JP4691318B2 - 水溶性フタロシアニン化合物の製造方法及びその合成中間体 - Google Patents

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本発明は、リチウムカチオンをカウンターイオンとする水溶性フタロシアニン化合物の製造方法、並びにその中間体関する。本発明の製造方法により得られるリチウムカチオンをカウンターイオンとする水溶性フタロシアニン化合物は、染料、顔料の他、有機光導電材料、光記録材料、医薬・農薬等の機能性材料として有用な化合物であり、特に水溶性インク組成物(例えば、インクジェット用インク組成物)として使用する場合に、溶解性が良好で且つ長期経時安定性が良好(析出等問題の無い)で、さらには低コストで製造可能である、極めて有用な化合物である。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
これらの方式のインクジェットプリンターに使用するインクに要求される特性としては、染料の含有量が十分に高く、記録された画像の濃度が十分に高いこと、画像の耐水性が高いこと、耐光性・耐ガス性(特に、オゾンに代表される酸化性ガスに高堅牢)が十分に高いこと、粘度、表面張力等の物性値が適性な範囲にあること、長期間保存しても沈殿を生じたり、物性値が変化しないこと長期間使用を中断した後にもノズルに目詰まりを生じることなく、正常な印字ができることが挙げられる。
しかしながら、耐水性に優れた染料は一般に溶解度が悪く、目詰まりを生じやすい。またインク中の染料濃度を高くすると目詰まりを生じやすいなど、これら要求される特性には相反する性質であるものが多い。
一方、光学濃度が高い記録画像を形成させた場合において、乾燥するにつれて染料の結晶が記録材料表面に析出して、記録画像が光を反射して金属光沢を放つという、いわゆるブロンズ現象が生じるという問題があった。この現象は、耐水性を向上させるために染料の水溶解性を下げたり、染料構造中に水素結合基のアミノ基を導入したりすることにより、染料の会合性(凝集性)が高まることによって生じやすくなると考えられる。ブロンズ現象の発生によって光を反射するので、記録画像の光学濃度が低下してしまうばかりでなく、記録画像の色相も所望のものとは大きく異なってしまうため、ブロンズ現象抑制はインクジェットインクに要求される性能として重要なものの一つである。
ブロンズ現象抑制の方法としては、特定の含窒素化合物を添加する方法、特定のチタン化合物を添加する方法などがこれまでに知られている。しかしながら、これらの添加物を加えることによってブロンズ現象の発生を抑えることはできても、添加物がインクの諸性能及び記録画像の品質を低下させてしまうことが懸念される。例えば、インクにアルカノールアミンを添加した場合、ブロンズ現象は防止できるものの、少量添加しただけでもインクのpHが11以上になってしまい、高pHインクのノズルへの影響のみならず、誤って人体に触れた場合の安全性に欠け、印字品位や記録画像の耐水性なども低下させる。
その他にも、添加物によってインクジェットインクの性能を改善する例として、対カチオンがリチウムイオン、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオンである色素以外のアニオン性の添加物を加えることで、色素の対イオンがこれらのイオンでない場合でも溶解性向上による目詰まり防止効果が得られる。一方、アルカリ金属化合物をインクに添加することによって、色素の会合体の生成が抑制され、インクの粘度上昇を防止しうるが、短期間であれば改善効果はあるものの長期間保存した場合には保管安定性に問題があると指摘されている。
このように、添加物を使用することでさまざまな効果が得られるものの、諸性能を維持しながら使用することは難しく、特に色素の溶解性と会合性を考慮する必要がある場合においては、添加物の種類と量の選択が難しいことがわかる。また、イオン性添加物を用いる場合には、その対イオンの及ぼす影響も考慮しなければならない。従って、添加物によらない本質的なブロンズ現象抑制方法を導入することが好ましいと言える。
金属フタロシアニン化合物のイオン性親水性基の対カチオンを変更することによって、インクジェットインクに求められる各種性能を改善する試みは盛んに行われている。例えば、特許文献1(特開平5−339532号公報)、特許文献2(特開平6−16982号公報)、特許文献3(特開平6−248212号公報)、特許文献4(特開平6−322286号公報)、特許文献5(特開平7−138511号公報)、特許文献6(特開平10−130517号公報)などが挙げられる。
金属フタロシアニン化合物のイオン性親水性基の対カチオンとしてリチウムイオンが好ましいと記載されている例として、特許文献7(特開昭57−202358号公報)、特許文献8(特開昭63−81179号公報)、特許文献9(特開昭63−317568号公報)、特許文献10(特許第2581769号明細書)、特許文献11(特登3163176号明細書)などが挙げられ、これらはインクの高濃度化、保存安定性、噴射安定性などに効果があると記載されている。
このように水溶性染料のリチウム塩は産業上有用であるが、市販の水溶性アニオン染料はほとんどがナトリウム塩、カリウム塩及び対カチオン混合物であり、染料の対カチオンをリチウム塩に交換するには、酸析、イオン交換樹脂処理、塩析等の複雑な操作が必要となり、現実的にはコストの面からその制約を受けていた。
特に、インクジェットプリンター等に使用するインク用の染料は、無機化合物含量を数千ppm以下(好ましくは1000ppmより小、さらに好ましくは500ppmより小)にする必要があり、従来は脱塩装置による脱塩操作を行っていた。しかし、脱塩装置は化学製品を製造する装置としては一般的ではなく、その装置を所有しない企業は、多大なコストをかけて、装置を導入しなければ、脱塩を行うことができない。
特開平5−339532号公報 特開平6−16982号公報 特開平6−248212号公報 特開平6−322286号公報 特開平7−138511号公報 特開平10−130517号公報 特開昭57−202358号公報 特開昭63−81179号公報 特開昭63−317568号公報 特許第2581769号明細書 特許第3163176号明細書
本発明の目的は、リチウムカチオンを主たるカウンターイオンとする水溶性フタロシアニン化合物の安価な製造方法を提供することにある。
より具体的には、本発明の目的は、イオン性親水性基のカウンターカチオンとして主にリチウムカチオンが占める高品質の水溶性フタロシアニン化合物を、イオン交換樹脂処理や脱塩装置を使用せずに不純物である無機化合物含量を削減することができ低コストで製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、リチウムカチオンをカウンターイオンとする水溶性フタロシアニン化合物の製造に用いることができる中間体を提供することにある。
本発明によれば下記構成の水溶性フタロシアニン化合物の製造方法が提供され、本発明の上記目的が達成される。
<1>下記一般式(IV−G)で表される置換フタロニトリル(化合物)と、塩化第二銅(CuCl2)とを反応させる、下記一般式()で表されるリチウムカチオンを主たるカウンターイオンとして有する水溶性フタロシアニン化合物の製造方法であって、一般式(IV−G)で表される化合物と塩化第二銅(CuCl2)との反応は、酢酸リチウムと酢酸との緩衝液中で、65〜300℃の温度で、0.5〜24時間行うことを特徴とする。
一般式(IV−G)
Figure 0004691318
上記一般式(IV−G)中;
X'は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1および−SO2NR12から選ばれる置換基を表す。ここで、R1は置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基を表す。R2は水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基を表す。
X'は、イオン性親水性基を置換基として有し、該イオン性親水性基はスルホ基、カルボキシル基、アシルアミノスルホニル基、スルホニルアミノカルボニル基またはスルホニルアミノスルホニル基であり、該イオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
aは、置換基X'の数を表し、1または2である。
一般式(V)
Figure 0004691318
上記一般式(V)中;
1,X2,X3,X4は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R 1 および−SO2NR1 2 ら選ばれる置換基を表す。R1,R2は、それぞれ独立に、一般式(IV−G)中のR1,R2と同義である。
1,a2,a3,a4は、それぞれ置換基X1,X2,X3,X4の数を表し、1または2である。
Mは、Cu原子を表す
本発明の上記方法によれば、(1)イオン交換樹脂による処理;(2)ナトリウムなどの塩の溶液に、リチウムカチオンを含有する塩を加えて析出させる塩析法を数回繰り返し操作して、目的とするリチウム化率(高品質)に誘導する操作;(3)強酸を加えて溶媒抽出、蒸留、ろ過などにより分離して遊離酸とした後にリチウムイオンの水酸化物を添加する処理;(4)脱塩装置の使用;上記(1)〜(4)の煩雑な操作を行うことなく上記一般式(III)あるいは上記一般式(V)で表される水溶性のフタロシアニン化合物をリチウム塩として安定品質で且つ安価に製造することができる。
以下、本発明の最良の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本発明は、上記、<1>の水溶性フタロシアニン化合物の製造方法に関するものであるが、本明細書には、参考のためにその他の事項も記載する。
本発明のフタロシアニン化合物の対カチオンは主としてリチウムイオンである。ここで、対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよいが、リチウムイオンが最も存在比率の高い対カチオンであることが必須である。このようなリチウムイオンの存在比率の条件下において、水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
上記フタロシアニン化合物の対カチオンの種類及び比率の測定については、日本化学会編“新実験化学講座9 分析化学”(1977年 丸善)及び日本化学会編“第4版 実験化学講座15 分析”(1991年 丸善)に、分析方法や元素についての各論が記載されているので、これを参考にして分析方法を選び、分析及び定量することができる。中でもイオンクロマトグラフィー、原子吸光法、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP)などの分析法によって決定することが容易である。
上記フタロシアニン化合物のリチウムイオンの量としては、対イオン全量に対して、50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であることが好ましく、上限は100モル%である。
フタロシアニン化合物中のイオン性親水性基としては、スルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO2 -+)、及び4級アンモニウム基(−N+RR'R''X-)、アシルアミノスルホニル基(−SO2-+COR)、スルホニルアミノカルボニル基(−CON-+SO2−R)、スルホニルアミノスルホニル基(−SO2-+SO2−R)等が含まれる。本発明においては、リチウムイオンを対カチオンとするためにアニオン性親水性基が存在していることが必要である。好ましくは、スルホ基、カルボキシル基であり、特にスルホ基が好ましい。なお、上記カッコ内のX+は、対イオン、R、R'、R''は置換基を表す。
不純物である無機化合物はカチオン、アニオンの何れかが無機イオンである化合物であると定義され、染料の塩は含まれない。上記無機イオンとしては、例えば、硫酸アニオン、リン酸アニオン、塩酸アニオン、酢酸アニオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられる。
本発明では、対カチオンがリチウムイオンであるフタロシアニン化合物を得る方法として、対カチオンがリチウムイオンである原料及び合成中間体を用いてフタロシアニンを形成させる方法を採用し、安定した品質(カウンターカチオンを所望のリチウム化率)で、フタロシアニン化合物を安価に製造することができる。
まず、本発明の製造の対象であるリチウムカチオンをカウンターイオンとする水溶性フタロシアニン化合物(以下、単にフタロシアニン化合物とも呼称する)について説明する。
本発明のリチウムカチオンをカウンターイオンとする水溶性フタロシアニン化合物はその水和物を含む。
本発明のフタロシアニン化合物は、下記一般式(III)で表される場合が好ましい。
一般式(III)
Figure 0004691318
一般式(III)中、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上である置換基を表す。
中でも、ハメットの置換基定数σp値が0.3以上である置換基が好ましく、特に、σp値が0.4以上である置換基が好ましく、その中でもフタロシアニン化合物の4つの芳香族環にハメットの置換基定数σp値が0.4以上である置換基が、それぞれ少なくとも1個以上有するものが好ましい。
更に詳しくは、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12、−CO2−R1または−CO−R1から選ばれる置換基が好ましい。
