及び図6に示すように、走行機体2の左右幅方向に長い耕耘上面カバー41の後端部には、枢着軸47を介して耕耘リヤカバー43の前端側が連結されている。耕耘上面カバー41の上面後部には、後傾姿勢の一対の左右ハンガーフレーム48が立設されている。耕耘リヤカバー43の上面の後端側と左右ハンガーフレーム48とは1対の左右ハンガー機構49を介して上下動可能に連結されている。各ハンガーフレーム48の上端部には、受圧軸体48aが水平軸線(中心線)回りに回動可能に配置されている。
各ハンガー機構49における細長い丸棒形のハンガーロッド50は、受圧軸体48aに水平軸線(中心線)と直交する方向に摺動可能に貫通している。ハンガーロッド50の下端部は、支軸53を介して、耕耘リヤカバー43の後部上面に設けられたブラケット54に回動自在に連結されている(図5参照)。ハンガーロッド50の上端側には下降規制ピン51が設けられている。受圧軸体48aと下降規制ピン51の間のハンガーロッド50には、ドーナツ形の下降規制板52がハンガーロッド50の軸線方向に摺動可能に被嵌されている。また、ハンガーロッド50の下部側(支軸53より上側)には、上昇規制ピン55が配置されている。受圧軸体48aと上昇規制ピン55との間のハンガーロッド50には、ドーナツ形の上下座板56,57を介して、耕耘リヤカバー43に鎮圧力を付与するための鎮圧用圧縮バネ58が被嵌されている。
ロータリ耕耘機24が非耕耘位置にあるとき、すなわちロータリ耕耘機24が地面Gから適宜離れた高さに持ち上げられたときには(図12の実線状態参照)、耕耘リヤカバー43の後端側が枢着軸47の回りに下方側に回動する。すると、下降規制ピン51が下降規制板52に当接して、下降規制板52が受圧軸体48aに当接する。その結果、耕耘リヤカバー43はその後端側を最下降させた姿勢に維持されることになる。
一方、ロータリ耕耘機24が耕耘位置にあるとき、すなわちロータリ耕耘機24を地面Gに降ろして耕耘爪40を着地させたときや耕耘作業中においては(図5の実線状態及び図12の二点鎖線状態参照)、耕耘リヤカバー43の後端側が、耕耘された耕土との接地圧にて枢着軸47回りに上方に回動することになる。また、耕耘リヤカバー43の後端側が枢着軸47回りに上方に回動したときには、上昇規制ピン55及び下座板57を介して鎮圧用圧縮バネ58が圧縮されて、耕耘リヤカバー43の後端側の上向き回動が鎮圧用圧縮バネ58の付勢力にて規制されることになる。これにより、耕耘爪40から耕耘リヤカバー43の後方に排出される耕土量が制限されたり、地面が耕耘リヤカバー43の移動にて均平に均されたりすることになる。
図7はトラクタ1の油圧回路100を示している。該油圧回路100には、エンジン5の回転力により作動する作業機用油圧ポンプ101を備える。作業機用油圧ポンプ101は、作業機用昇降機構20における昇降制御油圧シリンダ28に作動油を供給制御するための上昇制御電磁弁102及び下降制御電磁弁103と、傾斜制御油圧シリンダ32に作動油を供給制御するための傾斜制御電磁弁104とに、分流弁105を介して接続されている。また、油圧回路100には、リリーフ弁や流量調整弁、チェック弁、オイルクーラ、オイルフィルタ等も備えている(図7参照)。
次に、キャビン7内に配置された各種操作手段の構成について説明する。図1及び図2に示すように、キャビン7内にある丸ハンドル型の操縦ハンドル9は、操縦座席8の前方に位置する操縦コラム60上に設けられている。操縦コラム60の右方には、エンジン5の回転数(出力)を調節するためのスロットルレバー117と、走行機体2を制動操作するための左右ブレーキペダル61とが設けられている。操縦コラム60の左方にはクラッチペダル62が配置されている。
