JPH10248308A - トラクタの負荷制御装置 - Google Patents

トラクタの負荷制御装置

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JPH10248308A
JPH10248308A JP5160297A JP5160297A JPH10248308A JP H10248308 A JPH10248308 A JP H10248308A JP 5160297 A JP5160297 A JP 5160297A JP 5160297 A JP5160297 A JP 5160297A JP H10248308 A JPH10248308 A JP H10248308A
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Hiroyoshi Ono
弘喜 小野
Tomoyuki Ishida
智之 石田
Mitsuhiko Ikeda
光彦 池田
Yutaka Ono
豊 小野
Yoshitaka Tani
良孝 谷
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Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラクタの負荷制御を行う際に、頻繁に減速
処理を行わないようにして作業効率の低下を防止する。 【解決手段】 エンジン回転数Rが予め設定した下限値
L 以下に低下し、且つ、下限値RL 以下になってから
規定継続時間tm 以上経過したときに、負荷制御による
減速処理を実施して自動的に変速装置をシフトダウンさ
せる。ある程度急激にエンジン回転数が低下して、エン
ジン回転数の変化率Dが規定値DR を超えた場合は、作
業機昇降処理によってエンジン回転数を復帰させる。こ
のため、減速処理による頻繁なシフトダウンがなくな
り、車速を高く維持して作業効率の向上を図ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトラクタの負荷制御
装置に関するものであり、特に、エンジン回転数に変動
があったときに作業機の昇降を行うようにしたトラクタ
の負荷制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トラクタの負荷制御装置には、エンジン
回転数を検出する手段とエンジン回転数の所定時間内の
変化率を演算する手段とが設けられており、前記各手段
により常にエンジン回転数の変動を把握するとともに、
作業負荷の増大によってエンジン回転数が変動したとき
は、エンジン回転数を所定の範囲内に維持するように制
御してエンストを防止するものである。
【0003】負荷制御方法は大別して作業機昇降処理と
減速処理とに分けられる。作業機昇降処理とは、エンジ
ン回転数が変動したときに作業機上昇指令を出力し、該
作業機を上昇させて負荷を軽減するものであり、減速処
理とは、エンジン回転数が変動したときに変速装置のシ
フトダウン指令を出力し、機体を減速させて負荷を軽減
するものである。
【0004】また、負荷制御を開始する条件としては幾
つかあり、例えば作業負荷によりエンジン回転数が低下
し、該エンジン回転数が予め設定した下限値以下になっ
たときに負荷制御を開始する。或いは、エンジン回転数
が低下してその変化率が大きくなり、該変化率が規定値
を超えたときに負荷制御を開始する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のトラクタの負荷
制御装置に於いて、エンジン回転数の変化率が規定値を
超えたときに、減速処理にて変速装置のシフトダウン指
令を出力するように構成した場合、圃場内で土の塊など
があってエンジン回転数の変化率が何回も規定値を超え
るときは、減速処理によって変速装置のシフトダウンが
頻繁に行われるため、車速が低下して作業効率が著しく
悪化することになる。
【0006】そこで、トラクタの負荷制御を行う際に、
頻繁に減速処理を行わないようにして作業効率の低下を
防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるので
あり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために提案されたものであり、機体の後部に対地作