ここで、R1は、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基を表す。
2は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基を表す。
好ましいR1は、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、特に置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が好ましく、その中でも置換基を有する総炭素数1〜8アルキル基が最も好ましい。
好ましいR2は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が好ましく、その中でも水素原子、置換基を有する総炭素数1〜8アルキル基が最も好ましい。
なお、R1、R2が更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げるような置換基を更に有してもよい。
総炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基、総炭素数7〜18の直鎖または分岐鎖アラルキル基、総炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルケニル基、総炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルキニル基、総炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルキル基、総炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルケニル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル;以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、ハロゲン化スルホニル基(例えば、クロロスルホニル)、ハロゲン化カルボニル基(例えば、クロロカルボニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基および4級アンモニウム基)が挙げられる。
中でも、ハロゲン原子、ヘテロ基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ハロゲン化スルホニル基、ハロゲン化カルボニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が更に好ましい。
1、R2が表す置換もしくは無置換のアルキル基としては、総炭素原子数が1〜20のアルキル基であり、その中でも特に総炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましい。溶解性の理由から、総炭素原子数が1〜8の直鎖アルキル基及びまたは分岐のアルキル基が極めて好ましく、不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が最も好ましい。
1、R2が表す置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、総炭素原子数が3〜20のシクロアルキル基が好ましい。その中でも特に総炭素原子数が3〜12のシクロアルキル基が好ましい。溶解性の理由から、総炭素原子数が4〜8の分岐のシクロアルキル基が特に好ましく、不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が極めて好ましい。
1、R2が表す置換もしくは無置換のアルケニル基としては、総炭素原子数が2〜20のアルケニル基が好ましい。その中でも総炭素原子数が2〜12のアルケニル基が特に好ましい。溶解性の理由から、総炭素原子数が3〜12の分岐のアルケニルル基が極めて好ましく、不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が最も好ましい。
1、R2が表す置換もしくは無置換のアルキニル基としては、総炭素原子数が2〜20のアルキニル基が好ましい。その中でも総炭素原子数が2〜12のアルキニル基が好ましい。溶解性の理由から、総炭素原子数が4〜12の分岐のアルキニルル基が特に好ましく、不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が最も好ましい。
1、R2が表す置換もしくは無置換のアラルキル基としては、総炭素原子数が7〜20のアラルキル基が好ましい。その中でも特に総炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。溶解性の理由から、総炭素原子数が9〜12の分岐のアラルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
1、R2が表す置換もしくは無置換のアリール基としては、総炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましい。その中でも特に総炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。
置換基の例としては、ハロゲン原子、ヘテロ基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が更に好ましい。
1、R2が表すヘテロ環基としては、5員または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環基であっても非芳香族ヘテロ環基であっても良い。
以下にR1、R2で表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。
(ヘテロ環基の例示)
ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
中でも、芳香族ヘテロ基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。
1、a2、a3、a4は、それぞれ独立に、置換基X1、X2、X3、X4の各々の数を表し、0〜4の整数である。
中でも、a1、a2、a3、a4は、1または2であることが好ましく、特に1が好ましい。
1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立に、水素原子およびまたは一価の置換基を表す。この一価の置換基は、各々さらに置換基を有していてもよい。
好ましいY1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基またはイオン性親水性基を表す。これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
中でも、水素原子、ハロゲン原子、イオン性親水性基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。
1、b2、b3、b4は、それぞれ独立に、置換基Y1、Y2、Y3、Y4の各々の数を表し、a1+b1=4、a2+b2=4、a3、+b3=4、a4+b4=4の関係を満たす整数である。なお、本明細書において、「置換基Y1、Y2、Y3、Y4」と称するときは、Y1、Y2、Y3、Y4が水素原子である場合も、便宜上、置換基として取り扱うこととする。
置換基X1、X2、X3、X4、Y1、Y2、Y3及びY4のうち少なくとも1つは、イオン性親水性基であるか、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。なお、イオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
Mは、水素原子または金属原子を表す。Mが金属原子を表す場合は、金属原子は、酸化物、水酸化物、あるいはハロゲン化物の状態であってもよい。
好ましいMとしては、水素原子が挙げられ、さらにLi、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等の金属原子が挙げられる。
金属酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。
金属水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が挙げられる。
金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
なかでも、特に好ましいMは、Cu、Ni、Zn及びAlであり、Cuが最も好ましい。
本発明の一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記の好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物の特に好ましい組み合わせは、下記条件(イ)〜(ヌ)の組み合わせである。
(イ)置換基X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上である置換基であり、より好ましくはσp値が0.3以上である置換基であり、特に好ましくはσp値が0.4以上である置換基であり、中でもフタロシアニン化合物の4つの芳香族環にハメットの置換基定数σp値が0.4以上である置換基が、それぞれ少なくとも1個以上有するものが最も好ましい。より具体的には、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12、−CO2−R1、及び−CO−R1から選ばれる置換基であることが好ましく、中でも−SO2−R1、−SO2NR12、及び−CONR12がより好ましく、−SO2−R1及び−SO2NR12が特に好ましく、−SO2−R1が最も好ましい。
(ロ)R1は、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、特に置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が好ましく、その中でもイオン性親水性基を置換基に有する総炭素数1〜8アルキル基が最も好ましい。
2は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基がより好ましく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が特に好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ハ)a1、a2、a3、a4は、それぞれ独立に、置換基X1、X2、X3、X4の数を各々表し、0〜4の整数であり、中でも1〜2の整数が好ましく、特に1が好ましい。
(ニ)置換基Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基またはイオン性親水性基が挙げられ、その中でも、水素原子、ハロゲン原子、イオン性親水性基がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ホ)b1、b2、b3、b4は、それぞれ独立に、置換基Y1、Y2、Y3、Y4の数を各々表し、かつa1+b1=4、a2+b2=4、a3、+b3=4、a4+b4=4の関係を満たす整数である。b1、b2、b3、b4は、1〜3の整数が好ましく、2または3であることが特に好ましく、a1=a2=a3=a4=1、かつ、b1=b2=b3=b4=3であることが最も好ましい。
(ヘ)X1、X2、X3、X4、Y1、Y2、Y3及びY4のうち少なくとも1つは、それ自体がイオン性親水性基であるか、またはイオン性親水性基を置換基として有し、しかもイオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
(ト)フタロシアニン化合物の対カチオンは、リチウムイオンである。対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよく、リチウムイオンが最も存在比率が高い対カチオンであれば良い。フタロシアニン化合物のリチウムイオンの量としては、対イオン全体に対して、50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。このようなリチウムイオンの存在比率の条件下において、フタロシアニン化合物は水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
(チ)フタロシアニン化合物中のイオン性親水性基としては、スルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO2 -+)、4級アンモニウム基(−N+RR'R''X-)、アシルアミノスルホニル(−SO2-+COR)、スルホニルアミノカルボニル基(−CON-+SO2 -R)、スルホニルアミノアルホニル基(−SO2-+SO2 -R)等が好ましく、中でもスルホ基、カルボキシル基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。なお、上記括弧内のX+は対イオンを、R、R'、R''は置換基を表す。
(リ)Mとしては、水素原子またはLi、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等の金属原子が好ましく挙げられる。また、金属酸化物としては、VO、GeO等が好ましく、金属水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2が好ましく、金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrClが好ましく挙げられる。中でも、Cu、Ni、Zn、Al等がとりわけ好ましく、Cuが最も好ましい。