操縦座席8の右側コラム上には、ロータリ耕耘機24の高さ位置を手動で変更調節するための作業機昇降レバー63、作業状態に応じてPTO変速機構70の変速段を無段階又は段階的に変速操作するためのPTO変速レバー64、走行機体2に対するロータリ耕耘機24の相対的な目標左右傾斜角度を予め設定するための可変抵抗器等からなる傾斜設定器123、及びロータリ耕耘機24の目標耕耘深さRD0を予め設定するための可変抵抗器等からなる耕深設定器126等が配置されている。傾斜設定器123及び耕深設定器126は、その摘み(指針)の位置を連続的(アナログ的)又は段階的(デジタル的)に変更し得るように構成されている。操縦座席8の左側コラム上には、走行変速レバー65が配置されている。操縦座席8の左側コラムの前方には、デフロックペダル66が配置されている。
次に、図8等を参照しながら、ロータリ耕耘機24の耕耘制御(耕耘深さ自動制御及びローリング自動制御)や、エンジン5及びPTO軸23の回転数制御のための構成について説明する。
制御プログラム等が記憶されたROMや各種データを記憶可能なRAM等を備えた耕耘制御コントローラ110は、電源印加用のキースイッチ111を介してバッテリ112に接続されている。キースイッチ111は、エンジン5を始動するためのスタータ113にも接続可能に構成されている。
耕耘制御コントローラ110には、入力系の各種スイッチ及びセンサ類、例えば前述した傾斜設定器123及び耕深設定器126のほか、走行機体2の左右傾斜角度を検出するための振子式の機体ローリングセンサ120、走行機体2に対するロータリ耕耘機24の相対的な左右傾斜角度を検出するポテンショメータ型の作業機ポジションセンサ122、前後四輪3,4の回転速度(走行速度)を検出する車速センサ127、リフトアーム29の回動角度を検出するポテンショメータ型のリフト角センサ129、耕耘リヤカバー43の上下回動角度を検出するポテンショメータ型のリヤカバーセンサ124、PTO軸23の回転数NPを検出するPTO回転センサ128、及びPTO変速機構70における現在の変速段を検出するPTO変速段センサ130等が接続されている。
機体ローリングセンサ120は、作業機用昇降機構20の上面で且つ操縦座席8の後方の箇所に配置されている(図1〜図4参照)。また、詳細は図示していないが、作業機ポジションセンサ122は、耕耘上面カバー41の上方に位置するメインビーム36の左右中央箇所に配置されている。リフト角センサ129は、作業機用昇降機構20と左リフトアーム29との連結箇所に配置されている(図3及び図4参照)。
リヤカバーセンサ124は、耕耘上面カバー41の後部上面に配置されている(図2、図5及び図6参照)。リヤカバーセンサ124と耕耘リヤカバー43とは、センサアーム67及びセンサリンク68等を介して連結されている。リヤカバーセンサ124は、例えば低域フィルタ(ローパスフィルタ)等からなるフィルタ部125を介して耕耘制御コントローラ110に接続されている。
耕耘制御コントローラ110には、出力系の各種電磁弁等、すなわち上昇制御電磁弁102、下降制御電磁弁103、傾斜制御電磁弁104、及びPTO変速レバー64の操作位置に対応した変速段となるようにPTO変速機構70を駆動させるためのPTO変速制御弁106も接続されている。
耕耘制御コントローラ110は、リヤカバーセンサ124の検出値に基づいて、上昇制御電磁弁102又は下降制御電磁弁103を切り換えて昇降制御油圧シリンダ28を伸縮駆動させることにより、ロータリ耕耘機24の耕耘深さRDが耕深設定器126にて予め設定された目標耕耘深さRD0になるように、ロータリ耕耘機24の耕耘深さ自動制御を実行する。
また、耕耘制御コントローラ110は、機体ローリングセンサ120及び作業機ポジションセンサ122の検出情報に基づいて、傾斜制御電磁弁104を切り換えて傾斜制御油圧シリンダ32を伸縮駆動させることにより、ロータリ耕耘機24の左右傾斜角度が傾斜設定器123にて設定された目標左右傾斜角度になるように、ロータリ耕耘機24のローリング自動制御を実行する。