業機を昇降自在に連結したトラクタであって、エンジン
回転数を検出する手段とエンジン回転数の変化率を演算
する手段とを設け、作業機の牽引負荷をエンジン回転数
の変動から判別し、負荷の増大によってエンジン回転数
が変動したときは、該エンジン回転数が所定の範囲内に
維持されるように負荷制御を行うトラクタに於いて、エ
ンジン回転数が低下してその変化率が規定値を超えたと
きに作業機上昇指令を出力し、エンジン回転数が予め設
定した下限値以下を検出したときに変速装置のシフトダ
ウン指令を出力する制御手段を備えたトラクタの負荷制
御装置を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に従って詳述する。図1はトラクタ1を示し、機体2の
前部にエンジン3を載置し、エンジン3の側部に電子制
御式のガバナ4が搭載されている。エンジン3の動力は
ミッションケース5内に設けられた変速装置により減速
され、後輪6へ伝達して二輪駆動にするか、或いは後輪
6と前輪7へ伝達して四輪駆動する。また、ミッション
ケース5内で走行系動力からPTO系動力を分岐してP
TO軸8に伝達する。エンジン3の回転数はエンジン回
転数センサ9にて検出する。
【0009】一方、機体2の後部にリンク機構15を介
して耕耘用の作業機16を連結する。このリンク機構1
5はトップリンク17と左右のロワーリンク18からな
る3点リンク方式であり、左右のリフトアーム19の先
端と左右のロワーリンク18とを夫々リフトロッド20
にて連結してある。
【0010】そして、ミッションケース5の上部に設け
られたリフトシリンダ21の作動によりリフトアーム1
9を回動すれば、前記ロワーリンク18が上下動して作
業機16が昇降する。リフトアーム19の回動角はリフ
トアームセンサ22にて検出する。また、作業機16の
メインカバー23の後端にリヤカバー24を回動自在に
取り付け、デプスセンサ25によりリヤカバー24の回
動角を検出する。
【0011】ここで、運転席28の近傍にはコントロー
ラ29が設けられており、このコントローラ29にポジ
ションレバー30、耕深設定ダイヤル31、負荷制御モ
ードスイッチ32等を設ける。また、運転席28の下部
に車速センサ33を設ける。更に、ステアリング34の
近傍位置に作業機昇降スイッチ35を設け、ステアリン
グシャフト36に操舵角センサ37を装着する。
【0012】図2は運転席28の近傍に設けられた変速
レバー40を示し、該変速レバー40はレバーガイドボ
ックス41のガイド溝42に沿って前後にシフトさせる
ようになっており、その回動範囲の後側から前側へ順に
「超低速(LL)」、「ロータリ(L)」、「プラウ・
代掻き(M)」、「中立(N)」、「走行(H)」等副
変速の各操作位置が設けられている。
【0013】例えば、「超低速」はクリープ作業などの
超低速走行をする操作位置であり、変速レバー40を
「超低速」にシフトした状態で、変速レバー40のグリ
ップ部に設けられている増速ボタン43または減速ボタ
ン44を押すことにより、主変速を第1段から第4段ま
で変速することができる。他の操作位置に於いても同様
にして、増速ボタン43または減速ボタン44を押すこ
とにより、副変速の各操作位置の変速可能領域内で主変
速を1ステップずつシフトアップまたはシフトダウンす
る。副変速は各操作位置毎の減速比が大きく、主変速は
各操作位置毎の減速比が小さいので、増速ボタン43ま
たは減速ボタン44の押圧操作では細かい変速が行われ
る。
【0014】変速レバー40のシフト位置は後述するシ
フト位置センサ45で検出され、このシフト位置センサ
45の検出値及び増速ボタン43または減速ボタン44
の押圧操作に基づいて、コントローラ29から主変速装
置及び副変速装置の切替バルブへ信号を送り、主変速ギ
ヤ及び副変速ギヤを切り替える。これと同時に、前記レ
バーガイドボックス41に設けられた表示装置46に信
号を送り、変速装置のシフト位置を表示する。
【0015】このように、変速レバー40を各操作位置
へシフトする際に、クラッチペダルの踏圧操作を必要と
せず、1本の変速レバー40で主変速と副変速とを電気
的に切り換えることができる。
【0016】図3はトラクタの負荷制御装置のブロック
図であり、前述したポジションレバー30、耕深設定ダ
イヤル31、負荷制御モードスイッチ32等の設定信号
がコントローラ29へ入力される。また、前記エンジン