(ヌ)フタロシアニン化合物の分子量は750〜2500の範囲が好ましく、更に995〜2500の範囲の分子量が好ましく、その中でも995〜2000の範囲の分子量が好ましく、995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
前記一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物一分子中、イオン性親水性基を少なくとも1個以上有するものが好ましく、イオン性親水性基がスルホ基であるものが特に好ましい、その中でもスルホ基を2個以上有するものが最も好ましい。
一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物は、分子内に少なくとも1つ以上のイオン性親水性基を有しているので、水性媒体中に対する溶解性または分散性が良好である。
一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物の中でも、下記一般式(V)で表される構造のフタロシアニン化合物がさらに好ましい。以下に、本発明の一般式(V)で表されるフタロシアニン化合物について詳しく述べる。
一般式(V)
Figure 0004691318
一般式(V)中、X1,X2,X3,X4は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12、−CO2−R1及び−CO−R1から選ばれる置換基を表す。なかでも、−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12が好ましく、−SO2−R1、−SO2NR12が特に好ましく、−SO2−R1が最も好ましい。
1及びR2は、上記一般式(III)中のR1と同義であり、好ましい例も同じである。
1、a2、a3、a4は、それぞれ独立に、置換基X1、X2、X3、X4の数を表し、1または2であり、特に1が好ましく、中でもa1=a2=a3=a4=1であることが最も好ましい。
Mは、上記一般式(III)中のMと同義であり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(V)で表されるフタロシアニン化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(V)で表されるフタロシアニン化合物の特に好ましい組み合わせは、下記条件(イ)〜()の組み合わせである。
(イ)置換基X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12、−CO2−R1及び−CO−R1から選ばれる置換基が好ましく、中でも−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12がより好ましく、−SO2−R1、−SO2NR12が特に好ましく、−SO2−R1が最も好ましい。
(ロ)R1は、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、特に置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基がさらに好ましく、その中でもイオン性親水性基を置換基に有する総炭素数1〜8アルキル基が最も好ましい。
2は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基がより好ましく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が特に好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ハ)a1、a2、a3、a4は、それぞれ独立に、置換基X1、X2、X3、X4の数を各々表し、0〜4の整数である。中でも、1または2であることが好ましく、特に1が好ましい。
(ニ)置換基X1、X2、X3及びX4のうち少なくとも1つは、それ自体がイオン性親水性基であるか、またはイオン性親水性基を置換基として有する。イオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
(ホ)フタロシアニン化合物の対カチオンは、リチウムイオンである。対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよく、リチウムイオンが最も存在比率が高い対カチオンであれば良い。フタロシアニン化合物のリチウムイオンの量としては、対イオン全体に対して、50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。このようなリチウムイオンの存在比率の条件下において、フタロシアニン化合物は水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
(ヘ)フタロシアニン化合物中のイオン性親水性基としては、スルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO2 -+)、4級アンモニウム基(−N+RR'R''X-)、アシルアミノスルホニル(−SO2-+COR)、スルホニルアミノカルボニル基(−CON-+SO2 -R)、スルホニルアミノアルホニル基(−SO2-+SO2 -R)等が好ましく、中でもスルホ基、カルボキシル基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。なお、上記括弧内のX+は対イオンを、R、R'、R''は置換基を表す。
(ト) Mは、水素原子、金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が好ましく、金属酸化物としては、VO、GeO等が好ましく、金属水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が好ましく、金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が好ましく、中でも、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
(チ)フタロシアニン化合物の分子量は、750〜2500の範囲が好ましく、995〜2500の範囲の分子量が更に好ましく、その中でも995〜2000の範囲の分子量が特に好ましく、995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
前記一般式(V)で表されるフタロシアニン化合物一分子中、イオン性親水性基を少なくとも1個以上有するものが好ましく、イオン性親水性基がスルホ基であるものが特に好ましい。その中でもスルホ基を2個以上有するものが最も好ましい。
一般式(V)で表されるフタロシアニン化合物は、分子内に少なくとも1つ以上のイオン性親水性基を有しているので、水性媒体中に対する溶解性または分散性が良好である。
以下に、本発明の一般式(III)、(V)で表される化合物の具体例を示すが、本発明の一般式(III)、(V)で表される化合物は、下記の例に限定されるもではない。表1〜表4の表中(X1、X2)、(X11、X12)、(X21、X22)、(X31、X32)は、下記式で表されるフタロシアニン化合物の置換基である。これらが水素原子であっても便宜上置換基として取り扱っている。また、各組の具体例はそれぞれ順不同である。
Figure 0004691318
Figure 0004691318
Figure 0004691318
Figure 0004691318
Figure 0004691318
次に、本発明の製造方法に用いられる下記一般式(II)で表される金属誘導体について説明する。
一般式(II)
Figure 0004691318
上記一般式(II)において、Mは、水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。
金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。
金属酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。
金属水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が挙げられる。
金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
中でも、Mとしては、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
一般式(II)において、Zはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を表し、dは1〜4の整数を表す。
一般式(II)で表される金属誘導体の具体例としては、Al、Si、Ti、V、Mn,Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb等のハロゲン化物、カルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。さらに具体的には、塩化銅、臭化銅、沃化銅、酢酸銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
その中でも、塩化第二銅(CuCl2)、酢酸銅がとりわけ好ましく、塩化第二銅(CuCl2)が特に好ましい。
次に、本発明の製造方法に用いられる下記一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物A〜Fについて説明する。
一般式(I−A)〜(I−F)
Figure 0004691318
上記一般式(I−A)〜(I−F)中、X'は、上記一般式(III)中のX1、X2、X3、X4と同義であり、好ましい例も同じである。
上記一般式(I−A)〜(I−F)中、Yは、上記一般式(III)中のY1、Y2、Y3、Y4と同義であり、好ましい例も同じである。
上記一般式(I−A)〜(I−F)中、aは置換基X'の数を表し、0〜4の整数であり、中でも1または2であることが好ましく、特に1が好ましい。
上記一般式(I−A)〜(I−F)中、bは、それぞれ独立に、水素原子を含んだ置換基Yの数を表し、a+b=4の関係を満たす整数である。好ましくは、1〜3の整数であり、2または3が特に好ましく、a=1、b=3である場合が最も好ましい。なお、本明細書において「置換基Y」と称するときは、Yが水素原子である場合も、便宜上、置換基として取り扱うこととする。
X'及びYの少なくとも1つは、それ自体がイオン性親水性基であるか、又はイオン性親水性基を置換基として有する。イオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよく、リチウムイオンが最も存在比率が高い対カチオンであれば良い。フタロシアニン化合物のリチウムイオンの量としては、対イオン全体に対して、50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。このようなリチウムイオンの存在比率の条件下において、フタロシアニン化合物は水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物A〜F中のイオン性親水性基としては、スルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO2 -+)、4級アンモニウム基(−N+RR'R''X-)、アシルアミノスルホニル(−SO2-+COR)、スルホニルアミノカルボニル基(−CON-+SO2 -R)、スルホニルアミノアルホニル基(−SO2-+SO2 -R)等が好ましく、中でもスルホ基、カルボキシル基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。なお、上記括弧内のX+は、対イオン、R、R'、R''は置換基を表す。
上記一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物A〜Fの中で、好ましい化合物は化合物A、化合物B、化合物Eであり、更に化合物A、化合物Bが好ましく、その中でも化合物Aが特に好ましい。
本発明の一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物A〜Fの好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物A〜Fとして特に好ましい組み合わせは、下記条件(イ)〜(チ)の組み合わせである。
(イ)X'は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12、−CO2−R1または−CO−R1から選ばれる置換基が好ましく、中でも−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12がより好ましく、−SO2−R1、−SO2NR12が特に好ましく、−SO2−R1が最も好ましい。
(ロ)R1は、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、特に置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が好ましく、その中でもイオン性親水性基を置換基に有する総炭素数1〜8アルキル基が最も好ましい。
2は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が特に好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ハ)aは、置換基X'の数を表し、0〜4の整数であり、中でも1または2が好ましく、特に1が好ましい。