さらに、耕耘制御コントローラ110には、エンジン5の回転を制御するエンジン制御コントローラ114が接続されている。エンジン制御コントローラ114は、耕耘制御コントローラ110と同様に、各種演算を実行するCPU(中央処理装置)のほか、制御プログラムが記憶されたROM114a(読み出し専用メモリ)、各種データを記憶可能なRAM114b(随時読み書き可能メモリ)等を備えている。
エンジン制御コントローラ114には、エンジン5の負荷(出力)を調節制御する電子ガバナ115と、該電子ガバナ115付き燃料噴射ポンプ131のラック位置から燃料供給量を検出するエンジン負荷検出手段としてのラック位置センサ132と、スロットルレバー117の回動位置を検出するスロットルポテンショメータ118と、エンジン5の回転数が所定値となるように燃料噴射ポンプ131のラック位置を調節するラックアクチュエータ119と、スロットルレバー117の操作位置に拘らず、所定の車速Vとなるように走行変速機構19を駆動させるための走行変速制御弁107と、エンジン5の回転数NEを検出するエンジン回転数検出手段としてのエンジン回転センサ116とが接続されている。
オペレータがスロットルレバー117を手動操作すると、エンジン制御コントローラ114は、スロットルポテンショメータ118の検出情報に基づいて、スロットルレバー117の設定回転数とエンジン5の回転数とが一致するように、ラックアクチュエータ119にて燃料噴射ポンプ131のラック位置を自動的に調節する制御を実行する。これにより、エンジン5の回転数NEは、負荷の変動に拘らず、スロットルレバー117の操作位置に応じた所定回転数NEに保持される。
エンジン制御コントローラ114のROM114aには、エンジン回転センサ116の検出値(エンジン回転数NE)とエンジントルクTEとの関係を示す制御マップ又は関係式が予め記憶されている。かかる制御マップ又は関係式は実験等により求められる。
図10に示す制御マップでは、エンジン回転センサ116の検出値(エンジン回転数NE)を横軸に採り、エンジントルクTEを縦軸に取っている。この第1制御マップにおいてエンジン回転数NEとエンジントルクTEとの関係は、最大トルクTEmを意味する変曲点が高速回転域(エンジン回転数NEが高速な領域)寄りに位置する上向き凸湾曲状の曲線で表されている。
なお、エンジン回転数NEとこれに対応するエンジントルクTEとの対のデータを、テーブルマップとしてエンジン制御コントローラ114のROM114aに記憶させるようにしてもよい。
エンジン制御コントローラ114は、ロータリ耕耘機24が耕耘位置から非耕耘位置に上昇動するとき(図12参照)、エンジントルクTEが所定トルクTE0より低くなるのを抑制しながら、エンジン回転数NEを所定トルクTE0に対応する下限回転数NE0まで低下させることで、PTO軸23の回転数(以下、PTO回転数NPという)を適宜低下させるという回転数制御を実行する。
換言すると、エンジン制御コントローラ114は、ロータリ耕耘機24が耕耘位置から非耕耘位置に上昇動するとき、エンジン5が過負荷で停止しない程度にエンジン回転数NEを低下させることで、PTO回転数NPを適宜低下させるという回転数制御を実行するのである(詳細は後述する)。
耕耘制御コントローラ110及びエンジン制御コントローラ114は、特許請求の範囲に記載した制御手段に相当する。
次に、図9に示すフローチャートを参照しながら、第1実施形態におけるエンジン5及びPTO軸23の回転数制御の一例について説明する。ここで、耕深設定器126にて設定された目標耕耘深さRD0は、エンジン制御コントローラ114のRAM114bに予め記憶させておく。