回転数センサ9、リフトアームセンサ22、デプスセン
サ25、車速センサ33等の検出信号がコントローラ2
9へ入力される。コントローラ29は、デプスセンサ2
5にて検出したリヤカバー24の回動角から実耕深値を
演算し、この実耕深値を耕深設定ダイヤル31にて入力
した設定耕深値に一致させるように作業機16の耕深制
御を行う。然るときは、前記リフトシリンダ21を伸縮
作動させて作業機16を昇降すべく、電磁比例弁の上昇
用ソレノイド50または下降用ソレノイド51へ制御信
号を出力する。
【0017】このほか、前述した増速ボタン43または
減速ボタン44の押圧操作に基づいて、コントローラ2
9から主変速第1段用ソレノイド55乃至主変速第4段
用58へ制御信号を出力し、主変速ギヤを切り換える。
前記変速レバー40のシフト位置はシフト位置センサ4
5により検出される。また、前後進レバーセンサ47に
より、前後進レバーが前進にセットされているか、或い
は後進にセットされているかを判別する。図示は省略す
るが、前後進クラッチは湿式多板クラッチが2つ1組で
構成されており、前後進レバーが前進にセットされてい
るときは、コントローラ29から前進用昇圧ソレノイド
60へ制御信号を出力し、前後進クラッチを前進位置に
接続する。一方、前後進レバーが後進にセットされてい
るときは、コントローラ29から後進用昇圧ソレノイド
61へ制御信号を出力し、前後進クラッチを後進位置に
接続する。
【0018】更に、負荷制御モードスイッチ32をオン
したときは、後述するように負荷制御が行われる。この
ときは、負荷制御モードランプ52がオンとなり、オペ
レータに負荷制御が実行中であることを知らせる。
【0019】次に、図4のフローチャートに従って、本
発明の負荷制御について説明すれば、作業機16の牽引
負荷をエンジン回転数から判別するために、コントロー
ラ29ではエンジン回転数センサ9により周期的にエン
ジン回転数Rを検出し、一定時間Δtでのエンジン回転
数の変化率Dを演算する(ステップ100)。また、予
め設定耕深値に応じたエンジン回転数の下限値RL と、
エンジン回転数が低下したときの変化率の規定値DR
決めておき、作業負荷によりエンジン回転数Rが比較的
大きく低下して、その変化率Dが規定値DR を超えたと
きは(ステップ101)、負荷制御による作業機昇降処
理を実行する(ステップ120)。
【0020】この作業機昇降処理に於いては、コントロ
ーラ29から上昇用ソレノイド50へ作業機上昇指令を
出力する。然るときは、前記リフトシリンダ21が伸長
駆動されてリフトアーム19が上方へ回動し、リフトロ
ッド20を介してロワーリンク18が持ち上げられ、作
業機16が自動的に上昇する。作業機16の高さは、リ
フトアームセンサ22によって検出される。そして、負
荷が軽減されてエンジン回転数Rが上昇したら、コント
ローラ29から下降用ソレノイド51へ作業機下降指令
を出力する。従って、上記とは逆作用にて作業機16が
自動的に下降する。
【0021】一方、エンジン回転数Rが徐々に低下して
いったときは、前記エンジン回転数の変化率Dは規定値
R 以内であるが、エンジン回転数Rが下限値RL 以下
になることがある(ステップ102)。このとき、車速
センサ33にて機体2の車速Sを検出し、該車速Sが1
km/h以上即ち機体2が停車中でない場合は(ステップ1
03)、タイマtのカウントを開始する(ステップ10
4)。
【0022】タイマtが規定継続時間tm 以上経過した
らステップ105へ進む。ここで、前回減速処理を実行
した場合はそれから一定時間(規定継続時間tm より長
い時間、例えば5〜10秒間)は減速禁止時間領域と
し、この減速禁止時間領域では更なる減速処理は行わな
いように規定してある。これは、負荷制御によるエンジ
ン回転数復帰は圃場条件によっては復帰しにくい場合も
あり、減速処理により主変速装置を1段シフトダウンし
ても、エンジン回転数が十分に上昇しないときもある。
このとき、更に減速処理を実行すれば益々エンジン回転
数が低下するので、前述した減速禁止時間領域を定めて
おくことにより、余分な減速を防止するものである(ス
テップ106)。
【0023】而して、減速禁止時間領域ではないとき
は、負荷制御による減速処理を実行する(ステップ11
0)。ここで、シフト位置センサ45の検出値及び増速
ボタン43または減速ボタン44の押圧操作に基づき、