(ニ)Yは、水素原子およびまたは一価の置換基を表し、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基またはイオン性親水性基が挙げられ、その中でも、水素原子、ハロゲン原子、イオン性親水性基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ホ)bは、置換基Yの数を表し、a+b=4の関係を満たす整数である。bは1〜3の整数であることが好ましく、2または3であることが特に好ましく、a=1、b=3の場合が最も好ましい。
(ヘ)X及びYのうち少なくとも1つは、それ自体がイオン性親水性基であるか、または、イオン性親水性基を置換基として有し、該イオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
(ト)一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物A〜Fの対カチオンはリチウムイオンであるが、対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよく、リチウムイオンが最も存在比率が高い対カチオンであれば良い。フタロシアニン化合物のリチウムイオンの量は、対イオン全体に対して、50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。このようなリチウムイオンの存在比率の条件下において、フタロシアニン化合物は水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
(チ)一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物A〜F中のイオン性親水性基としては、スルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO2 -+)、4級アンモニウム基(−N+RR'R''X-)、アシルアミノスルホニル(−SO2-+COR)、スルホニルアミノカルボニル基(−CON-+SO2 -R)、スルホニルアミノアルホニル基(−SO2-+SO2 -R)等が好ましく、中でもスルホ基、カルボキシル基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。なお、上記括弧内のX+は、対イオン、R、R'、R''は置換基を表す。
一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物A〜Fの中でも、下記一般式(IV−G)〜(IV−L)で表される化合物G〜Lさらに好ましい。以下に、本発明の一般式(IV)で表される化合物について詳しく述べる。
一般式(IV−G)〜(IV−L)
Figure 0004691318
上記一般式(IV−G)〜(IV−L)中:
X'は上記一般式(III)中のX'と同義であり、好ましい例も同じである。
aはX'の置換基数を表し、1〜2の整数が好ましく、特に1が好ましい。
X'はイオン性親水性基を置換基として有する。そしてイオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよく、リチウムイオンが最も存在比率が高い対カチオンであれば良い。フタロシアニン化合物のリチウムイオンの量は、対イオン全体に対して、50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。このようなリチウムイオンの存在比率の条件下において、フタロシアニン化合物は水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
一般式(IV−G)〜(IV−L)で表される化合物G〜L中のイオン性親水性基としては、スルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO2 -+)、及び4級アンモニウム基(-N+RR’R’’X-)、アシルアミノスルホニル(−SO2-+COR)、スルホニルアミノカルボニル基(−CON-+SO2−R)、スルホニルアミノアルホニル基(−SO2-+SO2−R)等が好ましく、中でもスルホ基、カルボキシル基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。なお、上記カッコ内のX+は対イオン、R、R'、R''は置換基を表す。
上記一般式(IV−G)〜(IV−L)で表される化合物G〜Lの中で、好ましい化合物は化合物G、化合物H、化合物Kであり、更に化合物G、化合物Hが好ましく、その中でも化合物Gが特に好ましい。
本発明の一般式(IV−G)〜(IV−L)で表される化合物G〜Lの好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(IV−G)〜(IV−L)で表される化合物G〜Lとして特に好ましい組み合わせは、下記条件(イ)〜(ヘ)の組み合わせである。
(イ)X'は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12、−CO2−R1及び−CO−R1から選ばれる置換基が好ましく、中でも−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12がより好ましく、−SO2−R1、−SO2NR12が特に好ましく、−SO2−R1が最も好ましい。
(ロ)R1は、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、特に置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が好ましく、その中でもイオン性親水性基を置換基に有する総炭素数1〜8アルキル基が最も好ましい。
2は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基がより好ましく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が特に好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ハ)aは置換基X'の数を表し、1または2であり、1であることが好ましい。
(ニ)X'は、イオン性親水性基を置換基として有し、そしてイオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
(ホ)一般式(IV−G)〜(IV−L)で表される化合物G〜Lの対カチオンはリチウムイオンであるが、対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよく、リチウムイオンが最も存在比率が高い対カチオンであれば良い。フタロシアニン化合物のリチウムイオンの量は、対イオン全体に対して、50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。このようなリチウムイオンの存在比率の条件下において、フタロシアニン化合物は水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
(ヘ)一般式(IV−G)〜(IV−L)で表される化合物G〜L中のイオン性親水性基としては、スルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO2 -+)、4級アンモニウム基(-N+RR'R''X-)、アシルアミノスルホニル(−SO2-+COR)、スルホニルアミノカルボニル基(−CON-+SO2 -R)、スルホニルアミノアルホニル基(−SO2-+SO2 -R)等が好ましく、中でもスルホ基、カルボキシル基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。なお、上記括弧内のX+は対イオン、R、R'、R''は置換基を表す。
次に、下記一般式(VI−M)〜(VI−R)で表される化合物M〜Rについて詳しく述べる。この化合物は新規物質である。
一般式(VI−M)〜(VI−R)
Figure 0004691318
上記一般式(VI−M)〜(VI−R)中、X'は、上記一般式(IV−G)〜(IV−L)中のX'と同義であり、好ましい例も同じである。
Y、a及びbは、上記一般式(I−A)〜(I−F)中のYと同義であり、好ましい例も同じである。
上記一般式(VI−M)〜(VI−R)で表される化合物M〜Rの中で、好ましい化合物は化合物M、化合物N、化合物Qであり、更に化合物M、化合物Nが好ましく、その中でも化合物Mが特に好ましい。
本発明の一般式(VI−M)〜(VI−R)で表される化合物M〜Rの好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(VI−M)〜(VI−R)で表される化合物M〜Rの特に好ましい組み合わせは、下記条件(イ)〜(チ)の組み合わせである。
(イ)X'は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12、−CO2−R1及び−CO−R1から選ばれる置換基が好ましく、中でも−SO2−R1、−SO2NR12、−CONR12が好ましく、特に−SO2−R1、−SO2NR12が好ましく、−SO2−R1が最も好ましい。
(ロ)R1は、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、特に置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が好ましく、その中でもイオン性親水性基を置換基に有する総炭素数1〜8アルキル基が最も好ましい。
2は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基が好ましく、中でも水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜8アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜12のアリール基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ハ)aは、置換基X'の数を表し、0〜4の整数である。中でも1または2であることが好ましく、特に1が好ましい。
(ニ)Yは、水素原子およびまたは一価の置換基を表し、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基またはイオン性親水性基が挙げられ、その中でも、水素原子、ハロゲン原子、イオン性親水性基がより好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ホ)bは、置換基Yの数を表し、且つ、a+b=4の関係を満たす。bは1〜3の整数が好ましく、特に2または3であることが好ましく、a=1、b=3が最も好ましい。
(ヘ)X及びYのうち少なくとも1つは、それ自体がイオン性親水性基であるか、またはイオン性親水性基を置換基として有する。イオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
(ト)化合物M〜Rの対カチオンはリチウムイオンであるが、対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよく、リチウムイオンが最も存在比率が高い対カチオンであれば良い。フタロシアニン化合物のリチウムイオンの量としては、対イオン全体に対して、50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。このようなリチウムイオンの存在比率の条件下において、フタロシアニン化合物は水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
(チ)化合物M〜R中のイオン性親水性基としては、スルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO2 -+)、4級アンモニウム基(-N+RR'R''X-)、アシルアミノスルホニル(−SO2-+COR)、スルホニルアミノカルボニル基(−CON-+SO2 -R)、スルホニルアミノアルホニル基(−SO2-+SO2 -R)等が好ましく、中でもスルホ基、カルボキシル基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。なお、上記括弧内のX+は対イオン、R、R'、R''は置換基を表す。
化合物M〜Rは、以下の方法により製造することができる。
例えば、化合物M、O、Pは、本発明の合成例に記載した合成法により誘導した後に、塩化リチウム水溶液に注入することにより塩析して、対応するリチウムカチオンを主たるカウンターカチオンとする化合物を得ることができる。
化合物Nは、例えば化合物Mをアルコール(具体的にはメタノール)中、アンモニアガスをバブリングすることにより、容易に誘導することができ、反応液に塩化リチウム、酢酸リチウム等にリチウムをカウンターカチオンとする塩を添加するか、あるいは、塩化リチウム水溶液に注入することにより塩析して、対応するリチウムカチオンを主たるカウンターカチオンとする化合物を得ることができる。
化合物Qおよび化合物Rは、例えば、化合物Oの加水分解及び脱水反応により容易に対応するフタル酸誘導体またはフタル酸無水物に誘導することができる、反応液に塩化リチウム、酢酸リチウム等にリチウムをカウンターカチオンとする塩を添加するか、あるいは、塩化リチウム水溶液に注入することにより塩析して、対応するリチウムカチオンを主たるカウンターカチオンとする化合物を得ることができる。