まず、回転数制御のスタートに続いて、トラクタ1が耕耘作業中か否かを判別する(ステップS1)。耕耘作業中か否かは、例えばPTO軸23への動力伝達を継断するPTOクラッチ(図示せず)の入り切り状態等から判別可能である。
PTOクラッチが切り状態であると判断されたときは(S1:NO)、トラクタ1が耕耘作業を行っていないことを意味するので、そのままリターンする。PTOクラッチが入り状態であると判断されたときは(S1:YES)、ロータリ耕耘機24の耕耘爪軸39への動力伝達がなされ、耕耘作業の実行中又は準備完了状態であることを意味する。そこで、次に、作業機昇降レバー63を上昇操作したか否か(作業機昇降レバー63が上昇操作位置にあるか否か)を判別する(ステップS2)。
作業機昇降レバー63を上昇操作していないと判断されたときは(S2:NO)、そのままリターンする。作業機昇降レバー63を上昇操作したと判断されたときは(S2:YES)、次いで、車速センサ127の検出値(走行機体2の車速V)を読み込んだのち(ステップS3)、走行機体2における現在の車速Vを所定比率又は所定値だけ遅くする車速減速制御を実行する(ステップS4)。この場合は、ロータリ耕耘機24が上昇動する前に、スロットルレバー117の操作位置の如何に拘らず、走行変速制御弁107にて走行変速機構19を駆動させることにより、走行機体2を現在の車速Vより所定比率又は所定値だけ減速させる。
次いで、耕深設定器126の設定値(目標耕耘深さRD0)と、エンジン回転センサ116の検出値(エンジン回転数NE)とを読み込んで(ステップS5)、エンジン制御コントローラ114のROM114aに予め記憶された制御マップ又は関係式と、エンジン回転数NEと、目標耕耘深さRD0とから、エンジン回転数NEの下限値(以下、下限回転数NE0という)を演算する(ステップS6)。
ここで、エンジン5の下限回転数NE0は、土質や硬軟度等の圃場状況を考慮して、ロータリ耕耘機24の上昇動時にエンジン5が過負荷で停止しない(エンジンストールしない)程度の所定トルクTE0に対応する値である。また一般に、ロータリ耕耘機24の目標耕耘深さRD0が大きい(深い)と、ロータリ耕耘機24が非耕耘位置に到達するまでの上昇距離は長くなるから、ロータリ耕耘機24が耕耘位置から非耕耘位置まで上昇するのに要する時間(以下、上昇時間tという)は、目標耕耘深さRD0が大きい(深い)ほど長くなる(図11参照)。
そこで、第1実施形態におけるエンジン5の下限回転数NE0は、耕耘作業時にエンジンストールしない程度の所定トルクTE0に対応するだけでなく、上昇時間tが常に一定になるように、目標耕耘深さRD0の深浅に応じて増減した値に設定される(図11参照)。第1実施形態では、耕耘作業時のエンジン回転数NEが同じならば、目標耕耘深さRD0が大きいほど、現在のエンジン回転数NEから下限回転数NE0までの下げ幅が小さくなる。
エンジン5の下限回転数NE0を算出するためのデータ(制御マップ又は関係式とエンジン回転数NEと目標耕耘深さRD0との関係についてのデータ)は、エンジン制御コントローラ114のROM114aにテーブル状又はマップ状にして記憶されている。
なお、図10と図11とにおいては、エンジン回転数NE、下限回転数NE0、エンジントルクTE、及び下限回転数NE0に対応する所定トルクTE0に対して、目標耕耘深さRD0aが深い場合のものに符号aを、目標耕耘深さRD0bが浅い場合のものに符号bを添えて示している。
ステップS6でエンジン5の下限回転数NE0を演算した後は、スロットルレバー117の操作位置に拘らず、ラックアクチュエータ119にて燃料噴射ポンプ131のラックを下限回転数NE0に対応した位置に移動させることにより、エンジン回転数NEを下限回転数NE0にまで低下させ、これに伴ってPTO回転数NPを適宜低下させる(ステップS7)。