コントローラ29では予め主変速装置及び副変速装置の
シフト位置を把握しており、減速処理に於いては、コン
トローラ29から主変速第1段用ソレノイド55乃至主
変速第3段用57の何れかへ減速指令を出力して、主変
速を自動的に1段シフトダウンする。このシフトダウン
が行われた後は減速処理が終了する。
【0024】ここで、ステップ102でエンジン回転数
Rが下限値RL まで低下していない場合は、負荷が軽い
状態であるので、タイマtをクリアしてから(ステップ
107)、始めに戻って負荷制御を繰り返す。
【0025】一方、ステップ103で車速Sが1km/hに
達していない場合について説明すれば、例えば枕地等で
クラッチペダルを踏み込んで機体2を停車させた状態で
作業機16を下降し、次にクラッチペダルを離して機体
2を発進させるような作業をすると、ロータリの耕耘爪
が地面に食い込もうとするため、機体2が停車中若しく
は微速前進中であっても、エンジン回転数Rが低下して
下限値RL 以下になることがある。このときに減速処理
が実行されると、機体2の発進後に主変速がシフトダウ
ンされて、オペレータの操作に違和感が生じることにな
るので、斯かる場合は減速処理を行わず、タイマtをク
リアしてから(ステップ107)、始めに戻って負荷制
御を繰り返す。
【0026】更に、ステップ105でタイマtが規定継
続時間tm 未満の場合はステップ108へ進み、作業機
上昇出力処理があった場合で、且つ、そのとき作業機下
降出力中若しくは下降出力停止直後である場合は(ステ
ップ109)、規定継続時間tm 内であっても負荷制御
による減速処理を実行する(ステップ110)。
【0027】このように、エンジン回転数の変動を検出
して負荷制御を行う場合、原則的には、エンジン回転数
が低下して下限値RL 以下となり、下限値RL 以下を規
定継続時間tm 以上継続したときだけ減速処理を行うよ
うに規定している。例えば、図5に示すように、エンジ
ン回転数が低下してその変化率Dが規定値DR を超えた
ときは、t1 の時点で作業機昇降処理が実行されて作業
機上昇出力があり、これによってエンジン回転数がある
程度上昇すれば、t2 の時点で作業機下降出力がある。
そして、エンジン回転数が徐々に低下して、t3 の時点
で下限値RL 以下になってから規定継続時間tm が経過
したt4 の時点で減速処理を実行する。減速処理を実行
した後は、前述したように、それから一定時間は減速禁
止時間領域として、更なる減速処理は行わないようにす
る。
【0028】また、図6に示すように、エンジン回転数
が低下して、t5 の時点及びt6 の時点でエンジン回転
数の変化率Dが規定値DR を超えたときは、夫々その都
度作業機昇降処理が実行されるが、エンジン回転数は下
限値RL までは低下しないので減速処理は実行されな
い。従って、必要以上に頻繁な減速処理が行われず、圃
場での作業時間が短縮されて作業効率が向上する。
【0029】そして、t7 の時点でエンジン回転数の変
化率Dが再び規定値DR を超えて作業機昇降処理が実行
される際に、t8 の時点でエンジン回転数が一旦下限値
L以下になった場合は、作業機上昇出力後の作業機下
降出力中または作業機下降出力停止直後に、再びエンジ
ン回転数が下限値RL 以下になった時点t9 に於いて、
8 の時点でエンジン回転数が下限値RL 以下になって
から規定継続時間tmが経過しなくとも減速処理を実行
する。
【0030】即ち、エンジン回転数が下限値RL 以下に
なってからの継続時間が短い場合であっても、作業機昇
降処理が実行されるときの状況が重負荷であれば、作業
機上昇出力でエンジン回転数が復帰した後に、作業機下
降出力でエンジン回転数が再度下限値RL 以下になるこ
とがあるので、斯かる場合は減速処理を実行して負荷を
軽減させようとするものである。
【0031】ここで、負荷制御による作業機昇降処理
は、図7に示すように、エンジン回転数が比較的大きく
低下して、その変化率Dが規定値DR を超えたときに作
業機上昇指令を出力するのであるが、この上昇指令の出
力条件並びに上昇出力後の停止条件は、その時点tn
のエンジン回転数の大小によって変更する。この作業機
上昇出力及び作業機上昇出力の停止についてのフローチ
ャートを図8に示す。
【0032】いま、例えば、図9に示すように、エンジ
ン回転数が約2500rpm 以上のときは前記変化率の規
定値DR を−0.16程度に規定し(回転数差で規定すれば