一般式(VI−M)〜(VI−R)で表される化合物M〜Rの中でも、上記一般式(IV−G)〜(IV−L)で表される上記化合物G〜Lがさらに好ましい。化合物G〜Lについては既に詳しく述べた。
化合物G〜Lは、上記化合物M〜Rの同様の合成法及び単離精製方法により、容易に対応するリチウムカチオンを主たるカウンターカチオンとする化合物として得ることができる。
以下に、本発明の一般式(IV−G)〜(VI−L)、一般式(VI−M)〜(VI−R)で表される化合物の具体例を示すが、下記の例に限定されるもではない。
表中X’が2種以上の場合、各組の具体例はそれぞれ独立に順不同である。
Figure 0004691318
Figure 0004691318
Figure 0004691318
Figure 0004691318
Figure 0004691318
Figure 0004691318
Figure 0004691318
Figure 0004691318
本発明の一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物の製造方法おいて、一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物のうち、化合物Aであるフタロニトリル化合物と一般式(II)で表される金属誘導体との反応条件について詳細に説明する。化合物B〜Fのいずれかを用いてフタロシアニン化合物を製造するときの反応条件等は、フタロニトリル化合物と該金属誘導体との下記する詳細な反応条件を参考にして、実験的な作業を行いつつ当業者は容易に知ることができるであろう。
すなわち、化合物B〜Fにおいても、フタロニトリル化合物(化合物A)を用いたときの条件、または、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニンと機能」(1頁〜62頁)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VHC発行 'Phthalocyanines-Properties and Applications' (1頁〜54頁)等に記載または引用されている方法を組み合わせて製造することができる。
一般式(I−A)〜(I−F)で表される化合物(A:フタロニトリル化合物)と金属誘導体との使用量の比率は、モル比(金属誘導体:フタロニトリル化合物)で1:10〜10:1が好ましく、特に1:1〜1:5が好ましく、その中でも特に1:3〜1:4が最も好ましい。
フタロニトリル化合物と金属誘導体との反応は、通常、溶媒の存在下に行われる。溶媒としては、沸点80℃以上、好ましくは130℃以上の有機溶媒が用いられる。例えばn−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、スルフォラン、ニトロベンゼン、キノリン、尿素等が挙げられる。溶媒の使用量はフタロニトリル化合物の1〜100質量倍であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量倍であり、その中でも特に1〜5質量倍が最も好ましい。
フタロニトリル化合物と金属誘導体との反応は、有機塩基またはアルカリ金属からなる無機塩基と酸との緩衝液中で反応を行われてもよい。
本反応で用いられる上記酸としては、特に制限されるものではないが、25℃における水溶液中の解離指数pKaが7.0以下のものであれば有機化合物および無機化合物のいずれでも好ましい。
pKaは酸解離定数の逆数の対数値を表し、イオン強度0.1、25℃で求められた値を示す。このpKa0.0〜7.0の酸としては、リン酸などの無機酸、酢酸、マロン酸、クエン酸等の有機酸のいずれであってもよいが、上記の改良により効果を示すpKa0.0〜7.0の酸は有機酸である。また、有機酸にあってもカルボキシル基を有する有機酸が最も好ましい。pKaが0.0〜7.0の有機酸は一塩基性有機酸であっても多塩基性有機酸であってもよい。多塩基性有機酸の場合、そのpKaが上記0.0〜7.0の範囲にあれば金属塩(例えばナトリウムやカリウム塩)やアンモニウム塩として使用できる。また、pKa0.0〜7.0の有機酸は2種以上混合使用することもできる。本発明に使用するpKa0.0〜7.0の有機酸の好ましい具体例を挙げると、ギ酸、酢酸、モノクロル酢酸、モノブロモ酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、モノクロルプロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、アクリル酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、アミノ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸などの脂肪族系一塩基性有機酸;アスパラギン、アラニン、アルギニン、エチオニン、グリシン、グルタミン、システイン、セリン、メチオニン、ロイシンなどのアミノ酸系化合物;安息香酸及びクロロ、ヒドロキシ等のモノ置換安息香酸、ニコチン酸等の芳香族系一塩基性有機酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、オキサロ酢酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族系二塩基性有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタル酸、シスチン、アスコルビン酸等のアミノ酸系二塩基性有機酸;フタル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基性有機酸;クエン酸などの三塩基性有機酸など各種有機酸を列挙することができる。本発明においては、有機酸の中でも、脂肪族系一塩基性有機酸が好ましくギ酸、酢酸、プロピオン酸が最も好ましい。
当該pKaが7.0以下の酸化合物の使用量は、一般式(I−A)〜(I−F)で示される化合物の使用量に対して0.05〜20当量であり、好ましくは0.1〜10倍量を仕込むことで一般式(I−A)〜(I−F)で示される化合物の分解抑制作用が得られる。pKaが7.0以下の酸の使用量が、上記範囲であれば、一般式(I−A)〜(I−F)で示される化合物の分解を抑えること、反応系が酸性側に偏らず反応がスムーズに進行すること、緩衝液になるまで塩基を過剰に使用する必要がなく、その結果酸と塩基の塩が結晶として生じたりすることがない点などから好ましい結果が得られる。
本反応で用いられる塩基としては無機塩基、もしくは有機塩基である。無機塩基としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の無機塩基を、有機塩基としては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等を使用することができる。他に酢酸リチウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩等の有機酸塩を使用することもできる。但し、これら塩基は反応溶媒に溶解することで緩衝液として働くため、溶解性の高い塩基が好ましく、有機塩基やアルカリ金属イオンからなる有機酸塩が最も好ましい。アルカリ金属イオンの中でもリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましく、中でもリチウムイオン、ナトリウムイオンの有機酸塩が最も好ましい。塩基の使用量としては上記一般式(I−A)〜(I−F)で示される化合物の使用量に対して0.05〜30.0当量であり、好ましくは0.5〜15.0当量である。
フタロニトリル化合物と金属誘導体との反応は、65〜300℃の反応温度の範囲にて行なわれることが好ましく、より好ましくは70〜250℃の反応温度の範囲、さらに好ましくは80〜150℃の反応温度の範囲である。反応速度及び生成するフタロシアニン誘導体の分解防止の観点から、反応温度が上記範囲にあることが好ましい。
また、反応時間は、反応の進行度合い及びフタロシアニン誘導体の分解抑制の観点から、0.5〜24時間の範囲が好ましく、より好ましくは1〜10時間の範囲、さらに好ましくは1〜3時間の範囲である。
本発明のリチウムカチオンをカウンターイオンとするフタロシアニン化合物の製造方法においては、これらの反応によって得られる生成物(フタロシアニン染料)を通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精製してあるいは精製せずに供することができる。
以下に、本発明のリチウムカチオンをカウンターイオンとする水溶性フタロシアニン化合物の単離精製方法について説明する。
本発明のフタロシアニン化合物の製造方法においては、反応混合物(フタロシアニン化合物の反応液)に親水性有機溶剤を作用させて、リチウムカチオンをカウンターイオンとする水溶性フタロシアニン化合物を析出させて単離することが好ましい。このような単離方法で、不純物としての無機化合物含量の少ないフタロシアニン化合物を得ることができる。
晶析時、「親水性有機溶剤」/「反応混合物中の溶媒量」の比(vol./vol.)が1.0〜50.0が好ましく、好ましくは2.0〜20.0が好ましく、2.5〜10.0が特に好ましい。
本発明の金属フタロシアニン化合物の製造時(例えば銅フタロシアニン化合物)、反応混合物中に遊離の銅イオン(銅フタロシアニン化合物に含有されない銅イオン)が存在する場合、晶析時に酸性処理を実施することが好ましい。
具体的には、フタロシアニン化合物製造時に用いた金属誘導体の3当量〜100当量の酸(有機酸及び無機酸いずれでもよい)を添加することが好ましく、より好ましくは5当量〜50当量であり、更に好ましくは10当量〜30当量であり、最も好ましくは10当量〜20当量である。酸としては、塩酸が特に好ましい。
この後の塩析に使用する無機塩は塩化リチウムまたは酢酸リチウムが好ましく、塩化リチウムが更に好ましい。有機溶媒による晶析に用いる親水性有機溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒や、アセトン、アセトニトリル等の有機溶媒が好ましく、更に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールが好ましく、更に、イソプロピルアルコールが最も好ましい。
ろ過後、洗浄に使用する有機溶媒についても、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒や、アセトン、アセトニトリル等の親水性有機溶媒が好ましく、またこれらの有機溶媒に水が含まれていた方が好ましい場合もある。更に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールが好ましく、更に、イソプロピルアルコールが最も好ましい。
次に、下記に説明する精製工程(有機溶媒晶析処理)で、無機化合物を除去することができる。
本発明のフタロシアニン化合物を溶解させるイオン交換水及びまたはイオン交換水と親水性有機溶剤(例えばメタノール)の量はフタロシアニン化合物の質量の1〜100倍が好ましく、1〜10倍が更に好ましく、特に3〜8倍が最も好ましい。またこの溶液にはフタロシアニン化合物の1倍以下の無機リチウム化合物(例えば、水酸化リチウム)が含まれていてもよい。溶液のpHは特に制約はないが、アンモニウム塩が含まれる場合はpH=10付近(9〜11)が好ましい。
また、フタロシアニン化合物溶液に加える親水性有機溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒や、アセトン、アセトニトリル等の有機溶媒が好ましく、更に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールが好ましく、更に、イソプロピルアルコールが好ましい。また、加える量については、フタロシアニン化合物を溶解したイオン交換水及びまたはイオン交換水と親水性有機溶媒の1〜10倍(容量)が好ましく、2.5〜10倍がより好ましく、3.5〜8倍がさらに好ましい。
また、フタロシアニン化合物溶液に有機溶媒を加える温度については特に制約はないが、加える有機溶媒の沸点付近が好ましく、保持時間は数秒〜1時間程度でよい。また有機溶媒を加えることで、得られたスラリーをろ過する温度についても特に制約はないが、50℃〜室温程度まで冷やしてろ過するのが好ましい。
ろ過後、洗浄に使用する有機溶媒についても、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒や、アセトン、アセトニトリル等の親水性有機溶媒が好ましく、またこれらの有機溶媒に水が含まれていたほうが好ましい場合もある。更に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールが好ましく、更に、イソプロピルアルコールが好ましい。
以下、実施例に基づき、本発明のフタロシアニン化合物の製造法を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例)
本発明の代表的なフタロシアニン化合物は、例えば下記合成ル−トから誘導することができる。以下の実施例において、λmaxは吸収極大波長であり、εmaxは吸収極大波長におけるモル吸光係数を意味する。
フタロシアニン化合物の対カチオン(1価:Li+,Na+,K+,NH4 +;2価:Ca2+,Mg2+)及び対アニオン(Cl-,SO4 2-)の種類及び比率については、下記条件でイオンクロマトグラフィにより定量した値{フタロシアニン化合物10質量%aq.(超純水中)換算濃度}を示す。
分析条件(1価カチオン):
カラム:TSKgel IC−Cation;TSK guard column IC−C
溶離液:2mM HNO3
流速:1.2mL/min.
