JP4693298B2 - タイヤ用滑り止め装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高張力芯材を内設したゴムの線材を網目状に一体成形して成るタイヤ用滑り止め装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来のタイヤ用滑り止め装置を示している。
このタイヤ用滑り止め装置100は、高張力芯材107を内設したゴム製の線材を網目状に組んで一体成形することにより、タイヤの外周に巻回装着する略帯状の装置本体101を構成してある。
装置本体101は、タイヤ内側縁に沿って、締め付けロープ102を取り付けてある。また、装置本体101のタイヤ外側縁に沿っては、ゴムバンドやアタッチメント等の締付具(図示せず)を掛止する掛止金具103を等間隔を置いて取り付け固定してある。
【0003】
上記した締め付けロープ102の両端部には、タイヤ外周に装着した際に同ロープ102の端部同士を着脱可能に接続するための合成樹脂製の接続バックル104a,104bを取り付けてある。
また、接続バックル104a,104bには、金属板からなる取り付け金具105をそれぞれ取り付け固定してあり、この取り付け金具105の掛止部を装置本体101の両端部タイヤ内側縁に環状に突出させた取り付け部106の突出端部に掛止してかしめ固定してある。
一方、装置本体101両端部の外側に突出形成した取り付け部106’には、連結フック108をかしめ固定し、該連結フック108の掛止部を同装置本体101のもう一方の端部に形成した取り付け部106’’に掛止して、タイヤに装着時に装置本体101の外側を連結するように構成してある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記タイヤ用滑り止め装置100にあっては、安全のため制限速度や急発進等の危険行為を禁止しているが、ときとして過激な加速や制動等により過剰な荷重が加わることがある。
これらの荷重は、掛止金具103や105を介して装置本体101の掛止部106に対して加わるが、特に、装置本体101外側の取り付け部106’と106’’には、掛止金具103から受ける荷重と、連結フック108からの荷重とが一緒に加わるので、強度的に無理がかかる部分である。
【0005】
上記した如きタイヤ用滑り止め装置100は、小型車から大型のRV車等まで種々のものが開発されている。しかし、大荷重のかかる大型RV車用のタイヤ用滑り止め装置の中には、急発進や急ブレーキが繰り返されると、その度に上記した連結フック108のかしめ部周囲に過負荷が加わる。その結果、連結フック108を取り付ける突き合わせ側縁部106aと本体側縁部106bとが略L型に交わるコーナーp付近にクラックが生じる場合があった。
【0006】
本発明の課題は、上記した如きタイヤ用滑り止め装置において、走行中に生じる負荷や衝撃力により、連結フックを取り付ける取り付け部の本体側縁部と、突き合わせ側の縁部とが略L型に交わるコーナー部の周囲に生じるクラックを合理的に防止することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明のタイヤ用滑り止め装置は、高張力芯材をゴムにより被覆してなる線材を網目状に組んで、タイヤ外周に巻回する略帯状の装置本体を構成してある。この装置本体の両端部の外側縁部には、環状の取り付け部を各々突出形成してある。
一方の取り付け部における突き合わせ縁部の本体外側縁寄りには、連結フックをかしめ固定してある。この連結フックは、滑り止め装置をタイヤの外周に巻回して装着する際に、他方の取り付け部に掛止し、これにより、装置本体の外側縁部同士を連結する。
上記したタイヤ用滑り止め装置は、連結フックを取り付ける取り付け部の本体側縁部と、突き合わせ側の縁部とが略L型に交わる部位の線材をその他の線材の幅よりも増大し、強度を高めているため、同部分に衝撃的な荷重が連続して加わっても従来のようにクラックが生じることを防止し得る。
【0008】
さらに、本発明のタイヤ用滑り止め装置は、上記した取り付け部の線材幅の増大部分を他の線材の厚みよりも薄く形成した(断面段差状、テーパー状等)したものであるから、過剰な荷重が加わった際に弾性変形し易いので荷重が1か所に集中せずに分散し易く、クラックとして成長する原因となる最初の亀裂を防ぐことができる。
尚、上記した、その他の線材とは、装置本体を構成する線材の内、装置本体の取り付け部の突き合わせ側縁部、及び本体側縁部、これら両縁部が交わるコーナー部以外の線材をいう。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1乃至図3にて示すタイヤ用滑り止め装置Aは、タイヤの外周に巻回装着する略帯状の装置本体1を備え、該装置本体1の内側縁に沿って、締め付け紐2を付設して構成する。
【0010】
装置本体1は、ゴム材の内部に合成繊維やワイヤー,グラスファイバー等の高張力性芯材a’を内設してなる線材aを、図示する如き網目状のパターンに組んで一体成形することにより、タイヤ外周に巻回装着せしめる帯状体として構成してある。