約400rpm)、エンジン回転数が約2000rpm 前後のと
きは規定値DR を−0.12程度(回転数差約250rpm)に変
更する。そして、エンジン回転数が約1500rpm 以下
では規定値DR を−0.07程度(回転数差約100rpm)に規
定する。
【0033】即ち、変化率Dを演算した時点でのエンジ
ン回転数が比較的高い場合は、エンジンに余裕があるの
で作業機上昇を抑制して、頻繁な作業機の昇降動作を防
止する。これに対して、変化率Dを演算した時点でのエ
ンジン回転数が比較的低い場合は、エンジンに余裕がな
くエンストし易いので僅かな変化でも直ちに作業機を上
昇させる。
【0034】一方、作業機上昇出力の停止条件は、図7
に於ける時点tn+1 でのエンジン回転数の復帰状況によ
って変更する。例えば、図10に示すように、作業機上
昇後の時点でのエンジン回転数が約1500rpm 以下の
ときは、作業機上昇停止のエンジン回転数RS を作業機
昇降処理中の最低エンジン回転数R0 プラス100rpm
とし、これに至るまでは作業機上昇出力を停止しない
が、エンジン回転数が約2000rpm 前後のときは作業
機上昇停止のエンジン回転数RS を最低エンジン回転数
0 プラス50rpm とする。そして、エンジン回転数が
約2500rpm 以上の場合には、その時点で直ちに作業
機上昇出力を停止するように規定する。
【0035】即ち、作業機上昇後のある時点でのエンジ
ン回転数が比較的低い場合は、エンジンに余裕がなくエ
ンストし易いので、ある程度エンジン回転数が高くなる
まで作業機上昇出力を停止させず、エンジン回転数を十
分に復帰させる。これに対して、エンジン回転数が比較
的高い場合は、エンジンに余裕があるのでエンジン回転
数が僅かに上昇した時点で早めに作業機上昇出力を停止
し、作業機の動き過ぎを防止する。
【0036】次に、減速処理後の増速処理について説明
する。前述した減速処理により主変速を自動的に1段シ
フトダウンした後は、エンジン回転数が上昇して復帰す
るのに伴い、コントローラ29から主変速第2段用ソレ
ノイド56乃至主変速第4段用58の何れかへ増速指令
を出力して、主変速を自動的に1段シフトアップする。
この増速処理についてのフローチャートを図11及び図
12に示す。
【0037】減速処理を実施すれば(ステップ30
1)、エンジン回転数がある程度復帰するが、直ちに増
速処理に行うと、再びエンジン回転数が低下して減速処
理が必要になる場合がある。従って、減速処理実施後
は、圃場条件や作業条件が整ってエンジン回転数Rが定
格回転数RT 近傍まで復帰したとき(例えばRT −100r
pm程度)に増速処理を行う(ステップ302)。
【0038】また、オペレータが手動で増減速操作を行
った場合(ステップ303)、或いはオペレータが前後
進レバーにより後進操作を行った場合(ステップ30
4)は、減速処理実施の記憶をクリアし、新たに負荷制
御による減速処理があるまでは増速処理を行わない。こ
れは、オペレータによる手動操作があったときには作業
内容が変わることが多く、例えば隣接耕耘から枕地耕耘
に変わった場合は、機体のピッチングやローリングが多
くなって負荷変動が増加する。従って、増速処理を行っ
てもその直後に再び減速が必要となるので、斯かる場合
には増速処理を行わない。
【0039】ここで、圃場で耕耘作業を行うときは、圃
場の一端から他端まで直進走行しながら耕耘し、圃場端
部で作業機を上昇させた後に旋回する。そして、旋回が
終了した後に作業機を下降させ、今度は圃場を逆方向に
直進走行しながら耕耘していく。このように、一定の距
離を直進走行して、作業機上昇、機体の旋回、作業機下
降の操作を繰り返す場合には、作業機下降後に次の作業
機上昇までの1工程の走行距離は略同じになる。
【0040】従って、作業機の昇降を行った場合は、作
業機が下降してから次回再び作業機が上昇するまでの走
行距離を測定しておく。先ず、作業機が下降した直後に
(ステップ401)、距離Lのカウントを開始する(ス
テップ402)。そして、距離Lのカウントクリア条件
がなければ(ステップ403)、最初に戻ってステップ
401から410へ進み、作業機下降中でなければ(即
ち最初の作業機昇降処理が終了した)、ステップ411
にて作業機上昇直後か否かを判別する。
【0041】最初の作業機昇降処理が終了してから、再
び作業機昇降処理が実施された場合は、作業機が上昇し