その後、上昇制御電磁弁102の駆動にて昇降制御油圧シリンダ28を伸長駆動させることにより、ロータリ耕耘機24を上昇動させ(ステップS8)、次いで、リフト角センサ129の検出値とリヤカバーセンサ124の検出値とから、ロータリ耕耘機24が非耕耘位置に到達したか否かを判別する(ステップS9)。リフト角センサ129の検出値は、ロータリ耕耘機24の対機体高さ(走行機体2に対するロータリ耕耘機24の相対高さ)を求めるためのものである。
ロータリ耕耘機24が未だ非耕耘位置に到達していないと判断されたときは(S9:NO)、ステップS7に戻ってロータリ耕耘機24の上昇動を継続させる。ロータリ耕耘機24が耕耘位置に到達していると判断されたときは(S9:YES)、上昇制御電磁弁102を中立位置に復帰・維持して昇降制御油圧シリンダ28を停止させることにより、ロータリ耕耘機24の上昇動を停止させ(ステップS10)、その後リターンする。
以上の制御によると、例えば枕地に到達した走行機体2が方向転換するに際して、オペレータが作業機昇降レバー63を上昇操作したときは、スロットルレバー117の操作位置に拘らず、ラックアクチュエータ119にて燃料噴射ポンプ131のラックが下限回転数NE0に対応した位置に移動して、エンジン回転数NEを、エンジンストールしない程度の下限回転数NE0にまで低下させ、これに連動してPTO回転数NPが低下する。
そうすると、PTO軸23を経由した回転動力で駆動する耕耘爪軸39の回転数が低下して、ロータリ耕耘機24における耕耘爪40の耕耘力(回転駆動力)が弱まるから、ロータリ耕耘機24が上昇する領域(枕地と耕耘済地との間の遷移領域BD、図12参照)では、ロータリ耕耘機24の上昇中に耕耘爪40にて掻き上げられる土の量が減少して、耕耘跡穴Mdが浅くなると共に盛土Muの量も少なくなり、耕耘跡穴Mdと盛土Muとの高低差(凹凸)が小さくなる。
これにより、トラクタ1が遷移領域BDを走行する(通常耕耘作業時の往復動方向と略直交する方向に走行する)枕地耕耘作業を行うに当たって、遷移領域BDに凹凸を残すことがなくなり、圃場全体を均平に仕上げることができる。
一方、ロータリ耕耘機24の上昇動時は、エンジン回転数NEが下限回転数NE0にまで低下するものの、土質や硬軟度等の圃場状況を考慮したエンジンストールしない程度の所定トルクTE0を維持できるから、ロータリ耕耘機24の上昇動時におけるエンジンストールがなくなるか又は著しく低減できる。これにより、走行機体2の方向転換や引き続いての通常耕耘作業にスムーズに移行でき、トラクタ1を往復動させる通常耕耘作業を効率よく実行できる。
すなわち、第1実施形態のトラクタ1によると、ロータリ耕耘機24の上昇動時におけるエンジンストールの防止、及び遷移領域BDに形成される凹凸の小型化という両方の機能を兼ね備えた使い勝手のよいものになるのである。
また、エンジン5の下限回転数NE0は、ロータリ耕耘機24の上昇動時にエンジンストールしない程度の所定トルクTE0に対応するだけでなく、上昇時間tが常に一定になるように、目標耕耘深さRD0の深浅に応じて増減した値に設定されるので、各遷移領域BD付近を走行する際の走行機体2の車速Vが一定であれば、ロータリ耕耘機24の上昇中に耕耘爪40が地面Gに接触する走行距離を略一定に調節できる。これにより、ロータリ耕耘機24の上昇中に耕耘爪40にて形成される耕耘跡穴Mdの大きさがバラつくのを抑制できる。その上、トラクタ1の方向転換の際に、各遷移領域BDにおいてオペレータが作業機昇降レバー63を上昇操作するタイミングを合わせれば、畦から遷移領域BDまでの枕地幅が走行機体2の方向転換に必要な幅以上に大きく形成される等の不具合をも抑制できる。