【0011】
上記装置本体1は、外側縁及び内側縁部分に沿って、略環状の取り付け部1b,1b’及び1c,1c’を一定の間隔にて突出形成する。
装置本体1の外側縁に沿って、定間隔を置いて設けた各取り付け部1b,1b’には、それぞれ掛止金具5を取り付け、これら掛止金具5に沿って締め付け用のゴムバンド及びアタッチメント等を掛止するように構成してある。
【0012】
また、装置本体1の内側縁部の各取り付け部1c,1c’に沿って取り付けた締め付け紐2は非伸縮性の紐状体であり、装置本体1内側縁に沿わせて配設し、各取り付け部1cに対して取り付け金具4を介して取付固定してある(図1)。
上記締め付け紐2の両端同士を連結する接続具3は、締め付け紐2の一端に取付ける雄体3aと、同紐2他端に取付ける雌体3bとから成り、それぞれ高強度の合成樹脂若しくは金属材を用いて構成する。
【0013】
接続具3の雄体3aは、掛止部付きのフックを突出形成してあり、上記フックを雌体3bの挿入孔に挿入して上記掛止部を掛止することにより、雄雌両部材3a,3bを接続する。
また、上記した如く接続した両部材3a,3bを分離させるには、雌体3bに開設した開口に覗く雄体3aの上記フック先端を押して弾性変形させ、上記掛止部の掛止を解除することにより、雄体3a,雌体3bを分離することができる。
【0014】
上記の如く構成した両接続具3の雄体3a,雌体3bは、装置本体1両端の内側縁部において略環状に形成される取り付け部1c’に対し、取り付け金具4を介してそれぞれ取付固定する。
【0015】
ところで、装置本体1両端部の外側縁部には環状に突出形成される取り付け部1b’と1b’’とを一体成形してある。一端側の取り付け部1b’は、装置本体1端部の外側縁部から略台形に突出して環状に成してある(図2)。上記取り付け部1b'は、タイヤに装着した状態において他端側の取り付け部1b’’と向かい合う突き合わせ縁部10aと、装置本体1外側縁10bとを形成してあり、これら両縁10aと10bとの間に略L型に屈曲するコーナー部10cを形成してある。
また、上記取り付け部1b’における突き合わせ縁部10aにおける本体1外側縁10bよりの部位には、平板状の金属材をフック型に屈曲形成して成る連結フックcを取り付け固定してある。連結フックcは、先端部に他端側の取り付け部1b’’の突き合わせ縁部10aに掛止する掛止部c1を屈曲形成すると共に、同フックcの基端には上記取り付け部1b’の突き合わせ縁部10aに巻き付けてかしめ固定するかしめ部c2を形成してある。
【0016】
一方、上記取り付け部1b’の突き合わせ縁部10aと装置本体1外側縁10b、及び両縁10a,10bの交わるコーナー部10cに沿って、比較的肉の薄いリブ10dを取り付け部1b’の内側へ向けて突出するように一体形成してある。即ち、上記したリブ10dは平面視略L型に突出させることにより、突き合わせ縁部10aと装置本体1外側縁10bの幅を増大している(図2)。
上記したリブ10dは、取り付け部1b’の突き合わせ縁部10aと装置本体1外側縁部10bの内周面から環の内側へ向けて一体に延出するように形成し、その肉厚を線材aの肉厚の1/2〜1/3程度の肉厚に設定することにより、この部分の断面を段差状に形成してある。また、本実施例の場合、上記リブ10dの延出量は線材aの半分程度に設定してある。
【0017】
尚、上記したリブ10dの厚さや延出寸法は任意に変更してもよく、例えば取り付け部1b’以外の線材aの肉厚と同じ肉厚にしてもよい。この場合、肉厚が一定で幅だけが通常の線材aよりも広くなるように形成することになる。
線材aの幅及び肉厚の増大量は、他の部分の線材a幅に対して相対的に増大させることが肝要であり、上記した値に限定するものではない。
【0018】
上記した如く形成した取り付け部1b’の突き合わせ縁部10aには、図2にて示すように屈曲形成した連結フックcを取り付けてある。連結フックcは、基端のかしめ部c2を同突き合わせ縁部10aに引っ掛けてかしめ固定する(図3)。これにより、連結フックcは、先端の掛止部c1が上記取り付け部1b’の突き合わせ縁部10aから突出した状態で取り付け固定される。また、連結フックcの基端部となるかしめ部c2は、線材aとリブ10dを幾分圧縮した形で取り付け固定してある。
上記タイヤ用滑り止め装置Aにあっては、他端側の取り付け部1b’’、即ち、上記連結フックcを掛止する取り付け部1b’’は、上記したように連結フックcを取り付けた取り付け部1b’と同様にリブによる線材幅の増大を行なっている。
【0019】
上記した如く構成したタイヤ用滑り止め装置Aをタイヤの外周に装着する際には、装置本体1をタイヤの外周に巻回し、締め付け紐2両端部に設けた接続具3の雄体3aと雌体3bとを接続して装置本体1の内側を連結する。そして、装置本体1の一端部外側の取り付け部1b’に固着した連結フックcを装置本体1他端部側の取り付け部1b’’の突き合わせ縁部10aに掛止して装置本体1の外側縁部を連結する(図4,図5)。