温度:40℃
検出法:電気伝導度
装置構成:
ポンプ:CCPM
オートサンプラー:AS−8000
検出器:CM−8000
カラムオ−ブン:CO−8000
データ処理器:C−R4A
(東ソ−社製)
分析条件(2価カチオン):
カラム:TSKgel IC−CationI−II HR;
TSK guard column IC−CationI/II HR
溶離液:2mM HNO3
流速:0.8mL/min.
温度:40℃
検出法:電気伝導度
装置構成:
ポンプ:CCPM
オートサンプラー:AS−8000
検出器:CM−8000
カラムオ−ブン:CO−8000
データ処理器:C−R4A
(東ソ−社製)
分析条件(アニオン):
カラム:TSKgel IC−AnionPW(LotNo.D0019)
溶離液:アニオン標準溶離液(TSKeluent IC−Anion−A)
流速:1.0mL/min.
温度:40℃
検出法:電気伝導度
装置構成:
ポンプ:CCPM
オートサンプラー:AS−8000
検出器:CM−8000
カラムオ−ブン:CO−8000
データ処理器:C−R4A
(東ソ−社製)
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合成例1:化合物1の合成
窒素気流下、4−ニトロフタルイミド(東京化成)288.2gを1442mLのDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、内温20℃で攪拌しているところへ、333gの3−メルカプト−プロパン−スルホン酸ナトリウム(85%)を添加した。続いて、内温50℃で攪拌しているところへ、173.8gの無水炭酸ナトリウムを徐々に加えた。反応液を攪拌しながら、70℃まで加温し、同温度で1時間撹拌した。40℃まで冷却した後、反応液をヌッチェでろ過し、ろ液を2885mLのメタノールにあけて晶析し、引き続き室温で30分間撹拌して、更にイソプロパノール1442mLを注入し、撹拌しながら内温10℃まで冷却した。析出した粗結晶をヌッチェでろ過し、メタノール962mLで洗浄し、乾燥して化合物1の粗結晶を、503.4を得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.89〜1.99(2H,m);2.51〜2.65(2H,t);3.24〜3.50(2H,t);7.64〜7.76(3H,m);11.29〜11.41(1H,s)
合成例2:化合物2の合成
485.0gの化合物1を48.5mLの酢酸と1500mLのH2Oの混合液に添加し、内温25℃で攪拌しているところへ、15gNa2WO4・2H2Oを添加した後、内温45℃まで昇温し溶解した。引き続き、374mLの過酸化水素水(30%)を発熱に注意しながら徐々に滴下した。内温50℃で60分間撹拌した後に、内温50℃の反応液に亜硫酸ナトリウム88.2g/400mLの水溶液を滴下し、同温度で532mLのイソプロパノールを滴下した後、10℃まで冷却した後、引き続き同温度にて30分間撹拌した後に、析出した結晶をヌッチェでろ過し、525mLのイソプロパノールで洗浄した後、乾燥して、462.6gの化合物2を得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.25〜1.89(2H,m);2.48〜2.52(2H,t);3.59〜3.65(2H,t);8.04〜8.11(1H,d);8.20(1H,s)8.29〜8.33(1H,d);11.59〜11.90(1H,s)
合成例3:化合物3の合成
300gの化合物2を900mLのDMF(ジメチルホルムアミド)に添加し、内温20℃で攪拌しているところへ、NH3ガスを90分間吹き込み、引き続き同温度で3時間撹拌した。次に、反応液を内温20℃以下で減圧下(<400mmHg)撹拌しながら、溶存している残存NH3ガスを留去して、化合物3の反応液を得た(化合物2+NH3⇒化合物3の反応液)。
合成例4:化合物4の合成
600mLのDMF(ジメチルホルムアミド)に内温5℃で、315.1mLのPOCl3を内温15℃以下を保ちながら滴下した。引き続き、POCl3/DMF溶液中に、内温10℃以下を保ちながら上記合成例3(化合物2+NH3⇒化合物3)の反応液を滴下し、内温17℃で引き続き1時間撹拌した。次に、4500mLのH2Oへ反応混合物を内温35℃以下を保ちながら滴下して、化合物4を晶析させた。引き続く、内温30℃で30分撹拌した後、析出した粗結晶をヌッチェでろ過し、4200mLのH2Oで洗浄後、2700mLのイソプロパノールで洗浄後風乾し、234.6gの化合物4を得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.81〜1.91(2H,m);2.49〜2.54(2H,t);3.62〜3.74(2H,t);8.07〜8.16(1H,d);8.36〜8.49(1H,d);8.66〜8.67(2H,s)
合成例5:化合物5の合成
100gの化合物4を400mLのアセトンに内温35℃で添加して溶解し、引き続き45mLのH2O注入して、撹拌しながら内温20℃まで冷却した。次に、49mLのピリジンを内温が40℃を超えない速度で滴下し、引き続き内温を55℃まで昇温して、同温度で2時間撹拌した。次に、同温度で34gの塩化リチウム/750mLのイソプロパノール溶液を滴下し、引き続き同温度で1時間撹拌した後、室温まで徐冷した。析出した結晶をヌッチェでろ過し、1000mLのイソプロパノールで洗浄し、乾燥後86.5gの化合物5を得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.81〜1.91(2H,m);2.29〜2.54(2H,t);3.62〜3.672H,t);8.07〜8.16(1H,d);8.30〜8.36(1H,d);8.66(1H,s)
合成例6:化合物6の合成
100gの化合物4を400mLのアセトニトリルに内温25℃で添加して溶解した後、内温30℃で45.1gのイソプロパノールアミンを滴下し、引き続き、同温度で1時間撹拌した。次に、内温度で1200mLの温水(70℃)を反応液に注入した後、内温を70℃まで昇温して、同温度で1時間撹拌した。内温25℃まで撹拌しながら徐冷した後に、析出した結晶をヌッチェでろ過し、1000mLの水で洗浄し、乾燥して91.4gの化合物6を得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.01〜1.03(3H,d);1.91〜1.95(2H,m);2.79〜2.83(2H,t);3.10〜3.15(2H,t);3.62〜3.86(3H,m);4.62〜4.71(1H,d);7.12〜7.16(1H,t);8.08〜8.17(1H,d);8.37〜8.47(1H,d);8.68(1H,s)
合成例7:化合物101の合成
29.48gの化合物5を2.6mLの酢酸と35mLのエチレングリコール混合液に懸濁させた後内温100℃に昇温し、引き続き6.04gの酢酸リチウム、3.24gの塩化第二銅(無水)を添加した。同温度で3時間攪拌後、内温90℃まで昇温し、19.7mLの濃塩酸を滴下した。続いて、同温度で1時間撹拌した後、内温を60℃まで冷却し、4.49gの塩化リチウムを加え、同温度で210mLのイソプロパノールを滴下し晶析した。次に、内温を30℃まで冷却後、晶析物をろ過し、200mLのイソプロパノールで洗浄を行った。乾燥した25gの粗結晶を25mLのメタノールと75mLのイオン交換水に溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH9.5になるまで添加した。引き続き、同温度で水溶液をゴミ取りろ過し、ろ液の内温を還流温度まで昇温し、同温度で60分攪拌後、300mLのイソプロパノールを滴下して晶析した。懸濁液を室温まで冷却後、析出物を吸引ろ過し、300mLのイソプロパノールで洗浄を行い、80℃で30時間乾燥して22.5gの化合物101を得た。溶液吸収:λmax=628.9nm,ε71000(H2O)。イオンクロマトグラフィ分析結果:Li+(2083.1ppm),Na+(N.D.:<25ppm),K+(N.D.:<150ppm),NH4 +(N.D.:<10ppm),Ca2+(N.D.:<3ppm),Mg2+(N.D.:<2ppm),Cl-(N.D.:<10ppm),SO4 2-(N.D.:<30ppm)
合成例8:化合物102の合成
30.52gの化合物5と11.83gの化合物6を3.6mLの酢酸と100mLのエチレングリコール混合溶液に内温110℃で溶解させた。引き続き、内温50℃に冷却後、8.34gの酢酸リチウム、4.47gの塩化第二銅(無水)を添加し、内温を85℃まで加温した。同温度で3時間攪拌後、内温90℃まで昇温し、27.8mLの濃塩酸を滴下した。続いて、同温度で1時間撹拌した後、内温を60℃まで冷却し、6.2gの塩化リチウムを加え、同温度で300mLのイソプロパノールを滴下し晶析した。次に、内温を30℃まで冷却後、晶析物をろ過し、300mLのイソプロパノールで洗浄を行った。乾燥した35.0gの粗結晶を35mLのメタノールと105mLのイオン交換水に溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH9.5になるまで添加した。引き続き、同温度で水溶液をゴミ取りろ過し、ろ液の内温を還流温度まで昇温し、同温度で60分攪拌後、400mLのイソプロパノールを滴下して晶析した。懸濁液を室温まで冷却後、析出物を吸引ろ過し、300mLのイソプロパノールで洗浄を行い、80℃で30時間乾燥して30.0gの化合物102を得た。溶液吸収:λmax=624.7nm,ε59000(H2O)。イオンクロマトグラフィ分析結果:Li+(1475ppm),Na+(N.D.:<25ppm),K+(N.D.:<150ppm),NH4 +(N.D.:<10ppm),Ca2+(N.D.:<3ppm),Mg2+(N.D.:<2ppm),Cl-(N.D.:<10ppm),SO4 2-(N.D.:<30ppm)