従って、枕地耕耘作業時にトラクタ1で枕地を何度も往復することがほぼなくなり、枕地耕耘作業を効率よく実行できるのである。
さらに、オペレータが作業機昇降レバー63を上昇操作したとき、ロータリ耕耘機24が上昇し始める前に、走行機体2を現在の車速Vより所定比率又は所定値だけ減速させるので、耕耘爪40にて掻き上げた土を耕耘跡穴Mdにそのまま落下させて、該耕耘跡穴Mdを埋め戻すことができる。これにより、枕地耕耘作業を行うに当たって、遷移領域BDに形成される凹凸を小さくでき、圃場全体をより確実に均平に仕上げることができるのである。
次に、図13を参照しながら、ラック位置センサ132の検出情報(エンジン負荷)をPTO回転数NP低下の指針とした第2実施形態について説明する。図13は第2実施形態における回転数制御のフローチャートである。ここで、第2実施形態以降の実施形態において構成及び作用が第1実施形態と変わらないものには、第1実施形態と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
第2実施形態では、エンジン制御コントローラ114は、ロータリ耕耘機24が耕耘位置から非耕耘位置に上昇動する場合において、ラック位置センサ132の検出情報から得られたエンジン負荷率LFが設定負荷率LF0以下のとき、エンジン回転数NEを下限回転数NE0′まで低下させることで、PTO回転数NPを適宜低下させるという回転数制御を実行する。
ここで、エンジン負荷率LFは、ラック位置センサ132にて検出されたエンジン負荷(エンジンに対する負荷)が最高のときを100%として、耕耘作業中のエンジン負荷の比率を算出したものである。アイドリング状態のエンジン負荷率LFが0(零)になる。設定負荷率LF0は、データは、エンジン制御コントローラ114のROM114aに予め記憶されている。
以上の構成において、第2実施形態におけるエンジン5及びPTO軸23の回転数制御は、例えば次のように実行される。
回転数制御のスタートからステップT4までの制御態様は、第1実施形態におけるスタートからステップS4までの制御態様(図9参照)と同様である。
ステップT4の車速減速制御を実行した後は、耕深設定器126の設定値(目標耕耘深さRD0)と、ラック位置センサ132の検出値(エンジン負荷)とを読み込み(ステップT5)、該エンジン負荷に基づいて現在のエンジン負荷率LFを演算する(ステップT6)。
次いで、エンジン負荷LFと目標耕耘深さRD0とから、エンジン5の下限回転数NE0′を演算する(ステップT7)。エンジン5の下限回転数NE0′は、ロータリ耕耘機24の上昇動時に、エンジン回転数NEをこの値まで低下させてもエンジンストールしない程度の値であって、第1実施形態と同様に、目標耕耘深さRD0の深浅に拘らずロータリ耕耘機24の上昇時間が常に一定となるような値に設定される。下限回転数NE0′を算出するためのデータは、エンジン制御コントローラ114のROM114aにテーブル状又はマップ状にして記憶されている。
ステップT7でエンジン5の下限回転数NE0′を算出した後は、現在のエンジン負荷率LFがエンジン制御コントローラ114のROM114aに予め記憶された設定負荷率LF0以下であるか否かを判別する(ステップT8)。
現在のエンジン負荷率LFが設定負荷率LF0より大きいと判断されたときは(T8:NO)、例えば圃場が硬い等の理由により、ロータリ耕耘機24ひいてはエンジン5に大きな負荷がかかっている状態である。このような状態でエンジン回転数NEを所定比率又は所定値だけ低下させると、エンジン5が過負荷で停止する(エンジンストールする)おそれがある。そこで、この場合は、後述するステップT10へ移行して、現状のエンジン回転数NEひいてはPTO回転数NPを維持したままで、ロータリ耕耘機24を耕耘位置から非耕耘位置まで上昇動させ(ステップT11及びT12)、リターンする。