【0020】
その後、装置本体1の外側に沿って設けた各掛止金具5にゴムバンド及びアタッチメントを順次掛止してタイヤ外周に巻回した装置本体1をタイヤ外周面に対して圧着する。また、上記装置本体1の外側縁部を締め付ける締め付け具は、上記ゴムバンド及びアタッチメント以外の締め付け具であってもよい。
尚、本実施例の場合、装置本体1の他端側の取り付け部1b’’、即ち、連結フックcを掛止される方の取り付け部1b’’は、装置本体1の一端側の取り付け部1b’と同様にリブ10dを一体成形し、連結フックcを掛止される側の部位として必要十分な強度を確保した。しかし、上記取り付け部1b’’は、必ずしもリブ10dを形成しなくともよい。
【0021】
上記した如く構成したタイヤ用滑り止め装置Aは、連結フックcを取り付ける取り付け部1b’の本体1側縁部10bと、突き合わせ縁部10aとが略L型に交わる部位の内側に沿ってリブ10dを形成してある。これにより、同部分による強度が効果的に高められるため、多少大きな荷重が加わったとしても、上記補強部位からにクラックが生じることはない。
また、本実施例における装置本体1端部の取り付け部1b’は、線材幅の増大部分を他の線材aよりも肉薄なリブ10dにより形成して断面を段差形に成したものであるため、走行中に過剰な荷重が加わった場合にも、リブ10dが弾性変形して荷重が1か所に集中することを回避し、その周囲に分散して、クラックとして成長する起因となる最初の亀裂が生じることを防止できる。
【0022】
また、上記実施例においては、取り付け部1b’の幅を薄肉状のリブ10dを一体に沿設することで突き合わせ縁部10a及び装置本体1外側縁部10bの線材の幅を増大したが、本発明の主旨によれば、線材の幅を増大する構成は、これに限定するものではなく、線材aと同一な肉厚のまま幅を増大したり、増大部分の断面が略テーパー状となるように構成してもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のタイヤ用滑り止め装置は、連結フックをかしめて固定する取り付け部の本体側縁部と、突き合わせ縁部とが略L型に交わるコーナー部の線材をその他の線材の幅よりも増大し、強度的な安全率を高めている。
よって、連結フックのかしめ部周囲、即ち、二辺とコーナー部からなる危険部位に衝撃的な荷重が連続して加わっても従来のようにクラックが生じることを防止し、クラックの発生を回避し得る。
【0024】
さらに、本発明のタイヤ用滑り止め装置は、上記した取り付け部の線材幅の増大部分を他の線材の厚みよりも薄く形成したものであるから、連結フックのかしめ部分やコーナー部に荷重が加わった際に線材幅の増大部分が弾性変形しやすくなり、荷重が1か所に集中せずに分散し易くなり、クラックや線材破断の起因となる最初の亀裂の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施したタイヤ用滑り止め装置の展開状態を一部切欠して示す平面図。
【図2】 同装置の取り付け部を示す拡大図。
【図3】 図2におけるIII-III 線断面図。
【図4】 同装置の取り付け部を示す斜視図。
【図5】 同装置をタイヤに装着した状態を示す側面図。
【図6】 従来のタイヤ用滑り止め装置の展開状態を一部切欠して示す平面図。
【符号の説明】
A・・・タイヤ用滑り止め装置
a・・・線材
a’・・・芯材
c・・・連結フック
c1・・・掛止部
c2・・・かしめ部
1・・・装置本体
1b’,1b’’・・・取り付け部
1c’,1c’’・・・取り付け部
10a・・・突き合わせ側縁部
10b・・・装置本体側縁部
10c・・・コーナー部

Claims (1)

  1. タイヤに巻回して装着するタイヤ用滑り止め装置であって、高張力性の芯材をゴムにより被覆してなる線材を網目状に組んで、略帯状の装置本体を構成し、この装置本体のタイヤ外側縁に沿って、締付具を掛止する掛止部を適宜間隔をおいて設けると共に、上記装置本体のタイヤ内側縁に沿って、両端部に着脱可能な接続体を設けた締め付け紐を付設し、上記装置本体両端部の外側縁部に、環状の取り付け部を各々突出形成し、一方の取り付け部における突き合わせ縁部の本体外側縁寄りに連結フックをかしめ固定し、装着時において、同連結フックの掛止部を反対側の取り付け部の突き合わせ縁部に掛止して装置本体両端の外側縁部同士を連結するタイヤ用滑り止め装置において、前記連結フックを取り付ける取り付け部の突き合わせ側縁部と装置本体側縁部とが略L型に交わる部位の線材をその他の線材の幅よりも増大し
    上記取り付け部の線材幅の増大部分を他の線材の厚みよりも薄くして成るタイヤ用滑り止め装置。
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JP2000158925A (ja) * 1998-11-30 2000-06-13 Okamoto Ind Inc 床走行用タイヤカバー

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