合成例9:化合物7の合成
窒素気流下、3−ニトロフタロニトリル(東京化成)50.0gを350mLのDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、内温20℃で攪拌しているところへ、63.53gの3−メルカプト−プロパン−スルホン酸ナトリウム(85%)を添加した。続いて、内温20℃で攪拌しているところへ、33.7gの無水炭酸ナトリウムを徐々に加えた。反応液を攪拌しながら、41℃まで加温し、同温度で1時間撹拌した。70℃まで冷却した後、反応液をヌッチェでろ過し、300mLのメタノールで洗浄後、ろ液を内温52℃の20%LiClaq.1950mLにあけて晶析し、引き続き室温まで撹拌しながら徐冷した。析出した粗結晶をヌッチェでろ過し、イソプロパノール1000mLで洗浄し、乾燥して化合物7の結晶を、81.09g得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.85〜2.00(2H,m);2.55〜2.65(2H,t);3.30〜3.40(2H,t);7.80〜7.90(2H,m);7.95〜8.00(1H,d)
合成例10:化合物8の合成
72.07gの化合物7を8mLの酢酸と288mLのH2Oの混合液に添加し、内温25℃で攪拌しているところへ、1.3gLi2WO4を添加した後、内温30℃まで昇温した。引き続き、120mLの過酸化水素水(30%)を発熱(<55℃)に注意しながら徐々に滴下した。内温55℃で120分間撹拌した後に、内温50℃の反応液に150mLのイソプロパノールを滴下した後、35℃まで冷却した後、100gのLiClを発熱(<50℃)に注意しながら分割添加した。引き続き45℃にて30分間撹拌した後に、室温まで撹拌しながら徐冷し、析出した結晶をヌッチェでろ過し、500mLのイソプロパノールで洗浄した後、乾燥して、59.16gの化合物8を得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.80〜1.95(2H,m);2.45〜2.60(2H,t);3.60〜3.75(2H,t);8.15〜8.25(1H,t);8.30〜8.40(1H,d)8.45〜8.55(1H,d)
合成例11:化合物121の合成
29.48gの化合物8を2.6mLの酢酸と35mLのエチレングリコール混合液に懸濁させた後内温100℃に昇温し、引き続き6.04gの酢酸リチウム、3.24gの塩化第二銅(無水)を添加した。同温度で3時間攪拌後、内温90℃まで昇温し、19.7mLの濃塩酸を滴下した。続いて、同温度で1時間撹拌した後、内温を60℃まで冷却し、4.49gの塩化リチウムを加え、同温度で210mLのイソプロパノールを滴下し晶析した。次に、内温を30℃まで冷却後、晶析物をろ過し、200mLのイソプロパノールで洗浄を行った。乾燥した10.0gの粗結晶を12.5mLのメタノールと37.5mLのイオン交換水に溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH9.5になるまで添加した。引き続き、同温度で水溶液をゴミ取りろ過し、ろ液を内温を還流温度まで昇温し、同温度で60分攪拌後、150mLのイソプロパノールを滴下して晶析した。懸濁液を室温まで冷却後、析出物を吸引ろ過し、150mLのイソプロパノールで洗浄を行い、80℃で30時間乾燥し乾燥して、3.5gの化合物121を得た。溶液吸収:λmax=656.4nm,ε=159000(H2O)。イオンクロマトグラフィ分析結果:Li+(2067.6ppm),Na+(N.D.:<25ppm),K+(N.D.:<150ppm),NH4 +(N.D.:<10ppm),Ca2+(N.D.:<3ppm),Mg2+(N.D.:<2ppm),Cl-(N.D.:<10ppm),SO4 2-(N.D.:<30ppm)
化合物121
Figure 0004691318
合成例12:化合物9の合成
窒素気流下、4−ニトロフタロニトリル(東京化成)75.0gを436mLのDMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解し、内温20℃で攪拌しているところへ、67.4gの無水炭酸ナトリウムを徐々に加え、続いて、内温20℃で攪拌しているところへ、50.3mLの3−メルカプト−プロピオン酸メチルエステルを滴下した。反応液を攪拌しながら、内温20℃で3時間撹拌した。反応液中の無機物をヌッチェでろ過し後、ろ液を内温20℃の1N塩酸−1950mLにあけて晶析し、引き続き20℃で30分間撹拌し、析出した結晶をヌッチェでろ過し、乾燥して化合物9の結晶を、89.2g得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:2.71〜2.76(2H,t);3.34〜3.39(2H,t);3.63〜3.70(3H,s);7.71〜7.79(1H,d);7.89〜7.99(1H,d);8.07〜8.08(1H,s)
合成例13:化合物10の合成
89.2gの化合物9を170mLのDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に内温20℃にて撹拌しながら溶解し、同温度でDBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]-7-undecene)を67.4mLを滴下し、同温度で30分攪拌した。反応液を340mLの水に注入し、濃塩酸を滴下してpH値が2以下にすることにより酸析させ、ろ過、乾燥させて化合物10を40.4g得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:7.85〜7.95(1H,d);7.95〜8.05(1H,d);8.15〜8.25(1H,s)
合成例14:化合物11の合成
40.0gの化合物10を酢酸450mLに室温で懸濁させ、引き続きタングステン酸ナトリウム4.5gを添加し、内温を8℃まで冷却した後、攪拌しながら95mLの30%過酸化水素水を発熱(内温30℃以下)に注意しながら滴下した。次に、50℃で1時間攪拌し、室温まで冷却した後、酢酸カリウム74.2gとメタノール371mLの溶液に反応液をあけ、カ晶析させた。これを濾過、乾燥させて化合物11を57.8g得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:8.05〜8.10(1H,d);8.15〜8.25(2H,m)
合成例15:化合物12の合成
52.2gの化合物12を520mLのアセトニトリルに添加した後、DMAcを2.0mL注入、室温で攪拌しながら78.3mLのオキシ塩化リンを滴下した。2時間還流後、内温20℃まで冷却後反応液を2500mLの氷水にあけ、30 min.攪拌させ晶析させた。これを濾過、水洗後、一晩40℃で乾燥し化合物12を33.2g得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:8.05〜8.10(1H,d);8.10〜8.15(1H,d);8.15〜8.20(1H,s)
合成例16:化合物13の合成
80mLの2N−LiOH水溶液に20.0gのタウリン(H2NC24SO3H)を室温で攪拌し溶解させ、内温5℃まで冷却した。次に、17.5gの化合物12と20mLのアセトニトリルの溶液を内温5℃で滴下した。同温度で30分攪拌した後、内温を20℃に昇温し、反応液中の不溶物を濾別し、アセトニトリルでかけ洗いした。濾液からアセトニトリルを減圧にて留去し、残渣に16gのLiClを添加して晶析し、濾過、イソプロパノール洗浄後乾燥させ、11.2gの化合物13を得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:2.55〜2.65(2H,t);3.05〜3.15(2H,t);8.0〜8.22(1H,b);8.22〜8.30(1H,d);8.32〜8.40(1H,d);8.45〜8.55(1H,s)
合成例17:化合物111の合成
11.2gの化合物13を1.0mLの酢酸と33.6mLのジエチレングリコール混合液に懸濁させた後内温100℃に昇温し、引き続き1.2gの塩化第二銅(無水)、2.3gの酢酸リチウムを添加した。同温度で3時間攪拌後、内温90℃まで昇温し、26.2mLの濃塩酸を滴下した。続いて、同温度で1時間撹拌した後、内温で1.7gの塩化リチウムを加え、同温度で118mLのイソプロパノールを滴下し晶析した。次に、内温を30℃まで冷却後、晶析物をろ過し、100mLのイソプロパノールで洗浄を行った。乾燥した4.3gの粗結晶を5.5mLのメタノールと16.5mLのイオン交換水に溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH9.5になるまで添加した。引き続き、同温度で溶液をゴミ取りろ過し、ろ液の内温を還流温度まで昇温し、同温度で60分攪拌後、66mLのイソプロパノールを滴下して晶析した。懸濁液を室温まで冷却後、析出物を吸引ろ過し、100mLのイソプロパノールで洗浄を行い、80℃で30時間乾燥して3.5gの化合物111を得た。溶液吸収:λmax=629.6nm,ε=68400(H2O)。イオンクロマトグラフィ分析結果:Li+(1878.4ppm),Na+(N.D.:<25ppm),K+(N.D.:<150ppm),NH4 +(N.D.:<10ppm),Ca2+(N.D.:<3ppm),Mg2+(N.D.:<2ppm),Cl-(N.D.:<10ppm),SO4 2-(N.D.:<30ppm)
合成例18:化合物14の合成