た直後に(ステップ411)、距離Lをメモリに記憶す
る(ステップ412)。然るときは、距離Lのカウント
クリア条件が成立するので(ステップ403)、距離L
のカウントをクリアする(ステップ404)。
【0042】而して、作業機昇降処理が行われる都度、
この作業機下降直後から次に作業機上昇直後までの距離
Lを毎回記憶しておき、ステップ305にて前回の距離
Lを参照する。この前回の距離Lと、作業機を下降させ
た後の現在の走行距離LNOWとの差から、次回の作業機
上昇予定までの残り距離LREM を演算する(ステップ3
06)。そして、残り距離LREM が規定値LR 以上ある
場合は(ステップ307)、増速処理を実施して主変速
を自動的に1速シフトアップする(ステップ310)。
しかし、残り距離LREM が規定値LR 未満の場合は、旋
回地点が目前に迫っているので、旋回直前での増速を禁
止するため増速処理を行わない。
【0043】尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない
限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該
改変されたものに及ぶことは当然である。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明ではエンジ
ン回転数が下限値以下に低下し、且つ、下限値以下にな
ってから規定継続時間が経過したときに、負荷制御によ
る減速処理を実施して自動的に変速装置をシフトダウン
させる。従って、ある程度急激にエンジン回転数が低下
した場合は減速処理は行われず、作業機昇降処理によっ
てエンジン回転数を復帰させる。
【0045】このため、減速処理による頻繁なシフトダ
ウンがなくなり、車速を高く維持して作業効率の向上を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の実施の形態を示すものである。
【図1】トラクタの側面図。
【図2】変速レバー及びレバーガイドボックスの平面
図。
【図3】耕深制御及び負荷制御系のブロック図。
【図4】負荷制御の処理の一例を示すフローチャート。
【図5】エンジン回転数の変動と作業機昇降の一例を示
すタイミングチャート。
【図6】エンジン回転数の変動と作業機昇降の他の一例
を示すタイミングチャート。
【図7】エンジン回転数の変動と作業機上昇出力停止の
タイミングチャート。
【図8】作業機上昇出力と上昇出力停止についてのフロ
ーチャート。
【図9】作業機上昇出力条件であるエンジン回転数とそ
の変化率との関係を示すグラフ。
【図10】作業機上昇出力停止条件であるエンジン回転
数と停止回転数との関係を示すグラフ。
【図11】減速処理後の増速処理についてのフローチャ
ート。
【図12】昇降工程間の走行距離測定についてのフロー
チャート。
【符号の説明】
1 トラクタ 2 機体 9 エンジン回転数センサ 16 作業機 29 コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 豊 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 谷 良孝 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機体の後部に対地作業機を昇降自在に連
    結したトラクタであって、エンジン回転数を検出する手
    段とエンジン回転数の変化率を演算する手段とを設け、
    作業機の牽引負荷をエンジン回転数の変動から判別し、
    負荷の増大によってエンジン回転数が変動したときは、
    該エンジン回転数が所定の範囲内に維持されるように負
    荷制御を行うトラクタに於いて、エンジン回転数が低下
    してその変化率が規定値を超えたときに作業機上昇指令
    を出力し、エンジン回転数が予め設定した下限値以下を
    検出したときに変速装置のシフトダウン指令を出力する
    制御手段を備えたことを特徴とするトラクタの負荷制御
    装置。
JP05160297A 1997-03-06 1997-03-06 トラクタの負荷制御装置 Expired - Fee Related JP3605991B2 (ja)

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