現在のエンジン負荷率LFが設定負荷率LF0以下であると判断されたときは(T8:YES)、ロータリ耕耘機24の上昇動時に、エンジン回転数NEを所定比率又は所定値だけ低下させても、エンジンストールしないような状態(エンジン負荷に余裕のある状態)であるから、次いで、スロットルレバー117の操作位置に拘らず、ラックアクチュエータ119にて燃料噴射ポンプ131のラック位置を調節することにより、エンジン回転数NEを下限回転数NE0′にまで低下させ、これに連動してPTO回転数NPを適宜低下させる(ステップT9)。
PTO回転数NPを低下させた後(ステップT10以降)の制御態様は、第1実施形態におけるステップS8以降の制御態様(図9参照)と変わらないので、その詳細な説明を省略する。
以上の制御によると、例えば枕地に到達した走行機体2が方向転換するに際して、オペレータが作業機昇降レバー63を上昇操作したときは、エンジン回転数NEがエンジンストールしない程度の下限回転数NE0′にまで低下し、これに連動してPTO回転数NPが適宜低下することにより、ロータリ耕耘機24における耕耘爪40の耕耘力(回転駆動力)が弱まるから、ロータリ耕耘機24が上昇する領域(枕地と耕耘済地との間の遷移領域BD)では、ロータリ耕耘機24の上昇中に耕耘爪40にて掻き上げられる土の量が減少して、耕耘跡穴Mdと盛土Muとの高低差(凹凸)が小さくなる。
一方、ロータリ耕耘機24の上昇動に際してエンジン負荷率LFが設定負荷率LF0より大きいと、前述の制御は実行されないので、ロータリ耕耘機24ひいてはエンジン5に多大な負荷がかかった状態では、エンジン回転数NE及びエンジントルクTEが高い状態に維持され、エンジンストールすることはない。
すなわち、第2実施形態のトラクタ1も、第1実施形態の場合と同様に、ロータリ耕耘機24の上昇動時におけるエンジンストールの防止、及び遷移領域BDに形成される凹凸の小型化という両方の機能を兼ね備えた使い勝手のよいものになるのである。
ところで、耕耘制御コントローラ110に接続されたPTO変速段センサ130は、PTO変速機構70における現在の変速段を検出するためのものであるが、該現在の変速段の情報からは、PTO回転数NPの大まかな値の範囲を推定することができる。
そこで、本発明の第3実施形態として、ロータリ耕耘機24が耕耘位置から非耕耘位置に上昇動するとき、PTO変速レバー64の操作位置に拘らず、PTO変速制御弁106の駆動にてPTO変速機構70の変速段を低速側に移行させることにより、PTO回転数NPを低下させるという回転数制御を実行するようにしてもよい。図14は第3実施形態における回転数制御のフローチャートである。
第3実施形態におけるエンジン5及びPTO軸23の回転数制御は、例えば次のように実行される。回転数制御のスタートからステップE4までの制御態様は、第1実施形態におけるスタートからステップS4までの制御態様(図9参照)と同様である。
ステップE4の車速減速制御を実行した後は、PTO変速段センサ130の検出値(現在の変速段位置)を読み込んでから(ステップE5)、PTO変速レバー64の操作位置に拘らず、PTO変速制御弁106の駆動にてPTO変速機構70の変速段を所定の低速段に降段させることにより、PTO回転数NPを低下させる(ステップE6)。
PTO回転数NPを低下させた後(ステップE7以降)の制御態様は、第1実施形態におけるステップS8以降の制御態様(図9参照)と同様である。
かかる制御を実行した場合も、第1及び第2実施形態の場合と同様に、ロータリ耕耘機24の耕耘力が弱まり、枕地と耕耘済地との間の遷移領域BDでは、耕耘跡穴Mdと盛土Muとの高低差(凹凸)が小さくなる。