窒素気流下、3,4−ジクロロフタロニトリル(東京化成)20.0gを150mLのDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、内温20℃で攪拌しているところへ、20.0gの3−メルカプト−プロパン−スルホン酸ナトリウム(85%)を添加した。続いて、内温20℃で攪拌しているところへ、16.7gの無水炭酸ナトリウムを徐々に加えた。反応液を攪拌しながら、79℃まで加温し、同温度で1時間撹拌した。70℃まで冷却した後、反応液をヌッチェでろ過し、150mLのメタノールで洗浄後、ろ液を内温52℃の20%LiClaq.1050mLにあけて晶析し、引き続き室温まで撹拌しながら徐冷した。析出した粗結晶をヌッチェでろ過し、イソプロパノール500mLで洗浄し、乾燥して化合物14の結晶を、32.8g得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.89〜2.05(2H,m);2.55〜2.70(2H,t);3.25〜3.40(2H,t);8.10〜8.20(1H,s);8.25〜8.35(1H,s)
合成例19:化合物15の合成
30.0gの化合物14を10mLの酢酸と50mLのH2Oの混合液に添加し、内温20℃で攪拌しているところへ、1.0gLi2WO4を添加した。引き続き、30mLの過酸化水素水(30%)を発熱(<55℃)に注意しながら徐々に滴下した。内温55℃で120分間撹拌した後に、内温20℃まで冷却した後、10gのLiClを発熱(<30℃)に注意しながら分割添加した。引き続き60℃にて30分間撹拌した後に、室温まで撹拌しながら徐冷し、析出した結晶をヌッチェでろ過し、100mLのイソプロパノールで洗浄した後、乾燥して、15.34gの化合物15を得た。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.85〜2.00(2H,m);2.50〜2.60(2H,t);3.70〜3.80(2H,t);8.55〜8.63(1H,s);8.70〜8.75(1H,s)
合成例20:化合物107の合成
14.2gの化合物15を1.2mLの酢酸と4.25mLのジエチレングリコール混合液に懸濁させた後内温90℃に昇温し、引き続き1.3gの塩化第二銅(無水)、2.6gの酢酸リチウムを添加した。同温度で3時間攪拌後、30mLの濃塩酸を滴下した。続いて、同温度で1時間撹拌した後、内温で2.0gの塩化リチウムを加え、同温度で130mLのイソプロパノールを滴下し晶析した。次に、内温を30℃まで冷却後、晶析物をろ過し、200mLのイソプロパノールで洗浄を行った。乾燥した7.0gの粗結晶を8.7mLのメタノールと26.2mLのイオン交換水に溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH9.5になるまで添加した。引き続き、同温度で溶液をゴミ取りろ過し、ろ液の内温を還流温度まで昇温し、同温度で60分攪拌後、110mLのイソプロパノールを滴下して晶析した。懸濁液を室温まで冷却後、析出物を吸引ろ過し、500mLのイソプロパノールで洗浄を行い、80℃で30時間乾燥して6.2gの化合物107を得た。溶液吸収:λmax=640.0nm,ε=67000(H2O)。イオンクロマトグラフィ分析結果:Li+(1829ppm),Na+(N.D.:<25ppm),K+(N.D.:<150ppm),NH4 +(N.D.:<10ppm),Ca2+(N.D.:<3ppm),Mg2+(N.D.:<2ppm),Cl-(N.D.:<10ppm),SO4 2-(N.D.:<30ppm)
合成例21:化合物122の合成
12.8gの化合物5と12.8gの化合物8を2.3mLの酢酸と105mLのジエチレングリコール混合液に懸濁させた後内温100℃に昇温し、引き続き2.7gの塩化第二銅(無水)、5.3gの酢酸リチウムを添加した。同温度で3時間攪拌後、内温を90℃まで冷却した後、60mLの濃塩酸を滴下した。続いて、同温度で1時間撹拌した後、内温で3.9gの塩化リチウムを加え、同温度で717mLのイソプロパノールを滴下し晶析した。次に、内温を30℃まで冷却後、晶析物をろ過し、1000mLのイソプロパノールで洗浄を行った。乾燥した19gの粗結晶を24mLのメタノールと71mLのイオン交換水に溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH9.5になるまで添加した。引き続き、同温度で溶液をゴミ取りろ過し、ろ液の内温を還流温度まで昇温し、同温度で60分攪拌後、380mLのイソプロパノールを滴下して晶析した。懸濁液を室温まで冷却後、析出物を吸引ろ過し、600mLのイソプロパノールで洗浄を行い、80℃で30時間乾燥して18gの化合物122を得た。溶液吸収:λmax=624.0nm,ε=60304(H2O)。イオンクロマトグラフィ分析結果:Li+(2137.4ppm),Na+(N.D.:<25ppm),K+(N.D.:<150ppm),NH4 +(N.D.:<10ppm),Ca2+(N.D.:<3ppm),Mg2+(N.D.:<2ppm),Cl-(N.D.:<10ppm),SO4 2-(N.D.:<30ppm)
化合物122
Figure 0004691318
比較合成例1
上記合成例7(化合物101の合成)において、化合物5のかわりに化合物16を用いた以外同様の操作を実施してフタロシアニン化合物(比較化合物1)を合成した。
化合物16
Figure 0004691318
得られた比較化合物1を分析した結果、溶液吸収:λmax=628.9nm,ε69000(H2O)。イオンクロマトグラフィ分析結果、イオン性親水性基(−SO3M)の対カチオン(M)のLi化率は、Li+=45%(Na+=55%)であった。
比較合成例2
上記合成例7(化合物101の合成)において、化合物5のかわりに化合物17を用いた以外同様の操作を実施してフタロシアニン化合物(比較化合物2)を合成した。
化合物17
Figure 0004691318
得られた比較化合物2を分析した結果、溶液吸収:λmax=628.5nm,ε69500(H2O)。イオンクロマトグラフィ分析結果、イオン性親水性基(−SO3M)の対カチオン(M)のLi化率は、Li+=50%(K+=50%)であった。
比較合成例3
上記合成例7(化合物101の合成)において、化合物5のかわりに化合物18を用いた以外同様の操作を実施してフタロシアニン化合物(比較化合物3)を合成した。
化合物18
Figure 0004691318
得られた比較化合物3を分析した結果、溶液吸収:λmax=629.0nm,ε69500(H2O)。イオンクロマトグラフィ分析結果、イオン性親水性基(−SO3M)の対カチオン(M)のLi化率は、Li+=65%(NH4 +=35%)であった。
以上の合成例から、本発明の方法で製造されたカウンターカチオンとして主としてリチウムカチオンが占める高品質な水溶性フタロシアニン化合物を複雑な後処理なしで製造することができることが明らかである。
本発明の方法によれば、イオン性親水性基のカウンターカチオンとして主としてリチウムカチオンが占める高品質の水溶性フタロシアニン化合物を、イオン交換樹脂処理や脱塩装置を使用せずに不純物である無機化合物含量を削減することができ低コストで製造することができる。
本発明の中間体は、リチウムカチオンをカウンターイオンとする水溶性フタロシアニン化合物の製造に好適に用いることができる。

Claims (1)

  1. 下記一般式(IV−G)で表される置換フタロニトリル(化合物)と、塩化第二銅(CuCl2)とを反応させる、下記一般式()で表されるリチウムカチオンを主たるカウンターイオンとして有する水溶性フタロシアニン化合物の製造方法であって、一般式(IV−G)で表される化合物と塩化第二銅(CuCl2)との反応は、酢酸リチウムと酢酸との緩衝液中で、65〜300℃の温度で、0.5〜24時間行うことを特徴とする。
    一般式(IV−G)
    Figure 0004691318
    上記一般式(IV−G)中;
    X'は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1および−SO2NR12から選ばれる置換基を表す。ここで、R1は置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、または、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のヘテロ環基を表す。R2は水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、または、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20ヘテロ環基を表す。
    X'は、イオン性親水性基を置換基として有し、該イオン性親水性基はスルホ基、カルボキシル基、アシルアミノスルホニル基、スルホニルアミノカルボニル基またはスルホニルアミノスルホニル基であり、該イオン性親水性基の対イオンはリチウムイオンである。
    aは、置換基X'の数を表し、1または2である。
    一般式(V)
    Figure 0004691318
    上記一般式(V)中;
    1,X2,X3,X4は、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1および−SO2NR12から選ばれる置換基を表す。R1,R2は、それぞれ独立に、一般式(IV−G)中のR1,R2と同義である。
    1,a2,a3,a4は、それぞれ置換基X1,X2,X3,X4の数を表し、1または2である。
    Mは、Cu原子を表す
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