また、ロータリ耕耘機24の上昇動時は、PTO変速機構70の変速段を低速側に移行させるだけであり、エンジン回転数NEを強制的に低下させたりしないので、PTO回転数NP低下に起因したエンジンストールが発生することはない。
従って、第3実施形態のトラクタ1も、第1及び第2実施形態の場合と同様に、ロータリ耕耘機24の上昇動時におけるエンジンストールの防止、及び遷移領域BDに形成される凹凸の小型化という両方の機能を兼ね備えた使い勝手のよいものになるのである。
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化することができる。例えば前述の実施形態のエンジン5は、いずれもディーゼル式エンジンであったが、ガソリン式エンジンであってもよいことはいうまでもない。この場合、燃料噴射ポンプは、気化器における燃料調節用のスロットル弁の箇所に配置される。スロットル弁の移動位置を調節する手段としては、該スロットル弁に取り付けられた弁操作軸を回動させる電磁ソレノイド等のアクチュエータを採用すればよい。スロットル弁の移動位置検出手段は、該スロットル弁の回動角度を検出するポテンショメータ等の回動角センサを用いればよい。
その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
第1実施形態におけるトラクタの側面図である。 トラクタの平面図である。 作業機用昇降機構の概略側面図である。 作業機用昇降機構の概略平面図である。 図2のV−V視側断面図である。 ロータリ耕耘機の概略背面図である。 トラクタの油圧回路図である。 制御手段の機能ブロック図である。 回転数制御のフローチャートである。 エンジン回転数とエンジントルクとの関係を示す制御マップの図である。 ロータリ耕耘機の上昇動に要する時間とエンジン回転数との関係を示す図である。 ロータリ耕耘機が上昇動する態様の説明図である。 第2実施形態における回転数制御のフローチャートである。 第3実施形態における回転数制御のフローチャートである。
1 トラクタ
2 走行機体
3 前車輪
4 後車輪
5 エンジン
21 ロワーリンク
22 トップリンク
24 ロータリ耕耘機
28 昇降制御アクチュエータとしての昇降制御油圧シリンダ
43 耕耘リヤカバー
70 PTO変速機構
110 耕耘制御コントローラ
114 制御手段としてのエンジン制御コントローラ
114a 記憶手段としてのROM
116 エンジン回転数検出手段としてのエンジン回転センサ
124 リヤカバーセンサ
126 耕深設定器
132 エンジン負荷検出手段としてのラック位置センサ

Claims (1)

  1. エンジンを搭載した走行機体に、ロータリ耕耘機がリンク機構を介して昇降調節可能に装着され、前記エンジンからの回転動力の一部が、PTO変速機構及びPTO軸を介して前記ロータリ耕耘機に伝達されるように構成され、前記エンジンや前記PTO軸の回転数を制御する制御手段が備えられた農作業機械であって、
    前記走行機体には、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、前記エンジンへの燃料供給量から前記エンジンに対する負荷を検出するエンジン負荷検出手段とが設けられ、
    前記ロータリ耕耘機が耕耘位置から非耕耘位置に上昇動する場合において、前記エンジンに対する負荷が予め設定された設定負荷以下のとき、エンジンストールしない範囲で、前記ロータリ耕耘機が非耕耘位置に上昇するまでの時間が一定になるように、目標耕耘深さの深浅に応じて前記エンジンの回転数を低下させ、且つ前記PTO変速機構の変速段を低速側に移行させることによって、前記PTO軸の回転数を低下させることを特徴とする農作業機械。
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